JPH1034381A - ショベル用バケット及び高硬度複合部材と溶接肉盛用合金粉末 - Google Patents

ショベル用バケット及び高硬度複合部材と溶接肉盛用合金粉末

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JPH1034381A
JPH1034381A JP21498696A JP21498696A JPH1034381A JP H1034381 A JPH1034381 A JP H1034381A JP 21498696 A JP21498696 A JP 21498696A JP 21498696 A JP21498696 A JP 21498696A JP H1034381 A JPH1034381 A JP H1034381A
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welding
carbide
hardness
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JP21498696A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Takayasu
博 高安
Kenichi Usami
賢一 宇佐美
Yoshiyuki Kojima
慶享 児島
Toshihiro Ono
俊弘 大野
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は建設機械,産業機械,鉱山機
械,土木用機械の、特に岩石,土砂,鉱山等のかき込み
に対し耐摩耗性の高いショベル用バケットを提供するに
ある。 【解決手段】ショベル用バケットの岩石等に直接接する
表面にC3.5〜7.5%,Si1.5%以下,Mn3.0%
以下,Ni1.5%以下,Cr40〜60%,Mo1.0
〜5.0% ,Nb4.5〜10.5%,V2.5% 以下及
びFe15%以上を有する高C高Cr基合金粉体を用
い、被覆アーク溶接棒等による溶接より希釈が少ない粉
体プラズマ溶接法により、溶接肉盛層が形成されている
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建設,産業,鉱山等
土木用機械に係わり、特に岩石,土砂,鉱石等のかき込
み採取をするバケット材の摩耗損傷を防止するのに好適
な高C高Cr系合金の溶接肉盛層を形成させたショベル
材バケット及び高硬度複合部材と溶接肉盛用合金粉末に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題から、岩石,鉱石及び砂
採取の工事は従来の爆破法に代わり、機械化による掘削
工法が使用されるようになってきた。そのため建設機
械,鉱山機械,土木機械等は稼働条件が複雑であるとと
もに機種も多種多様である。従って、機器構成材料に要
求される特性も複雑多岐であり、その用途に応じて疲
労,変形,脆性,耐摩耗性に対する信頼性の確保が重要
となっている。特に大型油圧ショベル用バケット等の機
器部材は岩盤,鉱石表面上を稼働したり、破砕された岩
石,鉱石,土砂等をかき込み採取する等過酷な条件で使
用される。従って、バケット部材等の外表面及び内表面
は短時間で摩耗損傷が生ずる。従って、その修理の頻度
や費用は生産コストに大きく反映されるため、その耐摩
耗性向上化技術が重要課題の一つである。そのため、バ
ケット等の耐摩耗対策としては主に、溶接棒を用いたア
ーク溶接による直接表面への硬化肉盛、あらかじめ母材
表面へ耐摩耗性金属を盛金した耐摩耗性複合鋼板及び高
硬度鋼材の溶接取り付け等が主体となっている。これら
については、すでに特公昭59−31430 号『耐摩耗性複合
鋼板の製造法』特公昭61−41695 号『装置,機械等の耐
摩耗性が要求される部分の補修方法』が知られている。
【0003】しかし、被覆アーク溶接,ワイヤのMIG
溶接,ロッドのTIG溶接等は母材との稀釈率が30〜
40%と大きいため、使用した耐摩耗性材料の特性を十
分発揮させるには少なくとも2〜3層(5〜8mm)は必
要となるとともに、その溶接速度や溶着速度も制約され
る。また、非常に高硬度を有し耐摩耗性が優れた材料で
も、溶接棒にならず使用できない場合もある。従って、
これら施工法での摩耗対策はコストアップ,バケット等
の重量増加等作業性能への影響及び局面への施工性の困
