JP2647111B2 - 放電加工方法及びその装置 - Google Patents

放電加工方法及びその装置

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JP2647111B2
JP2647111B2 JP63007504A JP750488A JP2647111B2 JP 2647111 B2 JP2647111 B2 JP 2647111B2 JP 63007504 A JP63007504 A JP 63007504A JP 750488 A JP750488 A JP 750488A JP 2647111 B2 JP2647111 B2 JP 2647111B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、高速加工を実現できる放電加工方法及びそ
の装置に関する。
(従来の技術) 従来、ワイヤカット放電加工装置においては、被加工
物とワイヤ電極との間にスイッチング回路により所定の
パルス幅の大電流を印加していた。ところで、放電加工
にともない加工くずが発生するが、この加工くずの排除
のいかんが、放電加工の能率を左右する。とくに、この
加工くずの排出が不十分であると、放電間隔に加工くず
が過度に介在することになり、アーク,短絡等の異常放
電の原因となる。この異常放電は、放電加工の高速化の
障害となっている。
そこで、加工液の急速噴出により、極間に生じた加工
くずを除去することが行われているが、放電パルス間隔
が10μ秒〜50μ秒と極めて短時間であるため、十分に加
工くずを除去できず、高速加工にも限界があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、上記事情を参酌してなされたもので、放電
速度を上げることで、放電加工能率を向上させることの
できる放電加工方法及びその装置を提供することを目的
とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段と作用) 本発明は、電極と被加工物との間に印加される加工用
放電電圧のパルスとパルスとの合間に、この加工用放電
電圧よりも小さい補助電圧を1個ずつパルス印加するこ
とにより誘起される2次放電による放電電流の有無を検
出するとともに、補助電圧の電圧落込みを検出し、2次
放電による放電電流の発生及び補助電圧の電圧落込みの
発生が両方とも消滅したときに、加工用放電電圧のパル
スの周期及び補助電圧のパルス幅を徐々に短くすること
により、放電加工速度を高めるようにしたものである。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳述する。
第1図は、この実施例の放電加工装置を示している。
この装置は、被加工物(W)が保持されX,Y方向に位置
決めするテーブル部(1)と、電極となるワイヤ(2)
を張設するとともに被加工物(W)の加工部位にて矢印
(3)方向に送るワイヤ送り部(4)と、ワイヤ(2)
と被加工物(W)と間に加工電圧を印加する電圧印加部
(5)と、被加工物(W)の加工部位に加工液(6)を
給液する加工液供給部(7)と、放電加工時における放
電電流と放電電圧を検出する放電波形検出部(8)と、
放電加工を電気的に統御する加工制御部(9)とから構
成されている。しかして、テーブル部(1)は、被加工
物(W)が取付けられX方向に移動するXテーブル(1
0)と、このXテーブル(10)を駆動するXモータ(1
1)と、Xテーブル(10)を搭載しY方向に移動するY
テーブル(12)と、このYテーブル(12)を駆動するY
モータ(13)とからなっている。一方、ワイヤ送り部
(4)は、ワイヤ(2)が巻装されこのワイヤ(2)の
巻出し及び巻取りを行う一対のボビン(14),(15)
と、ワイヤ(2)が加工部位を送行するように案内する
一対の案内ローラ(16),(17)とからなっている。さ
らに、電圧印加部(5)は、互に並列に接続され、一方
の端子が被加工物(W)に接続され他方の端子がワイヤ
(2)に接続されたコンデンサを主構成要素とする第1
