JP2665420B2 - 液晶性化合物、組成物および表示装置 - Google Patents

液晶性化合物、組成物および表示装置

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JP2665420B2 JP32067891A JP32067891A JP2665420B2 JP 2665420 B2 JP2665420 B2 JP 2665420B2 JP 32067891 A JP32067891 A JP 32067891A JP 32067891 A JP32067891 A JP 32067891A JP 2665420 B2 JP2665420 B2 JP 2665420B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶性化合物、これを
含む液晶組成物および液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示素子は時計、電卓はもと
より、ワープロ、パソコンなどのOA機器、ポケットテ
レビ、など幅広い分野において用いられるが、一般に広
く用いられている液晶表示素子はネマティック相を利用
したものである。ネマティック液晶を用いた液晶表示装
置としては、ツィストネマティック型(Twisted Nemati
c TN型)液晶表示装置、スーパーツイステッド型(Supe
rtwistedBirefrengence Effect 、SBE 型)液晶表示装
置などがある。
【0003】しかしながらツイステッドネマティック型
液晶表示素子では、走査線数の増加とともに駆動マージ
ンが狭くなり、十分なコントラストが得られなくなると
いう欠点が存在するため、大容量の表示素子を作ること
は困難である。このTN型液晶表示素子を改良するた
め、スーパーツイステッドネマティック(STN)型液
晶表示素子、ダブルレイヤースーパーツイステッドネマ
ティック(DSTN)型液晶表示素子が開発されている
が、ライン数の増加と共にコントラスト、応答速度が低
下するので、現状では800 ×1024ライン程度の表示容量
が限界である。
【0004】一方、基板上に薄膜トランジスタ(TF
T)を配列したアクティブマトリックス方式の液晶表示
素子も開発され、1000×1000ライン等の大容量表示が可
能になったが、製造プロセスが長く、歩留りの低下も生
じやすく、製造コストが非常に高くなるという欠点を有
している。またこの方式は、半導体の移動度による制約
などから、2000×2000ラインなどの大容量表示素子を作
製することは困難と考えられている。
【0005】しかしながら、世の中における表示装置に
対する要求はますます高解像度の方向に向かっており、
とくに、DTP(esk op ublishi
ng)、EWS(ngineering ork
tation)などの分野ではWYIWYG(ha
ou ee hat ou
t)という概念がさかんに強調されている。これは、プ
リントアウトされるものと同一のものを表示装置に表示
させようという概念である。現在のレーザープリンタの
解像度は400 DPI(400 dot/inch)程度であ
るので、WYSIWYGの概念を実現するためには少な
くともA4サイズ以上で、2000×2000以上の解像度を有
する表示装置が求められている。
【0006】2000×2000ライン以上という大容量表示の
可能な液晶素子として有望視されているのが強誘電性液
晶表示素子(N.A.Clark S.T.Lager
wall,Appl.Phys.Lett.,36,899
(1980);特開昭56−107216;米国特許第4367924 号)
である。この液晶表示素子は、液晶分子の誘電異方性を
利用する電界効果型の前記ネマティック液晶表示装置と
は異なり、強誘電性液晶の自発分極の極性と電界の極性
とが整合するように分子がスイッチングする液晶表示素
子である。
【0007】強誘電性液晶素子はキラルスメクチックC
相、キラルスメクチックF相、キラルスメクチックI相
などの強誘電性液晶を利用するものである。これらの強
誘電性液晶はらせん構造を有しているが、これら強誘電
性液晶をそのらせんピッチよりセル厚の薄い液晶セルに
挟持すると、らせん構造がほどけることが開示されてい