難等十分な技術とは言えない。
【0004】以上の問題を解決するためには、希釈率
(10%以下)が小さく、かつ高硬度材料の肉盛層が形
成でき、溶接速度も早い粉体を利用するプラズマ溶接法
に着目した。そこで、これらの溶接法を用いた高C高S
i系粉体によるショベルの製造法(特開平6−71451号)
が知られている。しかし、これらの材料より、さらに耐
摩耗性が良好な摩耗防止法が要求された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のショベル用機器
部位の耐摩耗性の向上には主に金属合金の被覆棒,ワイ
ヤ,ロッドを用いた溶接による硬化肉盛が実施されてい
る。材料の耐摩耗性は硬度が高いほど優れていることは
言うまでもない。しかし上記溶接法は金属合金の伸線を
使用するものであり、いくら高硬度でかつ、耐摩耗性が
優れた合金でも、伸線加工ができなければ使用できず、
摩耗対策としては限られた組成範囲の合金となる。ま
た、この溶接法は母材との希釈が大きいため2〜3mmの
1層肉盛では用いた溶接合金の持つ特性を得るには肉盛
量をより多くしなければならない。そこで、母材との希
釈が少なく、かつ高硬度の合金肉盛層が得られる粉体プ
ラズマ溶接法を採用することにした。
【0006】このプラズマ溶接法は粉体を用いるため硬
度が高く、かつ伸線等の加工が劣る合金でも粉体にして
使用できる。また、母材との接合強度も溶接棒を用いた
アーク溶接と比較しても遜色ないものである。
【0007】本発明の目的は基材表面上に肉盛溶接被覆
層の耐摩耗性被覆層を有するショベル用バケット及び高
硬度複合部材と溶接肉盛用合金粉体を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、高C高Cr系
合金を機器部材表面に肉盛溶接によって被覆層を形成
し、特に、岩石,鉱石及び土砂の採取をするショベル用
バケットにある。
【0009】また、本発明のショベル用バケットは、高
C高Cr系合金からなる粉体をプラズマアーク溶接によ
る肉盛層を形成することによりCrを主とする複合炭化
物が微細に分散し、その炭化物の一辺が10〜50μm
で、かつビッカース硬さで1000以上の矩形を有し、
基地との平均ビッカース硬さが560以上、好ましくは
700以上で、一層の肉盛厚さを5mm以下で、機器部材
表面上に積層するものである。
【0010】また、前記高C高Cr系合金粉体は、少な
くとも重量%でC3.5〜7.5%、好ましくは4.0〜
7.0%,Si1.5% 以下、好ましくは0.5〜1.0
%,Mn3.0%以下、好ましくは1.0〜2.0%,N
i1.5%以下、好ましくは0.3〜1.0%,Cr40
〜60%,Mo1.0〜5.0%,Nb4.5〜10.5%
好ましくは5〜10%,V2.5%以下、好ましくは2.
0%以下,Fe15%以上、好ましくは16〜40%を
有する組成を有するものである。この合金粉体は合金の
溶湯をガス又は水でアトマイズさせることによって得ら
れ、微細な炭化物が形成される。
【0011】本発明は、金属基体表面に、炭化物を微細
に分散させた溶接肉盛層を有し、前記溶接肉盛層の炭化
物は一辺が10〜50μmである矩形状と粒径5μm以
下の粒状とを有し、前記矩形状炭化物のビッカース硬さ
が1000以上を有するCrを主とする複合炭化物から
なり、かつ溶接肉盛層のビッカース硬さが560以上で
あることを特徴とする高硬度複合材にある。
【0012】本発明は、金属基体表面に、炭化物を微細
に分散させた溶接肉盛層を有し、前記溶接肉盛層は、重
量でC3.5〜7.5%,Si1.5%以下 ,Mn3%以
下,Ni1.5%以下,Cr40〜60%,Mo1.0〜
5.0%,Nb4.5〜10.5%,V2.5% 以下、及びF
e15%以上を有し、好ましくは厚さが5mm以下である
ことを特徴とする高硬度複合部材にある。
【0013】前記溶接肉盛層は、重量でC4.0〜7.0
%,Si0.5〜1.0%,Mn1.0〜2.0% ,Ni0.
3〜1.0%,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0
%,Nb5.0〜10.0%,V1.0〜2.0%及びFe
16〜40%を有することが好ましい。
【0014】本発明は、重量でC3.5〜7.5%,Si
1.5% 以下,Mn3%以下,Ni1.5%以下,Cr
40〜60%,Mo1.0〜5.0%,Nb4.5〜10.
