JP2633920B2 - 導電性を有する成形用樹脂組成物および電磁波シールド構造体 - Google Patents

導電性を有する成形用樹脂組成物および電磁波シールド構造体

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JP2633920B2 JP22235288A JP22235288A JP2633920B2 JP 2633920 B2 JP2633920 B2 JP 2633920B2 JP 22235288 A JP22235288 A JP 22235288A JP 22235288 A JP22235288 A JP 22235288A JP 2633920 B2 JP2633920 B2 JP 2633920B2
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    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
    • B29B9/00Making granules
    • B29B9/12Making granules characterised by structure or composition
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    • B29B9/00Making granules
    • B29B9/02Making granules by dividing preformed material
    • B29B9/06Making granules by dividing preformed material in the form of filamentary material, e.g. combined with extrusion

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、導電性せんい束を一方向に特定の熱変形温
度範囲の熱可塑性樹脂で被覆し、一定長さに切断した柱
状ペレットにおいて、少くとも2種を混合した導電性せ
んい複合樹脂組成物及びそれを用いて成形した電磁波シ
ールド構造体に関する。
〔従来の技術〕
電磁波シールドを目的として、プラスチック成形品に
シールド機能を賦与する方法として、従来種々の手段が
講じられており、金属被覆を設けるめっき法、金属溶射
法、導電塗膜を設ける導電塗装法および金属せんいやフ
レーク状導電性物質混合樹脂の成形法などが知られてい
る。
これらに関連するものとして、特開昭59−22710、特
開昭59−49918、特開昭62−45659および特公昭62−3606
9等が挙げられる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記の従来技術は、大きく次の2つに分類される。一
つは、プラスチック成形筐体に導電性被膜を付着する方
法であり、二つは、導電性素材を含有する樹脂を成形し
筐体とする方法である。
前者の導電性被膜付着法の問題点として、加工工程が
多く、手数を要すること、作業環境整備の設備費用と労
力を要すること、加えて信頼性に関する不安要素をもつ
こと、即ち被膜の付着力の長期間にわたる維持と導電性
能劣化に関し、信頼性データの蓄積がなく、シールド機
能の変化が懸念されること等が挙げられる。
後者の導電性素材複合樹脂の成形筐体に関しては、特
に導電性能の低下の問題がある。その一つは、耐久性能
を評価する繰返し熱衝撃試験(ヒートサイクルテスト)
では、繰返し数の増加と共に導電性能が劣化し、これに
伴ないシールド効果の低下の問題がある。さらに他の大
きな問題として導電性せんいを樹脂に混ぜて成形用ペレ
ットを造る際に、溶融樹脂との混練時のせん断力による
せんいの切断とその度合いに比例してシールド効果の低
下を招来する問題を持っていることである。そのため、
せんいの切断を見越して、予め充填する導電性せんいの
量を多くする必要があり、生産性の低下と成形品重量の
増大という二次的問題が発生する。
本発明の目的は、上記従来技術の諸問題ならびにシー
ルド技術に関する新たな課題を解決するためになされた
ものである。すなわち、生産性、経済性に富み、シール
ド機能の長期間にわたる安定的維持を達成するために、
電磁波シールド機能に好適な導電性せんい複合樹脂組成
物の新規な製造法とこれを用いて成形した電磁波シール
ド構造体を提供することである。加えて、導電性樹脂組
成物に放熱性を新規に付与することによって、電子機器
の安定的動作機能の維持を強化したことである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、電磁波シールド機能を付与するための導電
