JP2668055B2 - ショベルの製造法 - Google Patents

ショベルの製造法

Info

Publication number
JP2668055B2
JP2668055B2 JP4254139A JP25413992A JP2668055B2 JP 2668055 B2 JP2668055 B2 JP 2668055B2 JP 4254139 A JP4254139 A JP 4254139A JP 25413992 A JP25413992 A JP 25413992A JP 2668055 B2 JP2668055 B2 JP 2668055B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wear
bucket
welding
manufacturing
resistant member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4254139A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0671451A (ja
Inventor
賢一 宇佐美
博 高安
寛 福井
俊弘 大野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd, Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP4254139A priority Critical patent/JP2668055B2/ja
Publication of JPH0671451A publication Critical patent/JPH0671451A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2668055B2 publication Critical patent/JP2668055B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shovels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建設機械、産業機械、
鉱山機械、土木用機械のバケットに係り、特に岩石、土
砂、鉱石等のかき込み採取並びにそれらの表面上を駆動
するバケットの表面は摩耗損傷を受けるため、これを防
止するのに好適な耐摩耗性合金粉体による溶接肉盛層を
形成させるショベルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題から、岩石、鉱石、砂採
取等の工事は従来の爆破法に代わり、機械による掘削工
法が使用されるようになっている。そのため建設機械、
鉱山機械、土木機械等は稼働条件等が複雑であると共に
機種も多種多様である。従って、機器構成材料に要求さ
れる特性も複雑多岐であり、その用途に応じて疲労、変
形、脆性、耐摩耗性に対する信頼性の確保が重要となっ
ている。特に、大型ショベル用バケット等の機器部材は
岩盤、鉱石表面上を接働したり、破砕された岩石、鉱
石、土砂等のかき込み採取する等過酷な条件で使用され
る。従って、バケット部材等の外表面及び内表面は摩耗
による損傷が生ずるため、それらの摩耗修理の頻度、費
用は保守コストに大きく反映される要素であり、その耐
摩耗性向上化技術は重要課題の1つである。そのため、
バケット等の耐摩耗対策としては主に、溶接棒を用いた
アーク溶接による直接表面への硬化肉盛、あらかじめ母
材表面へ耐摩耗性金属を盛金した耐摩耗性複合鋼板及び
高硬度鋼材の溶接取付け等が主体となっている。これら
については、既に特公昭59−31430号公報の『耐
摩耗性複合鋼板の製造法』や特公昭61−41695号
公報の『装置、機械等の耐摩耗性が要求される部分の補
修方法』に公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術で
ある被覆棒を用いた被覆アーク溶接、ワイヤのMIG溶
接、ロッドのTIG溶接等は母材との希釈率が30〜4
0%と大きく、使用した耐摩耗性材料の特性を十分発揮
させるには少なくとも2〜3層(5〜8mm)は必要と
なると共に、その溶接速度や溶着速度も制約される。ま
た、非常に高い硬度で耐摩耗性が優れた材料でも、溶接
棒に加工出来ず使用できない場合もある。従って、これ
ら施工法による摩耗対策はコストアップやバケットの重
量増加等の作業性への影響及び局面への施工性の困難等
により十分な技術とは言えない。
【0004】以上の問題を解決するためには、より高硬
度材料が使用でき、かつ薄肉溶接層が形成でき溶接速度
も早い溶接法が要求される。
【0005】一方、耐摩耗性向上技術として、粉体を用
いる溶射法がある。この方法は非常に高硬度の材料を積
層可能であるが、特に大型形状でかつ接働する部品表面
での使用は母材との接着強度に難点がある。
【0006】本発明の目的は、上記の解決課題に鑑み前
記の粉体を用いた溶接法の利点を考慮した上で、溶接棒