及び第2加工電源(18),(19)からなっている。この
うち第1加工電源(18)は、ワイヤ(2)と被加工物
(W)との間隙を絶縁破壊させるための高電圧パルスを
印加させるためのものである。他方、第2加工電源(1
9)は、第1加工電源(18)による高電圧パルスの印加
により生じた加工くずや残留イオンを除去するために比
較的パルス幅の長い低電圧を印加するものである。さら
に、加工液供給部(7)は、加工液(6)を加工部位に
供給するノズル(20)と、加工液(6)を格納するタン
ク(21)と、このタンク(21)からノズル(20)に加工
液(6)を圧送するポンプ(22)とからなっている。そ
して、放電波形検出部(8)は、ワイヤ(2)を流れる
放電電流を検出する電流センサ(23)と、同じく放電電
圧を検出する電圧センサ(24)とからなっている。一
方、加工制御部(9)は、CPU(entral rocessing
nit;中央制御装置)を主体とするマイクロコンピュー
タを主体とするものであって、テーブル部(1)の位置
制御により被加工物(W)を所望の形状に加工するため
のテーブル制御手段(9a)と、放電波形検出部(8)か
らの電流検出信号SI及び電圧検出信号SVに基づいて後述
するタイミングで第1及び第2加工電源(18),(19)
に所定の放電電圧を印加させる放電電圧制御手段(9b)
とからなっている。
つぎに、上記構成の放電加工装置を用いた本実施例の
放電加工方法について述べる。
まず、被加工物(W)にあらかじめ穿設されている通
孔にワイヤ(2)を挿通させたのち、ワイヤ送り部
(4)により所定の張力で張設するとともに、矢印
(3)方向に送行させる。同時に、ワイヤ(2)による
被加工物(W)加工予定部位に向って、加工液(6)を
噴射する。そして、加工制御部(9)のテーブル制御手
段(9a)により、あらかじめ格納されている加工プログ
ラムに従って、X,Yテーブル(10),(12)が駆動され
る。また、加工電圧印加部(5)により、ワイヤ(2)
と被加工物(W)との間に、加工制御部(9)の放電電
圧制御手段(9b)に格納された所定の電圧印加プログラ
ムに従って、放電電圧が印加される。すなわち、第2図
に示すように、第1加工電源(18)から、最大電圧V1の
放電電圧VAを周期T1かつパルス幅T2で規則的に印加す
る。一方、第2加工電源(19)からは、最大電圧V2かつ
パルス幅T4の放電電圧VBを放電電圧VAの立下りから時間
T3経過後に周期T1で規則的に印加する。上記最大電圧V1
は、いわゆる加工電圧であって、ワイヤ(2)と被加工
物(W)との間隙を絶縁破壊させるためのものである。
他方、最大電圧V2は、ワイヤ(2)と被加工物(W)と
の間に介在している加工くずや残留イオンを介しての放
電(以下、2次放電という。)を生じさせるためのもの
で、最大電圧V1よりは、はるかに小さくてよい。しかし
て、このような放電電圧VA,VBは、実際の放電加工にお
いては、第2図中の放電電圧V0のようになる。すなわ
ち、放電電圧VAに対応する放電波形は、矩形状から鋸歯
状に変化している。また、放電電圧VBに対応する放電波
形は、第2図中の放電電流IOの2次放電に起因する電流
波形WIに対応する部分の電圧がゼロに落ち込んでいる
(第2図,電圧落込部WD参照)。このような2次放電に
ともない加工くずや残留イオンは、徐々に除去される。
その結果、2次放電は、徐々に発生しなくなり、第2図
に示す電圧落込部WDも消滅し、電圧VBで示すような矩形
状の波形となる。ところで、このような放電波形の変化
は、電流センサ(23)から出力された電流検出信号SI及
び電圧センサ(24)から出力された電圧検出信号SVに基
づいて加工制御部(9)の放電電圧制御手段(9b)によ
り行う。すなわち、放電電圧制御手段(9b)にては、信
号SI,SVに基づき、2次放電に起因する電流波形WI及び
電圧落込部WDの有無を調べる。そうして、これらの波形
WI,WDが存在しているときは、加工くずや残留イオンが
電極間に存在しているわけだから、そのまま、放電電圧
VA,VBを印加し続ける。しかし、電流波形WIと電圧落込
