JP2670721B2

JP2670721B2 - 宝石及び宝飾品の同定装置

Info

Publication number: JP2670721B2
Application number: JP35701691A
Authority: JP
Inventors: 正昭竹内
Original assignee: 株式会社・イー・アール・シー・
Priority date: 1991-12-24
Filing date: 1991-12-24
Publication date: 1997-10-29
Anticipated expiration: 2012-10-29
Also published as: GB9226921D0; JPH05173998A; GB2263004A; US5379102A; GB2263004B

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、宝飾品の同定装置に関
するもので、例えば、宝石、指輪、イヤリング、ネック
レス等の宝飾品の同定に適用されるものである。

【０００２】

【従来の技術】宝石の鑑定または鑑別にはこれらの用途
に適した専門器具が多数用意されている。具体的には、
宝石屈折計，宝石偏光器，ダイヤル式宝石貴金属比重
計，比重用重液セット，宝石鑑別顕微鏡，宝石用紫外線
鑑別ライト，宝石二色鏡，直視型分光器，エメラルド・
カラー・フィルター，宝石専用デーライト，ダイヤモン
ド・マスター・ストーン，ダイヤモンド・プロポーショ
ン・スコープ，ダイヤモンド・プロポーション・ハンデ
ィ・スコープ，ダイヤモンド軟Ｘ線透視鑑別器等がある
が、それらは、一つで万能的に鑑別できるものではなく
数種類の器具を組み合わせて使用する。そして、種々の
鑑別データをもとに、宝石の鑑定または鑑別を行うもの
である。これらの器具は大方宝石の物理的性質を利用し
たものばかりであるが、前述した鑑別器具は、次に示す
ような方法で物理的な性質の測定を行っている。

【０００３】まず、宝石の重量を利用した代表的なもの
に比重測定法がある。この比重測定法は、各種の宝石が
それぞれ固有の比重値を持っていることに注目したもの
で、被検査石の比重を求めることは宝石鑑別に極めて有
効な情報が得られる。宝石の比重測定法には種々の方法
があるが、主として水中重量法（静水法）と言われる比
重測定法が最も一般的に用いられている。これは、「す
べての物質は、水中では、その物質と同じ容積の水の重
量だけ軽くなる。」というアルキメデスの原理を応用し
たもので、被測定宝石の空気中の重量と、さらに水中で
の重量を計量して、被測定宝石の比重を求める方法であ
る。空気中の重量と水中の重量との差が、その宝石が水
中で軽くなった重量となるのであるが、それがその宝石
の体積に相当するわけである。すなわち、比重＝宝石の空気中重量／宝石と同体積の水（４℃）の重量＝宝石の空気中重量／（宝石の空気中重量−宝石の水中重量）で求めるものである。

