JP2646744B2 - 位相調整変圧器の結線 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は単相交流の位相調整を行う変圧器の結線に関
するものである。

「従来の技術」 第３図は従来の位相調整変圧器の結線・ベクトル図の
一実施例であり、３相入力側が三角結線の場合を示す。
３相の分路巻線は三角結線され、そのUV、VW、WU入力電
圧ベクトル１、２、３と同一鉄心脚に巻かれたそれぞれ
の位相調整用巻線４、５、６の中点がＷ、Ｕ、Ｖ相の中
性点から見た電圧ベクトルの直角成分となるようにＷ、
Ｕ、Ｖ相端子に接続されている。位相調整用巻線４、
５、６の同一相回転方向端末をそれぞれ とすると、Ｕ、Ｖ入力電圧ベクトル１に対し位 ７を得る。

第４図は従来の位相調整変圧器の他の一実施例であ
り、位相調整時の電圧変化を小さくする結線・ベクトル
図であり、３相入力側が星形結線の場合を示す。３相の
分路巻線は星形結線をしており、位相調整用巻線14a、1
4c、15b、15dは、分路巻線のOU電圧ベクトル11と同一鉄
心脚に巻装されている。同じように位相調整用巻線15
a、15c、16b、16dは、分路巻線のＯ、Ｖ電圧ベクトル12
と同一鉄心脚に、位相調整用巻線14b、14d、16a、16cは
分路巻線のOW電圧ベクトル13と同一鉄心脚に巻装されて
いる。位相調整用巻線14a、14b、14c、14dは直列接続さ
れ、これらの巻線郡の中点がＶ相端子と接続されてい
る。同じように位相調整用巻線15a、15b、15c、15dは直
列接続され、これらの巻線郡の中点がＷ相端子に、位相
調整用巻線16a、16b、16c、16dは直列接続され、これら
の巻線郡の中点がＵ相端子に接続されている。

位相調整巻線郡14a〜14d、15a〜15d、16a〜16dの同一
相回転方向端末をそれぞれ とすると、入力側OU、OV、OW電圧ベクトル11、12、13に
対し、位相 ベクトル17、18、19が得られ、UV入力電 単相出力電圧ベクトル24を得る。ここで電圧ベクトル1
7、18、19の絶対値が、電圧ベクトル11、12、13の絶対
値とほぼ等しくなるように位相調整用巻線14a〜14d、15
a〜15d、16a〜16dの巻線が決められ、位相調整時の電圧
変化が少なくなっている。

「発明が解決しようとする課題」 従来の位相調整変圧器において、位相調整用巻線の１
相分の巻線ｘは分路巻線の線間電圧に相当する巻線をｙ
とすると、次の式で表わされる。第３図の結線の場合、 第４図の結線の場合、 位相調整用巻線は３相分必要となるため３・ｘと多くの
巻線を必要とする。また位相調整用巻線は第３図の結線
の場合は３個の巻線が、第４図の結線の場合は12個の巻
線が必要となり、機器が大形化し、高価なものとなる。

「課題を解決するための手段」 本発明は３相の中性点を考慮することなく、出力され
る単相回路のみに位相調整用巻線を配置し単相回路の位
相を調整するようにしたものである。

「作用」 ３相入力のうち出力となる必要な単相回路のみ位相を
変化させることができる。

「実施例」 第１図は本発明の位相調整変圧器の一実施例を示す結
線・ベクトル図であり、３相入力側が星形結線の場合を
示す。３相の分路巻線のＯ、Ｗ電圧ベクトル13と同一鉄
心脚に巻かれた位相調整用巻線21の中点がＶ相端子に接
続されている。位相調整用巻線21の一端を とするとＵ、Ｖ入力電圧ベクトル22に対し、Ｕ、 単相出力電圧ベクトル23のように位相を 変化させることができる。

第２図は本発明の他の実施例であり、位相調整時の電
圧変化を小さくする位相調整変圧器の結線・ベクトル図
であり、３相入力側が三角結線の場合を示す。３相の分
路巻線は三角結線され、そのＶ、Ｗ電圧ベクトル２と同
一鉄心脚に巻装された位相調整用巻線31b、31dとＷ、Ｕ
電圧ベクトル３と同一鉄心脚に巻装された位相調整用巻
線31a、31cとが交互に接続され、その中点がＶ相端子に
接続されている。交互接続された位相調整用巻線31a〜3
1dの一端を とするとＵ、Ｖ入力電圧ベクトル１に対し位相を 変化させたＵ、 単相出力電圧ベクトル32を得ることができる。ここで、
Ｕ、 単相出力電圧ベクトル32の絶対値が、Ｕ、Ｖ入力電圧ベ
クトル１の絶対値とほぼ等しくなるよう位相調整用巻線
31a〜31dの巻線が決められている。以上の実施例は第１
図では３相入力側が星形結線の場合を第２図では、三角
結線の場合を示したが、それぞれ三角結線、星形結線で
も同等の効果が得られる。また、上記実施例は３相入力
側と単相出力側が電気的に絶縁されていない単巻方式で
あるが、電気的に絶縁された２巻線方式でも同等の効果
を有する。

「発明の効果」 本発明を採用することにより下記の効果がある。

（１）位相調整用巻線の巻線ｘは、分路巻線の線間電圧
に相当する巻数をｙとすると次式で表わされる。

第１図の結線の場合、 第２図の結線の場合、 この第１図、第２図の場合の巻線ｘは、従来の第３図、
第４図の３相分巻線３・ｘとそれぞれ比較すると となっており、巻線容量を小さくすることができる。

（２）位相調整用巻線は第１図の結線の場合は１個の巻
数が、第２図の結線の場合は４個の巻線ですみ、従来の
第３図、第４図の結線の場合とそれぞれ比較すると1/3
に減少できる。

（３）上記（１）、（２）項により機器を大幅に小形、
軽量、安価にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本発明の一実施例を示す位相調整変圧
器の結線・ベクトル図であり、第３図、第４図は従来の
一実施例を示す位相調整変圧器の結線、ベクトル図であ
る。 １、２、３……分路巻線により誘起される入力電圧ベク
トル、17、18、19……分路巻線により誘起される電圧ベ
クトル、22……入力電圧ベクトル、７、23、24、32……
単相出力電圧ベクトル、８、９、17、18、19……出力側
の電圧ベクトル、４、５、６、14a、14b、14c、14d、15
a、15b、15c、15d、16a、16b、16c、16d、21、31a、31
b、31c、31d……位相調整用巻線。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】３相を入力し、単相（２相）を出力する位
   相調整変圧器において、出力する２相の単相回路の位相
   調整を入力した３相のうち基準となる２相に対し、出力
   する２相の位相ベクトルを位相調整用巻線で行うことを
   特徴とする位相調整変圧器の結線。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第（１）項において、位相
   調整用巻線には、入力した３相のうち基準となる２相が
   印加される巻線の電圧ベクトルを基準ベクトルとし、そ
   れ以外の巻線に印加される電圧ベクトルは、基準ベクト
   ルと異なるベクトルを有する巻線を使用して、位相調整
   時の電圧変化を小さくしたことを特徴とする位相調整変
   圧器の結線。