を用いた溶接法では得がたい、高硬度溶接金属層が得ら
れる耐摩耗性金属粉体の溶接材料を用い、摩耗を受ける
基材表面上に肉盛溶接して被覆層を形成することによ
り、摩耗による損傷を抑制すると共に、施工コストの低
減が容易なショベルの製造法を提供することにある。
【0007】上記目的は、バケットのかき込み採取によ
り摩耗が生じる部位に、好ましくは溶接のままでビッカ
ース硬さが600以上を有しオーステナイト相中に炭化
物を晶出した耐摩耗性合金粉体を用い、母材との溶け込
み率が10〜15%であるプラズマアーク溶接法によ
り、耐摩耗性部材を0.3〜3mm形成することにより
達成される。すなわち、バケットのかき込み採取により
摩耗が生じる部位に、重量%でC:2.5〜5.0%、S
i:3〜15%及びCr:15〜30%を含有するFe
基合金、Ni基合金、Co基合金の何れかから成り、少
なくとも炭化物形成元素であるW、Nb、Tiの15%
以下を1種または2種以上を含有し、主成分がCrであ
る複合炭化物が晶出した耐摩耗性合金粉体を用い、プラ
ズマアーク溶接法により、耐摩耗性部材の肉盛層を形成
することにより達成される
【0008】
【0009】
【作用】従来のバケットの耐摩耗性の向上には主に、金
属合金の被覆棒、ワイヤ、ロッドを用いた溶接による硬
化肉盛が実施されている。材料の耐摩耗性は硬度が高い
ほど優れていることは言うまでもない。しかし、上記溶
接法は金属合金の伸線を使用するのであり、いくら高硬
度で耐摩耗性が優れた合金でも、伸線加工が出来なけれ
ば使用されず、摩耗対策としては限られた組成範囲の合
金となる。また、この溶接法は母材との希釈が大きいた
め2〜3mmの1層薄肉盛量では用いた溶接合金の特性
は得られず、その合金の持つ特性を得るには肉盛量をよ
り多くしなければならない。そこで、発明者は母材との
希釈が少なく、かつ高硬度の合金肉盛層が得られる溶接
法に着目した。そこで、被覆溶接棒を用いたアーク溶接
法と粉体を用いたプラズマ溶接法について検討した。
【0010】図1は溶接後の母材と溶接金属との境界部
の断面金属組織を示す。
【0011】図1の(A)が被覆アーク溶接で、図1の
(B)が粉体プラズマ溶接である。
【0012】なお、双方の溶接金属はビッカース硬さが
約400を有する、重量%でC: 1.3%、Si:3.
1%を含有するCr−Mn−Ni−Co−Mo系から成
る組成に調整した被覆アーク溶接棒及び合金粉体を用
い、13Cr鋼板に1層約3mmの肉盛溶接したもので
ある。被覆アーク溶接と粉体プラズマ溶接を比較する
と、母材との希釈度合いが異なっている。すなわち、粉
体プラズマ溶接は肉盛層と母材との境界が明瞭に現れて
おり希釈が少ない。その結果、金属合金粉体単独並びに
それらと炭化物系セラミックス等との複合粉体を用い、
表面高硬度化処理が可能である粉体プラズマ肉盛溶接法
が適用出来るという知見を得た。
【0013】このプラズマ溶接法は、溶接材料に粉体を
用いる。従って、硬度が高く、かつ伸線の加工性が劣る
ことからワイヤに製作できない合金でも粉体にして使用
できる。また、母材との接合強度も溶接棒を用いたアー
ク溶接と比較しても遜色無いものである。以上のことか
ら、この表面処理によるショベル用バケットの耐摩耗性
は、従来より実施されているアーク溶接と比べて、より
薄肉の溶接肉盛量でもその向上が図れる。また、溶接に
供した粉体はむだ無く、ほぼ100%使用出来る。これ
によって、従来より、材料の摩耗損傷による寿命の延長
及び修理補修等の回数軽減並びに溶接施工のコスト低減
にも結び付くものである。
【0014】ここで、これら耐摩耗性合金粉体によるプ
ラズマ溶接肉盛層の組織について説明する。
【0015】図2はプラズマ溶接後の金属組織を示す。
【0016】(A)はオーステナイト系材料のCr−M
n−Co−Ni−Mo−残部Fe合金粉末による肉盛溶
接層の組織である。オーステナイト相中にフェライトが
析出した組織を示している。この組織は通常のオーステ
ナイト系溶接材料と類似している。
【0017】(B)は(A)のオーステナイト系合金粉
末に重量%でC:1.3%、Si:3.1%を加えた複合
粉末による肉盛溶接層の組織である。マトリックス中に
は(A)で見られたフェライト相とは異なる析出物が網
目状に現出した混合組織となっている。
【0018】そこで、(B)に示したマトリックスと析
出部の成分について検討した。
【0019】表1に、エネルギ分散型X線マイクロアナ
ライザによるマトリックスと析出部の成分分析結果を示
す。
【0020】
【表1】
【0021】なお、Cは析出物中に多く含有している傾
向が認められたものの、その量を求めることは出来なか
った。しかし、表1より、マトリックス中にはCr、F
e、Si、Mn、Co及びNiが、析出部中にはCr、
Fe、Mo、Mn及びCoが検出される。特に、析出物
中にはSiより炭化物形成傾向が大きい位置にあるC
r、Mo及びFeが多く含まれていることが知られる。
なお、Mnは双方に同量含まれた結果を示している。従
って、析出物はCrを主とする炭化物で有る。このよう