【０００４】次に、宝石の光学的性質を利用したものと
して、屈折率測定法，偏光検査法，分光器テストが一般
に知られている。これらの内、屈折率測定法は、宝石の
輝きを左右する最も重要な光学的特性である屈折率を測
定するもので、各宝石の固有の屈折率を測定することに
より明確な鑑別結果が得られる。また、偏光検査法は偏
光光線を利用して宝石が単屈折性か複屈折性か検査する
もので、屈折率測定に併用して用いる場合が多い。分光
器テストは検査宝石に強い白色光線をあて、宝石を通過
または反射する有色光を分光器にかけ、そのスペクトル
（色帯分布）中の吸収帯や着色成分による特有の吸収線
の観察検査を行なうものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の鑑定または鑑別装置は、いずれの方法におい
ても、装置本来の用途が宝石の品質または種類を検査す
ることにあるため、宝石の種類等について信頼性のある
特定を行うことは必要であるとしても、個々の宝石が最
初のものと全く同一のものであるかの判断、つまり同定
判別については、実施することが困難である。つまり、
当業界には「同定」の概念もその必要性についての認識
も少ないのが現状であった。それ故に、例えば、デパー
ト、宝石店あるいはレンタルショップ等で宝石類を個人
やイベント主催者に貸し出すような場合、貸出先で宝石
や貴金属類を取り扱う担当者が貸し出された宝石類を同
じ種類の品質の悪い他の宝石類とまちがえて返却した
り、あるいは、不心得者が故意に貸し出された宝石類を
品質の悪い他の宝石類とすり替えたりした場合に、従来
の鑑定または鑑別技術では、宝石の個別の品質の違いま
で明確に同定することが困難であった。これに対し、本
願発明者は、同じ種類の宝飾品でも微妙に異なる物理特
性を基準にして宝飾品を選別する技術（いわゆる同定技
術という。）の必要性を痛感し、世界に先駆けて宝飾品
を同定する技術を発明し既に提案した（特開昭５７−１
５９３５８号、特開昭５７−１６５７４２号）。これら
の同定技術によれば、宝飾品の個別の物理特性を測定機
で測定し、この測定データに識別番号を付加してコンピ
ュータでデータベース化したりあるいはこれらのデータ
を電話回線を介してデータ通信することにより、宝飾品
をレンタルするネットワーク内での宝石類の取り違いや
すり替え或いは破損等のトラブルを速やかに判断するこ
とができるとしている。ところが、本願発明者が出願し
た「特開昭５７−１５９３５８号」および「特開昭５７
−１６５７４２号」に開示された技術では、それが、量
系または光学系のいずれの物理的測定による同定判別を
行う場合においても、宝飾品の測定データの解析に関す
る教育やトレーニングを受けた専門の技術者が常駐しな
ければ有効な運用ができないことが判明した。つまり、
これらの同定技術では、宝飾品の個々について個別に測
定した物理的データに、識別番号を対応させてコンピュ
ータを利用してデータベース化するのであるが、量系の
データ測定については、宝飾品の全体の空中重量を測定
していたため、事後的に金属部の加工等によって空中重
量を調整して偽物を製造することが可能で、また、光学
糸のデータ測定については、宝飾品の表面に測定位置を
特定せずに行っていたため、同定判断時に測定したデー
タとコンピュータに記憶したデータとの検出誤差が生じ
やすく、これらの測定データについて専門の技術者が二
つの近似値のデータを総合的に比較判断して同定か否か
判定しなければならなかった。そこで、本発明はこのよ
うな従来技術の現状に鑑みなされたもので、専門技術者
のデータ分析を必要とせず、全くの素人でも簡単かつ正
確に同定判別を行えるようにした宝飾品の同定装置の提
供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に成された本発明は、図１に示す如く、宝飾品の表面所
定の位置に予め付加した識別番号を、光学装置を介して
読み取り、この識別番号を電気信号に変換して出力する
識別番号読み取り手段Ｍ１と、前記宝飾品の全体の重量
を、空中および液中のそれぞれで精密に測定し、測定し
たそれぞれの重量を電気信号に変換して出力する重量測
定手段Ｍ２と、前記宝飾品の表面所定の位置に一定間隔
で設定した識別点に、一定の電流を流して電気抵抗を測
定し、この電気抵抗を電気信号に変換して出力する電気
抵抗測定手段Ｍ３と、前記宝飾品の表面所定の位置に、
特定の帯域の光を投射し、その反射光の分光を分析し
て、その解析情報を電気信号に変換して出力する分光分
析・解析手段Ｍ４と、前記重量測定手段、前記電気抵抗
測定手段および前記分光分析・解析手段から出力される
電気信号を前記識別番号に対応して初期データとして記
憶するとともに、照合すべき宝飾品の前記各手段の電気
信号を前記初期データと比較して前記宝飾品の同定判別
を行う電子情報処理手段Ｍ５とを備えたことを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】本発明の宝飾品の同定装置によれば、まず、識
別番号読み取り手段Ｍ１は、宝飾品の表面所定の位置に
予め付加した識別番号を光学的に読み取り電気信号に変
換して出力する。重量測定手段Ｍ２は、宝飾品の全体の
重量を、空中および液中のそれぞれで精密に測定し、そ
れぞれの重量を電気信号に変換して出力する。電気抵抗
測定手段Ｍ３は、宝飾品の表面所定の位置に予め一定間
隔でそれぞれ設定した識別点に、一定の電流を流して測
定点間の電気抵抗を精密に測定する。分光分析・解析手
段Ｍ４は、宝飾品の表面に予め設定した位置に、特定の
帯域の光を投射し、その反射光の分光を分析し、その解
析情報を電気信号に変換して出力する。そして、電子情
報処理手段Ｍ５は、識別番号読み取り手段Ｍ１，重量測
定手段Ｍ２，電気抵抗測定手段Ｍ３および分光分析・解
析手段Ｍ４から入力した電気信号を、識別番号に対応し
て予め記憶した個々の宝飾品の電気信号の初期データと
比較し、各測定値の誤差が一定範囲内にあるか否かを基
準として同一品であるか否かを即時に判定する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の宝飾品の同定装置の実施例に
ついて図面に基づき説明する。図２は本実施例の概略構
成を示す。本実施例の宝飾品の同定装置は、図２に示す
如く、宝石類の測定台１，自動顕微鏡２，自動画像解析
装置３，電気抵抗測定装置４，電子天秤５，分光測色計
６およびパーソナルコンピュータ（以下、パソコンとい
う）７から構成されている。

