JP2628497B2 - 超電導核磁気共鳴断層撮影設備の磁石装置 - Google Patents

超電導核磁気共鳴断層撮影設備の磁石装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、超電導の基本磁界コイルと常電導の傾斜
磁界コイルとを備えた核磁気共鳴断層撮影設備の磁石装
置に関する。
[従来の技術] 均一な基本磁界を発生するために極低温媒体により冷
却された超電導コイルと、基本磁界コイルにより画成さ
れた内部空間の中で傾斜磁界を形成するための常電導コ
イルと、導電性かつ伝熱性の材料から成り冷却された少
なくとも一つの放射シールドとを備え、この放射シール
ドが常電導の傾斜磁界コイルと超電導の基本磁界コイル
との間に配置されている核磁気共鳴断層撮影設備の磁石
装置は、欧州特許出願公開第0144171号公報に記載され
ている。
医療技術の分野では、検査すべき特に人体又は人体部
分の特定の元素の核の計算的及び測定技術的に統合され
た共鳴信号が解析される画像撮影診断方法が開発されて
きた。そのようにして得られる空間的なスピン密度分布
及び/又は緩和時間分布から、X線コンピュータ断層撮
影画像に類似した画像を再構成又は計算できる。かかる
方法は一般に「核磁気共鳴断層撮影法」の名称で知られ
ている。
核磁気共鳴断層撮影法のための前提条件はいわゆる基
本磁界磁石により発生される磁界であり、この磁界の中
へ検査すべき人体又は人体部分が基本磁界の方向軸線に
一般に一致する軸線に沿って送り込まれる。基本磁界は
相応の撮影領域又は検査領域の中で十分に均一でなけれ
ばならず、その際この領域でこの基本磁界の磁束密度は
数テスラにまで達し得る。しかしながらかかる高い磁束
密度は、相応の極低温装置の中に収容されるべき超電導
磁石コイルを用いたときだけ経済的に発生できる。室温
から超電導基本磁界コイルへの熱伝達を制限するため
に、かかる極低温装置は少なくも一つの冷却された放射
シールドを備える。それゆえにかかる放射シールドは一
般に良伝熱性材料従って良導電性材料から作られる。基
本磁界には常電導コイルにより発生され静的な及び/又
は脈動するいわゆる傾斜磁界が重畳され、この常電導コ
イルは基本磁界コイルの極低温装置により画成された内
部空間の中に配置され一般にほぼ室温にある。人体又は
人体部分の中の個々の原子核を歳差運動へ励起するため
に、更に特別なアンテナ装置が必要であり、このアンテ
ナ装置は短時間高周波の交番磁界を発生することができ
る。場合によってはこのアンテナ装置は、励起された原
子核により引き起こされる高周波信号を受信するために
も用いることができる。
前記欧州特許出願公報によれば、超電導の基本磁界コ
イル装置又はその極低温装置の放射シールドは、例えば
アルミニウムのような良導電性材料から作られている。
しかしながらかかる放射シールドの中には常電導の傾斜
磁界コイルにより渦電流が誘導され、この渦電流自体は
再び逆方向に傾斜磁界を検査領域の有効体積の中に発生
する。特別の対策を行わなければこのために得られる画
像が不鮮明となる。これに関連して放射シールドを遮蔽
せずに例えば低導電性材料を用いて又はスリットを備え
て構成することは、公知の磁石装置の放射シールドでは
一般に実用的でない。すなわちそのときは傾斜磁界が超
電導の基本磁界コイルのヘリウム低温の範囲の中にまで
侵入し、この範囲で非常に低い運転温度の場合に特に有
害な熱量を発生するおそれがある。
この問題に関連して主として二つの対策が知られてお
り、しかしながらこれらの対策は比較的費用がかかる。
1)かかる放射シールドの中に誘導される渦電流の磁界
は直接の傾斜磁界の約10ないし30%に達する。渦電流に
基づく磁界は本来の磁界に対し反対向きである。すなわ
ち渦電流に基づく磁界は本来の磁界を弱める。この効果
は傾斜磁界コイルの設計及び構成の場合に考慮すること
ができる。(例えば「ジャーナル オブ フィジックス
(J.Phys.)E編」、第19巻、1986年、第876ページない
し第879ページ、又は欧州特許出願公開第0164199号公報
参照)。
2)更に例えば「ジャーナル オブ フィジックス(J.