5%,V2.5% 以下、及びFe15%以上を有するこ
とを特徴とする溶接肉盛用合金粉末にある。
【0015】前述の合金粉末は重量で、C4.0〜7.0
%,Si0.5〜1.0%,Mn1.0〜2.0% ,Ni0.
3〜1.0%,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0
%,Nb5.0〜10.5%,V1.0〜2.0%及びFe
16〜40%を有することが好ましい。
【0016】本発明によれば、ショベル用バケット材の
摩耗防止法は岩石,土砂,鉱石等のかき込み採取をする
機器部材表面に微細に分散析出させた炭化物の粒径が1
0〜50μmでかつ、ビッカース硬さで1000以上を
有するCrを主とする複合炭化物を含み基地との平均ビ
ッカース硬さが560以上、より好ましくは700以上
となる。重量で、C4.0〜7.0%,Si1.0%以
下,Mn2.0%以下,Ni1.0%以下,Cr40〜6
0%,Mo1.0〜5.0%,Nb5.0〜10.0%,V2.
0 %以下,Fe15%以上を有する合金からなる肉盛
被覆層からなる。この被覆層はショベル用バケット部材
の岩石,土砂,鉱石等による摩耗損傷を抑える機能を有
し、信頼性の高いシステムを構成することができる。
【0017】ここで、これら耐摩耗性合金粉体の成形限
定理由について述べる。
【0018】Cはオーステナイト生成元素であり、オー
ステナイトの安定化及び材料の強度及び硬さを向上させ
るためには必要な元素であるとともにCr,Nb,Mo
等の元素と結合し炭化物を生成する。しかし、3.5%
以下では耐摩耗性を有するマトリックスの平均ビッカー
ス硬さ700以上は得難く、7.5% 以上では硬さが1
200以上となり溶接性に影響を及ぼす。また、炭化物
生成元素の含有量と関係するが、遊離Cを析出しやすく
する等望ましくない現象が生ずる。望ましくは4.0〜
7.0%の範囲が好適である。
【0019】Siは通常は脱酸のために1.5% 以下添
加されるフェライト生成元素である。よって、望ましく
は1%以下より0.5〜1.0%が好適である。
【0020】Mnは脱酸作用を有し、焼入れ性を向上さ
せる元素であるが、Sと結合し割れの起点や靭性を劣化
する。また、析出させる炭化物を粗大化させる作用を示
すため、3%以下より1.0〜2.0%が好適である。
【0021】Niは鋼の焼入れ性や靭性を向上させる元
素である。本発明によるNiの添加は耐摩耗性向上に有
効な炭化物を析出させることによって生ずるマトリック
ス相の靭性低下を抑制するためである。しかし、その添
加量が1.5% 以上では靭性向上には有効であるがマト
リックスの硬度が低くなり耐摩耗性を悪くする。そのた
め、上限を1.5% とし、より0.3〜1.0%が好まし
い。
【0022】Crは鋼の焼入れ性及び耐食性を向上させ
るために必要な元素である。本発明での添加は、マトリ
ックス中に炭化物生成傾向が大きいフェライト生成元素
のMo,Nbとの複合作用による炭化物を析出させ、耐
摩耗性を向上させるためで、35%以下ではその効果は
見られず、65%以上ではより硬さが向上し溶接肉盛層
の割れ等に影響を及ぼす。従って、40〜60%が好ま
しい。
【0023】MoはCrと同様、鋼の焼入れ性及び耐食
性を向上させる元素であるが、本発明による添加はC
r,Nbとの複合添加によりマトリックス中の耐食性を
向上させるためである。しかし、1.0% 以下ではその
効果は発揮されず、5.0% 以上添加してもその効果の
増大は期待できなくなる。従って、1.0〜5.0%が好
ましい。
【0024】Nbは鋼の強度向上,焼きもどし軟化抵抗
の付与に有効である。本発明ではマトリックスに固溶さ
せ肉盛層の結晶粒粗大化防止,細粒化及び硬さの向上に
寄与する。その添加量は4.5% 以下では効果が見られ
ず、10.5% 以上ではオーステナイト結晶粒界にNb
を主とする炭化物を生じ溶接肉盛層の割れ等に影響を及
ぼす。従って、5.0〜10.0%に限定した。
【0025】Vは結晶粒の微細化や強度、焼もどし軟化
抵抗の付与に寄与させることに着目したものである。し
かし、V量は2.5% 以上添加しても飽和するとともに
溶接性に影響を及ぼし好ましくない。従って、2.0%
以下が好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施例1)表1に耐摩耗性を評価するために供した本
発明による材料と比較材の化学組成を示す。本発明によ
る材料はNo.1〜No.8の組成を有するアトマイズ合金
粉体で、これらを粉体プラズマ肉盛溶接装置により肉盛
した。
【0027】