る。実際には、図1に示すように、液晶分子がスメクチ
ック層法線にたいして傾き角θだけ傾いて安定する領域
と、逆方向にθだけ傾いて安定する領域とが混在する状
態が実現できることがその後の研究で明らかとなってい
る。これに、図1において紙面に垂直な方向に電界を印
加することにより、液晶分子とその自発分極の向きを一
様に揃えることができ、印加する電界の極性を切り替え
ることによって2状態間のスイッチングを行うことがで
きる。このスイッチングに伴い、セル内の強誘電性液晶
では、複屈折光が変化するので2つの偏光子間に上記強
誘電性液晶素子を挟むことによって、透過光を制御する
ことができる。さらに、電圧の印加を停止しても液晶分
子の配向は、界面の配向規制力によって電圧印加停止前
の状態に維持されるので、メモリ効果も得ることができ
る。また、スイッチング駆動に必要な時間は、液晶の自
発分極と電界が直接作用するためにμsecのオーダー
の高速応答を得ることができる。
【0008】以上のようにこの強誘電性液晶素子の特徴
としては双安定性、メモリー性、高速応答性などを挙げ
ることができる。そこで、この強誘電性液晶を利用して
マルチプレックス駆動方式による走査線の数が多い高解
像度の液晶表示装置を構成すること可能であり、また薄
膜トランジスタなのアクティブ素子を必要としないこと
から、製造コストも上がらないという利点を有する。加
えて、強誘電性液晶素子は視覚が広いという長所も兼ね
備えており、WYSIWYGの概念を実現する大容量表
示様の素子として大いに有望視されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】強誘電性液晶素子は上
記のような長所を有しているが1000×1000本以上の走査
線を有する大容量表示素子においてフリッカのない高コ
ントラストの表示を行おうとする次のような問題点が生
じてくる。すなわち、フリッカのない表示を行うため一
つの手法は16.7msec(60Hz)以内に1画面を書き
換えることであるが、この場合には強誘電性液晶材料に
非常に早い応答速度が要求される。例えば、走査線が10
00本の表示素子の場合、次の式から分かるように8.4 μ
secという高速応答が要求される。
【0010】 16.7(msec)÷1000÷2=8.4 μsec (ここで、2で割っているのは、強誘電性液晶の場合、
書込みに最低2パルス必要だからである。)しかしなが
ら、強誘電性液晶材料の改良によって、求められる応答
速度を実現するのは現状では決して容易ではない。しか
も、より大容量の表示素子を作成する場合には、応答速
度をさらに速くしなければならないということを考え合
わせると、液晶材料の高速化によって大容量化を図るの
はかなり困難であることが容易に想像できる。
【0011】このような問題点を解決するための有力な
手法として、部分書換えと呼ばれる手法(神辺、電子情
報通信学会専門講習会講演論文集「オプトエレクトロニ
クス」−液晶表示と関連材料−、1990年1月、p18〜2
6)が提案されている。この手法は画面を書き換える必
要のあるところだけアクセスする手法である。これによ
り、グラフィックスを表示する上で高速性を要求される
マウスの移動などに追随できる表示素子が可能となる。
【0012】しかしながら、この部分書き換え法を用い
てフリッカのない表示を得ようとする場合、書き換えを
行わない画素にも書込み電圧の1/3のバイアス電圧が
印加される(以下、この駆動法を1/3バイアス駆動法
と呼ぶ)。この駆動法は例えば、特開昭64−59389 にお
いて提案されているが、この1/3バイアス法を用いた
場合の最大の問題は、書き換えを行わない画素にも1/
3のバイアス電圧が印加され、このバイアス電圧のため
に書き換えを行わない画素の分子の揺らぎが生じ、コン
トラストが低下するということである。例えば、部分書
き換え法を用いて試作した強誘電性液晶ディスプレイは
わずか5:1のコントラストして得られていない(神
辺、電子情報通信学会専門講習会講演論文集「オプトエ
レクトロニクス」−液晶表示と関連材料−、1990年1
月、p18〜26)。また、本発明者らもこれまで種々の強
誘電性液晶組成物を種々の構成の液晶素子と組み合わせ
て表示素子を作成してきたが、1/3バイアス駆動法を
用いて表示を行ったとき得られたコントラストの値は1.