Phys.)D編」、第19巻、1986年、第L129ページないしL
131ページから、傾斜磁界コイルの補助的な系を導入す
ることが知られており、この補助的な系は本来の一次の
傾斜磁界コイル系と放射シールドとの間にできるだけこ
のシールドに密接にして配置される。しかしその際一般
にソレノイド状の超電導基本磁界コイルの内側の場所が
狭いために困難を招く。
[発明が解決しようとする課題] この発明は、よく知られた対策の場合に放射シールド
の中の渦電流発生に基づいて生じる問題が緩和されるよ
うに、前記の種類の磁石装置を改良することを目的とす
る。しかしながらその際放射シールドの熱的遮蔽効果を
少なくとも十分に維持するようにしようとするものであ
る。
[課題を解決するための手段] この目的はこの発明に基づき、基本磁界コイルの内部
空間に向かう側に筒形の遮蔽構造体が配置され、この遮
蔽構造体が少なくも第2種の超電導材料を含みかつ基本
磁界コイルの極低温媒体に熱的に結合され、放射シール
ドが少なくとも傾斜磁界コイルにより放射シールドの中
に誘導される渦電流を抑制するように構成されているこ
とにより達成される。
ここで第2種の超電導材料とは一般に、この材料の中
に誘導される電流が電気抵抗に基づいて時間と共に弱め
られることなく、この電流を少なくともほぼ損失なく流
すことができるために、磁石装置の円滑な運転状態の間
は基本磁界コイルの静的な磁界及び傾斜磁界コイルと高
周波コイルとの交番磁界の中で十分な電流密度(電流容
量)を有するような材料を指す。その際基本磁界がこの
超電導材料を貫通できるべきである(例えばブッケル
(W.Buckel)著の教科書「超電導(Supraleitung)」、
第3版、バインハイム(Weinheim)書店、1984年、第14
0ページないし第166ページ、又は「エレクトロテヒニク
ウント マシーネンバウ(Elektrotechnik und Masch
inenbau)」、第96巻、第4号、1979年、第137ページな
いし第159ページ参照)。
[発明の効果] 磁石装置のこの発明に基づく構成により生じる長所は
特に、超電導の基本磁界コイルの極低温領域に対する熱
遮蔽の機能と傾斜磁界の電磁遮蔽の機能とが切り離され
ているということである。その際基本磁界は第2種の超
電導体を使用するために小さい残留反磁性に基づき層状
の構造体から僅かしか押しのけられず、従って有効体積
の中では相応に僅かしか変更されない。従って運転の場
合に発生する傾斜磁界は層状の構造体の中に電流を流し
始め、この電流はジュールの損失によってはもはや減衰
されない。それゆえに周波数応答は最低の周波数までほ
ぼ平滑である。
別の長所は、傾斜磁界に基づく渦電流の発生を抑制す
るという観点のもとに構成される放射シールドを用いる
ことができるということにある。渦電流抑制のための相
応の手段は一般に知られている。かかる手段は、特に基
本磁界コイルの万一のクエンチの際にすなわち超電導状
態から常電導状態への意図しない移行の際に、大きい渦
電流従って力を放射シールドの中に発生しないというこ
とをもたらすことができる。
この発明に基づく手段の別の長所は、例えば基本磁界
コイルの均質化の後に発生し時間に関係する外部の妨害
磁界が、有効体積から十分に遠ざけられるということで
ある。
この発明に基づく磁石装置の有利な実施態様は請求項
2以下に記載されている。
[実施例] 次にこの発明に基づく磁石装置の複数の実施例を示す
図面により、この発明を詳細に説明する。各図面では一
致する部品は同一の符号が付けられている。
第1図に示すこの発明に基づく磁石装置では、核磁気
共鳴断層撮影用イメージング設備のために用いられる
(例えば前記の欧州特許出願公開第0144171号公報参
照)ような従来例が出発点となっている。その際かかる
装置は一般に、x-y-z直角座標系のz軸の方向に基本磁
界を発生するための超電導コイルの複数の対を備える。
この基本磁界は撮影領域又は有効体積の中では十分に均
一であり、この領域の中心点Mにこの座標系の座標原点
