JP2622881B2 - 熱伝達装置 - Google Patents

熱伝達装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ヒートパイプに関するものである。
本発明は特に大量の熱を伝達させるような場合やトッ
プヒートモードで使われるような場合また長距離の熱伝
達を行なう場合などに従来のヒートパイプでは十分に対
応できないような場合に利用できる。実際には家屋の屋
根に取付けた太陽熱補集器からの熱を地下の蓄熱タンク
に伝達するような場合である。
〔従来の技術〕
ヒートパイプは同一形状の銅棒より数百倍も多くの熱
を伝えることができる為産業界の各分野で利用されてい
る。ヒートパイプでは、内部の作動液体を高温部で蒸発
させ、その蒸気は蒸気圧差により低温部へ移送され、そ
こで凝縮し、このことにより気化熱に相当する熱を高温
部から低温部へすばやく伝達する。凝縮後の液体はヒー
トパイプ内壁のウィックとよばれる部分の毛細管力によ
って高温部へ戻される。
〔発明が解決しようとする課題〕 しかしヒートパイプをトップヒートモード(重力の作
用する環境でヒートパイプの上部を加熱、下部を冷すよ
うな使い方)で使ったり、より大量の熱を移送させた
り、長距離の熱移送に使用すると、バーンアウトと呼ば
れる現象が起き熱の移送が制限されたり、全くできなく
なる。これはヒートパイプの低温部において、凝縮した
作動液体をウィックの毛細管力により高温部へ戻してい
る為で、トップモードの場合は重力により、毛細管力を
上回る高さへは液体は供給されなくなる。また熱の移送
量が大きくなったり長距離の場合は、毛細管力を発生す
るウィック自身の流体力学的抵抗の為に高温部への作動
液体の戻りが著しく減少してしまう。この問題を解決す
る為に回転式ヒートパイプや電気浸透式ヒートパイプな
どがあり、前者では、ヒートパイプをテーパー状に作り
それを高速で回転させ発生する遠心力を利用して液体を
高温部へ戻し、又後者では、ヒートパイプに高い電圧を
加え電界力により液体を高温部へ戻す。しかしこれら
は、外部に動力なり電源を必要としたり、長距離の場合
は、機構が複雑になりほとんど利用できないなど問題が
残っている。
本発明はこれらの欠点を全て解決するとともに熱の移
送量もコントロールできるような熱伝達装置を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の熱伝達装置は、ヒートパイプ含む一次循環流
路と熱駆動ポンプを含む二次循環流路を持ち2つの流路
がヒートパイプの冷却部分と同じかそれより下の位置で
ダイヤフラム等の圧力伝達部品により連結され、前記二
次循環流路中の作動流体を、前記一次循環流路中の作動
流体の沸点よりも低い流体とし、蒸気泡の成長・収縮に
より作動する熱駆動ポンプによってヒートパイプの冷却
部分で凝縮した作動液体をヒートパイプ加熱部へ帰還さ
せるようにし、これによってヒートパイプを連続的に動
作させることを特徴とする。
〔実施例〕
第1図は本発明の一実施例である。
点線1で囲まれている部分が従来から知られているヒ
ートパイプで、銅のような熱良導体の薄肉管でできたコ
ンテナ2の内壁に作動液体を良く濡らして毛細管作用を
発生するような、多孔質や細かなメッシュ等の構造を持
つウィック3が全体に配置されている。そしてヒートパ
イプ冷却部分から出た導管4はダイヤフラムポンプのダ
イヤフラム吸込逆止弁6に連結され、ダイヤフラムポン
プ吐出逆止弁7は導管4によってヒートパイプ加熱部分
に連結され全体で閉じた一次循環流路8を形成し、内部
を一次作動液体9が循環する。
点線10で囲まれた部分は熱駆動ポンプで、熱良導体で
できたポンプ加熱部11を含み、内部に円錐形の液体受容
部12を有している。
ポンプ加熱部11はヒートパイプ冷却部分でコンテナに
一体、もしくはそれに近い状態で取付けてあり両者は常