5 〜8程度であり、商品としてははなはだ不満足なもの
でしかなかった。
【0013】このようなコントラストの問題を解決する
には、適切な液晶材料を適切な構成の強誘電性液晶素子
に適用することが必要である。このような観点から、コ
ントラストの向上に有用な新規な液晶性化合物、これを
用いた液晶組成物及び液晶素子が求められることにな
る。実用的な強誘電性液晶組成物は、通常複数の成分を
混合して作製される。ときには、その成分として、スメ
クチックC相を示さない化合物や、まったく液晶相を示
さない化合物が用いられることもある。強誘電性液晶組
成物に求められる性質としては、適切な素子構造と組み
合わせて高コントラストを実現できるだけでなく、次の
ような性質をあげることができる。すなわち、応答速度
が速いことが求められ、この点から、低粘性が求められ
る。応答速度を速くするためには、自発分極を増大化す
ることも有用ではあるが、強誘電性液晶素子の良好な双
安定性を得るために、強誘電性液晶素子に適用した場合
良好な配向性を得るためには、強誘電性液晶組成物の相
系列が重要であり、一般にはINAC(Isotrop
ic−Nematic−Smectic −Smec
tic )相系列がもっとも好ましい。ネマティック
相およびスメクティックC相におけるらせんピッチが長
いことも良好な配向性を得るために必要である。室温を
中心に対して安定であること、着色がないこと、粘度が
高くないこと、スメクチックC相において適切なチルト
角を有していることなども求められる。
【0014】本発明はこのような状況においてなされた
ものであり、高コントラストの実用的な強誘電性液晶組
成物を作製する上で有用な新規な液晶性化合物、及び液
晶組成物、並びに液晶表示装置を提供することを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は下式(I);
【0016】
【化2】 で示される新規な化合物、及びその化合物を少なくとも
一種含有することを特徴とする液晶組成物、並びに一対
の透過性基板の対向しあう表面にそれぞれ透明電極を形
成し、それぞれの透明電極を被覆する絶縁膜を形成し、
それを被覆する有機配向膜を形成し、一対の透過性基板
完に液晶を充填してなる液晶表示装置において、配向処
理された配向膜を有する一対の基板を、該配向膜の配向
処理方向が略平行となるように対向に配置させ、この基
板間に上記の液晶組成物を少なくとも一種含有すること
を特徴とする強誘電性液晶表示装置に関する。
【0017】式(I)で表される化合物は例えば、2−
フロオロ−4−(トランス−4−アルキルシクロヘキシ
ル)安息香酸(A)を5塩化リンと反応させて酸クロリ
ド(B)とした後、ピリジン存在下のトルエン溶媒中で
4−ヒドロキシ安息香酸アルキル(C)と反応させるこ
とにより得ることができる。式(I)で表される化合物
は必ずしもスメクチックC相を示さないが、スメクチッ
クA相及びネマティック相を示しやすく、他の化合物と
混合してINAC相系列を実現する上で有用な材料と言
える。また、融点もそれぞれ高くなく、他の化合物との
混合が容易である。化学的にも光に対しても安定であ
り、着色もない。
【0018】ついで液晶組成物に本発明の化合物を用い
る条件について述べる。式(I)で表される化合物は種
々の化合物と適度な割合で組み合わせることにより、種
々の液晶組成物に適用できる。特に、強誘電性液晶組成
物を作製する場合に有用である。強誘電性液晶組成物を
作製する場合に組み合わせるとよい化合物として、例え
ば、化学式(III)、(IV) で表される化合物をあげること
ができる。
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】 〔式中、R5およびR6は同一または異なって直鎖また
は分枝鎖で1〜15の炭素数を有するアルキル基または
アルキルオキシ基を示し、mおよびnは0または1の整
数を示す。〕 本発明の強誘電性液晶組成物は、上記化合物(I)を、
上記の強誘電性液晶や組成物と混合して調製することが
できる。とくに相系列がINACとなるように、調製す
るのが適している。通常、化合物(I)の含有量は、全
体で50wt%以上、上記化合物(I)群に含まれる単
品1成分あたりでは全体の50wt%以下とするのが好
ましい。
【0021】化合物(I)全体の含有量が50wt%未
満であると1/3バイアス駆動でコントラストの改善効
果が不充分であり、単品1成分あたりの含有量が50w