【０００９】自動顕微鏡２は、例えば、図３および図４
に示す如く、指輪１０の宝石部１０ａと金属部１０ｂの
それぞれに、フォトエッチング等で数列が描画された識
別部１１を結像させ、その光学的画像を自動画像解析装
置３に出力するようになっている。この自動顕微鏡２
は、ピント合わせ・標本の移動・レンズ倍率の交換など
をコンピュータのプログラムで行なうもので、顕微鏡の
内部に十数個のサーボモーターを持ち、これらの動作を
コントロールするマイクロコンピュータによりオートフ
ォーカス・自動絞り・対物レンズ・対物レンズと照明切
替の連動・自動調光などが可能になっている。自動顕微
鏡２が出力した映像信号は、自動画像解析装置３に内蔵
されたコンピュータの画像解析プログラムによって解析
され、電気信号に変換してパソコン７に出力される。

【００１０】電気抵抗測定装置４は、図４に示すよう
に、識別部１１に設けた電気抵抗測定用スポットマーク
１１ａ，１１ｂの点に微弱な電流を流して２点間の電気
抵抗を精密に測定する装置である。この装置は、物体に
は重量と同様に物体固有の電気抵抗が存在することに着
目したもので、物体の二点間に電位差を与えると、物体
を流れる電流の大きさは、その物体を構成する物質の種
類と形状によって定められる。例えば、ダイヤモンドと
ジルコニウムとでは電気抵抗に決定的に違いが生じる
が、同じ外形のダイヤモンドでもその包有物（インクル
ージョン）が異なると測定抵抗は微妙に異なることにな
る。従って、宝石１０ａおよび金属部１０ｂに設定した
識別部１１の指定された２点間の電気抵抗を測定すれば
完成品としての宝石の指輪を他の指輪（同一の種類であ
っても）と容易に区別することができる。

