JP2673836B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2673836B2
JP2673836B2 JP2229489A JP22948990A JP2673836B2 JP 2673836 B2 JP2673836 B2 JP 2673836B2 JP 2229489 A JP2229489 A JP 2229489A JP 22948990 A JP22948990 A JP 22948990A JP 2673836 B2 JP2673836 B2 JP 2673836B2
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謙介 田原
英樹 石川
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はリチウムもしくはリチウムを吸蔵放出可能な
合金を負極活物質とし、金属酸化物,金属カルコゲン化
物,導電性高分子等々からなる繰り返し充放電可能な物
質を正極活物質とする非水電解質二次電池に関するもの
であり、特に負極の改良に関するものである。
〔従来の技術〕
負極活物質としてリウチムを用いる非水電解質二次電
池は、高電圧、高エネルギー密度で、かつ自己放電が小
さい等の利点により、研究開発が活発に行われ、一部実
用化されている。
この種電池の実用化を促進する上での主要な問題点の
一つは、充放電に伴う負極の劣化が大きく、充放電サイ
クル寿命が短いことである。即ち、負極活物質として金
属リチウムを単独で用いた場合、放電によって溶出した
リチウムイオンが充電に際し、負極上にデンドライト状
(樹脂状)に析出するため、充放電サイクルの繰り返し
により、このデンドライト状のリチウムが成長し、正極
に到達接触して内部短絡を引起こしたり、剥離,脱離を
生じて充放電反応に利用され得なくなる。又、負極リチ
ウム、特に充電により析出したリチウムが非常に活性な
ため電解質と反応し不働態化合物を生成し消費される等
々のためである。
この問題を解決するため、負極として金属リチウムを
単独で用いる代わりにリチウムとアルミニウムとの合金
を用いることが特開昭52−5423号公報に開示されてい
る。この構成によれば、充電により負極上に電析するリ
チウムイオンは速やかにアルミニウムとの合金を形成す
るためデンドライト状のリチウム成長が抑制されるの
で、充放電サイクル寿命が向上する。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、負極として上記の様なリチウムとアル
ミニウムとの合金を用いた場合、充放電反応においてこ
の電極から電解質中へリチウムのみが出入りし、アルミ
ニウムは合金を形成する基体として機能し、電解質中へ
溶解しない。このアルミニウム基体は、充放電に伴うリ
チウムイオンの出入りにより膨張収縮し体積変化を生ず
るため、充放電の繰り返しにより脆化し、電極にクラッ
ク、ひび割れを生じ崩壊させる。このため、充放電サイ
クル寿命が制限され、不充分であった。
又、上記の様なリチウムとアルミニウムとの合金を負
極として用いる場合、実用上最も簡便で生産性が高く、
低コストの製造法はアルミニウムの板又は箔とリチウム
の板又は箔を積み重ねて積層電極体とし、これを電池製
造時及び、または製造後に電池内で電解質と触れさせる
ことにより電気化学的にリチウムとアルミニウムを自己
合金化させる方法であるが、純アルミニウムの板又は箔
を用いた場合、この合金化の進行に際し、アルミニウム
基体のリチウムと合金化した部分の体積が膨張するた
め、リチウム側が凸となる反りを電極に生じる。このた
め、電池製造後、この電極の反りにより、電池ケース等
が押し上げられ変形したり、電池高さが著しく高くなる
等の不良や、電池製造時の電池ケースの封口工程等の加
圧による電極の割れ、電極、電池ケース等の位置ズレに
よる内部短絡、封口不良等々の組立不良が生じるという
問題があった。
一方、前述のリチウムとアルミニウムとの合金電極の
充放電サイクル時の脆化による劣化を抑制するために、
純アルミニウムの代わりにニッケル,鉄,コバルト,ク