が置かれる。磁石装置はこの均一な撮影領域へ軸方向に
出入りできるべきである。すなわち検査すべき例えば人
体がz軸に沿ってこの磁界領域の中へ送り込まれる。そ
れゆえにかかる磁石装置は回転対称に構成されるのが有
利である。第1図に長手方向断面として部分的に示され
全体に符号2を付けられた核磁気共鳴断層撮影のための
磁石装置は、z軸に沿って前後に並べられたリング状の
例えば六つの超電導基本磁界コイルを有する。各二つの
これらのコイルは、座標系のx-y軸により形成された平
面Eに関して対称に配置されているので、基本磁界コイ
ルの三つの対P1、P2、P3が生じる。第1図では、この対
称面Eの一側にありかつz軸の上方にある磁石装置2の
部分だけが示されている。従ってコイル対P1は基本磁界
コイル11により、またコイル対P2は基本磁界コイル12に
より、またコイル対P3は基本磁界コイル13により示され
ている。その際磁石装置の基本磁界コイルは特に、非磁
性材料から成る堅固な中空円筒形のコイル枠4の相応の
溝の中に配置することができる(例えば欧州特許出願公
開第0238909号公報参照)。このコイル枠は超電導の基
本磁界コイルの冷却のために必要な極低温媒体により一
緒に冷却される。コイル対又はその共通のコイル枠4に
より画成される磁石装置2の円筒形の内部空間6の中に
は、更にそれ自体知られた常電導の傾斜磁界コイルと更
になお常電導の高周波コイルとを配置できる。第1図に
は例としてくら形のx-y傾斜磁界コイルだけが示され符
号8を付けらている。例えばリング形の支持体9上に固
定されたこれらの傾斜磁界コイル8はほぼ室温にあるの
で、傾斜磁界コイルと極低温に冷却された超電導の基本
磁界コイル11ないし13との間には熱的な遮蔽体が必要で
ある。このためにコイル枠4を超電導の基本磁界コイル
11ないし13と共に囲む真空室15が用いられる。相応の真
空容器16により囲まれたこの真空室15の中には、しばし
ば低温シールド又は放射シールドとも呼ばれる少なくと
も一つの熱的なシールド18が同心に配置され、この放射
シールドの中では傾斜磁界コイルにより誘導される渦電
流が少なくともほぼ抑制されるように放射シールドが構
成されている。真空容器16は例えば合金鋼又はガラス繊
維強化プラスチックのような低導電成材料から成るのが
有利である。
第2図には、第1図に示した磁石装置2の切断線II-I
Iによる断面図が示されている。
この発明に基づき超電導基本磁界コイル11ないし13の
内部空間6に向かう側に電磁遮蔽構造体20が設けられ、
この遮蔽構造体により傾斜磁界が基本磁界コイルの極低
温域の中へ侵入するのを防止される。このために少なく
ともほぼ筒形のこの構造体は第2種の超電導材料から成
るか、又はこの材料から成る部分を含むべきである。こ
の構造体は第1図及び第2図に示す実施例によれば、直
接コイル枠4の内面に超電導材料から成る層又はフィル
ムの形で取り付けられている。こうして低温のコイル枠
との熱的接触が保証されるので、この層を正常運転時に
その超電導材料の臨界温度以下に維持することができ
る。遮蔽構造体20として働く層を場合によっては直接コ
イル枠上に例えばスパッタリング又は蒸着により被覆す
ることができる。
第3図に断面で示すように、遮蔽構造体21のために場
合によっては例えば非導電性かつ非透磁性の材料から成
る特別の円筒形スリーブ22を使用することもでき、この
スリーブは超電導層23に対し単に支持体として働く。そ
の際低温のコイル枠4に直接に接触しない場合には、周
知の方法で補助的に超電導層23のための冷却装置を設け
なければならない。
しかしながら一般に、傾斜磁界を遮蔽できるために第
3図に示す超電導層23が遮蔽構造体の閉じた円筒面であ
ることは必ずしも必要ではない。このことは特に基本磁
界の形の均一磁界をも遮蔽しようとするときだけに必要
である。その代わりに第4図及び第5図に示すように、
(2π+Δφ)R×z方向長さの寸法の方形の超電導箔
を作ることもでき、この箔はコイル枠4の中に挿入後に