【表1】 図5に市販の粉体プラズマ溶接装置の概略を示す。肉盛
溶接はアーク電流を220〜250A、アーク電圧を3
2〜35V、トーチウイビング幅40mmで回数15〜1
6sycle/min、Arガス供給料をプラズマガス用として
3l/min 、キャリア用として5l/min 、シール用と
して15l/min の溶接条件において3mm1層を肉盛し
た。すなわち、作業開始時にプラズマガス(Ar)5を
導入してW電極(−)6と機器部材(+)1との間に流
すことによりパイロットアーク9を発生させ、次にシー
ルドガス(Ar)7を流し電極6と機器部材1との間に
電圧を加えプラズマアーク9を発生させた。そして粉体
(パウダー)送給装置から合金粉体8とキャリアガス
(Ar)としてのプラズマガス5との混合物をプラズマ
アーク中9に供給し、そのプラズマ熱で合金粉体8を溶
融して母材表面に耐摩耗性金属2の溶接層を形成した。
【0028】なお、供試材の溶接肉盛層の施工母材には
寸法15t×50mm×150mmの炭素鋼(SM400
A)板を供した。溶接後、6t×20mm×65mmの砂摩
耗試験片を採取し、溶接肉盛面をエメリー紙#1200
で仕上げて試験に供した。
【0029】図6に砂摩耗試験装置の概要を示す。摩耗
試験はラバーホイル10に試験片11を押し付けレバー
12で荷重を付加後、砂をホッパ13からノズル14を
通して試験片11とラバーホイル10との接触面に連続
的に供給し、ラバーホイル10を回転させた。実験にお
ける摩耗減量は所定の時間試験後試験片を取り出し重量
を測定し、その試験前後の重量差を密度で除した体積減
量(cm3 )とした。摩耗試験条件はホイル回点数300
rpm(回転速度:3.6m/s)で103 回、押し付け荷
重20.8kgで実施した。なお、砂はAmerican Foundrym
en's SocietyStandardのAFS 50/70 Sand(粒
径:210〜300μm)を使用した。
【0030】表2に本試験に供した各種材料の硬さと砂
摩耗試験後の体積減量を示す。本発明の溶接肉盛層は平
均ビッカース硬さが700以上を有し、その耐摩耗性は
SiC焼結体のセラミックスより劣るものの、比較材より
優れている。
【0031】
【表2】 図1に溶接のままの顕微鏡組織写真を示す。この組織は
重量でC5.93%,Si0.79%,Mn1.26%,
Ni0.39%,Cr50.2%,Mo3.62%,Nb
7.89%,V1.55%,残部Fe及び不可避的不純物
を含む合金粉体による肉盛溶接層の金属組織である。マ
トリックス中に粒状の析出物が分散した混合組織となっ
ている。この炭化物の硬さはビッカース硬さでHv11
66が測定された。そこで、この析出物について検討す
ることにした。
【0032】図2(A)にEDXによるマトリックスの
分析結果を示す。その結果、マトリックスにはC,C
r,V,Nb,Mo及びFeのピークが検出された。図
2(B)にEDXによる析出物の分析結果を示す。その結
果、析出物にはC,V,Cr及びFe特にマトリックス
に比べCとCrのピークが高くなっている。従って、析
出物はCrを主とする炭化物であることが分かる。この
ようにマトリックス中にCrを主とする炭化物を分散析
出させた組織が耐摩耗性を付与するといえる。
【0033】また、図3に示すように機器部材1表面上
の肉盛による耐摩耗性金属2は耐摩耗性が要求される領
域に直接連続的に積層することが好ましい。
【0034】また、図4に示すようにあらかじめ耐摩耗
性金属2を積層した鋼板3を、耐摩耗性が要求される機
器部材1表面にワイヤ等を用いたアーク溶接による接合
部4を設け、配列して取り付ける製造法でも、その要求
は満たされる。
【0035】図1に示すように、本発明の炭化物は一辺
が10〜50μmの矩形状のものと粒径5μm以下の粒
子が形成され、180μm×140μmの領域内に矩形
状のものが約40ケあり、ほぼ均一に分散している。こ
の矩形状の炭化物間に粒径5μm以下のものが形成され
ている。
【0036】図7は摩耗減量とビッカース硬さとの関係
を示す線図である。図に示す如くビッカース硬さが56
0以上より好ましくは650以上で摩耗量が急激に少な
くなり、優れた耐摩耗性が得られる。図中、△印は特開
平6−71451号公報に記載のものであり、本発明材はこれ
に比較して同じ硬さでも高い耐摩耗性が得られる。
【0037】図8はビッカース硬さとC量又はNb量と
の関係を示す線図である。
【0038】図に示す如く、C量及びNb量の増加によ
って硬さは顕著に高くなり、C5.51〜6.96%の高C
の方がNb5%以上でHv830以上のC4.47〜5.