【００１１】電子天秤５は、宝飾品の空中重量と液中重
量とを測定する装置で、空中重量および液中重量をそれ
ぞれ１／１０００ｇまたは１／１０００カラットの精度
で測定可能になっている。個々の宝飾品ごとに、空中重
量と液中重量の測定データが電気信号に変換されてパソ
コン７に出力される。ここで、宝飾品の空中重量と液中
重量とをそれぞれ測定する理由は、宝飾品の同定を行う
方法として、空中重量と液中重量の両方を予め測定した
初期データと比較すると、極めて高い精度で同定判別が
可能になるからである。すなわち、宝飾品を構成する部
材は、各部材ごとに固有の質量および体積をもっている
ため、空中重量と液中重量とをともに一致させるように
模造品を作ることは極めて困難になるからである。例え
ば、図３に示すような指輪についてみると、宝石部１０
ａの模造品を別の低品質の原石を用いて製造する場合、
模造品の空中重量が、宝石部１０ａと同一にならなくて
も、金属部１０ｂの空中重量を調節することで、指輪１
０と同一の空中重量をもつ模造品を比較的容易に製造す
ることができる。しかしながら、このような模造品の場
合、宝石部と金属部との体積バランスがくるって液中重
量が指輪１０の測定値と異なることになるため、本物の
指輪１０と模造品とが容易に区別されることになる。空
中重量と液中重量とをともに、一致させて模造品をつく
れば、同定判別は困難になるが、そのためには高度な技
術と費用を要するため、現実には不可能と考えられる。
以上のような理由から、空中重量と液中重量とを個々に
測定するものである。なお、このように空中重量と液中
重量とを測定する点は、従来の比重測定方法と共通する
が、本発明においては、空中重量と液中重量のそれぞれ
の測定データを直接初期データと対比するのに対し、比
重測定方法の場合は、各重量データを所定の計算式に代
入して求めた比重を初期データの計算値と比較する点
で、本発明と異なるものである。電子天秤５の重量測定
の精度について１／１０００ｇまたは１／１０００カラ
ットとしているのは、この程度の精度で測定を行えば、
±２／１０００ｇまたはカラット程度の誤差範囲でほと
んど誤り無く同定判別が行えるからである。また、液中
重量の測定を行うための液体については、特に限定はさ
れないが、ブロムホルム液等の比重測定に用いる溶液を
用いることが可能である。

【００１２】次に、分光測色計６は、図４に示す識別部
１１の分光分析用スポットマーク１１ｃに特定の帯域の
光を入射し、その反射光のスペクトルを測定して、この
スペクトルパターンを電気信号に変換してパソコン７に
出力するようになっている。

【００１３】パソコン７は、一般民生用のコンピュータ
であるが、その運用に際して、本実施例専用の宝石同定
プログラムを用いる。このパソコン７は、自動画像解析
装置３，電気抵抗測定装置４，電子天秤５および分光測
色計６が出力する電気信号をデータベース化して記憶し
たり、或いは必要に応じてメモリーから読み込んだ初期
データと測定データを比較してディスプレイに文字、数
値等の関連グラフィックを表示する処理を行なう。な
お、宝飾品の同定に用いる物理的なデータに関しては、
電気抵抗測定装置４、電子天秤５または分光側色計６の
いずれか一つの測定データを初期データと比較すること
でも、同定判別を実施することは可能であるが、本実施
例においては、電気抵抗、空中重量および液中重量、並
びに反射光スペクトルパターンを組み合わせている。こ
れは、同定対象が高価な宝飾品であることから、同定精
度を常に高水準に維持する必要があるからである。

【００１４】以上の構成からなる本実施例の宝飾品の同
定装置の作用について、図３に示した指輪１０を同定す
る例に基づいて説明する。まず、指輪１０を識別番号で
パソコン７に登録するためには、予め、宝石部１０ａと
金属部１０ｂの所定の位置に、図４に示した識別部１１
をフォトエッチング等の技法で焼き付けておく。この識
別部１１には、宝石部１０ａと金属部１０ｂを同定する
識別番号と電気抵抗測定用スポットマーク１１ａ，１１
ｂおよび分光分析用スポットマーク１１ｃが形成されて
いる。そして、この指輪１０を、図２に示す如く、測定
台１に載置して自動顕微鏡２の電源を投入する。自動顕
微鏡２は、対物レンズから識別部１１の識別番号までの
距離を自動的に測定し、オートフォーカスでピント合わ
せをすると共に識別部１１の大きさによってレンズ倍率
を自動的に交換する。レンズで拡大された識別部１１の
識別番号は、接眼レンズに取り付けられてＴＶカメラに
よって撮影され、その画像信号を自動画像解析装置３に
出力する。自動画像解析装置３は自動顕微鏡２から入力
された画像信号を、内蔵したコンピュータの画像解析プ
ログラムによって解析し、識別部１１の識別番号の画像
をデジタル信号に変換してパソコン７に出力する。パソ
コン７では、デジタル信号が入力されると、宝石同定プ
ログラムに応じて処理を開始し、パソコン７内に識別番
号を付加したファイルを作成すると共にデータ入力の待
機状態となる。

