JP2633623B2 - 耐摩耗性・高潤滑性複合部材 - Google Patents
耐摩耗性・高潤滑性複合部材Info
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- JP2633623B2 JP2633623B2 JP63120012A JP12001288A JP2633623B2 JP 2633623 B2 JP2633623 B2 JP 2633623B2 JP 63120012 A JP63120012 A JP 63120012A JP 12001288 A JP12001288 A JP 12001288A JP 2633623 B2 JP2633623 B2 JP 2633623B2
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Description
【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は機械の摺動部等に使用される耐摩耗性・高潤
滑性複合部材に関し、基体部材表面にCr−Ｎ系の高硬度
膜を被覆してなる耐摩耗性・高潤滑性複合部材に関する
ものである。
滑性複合部材に関し、基体部材表面にCr−Ｎ系の高硬度
膜を被覆してなる耐摩耗性・高潤滑性複合部材に関する
ものである。
［従来の技術］ 自動車や工作機械の軸受部材等は、過酷な摺動条件下
で使用されることからその表面に耐摩耗性並びに潤滑性
を高める為の表面処理が施される。こうした表面処理技
術としては従来電気めっきや無電解めっきが一般的であ
り、殊に硬質Crめっき膜や硬質アルマイト処理の技術が
採用されることが多い。
で使用されることからその表面に耐摩耗性並びに潤滑性
を高める為の表面処理が施される。こうした表面処理技
術としては従来電気めっきや無電解めっきが一般的であ
り、殊に硬質Crめっき膜や硬質アルマイト処理の技術が
採用されることが多い。
しかるに上記従来技術の表面処理膜は、膜強度が不足
すると共に基材と膜との密着性が低く耐摩耗性に欠ける
面があり、軸受部材等の表面処理技術としては満足し得
るものではなかった。特に前記工作機械等の高性能化に
伴なって軸受部材等の使用条件は益々過酷化する傾向に
あることから、耐摩耗性並びに潤滑性の一層優れた軸受
部材等の必要性が高まっている。
すると共に基材と膜との密着性が低く耐摩耗性に欠ける
面があり、軸受部材等の表面処理技術としては満足し得
るものではなかった。特に前記工作機械等の高性能化に
伴なって軸受部材等の使用条件は益々過酷化する傾向に
あることから、耐摩耗性並びに潤滑性の一層優れた軸受
部材等の必要性が高まっている。
一方耐摩耗性膜被覆技術として、最近PVD法やCVD法の
普及が著しく種々の分野でその利用が進んでいる。軸受
部材等の表面処理にもこれらの方法の適用が検討されて
おり、各種窒化物膜や炭化物膜が被覆膜として考えられ
ているが、例えばTiN膜の場合には潤滑性に問題があ
り、焼付等を生じ易いという欠点がある。又Crあるいは
Cr窒化物も検討されているが、いずれも硬度が低く、ク
ラックが入り易かったりして耐摩耗性に問題がある。
普及が著しく種々の分野でその利用が進んでいる。軸受
部材等の表面処理にもこれらの方法の適用が検討されて
おり、各種窒化物膜や炭化物膜が被覆膜として考えられ
ているが、例えばTiN膜の場合には潤滑性に問題があ
り、焼付等を生じ易いという欠点がある。又Crあるいは
Cr窒化物も検討されているが、いずれも硬度が低く、ク
ラックが入り易かったりして耐摩耗性に問題がある。
［発明が解決しようとする課題］ 本発明はこうした事情に着目してなされたものであっ
て、基本的には硬質Crめっきや硬質アルマイト処理に代
えてPVD法等の耐摩耗性膜被覆技術を適用することによ
り耐摩耗性等の優れた軸受部材等の被覆部材を提供しよ
うとするものであり、特に耐摩耗性並びに潤滑性の双方
に優れた被覆膜について検討を重ねることによってこれ
ら両特性を兼ね備えた膜を被覆してなる複合部材を提供
しようとするものである。尚上記説明では軸受部材を中
心にして述べているが、本発明の適用対象は耐摩耗・高
潤滑性の要求される全ての部材を包含するものである。
て、基本的には硬質Crめっきや硬質アルマイト処理に代
えてPVD法等の耐摩耗性膜被覆技術を適用することによ
り耐摩耗性等の優れた軸受部材等の被覆部材を提供しよ
うとするものであり、特に耐摩耗性並びに潤滑性の双方
に優れた被覆膜について検討を重ねることによってこれ
ら両特性を兼ね備えた膜を被覆してなる複合部材を提供
しようとするものである。尚上記説明では軸受部材を中
心にして述べているが、本発明の適用対象は耐摩耗・高
潤滑性の要求される全ての部材を包含するものである。
［課題を解決するための手段］ しかして上記目的を達成した本発明部材は、体積比で
Cr:30％以下及び／またはCrN:40％以下を含み、残部がC