性せんいを一方向に、特定の熱変形温度範囲の熱可塑性
樹脂または充填材複合可塑性樹脂で被覆し、一定長さに
したペレット状組成物の2種以上の導電性せんい複合樹
脂組成物を用いて、射出成形、移送成形、圧縮成形、真
空・圧空成形、押出成形などの成形手段により達成され
るもので、目的とする電磁波シールド機能に優れる構造
体が生産性、経済性、信頼性に関し、高いレベルで実現
できる。
電磁波シールド性能の向上には、導電性せんいのアス
ペクト比を大きくとり充填量当りの接点効果を大きくし
た鉄系金属せんい(ステンレス系長さ/径比(アスペク
ト比):400〜2000)を必須成分とし、これに導電性に加
え熱放散性ならびに経済性に優れる他の材質の導電性せ
んいあるいは金属メッキ処理したせんいを併用すること
によって、シールド性能とその安定的維持のみならず、
生産性、経済性に優れる工業的価値を付加できる。
また導電性せんい複合樹脂の成分とつくり方に従来に
みられない工夫を行なった。
導電性せんいは、樹脂との混合時に、通常の混練法で
は切断し易く、シールド性能の低下に繋がるため、これ
を防止する方法すなわち導電性せんいを一方向に連続的
に特定の熱変形温度範囲の熱可塑性樹脂または充填剤入
熱可塑性樹脂で被覆する新規な方法を構築した。
この導電性せんいの該樹脂被覆組成物は成形用素材と
なるため成形し易いことが重要となる。
そこで、接点効果を阻わないレベルで成形性を保持す
る適正長さの範囲を設定した。
また成形品は、電磁波シールド構造体として用いるた
め、シールド機能を長期にわたって保持する必要があ
る。すなわち使用環境における温度変化や輸送時の振動
負荷に耐えてシールド機能や強度の劣化を防ぐ必要があ
る。
そこで、この目的にそうため特定の熱変形温度範囲の
熱可塑性樹脂または充填材入樹脂を用いる工夫を行なっ
た。基材樹脂として、高い熱変形温度の樹脂または充填
材入樹脂を用いることにより、熱ストレスによる応力緩
和を少なくし、強度の高いレベルでの保持と寸変安定性
を向上させた。
ここで特定範囲の高い熱変形温度を有する熱可塑性樹
脂と充填材入樹脂の作用効果を考察すると前者は、いわ
ゆる冷熱サイクルなどの熱ストレスに対して応力緩和し
難く、樹脂中に存在する導電性せんい同士の接触点のズ
レを防止できるのみならず、寸法変化を小さく抑える効
果を有する。
後者の充填材入樹脂は、上述の効果に加え、導電性せ
んいと樹脂間の熱膨張の差異を小さくするため導電性せ
んい接触点のズレの防止に一層の効果を付加するのみな
らず、放熱性に優れるため、電子機器の駆動に伴い発生
する熱を積極的に放散できるため、電子機器の安定的駆
動に大きな効果をもたらすものである。
〔作用〕 従来の混練時のせんい切断の問題を解消する一定長さ
の導電性せんいと特定の熱変形温度範囲の熱可塑性樹脂
または充填材入高熱変形温度の樹脂の組合せにより、長
期にわたる電磁波シールに機能の保持効果の格段の向上
を達成した。
鉄系金属せんい(ステンレス)の極細線を用いること
必須成分としたことは、多くの接点の形成能を利用し
て、他の導電性せんいとの併用による導電性能の向上の
効果に加え、銅系せんいとの併用では、銅の優れた導電
性を利用して、少ない配合率で導電性能を向上でき、そ
の少なさによる成形性の低下の防止と、成形品の比重の
小さくできることが、最終製品の筐体を軽くする効果を
奏した。
また金属被覆カーボンせんい等の他の導電性せんいを
用いることにより本来比重が小さいため、成形性、軽量
構造体の点で、従来にない効果を生じた。
また本発明の基材樹脂は、熱変形温度が高く、応力緩
和の少ない材料を用いたことにより、熱衝撃試験に対す
る変化の度合を小さく抑制でき、最終製品の筐体の電磁
波シールド性能を長期にわたって維持できる効果を奏す
るものである。
また充填材は、成形品の寸法安定性を増大し、放熱性
を促進し易いことから、電子機器においては、稼動の安
定性と信頼性を増大する効果がある。
〔実施例〕
本発明の構成は、導電性せんい素材、特定の熱変形温
度範囲の熱可塑性樹脂または充填材入熱可塑性樹脂とこ
れらを複合するペレットの製造法、ペレットを用いて成
形する方法および成形された電磁波シールド機能構造体
である。
これらの材料、プロセス、構造体について詳述する。
本発明で用いられる導電性せんいは、金属せんいある
いは金属被覆せんいである。即ち更に詳細に述べると、
下記A群、B群、C群、D群から選ばれた少なくとも2
種類から構成されるものでA群を必須成分とすると2〜
5種類のせんいから成ることを特徴とする。
A群:鉄系金属せんい(ステンレスせんい) 断面径5〜15μm B群:銅系金属せんい(真鍮、洋白) 断面径15〜60μm C群:アルミニウム系金属せんい(A5052、7075) 断面径15〜60μm D群:金属被覆せんい(ニッケルめっき炭素せんい、ニ