に、溶接のままでも炭化物を形成するのはC量を増加し
たことも考えられるが、Siの影響によるところが大き
い。すなわち、Siは鋳鉄に多く含ませることにより黒
鉛化を促進するといわれている。本方法は上記の黒鉛化
促進作用に着目し添加するもので、耐摩耗性合金粉体に
含有させることにより、マトリックス中にSiより炭化
物生成傾向が大きい元素の炭化物生成を促進させる目的
が達成されたといえる。このように溶接のままでもマト
リックス中にSiを富化し、さらに硬さの高い炭化物を
析出させた組織が耐摩耗性を付与するといえる。
【0022】次に、Fe基、Ni基およびCo基合金系
から成る組成へのC、Si、W、NbおよびTi等成分
の限定理由について述べる。
【0023】Cはオーステナイト生成元素であり、オー
ステナイトの安定化および材料の強度および硬さを向上
させるためには必要な元素であると共に、Cr、W、N
b、Ti、Mo等の元素と結合し炭化物を生成する。し
かし、2.0%以下では耐摩耗性を有するビッカース硬
さ600以上の材料は得がたく、6%以上では硬さが1
200以上となり溶接性や加工性に影響を及ぼす。ま
た、炭化物生成元素の含有量と関係するが、遊離Cを析
出しやすくするなど望ましくない現象が生ずる。2.5
〜5.0%の範囲が好適である。より好ましいのは3.0
〜4.8%である。
【0024】Siは通常は脱酸のために1%以下添加さ
れるフェライト生成元素である。本発明におけるSiは
肉盛層のマトリックス中に溶接のままでもCr等複合炭
化物の生成を促進するために積極的に加えるもので、3
%以下ではその効果が発揮できず、16%以上では合金
系のオーステナイト生成元素の含有量にも影響される
が、マトリックス中にフェライト層を生成し、脆化を促
進する。そのため、硬さを高くするC量によるが3〜1
5%の範囲が好適である。より好ましいのは3.5また
は7〜14%である。
【0025】W、NbおよびTiは溶接肉盛層の強度を
向上するが、炭化物生成傾向が大きいフェライト生成元
素である。本発明におけるW、Nb及びTiはマトリッ
クス中に炭化物を析出させる手段として添加するもので
ある。しかし、これらの総量が15%以上になると炭化
物形成に寄与しない残量が、マトリックス中に固溶して
フェライト化を促進するため、Siの影響もありオース
テナイト生成元素のNi、Mn及びN等の元素量を多く
添加し、そのバランス調整が必要となる。従って、これ
らの元素の1種及び2種以上を含む総量が15%以下と
した。より好ましいのは3〜8%である。
【0026】Fe基合金ではC2.5〜5%、Si3〜
15%、Ni2〜10%、Mn1〜10%、Cr15〜
30%を含有するオーステナイトを主にした合金、C
2.5〜5%、Si3〜15%、Mn2%以下を含有す
る低合金鋼、C2.5〜5%、Si3〜15%、Mn2
%以下、Cr5〜20%を含有するマルテンサイト系鋼
が好ましい。
【0027】Fe基、Ni基及びCo基合金系へ多量の
CとSi含有によるマトリックスのオーステナイト化並
びにCr炭化物を生成させるために必要な元素量とし
て、NiとMnの総量を3〜40%、Cr量は15〜3
0%が好ましい。
【0028】その他、上記の元素限定範囲にMoおよび
Alの耐食性を付与する元素は5%以下とした。
【0029】以上述べたように、硬度が高い粉体の溶接
材料を用いるプラズマ溶接法により、母材との希釈が少
なくかつ高硬度の合金肉盛層が得られ、バケットの摩耗
による損傷が抑制でき、溶接施工コストを低減出来る。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0031】実施例として溶接肉盛層と比較材について
行った耐摩耗性試験結果と、実機への施工例について述
べる。
【0032】実施例1 先ず、耐摩耗性試験を説明する。
【0033】表2に、耐摩耗性を評価するために供した
本発明による材料と比較材の化学組成を示す。本発明に
よる材料は表2のNo.1〜No.12の組成を有する合金粉
体をプラズマ溶接装置により肉盛した。
【0034】
【表2】
【0035】次に粉体プラズマ溶接装置及び溶接方法を
説明する。
【0036】図3は粉体プラズマ肉盛溶接装置の構成を
示す。
【0037】肉盛溶接はアーク電流を220〜250
A、アーク電圧を32〜35V、トーチウイビング幅4
0mmで回数15〜16cycle/min、Arガス供給量を
プラズマ用として3l/min、キャリア用として5l
/min、シール用として15l/minの溶接条件に
おいて3mml層を肉盛した。すなわち、作業開始時に
プラズマガス(Ar)7を導入してタングステン電極
(−)8と機器部材(+)1との間に流すことによりパ
イロットアークを発生させ、次にシールドガス(Ar)
9を流しタングステン電極8と機器部材1との間に電圧
を加えプラズマアークを発生させた。そして粉体(パウ
ダ)送給装置から合金粉体とキャリアガス(Ar)との
混合物10をプラズマアーク11中に供給し、そのプラ
ズマ熱で合金粉体を溶融して機器部材表面に耐摩耗性肉
盛金属2の溶接層を形成した。