t%を超えるとINAC相系列をしめさず、そのため配
向不良が生じるので適当でない。かかる本発明の強誘電
性液晶組成物には、本発明の意図する効果が阻害されな
い限り、種々の添加剤が配合されていてもよい。例え
ば、配向性向上の点で、末端にフルオロアルキル基を有
する他の液晶性化合物や液晶相溶性化合物が配合(通
常、0.01〜1wt%)されていてもよい。
【0022】なお、強誘電性液晶組成物はキラルなスメ
クチック相を示す必要があり、適切な構造の光学活性化
合物を含む必要があるのは言うまでもないし、化合物
(III)、(IV) 以外の適切な化合物を添加してよいのも
言うまでもない。また、本発明の化合物が、ネマティッ
ク液晶組成物、スメクチックA液晶組成物、反強誘電性
液晶組成物など種々の液晶組成物に適用可能なのは言う
までもない。
【0023】本発明の化合物を含む液晶組成物は種々の
液晶素子に適用できるが、次に、式(I)で表される化
合物を含む強誘電性液晶組成物を強誘電性液晶素子に適
用して高コントラストを実現する例として、少なくとも
電極および一軸配向処理が施された配向膜が形成された
一対の絶縁精基板間に強誘電性液晶を狭持してなる液晶
素子において、一対の基板の一軸配向処理の方向が平行
であり、駆動される液晶相がキラルスメクチックC相で
あり、該キラルスメクチックC相においてスメクチック
層構造が『く』の字に折れ曲がったシェブロン構造をと
っており、駆動温度領域において、一軸配向処理方向に
発生するライトニング欠陥とその欠陥の後方に発性する
ヘアピン欠陥に囲まれた領域の内側、もしくは、一軸配
向処理方向に発生するヘアピン欠陥とその欠陥の後方に
発生するライトニング欠陥に囲まれた領域の外側に発生
する配向状態を用い、かつその配向状態がユニフォーム
であり、前記強誘電性液晶が式(I)で表される化合物
を少なくとも一種含有することを特徴とする強誘電性液
晶素子について述べる。
【0024】一般に、キラルスメクチックC層における
層構造は、一般的は図2(a) に示すような『く』の字に
おれまがったフェブロン構造を有していると言われてい
る。層の折れ曲がる方向には図2(a) に示すように、二
通りの方向がある。このとき層の折れ曲がりの方向が変
化する所には、ジグザグ欠陥と呼ばれる配向欠陥が生じ
る。図2(b) はジグザグ欠陥を偏光顕微鏡で観察したと
きの模式図であるが、ジグザグ欠陥はライトニング欠陥
と呼ばれる欠陥と、ヘアピン欠陥と呼ばれる欠陥とに分
類することができる。これまでの研究の結果、層構造が
<<>>となっている部分がライトニング欠陥に対応し
ており、層構造が>><<となっている部分がヘアピン
欠陥に対応していることが明らかとなっている(N. H
iji et al.,Jpn. Appl. Phys.,2
7, L1(1988). )。ラビング方向とプレチルト角θ
P の関係は図2に示すとおりであり、上記の2つの配向
はラビング方向との関係からC1配向、C2配向と呼ば
れるている(神辺、電子情報通信学会専門講習会講演論
文集「オプトエレクトロニクス」−液晶表示と関連材料
−、1990年1月、p18〜26)。ラビング軸と層の折れ曲
がり方向が同じである場合をC1配向(シェブロン
1)、逆である場合をC2配向(シェブロン2)と定義
されている。
【0025】さて、プレチルト角θP を大きくすると、
C1配向とC2配向での液晶分子の配向状態の差が顕著
になってゆき、8°以上という大きな値を示す配向膜を
用いると、高温側のC1配向においては、明確な消光位
置を示す領域と消光する位置を示さない領域とが観察さ
れ、低温側のC2配向では、明確な消光位置を示す領域
のみが観察される。ユニフォーム配向とツイスト配向と
を消光位の有無によって区別することが一般に認められ
ているので、(福田、竹添、「強誘電性液晶の構造と物
性」、コロナ社、1990年、p327 )、今ここでC1配向
で消光位を示すものをC1U(C1ユニフォーム)配
向、C1配向で消光位を示さないものをC1T(C1ツ
イスト)配向と呼ぶことにする。C2配向については一
種類の配向しか得られなかったので、C2配向とのみ標
記することにする。
【0026】図3(b) に示すような1/3バイアスの電
圧波形を印加したとき、得られるコントラストは次のよ
うになり、C1U配列のみが実用的な高いコントラスト
を実現できる。 C1U>C2>>C1T 本発明の化合物(I)を含む化合物を含む強誘電性液晶
組成物は、プレチルト角の大きな配向膜と組み合せたと