33%のものより同じNb量を有するものとくらべて高
い硬さが得られる。後者のC量でのNb5%以上のもの
の硬さはHv760以上の高いものが得られる。また、
図に示す如くC量の増加によって顕著に硬さが高めら
れ、3%以上のC量でHv670以上の高い硬さが得ら
れる。
【0039】(実施例2)図9〜図12に示すバケット
15を製作した。
【0040】図9は採取した岩石等が堆積するバケット
内面に関し、そのカッティング部17前方側部材表面に
ビード幅100mm,長さ750mm以下を有し、かつその
ビードとビードの間を100mmの隙間16とし短冊状の
耐摩耗性金属2の溶接肉盛層をプラズマ溶接によりカッ
ティング側方向に形成させた。図10は岩石等としゅう
動的に接触するバケット底面18で、カッティング側方
向にビード幅150mm、長さ900mm以下を有し、かつ
そのビードとビードの間を40mmの隙間3を有する短冊
状の耐摩耗性金属2の溶接肉盛層をプラズマ溶接法によ
り設けた。図11及び図12はバケット側面部材のバケ
ット底面19、及びバケット側面外面20への施工に関
するもので、ビード幅100mm一定、長さ600mm以下
とし、かつそのビードとビードの間を20mm以上の隙間
3とした短冊状の耐摩耗性金属2の溶接肉盛層をプラズ
マ溶接によりカッティング側方向に形成させた。これら
の耐摩耗性金属の溶接肉盛は表1のNo.8の合金粉体を
使用し、実施例1の溶接条件により肉盛厚さを2〜3mm
とした溶接肉盛層を製作した。なお、溶接後、肉盛層の
硬さを測定したところビッカース硬さで879を得た。
これらの部材を有する実機を採石場で稼働したところ、
現用材に比べ、寿命の延長化が図れた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、ショベル用バケット
は、岩石,土砂,鉱石等のかき込みをする機器部材表面
に、高C高Cr合金粉体により、粒径が10〜50μm
で、かつビッカース硬さで1000以上を有するCrを
主とする微細複合炭化物を含み、かつ基地との平均ビッ
カース硬さが560以上の薄肉の肉盛層を形成させるこ
とにより、摩耗による損傷が抑制でき、したがって機器
の侵食を防止し、作業効率の低下を軽減でき、かつその
寿命の向上及びコスト低減に大に効果を上げることがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材の溶接肉盛層断面の金属組織を示す顕
微鏡写真。
【図2】本発明材の溶接肉盛層の一例を示す析出物及び
マトリックス部の成分を測定した分析線図。
【図3】機器部材表面への積層図。
【図4】耐摩耗性金属を溶接肉盛層を形成した鋼板を機
器部材表面へ取り付け施工する例を示す図。
【図5】粉体プラズマ装置の概略図。
【図6】砂摩耗試験装置の概要図。
【図7】摩耗減量とビッカース硬さとの関係を示す線
図。
【図8】ビッカース硬さとC量及びNb量との関係を示
す線図。
【図9】バケット内面カッティング部前方側への耐摩耗
性金属の溶接施工例を示す概要図。
【図10】バケット底面への耐摩耗性金属の溶接施工例
を示す概要図。
【図11】バケット側面内面部への耐摩耗性金属の溶接
施工例を示す概要図。
【図12】バケット側面外面部への耐摩耗性金属の溶接
施工例を示す概要図。
【符号の説明】
1…機器部材、2…耐摩耗性金属、3…鋼板、4…接合
部、5…プラズマガス、6…W電極、7…シールドガ
ス、8…合金粉体、9…プラズマアーク、10…ラバー
ホイル、11…試験片、12…レバー、13…ホッパ、
14…ノズル、15…バケット、16…隙間、17…カ
ッティング部、18…バケット底面、19…バケット側
面外面、20…バケット側面内面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 児島 慶享 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 大野 俊弘 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】岩石,土砂,鉱石等のかき込み採取するシ
