JP2655446B2 - 半導体レーザの直接変調方法 - Google Patents

半導体レーザの直接変調方法

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JP2655446B2 JP2261151A JP26115190A JP2655446B2 JP 2655446 B2 JP2655446 B2 JP 2655446B2 JP 2261151 A JP2261151 A JP 2261151A JP 26115190 A JP26115190 A JP 26115190A JP 2655446 B2 JP2655446 B2 JP 2655446B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、半導体レーザを直接に周波数変調または位
相変調する半導体レーザの直接変調方法に関する。
(従来の技術) 近年の光通信システムでは、従来からの強度変調を利
用した方式のみならず光の周波数変調や位相変調を用い
る光波通信方式が検討されるようになってきた。光の周
波数変調または位相変調においても従来の強度変調と同
様に光源の直接変調が実現できれば、外部に挿入損失の
ある変調器を用いる必要がないから大きな光ファイバ入
力を得るという意味でメリットが大きい。そこで半導体
レーザの直接周波数変調や直接位相変調の検討が各所で
進められている(例えば、内藤らによる1989年電子情報
通信学会秋季全国大会の論文B−451)。
(発明が解決しようとする課題) ここで、通常の半導体レーザの注入電流を微小に変調
して直接周波数変調を行うことを考える。半導体レーザ
の直接周波数変調は、注入電流の変化によりレーザ媒質
内のキャリア密度が変化してレーザ媒質の屈曲率が変わ
る効果(キャリヤ効果)と、注入電流の変化に対応して
レーザ媒質の温度が変化してレーザ媒質の屈曲率が変わ
る効果(熱効果の2つの効果によって引き起こされる。
ここで、キャリア効果は高速の応答を持っているのに対
し、熱効果の応答は遅い。さらに、これらの2つの効果
の位相(周波数変調による周波数変化の方向)は互いに
反転している。従って、通常の半導体レーザの周波数変
調特性には露な変調周波数依存性があり、パルスにより
周波数偏移変調(FSK)変調を行うとその出力波形には
波形歪が生じ、システムの受信感度が劣化するという問
題があった(斉藤、山本、木村“コヒーレント光ファイ
バ伝送変復調技術−FSKヘテロダイン検波−”、通研実
用化報告、第31巻、第12号)。
この問題を解決する方法として半導体レーザ内に活性
領域の他に活性層を含まない位相制御領域そを設け、こ
の位相制御領域に注入する注入電流を変調することで平
坦な周波数特性を有するFM変調を実現することが提案さ
れ、位相制御領域付DFB−LDや3電極DBR−LDにより波形
劣化のないFSK変調が実現されてきた。しかし位相制御
領域での変調速度は数nsという位相領域内でのキャリア
寿命で制限されてしまう。このためGb/s領域の高速シス
テムには位相制御領域の変調を用いることができないと
いう問題があった(たとえば、村田、水戸、小林:“Sp
ectral characteristics for a 1.5μm DBR Laser with
Frequency−Tuning Region",J.of Quantum Electron,
第QE−23巻,6号,1987年,835頁から838頁)。
位相変調と周波数変調とは微分、積分の関係にあるか
ら半導体レーザの直接位相変調を行う場合にも同様の問
題が生じる。
そこで本発明の目的は、半導体レーザの直接周波数変
調または直接位相変調を行う場合にも低減から高域にわ
たって平坦な周波数特性を実現する半導体レーザの直接
変調方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る第1の半導体レーザの直接変調方法は、
活性領域と、活性層を含まない少なくともひとつ以上の
位相制御領域とからなる多電極半導体レーザにおける前
記活性領域と前記位相制御領域の双方に変調信号を加え
て発振光に光周波数変調または光位相変調を施すことを
特徴とする。
また本発明に係る第2の半導体レーザの直接変調方法
は、前述した第1の半導体レーザの直接変調方法であっ
て、前記活性領域と、前記位相制御領域に加えるそれぞ
れの変調信号に強度差をつけることを特徴とする。