き、C1U配向を示し易く、1/3バイアス駆動での良
好なコントラストを与える。
【0027】図4は本発明の液晶素子の一例を示す断面
図である。ガラス基板1a上に複数本の透明電極2aが
互いに平行となるようにストライプ状に配列して形成さ
れ、この上に絶縁膜3a、配向膜4aが形成され、配向
膜4aにはラビングによる一軸配向処理がほどこされ
て、基板9が形成される。一方、もう片側のガラス基板
1b上にも同様の条件で複数本の透明電極2bが、互い
に平行となるようにストライプ状に配列して形成され、
その上に絶縁膜3b、配向膜4bが形成され、配向膜4
bにはラビング配向処理がほどこされ基板10が形成され
る。
【0028】ついで、この基板10は、もう一方の基板9
と互いに配向膜4a,4bが対向し合い、互いの透明電
極2a,2bが直交し、ラビング方向がほぼ一致するよ
うにし、1.5 〜3μm程度の間隔を隔ててシール部材6
で貼り合わせる。これらの基板9,10 間に強誘電性液晶
を介在させて液晶セル11が作成される。更に、このセル
の上下に偏光軸をほぼ直交させた偏光板12a, 12bを配
置し、偏光板の一方の偏光軸をセルの液晶のどちらか一
方の光軸にほぼ一致させて液晶表示装置とする。
【0029】もちろん、一般式(I)を少なくとも一種
含む液晶組成物を用いることのできる液晶素子は上記の
強誘電性液晶素子に限られるものではなく、他の構成の
強誘電性液晶素子、あるいはネマティックIを利用した
液晶素子(TN, STN, DSTN, など)、スメクチ
ックA相を利用した液晶素子(熱書込み、エレクトロニ
ック、など)、反強誘電性液晶素子などに適用できるこ
とは言うまでもない。
【実施例】
【0030】実施例1 2−フルオロ−4−(トランス−4−ペンチルシクロヘ
キシル)安息香酸0.7g(0.0024モル)に五塩化リン0.6
g(0.0029モル)を加え、約80℃に過熱して反応させ
た。生成したPOCl3 および過剰の五塩化リンを減圧
留去し、2−フルオロ−4−(トランス−4−ペンチル
シクロヘキシル)安息香酸クロリドを得た。これをトル
エン10mlに溶解し、4−ヒドロキシ安息香酸ヘプチル
0.7 g(0.0030モル)とピリジン(脱塩化水素材)1m
lを加えた。室温で10時間放置した後、70℃に3時間保
った後、室温まで冷却した。その後、氷と塩酸を加え、
エータルで抽出した。エーテル層をNaHCO3 水溶
液、次いで水で洗い、Na2 SO4 で乾燥した。エーテ
ルを留去して、残留物を高速液体クロマトグラフィー
(ウォータース製デルタプレップ3000液体クロマトグラ
フィー;C−18シリカゲルカラム;溶媒メタノール+ク
ロロホルム(8:2))で精製し、エタノールより再結
晶して、目的とする2−フルオロ−4−(トランス−4
−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸ヘプチルを得た。
この化合物の赤外吸収スペクトルを図5に示す。また、
この化合物の転移温度は以下のとおりであった。
【0031】
【0032】比較例1 表1の化合物を用いて、表3に示す組成の液晶組成物N
o.201を作製した、この液晶組成物の転移温度を表4に
示す。この液晶組成物は室温でスメクチックC相を示し
たが、スメクチックA相は示さなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】実施例2 比較例1で作製した液晶組成物No.201 に実施例1で
合成した本発明の化合物No.101 を10%重量添加し、
さらに表1に示す光学活性物No.124 を2重量%添加
して、強誘電性液晶組成物No.202 を作製した。この
液晶組成物は室温でスメクチックC相を示した。この液
晶組成物の組成を表3に、転移温度を表4に示す。この
強誘電性液晶組成物は広い温度範囲でキラルスメクチッ
クC相を示し、かつ強誘電性液晶素子の配向性にとって
好ましいINAC相系列を示した。
【0038】実施例3 2枚のガラス基板上のそれぞれに1000Åの厚さのITO
膜を形成し、その上に500 ÅのSiO2 絶縁膜を形成
し、これに表5の配向膜をスピンコーターにて400 Åの
厚みに形成し、この後レーヨン系の布を用いてラビング
による一軸配向処理を行った。これらの基板を、ラビン
グ方向が反平行となるように厚さ20μmで貼り合わせて
液晶セルを作製した。これにメルク社製ネマティック液
晶E−8を注入し、磁場容量法を用いて液晶分子の基板
