JP2630436B2 - 肝癌診断薬 - Google Patents
肝癌診断薬Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、肝癌の診断に用いられる肝癌診断薬に関
する。
する。
[従来の技術] 従来より、肝癌の体外での臨床検査方法としては、γ
−グルタミントランスペプチダーゼやα−フェトプロテ
イン(AFP)等のいわゆる腫瘍マーカーを、これらと特
異的に結合するポリクローナル抗体又はモノクローナル
抗体を用いて検出する方法が実用化されている。しかし
ながら、一般に腫瘍マーカーとは腫瘍細胞により生合成
される腫瘍との関係の深い物質(cancer associated su
bstance)として位置付けられており、腫瘍部位のみで
産生され正常組織に存在しない腫瘍特異物質又は腫瘍特
異抗原は未だ見出されていない。従って、腫瘍マーカー
を利用した肝癌の検出方法はその信頼性において十分満
足することができない。
−グルタミントランスペプチダーゼやα−フェトプロテ
イン(AFP)等のいわゆる腫瘍マーカーを、これらと特
異的に結合するポリクローナル抗体又はモノクローナル
抗体を用いて検出する方法が実用化されている。しかし
ながら、一般に腫瘍マーカーとは腫瘍細胞により生合成
される腫瘍との関係の深い物質(cancer associated su
bstance)として位置付けられており、腫瘍部位のみで
産生され正常組織に存在しない腫瘍特異物質又は腫瘍特
異抗原は未だ見出されていない。従って、腫瘍マーカー
を利用した肝癌の検出方法はその信頼性において十分満
足することができない。
一方、糖タンパク質の糖鎖の癌性変化が多くの糖タン
パク質で解明されている。このようなタンパク質の例と
して、上記AFP(Yoshimaら、Cancer Res.40 4276 '80、
Yamashitaら、同43、4691 '83)、上記γ−グルタミル
トランスペプチダーゼ、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン(木
幡陽、Oncoloida 14巻秋号、77〜88、1985)、α−アン
チトリプシン及びdes−γ−カルボキシプロトロンビン
を挙げることができる。特定の糖鎖と特異的に結合する
ものとして抗体の他にレクチンがある。各レクチンの識
別する糖鎖構造の分析、解明が進むにつれ、一部のレク
チンを癌性変化糖鎖の識別に利用し得ることが示され
た。肝癌に関しては、肝細胞由来AFPはレンズマメレク
チンには結合性を有するが、良性肝疾患由来AFPはレン
ズマメレクチンに非結合性を示すことが見出された(青
柳豊ら、「肝胆膵」、15巻、3号、339−346、1987)。
青柳らはこのAFPの癌性変化をレンズマメレクチンの反
応性から糖鎖のフコシル化としてとらえ、癌化の指標と
してフコシル化率を患者血清で調べている。すなわち、
レクチンとの反応性の測定は高感度レクチン吸着交叉免
疫電気泳動法(crossed immunoaffino−electrophoresi
s)を用いて肝細胞癌270例と各種画像診断で肝細胞癌が
否定された良性肝疾患125例(急性肝炎14例、慢性肝炎4
8例、肝硬変63例)のAFPフコシウ化率(総AFPに対する
フコシル化AFPの割合)を測定している。そして、肝細
胞癌全体のフコシル化率(42±31%、平均値±標準偏
差)は良性疾患(4±7%)に比較して有意(P<0.00
1)な差を認めている。
パク質で解明されている。このようなタンパク質の例と
して、上記AFP(Yoshimaら、Cancer Res.40 4276 '80、
Yamashitaら、同43、4691 '83)、上記γ−グルタミル
トランスペプチダーゼ、ヒト絨毛性腺刺激ホルモン(木
幡陽、Oncoloida 14巻秋号、77〜88、1985)、α−アン
チトリプシン及びdes−γ−カルボキシプロトロンビン
を挙げることができる。特定の糖鎖と特異的に結合する
ものとして抗体の他にレクチンがある。各レクチンの識
別する糖鎖構造の分析、解明が進むにつれ、一部のレク
チンを癌性変化糖鎖の識別に利用し得ることが示され
た。肝癌に関しては、肝細胞由来AFPはレンズマメレク
チンには結合性を有するが、良性肝疾患由来AFPはレン
ズマメレクチンに非結合性を示すことが見出された(青
柳豊ら、「肝胆膵」、15巻、3号、339−346、1987)。
