JP2646815B2 - タンディッシュの誘導加熱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、連続鋳造のモールドに出湯ノズルから連
続的に出湯を行うタンディッシュの誘導加熱装置に関す
る。

〔従来の技術〕

第３図は従来例１の溝を含む水平断面図、第４図は従
来例２の溝を含む水平断面図であり、各図で同一符号を
付けるものはおよそ同一機能を持ち、重複説明を省くこ
ともある。

第３図において、仕切ブロック２はタンディッシュ11
を右側の分室である受湯室11aと左側の分室である出湯
室11bとに仕切っている。受湯室11aは溶湯の流れ３を受
け、出湯室11bは出湯ノズル４から溶湯を重力で出湯す
る。

仕切ブロック２の中央には垂直な穴５が設けられ、こ
の穴を貫通しタンディッシュ１の側壁1cの外側を巡り閉
ループをなす鉄心６が配置される。鉄心６には誘導コイ
ル７が巻回され、鉄心６とともに誘導加熱装置８を形成
する。

前記仕切ブロック２には、更に前記穴５の外側で前記
分室を連通する一対の溝9a,9bを設ける。この一対の溝
と前記両側の分室（ここでは受湯室11aと出湯室11b）と
は溶湯によって電気導電体による閉じた１ターンを形成
し、前記閉ループをなす鉄心と鎖交するので前記溶湯の
１ターンに誘導電流が流れ、I²Rの誘導加熱を受ける。
この実施例１は注湯ノズルが１個であって１ストランド
形である。

第４図に示す従来例２は２本立ストランドであって、
タンディッシュ21には２個の仕切ブロック２に２個の誘
導加熱装置８が設けられ、２個の出湯室21bと中央の受
湯室21aとの３分室に仕切られる。その結果、溶湯の流
れ３は、左右の各溝9a,9bで誘導加熱されて２個の出湯
ノズル４から出湯され、図示しない２個のモールドを経
て２本立のストランドを形成する。なお受湯室21aは鉄
心のある側壁21cの反対側の側壁21dに突出する。

前記１ストランドの公知例としては実開昭63−62250
号公報が、２ストランドの公知例としては特開昭63−93
455号公報が知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

前記の従来の技術において、従来例１は１ストランド
用で注湯ノズル４が１個であるが、誘導加熱装置の反対
側に相当な大きさの受湯室11aを必要としタンディッシ
ュが大きい。従来例２は２ストランド用であるから１タ
ンディッシュで２ストランドの連続鋳造が行なえてスペ
ースファクタがよいが、それでも誘導加熱装置を２個必
要としタンディッシュが大きい。

タンディッシュに誘導加熱装置を持たない既設の連続
鋳造設備に、加熱温度制御の有利な誘導加熱装置を備え
たタンディッシュを導入して良好な鋼材等を得るように
する設備改善がよく行なわれる。しかし、タンディッシ
ュの設置スペースに制約があってなかなかうまく行かな
い。

この発明の目的は、スペースファクタの良いタンディ
ッシュの誘導加熱装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

この発明１のタンディッシュの誘導加熱装置は、 タンディッシュを分室に仕切る仕切ブロックと、この
仕切ブロックの中央の垂直な穴を貫通し前記タンディッ
シュの側壁の外側を巡る閉ループをなす鉄心と、この鉄
心に巻回される誘導コイルと、前記穴の外側で前記分室
を連通させる一対の溝とからなるタンディッシュの誘導
加熱装置において、 前記側壁に設けられる受湯室と、この受湯室と前記溝
とを連通する受湯穴と、前記分室に設けられる出湯ノズ
ルとを備えるものである。

発明２のタンディッシュの誘導加熱装置は、発明１に
おいて、 前記受湯室と前記受湯穴とを前記鉄心の巡る側壁の少
くとも反対側又は同じ側に設けるものである。

発明３のタンディッシュの誘導加熱装置は、発明１又
は２において、 前記出湯ノズルを分室の１方又は両方に設けるもので
ある。

〔作用〕

発明１において、鉄心と鎖交して１ターンを形成して
加熱を受ける溝に、側壁に設けた受湯室は受湯穴を介し
て直接に接続され、受湯室、受湯穴、溝の径路は短く、
全体が少さく構成される。

発明２において、鉄心の巡る側壁の反対側の側壁に受
湯室と受湯穴を設けるものでは、これらが鉄心と干渉し
ないで形態が自由である。同じ側の側壁に設けるもので
は、受湯室と受湯穴とを鉄心と干渉しないような形を求
める必要があるが、側壁の一方側に鉄心と受湯室とが並
びにスペースファクタが良い。

発明３において、出湯ノズルを両方に設ければ２個の
モールドに出湯できて２ストランド用となる。１方のみ
に設ければ、１ストランド用となるが、受湯穴を設けた
側の溝を経由する溶湯の流体抵抗は他方より小さいの
で、より多くの溶湯が一方の溝を通る。他方の溝を通る
抵抗は大きく、出湯ノズルのない分室の溶湯高さ（ヘッ
ド）が上昇しそのヘッドが前記大きい抵抗に対応する。
この際、出湯ノズルのない分室の大きさは小さくてよ
い。