【0038】一方、比較材のNo.13の低合金鋳鋼は5
kgを大気中溶解後、950℃で焼入れ、400℃で焼
きもどし処理を施し供した。No.14のSiCは焼結材
である。なお、供試材の溶接肉盛層の施工母材には寸法
15t×50mm×150mmの炭素鋼(SM41A)
板を供した。溶接後、6t×20mm×65mmの砂摩
耗試験片を採取し、溶接肉盛層面をエメリー紙#120
0で研磨して試験に供した。
【0039】次に耐摩耗性試験装置及び試験方法を説明
する。
【0040】図4は耐摩耗性試験装置の構成を示す。
【0041】摩耗試験はラバーホイル12に試験片13
を押しつけレバー14で荷重を付加後、砂をホッパ15
からノズル16を通して試験片13とラバーホイル12
との接触面に連続的に供給し、ラバーホイル12を回転
させた。実験における摩耗減量は所定の試験時間後試験
片を取外し重量を測定し、その試験前後の重量差を密度
で除した体積減量(cm3)とした。摩耗試験条件はホ
イル回転数300rpm(回転速度;3.6m/s)で
103回、押し付け荷重20.8kgで実施した。なお、
砂は珪砂(American Foundrymen's Society Standa
rdのAFS50/70Sand)の粒径が210〜300
μmのものを使用した。
【0042】表3に本試験に供した各種材料の硬さと砂
摩耗試験後の体積減量を示す。本方法による溶接肉盛層
は硬さが600以上を有し、その耐摩耗性は比較材No.
14のセラミックスであるSiCより劣るものの、比較
材よりは優れている。この比較材No.14の炭化物系セ
ラミックスSiCは硬度は高いものの靭性が低いため使
用に供すると欠けて消失する恐れがあり、またバケット
との接合が出来ず実用化が困難である。
【0043】
【表3】
【0044】実施例2 先ず、基本的な耐摩耗性肉盛金属の積層について説明す
る。
【0045】図5は耐摩耗性肉盛金属を機器部材の表面
上に直接全面的に積層した状態の斜視図を示す。
【0046】本図に示すように、機器部材1表面上の耐
摩耗性肉盛金属2は耐摩耗性が要求される領域に直接全
面的に積層している。
【0047】図6は耐摩耗性肉盛金属を機器部材の表面
上に直接間歇的に積層した状態の斜視図を示す。
【0048】本図に示すように、機器部材1表面上の耐
摩耗性肉盛金属2の1つのビード幅を20〜100mm
とし、ビード間に隙間3を設けた構造で粗い岩石を対象
とするバケットに用いる。
【0049】図7は耐摩耗性肉盛金属を機器部材の表面
上に中間層を介して積層した状態の縦断面図を示す。
【0050】本図に示すように、機器部材1表面上に中
間層4としてあらかじめ熱膨張係数が耐摩耗性肉盛金属
2より大きいオーステナイト系合金粉体(21Cr−1
3Ni−2Mo)等による盛金部を3mm以下設け、耐
摩耗性肉盛金属2と機器部材1との溶接施工性を改善し
ている。
【0051】本図(A)は全面的に積層した状態で
(B)は隙間3を設けて間歇的に積層した状態である。
なお、機器部材1のSM41は14.9/106/℃、
耐摩耗性肉盛金属2は17.0/106/℃、中間層4
の21Cr−13Ni−2Moは19.5/106/℃
の熱膨張係数(20〜800℃)を得た。
【0052】また、機器部材表面上に積層した耐摩耗性
肉盛金属2のビード方向幅で両端縁部に5mmR以上付
与することによって、より効果的に耐摩耗性を改善でき
る。
【0053】図8は耐摩耗性肉盛金属を直接若しくは中
間層を介して短冊状の鋼板に積層し、その短冊状の鋼板
を機器部材の表面に接合した状態の縦断面を示す。
【0054】本図(A)に示すように、予め耐摩耗性肉
盛金属2を全面的に積層した短冊状の鋼板5を、耐摩耗
性が要求される機器部材1表面にワイヤを用いたアーク
溶接による接合部6を設けた構造である。
【0055】本図(B)に示すように、予め耐摩耗性肉
盛金属2を隙間3を設け間歇的に積層した短冊状の鋼板
5を、耐摩耗性が要求される機器部材1表面にワイヤを
用いたアーク溶接による接合部6を設けた構造である。
【0056】本図(C)に示すように、予め耐摩耗性肉
盛金属2を中間層4を介して全面的に積層した短冊状の
鋼板5を、耐摩耗性が要求される機器部材1表面にワイ
ヤを用いたアーク溶接による接合部6を設けた構造であ
る。
【0057】本図(D)に示すように、予め耐摩耗性肉
盛金属2を中間層4を介し隙間3を設けて間歇的に積層
した短冊状の鋼板5を、耐摩耗性が要求される機器部材
1表面にワイヤを用いたアーク溶接による接合部6を設
けた構造である。
【0058】次にバケットへの施工について説明する。
【0059】各図に示されるバケット20に耐摩耗性肉
盛金属2を溶接した。
【0060】図9は本発明の実施例のバケット内面に耐
摩耗性肉盛金属を溶接した平面図を示す。本図は採取し
た岩石等が堆積するバケット内面に関し、そのカッティ
ング部21前方側部材表面にビード幅100mm、長さ
750mm以下を有し、かつそのビードとビードの間を
100mmの隙間3とした短冊状の耐摩耗性肉盛金属2
をプラズマ溶接によりカッティング側方向に形成させ
た。