青柳らはこのAFPの癌性変化をレンズマメレクチンの反
応性から糖鎖のフコシル化としてとらえ、癌化の指標と
してフコシル化率を患者血清で調べている。すなわち、
レクチンとの反応性の測定は高感度レクチン吸着交叉免
疫電気泳動法(crossed immunoaffino−electrophoresi
s)を用いて肝細胞癌270例と各種画像診断で肝細胞癌が
否定された良性肝疾患125例(急性肝炎14例、慢性肝炎4
8例、肝硬変63例)のAFPフコシウ化率(総AFPに対する
フコシル化AFPの割合)を測定している。そして、肝細
胞癌全体のフコシル化率(42±31%、平均値±標準偏
差)は良性疾患(4±7%)に比較して有意(P<0.00
1)な差を認めている。
しかしながら、レンズマメレクチンとAFPとの結合を
利用した肝癌の診断方法はその感度において十分満足す
ることができない。すなわち、この方法によるフコシル
化率測定で、早期の肝細胞癌と考えられたAFP値1000ng/
mlの54例を見てみると、AFP値1000ng/ml以下でかつ最大
径が3cm未満の29例、400ng/ml以下で3cm未満の17例並び
に400ng/ml以下で2cm未満の8例でフコシル化率はそれ
ぞれ27±30%、30±30%、27±27%となり良性疾患との
判別が困難になる傾向が見られる。この原因の1つは、
レンズマメレクチンに結合される肝癌性糖鎖は、いくつ
かの肝癌性糖鎖の一部に過ぎないためであると考えられ
る。すなわち、レンズマメレクチンカラムへの結合に
は、アスパラギンに結合したGlcNAc残基のC−6位と結
合したα−Fucの存在と同時に2モルのC−2のα−Man
又はC−2及びC−2,6分岐した2モルのα−Manを必要
とし、従って、複合型糖鎖のC−2,6分岐したα−Man残
基を有する3本鎖はレンズマメレクチンカラムに保持さ
れるが、C−2,4分岐した3本鎖はカラムに保持され
ず、これがために検出感度が満足できないものと考えら
れる。
利用した肝癌の診断方法はその感度において十分満足す
ることができない。すなわち、この方法によるフコシル
化率測定で、早期の肝細胞癌と考えられたAFP値1000ng/
mlの54例を見てみると、AFP値1000ng/ml以下でかつ最大
径が3cm未満の29例、400ng/ml以下で3cm未満の17例並び
に400ng/ml以下で2cm未満の8例でフコシル化率はそれ
ぞれ27±30%、30±30%、27±27%となり良性疾患との
判別が困難になる傾向が見られる。この原因の1つは、
レンズマメレクチンに結合される肝癌性糖鎖は、いくつ
かの肝癌性糖鎖の一部に過ぎないためであると考えられ
る。すなわち、レンズマメレクチンカラムへの結合に
は、アスパラギンに結合したGlcNAc残基のC−6位と結
合したα−Fucの存在と同時に2モルのC−2のα−Man
又はC−2及びC−2,6分岐した2モルのα−Manを必要
とし、従って、複合型糖鎖のC−2,6分岐したα−Man残
基を有する3本鎖はレンズマメレクチンカラムに保持さ
れるが、C−2,4分岐した3本鎖はカラムに保持され
ず、これがために検出感度が満足できないものと考えら
れる。
[発明が解決しようとする問題点] この発明の目的は、信頼性及び感度の高い肝癌の体外
における診断に用いられる肝癌診断薬を提供することで
ある。
における診断に用いられる肝癌診断薬を提供することで
ある。
[問題点を解決するための手段] 本願発明者らは、鋭意研究の結果、肝癌患者において
はトランスフェリンの糖鎖が癌性変化しており、その結
果、AALレクチン及びDSAレクチンに特異的に結合するこ
とを見出し本発明を完成した。
はトランスフェリンの糖鎖が癌性変化しており、その結
果、AALレクチン及びDSAレクチンに特異的に結合するこ
とを見出し本発明を完成した。
すなわち、この発明は、AALレクチンから成る肝癌診
断薬を提供する。
断薬を提供する。
さらにまた、この発明は、DSAレクチンから成る肝癌
診断薬を提供する。
診断薬を提供する。
[発明の効果] この発明により、トランスフェリンの癌性変化に基づ
く、全く新規な原理を用いる肝癌診断薬が提供された。
この発明の肝癌診断薬を用いた肝癌の診断は信頼性及び
感度が高い。特にAALレクチン及びDSAレクチンの両者を
組み合わせると非常に感度の高い診断が可能になる。ま
た、この発明の肝癌診断薬を用いた肝癌の診断は、カラ
