JP2629729B2 - ねじ加工装置 - Google Patents

ねじ加工装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はタップ盤に代表されるねじ加工装置に関す
る。
[従来の技術] 従来、NC装置を適用したねじ加工装置におけるタッピ
ング動作の制御は、加工しようとするねじのピッチに合
わせて送り指令と回転指令とをNC装置内で生成するのみ
で行い、送りモータと主軸回転モータとはそれぞれ独立
のサーボ系として制御されていた。そして、回転モータ
反転時などに生ずる送り量と回転量とのずれは、タップ
工具と主軸との間にタッパーを介在させ、そのタッパー
の機械的な伸縮により吸収していた。このため、ねじ加
工の速度がタッパーの性能により制限されたり、タッパ
ーの伸縮による力のためねじの精度が低下したりすると
いう問題点があった。
そこで、主軸の実際の回転量を検出し、その検出され
た回転量に従って送りモータを駆動するものとか、実際
の送り量を検出し、その送り量に従って回転モータを駆
動するものなど、送りモータと回転モータとを同期させ
て制御する装置が提案されている。これらの装置は送り
と回転との同期精度が高いため、ほとんどの場合タッパ
ーを用いることなくねじ加工を行うことができる。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、近年、加工時間の短縮化がさらに要請
され、ねじ加工においてもタップ工具の限界に近い高速
加工が行なわれる場合がある。このような場合、たとえ
ば主軸の回転位置に従って送りモータを駆動する従来の
装置では、主軸が実際に回転したことを検出した後に送
りモータへの指令が出るため、追従遅れを生じ、ねじ加
工精度の向上に限界を生ずるという問題点があった。特
に、ねじ加工深さの浅い加工、又は工具を小さなステッ
プ幅でステップさせながら行う加工では、送り及び回転
の速度が一定になる以前の過渡状態における加工が多く
なるため、追従遅れによる誤差が大きな問題点になる。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもの
であり、主軸の回転に対する送りの追従性を向上させ、
タップ工具の限界に近いような高速タップ加工時におい
ても、精度の高いねじ加工を行うことができるねじ加工
装置を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成するため本発明では、主軸の回転位
置を検出する回転位置検出手段と、機械の送り位置を検
出する送り位置検出手段とを備え、主軸を回転する回転
モータと送りを駆動する送りモータとを同期運転してタ
ッピング加工動作を行うねじ加工装置において、回転指
令値と検出された主軸の回転位置との回転偏差を演算す
る回転偏差演算手段と、その回転偏差に従って回転モー
タを駆動する回転駆動手段と、回転の速度及び加速度を
算出し、その算出値からねじピッチに基づいて相当する
送り指令値を演算する送り指令値演算手段と、検出され
た主軸の回転位置からねじピッチに基づいて相当する送
り補正値を演算する送り補正値演算手段と、その送り補
正値と検出された機械の送り量との送り偏差を演算する
送り偏差演算手段と、その送り偏差により前記送り指令
値を補正する補正手段と、その補正手段により補正され
た送り指令値に従って送りモータを駆動する送り駆動手
段とを備えることを特徴とするねじ加工装置が提供され
る。
[作用] 上記の構成によれば、主軸の回転は通常の位置フィー
ドバックがかけられ、回転指令値により独立して制御さ
れる。
一方、機械の送りは主軸の回転に追従して同期するよ
うに制御され、その送り指令値は回転速度及び回転加速
度から演算される。それ故、送り指令値は、主軸の実際
の回転量ではなく、主軸のこれからの回転量を予測した
値となるため、送りの回転への過渡的な追従性が向上す
る。また、送り補正値演算手段、送り偏差演算手段、及
び補正手段により、前記送り指令値が実際の回転位置に
従って補正されるから、回転位置と送り位置との定常的
な誤差が開くことがなく、精度を向上させることができ
る。
[実施例] 本発明の実施例について図面に従って具体的に説明す
る。
ねじ加工装置の機械本体1はたて型のタップ盤をなす
ものであり、基台2に直立配置したコラム3にスライダ
4を介して主軸ヘッド5が上下に摺動自在に支持され、