重なりR・Δφを有する。ここでRは筒形の構造体に曲
げられた超電導箔25の半径であり、φはx-y-z座標系
(第4図参照)の中の方位角である。そのときz方向傾
斜磁界により誘導されるような方位φ方向における渦電
流は、大きさR・Δφの重なり域26の中で閉じることが
できる。相応の渦電流が第5図に示され符号27が付けら
れている。第5図では第4図の箔25がRφ−z平面上に
展開して示されている。
第4図及び第5図では、コイル枠4の寸法に適合し比
較的広い寸法を備えた超電導材料から成る箔25が用いら
れることを前提とした。しかしながら形成すべき筒形の
遮蔽構造体の超電導面は、手ごろで経済的に製作できる
個々の面に分割することもできる。そのとき例えば方形
又は六角形の面要素を用いて大きい面積を隙間無く覆う
ことができる。このためにはまず第6図を参照された
い。第6図にはただ数個の方形の面要素又は遮蔽要素28
が第5図に相当する図示法で示されている。遮蔽構造体
29のこれらの遮蔽要素は相互に導電結合されるべきでな
い。遮蔽要素の中にそれぞれ誘導される渦電流は絶えず
その要素上で閉じた電流ループ30を形成しなければなら
ない。そのとき例えばその下に置かれたz方向傾斜磁界
コイルにより発生されるような周方向φに誘導され本来
全周にわたって初めて閉じられる強さIφの渦電流が、
隣接する要素の縁電流I-及びI+の差として現れる。この
ことは電流密度が縁で特別に大きいということになる。
それゆえに超電導材料は相応の大きい電流容量を有しな
ければならない。
超電導材料の電流容量についての要求の小さいこの発
明に基づく筒形の超電導の遮蔽構造体の特に有利な実施
例が、第7図に第5図又は第6図に相当する図示法で示
されている。この場合部分だけを示し全体に符号31を付
けられた構造体が個々の遮蔽要素32により形成され、こ
れらの遮蔽要素は範囲33、34でΔz又はR・Δφだけ重
なっている。ここでは第6図に示す縁電流が限られた幅
にすなわち半径方向に上下に配置された重なり域上に分
布し、縁電流を所望の電気装荷K=I/Δz又はI/R・Δ
φに制限できる。その際重ね方従ってどのような順番で
要素を内側からコイル枠に取り付けるかはその機能から
は重要ではなく、従って純粋な製造技術上の観点から決
定できるので有利である。例えば長尺物から成る長い帯
を利用すれば、第7図に示した場合の特殊例、すなわち
R・Δφの重なりを有するz方向に連続した帯、又はた
だ一個所のR・Δφの重なりとそれぞれのΔzの重なり
とを備え円筒周囲に一回巻き付く帯を実現することがで
きる。
用いるべき超電導材料の必要な層厚さを決定するため
に、生じる最大の電流装荷Kを容易に見積ることができ
る。その結果として市販の核磁気共鳴断層撮影設備に対
しては層厚さは0.5μmないし5μmの大きさの範囲に
ある。自明のように更に厚い層を用いることもできる。
第6図及び第7図に示す個々の遮蔽要素の製作は知ら
れた技術により行うことができる。例えば超電導層をス
パッタリング特に直流マグネトロンスパッタリングによ
りプラスチックフィルム上に被覆することができ、その
際既に作られた合金を用いてスパッタリングされるか、
又は超電導体のそれぞれの原材料を有する二つのターゲ
ットを用いて作業される。この発明に基づく遮蔽構造体
に対して適した材料は一般に知られている(例えば欧州
特許出願公開第0190767号公報参照)。あらかじめ製作
され圧延された箔例えばNbTi箔を支持体上に被覆でき
る。超電導材料のもろさに関してたまたま生じる問題を
避けるために、場合によっては超電導材料を周知の方法
で「現物合わせ」ですなわち初めからほぼ最終的な形状
に作ることもできる。例えばNb箔をTiでスパッタリング
し、最終的な形を作った後に初めて熱処理による拡散プ
ロセスを用いて所望のNbTi層に調整することができる。
更に例えばNbを電解により耐熱性の支持体上に析出し、
Tiをここでもスパッタリングと拡散により注入すること
ができる。
基本磁界コイルの磁界変化の場合に、例えばこのコイ