ムクロマトグラフィー又は免疫分析を利用した方法によ
り簡便に行なうことができる。
く、全く新規な原理を用いる肝癌診断薬が提供された。
この発明の肝癌診断薬を用いた肝癌の診断は信頼性及び
感度が高い。特にAALレクチン及びDSAレクチンの両者を
組み合わせると非常に感度の高い診断が可能になる。ま
た、この発明の肝癌診断薬を用いた肝癌の診断は、カラ
ムクロマトグラフィー又は免疫分析を利用した方法によ
り簡便に行なうことができる。
[発明の具体的説明] 上述のように、本願発明者らは、肝癌患者において
は、血液中のトランスフェリンの糖鎖が癌性変化してい
ることを見出した。トランスフェリンは、ジテロフィリ
ン又は鉄結合性グロブリンとも呼ばれる分子量8万の糖
タンパク質であり、ヘモグロビンの合成に関与するもの
である。肝癌患者においては、トランスフェリンの糖鎖
構造が変化し、その癌性変化したトランスフェリンの糖
鎖構造の主なものは下記式[I]ないし[III]で示さ
れる。これらは正常人のトランスフェリン中にはほとん
ど検出されないものである。
は、血液中のトランスフェリンの糖鎖が癌性変化してい
ることを見出した。トランスフェリンは、ジテロフィリ
ン又は鉄結合性グロブリンとも呼ばれる分子量8万の糖
タンパク質であり、ヘモグロビンの合成に関与するもの
である。肝癌患者においては、トランスフェリンの糖鎖
構造が変化し、その癌性変化したトランスフェリンの糖
鎖構造の主なものは下記式[I]ないし[III]で示さ
れる。これらは正常人のトランスフェリン中にはほとん
ど検出されないものである。
上記式[I]及び[II]で示される糖鎖はAALレクチ
ン(Aleuria aurantia lectin、N.Kochibe and K.Fukuk
aw,“Biochemistry",19巻pp.2841−2846)と特異的に結
合するのでAALレクチンを用いて検出することができ
る。また、式[III]で示される糖鎖はDSAレクチン(Da
tura stramonium Iectin、文献:Crowleyら、Methods En
zymol.83巻)と特異的に結合するのでDSAレクチンを用
いて検出することができる。AALレクチンは2種類の肝
癌性変化糖鎖を検出できるのでレンズマメレクチンより
高感度な診断が可能になる。
ン(Aleuria aurantia lectin、N.Kochibe and K.Fukuk
aw,“Biochemistry",19巻pp.2841−2846)と特異的に結
合するのでAALレクチンを用いて検出することができ
る。また、式[III]で示される糖鎖はDSAレクチン(Da
tura stramonium Iectin、文献:Crowleyら、Methods En
zymol.83巻)と特異的に結合するのでDSAレクチンを用
いて検出することができる。AALレクチンは2種類の肝
癌性変化糖鎖を検出できるのでレンズマメレクチンより
高感度な診断が可能になる。
本発明は、この原理を利用したものであり、本発明の
肝癌診断薬は、AALレクチン又はDSAレクチンから成る。
AALレクチン及びDSAレクチンは共に公知であり、その調
製方法及び性質も公知であって上記文献にそれぞれ記載
されている。
肝癌診断薬は、AALレクチン又はDSAレクチンから成る。
AALレクチン及びDSAレクチンは共に公知であり、その調
製方法及び性質も公知であって上記文献にそれぞれ記載
されている。
本発明の肝癌診断薬は、種々の態様で用いることがで
きるが、第1の態様として、本発明の肝癌診断薬をカラ
ム中に充填したものを挙げることができる。カラムに
は、AALレクチン又はDSAレクチンを適当な担体に結合し
て固相化したものを充填することができる。レクチンの
固相化方法は周知であり、例えばYamashita,Kochibe,Oh
kura,Ueda and Kobata,“J.Biological Chemistry",vo
l.260,pp.4688−4693(1985)に記載されている。好ま
しい担体としてはセファロースビーズ、アガロースビー
ズ、セルロースビーズ、ポリアクリルアミドビーズ等を
挙げることができ、固相化するレクチンの濃度は通常20
mg/mlないし1mg/ml、好ましくは約3mg/ml程度である。
また、カラムに充填する固相化レクチンの量(担体を含
む)は特に限定されないが約1mlで十分である。
きるが、第1の態様として、本発明の肝癌診断薬をカラ