主軸ヘッド5はボールねじ6に係合されている。ボール
ねじ6はACサーボモータからなる送りモータ7に連結さ
れて回転駆動され、主軸ヘッド5を昇降する。送りモー
タ7には、回転速度を検出するタコゼネレータ(TG2
8と、回転位置を検出するパルスゼネレータ(PG2)9
とが設けられている。パルスゼネレータ9は主軸ヘッド
5の送り位置を検出する送り位置検出手段をなす。
主軸ヘッド5には主軸11が回転自在に軸支され、回転
モータ12により回転駆動される。回転モータ12はACサー
ボモータからなり、回転速度を検出するタコゼネレータ
(TG1)13と、回転位置を検出するパルスゼネレータ(P
G1)14が設けられている。パルスゼネレータ14は主軸11
の回転位置を検出する回転位置検出手段をなす。
主軸11の下端にはタップ工具15がタッパーを介するこ
となく直接取付けられ、下孔16の明けられた被加工物17
にねじ工具を施す。
主軸11を回転制御する回転系(S軸と称する)の制御
回路について説明する。
入力装置21から入力されたデータに基づき、演算器22
において回転指令値Sが演算され、回転速度に応じたパ
ルス列として回転偏差カウンタ23に出力される。回転偏
差カウンタ23には位置フィードバックパルスとして、回
転モータ12の回転角に応じたパルスがパルスゼネレータ
14から入力される。回転偏差カウンタ23では回転指令値
Sとパルスゼネレータ14で検出された主軸11の回転位置
sとの偏差E(S)=S−sを演算し、その回転偏差E
(S)を速度指令として回転サーボアンプ24に出力す
る。回転サーボアンプ24には速度フィードバック信号と
してタコゼネレータ13からの実際の速度に応じた信号V
(s)が入力され、速度ループ系を構成して回転モータ
12を駆動する。上記の回転系(S軸)の制御回路は通常
の回転制御に用いられる回路構成と同じである。
次に、主軸ヘッド5を上下する送り系(Z軸と称す
る)の制御回路について説明する。送り系では、送り指
令値Z1が入力装置21から直接与えられるのではなく、回
転指令値Sから算出され制御される。
演算器22からの回転指令値Sは加速度演算器25に入力
される。加速度演算器25では単位時間当りの回転指令値
量△Sから回転の加速度A を演算し、その加速度A(S)を加算器26に出力する。
加算器26のもう一方の入力には、パルスゼネレータ14か
らの送りフィードバックパルスが入力される。加算器26
では、単位時間当りの実際の回転量△sと回転指令値S
の加速度A(S)を加算し、送り指令値演算器27に出力
する。単位時間当りの回転量△sは実際の回転速度V
(s)に対応した値になるから、加算器26の出力は回転
の速度と加速度を加え合せたもの になる。送り指令値演算器27では、予かじめ入力装置21
から入力され演算器22を経由して与えられるねじ加工の
ピッチPとボールねじ6のリードLから、加算器26の出
力をP/L倍し送り指令値 を算出する。加算度演算器25,加算器26及び送り指令値
演算器27により送り指令値演算手段を構成している。
送り指令値演算器27から出力される送り指令値Z1は、
回転速度と加速度を加え合わせたものに相当する値とな
るから、主軸11のこれからの回転を予測した送り指令値
になる。そして、この送り指令値Z1は加算器28を経由し
て送りサーボアンプ29に出力される。
加算器28では送り指令値Z1の補正が行なわれる。すな
わち、主軸ヘッド5の送り量zを検出するパルスゼネレ
ータ9からのパルスは送り偏差カウンタ30に入力され
る。一方、回転位置sを検出するパルスゼネレータ14か
らのパルスは送り補正値演算器31に入力され、ねじ加工
のねじピッチPとボールねじのリードLとから回転量s
をP/L倍し、回転量sに相当する送り補正値r(s)=P
/L・sを演算して送り偏差カウンタ30に出力する。送り
偏差カウンタ30では、上記送り補正値r(s)と主軸ヘ
ッド5の送り量zとの送り偏差E(z)を演算し、加算
器28に出力する。加算器28では、送り指令値演算器27か
らの送り指令値Z1を送り偏差E(z)により補正し、補
正された送り指令値R(Z1)=Z1+E(z)を送りサー
ボアンプ29に出力する。
送りサーボアンプ29には速度フィードバック信号とし
て、タコゼネレータ8からの速度に応じた信号V(z)
が入力され、速度ループ系を構成して送りモータ7を補
正された送り指令値R(Z1)に従って駆動する。