ッケル〜銅めっきガラスせんい、ニッケル〜銅めっき高
分子せんい。
次に本発明の構成要素である熱可塑性樹脂について示
す。特徴的なことは、熱変形温度が80〜210℃の熱可塑
性樹脂を用いることである。この理由は、最終目的とす
る電子機器筐体の電磁波シールド機能の発現とその長期
的維持をはかるためには、導電性せんい同士が3次元的
にからみ合い接触点をもつことにより、いわゆる網目構
造の導電回路が形成され、その接点の接触圧を維持する
ために樹脂の応力緩和特性があるレベル以上を持つ必要
性から規定されたからである。
この点から熱変形温度は、高い方が望ましいが、210
℃を越えると成形性が悪くなるため上限温度として制約
される。従ってより好ましい熱変形温度範囲は100〜150
℃、特に好ましくは、110〜130℃である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、下記の中から選
ばれるいずれか一種を用いることができる。
これらの材料は、最終的に用いられる各種の電子機器
に要求される強度レベルに合せて選ぶことができる。
熱可塑性樹脂:ポリフェニレンエーテル、ポリエーテル
スルホン、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、耐
衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポ
リプロピレン及びポリマーアロイのポリフェニレンエー
テル/ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート/ポ
リカーボネート、ABS樹脂/ポリカーボネート、耐衝撃
性ポリスチレン/ポリカーボネート。
充填材は、下記の中から選ばれた少くとも1種類を上
記熱可塑性樹脂を配合して用いられる。これは放熱性と
寸法安定性をねらったものである。
B群:石英粉(平均粒径20〜30μm) F群:金属フレーク(Mg、Al)1〜2mm角 10〜100mm厚の切片 G群:めっきマイカ、1〜2mm角、10〜100mm厚の切片 H群:炭素せんい、径7〜25μm、長さ1〜5mm 上記、熱可塑性樹脂中には、必要に応じて、着色顔
料、難燃剤、内部離型剤、酸化防止剤等の添加剤を0.5
〜5wt%含むことが望ましい。
上記導電性せんいと特定の熱変形温度範囲の熱可塑性
樹脂または充填材入り熱可塑性樹脂を用いて、第1図に
示すクロスヘッドを押出機にセットし製造した金属束せ
んいを当該熱可塑性樹脂で被覆した連続導体線を3〜10
mmの一定長さに切断した柱状ペレットの断面を第2図に
示す。
この場合、導電性せんいの当該熱可塑性樹脂中への配
合率は、不要電磁波のシールド能力のレベルによって決
められるが、米国連邦通信委員会(FCC)の規制および
我国電気業界の自主規制(VCCI)等を満足することが必
要であり、種々検討した結果、充填剤を除く熱可塑性樹
脂に対する導電性せんいの配合比率の適正範囲は次の通
りである。
A群:鉄系金属せんい1〜10wt% B群:銅系金属せんい20〜30wt% C群:アルミニウム系金属せんい2〜15wt% D群:金属被覆せんい5〜15wt% 本発明では、鉄系金属せんいを必須成分とするところ
に一つの特徴がある。鉄のみでも充分なシールド効果を
得ることは可能であるが、導電性は他の材料に比べてレ
ベルが下がること、経済性が他の材料に比べて大巾に不
利であることの欠点をもつが、熱衝撃特性に著しく優れ
る長所がある故に欠点部分を少なくし、長所を生かすた
め他の材料との組合せが最適であることを見出したこと
による。各種の導電性せんいの組合せは、最終製品の要
求レベルに合うように選択されるが、トータルの重量分
率は7〜40wt%が好ましい。
本発明で得られる一定長さのペレットを用いて、電子
機器用筐体を成形するには、通常の射出成形材を用いて
容易に成形できる。なぜなら、本発明の導電性せんいの
容積分率は高々7vol%程度と小さいからである。筐体を
射出成形するときに導電性せんいの切断が起り得る可能
性は皆無とは云えないが、ペレットを造るときの樹脂と
の溶融混練時の切断の起り得る度合に比べればはるかに
小さい。
本発明は、この点を工夫し、溶融混練時の切断の問題
を解消するため一定長さのペレットが得られるようにし
た処に大きな特徴がある。
以下実施例により、さらに詳細に説明する。
実施例を述べるに当り、代表的な素材およびペレット
の製造方法、特性の評価法について示す。
〔導電性せんい〕
鉄系金属せんい(ステンレススチール、SUSと略記:8μ
m 銅系金属せんい(Cuと略記):50μm ニッケルめっき炭素せんい(Ni−カーボンと略記):12