【００１５】次に指輪１０を電気抵抗測定装置４に装着
する。すると、電気抵抗測定装置４は、指輪１０の宝石
部１０ａと金属部１０ｂのそれぞれに設けた識別部１１
の電気抵抗測定用スポットマーク１１ａ，１１ｂに測定
用端子を接続して電気抵抗を測定する。そして、測定さ
れた宝石部１０ａと金属部１０ｂの電気抵抗データはパ
ソコン７に出力され、識別番号が付加されたファイルに
格納される。

【００１６】電気抵抗測定が終了すると、今度は、指輪
１０を電子天秤５に装着して、空中と水中のそれぞれの
重量を測定する。このデータは、測定後直ちにパソコン
７に出力される。パソコンでは、入力されたデータを識
別番号が付加されたファイルに格納する。

【００１７】次いで、指輪１０を分光測色計６に装着す
る。分光測色計６では、指輪１０の宝石部１０ａと金属
部１０ｂの識別部１１にそれぞれ設けた分光分析用スポ
ットマーク１１ｃに特定の帯域の光を入射し、その反射
光のスペクトルを測定し、このスペクトルパターンをデ
ジタル信号に変換してパソコン７に出力する。パソコン
７では、入力されたスペクトルパターンのデータを、識
別番号が付加されたファイルに格納してこの処理は終了
する。

【００１８】一方、パソコン７のファイルに格納した指
輪１０のデータを検索したいときは、パソコン７のキー
ボードから検索したい指輪１０の識別番号を入力するだ
けで、パソコン７のディスプレイに各種初期データが表
示される。そして、指輪１０の同定を行う場合は、パソ
コン７のキーボードから照合命令を入力するとともに、
照合指輪について電気抵抗測定装置４、電子天秤５およ
び分光測色計６による各物理的データの測定を実行す
る。この手順により、パソコン７は、照合指輪の識別部
１１に描画された識別番号をもとに、測定データとファ
イルに格納した初期データとを比較判断し、同じである
と判定すると、デイスプレイに同一サインと各データを
表示する。一方、パソコン７で、比較データのいずれか
一つ以上のデータが所定の許容誤差の範囲外にあると判
断すると、ディスプレイに不同一サインを表示すると共
に各比較データを表示する。そして、この同定判別の処
理は一旦終了する。