    ョベル用バケットにおいて、該バケットは炭素鋼表面
    に、炭化物を微細に分散させた溶接肉盛層を有し、前記
    溶接肉盛層の炭化物は一辺が10〜50μmである矩形
    状と粒径5μm以下の粒状とを有し、前記矩形状炭化物
    のビッカース硬さが1000以上を有するCrを主とす
    る複合炭化物からなり、かつ溶接肉盛層のビッカース硬
    さが560以上であることを特徴とするショベル用バケ
    ット。
  2. 【請求項2】前記溶接肉盛層は、重量でC3.5〜7.5
    %,Si1.5% 以下,Mn3%以下,Ni1.5%以
    下,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0%,Nb4.
    5〜10.5%,V2.5%以下、及びFe15%以上を
    有し、厚さ5mm以下である請求項1記載のショベル用バ
    ケット。
  3. 【請求項3】前記溶接肉盛層は、重量でC4.0〜7.0
    %,Si0.5〜1.0%,Mn1.0〜2.0% ,Ni0.
    3〜1.0%,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0
    %,Nb5.0〜10.0%,V1.0〜2.0%及びFe
    16〜40%を有する請求項1記載のショベル用バケッ
    ト。
  4. 【請求項4】金属基体表面に、炭化物を微細に分散させ
    た溶接肉盛層を有し、前記溶接肉盛層の炭化物は一辺が
    10〜50μmである矩形状と粒径5μm以下の粒状と
    を有し、前記矩形状炭化物のビッカース硬さが1000
    以上を有するCrを主とする複合炭化物からなり、かつ
    溶接肉盛層のビッカース硬さが560以上であることを
    特徴とする高硬度複合材。
  5. 【請求項5】金属基体表面に、炭化物を微細に分散させ
    た溶接肉盛層を有し、前記溶接肉盛層は、重量でC3.
    5〜7.5%,Si5%以下,Mn3%以下,Ni1.5
    % 以下,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0%,N
    b4.5〜10.5%,V2.5%以下、及びFe15%
    以上を有することを特徴とする高硬度複合部材。
  6. 【請求項6】前記溶接肉盛層は、重量でC4.0〜7.0
    %,Si0.5〜1.0%,Mn1.0〜2.0% ,Ni0.
    3〜1.0%,Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0
    %,Nb5.0〜10.0%,V1.0〜2.0%及びFe
    16〜40%を有する請求項4又は5記載の高硬度複合
    部材。
  7. 【請求項7】重量でC3.5〜7.5%,Si1.5%以
    下,Mn3%以下,Ni1.5%以下,Cr40〜60
    %,Mo1.0〜5.0%,Nb4.5〜10.5%,V
    2.5%以下、及びFe15%以上を有することを特徴
    とする溶接肉盛用合金粉末。
  8. 【請求項8】重量で、C4.0〜7.0%,Si0.5〜
    1.0%,Mn1.0〜2.0%,Ni0.3〜1.0%,
    Cr40〜60%,Mo1.0〜5.0%,Nb5.0〜
    10.0%,V1.0〜2.0%及びFe16〜40%を
    有することを特徴とする溶接肉盛用合金粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100559237B1 (ko) * 1998-11-25 2006-05-30 볼보 컨스트럭션 이키프먼트 홀딩 스웨덴 에이비 복합 소재로 구성된 작업 장치를 갖는 굴삭기

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