μm ニッケル−銅めっきアクリルせんい(Ni−アクリルと略
記):15μm 〔熱可塑性樹脂(代表例)〕 ポリカーボネート樹脂、熱変形温度 130℃ ポリフェニレンエーテル樹脂、熱変形温度 120℃ 〔充填剤〕 石英粉(平均粒径25μm Alフレーク(1×1×0.1mm切片) 上記導電性せんいと熱可塑性樹脂による芯状ペレット
の製造法は、本発明のダイスを搭載したクロスヘッド
(第1図)をもつ2軸スクリー押出機(混練押出用スク
リュー径32mmφ、3条ねじ、L/D=28)に設置し、導電
性せんい束を連続的に供給し、当該溶融樹脂で被覆した
単芯状連続体を冷却工程を経て適正長さ(7mm)カッテ
ィングした。
ここで得られた単芯状ペレットを2種類から成る導電
性せんい複合熱可塑性樹脂の成形条件で試験片(200mm
□×3t)および電子機器筐体を成形した。後者の筐体に
ついて第3図、第4図および第5図に示す。なお必要に
応じて、導電性せんい濃度を調節用に通常行われている
基材熱可塑性樹脂を混ぜて稀釈することも可能である。
電子機器筐体の電磁波シールド機能に関しては、電子
機器の最も過酷な稼動状態下で発生する不要電磁波に対
するシールド能力を業界自主規制(VCCI)内容に則して
実測した。
導電性せんい複合樹脂の耐久性の評価尺度の一つとし
て行なった熱衝撃試験は、試験片および電子機器筐体を
−20℃恒温槽中に2時間放置し、すぐに次の70℃恒温槽
中に2時間放置することを1サイクルとして、30サイク
ル繰返した。
実施例 第1表に、本発明に基づき製造した導電性せんい複合
熱可塑性樹脂の柱状ペレットを用いて成形した試験片の
体積固有抵抗ならびに電子機器筐体の放射電界強さを示
す。いずれの値も満足するレベルにある。比較に用いた
従来法の特性値は第2表に既述した通りである。比較例
No.2の試料と上記実施例5とを比べると、少ない配合比
で同等の効果が示されており、本発明の有効さを裏付け
るものである。こゝで比較例について、第2表の初期特
性値および第6図の熱衝撃試験結果について詳述する。
第b図は従来の導電性せんい単体系として、銅せん
い、直径50μm、長さ7mmのものを押出機により15wt%
を樹脂で溶融混練したポリフェニレンエーテル樹脂50
(比較例1)、同様にして得た銅せんい(40wt%)複合
ポリフェニレンエーテル樹脂51(比較例2)および鉄系
金属せんいとしてSUS304、直径8μm、長さ7mmのもの1
5wt%複合ポリフェニレンエーテル樹脂52(比較例3)
のペレットを用い射出成形した平板(200mm□×30mm)
に関する体積固有抵抗の熱衝撃試験サイクル数による変
化を示す。
導電性せんいの配合比率が一定(15wt%)のときは、
鉄系金属せんい(SUS304)複合材が銅系せんい複合材に
比べ体積固有抵抗は小さく、導電性に優れている。この
ことは、鉄系金属せんいの直径が小さく、接点の形成数
が銅系に比べ、はるかに覆いことおよび混練時に銅せん
いが切断され易いことによるものと考えられる。
銅系せんいで体積固有抵抗を下げるには、第6図51お
よび第2表に示されるように、配合比率を増やす必要が
ある。たゞし、複合材料として比重の増大、成形性と強
度の低下を招くため得策でない。
また上記複合材料の成形平板を熱衝撃試験(−20℃×
2h+70℃×2h)したあとの体積固有抵抗の変化率は、鉄
系せんいに比べ、銅系せんいの方がはるかに大きい。従
って、銅系せんい複合材は耐久性の点で実用的には使え
ない。
銅系せんい複合材の体積固有抵抗の変化率が大きい理
由は、熱伝導率が大きく、基材樹脂の応力緩和を促進
し、接点の接触圧力の低下を促進する効果に基づくもの
と考えられる。
従って、基材樹脂としては、応力緩和し難い、すなわ
ち熱変形温度の高いものが望まれる。
鉄系金属せんい複合材は、熱衝撃試験に対する変化率
が小さく、この点では大変有利な材料であるが、極細せ
んいを得る過程で、多くの工程を要する上、銅系せんい
に比べ価格は数倍と高価で、特性と経済性の点で、単独
系で用いることは問題である。
この観点から銅系センイ複合樹脂の導電性の初期値が
優れる点を生かし、鉄系金属せんいの熱衝撃に対する変
化の少ない利点を生かした併用系の複合金属せんいが有
効であることを見出した。鉄系せんいは線径が細い故
に、接点数を増やす効果を利用したものである。鉄系せ
んいの代りにユッケル被覆炭素せんいも利用できるが、
製造工数、体積固有抵抗、価格の点でやゝ問題があり、
鉄系せんいを凌賀し得ない。また銅系せんいの代りに、
アルミニムウ系金属せんい、ニッケル一銅めっき、高分
子せんい、ニッケル一銅めっきガラスせんいを用いるこ
とができ、総合的にみて鉄系金属せんいを必須成分とす