ム中に充填したものを挙げることができる。カラムに
は、AALレクチン又はDSAレクチンを適当な担体に結合し
て固相化したものを充填することができる。レクチンの
固相化方法は周知であり、例えばYamashita,Kochibe,Oh
kura,Ueda and Kobata,“J.Biological Chemistry",vo
l.260,pp.4688−4693(1985)に記載されている。好ま
しい担体としてはセファロースビーズ、アガロースビー
ズ、セルロースビーズ、ポリアクリルアミドビーズ等を
挙げることができ、固相化するレクチンの濃度は通常20
mg/mlないし1mg/ml、好ましくは約3mg/ml程度である。
また、カラムに充填する固相化レクチンの量(担体を含
む)は特に限定されないが約1mlで十分である。
本発明の肝癌診断薬を含有するカラムを用いた肝癌の
診断は、血清(希釈若しくは無希釈)又は血清から単離
したトランスフェリン(トランスフェリンの単離方法は
公知であり、例えば、日本生化学編、「続生化学実験講
座」8巻、血液(上)462−464に記載されている)を含
む溶液のような検体をカラムに流通させ、緩衝液で洗浄
後、溶離液で溶出させ、溶出された液中のトランスフェ
リンを定量することにより行なうことができる。溶出液
としては、AALレクチンの場合には例えば50mMのフコー
スを含む緩衝液を挙げることができ、DSAレクチンの場
合には例えば1%のN−アセチル−グルコサミンオリゴ
マー又は0.1N酢酸を含む緩衝液を挙げることができる。
トランスフェリンの定量は血清の場合公知の免疫分析法
により行なうことができ、また血清から単離したトラン
スフェリンの場合は例えば公知の方法、例えばロウリー
法(文献:日本生化学編、「続生化学実験講座」5巻、
酵素研究法(上)27〜28)により行なうことができる。
診断は、血清(希釈若しくは無希釈)又は血清から単離
したトランスフェリン(トランスフェリンの単離方法は
公知であり、例えば、日本生化学編、「続生化学実験講
座」8巻、血液(上)462−464に記載されている)を含
む溶液のような検体をカラムに流通させ、緩衝液で洗浄
後、溶離液で溶出させ、溶出された液中のトランスフェ
リンを定量することにより行なうことができる。溶出液
としては、AALレクチンの場合には例えば50mMのフコー
スを含む緩衝液を挙げることができ、DSAレクチンの場
合には例えば1%のN−アセチル−グルコサミンオリゴ
マー又は0.1N酢酸を含む緩衝液を挙げることができる。
トランスフェリンの定量は血清の場合公知の免疫分析法
により行なうことができ、また血清から単離したトラン
スフェリンの場合は例えば公知の方法、例えばロウリー
法(文献:日本生化学編、「続生化学実験講座」5巻、
酵素研究法(上)27〜28)により行なうことができる。
正常人の場合には本発明の肝癌診断薬に結合されるト
ランスフェリンは全トランスフェリンの3〜4%程度で
あるのに対し、肝癌患者の場合には35〜65%程度に達す
るので、上記カラムに吸着されたトランスフェリンの量
と、吸着されずに緩衝液洗浄により流出したトランスフ
ェリンの量とを比較することにより、患者が肝癌に罹患
しているか否かを容易に知ることができる。
ランスフェリンは全トランスフェリンの3〜4%程度で
あるのに対し、肝癌患者の場合には35〜65%程度に達す
るので、上記カラムに吸着されたトランスフェリンの量
と、吸着されずに緩衝液洗浄により流出したトランスフ
ェリンの量とを比較することにより、患者が肝癌に罹患
しているか否かを容易に知ることができる。
本発明の肝癌診断薬を用いる別の態様として、免疫分
析と組み合わせた系を挙げることができる。この系は、
肝癌性変化糖鎖を有するトランスフェリンと本発明肝癌
診断薬とを反応させて結合させ、レクチン−トランスフ
ェリン結合体量を免疫分析により測定するものである。
免疫分析法自体は公知のいずれの方法であってもよく、
すなわち、競合法でもサンドイッチ法でもよく、また、
酵素免疫分析、放射免疫分析、ラテックス凝集免疫分析
その他の免疫分析のいずれをも採用することができる。
これらのうち、ペルオキシダーゼ等の酵素標識を利用す
る酵素免疫分析が好ましい。この酵素免疫分析は、酵素
標識したAAL又はDSAレクチンを用いる直接法によっても
行なうことができるし、酵素標識抗AAL又はDSAレクチン