r2NまたはCrとCr2Nからなり、且つ膜厚が0.5〜10μｍで
ある皮膜を、基材表面に被覆してなる点に要旨を有する
ものである。
Cr:30％以下及び／またはCrN:40％以下を含み、残部がC
r2NまたはCrとCr2Nからなり、且つ膜厚が0.5〜10μｍで
ある皮膜を、基材表面に被覆してなる点に要旨を有する
ものである。
［作用］ 本発明者等の研究によると、PVD法によって基体部材
表面にCr−Ｎ膜を形成した場合の膜組成はN/Cr比が1.0
のCrNだけではなく、製膜条件によってN/Cr比の異なる
種々の膜が形成される。そして従来の考え方では基体部
材表面にCrN膜を被覆することによって潤滑性を備えた
耐摩耗性膜を形成することができるとされていた。しか
しながらCr−Ｎ系膜における結晶組成と機械的性質の関
係を克明に調べてみると、耐摩耗性に関してはCrN相よ
りむしろCr2N相がその改善に寄与することを見出し、さ
らに検討を重ねた結果、前記構成に示される本発明部材
を完成するに至った。
表面にCr−Ｎ膜を形成した場合の膜組成はN/Cr比が1.0
のCrNだけではなく、製膜条件によってN/Cr比の異なる
種々の膜が形成される。そして従来の考え方では基体部
材表面にCrN膜を被覆することによって潤滑性を備えた
耐摩耗性膜を形成することができるとされていた。しか
しながらCr−Ｎ系膜における結晶組成と機械的性質の関
係を克明に調べてみると、耐摩耗性に関してはCrN相よ
りむしろCr2N相がその改善に寄与することを見出し、さ
らに検討を重ねた結果、前記構成に示される本発明部材
を完成するに至った。
即ちCrN膜は潤滑性に優れた耐摩耗性膜であり、軸受
部材等の用途に適しているが、前述した様に膜硬度が低
く［ビッカース硬度（Hv）:1000〜1200kg/mm2］、耐摩
耗性に問題があった。これに対しCr2N膜はビッカース硬
度（Hv）が1600kg/mm2以上にも及び、高硬度であるが故
に優れた耐摩耗性を発揮すると考えられる。尚α−Cr相
のビッカース硬度（Hv）は800kg/mm2程度である。従っ
てPVD法によってより基体部材表面にCr−Ｎ膜を被覆す
るに当たっては、Cr2N膜あるいはCr2Nの占める割合が大
きく、Cr−Ｎ膜が形成されることによって耐摩耗性の優
れた本発明被覆部材を得ることができる。尚潤滑性に関
してはCr2N相よりCrN相の方が良好な性質を示すが、Cr
−Ｎ系膜であるCr2N相も潤滑性を大幅に低下させること
はなく、満足し得る値を確保することができる。又PVD
法においてCr−Ｎ膜の組成を制御するに際しては、後記
実施例に示す様に例えば成膜雰囲気のN2圧力を調整すれ
ばよいが、他の手段で組成制御を行なうことも許され
る。
部材等の用途に適しているが、前述した様に膜硬度が低
く［ビッカース硬度（Hv）:1000〜1200kg/mm2］、耐摩
耗性に問題があった。これに対しCr2N膜はビッカース硬
度（Hv）が1600kg/mm2以上にも及び、高硬度であるが故
に優れた耐摩耗性を発揮すると考えられる。尚α−Cr相
のビッカース硬度（Hv）は800kg/mm2程度である。従っ
てPVD法によってより基体部材表面にCr−Ｎ膜を被覆す
るに当たっては、Cr2N膜あるいはCr2Nの占める割合が大
きく、Cr−Ｎ膜が形成されることによって耐摩耗性の優
れた本発明被覆部材を得ることができる。尚潤滑性に関
してはCr2N相よりCrN相の方が良好な性質を示すが、Cr
−Ｎ系膜であるCr2N相も潤滑性を大幅に低下させること
はなく、満足し得る値を確保することができる。又PVD
法においてCr−Ｎ膜の組成を制御するに際しては、後記
実施例に示す様に例えば成膜雰囲気のN2圧力を調整すれ
ばよいが、他の手段で組成制御を行なうことも許され
る。
第１図は、PVD法における成膜雰囲気のN2圧力と膜中
の結晶構造との関係を示すグラフであり、N2圧力の増加
につれて結晶形態はα−CrからCr2NさらにCrNへと変化
することが分かる。Cr2Nが形成されるN2圧力はCrの蒸発
量により変動するが、Cr蒸発量の如何にかかわらずCrと
Cr2Nの混合相,CrNとCr2Nの混合相又は反応状態によって
は、Crが一部残留しCr,CrN,Cr2Nの混合相が形成される
領域が夫々存在する。そして前記した様に高硬度である
Cr2N相の割合が増大するほど硬度が高くなり、耐摩耗性
を高めることができる訳であるが、Cr及びCrNがある程
度存在していても満足し得る高硬度を確保することがで
きる。即ちCr及び／又はCrNとCr2Nとの混合膜においてC
rが体積比で30％以下及び／又はCrNが体積比で40％以下
であれば目的とする高硬度ひいては耐摩耗性を得ること
ができる。
の結晶構造との関係を示すグラフであり、N2圧力の増加
につれて結晶形態はα−CrからCr2NさらにCrNへと変化
することが分かる。Cr2Nが形成されるN2圧力はCrの蒸発