る他の金属せんいまたは金属被覆せんいとの組合せが有
効である。
本発明により製造した導電性せんい併用系材料72(第
1表記載の実施例5)に関し、体積固有抵抗を第6図に
併載した。
熱衝撃試験による体積固有抵抗の変化は比較的少な
い。なお、実施例5は、他の実施例と同様とPPEの熱変
形温度120℃の樹脂を用いているものであるが、参考ま
でに熱変形温度70℃のPPEを用いた場合(71で示す。)
は、体積固有抵抗の変化率は著しく大きくなる。これ
は、応力緩和の促進作用が大きいことによる。
次に第1表の実施例および第2表の比較例に示す導電
性せんい組成物の代表例について、熱衝撃試験した結果
を第3表および第7図に示す。一部体積固有抵抗に関し
ては、第6図に併記した。
第3表に示されるように、従来技術による比較例1お
よび比較例2は、体積固有抵抗の変化が急激に大きくな
り、電子機器筐体の30回熱衝撃試験後の電磁波シールド
機能は、著しく低下し、実用に全く共し得ないまでに至
る。
実施例1の初期値(73で示す)および熱衝撃試験30回
後(73′で示す)の電子機器筐体の放射電界強さは第7
図に示すように、極めて安定して優れていることがわか
る。実施例3についても同様に優れたレベルにある。
〔発明の効果〕 本発明は、導電性せんいを複合した熱可塑性樹脂組成
物による成形体が、電子機器から発生する不要電磁波を
遮蔽する機能を付与する最も有効な方法を具現したもの
で、その特有の効果を要素技術対応で述べる。
導電性せんい複合ペレットを製造する方法において、
せんい切断が全くない一定長さの単芯線ペレットが得ら
れ、導電機能が充分に発揮できることに加え、鉄系極細
せんいを必須成分としたことに加え、鉄系極細せんいを
必須成分としたことにより接点効果が大きく、他の導電
性せんいとの併用による少ない配合率で導電性の向上す
なわちシールド機能の向上が計れること、それ故に成形
性が良く、比重の増加を小さく抑制できることの効果を
生んだ。加えて充填材を用いたことにより成形品全体と
しての寸法安定性を維持し、放熱性を向上したことによ
る電子機器の稼動安定性を向上できる効果を生んだ。ま
た熱変形温度の高い基材樹脂により、耐熱衝撃性を大巾
に向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明において使用される単芯状線の製造用
クロスヘッドを示す断面図、第2図は、一定長さにカッ
トしたペレットを示す斜視図、第3図は、電子機器のCR
Tユニット、第4図は、第3図のA−A断面図、第5図
はCRTユニットの分解斜視図、第6図は体積固有抵抗と
熱衝撃サイクルとの関係図、第7図は、電子機器の放射
電界強さの周波数特性を示す特性図である。 1……導電性せんい導入孔、6……充填材入熱可塑性樹
脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 明一 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社 日立製作所神奈川工場内 (72)発明者 岩井 進 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社 日立製作所神奈川工場内 (56)参考文献 特開 昭61−100415(JP,A) 特開 昭62−138537(JP,A) 特開 昭60−162604(JP,A)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄系金属せんいを必須成分とし、これと材
    質、径の異なる導電性せんいを少くとも1種、それぞれ
    独立束として長さ、方向に連続的に、特定の熱変形温度
    範囲の熱可塑性樹脂充填材複合熱可塑性樹脂で被覆し、
    一定長さの柱状ペレットの混合系から構成される導電性
    を有する成形用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】導電性せんいとして鉄系金属せんい束を押
    出機のクロスヘッド部に連続的に供給し、本体部で可塑
    化溶融した特定の熱変形温度範囲の熱可塑性樹脂または
    充填材複合熱可塑性樹脂で被覆し、冷却工程を経たの
    ち、6〜10mmの範囲で一定の長さに切断した単芯性柱状
    ペレットを必須成分とし、これと材質、径の異なる導電
    性せんい束を用いて、同様の方法で、長さ方向に連続的
    に、特定の熱変形温度範囲の熱可塑性樹脂で被覆し、3
    〜9mmの範囲で一定長さに切断した柱状ペレットの中か
    ら選ばれた少くとも1種から混合して構成される導電性
    成形用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】導電性せんいとして、鉄糸金属せんいを必