上記の制御回路は、サーボアンプ24,29を除き、ディ
ジタル演算を行う回路であり、演算器22、偏差カウンタ
23,30、加速度演算器25、加算器26、送り指令値演算器2
7、送り補正値演算器31、加算器28等は、マイクロコン
ピュータを用いた内部演算処理として実現される。
入力装置21からねじのピッチ、送りのストローク(タ
ップ深さ)、回転速度などのデータを入力することによ
り、回転モータ12が駆動され、回転モータ12に従動して
送りモータ7が同期して回転駆動され、ねじ加工が行な
われる。
以上述べた実施例では、回転指令値Sに基づいて回転
の加速度を算出し、その加速度A(S)により送り指令
値Z1を演算したが、回転加速度を他の値から算出し制御
することも可能である。
第2図は第2の実施例を示すブロック図である。
この実施例では、回転の加速度が回転指令値Sからで
はなく、パルスゼネレータ14により検出された実際の主
軸11の回転量sに基づいて算出される。
図中において、第1図と同じ箇所には同じ符号を附し
て説明を省略する。異なるのは、送り指令値演算手段を
構成する加速度演算器35、加算器36及び送り指令値演算
器37の接続箇所である。
加速度演算器35及び加算器36にはパルスゼネレータ14
からの回転フィードバックパルスが入力される。加速度
演算器35では単位時間当りの実際の回転量△sから回転
の加速度 を演算し、加算器36に出力する。加算器36では、その加
速度A(s)と、パルスゼネレータ14から選られる単位
時間当りの回転量△sとを加算し、送り指令値演算器37
に出力する。加算器36の出力は回転の速度と加速度を加
え合せたもの になる。送り指令値演算器37では予め入力装置21から与
えられたねじ加工のピッチPとボールねじのリードLに
従って加算器36の主力をP/L倍し、送り指令値 を算出する。
そして、この送り指令値Z2は加算器28に出力される。
送り指令値Z2が加算器28において補正され、補正された
送り指令値R(Z2)=Z2+E(z)によって送りサーボ
アンプ29が駆動され送りモータ7が制御されることは前
述の第1の実施例で説明した通りである。
第3図は第3の実施例を示すブロック図である。
この実施例では、回転の加速度がパルスゼネレータ14
により検出された回転量sそのものからではなく、回転
サーボアンプ24への速度指令となる回転偏差カウンタ23
からの回転偏差E(S)に基づいて算出され制御され
る。
図中において、第1図と同じ箇所には同じ符号を附し
て説明を省略する。異なるのは送り指令値演算手段を構
成する加速度演算器45、加算器46及び送り指令値演算器
47の接続箇所である。
加速度演算器45及び加算器46には回転偏差カウンタ23
からの送り偏差E(S)が入力される。加速度演算器45
では回転偏差E(S)の加速度 を演算し、加算器46に出力する。加算器46では、その加
速度A(ε)と回転偏差E(S)とを加算し送り指令値
演算器47に出力する。加算器46の出力は回転サーボアン
プ24への速度指令とその加速度とを加えたもの になる。送り指令値演算器47では予め入力装置21から与
えられたねじ加工のピッチPとボールねじのリードLに
従って加算器の出力をP/L倍し、送り指令値 を算出する。
そして、この送り指令値Z3は加算器28に出力される。
加算器28において送り指令値Z3が補正され、補正された
送り指令値R(Z3)=Z3+E(z)によって送りサーボ
アンプ29が駆動され送りモータ7が制御されることは前
述の第1の実施例で説明したとおりである。
以上述べた三つの実施例は、いずれも回転速度及び加
速度を算出し、その算出値から送り指令値を演算し送り
モータ7を同期運転するものであるから、実際の主軸11
の回転量sのみに従って同期運転を行う従来の装置に比
べて過渡的な追従遅れを大幅に減少させることができ
た。
たとえば、径6mm、ピッチ1.0(M6,P1.0)、タップ深
さ12mmのねじ加工を3,000rpmという高速回転で行った場
合の、ねじの回転位置を基準としたねじの送り方向(Z
軸方向)の誤差、即ち、ピッチ誤差を従来の装置と比較
した実験結果は次の様であった。
回転加速度を回転指令値Sに基づいて算出した第1図
に示す第1の実施例では、ピッチ誤差を従来の装置の約
55%にまで低減させることができた。
また、回転加速度を検出された実際の主軸の回転量s
に基づいて算出した第2図に示す第2の実施例では、ピ
ッチ誤差を従来の装置の約58%にまで低減させることが