部WDが消滅したときには、第2図の放電電圧VEのように
放電パルスP1,P2,P3…をその周期T1′,T1″,T1…を徐
々に短くするとともに、放電パルスP1,P2,P3…間におい
て放電パルスQ1,Q2,Q3…を印加する。これら放電パルス
Q1,Q2,Q3…のパルス幅T4′,T4″…も徐々に短くする。
つまり、2次放電がないときは異常放電の虞がないの
で、実際の加工を行うための放電パルスP1,P2,P3…の間
隔を徐々に短くすることにより、放電回数を増加させ
る。
このように、上述した実施例は、第1加工電源(18)
による加工のための放電電圧VAの印加の合間に第2加工
電源(19)により電極間の加工くずや残留イオンに起因
する2次放電を強制的に行わせるための放電電圧VBを印
加するようにしているので、2次放電にともなく加工く
ずや残留イオンの除去が可能となり、放電加工中にワイ
ヤ(2)の断線を惹き起こす異常(アーク)放電の発生
を抑制することができ、アーム放電に起因する断線等の
事故を未然に防止することができる結果、ワイヤ放電加
工の安定性及び信頼性向上に役立つ。さらに、ワイヤ
(2)と被加工物(W)との間に印加される加工用放電
電圧VAのパルスとパルスとの合間に、この加工用放電電
圧VAよりも小さい補助電圧VBを1個ずつパルス印加する
ことにより誘起される2次放電による放電電流波形WIの
有無を検出するとともに、補助電圧VBの電圧落込部WDを
検出し、2次放電による放電電流波形WIの発生及び補助
電圧VBの電圧落込部WDの発生が両方とも消滅したときを
もって電極間の状態が正常化したものと判定し、加工用
放電電圧VAのパルスの周期及び補助電圧VBのパルス幅を
徐々に短くするようにしているので、ワイヤ放電加工速
度を高めることができ、生産性向上に寄与する。とく
に、2次放電による放電電流波形WIの発生及び補助電圧
VBの電圧落込部WDの発生が両方とも消滅したときをもっ
て電極間の状態を判定するようにしているので、判定精
度がいずれか一方だけの場合に比べて増大し、誤判定に
よりる異常放電加工状態中に、加工電圧のパルスの周期
及び補助電圧のパルス幅を短くしてしまいアーク放電等
の発生により加工精度が著しく阻害されるような不測の
事態を招く虞が極めて小さくなる。
なお、上記実施例においては、コンデンサ方式の放電
方式を例示しているが、SCR,パワートランジスタ等の半
導体を利用したパルス加工電源についても、本発明を適
用できる。また、上記実施例においては、第1加工電源
(18)及び第2加工電源(19)の二つの加工電源を設け
ているが、最大電圧の異なる3つ以上の加工電源を設
け、これらの中から必要なものを適宜選択して用いるよ
うにしてもよい。さらに、本発明は、ワイヤカット放電
加工に限ることなく、通常の電極を用いる放電加工にも
適用できる。
〔発明の効果〕
本発明の放電加工方法は、以下のような格別の効果を
奏する。すなわち、〔a1〕加工用放電電圧よりも小さい
補助電圧の印加により2次放電を発生させるようにして
いるので、放電加工にとって有害なアーク放電を誘起さ
せる加工くずや残留イオンの除去が可能となり、加工中
断等の事故を未然に防止して安定性及び信頼性の高い放
電加工が可能となることはもとより、放電加工精度も向
上する。〔a2〕2次放電による放電電流の発生及び補助
電圧の電圧落込みの発生が両方とも消滅したときに加工
用放電電圧のパルスの周期及び補助電圧のパルス幅を徐
々に短くする工程を具備しているので、放電加工速度を
高めることができ、生産性向上に寄与する。とくに、2
次放電による放電電流の発生及び補助電圧の電圧落込み
発生が両方とも消滅したときをもって電極間の状態を判
定するようにしているので、判定精度がいずれか一方だ
けの場合に比べて増大し、誤判定によりる異常放電加工
状態中に、加工電圧のパルスの周期及び補助電圧のパル
ス幅を短くしてしまいアーク放電等の発生により加工精
度が著しく阻害されるような不測の事態を招く虞が極め
て小さくなる。
一方、本発明の放電加工装置は、以下のような格別の
効果を奏する。すなわち、〔b1〕電圧印加部において、