抗体を用いる間接法によっても行なうことができる。間
接法による酵素免疫分析(EIA)は例えば以下のように
して行なうことができる。すなわち、α−トランスフェ
リン抗体をイムノプレートに吸着させて固相化し、血清
中のトランスフェリンをトラップさせる。この一次免疫
反応によって一定量の血清から定量的に回収したトラン
スフェリンのうち、癌性変化糖鎖をAALレクチン又はDSA
レクチンと反応させ定量的に呈色反応を利用して測定す
る。呈色反応にはペルオキシダーゼを用いることができ
る。より具体的なプロトコールの1例を下記に示す。
析と組み合わせた系を挙げることができる。この系は、
肝癌性変化糖鎖を有するトランスフェリンと本発明肝癌
診断薬とを反応させて結合させ、レクチン−トランスフ
ェリン結合体量を免疫分析により測定するものである。
免疫分析法自体は公知のいずれの方法であってもよく、
すなわち、競合法でもサンドイッチ法でもよく、また、
酵素免疫分析、放射免疫分析、ラテックス凝集免疫分析
その他の免疫分析のいずれをも採用することができる。
これらのうち、ペルオキシダーゼ等の酵素標識を利用す
る酵素免疫分析が好ましい。この酵素免疫分析は、酵素
標識したAAL又はDSAレクチンを用いる直接法によっても
行なうことができるし、酵素標識抗AAL又はDSAレクチン
抗体を用いる間接法によっても行なうことができる。間
接法による酵素免疫分析(EIA)は例えば以下のように
して行なうことができる。すなわち、α−トランスフェ
リン抗体をイムノプレートに吸着させて固相化し、血清
中のトランスフェリンをトラップさせる。この一次免疫
反応によって一定量の血清から定量的に回収したトラン
スフェリンのうち、癌性変化糖鎖をAALレクチン又はDSA
レクチンと反応させ定量的に呈色反応を利用して測定す
る。呈色反応にはペルオキシダーゼを用いることができ
る。より具体的なプロトコールの1例を下記に示す。
この発明の肝癌診断薬の使用態様は、上記したカラム
及び免疫分析試薬に限定されるものではなく、例えば後
述の実施例2におけるような、レクチン吸着交叉免疫電
気泳動法等、癌性変化トランスフェリン糖鎖とAAL又はD
SAレクチンとの結合を利用するあらゆる態様で用いるこ
とができる。
及び免疫分析試薬に限定されるものではなく、例えば後
述の実施例2におけるような、レクチン吸着交叉免疫電
気泳動法等、癌性変化トランスフェリン糖鎖とAAL又はD
SAレクチンとの結合を利用するあらゆる態様で用いるこ
とができる。
[実施例] 以下、この発明を実施例に基づきより具体的に説明す
る。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
る。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 AALレクチンを用いた肝癌患者血清中のフコシルトラン
スフェリンの定量 AALレクチンをYamashita,Kochibe,Ohkura,ueda and K
obata,“J.Biological Chemistry",vol.260,pp.4688−4
693(1985)に記載された方法に従い、3mg/mlの濃度で
セファロースビーズに固相化した。固相化したAALレク
チン1mlをカラムに充填し、これに肝癌患者及び対照と
して正常人血清5mlから単離したトランスフェリンを通
し、PBSで洗浄し、レクチンカラムに吸着した画分を、5
0mMフコース含有PBSで溶出し、2ml毎に溶出液を分画し
た。分画液中のトランスフェリン量をロウリー法で測定
した。結果を第1図に示す。
スフェリンの定量 AALレクチンをYamashita,Kochibe,Ohkura,ueda and K
obata,“J.Biological Chemistry",vol.260,pp.4688−4
693(1985)に記載された方法に従い、3mg/mlの濃度で
セファロースビーズに固相化した。固相化したAALレク
チン1mlをカラムに充填し、これに肝癌患者及び対照と
して正常人血清5mlから単離したトランスフェリンを通
し、PBSで洗浄し、レクチンカラムに吸着した画分を、5
0mMフコース含有PBSで溶出し、2ml毎に溶出液を分画し
た。分画液中のトランスフェリン量をロウリー法で測定
した。結果を第1図に示す。
第1図に示すように、正常人血清ではAALレクチンに
結合したトランスフェリンが3%であったのに対し、肝