からプレチルト角度を測定した。結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】実施例4 図4に示す構成の強誘電性液晶表示装置を作製した。ガ
ラス基板1aに1000Åの厚さの複数本のITO透明電極
2aを互いに平行となるようにストライプ状に配列して
形成し、その上に絶縁膜3aとして500 ÅのSiO2
形成し、次に、配向膜4aとしてPSI−X−A−2001
(チッソ石油化学株式会社製ポリイミド)をスピンコー
ターにて400 Åの厚みに形成し、この後レーヨン系の布
を用いてラビングによる一軸配向処理を行い基板9を形
成した。一方、もう片側のガラス基板1b上にも同様の
条件で処理を行い、基板10を形成した。
【0041】ついで、この基板9ともう一方の基板10と
を、互いに配向膜4a,4bが対向し合い、互いの透明
電極2a,2bが直交し、ラビング方向がほぼ一致する
ように、1.5 μmの間隔を隔ててシリカスペーサーを会
してエポキシ樹脂製のシール部材6で貼り合わせた。こ
れらの基板9,10間には真空注入法で注入口から実施例
2で作製した強誘電性液晶組成物No.202 を注入した
のちアクリル系のUV硬化型の樹脂で注入口を硬化して
液晶セル11を作成した。更に、このセルの上下に偏光軸
をほぼ直交させた偏光板12a,12bを配置し、偏光板の
一方の偏光軸をセルの液晶のどちらか一方の光軸にほぼ
一致させて液晶表示装置とした。
【0042】この強誘電性液晶素子の配向の様子を調べ
たところ、スメクチックC−スメクチックA転移点から
室温までの温度領域において、微小なジグザグ欠陥に囲
まれた面積的には小さなC2配向の領域を除けば、全面
C1U配向であった。これらの強誘電性液晶素子のキラ
ルスメクチックC相におけるチルト角θを測定した。チ
ルト角θは液晶セルに±10Vの矩形波を印加し、このと
き得られる2つの消光位間の角度の1/2で定義した。
θを温度に対してプロットした(図6)。
【0043】図3(a) に示す波形の電圧(V=±10V)
を印加し、メモリパルス幅を測定した。結果を図7に示
す。メモリパルス幅は双安定スイチッングさせることの
できる最少のパルス幅とした。パルス幅をメモリパルス
幅に設定して、図3(a) の波形を印加したところ50以上
のコントラストが得られた。図3(b) に示す1/3バイ
アス波形の電圧(V=±10V)を印加し、メモリパルス
幅を測定した。メモリパルス幅は双安定スイッチングさ
せることのできる最少のパルス幅とした。結果を図7に
示す。また、パルス幅をメモリパルス幅に設定し、図3
(b) の波形を印加したところ、約10という高いコントラ
ストが得られた。この場合、バイアス印加時においても
良好な黒状態が維持できており、バイアス電圧による分
子の揺らぎが抑制されていることが結論できる。
【0044】比較例2 実施例2で作製した液晶組成物No.202 に含まれる成
分のうち、本発明の化合物No.101 を比較のため化合
物No.117 に置き換えた強誘電性液晶組成物No.20
3 を作製した。この液晶組成物も室温でスメクチックC
相を示した。この液晶組成物No.203 の組成を表3
に、転移温度を表4に示す。
【0045】実施例4における強誘電性液晶組成物N
o.202 を比較のための強誘電性液晶組成物No.203
に置き換えるほかは実施例4と同様にして、強誘電性液
晶表示装置を作製した。この強誘電性液晶素子の配向の
様子を調べたところ、スメクチックC−スメクチックA
転移点から室温までの温度領域において、微小なジグザ
グ欠陥に囲まれた面積的には小さなC2配向の領域を除
けば、全面C1U配向であった。実施例4と同様にし
て、チルト角θを測定し、温度に対してプロットした
(図8)。
【0046】図3(b) に示す1/3バイアス波形の電圧
(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。
パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b) の波形
を印加したが、C1U−C1U間のスイッチングは60℃
においてしか観察されず、59℃以下ではC1U−C1U
間のスイッチングとなった。
【0047】比較例3 実施例2で作製した液晶組成物No.202 に含まれる成
分のうち、本発明の化合物No.101 を比較のための化
合物No.116 に置き換えた強誘電性液晶組成物No.