量により変動するが、Cr蒸発量の如何にかかわらずCrと
Cr2Nの混合相,CrNとCr2Nの混合相又は反応状態によって
は、Crが一部残留しCr,CrN,Cr2Nの混合相が形成される
領域が夫々存在する。そして前記した様に高硬度である
Cr2N相の割合が増大するほど硬度が高くなり、耐摩耗性
を高めることができる訳であるが、Cr及びCrNがある程
度存在していても満足し得る高硬度を確保することがで
きる。即ちCr及び／又はCrNとCr2Nとの混合膜においてC
rが体積比で30％以下及び／又はCrNが体積比で40％以下
であれば目的とする高硬度ひいては耐摩耗性を得ること
ができる。
尚本発明に係る耐摩耗性・高潤滑性複合部材において
上記Cr−Ｎ系混合相膜の膜厚は0.5〜10μｍとする必要
がある。膜厚が0.5μｍ未満では膜厚が薄すぎる為に所
望の耐摩耗性向上効果を得ることができず、一方膜厚が
10μｍを超えると膜強度自体が劣化することになり耐摩
耗性は却って低下する。
上記Cr−Ｎ系混合相膜の膜厚は0.5〜10μｍとする必要
がある。膜厚が0.5μｍ未満では膜厚が薄すぎる為に所
望の耐摩耗性向上効果を得ることができず、一方膜厚が
10μｍを超えると膜強度自体が劣化することになり耐摩
耗性は却って低下する。
［実施例］ 軸受鋼（SUJ−２）で製作された基体部材を、イオン
プレーティング装置に装入し、100℃に予備加熱した
後、蒸発源からCrを蒸発させると共にN2を導入して1.5
×10-4Torr〜３×10-3Torrの雰囲気を夫々形成し、且つ
基体部材に−70Vの電圧を印加して成膜を行なった。得
られた被覆部材の膜中結晶組成をＸ線回折法により定量
したところ第１表に示す通りであった。各被覆部材を大
越式摩耗試験機に供し、FC25鋼材を摩耗相手材として比
摩耗量を調べた結果を第１表に併記した。尚摩耗試験条
件は、荷重2.2kgf、摩擦速度2m/秒とした。
プレーティング装置に装入し、100℃に予備加熱した
後、蒸発源からCrを蒸発させると共にN2を導入して1.5
×10-4Torr〜３×10-3Torrの雰囲気を夫々形成し、且つ
基体部材に−70Vの電圧を印加して成膜を行なった。得
られた被覆部材の膜中結晶組成をＸ線回折法により定量
したところ第１表に示す通りであった。各被覆部材を大
越式摩耗試験機に供し、FC25鋼材を摩耗相手材として比
摩耗量を調べた結果を第１表に併記した。尚摩耗試験条
件は、荷重2.2kgf、摩擦速度2m/秒とした。
第１表に示す通り、本発明部材はCr−Ｎ膜被覆部材と
しては優れた耐摩耗性を有することが確認された。
しては優れた耐摩耗性を有することが確認された。
［発明の効果］ 本発明は以上の様に構成されており、Cr−Ｎ膜の特長
である高潤滑性を確保しつつ、耐摩耗性に優れた被覆部
材を得ることができ、軸受部材等の分野における使用の
拡大を望むことができる。
である高潤滑性を確保しつつ、耐摩耗性に優れた被覆部
材を得ることができ、軸受部材等の分野における使用の
拡大を望むことができる。
第１図はPVD法におけるN2雰囲気圧力と結晶構成の関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−159449（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−87950（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−188856（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−228648（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−120471（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−156461（ＪＰ，Ａ)
Claims (3)
- 【請求項１】体積比で Cr:30％以下 Cr2N：残部 からなり、且つ膜厚が0.5〜10μｍである皮膜を、基材
表面に被覆してなることを特徴とする耐摩耗性・高潤滑
性複合部材。 - 【請求項２】体積比で CrN:40％以下 Cr2N：残部 からなり、且つ膜厚が0.5〜10μｍである皮膜を、基材
表面に被覆してなることを特徴とする耐摩耗性・高潤滑
性複合部材。 - 【請求項３】体積比で Cr:30％以下 CrN:40％以下 Cr2N：残部 からなり、且つ膜厚が0.5〜10μｍである皮膜を、基材
表面に被覆してなることを特徴とする耐摩耗性・高潤滑