癌患者血清では46%であった。従って、本発明の肝癌診
断薬を含有するカラムを用いて肝癌の診断を行なうこと
が可能であることが明らかになった。
結合したトランスフェリンが3%であったのに対し、肝
癌患者血清では46%であった。従って、本発明の肝癌診
断薬を含有するカラムを用いて肝癌の診断を行なうこと
が可能であることが明らかになった。
実施例2 AALレクチン吸着交叉免疫電気泳動法 1.0mg/mlのAALレクチンを加えた1%アガロースゲル
(pH8.6)にトランスフェリンをスポットして15V/cmで
電気泳動し、展開後、横方向に抗トランスフェリン抗体
を含む1%アガロースゲルに3V/cmで電気泳動した。泳
動後、濡れたろ紙を重ねて常法によりブロッティング及
びタンパク染色を行なった。結果を第2図に示す。
(pH8.6)にトランスフェリンをスポットして15V/cmで
電気泳動し、展開後、横方向に抗トランスフェリン抗体
を含む1%アガロースゲルに3V/cmで電気泳動した。泳
動後、濡れたろ紙を重ねて常法によりブロッティング及
びタンパク染色を行なった。結果を第2図に示す。
第2図中、(1)及び(2)は正常人血清から単離し
たトランスフェリンについての結果を、(3)ないし
(5)は肝癌患者血清から単離したトランスフェリンに
ついての結果を示し、図中の丸印がトランスフェリンを
スポットした位置を示す。第2図に示されるように、正
常人血清と肝細胞癌血清では明らかな泳動パターンの差
があり、AALと結合したトランスフェリンの存在が示さ
れた。
たトランスフェリンについての結果を、(3)ないし
(5)は肝癌患者血清から単離したトランスフェリンに
ついての結果を示し、図中の丸印がトランスフェリンを
スポットした位置を示す。第2図に示されるように、正
常人血清と肝細胞癌血清では明らかな泳動パターンの差
があり、AALと結合したトランスフェリンの存在が示さ
れた。
実施例3 実施例2に記載したAALレクチン吸着交叉免疫電気泳
動法で各種肝疾患の血清について分析した。結果を第3
図に示す。
動法で各種肝疾患の血清について分析した。結果を第3
図に示す。
第3図中、HCCは肝細胞患者血清、AHは急性肝炎血
清、CHは慢性肝炎血清、LCは肝硬変血清、METAは肝臓癌
以外の癌が肝臓に転移した患者の血清についての結果を
示す。
清、CHは慢性肝炎血清、LCは肝硬変血清、METAは肝臓癌
以外の癌が肝臓に転移した患者の血清についての結果を
示す。
第3図から明らかなように、AALレクチンに結合する
トランスフェリンの割合は、肝細胞癌患者血清中のトラ
ンスフェリンが他の肝疾患患者の血清中のトランスフェ
リンに比べて有意に高く、従って、本発明の診断試薬を
用いて肝細胞癌を他の肝疾患から識別することができる
ことが分かる。
トランスフェリンの割合は、肝細胞癌患者血清中のトラ
ンスフェリンが他の肝疾患患者の血清中のトランスフェ
リンに比べて有意に高く、従って、本発明の診断試薬を
用いて肝細胞癌を他の肝疾患から識別することができる
ことが分かる。
実施例4 DSAレクチンを用いた肝癌患者血清トランスフェリンの
分割 AALレクチンと同様にセファロースビーズに固相化し
たDSAレクチン1mlをカラムに充填し、これに肝癌患者血
清から単離したトランスフェリン1μgを0.1%ウシ血
清アルブミン含有10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.4)5ml
とカラムに通した後(2℃)、室温で1%N−アセチル
グルコサミンオリゴマーを含むトリス−HCl緩衝液、さ
らに、0.1N酢酸で溶出した。各溶出フラクションは1ml
ずつとし、トランスフェリン量をEIAで定量した。結果
を図4に示す。
分割 AALレクチンと同様にセファロースビーズに固相化し
たDSAレクチン1mlをカラムに充填し、これに肝癌患者血
清から単離したトランスフェリン1μgを0.1%ウシ血
清アルブミン含有10mMトリス−HCl緩衝液(pH7.4)5ml
とカラムに通した後(2℃)、室温で1%N−アセチル
グルコサミンオリゴマーを含むトリス−HCl緩衝液、さ
らに、0.1N酢酸で溶出した。各溶出フラクションは1ml
ずつとし、トランスフェリン量をEIAで定量した。結果
を図4に示す。
図4の3本のピークのうち最初のものは正常トランス
フェリン、2番目のピークは、C−2,4分岐構造を有す
る癌性トランスフェリンであり、3番目のピークは、C