できた。
さらに、回転加速度を回転偏差E(S)に基づいて算
出した第3図に示す第3の実施例では、ピッチ誤差を従
来の装置の約20%にまで大幅に低減させることができ
た。第3の実施例ではピッチ誤差の絶対値が低減しただ
けではなく、その誤差の変動がなめらかになり、上記数
値に表された以上の良好なねじ加工を行うことができ、
最も良好なねじ加工精度を得ることができた。これは、
主軸11の回転量sを直接検出するのではなく偏差E
(S)として検出しているため外乱の影響を受けずらい
ためではないかと推測される。
なお、本発明は上記の3つの実施例に限定されるもの
ではなく、加速度演算器25,35,45及び加算器26,36,46へ
の入力を適宜変更することも可能である。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明は上記の構成を有し、回
転の速度及び加速度を算出し、その算出値からねじピッ
チに基づいて相当する送り指令値を演算する送り指令値
演算器手段を備え、その送り指令値に基づいて送りモー
タを同期運転するものであるから、回転位置に対する機
械の送り位置の追従性がよく、精度の高い高速ねじ加工
を行うことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に係るねじ加工装置の実施例を示し、第1
図は第1の実施例を示すブロック図、第2図は第2の実
施例を示すブロック図、第3図は第3の実施例を示すブ
ロック図である。 図中、7は送りモータ、9はパルスゼネレータ(送り位
置検出手段)、11は主軸、12は回転モータ、14はパルス
ゼネレータ(回転位置検出手段)、23は偏差カウンタ
(回転偏差演算手段)、24は回転サーボアンプ(回転駆
動手段)、25,35,45は加速度演算器、26,36,46は加算
器、27,37,47は送り指令値演算器(送り指令値演算手
段)、28は加算器(補正手段、29は送りサーボアンプ
(送り駆動手段)、30は偏差カウンタ(送り偏差演算手
段)、31は送り補正値演算器(送り補正値演算手段)で
ある。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主軸(11)の回転位置を検出する回転位置
    検出手段(14)と、機械の送り位置を検出する送り位置
    検出手段(9)とを備え、主軸(11)を回転する回転モ
    ータ(12)と送りを駆動する送りモータ(7)とを同期
    運転してタッピング加工動作を行うねじ加工装置におい
    て、 回転指令値と検出された主軸(11)の回転位置との回転
    偏差を演算する回転偏差演算手段(23)と、 その回転偏差に従って回転モータ(12)を駆動する回転
    駆動手段(24)と、 回転の速度及び加速度を算出し、その算出値からねじピ
    ッチに基づいて相当する送り指令値を演算する送り指令
    値演算手段(27,37,47)と、 検出された主軸(11)の回転位置からねじピッチに基づ
    いて相当する送り補正値を演算する送り補正値演算手段
    (31)と、 その送り補正値と検出された機械の送り量との送り偏差
    を演算する送り偏差演算手段(30)と、 その送り偏差により前記送り指令値を補正する補正手段
    (28)と、 その補正手段(28)により補正された送り指令値に従っ
    て送りモータを駆動する送り駆動手段(29)と を備えることを特徴とするねじ加工装置。
  2. 【請求項2】前記送り指令値演算手段が、回転指令値に
    基づいて回転の加速度を算出することを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載のねじ加工装置。
  3. 【請求項3】前記送り指令値演算手段が、検出された主
    軸の回転位置に基づいて回転の加速度を算出することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載のねじ加工装置。
  4. 【請求項4】前記回転指令値演算手段が、前記回転偏差
    に基づいて回転の加速度を算出することを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載のねじ加工装置。
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