【0061】図10は本発明の実施例のバケット外底面
に耐摩耗性肉盛金属を溶接した平面図を示す。本図は岩
石と摺動的に接触するバケット外底面で、カッティング
側方向にビード幅150mm、長さ900mm以下を有
し、かつそのビードとビードの間を40mmの隙間3を
有する短冊状の耐摩耗性肉盛金属2をプラズマ溶接によ
り設けた。
【0062】図11は本発明の実施例のバケット側面内
側に耐摩耗性肉盛金属を溶接した平面図を示す。
【0063】図12は本発明の実施例のバケット側面外
側に耐摩耗性肉盛金属を溶接した平面図を示す。
【0064】図11及び図12において、ビード幅10
0mm一定、長さ600mm以下とし、かつそのビード
とビードの間を20mm以上の隙間3とした短冊状の耐
摩耗性肉盛金属2をプラズマ溶接によりカッティング側
方向に形成させた。これらの耐摩耗性肉盛金属2は、表
1のNo.9の合金粉体を使用し、実施例1の溶接条件に
より肉盛厚さを2〜3mmとした。なお、溶接後、肉盛
層の硬さを測定したところ、ビッカース硬さで770を
得た。これらの肉盛施工部分は摩耗による損傷を受けや
すい部分である。
【0065】以上述べたように本実施例によれば、肉盛
金属をベース金属より盛上った状態で形成することによ
り凹状の非肉盛部に土砂が堆積し、その部分の摩耗を防
止することができ全面に形成するよりも、施工上からは
好ましい。また、粉体プラズマ溶接法を用いたショベル
の製造法は、岩石、土砂、鉱石等のかき込み採取並びに
それら物質の表面上を駆動する建設機械等を対象とし
て、高C高Si量を含むFe基、Cr基、Ni基、Co
基から成る粉末により、溶接のままでもビッカース硬さ
で600以上を有し、かつ、組織はオーステナイト相中
に炭化物を析出した相との混合凝固組織となる薄肉の肉
盛層を機器部材表面に形成させるため、摩耗による損傷
が抑制でき、従って機器の侵食を防止し、作業効率の低
下を軽減でき、かつその寿命の向上およびコスト低減に
大に効果をあげることができた。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、硬度が高い粉体の溶接
材料を用いるプラズマ溶接法により、母材との希釈が少
なくかつ高硬度の合金肉盛層が得られ、バケットの摩耗
による損傷が抑制でき、施工コストの低減に効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な溶接法とプラズマ溶接法による溶接後
の母材と溶接金属との境界部断面の金属組織を示す。
【図2】本発明のプラズマ溶接法による肉盛溶接層断面
の金属組織を示す。
【図3】一般的な粉体プラズマ肉盛溶接装置の構成を示
す。
【図4】一般的な耐摩耗性試験装置の構成を示す。
【図5】本発明の実施例の耐摩耗性肉盛金属を機器部材
の表面上に直接全面的に積層した状態の斜視図を示す。
【図6】本発明の実施例の耐摩耗性肉盛金属を機器部材
の表面上に直接間歇的に積層した状態の斜視図を示す。
【図7】本発明の実施例の耐摩耗性肉盛金属を機器部材
の表面上に中間層を介して積層した状態の縦断面図を示
す。
【図8】本発明の実施例の耐摩耗性肉盛金属を直接若し
くは中間層を介して短冊状の鋼板に積層し、その短冊状
の鋼板を機器部材の表面に接合した状態の縦断面を示
す。
【図9】本発明の実施例のバケット内底面に耐摩耗性肉
盛金属を溶接した平面図を示す。
【図10】本発明の実施例のバケット外底面に耐摩耗性
肉盛金属を溶接した平面図を示す。
【図11】本発明の実施例のバケット側面内側に耐摩耗
性肉盛金属を溶接した平面図を示す。
【図12】本発明の実施例のバケット側面外側に耐摩耗
性肉盛金属を溶接した平面図を示す。
【符号の説明】
1 機器部材 2 耐摩耗性肉盛金属 3 隙間 4 中間層 5 鋼板 6 接合部 7 プラズマガス 8 電極 9 シールドガス 10 混合物 11 プラズマアーク 12 ラバーホイル 13 試験片 14 レバー 15 ホッパ 16 ノズル 20 バケット 21 カッティング部 22 バケット底面 23 バケット側面
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/28 C22C 38/28 E02F 3/40 E02F 3/40 Z (72)発明者 福井 寛 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 大野 俊弘 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機 株式会社 土浦工場内 (56)参考文献 特開 昭63−42352(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バケットのかき込み採取により摩耗が生
    じる部位に、重量%でC:2.5〜5.0%、Si:3〜
    15%及びCr:15〜30%を含有するFe基合金、
    Ni基合金、Co基合金の何れかから成り、少なくとも
    炭化物形成元素であるW、Nb、Tiの15%以下を1