    須成分とし、これと材質、径の異なる導電性せんいの少
    くとも1種を、それぞれ束状の独立コアとして並列配置
    し、長さ方向に連続的に充填材複合熱可塑性樹脂で、同
    時に被覆し、長さ6〜10mmの範囲内で一定長さに切断し
    た多芯状柱状ペレットとした導電性成形用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】鉄系金属せんいは、アスペクト比が400〜2
    000で、径が5〜15μmであり、これと材質、径の異な
    る導電性せんいは、アスペクト比が50〜600で、径が15
    〜60μmの銅系金属せんい、アルミニウム系金属せん
    い、金属膜被覆無機せんい、金属膜被覆有機せんいの少
    くとも1種から選ばれたものであることを特徴とする請
    求項1、2または3記載の導電性成形用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】導電性せんいの熱可塑性樹脂に対する配合
    率は、下記の通りであることを特徴とする請求項4記載
    の導電性成形用樹脂組成物。 鉄系金属せんい:1〜10wt% 銅系金属せんい:20〜30wt% アルミニウム系金属せんい:2〜15wt% 金属膜被覆無機せんい:5〜15wt% 金属膜被覆有機せんい:5〜15wt%
  6. 【請求項6】鉄系金属せんいは、ステンレス・スチール
    せんいであり、銅系金属せんいは、銅、真鍮または洋白
    せんいの少くとも1種であり、アルミニウム系金属せん
    いはアムニウムせんいであり、金属膜被覆無機せんい
    は、ニッケルめっき炭素せんい、銅・ニッケルめっきガ
    ラスせんいの少くとも1種、金属膜被覆有機せんいは、
    銅・ニッケルめっき有機高分子せんいの少くとも1種で
    あることを特徴とする請求項4記載の導電性成形用樹脂
    組成物。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂の熱変形温度範囲が80〜210
    ℃であることを特徴とする請求項1、2または3記載の
    導電性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】熱可塑性樹脂が、ABS樹脂、耐衝撃性ポリ
    スチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテ
    ル、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレー
    ト、ナイロン、ポリプロピレンおよびポリマーアロイと
    してのABS樹脂/ポリカーボネート、耐衝撃性ポリスチ
    レン/ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル/ポ
    リカーボネート、ポリブチレンテレフタレート/ポリカ
    ーボネートのいずれか一種であることを特徴とする請求
    項1、2または3記載の導電性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】熱可塑性樹脂は、充填材を熱可塑性樹脂に
    対して5〜20重量%含有していることを特徴とする請求
    項1、2または3記載の導電性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】充填材は平均粒径20〜30μmの石英粉、
    2mm角以下の金属フレーク、2mm角以下のめっきマイカ切
    片、径7〜25μm、長さ2〜5mmの炭素せんいのうち少
    くとも1種類であることを特徴とする請求項9記載の導
    電性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】請求項1、2または3記載の導電性樹脂
    組成物を用いて成形した電磁波シールド構造体。
  12. 【請求項12】電磁波シールド構造体が電子機器筐体、
    帯電防止用電子部品容器であり、その成形を射出成形、
    移送成形あるいは真空・圧空成形で行うことを特徴とす
    る請求項11記載の電磁波シールド構造体。
  13. 【請求項13】電磁波シールド構造体が電磁波シールド
    用壁電子黒板保護枝、標示用保護枝であり、その成形を
    押出シート成形により行うことを特徴とする請求項11記
    載の電磁波シールド構造体。
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