【００１９】このように、本実施例の宝飾品の同定装置
は、宝石を用いた指輪・ペンダント・イヤリング等の宝
飾品に予め管理用の識別番号を描画し、この識別番号を
もとに宝飾品固有の物理的データを測定し、更に、この
測定データを一般民生用のパソコンを用いてデータ管理
することができるようにしている。従って、従来のよう
に、宝石類を鑑定書と一緒に保管する必要がなく、宝石
類に描画した識別番号を頼りにすることで、在庫・移動
・店頭管理が容易になる。また、パソコンを用いてデー
タ管理できるため、例えば、管理する宝石類の履歴デー
タや各種人為的データをファイルに格納することもでき
る。更に、宝飾品をレンタルする業者においては、宝飾
品が返却されるときに、本装置で照合すれば、貸し出し
中の宝石類と類似した宝石類が返却されても、瞬時に同
定判断することができ、誤返却等の損害を受けることが
防止される。なお、本実施例で説明した宝石類の物理的
測定の手順はあくまで、一例であり、これに限定される
ものではなく、どの様な手順で行なっても同じ効果が得
られる。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の宝石およ
び宝飾品の同定装置によれば、宝飾品のもつ固有の空中
重量および水中重量、電気抵抗、並びに反射光スペクト
ルの物理的データを識別番号によって管理するととも
に、電子情報処理手段で各物理的データを照合データと
比較して同定判別を行うようにしたため、宝飾品の在
庫、移動、店頭管理が容易にできるだけでなく、宝飾品
の持ち出しや貸出の際に、取り違えやすり替え或いは破
損等を専門家に頼ることなく、瞬時に判定することがで
きる。従って、宝石店や宝石商に損害を与える重大なト
ラブルを未然に防止することができる。また、従来のこ
の種の装置では、仮に宝石や宝飾品を同定する識別情報
をコンピュータ等でデータベース化したり、あるいは一
般電話回線を利用してデータ通信化することができたと
しても、宝飾品を同定する物性値の測定誤差が大きく、
これらの測定データを分析する技術が依然として本職の
宝石鑑定士の技量と同等の判断力を要求されていたが、
本発明によれば、測定誤差が比較的少なく信頼性の高い
データをもとにコンピュータ処理で同定判別を行うこと
ができるため、全くの素人、例えば宝石店の女性店員で
も簡単な操作で正確な宝石類の識別用データを得ること
ができる。従って、本発明の宝飾品の同定装置は、宝石
業界に普及させることで業界のリスクを最小にして業界
全体を繁栄させるとともに、宝石の鑑定知識に関する専
門技術者の常駐を不要とし、人件費的にも極めて大きな
経済効果が期待できる画期的な発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の宝石および宝飾品の同定装置のシステ
ムブロック図である。

【図２】本発明の実施例の宝石および宝飾品の同定装置
を表わした概略構成図である

【図３】本実施例に用いた指輪の構成図である。

【図４】本実施例の指輪に描画した識別部の拡大図であ
る。

【符号の説明】

Ｍ１識別番号読み取り手段Ｍ２重量測定手段Ｍ３電気抵抗測定手段Ｍ４分光分析・解析手段Ｍ５電子情報処理手段１宝石類の測定台２自動顕微鏡３自動画像解析装置４電気抵抗測定装置５電子天秤６分光測色計７パーソナルコンピュータ１０指輪１０ａ宝石部１０ｂ金属部１１識別部１１ａ，１１ｂ電気抵抗測定用スポットマーク１１ｃ分光分析用スポットマーク

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】宝石及び宝飾品（宝石単体を含む。以
下、宝飾品という。）の表面所定の位置に予め付加した
識別番号を、光学装置を介して読み取り、この識別番号
を電気信号に変換して出力する識別番号読み取り手段
と、前記宝飾品の全体の重量を、空中および液中のそれぞれ
で精密に測定し、測定したそれぞれの重量を電気信号に
変換して出力する重量測定手段と、前記宝飾品の表面所定の位置に一定間隔で設定した識別
点に、一定の電流を流して電気抵抗を測定し、この電気
抵抗を電気信号に変換して出力する電気抵抗測定手段
と、前記宝飾品の表面所定の位置に、特定の帯域の光を投射
し、その反射光の分光を分析して、その解析情報を電気
信号に変換して出力する分光分析・解析手段と、前記重量測定手段、前記電気抵抗測定手段および前記分
光分析・解析手段から出力される電気信号を前記識別番
号に対応して初期データとして記憶するとともに、照合
すべき宝飾品の前記各手段の電気信号を前記初期データ
と比較して前記宝飾品の同定判別を行う電子情報処理手
段とを備えたことを特徴とする宝飾品の同定装置。