に同一温度になるようにしてある。ヒートパイプはコン
テナーの温度がほぼ一様になるのでポンプ加熱部はコン
テナー上ならどこでも良い。気・液交換室12は熱伝導率
のよくないステンレス等の薄肉管などで作られ、ポンプ
加熱部11からの熱を内部の液体に伝えにくくしてある。
また交換室12の内部には凝縮管13とその先端に複数配置
した毛細管力発生用フィン14が固定してある。交換室12
の先端には吐出側逆止弁15が取付けられ、導管16によっ
てポンプ放熱器17に連結されポンプ放熱器のもう一端に
は導管16が連結され、導管は2方向に分岐して片方は吸
込側逆止弁18に連結し、吸込側逆止弁は交換室12の中程
の位置に取付けられていて全体で閉じた二次循環流路26
を形成する。導管の分岐した片方はポンプ流量分割弁19
に連結し、その先はアキュムレータ20とダイヤフラムポ
ンプ5へと導管で連絡している。
全体の内部は一次作動液体よりも同一温度でより高い
蒸気圧を示すような液体、すなわちより沸点の低い二次
作動液体21によって満たされている。アキュムレータの
右側の空間22は真空である。
もしヒートパイプの熱伝達量をコントロールする必要
の無い場合はポンプ流量分割弁、アキュムレータは必要
無く、二次循環流路とダイヤフラムポンプを直接導管で
つなげば良い。
レバー23は流量分割弁19の中の偏心した流路を回し流
路面積を変化させる。
ヒートパイプを含む一次循環流路と熱駆動ポンプを含
む二次循環流路はダイヤフラムポンプにより接していて
それぞれの作動液体はダイヤフラム24を間に挟んで相互
に圧力を伝えることができるようになっている。
次にこの実施例の動作を説明する。
まずこのヒートパイプは地面に対して縦に設置されそ
の高さはHである。そしてその上端が加熱部分でその熱
を下端に伝える、トップヒートモードで作動させる。そ
れぞれの作動液体は全ての導管、熱駆動ポンプ、コンテ
ナ2のウィック3の内部を満し、それ以外のヒートパイ
プ内の空間25は一次作動液体の蒸気で満たされている。
このような状態でヒートパイプ加熱部分に熱が加えら
れると、コンテナ2の薄い壁を通してウィック3内の作
動液体に熱が伝えられ作動液体は昇温しウィック表面か
らヒートパイプ内の空間に蒸発して行く一方冷却部分で
は加熱部分より温度が低い為、両者の蒸気圧差が生じ蒸
気は加熱部分から冷却部分へ急速に移動しそこでウィッ
ク表面へ凝縮、気化熱に相当する熱を運んだことにな
る。すると、ヒートパイプのコンテナ全体は加熱部分と
ほとんど同じ温度になる。
一方熱駆動ポンプ10内ではその加熱部11がヒートパイ
プ加熱部分とほぼ同じ温度まで昇温し内部の二次作動液
体21はヒートパイプ内のそれよりも沸点が低いので内部
の液体受容部12に蒸気泡が発生成長してゆく。すると吸
込側逆止弁6が閉じ吐出側逆止弁15が開いて成長した蒸
気泡の体積に相当する作動液体が気・液交換室12から、
吐出側逆止弁15導管を通してポンプ放熱器17へと移送さ
れる。やがて蒸気泡の成長が凝縮管13内部へ達すると、
周囲に熱を奪われ凝縮し収縮を始める。この時フィン14
の毛細管力により保持されていた作動液体が液体受容部
12に浸入、受容部を冷すことで蒸気泡は完全に収縮過程
に入る。そして吐出側逆止弁6を閉じ吸込側逆止弁15を
開いてポンプ放熱器17によって十分に冷やされた二次作
動液体を導管を通して吸引する。このようにして二次作
動液体は各部を通って循環する。この時熱駆動ポンプを
含む二次循環流路は容積が一定であるから気泡の成長・
収縮によって二次作動液体は容積変化しこの容積変化は
圧力変化としてポンプ流量分割弁19を通してダイヤフラ
ム24に伝わりダイヤフラムを動かす。これによってダイ
ヤフラムポンプ5はヒートパイプ冷却部にたまった一次
作動液体9をダイヤフラム吸込逆止弁6を通して吸引
し、ダイヤフラム吐出逆止弁7を通して、導管4を経て