ルの励磁立ち上げの場合に、例えば第6図及び第7図に
示す遮蔽要素28又は32の中に同様に渦電流が誘導され
る。基本磁界コイルにより発生すべき磁界の予測された
均一性が達成されるように、この渦電流を正確にゼロに
しなければならない。一般にこの発明に基づく筒形の遮
蔽構造体の超電導層がクエンチを起こしすなわち常電導
に移行し、それにより渦電流がほぼ自動的に消滅される
ということを利用することができる。しかしながら厳密
な意味で電流の流れない状態をいつでも達成できるよう
に、それぞれ筒形の構造体の特別な加熱装置を設けるの
が有利である。
このために個々の遮蔽要素がそれぞれ補助的に例えば
銅又はアルミニウムから成る常電導の層を有するか、又
はその支持体自体が導電性材料から作られていなければ
ならない。個々の遮蔽要素の加熱装置は電気的に相互に
結合されていなければならないので、その結果適当な直
列回路又は並列回路により所望の全抵抗値が生じ、接続
導線を極低温装置から取り付けることもできる。
更に加熱装置として働く常電導の層が超電導材料によ
り短絡されないように、この常電導の層は超電導の材料
から電気的に絶縁されなければならない。伝熱体層が導
電性材料から作られている場合には、同じ理由から相応
の伝熱体層をもコイル枠に対して絶縁しなければならな
い。絶縁は例えば独立したプラスチックフィルムによる
か又は絶縁層により達成できる。相応の各一つの層構造
が第8図及び第9図に断面図として示されている。
第8図では筒形の超電導遮蔽構造体35が出発点となっ
ており、この構造体の超電導遮蔽要素32が特別のプラス
チック製支持体37上に被覆されている。このプラスチッ
ク製支持体37のコイル枠4に向かう側の面上には、伝熱
体層38が加熱装置として配置されている。この伝熱体層
38は導電性のコイル枠4に対して絶縁層39により絶縁さ
れている。従って超電導の遮蔽要素32が常に内側に向け
て図示されていない傾斜磁界コイルに向かう側に配置さ
れるので有利である。遮蔽要素は別の絶縁層40により内
面側を被覆されている。
第9図に示した構造では超電導の遮蔽構造体42を出発
点とし、この構造体の超電導の遮蔽要素32は金属体44に
より支持されている。この金属体44は同時に加熱装置と
して働く。金属体は超電導の遮蔽要素32に対して特別の
絶縁層45により分離されている。
第10図及び第11図には、個々の遮蔽要素に付設された
加熱装置の各一つの接触可能性が示されている。
第10図には二つの遮蔽要素が示され、これらの要素は
例えば第7図に示す要素32である。これらの要素は重な
り域34を形成する。加熱装置46の加熱回路の並列接続を
可能にするために、縁ごとに二つの接点が必要である。
隣接する要素への給電は二つの接触縁を必要とする。相
応の接点がここでは貫挿されたリベット又はボルトによ
り実現される。短絡を避けるために、貫通孔の周囲では
各要素の超電導層をいくらか空けておくべきである。ジ
ュールの熱出力は、個々の要素の縁の導体路49と50との
間に延びる細い桟部48の中で変換される。残りの面は要
素の中での熱伝導により一緒に熱せられる。
第11図では遮蔽要素32が用いられ、その加熱装置52は
要素の重なり域34の中のたわみやすい導体帯51により直
列接続となるように結合されている。ここでは加熱層53
の曲がりくねった構造が提案されている。この層は超電
導材料の無い凸部54に達している。そして個々の遮蔽要
素はあたかも鎖のように前組み立てされてコイル枠の中
へ挿入され、そこに機械的に固定されるだけでよい。こ
のために例えばボルト又はクリップを用いることがで
き、これらの結合部品は個々の要素の中央に配置される
のが有利である。
自明のように第10図に示す接触技術は第11図に示す直
列接続に組み合わせることができ、また逆に組み合わせ
ることもできる。
この発明に基づき、超電導の基本磁界コイル11ないし
13に対する傾斜磁界コイルの電磁遮蔽が、図示の超電導
の遮蔽構造体により行われる。そしてこの発明に基づく