ロム,チタン,ジルコニウム,ベリリウム等の異種金属
を含有させたアルミニウム合金を用い、これとリチウム
との合金により負極を構成する方法が米国特許第432484
6号公報や特開昭62−119865号公報及び特開昭62−11986
6号公報に開示されている。この方法により、充放電サ
イクル寿命がある程度改善されると同時に、上述のリチ
ウム−アルミニウム積層電極体を電池内で電気化学的に
合金化させる電池製造法において発生する積層電極体の
反りに起因する問題もある程度改善される。
しかしながら、この種な異種金属を含有させたアルミ
ニウム合金とリチウムとの合金を用いて負極を構成した
としても、必ずしも十分な充放電サイクル寿命が得られ
ず、更に、リチウム−アルミニウム(合金)積層電極体
の電池内での合金化時の反りを十分抑制するためには、
必然的にこれらの異種金属の添加量が多くなり、得られ
るアルミニウム合金が硬く脆くなるため、薄板状、特に
100μm以下の箔にすることが困難であった。この様な
箔状のアルミニウム合金はそれを用いた薄膜状電極を渦
巻状あるいは折り重ね状等に積層し、有効反応面積が大
きく大電流充放電可能な電池やシート状の薄型電池等の
ために重要である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記の様な問題点を解決するため、負極とし
てケイ素0.05〜1.0重量%、鉄0.05〜1.0重量%、銅0.01
〜0.5重量%、亜鉛0.01〜0.5重量%及びマンガン1.0〜
2.0重量%を含有するアルミニウム合金とリチウムとの
合金を用いることにした。即ち、アルミニウムに対して
ケイ素,鉄,銅,亜鉛及びマンガンを上記の割合で全て
添加したアルミニウム合金を基体としてリチウム−アル
ミニウム合金を形成する。これらの添加元素の添加量が
上記の割合以下では、十分な充放電サイクル寿命が得ら
れず、又、リチウム−アルミニウム合金積層電極体の電
池内での合金化時の反りを十分抑制することができな
い。逆に上記の割合以上では硬く脆くなり、圧延等によ
り100μm以下の箔状に加工することが困難となる。
アルミニウムとケイ素,鉄,銅,亜鉛及びマンガン等
の添加元素との合金は、例えばこれらのば元素の粉末又
は粒子等を混合し、不活性ガス雰囲気中又は真空中等で
加熱溶融後冷却する、所謂冶金学的方法によって得られ
る。例えば、アルゴン雰囲気中でアルミニウムの融点
(約660℃)以上に加熱することによって得られる。後
述の実施例では主として700〜800℃の温度で加熱溶融し
たが、非酸化性雰囲気が維持されればより高温でも可能
である。
又、このアルミニウム合金の板や薄箔は、上記溶融固
体物の冷間圧延又は熱間圧延等によって作製することが
できる。
又、これらの添加元素を含有するアルミニウム合金と
リチウムとの合金化は、電解質の存在下で行う電気化学
的合金化法やアルミニウム合金と、リチウムを共存させ
リチウムを加熱溶融する方法、あるいは添加元素とアル
ミニウムとリチウムの混合物を加熱溶融する方法等の冶
金学的合金化法等々によって行うことができる。実用的
には、アルミニウム合金の板又は箔と、リチウムの板又
は箔を積み重ねて積層電極体とし、この積層電極体を電
池内に組込み、電池製造時及びまたは製造後に電池内で
電解質と触れさせることにより電気化学的に自己合金化
させる方法が、簡便で生産性が高くかつ低コストであ
り、好ましい。
〔作 用〕
負極としてケイ素,鉄,銅,亜鉛及びマンガンの適切
量を同時に含有するアルミニウム合金とリチウムとの合
金を用いることにより、アルミニウム合金基体の機械的
強度,硬度が高められることにより充放電の繰り返しに
よる負極の脆化、崩壊が抑制され、かつリチウム−アル
ミニウム合金積層電極体の電池内での電気化学的な合金
化時の反りが防止されると共に、このアルミニウム合金
は十分な延展性を有するため、100μm以下の板や箔に
容易に加工でき、100μm以下の薄膜電極が容易に作製
できる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 第1図は本発明の一例を示す偏平型電池の断面図であ
る。図において、1は負極端子を兼ねる負極缶であり、