また本発明に係る第3の半導体レーザの直接変調方法
は、前述した第1または第2の半導体レーザの直接変調
方法であって、前記活性領域と、前記位相制御領域に加
えるそれぞれの変調信号の周波数帯域が異なることを特
徴とする。
また本発明に係る第4の半導体レーザの直接変調方法
は、前述した第1、第2または第3の半導体レーザの直
接変調方法であって、前記活性領域と、前記位相制御領
域に加えるそれぞれの変調信号に位相差をつけることを
特徴とする。
(作用) 半導体レーザの活性領域を直接変調した場合の周波数
変調特性は、低周波域では熱効果が支配的であり、その
周波数変化の方向は電流が増えると波長が長くなるいわ
ゆるレッドシフトである。これに対し高周波側はキャリ
ヤ効果が支配的であり、その周波数変化の方向はブルー
シフトである。一方、位相制御領域を直接変調する場合
は、キャリア効果が支配的であるから全周波数域でブル
ーシフトとなる。従って、活性領域と位相変調領域の双
方を直接変調することにより、例えば活性領域を直接変
調した場合の熱効果を位相制御領域のキャリア効果で補
償することができれば全体での変調特性は活性領域での
キャリア効果のみとなる。活性領域のキャリア効果は高
周波数域まで延びているから、低域から高域までフラッ
トなFM変調特性が実現される。
(実施例) 次に、図面を用いて本発明の実施例について説明す
る。
第1図は本発明に係る第1の半導体レーザの直接変調
方法の一実施例に用いた3電極DBR−LDとそのバイアス
回路を示した図である。第2図は本実施例に用いた3電
極DBR−LDのFM変調特性を示した図である。本実施例に
用いた3電極DBR−LDは活性領域にバイアス信号を流す
ことによって発振し、さらにDBR領域に電流を流すこと
によって発振波長を制御することができる。さてこの3
電極DBR−LDの活性領域のみでFM変調を行うと、第2図
に破線で示すような特性が得られた。一方、位相制御領
域で変調した場合には、位相制御領域のバイアス電流に
よりその効率は変化するが第2図に1点鎖線で示される
ような特性が得られた。そこで位相制御領域のバイアス
電流を調節しながら第1図に示されるように活性領域と
位相制御領域の双方に変調信号を加えることにより、第
2図に実線で示されるように実用上重要な1kHz〜5GHzに
わたってほぼ平坦なFM変調特性が得られた。
第3図は本発明に係る第2の半導体レーザの直接変調
方法の一実施例に用いた3電極DBR−LDとそのバイアス
回路を示した図である。本実施例に用いた3電極DBR−L
Dは、第1図の実施例で用いたものと同一のものであ
る。第1図の実施例においては、位相制御領域に流れる
バイアス電流を変化させて位相制御領域と活性領域での
変調効率の比率を調節したが、本実施例では変調信号の
印加回路部分に抵抗分割回路を設けて活性領域と位相制
御領域に加わる変調信号の大きさを変え、トータルで平
坦なFM変調特性を実現した。本実施例においては、活性
領域と位相制御領域に加わる変調信号の振幅比を3:1と
した場合に最も平坦なFM変調特性が実現された。
第4図は本発明に係る第3の半導体レーザの直接変調
方法の一実施例に用いた位相制御領域付DFB−LDとその
バイアス回路を示した図である。第5図は本実施例に用
いた位相制御領域付DFB−LDのFM変調特性を示した図で
ある。本実施例において、位相制御領域付DFB−LDの活
性領域を変調するとそのFM変調特性は第5図に破線で示
されるような特性となり、低周波領域における熱効果が
問題であることがわかった。そこで、本実施例では、位
相制御領域の変調によりこの低周波領域のFM変調特性を
補正することとし、位相制御領域に加えられる変調信号
はまずアッテネータ41でその振幅レベルを調節したの
ち、ローパスフィルタ42により低周波成分のみを取り出
して位相制御領域に加えた。この結果、位相制御領域で
のFM変調特性は第5図に一点鎖線で示されるような特性
になった。この位相制御領域でのFM変調はキャリア効果
によって起こっており、ブルーシフトである。一方、活
性領域の低周波領域で支配的な熱効果はレッドシフトで
あり、位相制御領域の変調により熱効果の影響を補正す
ることができる。従って、活性領域と位相制御領域を第
4図のような構成で変調すると、第5図に実線で示され
るような低域から高域にわたって平坦なFM変調特性を実
現することができた。
第6図は本発明に係る第4の半導体レーザの直接変調