磁石装置のために補助的になお必要な少なくとも一つの
放射シールド18は、電磁遮蔽の観点から設計される必要
がない。それゆえに放射シールドの中には傾斜磁界コイ
ルにより又は基本磁界コイルのクエンチの場合に大きい
渦電流従って場合によっては過大な力が発生しないよう
に、放射シールドをそれ自体知られた方法で構成するこ
とができる。この理由から放射シールドは長手方向スリ
ットを備えるのが有利である。実施例として相応の放射
シールドの一部が第12図に断面で示され符号18aが付け
られている。このシールドは主として多数の薄壁の管か
ら集成され、これらの管は例えば合金鋼から成る。これ
らの管は軸(z)方向に相互に平行に並び、周方向に見
て相互に密に並んでいる。しかしながらこれらの管は相
互に電気的に絶縁されているのが有利である。このため
に図示の実施例では、符号56を付けられた個々の管が薄
い筒形の支持体57上に電気的に絶縁されて取り付け又は
接着されている。管56相互の電気的絶縁を保証する相応
の接着剤層が図で符号58を付けられている。そうして放
射シールド18aの長手方向にスリットを有する構造が生
じる。
薄い筒形の支持体57は、例えば鋼又はプラスチックの
ような低導電性の板から成ることができる。場合によっ
てはこの支持体を全く省略することも可能である。その
とき相互に機械的に結合された冷却管56は、十分に自己
安定性の円筒形構造体であるか及び/又はその端面で相
応に安定に保持されなければならない。
第13図には、長手方向にスリットを有する放射シール
ドの別の実施例が第12図に相応する図示法で示されてい
る。符号18bを有するこの放射シールドは、周方向に見
て重なり電気的に相互に絶縁された複数の金属帯60から
集成され、これらの金属帯は電気絶縁物61により筒形の
構造体となるように結合されている。その際発生する熱
を軸(z)方向に放射シールドの端面に運び去ることが
できるように、金属帯60は良伝熱性材料から作られてい
なけらばならない。そこではこれらの端面は磁石装置の
相応の低温部分に熱的に結合されている。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明に基づく磁石装置の一実施例の軸方向
断面図、第2図は第1図に示す装置の切断線II-IIによ
る断面図、第3図及び第4図はそれぞれ第1図に示す遮
蔽構造体の別の実施例の軸直角断面図、第5図は第4図
に示す遮蔽構造体の展開図、第6図及び第7図はそれぞ
れ分割された遮蔽要素の囲なる実施例の展開部分図、第
8図及び第9図はそれぞれ遮蔽構造体の加熱装置の異な
る実施例の軸方向部分断面図、第10図及び第11図はそれ
ぞれ加熱装置の接続方法の異なる実施例の要部展開図、
第12図及び第13図はそれぞれ放射シールドの異なる実施
例の軸直角要部断面図である。 4……コイ枠 5……内部空間 8……傾斜磁界コイル 11、12、13……基本磁界コイル 16……真空容器 18、18a、18b……放射シールド 20、21、24、29、31、35、42……遮蔽構造体 22、37、44……支持体 25……超電導箔 26、33、34……重なり域 28、32……遮蔽要素 37、45……絶縁層 38、44、53……伝熱体層 38、46、52……加熱装置 56……冷媒管 60……金属帯

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】均一な基本磁界を発生するために極低温媒
    体により冷却された超電導コイルと、基本磁界コイルに
    より画成された内部空間の中で傾斜磁界を形成するため
    の常電導コイルと、導電性かつ伝熱性の材料から成り冷
    却された少なくとも一つの放射シールドとを備え、この
    放射シールドが常電導の傾斜磁界コイルと超電導の基本
    磁界コイルとの間に配置されている核磁気共鳴断層撮影
    設備の磁石装置において、基本磁界コイル(11ないし1
    3)の内部空間(6)に向かう側に筒形の遮蔽構造体(2