204 を作製した。この液晶組成物も室温でスメクチック
C相を示した。この液晶組成物No.204 の組成を表3
に、転移温度を表4に示す。
【0048】実施例4における強誘電性液晶組成物N
o.202 を比較のための強誘電性液晶組成物No.204
に置き換えるほかは実施例4と同様にして、強誘電性液
晶表示装置を作製した。この強誘電性液晶素子の配向の
様子を調べたところ、スメクチックC−スメクチックA
転移点から35℃付近までは、微小なジグザグ欠陥に囲ま
れた面積的には小さなC2配向の領域を除けば、全面C
1U配向であったが、それ以下の温度ではC2配向であ
った。
【0049】図3(b) に示す1/3バイアス波形の電圧
(V=±10V)を印加し、メモリパルス幅を測定した。
パルス幅をメモリパルス幅に設定して、図3(b) の波形
を印加したが、C1U−C1U間のスイッチングはスメ
クチックC−スメクチックA転移点から62℃の範囲でし
か観察されなかった。
【0050】比較例4 表1に示す化合物を用いて、表3に示す組成の強誘電性
液晶組成物No.205〜210 を作製した。これらの液晶
組成物の転移温度を表4に示す。実施例4における強誘
電性液晶組成物No.202 を比較のための強誘電性液晶
組成物No.205 〜210 のいずれかに置き換えるほかは
実施例4と同様にして、強誘電性液晶表示装置を作製し
た。
【0051】また、実施例4における強誘電性液晶組成
物No.202 を比較のための強誘電性液晶組成物No.
205 〜210 ,ZLI−4237/000 (メルク社製)、ZL
I−4655/000 (メルク社製)のいずれかに置き換え、
かつ実施例4における配向膜PSI−X−A−2001をP
SI−X−S−014 またはPVAに置き換えるほかは実
施例4と同様にして、強誘電性液晶を作製した。
【0052】これらの強誘電性液晶素子について調べた
結果を表6に示す。いずれの強誘電性液晶素子も、実施
例4で得られたような良好な結果は得られなかった。
【0053】
【表6】
【0054】
【発明の効果】本発明の化合物(I)はそれほど高くな
い融点を示し、スメクチック相およびネマティック相を
示しやすく、また、化学的にも光に対しても安定であ
る。このため、化合物(I)は、液晶組成物の成分とし
て有用であり、他の化合物と組み合わせることにより、
種々の強誘電性液晶組成物をはじめ、様々な液晶組成物
を作製することができ、種々の液晶素子に適用できる。
特に、本発明の化合物(I)を含む強誘電性液晶組成物
と、プレチルト角の高い配向膜とを用いて、C1U配向
を利用した強誘電性液晶表示装置を作製した場合、1/
3バイアス駆動においても高いコントラストを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強誘電性液晶のスイッチングについて説明する
ための図である。
【図2】カイラルスメクチックC相のシェブロン層構造
およびC1配向、C2配向について説明するための図で
ある。
【図3】(a) は、0バイアスの印加電圧波形を示す図、
(b) は、1/3バイアスの印加電圧波形の一例を示す図
である。
【図4】本発明の強誘電性液晶素子について説明するた
めの素子の断面図である。
【図5】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物N
o.101 の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物N
o.202 のチルト角θの温度変化を示す図である。
【図7】本発明の化合物を用いた強誘電性液晶組成物N
o.202 のメモリパルス幅の温度変化を示す図である。
【図8】比較のための強誘電性液晶組成物No.203 の
チルト角θの温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b ガラス基板 2a,2b 透明電極 3a,3b 電極保護膜 4a,4b 配向膜 6 シール部材 7 液晶 9、10 基板 11 液晶セル 12a,12b 偏光板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(I); 【化1】 を有する化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1項記載の式(I)の化合物を少
    なくとも一種含有することを特徴とする液晶組成物。
  3. 【請求項3】 一対の透光性基板の対向しあう表面にそ
    れぞれ透明電極を形成し、それぞれの透明電極を被覆す
    る絶縁膜を形成し、それを被覆する有機配向膜を形成
    し、一対の透光性基板間に液晶を充填してなる液晶表示
    装置において、配向処理された配向膜を有する一対の基
    板を、該配向膜の配向処理方向が略平行となるように対
    向配置させ、この基板間に請求項2項記載の液晶組成物
    を少なくとも一種含有することを特徴とする強誘電性液
    晶表示装置。
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