外側片面をNiメッキしたステンレス鋼製の板を絞り加工
したものである。2はステンレス鋼製のネットから成る
負極集電体であり、負極缶1にスポット溶接されてい
る。3は後述の本発明に係わる負極であり、負極集電体
2に固着されている。7は正極端子を兼ねるステンレス
鋼製の正極缶であり、外側面がNiメッキされている。5
は正極であり、五酸化バナジウムV2O5を活物質とし、こ
れに導電剤としてグラファイトを結着剤としてフッ素樹
脂を重量比60:35:5の割合で混合して正極合剤とし、次
にこの正極合剤をステンレス鋼製のネットからなる正極
集電体6と共に2ton/cm2で直径15mm、厚さ0.5mmのペレ
ットに加圧成形した後、100℃で10時間減圧加熱乾燥し
たものを用いた。4はポリプロピレンの多孔質フィルム
から成るセパレータであり、電解液が含浸されている。
8はポリプロピレンを主体とするガスケットであり、負
極缶1と正極缶7の間に介在し、正極と負極との間の電
気的絶縁性を保つと同時に、正極缶開口縁が内側に折り
曲げられカシメられることに依って、電池内容物を密
封,封止している。電解質はプロピレンカーボネートと
エリレンカーボネート及びテトラヒドロフランの体積比
1:1:2混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1モル
/溶解したものを用いた。電池の大きさは外径20mm、
高さ1.6mmであった。
負極3は次の様にして作製した。先ず、前述の冶金学
的方法によりアルミニウムにケイ素,鉄,銅,亜鉛及び
マンガンをそれぞれ0.3,0.3,0.1,0.1及び1.5重量%含有
させたアルミニウム合金塊を作製し、得られた合金塊を
冷間圧延して厚さ30〜500μmの箔又は板を作製したと
ころ、この範囲の厚さでは、容易に厚さ精度±10%以内
で均一に圧延できた。次に、この様にして作製した厚さ
200μmのアルミニウム合金板を直径15mmに打ち抜き、
前述の負極缶1にスポット溶接された負極集電体2に圧
着し、その上に厚さ200μmのリチウムフォイルを直径1
4mmに打ち抜いたものを圧着した。この様にして作製し
たリチウム−アルミニウム合金積層電極体を負極として
用い、この上に前述のセパレータ4を載置し、前述の電
解液を注入し、前述の構成の電池を作製した。
この様にして作製された電池(以下Aと略記)は、室
温で1週間放置エージングされた後、後述の充放電試験
が行われた。このエージングによって、負極のリチウム
−アルミニウム合金積層電極は電池内で非水電解液に触
れることにより電気化学的に自己合金化が進行し、リチ
ウムフォイルは実質的に全てアルミニウム合金と合金化
するため、電池電圧は負極として金属リチウムを単独で
用いた場合に比べ約0.4V低下した値となって安定した。
また、比較のため負極を構成する積層電極体のアルミ
ニウム板としてケイ素,鉄,銅,亜鉛及びマンガンを含
有しない純アルミニウム板を用いた他は電池Aと全く同
様にして、同様な電池Dを作製した。
これらの電池を1mAの定電流で放電終止電圧2.0V、充
電終止電圧3.8Vの充放電サイクルを行った時の各サイク
ル毎の放電容量とサイクル数との関係を第2図に示し
た。又、これらの電池を各々200個作製した直後と上述
の室温でのエージングを1週間行った後の電池の総高さ
を測定した結果を第1表に示した。尚、電池総高さが規
格上限値1.60mmを越えたものと不良として、不良発生率
を求めた。
第1表から明らかな様に、本発明電池Aではエージン
グ後も電池総高さに実質的な変化がなく、不良も発生し
ていないのに対し、比較電池Dにおいては電池作製後の
エージングにより、電池内でのリチウム−アルミニウム
積層電極体の電気化学的な自己合金化の進行に伴う電極
の反りに起因する電池の膨らみがあり、電池高さが著し
く増加し、規格上限値を越える不良が39%も発生してい
る。又、第2図から明らかな様に、本発明電池Aは比較
電池Dに比べ、充放電サイクル寿命が著しく向上してい
る。
実施例2 本実施例は負極のリチウム−アルミニウム合金積層電
極体を構成するアルミニウム合金として、アルミニウム
にケイ素,鉄,銅,亜鉛及びマンガンをそれぞれ0.3,0.