−2,6分岐構造を有する癌性トランスフェリンである。
フェリン、2番目のピークは、C−2,4分岐構造を有す
る癌性トランスフェリンであり、3番目のピークは、C
−2,6分岐構造を有する癌性トランスフェリンである。
図1は本発明の肝癌診断薬を含有するカラムを用いた、
正常人血清由来トランスフェリン及び肝癌患者血清由来
トランスフェリンの吸着クロマトグラフィーの結果を示
す図、 図2は本発明の肝癌診断薬を用いた、正常人血清由来ト
ランスフェリン及び肝癌患者血清由来トランスフェリン
のレクチン吸着交叉免疫電気泳動法の結果を示す図、 図3は本発明の肝癌診断薬であるAALレクチンを用い
て、肝癌患者血清由来、正常人血清由来、及び種々の肝
疾患患者由来のトランスフェリンについて行なったAAL
レクチン吸着交叉免疫電気泳動法によるAAL結合性トラ
ンスフェリンの割合を示す図、 図4は本発明の肝癌診断薬であるDSAレクチンを用いて
肝癌患血清からのトランスフェリンを分離したアフィニ
ティクロマトグラフィーの結合を示す図である。
正常人血清由来トランスフェリン及び肝癌患者血清由来
トランスフェリンの吸着クロマトグラフィーの結果を示
す図、 図2は本発明の肝癌診断薬を用いた、正常人血清由来ト
ランスフェリン及び肝癌患者血清由来トランスフェリン
のレクチン吸着交叉免疫電気泳動法の結果を示す図、 図3は本発明の肝癌診断薬であるAALレクチンを用い
て、肝癌患者血清由来、正常人血清由来、及び種々の肝
疾患患者由来のトランスフェリンについて行なったAAL
レクチン吸着交叉免疫電気泳動法によるAAL結合性トラ
ンスフェリンの割合を示す図、 図4は本発明の肝癌診断薬であるDSAレクチンを用いて
肝癌患血清からのトランスフェリンを分離したアフィニ
ティクロマトグラフィーの結合を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】AALレクチンから成る肝癌診断薬。
- 【請求項2】DSAレクチンから成る肝癌診断薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63179699A JP2630436B2 (ja) | 1988-07-19 | 1988-07-19 | 肝癌診断薬 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63179699A JP2630436B2 (ja) | 1988-07-19 | 1988-07-19 | 肝癌診断薬 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0232030A JPH0232030A (ja) | 1990-02-01 |
JP2630436B2 true JP2630436B2 (ja) | 1997-07-16 |
Family
ID=16070328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63179699A Expired - Fee Related JP2630436B2 (ja) | 1988-07-19 | 1988-07-19 | 肝癌診断薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2630436B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3451783B2 (ja) * | 1995-04-18 | 2003-09-29 | 東ソー株式会社 | コリンエステラーゼの測定法及び肝硬変と肝炎の識別法 |
CA3021449C (en) * | 2005-05-05 | 2021-12-14 | Drexel University | Diagnosis of liver pathology through assessment of protein glycosylation |
-
1988
- 1988-07-19 JP JP63179699A patent/JP2630436B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0232030A (ja) | 1990-02-01 |
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