方法の一実施例に用いた位相制御領域付3電極DFB−LD
とそのバイアス回路を示した図である。本実施例におい
ては、3電極DFB−LDの中心部が高バイアスとなるよう
にバイアス電流が加えられており、この領域におけるFM
変調特性は全域にわたってレッドシフトであった。この
3電極DFB−LDのFM変調特性は、高域では平坦であるが
低域では周波数が低くなるにしたがってFM変調効率が増
大する傾向がみられた。そこで本実施例においては、位
相制御領域で平坦なFM変調特性が実現できる100MHzまで
は位相制御領域での変調を利用し、それ以上の高域では
3電極DFB領域を変調することとした。この場合、位相
制御領域と、3電極DFB領域のFM変調特性が反転してい
るから、位相制御領域へ加える変調信号に関しては1段
増幅器61を介して位相を反転してから加えた。また位相
制御領域に加える変調信号のレベルはアッテネータ62に
よって調節し、位相制御領域と3電極DFB領域で起こるF
M変調の効率が同じになるようにした。3電極DFB領域に
加える変調信号はハイパスフィルタ63を通し、100MHz以
上の成分のみが電極に加わるようにした。この結果、本
実施例においてもDCから5GHzにわたって、平坦なFM変調
特性を実現することができた。
以上の実施例ではいくつかの例を示したにすぎず、位
相制御領域と活性領域に加える変調信号の帯域、強度、
位相の組合せとしては様々なものが考えられる。また活
性領域と位相制御領域を含む多電極半導体レーザとして
は種々のものが考えられることは言うまでもない。
(発明の効果) 以上に説明したように本発明を用いれば、低減から高
域にわたって平坦なFM変調特性を実現する半導体レーザ
の直接変調方法を提供することができ、特に高速の光直
接周波数変調または位相変調方式を実現する光源を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る第1の半導体レーザの直接変調方
法の一実施例に用いた3電極DBR−LDとそのバイアス回
路を示した図、第2図は本発明に係る第1の半導体レー
ザの直接変調方法の一実施例に用いた3電極DBR−LDのF
M変調特性を示した図、第3図は本発明に係る第2の半
導体レーザの直接変調方法の一実施例に用いた3電極DB
R−LDとそのバイアス回路を示した図、第4図は本発明
に係る第3の半導体レーザの直接変調方法の一実施例に
用いた位相制御領域付DFB−LDとそのバイアス回路を示
した図、第5図は本発明に係る第3の半導体レーザの直
接変調方法の一実施例に用いた位相制御領域付DFB−LD
のFM変調特性を示した図、第6図は本発明に係る第4の
半導体レーザの直接変調方法の一実施例に用いた位相制
御領域付3電極DFB−LDとそのバイアス回路を示した図
である。 41,62……アッテネータ、42……ローパスフィルタ、61
……増幅器、63……ハイパスフィルタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−107781(JP,A) 特開 昭61−163685(JP,A) 特開 平2−268479(JP,A) 特開 平1−223791(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性領域と、活性層を含まない少なくとも
    ひとつ以上の位相制御領域とからなる多電極半導体レー
    ザにおける前記活性領域と前記位相制御領域の双方に変
    調信号を加えて発振光に光周波数変調または光位相変調
    を施すことを特徴とする半導体レーザの直接変調方法。
  2. 【請求項2】前記活性領域と、前記位相制御領域に加え
    るそれぞれの変調信号に強度差をつけることを特徴とす
    る請求項1に記載の半導体レーザの直接変調方法。
  3. 【請求項3】前記活性領域と、前記位相制御領域に加え
    るそれぞれの変調信号の周波数帯域が異なることを特徴
    とする請求項1または2に記載の半導体レーザの直接変
    調方法。
  4. 【請求項4】前記活性領域と、前記位相制御領域に加え
    るそれぞれの変調信号に位相差をつけることを特徴とす
    る請求項1,2または3に記載の半導体レーザの直接変調
    方法。
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