3,0.05,0.1及び2.0重量%含有させたアルミニウム合金
を用いた他は、全て実施例1と同様な方法で同様な電池
Bを作製した。この電池Bにおいても、電池作製後実施
例1と同様なエージングを行い電池総高さの変化を調べ
たところ、実施例1と同様、電池高さの増加、電池の膨
らみは発生しなかった。又、実施例1と同様な充放電サ
イクルを行った結果、充放電サイクル寿命は実施例1の
電池Aよりもやや向上する傾向が見られたが大きな差は
なかった。
実施例3 負極のリチウム−アルミニウム合金積層電極体を構成
するアルミニウム合金として、アルミニウムにケイ素,
鉄,銅,亜鉛及びマンガンをそれぞれ0.6,0.6,0.2,0.2
及び1.0重量%含有させたアルミニウム合金を用いた他
は、全て実施例1と同様な方法で同様な電池Cを作製し
た。
この電池Cにおいても、電池作製後のエージングによ
る電池総高さの増加、電池膨らみは見られなかった。
又、実施例1と同様な充放電サイクルを行った結果、充
放電サイクル寿命は実施例1の電池Aよりやや低下する
傾向が見られたが大きな差はなかった。
又、実施例2及び3で作製したアルミニウム合金につ
いても、冷間圧延により箔を作製したところ、厚さ30μ
mの範囲まで容易に厚さ精度±10%以内で均一に圧延で
きた。
尚、実施例においては、アルミニウム合金とリチウム
との合金化法として、電池内で電解質と触れさせ電気化
学的に自己合金化させる方法のみを示したが、本発明は
これに限定されず、電池組立前に電池外で予め電気化学
的に合金化させる方法や前述の冶金学的方法等々も適用
することができる。
又、電解質についても実施例に限定されず、γ−ブチ
ロラクトン,ピロピレンカーボネート,エチレンカーボ
ネート,ブチレンカーボネート,1,2−ジメトキシエタ
ン,テトラヒドロフラン,ジオキソラン,ジメチルフォ
ルムアミド等の単独又は混合溶媒に支持電解質としてLi
ClO4,LiPF6,LiBF4,LiCF3SO3等のLiイオン解離性塩を溶
解した有機電解液、ポリエチレンオキシドやポリフォス
ファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させ
た高分子固体電解質あるいはLi3N,LiI等の無機固体電解
質等々のリチウムイオン導電性の非水電解質であれば良
い。
更に、正極活物質についても、実施例に限定されず、
TiS2,MoS2,NbSe3等の金属カルコゲン化物,MnO2,MoO3,V6
O13,LiCoO2,LiMn2O4等の金属酸化物,ポリピロール,ポ
リアニリン,ポリチオフェン等の導電性高分子等々にも
同様に適用できることは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上詳述した様に、本発明は負極としてケイ素,鉄,
銅,亜鉛及びマンガンの適切量を同時に含有するアルミ
ニウム合金とリチウムとの合金を用いることにあり、本
発明に適用できる素材は、JIS規格のアルミ合金3003〜3
005及び3203があり、その汎用化した廉価な素材は本発
明の二次電池の低価格に有効である。この素材によりア
ルミニウム合金基体の機械的強度,硬度が高められ充放
電の繰り返しによる負極の脆化,崩壊が抑制されるので
充放電サイクル寿命が向上すると共に、リチウム−アル
ミニウム合金積層電極体の電池内での合金化に伴う反り
に起因する電池の膨らみ、組立不良が防止され、かつこ
のアルミニウム合金が十分な延展性を有するので容易に
薄板や箔に圧延加工でき、100μm以下の薄膜電極が容
易に作製できる等々優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明において実施した電池の一例を示す断面
図、第2図は本発明電池と従来電池の充放電サイクル特
性の比較図である。 1……負極缶、2……負極集電体 3……負極、4……セパレータ 5……正極、6……正極集電体 7……正極缶、8……ガスケット

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繰り返し充放電可能な正極と、リチウムイ
    オン誘導性の非水電解質と、ケイ素0.05〜1.0重量%、
    鉄0.05〜1.0重量%、銅0.01〜0.5重量%、亜鉛0.01〜0.
    5重量%及び1.0重量%より多く2.0重量%以下のマンガ
    ンを含有するアルミニウム合金とリチウムとの合金から
    なる負極とを用いたことを特徴とする非水電解質二次電
    池。
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