ヒートパイプ加熱部分へ圧送することができる。
ポンプ流量分割弁19はレバー23を回すことにより熱駆
動ポンプ流路からの容積変化量をアキュムレータ20とダ
イヤフラムポンプ5へ分割することによりダイヤフラム
ポンプへの二次作動液体吐出量をコントロールしヒート
パイプへの一次作動液体供給量をコントロールしヒート
パイプの加熱部分から冷却部分への熱伝達量をコントロ
ールしている。
ここで重要なことはダイヤフラムポンプ5の位置をヒ
ートパイプ冷却部分と同じかそれ以下にすることであ
る。すなわちヒートパイプは加熱部分と冷却部分の温度
差はごくわずかであるから冷却部分に留った液体の温度
も沸点に近く、少しの減圧ですぐ蒸気泡が発生する為、
ダイヤフラムポンプによる大きな吸引はできない。した
がってダイヤフラムの位置を下げておくと水頭による圧
力差がなくなり、わずかな吸引力で作動液体をポンプ内
に導入することができる。
作動液体はヒートパイプで使われているものと同じも
のが使用できる。作動液体は一次より二次の方が沸点の
低いものを選ぶ必要かある。たとえば一次作動液体に水
を使うとすれば二次作動液体はアルコールなどが使われ
る。また熱駆動ポンプの熱源を、実施例では全てヒート
パイプ加熱部分に求めているが、他に利用できるものが
あればそれでもよい。また一次作動液体は二次作動液体
より高温になっている為ダイヤフラムポンプの薄いダイ
ヤフラムを介して熱が逃げてしまう恐れがある。このよ
うな場合にダイヤフラムの代りに第2図のように一次循
環流路8と二次循環流路26の間をU字管でつなぎ、一、
二次作動液体より高比重で混り合わない液体27を封入す
ることで熱の逃げを小さくできる。
また第3図のようにU字管の代りに磁性流体28を永久
磁石29で定位置に保持したような管でも良い。
またヒートパイプには内壁全面にウィックが設置され
ているが加熱部分と冷却部分にのみ分割して設置するも
のでもよい。そして実施例では全てトップヒートモード
でヒートパイプを使っているがもちろん水平、逆向でも
問題はなく、この場合熱移送量は増大する。
〔発明の効果〕
本発明によればヒートパイプの性能を飛躍的に向上す
ることができる。すなわち従来のヒートパイプが作動液
体の加熱部分への帰還をウィックの毛細管力のみに頼っ
ていた為高所の熱源を利用する場合や長距離の熱移送の
場合これがネックとなった。しかし本発明のように熱駆
動ポンプにより作動液体の帰還を行うことで高い所や長
い距離まで液体を圧送できるのでこれらのネックを解消
できる。
また従来からあった電気や遠心力を利用して作動液体
の帰還を行なうものでなく加熱部分の熱を利用するので
構造が簡単で信頼性の高いものができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による熱伝達装置の概略断面図、第2図
および第3図は別の実施例による熱伝達装置の概略断面
図である。 1……ヒートパイプ、4……熱駆動ポンプ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒートパイプを含む一次循環流路と熱駆動
    ポンプを含む二次循環流路とを有し、2つの流路をヒー
    トパイプの冷却部分と同じかそれより下の位置でダイヤ
    フラム等の圧力伝達部品により連結し、前記二次循環流
    路中の作動流体を、前記一次循環流路中の作動流体の沸
    点よりも低い流体とし、蒸気泡の成長・収縮により作動
    する前記熱駆動ポンプによってヒートパイプの冷却部分
    で凝縮した作動液体をヒートパイプ加熱部へ帰還させる
    ようにし、これによってヒートパイプを連続的に動作さ
    せることを特徴とする熱伝達装置。
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