    0、21、29、31、35、42)が配置され、この遮蔽構造体
    が少なくとも第2種の超電導材料を含みかつ基本磁界コ
    イルの極低温媒体に熱的に結合され、放射シールド(1
    8、18a、18b)が少なくとも傾斜磁界コイル(8)によ
    り放射シールドの中に誘導される渦電流を抑制するよう
    に構成されていることを特徴とする核磁気共鳴断層撮影
    設備の磁石装置。
  2. 【請求項2】遮蔽構造体(20、21、24、29、31、35、4
    2)が超電導材料を層又は箔の形で含むことを特徴とす
    る請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】遮蔽構造体(21、35、42)の超電導材料が
    支持体(22、37、44)上に被覆されていることを特徴と
    する請求項2記載の装置。
  4. 【請求項4】基本磁界コイル(11ないし13)が一緒に冷
    却されるコイル枠(4)上に配置され、このコイル枠の
    内側に遮蔽構造体(20、21、24、29、31、35、42)が取
    り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3の
    一つに記載の装置。
  5. 【請求項5】遮蔽構造体(24)が方形の超電導箔(25)
    から構成され、その際重なり域(26)が箔の長縁に形成
    されていることを特徴とする請求項1ないし4の一つに
    記載の装置。
  6. 【請求項6】遮蔽構造体(29、31)があらかじめ製作さ
    れた複数の遮蔽要素(28、32)から集成されていること
    を特徴とする請求項1ないし4の一つに記載の装置。
  7. 【請求項7】遮蔽要素(32)の相互に向かい合った縁に
    より、重なり域(33、34)が形成されていることを特徴
    とする請求項6記載の装置。
  8. 【請求項8】個々の遮蔽要素(28、32)が方形の形状を
    有することを特徴とする請求項6又は7記載の装置。
  9. 【請求項9】遮蔽構造体(35、42)が加熱装置(38、4
    6、52)を備え、この加熱装置が遮蔽構造体の超電導材
    料に対して電気的に絶縁されていることを特徴とする請
    求項1ないし8の一つに記載の装置。
  10. 【請求項10】加熱装置が伝熱体層(38、44、53)を備
    え、この伝熱体層が絶縁層(37、45)を介して遮蔽構造
    体(35、42)の超電導材料に熱的に結合されていること
    を特徴とする請求項9記載の装置。
  11. 【請求項11】放射シールド(18、18a、18b)がその金
    属部分の長手方向にスリットを備えた構造を有すること
    を特徴とする請求項1ないし10の一つに記載の装置。
  12. 【請求項12】放射シールド(18a)が薄壁の複数の冷
    媒管(56)を備え、これらの冷媒管がシールドの軸方向
    に相互に平行にかつ相互に低導電性に配置されているこ
    とを特徴とする請求項11記載の装置。
  13. 【請求項13】放射シールド(18b)が良伝熱性材料か
    ら成る薄い複数の金属帯(60)を備え、これらの金属帯
    がシールドの軸方向に相互に平行に配置されかつシール
    ドの周方向に見て重なり、その際これらの金属帯が相互
    に電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項11記
    載の装置。
  14. 【請求項14】超電導の基本磁界コイル(11ないし13)
    と少なくとも一つの放射シールド(18、18a、18b)が、
    低導電性材料から成る真空容器(16)の中に配置されて
    いることを特徴とする請求項1ないし13の一つに記載の
    装置。
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