加工用放電電圧よりも小さい補助電圧の印加により2次
放電を発生させるようにしているので、放電加工にとっ
て有害なアーク放電を誘起させる加工くずや残留イオン
の除去が可能となり、ワイヤの断線等の事故を未然に防
止して安定性及び信頼性の高いワイヤ放電加工が可能と
なることはもとより、放電加工精度も向上する。〔b2〕
加工制御部により、2次放電による放電電流の発生及び
補助電圧の電圧落込みの発生が消滅したときに加工用放
電電圧のパルスの周期及び補助電圧のパルス幅を徐々に
短くするようにしているので、ワイヤ放電加工速度を高
めることができ、生産性向上に寄与する。とくに、2次
放電による放電電流の発生及び補助電圧の電圧落込みの
発生が両方とも消滅したときをもって電極間の状態を判
定するようにしているので、判定精度がいずれか一方だ
けの場合に比べて増大し、誤判定によりる異常放電加工
状態中に、加工電圧のパルスの周期及び補助電圧のパル
ス幅を短くしてしまいアーム放電等の発生により加工精
度が著しく阻害されるような不測の事故を招く虞が極め
て小さくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の放電加工装置の構成図、第
2図は同じく放電加工方法の説明のためのタイミングチ
ャートである。 (W):被加工物,(1):テーブル部, (2):ワイヤ,(4):ワイヤ送り部, (5):電圧印加部,(8):放電波形検出部, (18):第1加工電源,(19):第2加工電源。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物と電極とを対向させ両者間に加工
    電圧をパルス印加して放電を繰り返し発生させることよ
    り上記被加工物の加工を行う放電加工方法において、上
    記加工電圧のパルスとパルスとの合間に上記加工電圧よ
    りも小さい補助電圧を1個ずつパルス印加して2次放電
    を誘起させる工程と、上記2次放電による放電電流を検
    出する工程と、上記2次放電に起因する上記補助電圧の
    電圧落込みを検出する工程と、上記2次放電による放電
    電流の発生及び上記補助電圧の電圧落込みの発生が両方
    とも消滅したときに上記加工電圧のパルスの周期及び上
    記補助電圧のパルス幅を徐々に短くする工程とを具備す
    ることを特徴とする放電加工方法。
  2. 【請求項2】電極はワイヤであることを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載の放電加工方法。
  3. 【請求項3】下記構成を具備することを特徴とする放電
    加工装置。 (イ)被加工物を保持して位置決めするテーブル部。 (ロ)電極となるワイヤを張設して上記テーブル部に保
    持された被加工物に対して交差する方向に走行駆動する
    ワイヤ送り部。 (ハ)一端子側が上記ワイヤに電気的に接続され他端子
    側が上記被加工物に電気的に接続された第1加工電源及
    び第2加工電源を有し、上記第1加工電源により上記被
    加工物と上記ワイヤとの間の加工電圧をパルス印加して
    放電を繰り返し発生させ上記被加工物の加工を行わせる
    とともに、上記第2加工電源により上記加工電圧のパル
    スとパルスとの合間に上記加工電圧よりも小さい補助電
    圧を1個ずつパルス印加して2次放電を誘起させる電圧
    印加部。 (ニ)上記2次放電による放電電流を検出する電流セン
    サ。 (ホ)上記補助電圧を検出する電圧センサ。 (ヘ)上記電流センサにより検出される上記2次放電に
    よる放電電流の有無を検出するとともに、上記電圧セン
    サにより検出される補助電圧の電圧落込みを検出し、上
    記2次放電による放電電流の発生及び上記補助電圧の電
    圧落込みの発生が両方とも消滅したときに、上記加工電
    圧のパルスの周期及び上記補助電圧のパルス幅を徐々に
    短くする加工制御部。
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