    種または2種以上を含有し、主成分がCrである複合炭
    化物が晶出した耐摩耗性合金粉体を用い、プラズマアー
    ク溶接法により、耐摩耗性部材の肉盛層を形成すること
    を特徴とするショベルの製造法。
  2. 【請求項2】 前記耐摩耗性部材を前記バケットの摩耗
    が生じる部位全面に、直接積層することを特徴とする請
    求項1に記載のショベルの製造法。
  3. 【請求項3】 前記耐摩耗性部材を前記バケットの摩耗
    が生じる部位に、1つのビード幅が20〜100mmで
    ある複数のビードとして形成し、それぞれのビード間に
    隙間を設けることを特徴とする請求項1に記載のショベ
    ルの製造法。
  4. 【請求項4】 前記耐摩耗性部材のビード方向をバケッ
    トの駆動方向に対し平行及び直角方向に配列することを
    特徴とする請求項1、請求項、請求項のうち何れか
    の請求項に記載のショベルの製造法。
  5. 【請求項5】 前記耐摩耗性部材を溶接するバケットの
    表面上へ予め熱膨張係数が前記耐摩耗性部材より大きい
    オーステナイト系合金粉体による盛金部を0.3〜3m
    m設けることを特徴とする請求項1、請求項、請求項
    のうち何れかの請求項に記載のショベルの製造法。
  6. 【請求項6】 前記耐摩耗性部材のビード方向と直交す
    る両端縁部を5mmRに形成することを特徴とする請求
    項1、請求項、請求項のうち何れかの請求項に記載
    のショベルの製造法。
  7. 【請求項7】 予め前記耐摩耗性部材を積層した短冊状
    の鋼板を、前記バケットの摩耗が生じる部位に接合配列
    し、ワイヤを用いてアーク溶接することを特徴とする請
    求項1から請求項のうち何れかの請求項に記載のショ
    ベルの製造法。
JP4254139A 1992-08-28 1992-08-28 ショベルの製造法 Expired - Lifetime JP2668055B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4254139A JP2668055B2 (ja) 1992-08-28 1992-08-28 ショベルの製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4254139A JP2668055B2 (ja) 1992-08-28 1992-08-28 ショベルの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0671451A JPH0671451A (ja) 1994-03-15
JP2668055B2 true JP2668055B2 (ja) 1997-10-27

Family

ID=17260765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4254139A Expired - Lifetime JP2668055B2 (ja) 1992-08-28 1992-08-28 ショベルの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2668055B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3382730B2 (ja) * 1994-08-02 2003-03-04 株式会社小松製作所 耐摩耗肉盛層形成方法およびその方法を用いる耐摩耗複合材
US8167270B2 (en) * 2007-03-12 2012-05-01 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Valve gear with a bearing having a sliding surface against a valve shaft
JP5336865B2 (ja) * 2009-01-19 2013-11-06 株式会社小松製作所 掘削バケットおよびその製造方法
CL2014003295A1 (es) * 2014-12-02 2015-03-27 Minetec Sa Labio laminado para baldes de maquinas de palas de cables y para baldes de maquinas excavadoras de alta dureza y soldabilidad, porque es plegado, es fabricado con planchas de acero laminado, donde las narices y perforaciones que lo conforman son talladas; método para fabricar un labio laminado para baldes para maquinaria.