性複合部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63120012A JP2633623B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | 耐摩耗性・高潤滑性複合部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63120012A JP2633623B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | 耐摩耗性・高潤滑性複合部材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH01290785A JPH01290785A (ja) | 1989-11-22 |
| JP2633623B2 true JP2633623B2 (ja) | 1997-07-23 |
Family
ID=14775716
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP63120012A Expired - Lifetime JP2633623B2 (ja) | 1988-05-16 | 1988-05-16 | 耐摩耗性・高潤滑性複合部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2633623B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007063673A (ja) * | 1997-11-06 | 2007-03-15 | Dowa Holdings Co Ltd | 窒素含有Ｃｒ被膜とその製造方法およびこの被膜を有する機械部材 |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5475552A (en) * | 1992-07-31 | 1995-12-12 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Magnetic head having a chromium nitride protective film for use in a magnetic recording and/or reproducing apparatus and a method of manufacturing the same |
| WO1998041771A1 (en) * | 1997-03-19 | 1998-09-24 | Caterpillar Inc. | Track and/or hinge pin having improved abrasion, corrosion and galling resistance |
| JP2010163694A (ja) * | 1997-11-06 | 2010-07-29 | Dowa Holdings Co Ltd | 窒素含有Ｃｒ被膜およびこの被膜を有する機械部材 |
| DE102004043550B4 (de) * | 2004-09-09 | 2012-02-16 | Schaeffler Technologies Gmbh & Co. Kg | Verschleißfeste Beschichtung, ihre Verwendung und Verfahren zur Herstellung derselben |
| JP2006329262A (ja) * | 2005-05-24 | 2006-12-07 | Nippon Densan Corp | 動圧軸受装置およびこの装置を備えたモータ、並びにこのモータを用いたディスク装置 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0610454B2 (ja) * | 1984-10-05 | 1994-02-09 | 株式会社リケン | ピストンリング |
| JPS62188856A (ja) * | 1986-02-13 | 1987-08-18 | Riken Corp | ピストンリング |
| JPH01159449A (ja) * | 1987-12-15 | 1989-06-22 | Riken Corp | 複合窒化層を有するピストンリング |
-
1988
- 1988-05-16 JP JP63120012A patent/JP2633623B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007063673A (ja) * | 1997-11-06 | 2007-03-15 | Dowa Holdings Co Ltd | 窒素含有Ｃｒ被膜とその製造方法およびこの被膜を有する機械部材 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH01290785A (ja) | 1989-11-22 |
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