〔実施例〕

第１図は実施例の水平断面図であって第２図のＩ−Ｉ
断面を示し、第２図は第１図のII−II断面図である。従
来例及び各図と同一符号を付けるものはおよそ同一機能
を持ち、重複説明を省くこともある。

図において、仕切ブロック２はタンディッシュ１を右
側の分室である出湯室1aと左側の分室である出湯室1bと
の両出湯室に仕切り、各出湯室1a,1bには出湯ノズル４
が設けられる。

仕切ブロック２の中央の垂直な穴５を貫通しタンディ
ッシュ１の側壁1cを巡る閉ループをなす鉄心６と、この
鉄心に巻回した誘導コイル７とは誘導加熱装置８を形成
する。

前記仕切ブロック２には、更に前記穴５の外側で前記
両出湯室1a,1bを連通する一対の溝9a,9bを設け、前記鉄
心６と鎖交する溶湯による１ターンを形成させる。

さて新たに受湯室10が鉄心９のない側の側壁1dに設け
られ、一方の溝9aの中央部と受湯穴10aで連通される。

従来と同様な原理で電気導電体の１ターンの一部を形
成する溝9a,9bの中の溶湯は誘導加熱される。受湯室10
で溶湯の流れ３を受けた溶湯は受湯穴10aに連通する溝9
aで加熱されて両出湯室1a,1bの両出湯ノズル４から出湯
される。溝9b内で加熱された溶湯はII−II断面内でコイ
ル７に近い側からコイルに遠い側へ向う力を受け、コイ
ルに遠い側からは溶湯が電磁力で押し出され、近い側か
らは吸い込まれる。これはみぞ形インダクタでもよく知
られた作用である。その結果、溶湯の供給を受けない溝
9bの中の溶湯も出湯室1a,1bの溶湯の加熱に加わること
になる。

前記実施例の変形を説明する。一方の出湯室に出湯ノ
ズル４を設けないで単なる分室として１ストランド用に
使用してもよい。その際単なる分室の側は小さくすると
よい。また受湯室10と受湯穴10aとを鉄心６のある側の
側壁1cに設けてもよい。その際、受湯室10に並べられた
鉄心６は受湯室10に押しやられるような位置となり、穴
５の位置をそのままにして鉄心６はタンディッシュ１に
対し斜交するようになる。設計上の工夫は容易であり、
同一側壁に鉄心と受湯室が配置されスペースファクタが
よい。

〔発明の効果〕

この発明群のタンディッシュの誘導加熱装置は、タン
ディッシュを分室に仕切る仕切ブロックと、この仕切ブ
ロックの中央の垂直な穴を貫通し前記タンディッシュの
側壁の外側を巡る閉ループをなす鉄心と、この鉄心に巻
回される誘導コイルと、前記穴の外側で前記分室を連通
される一対の溝とからなるタンディッシュの誘導加熱装
置において、 前記側壁に設けられる受湯室と、この受湯室と前記溝
とを連通する受湯穴と、前記分室に設けられる出湯ノズ
ルとを備えるようにしたので、 側壁に設けた受湯室は受湯穴によって誘導電流の流れ
る溝に直結されてタンディッシュ全体が小形になるとい
う効果があり、既設の誘導加熱装置を持たないタンディ
ッシュによる連続鋳造設備をスペースの制約なく誘導加
熱式に変更できて鋼材等の品質を向上できるという効果
がある。

受湯室を鉄心のある側又は無い側に設けることによっ
て更にスペースを節約できたり又は鉄心との干渉から自
由になるという効果がある。

出湯ノズルは両側の分室の一方にも両方にも設けるこ
とができ１ストランド用や２ストランド用のいずれにも
誘導加熱装置の１組で対応できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の水平断面図であって第２図のＩ−Ｉ断
面を示し、第２図は第１図のII−II断面図であり、第３
図は従来例１の溝を含む水平断面図、第４図は従来例２
の溝を含む水平断面図である。 1,10,20……タンディッシュ、1a,1b,11b,21b……出湯
室、２……仕切ブロック、４……出湯ノズル、６……鉄
心、７……誘導コイル、9a,9b……溝、10,11a,21a……
受湯室、10a……受湯穴。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−135088（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−135089（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−135090（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−93455（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−38757（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−150757（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−262053（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−62250（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−190455（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−24092（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−61790（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−108547（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タンディッシュを分室に仕切る仕切ブロッ
   クと、この仕切ブロックの中央の垂直な穴を貫通し前記
   タンディッシュの側壁の外側を巡る閉ループをなす鉄心
   と、この鉄心に巻回される誘導コイルと、前記穴の外側
   で前記分室を連通させる一対の溝とからなるタンディッ
   シュの誘導加熱装置において、 前記側壁に設けられる受湯室と、この受湯室と前記溝と
   を連通する受湯穴と、前記分室に設けられる出湯ノズル
   とを備えることを特徴とするタンディッシュの誘導加熱
   装置。
2. 【請求項２】請求項１記載のタンディッシュの誘導加熱
   装置において、 前記受湯室と前記受湯穴とを前記鉄心の巡る側壁の少く
   とも反対側又は同じ側に設けることを特徴とするタンデ
   ィッシュの誘導加熱装置。
3. 【請求項３】請求項１又は２記載のタンディッシュの誘
   導加熱装置において、 前記出湯ノズルを分室の１方又は両方に設けることを特
   徴とするタンディッシュの誘導加熱装置。