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR8503727A (pt) * 1985-08-07 1987-03-17 Cbmm Sa Processo de adicao de ferro-ligas carburizadas e de ligas-maes carburizadas em metalurgia

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0671451A (ja) 1994-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Grainger et al. Engineering coatings: design and application
US20080164070A1 (en) Reinforcing overlay for matrix bit bodies
Chotěborský et al. Abrasive wear of high chromium Fe-Cr-C hardfacing alloys
US8268453B2 (en) Steel based composite material
CN101403085A (zh) 一种WC-FeNiCr超硬无磁涂层复合材料及其制备方法
Lakshminarayanan et al. Feasibility of surface-coated friction stir welding tools to join AISI 304 grade austenitic stainless steel
CN104831270A (zh) 一种铁基镍包碳化钨激光熔覆材料的制备方法
Fisher et al. The use of protective weld overlays in oil sands mining
JP2668055B2 (ja) ショベルの製造法
CN103464929B (zh) 辊压机挤压辊辊面制造与修复专用自保护药芯堆焊焊丝
Su et al. The influence of niobium, chromium, molybdenum and carbon on the sliding wear behavior of nickel-base hardfacing alloys
Kalyankar et al. Comparative Investigations on Microstructure and Slurry Abrasive Wear Resistance of NiCrBSi and NiCrBSi-WC Composite Hardfacings Deposited on 304 Stainless Steel
Okechukwu et al. Development of hardfaced crusher jaws using ferro-alloy hardfacing inserts and low carbon steel substrate
Zhang et al. Preparation and properties of the Ni-Al/Fe-Al intermetallics composite coating produced by plasma cladding
Geantă et al. Efficient process to develop self-sharpening active elements
Shibe et al. An overview of research work in hardfacing
Lailatul et al. Tribological properties of surface coated duplex stainless steel containing SiC ceramic particles
Henderson et al. Alloy classification of hardfacing materials
JPH07243539A (ja) ニードルバルブ
Atamert Stability, wear resistance, and microstructure of iron, cobalt and nickel-based hardfacing alloys
Badisch et al. Hardfacing for Wear, Erosion and Abrasion
Anderson et al. The use of tungsten carbide materials for oilsand wear applications
Goswami et al. Traditions in hardfacing technology and wear resistance-2
JPH1034381A (ja) ショベル用バケット及び高硬度複合部材と溶接肉盛用合金粉末
Ranjan et al. Recent Advancements in Surface Modification by Gas Tungsten Arc Cladding Technique: A Review