JP2622707B2 - アルミ建材の再塗装方法 - Google Patents

アルミ建材の再塗装方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アルミ建材の再塗装方法、詳しくは既に樹
脂が焼付塗装されているアルミニウム建材を、任意の色
調に再焼付塗装するアルミ建材の再塗装方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、アルミニウム建材は、サッシ、フェンス、門扇
等の外装用の他に障子、間仕切り等の種々の色調を有す
る内装用建材としての利用も増大している。しかし、ア
ルミニウム建材の組立て加工業においては、アルミサッ
シ等を形成するための形材として全ての色調の在庫品を
保有する事は流通コスト上好ましくないので、在庫品は
極力少数のスタンダード品に止め、必要に応じて、該ス
タンダード品を所望の色調に再焼付塗装をする事が望ま
しい。
ところが、既に焼付塗装されているアルミ建材に、直
接塗料を塗布し、焼付して行なう再焼付塗装において
は、その塗装膜と被塗装面である下層の焼付装膜との間
の密着性に満足できる焼付塗装技術は未だ知られていな
い。そのため、通常、被塗装面について、予めプライマ
ー処理或いはサンディング等の下地処理を行い、次いで
充分に水洗し、乾燥し、然る後に再塗装を行っている。
しかしながら、上記下地処理を行なう再焼付塗装技術
は、設備的にも工程的にも複雑であり、それ故に製品が
高価になるので好ましくない。
従って、本発明の目的は、焼付塗装後のアルミニウム
建材に対する再焼付塗装を容易且つ簡便に行なうことが
できるアルミ建材の再塗装方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、種々検討した結果、焼付塗装後のアル
ミニウム建材に対して再焼付塗装を行なうに際し、その
被塗装面に対して事前に特定の処理を行うことにより上
記目的が達成されることを知見した。
本発明は、上記知見によりなされたもので、予め樹脂
が焼付塗装されているアルミニウム建材の塗装膜表面に
紫外線を照射し、次いで該塗装膜表面上に再焼付塗装を
施すことを特徴とするアルミ建材の再塗装方法を提供す
るものである。
尚、本発明において、上記アルミニウム建材には、サ
ッシ、フェンス又は門扇等の完成品はもとより、これら
完成品を製造するための部品である形材も含まれる。
以下、本発明のアルミ建材の再塗装方法について詳述
する。
本発明のアルミ建材の再塗装方法は、上記のように、
既に焼付塗装されている塗装膜(第一塗装膜)の表面
に、重ねて塗装膜(第二塗装膜)を焼付塗装で形成して
形勢するに際し、その塗料の塗布に先立って上記第一塗
装膜の表面に紫外線の照射を行なうものである。
本発明のアルミ建材の再塗装方法において、アルミ建
材とは、アルミニウム又は通常80%以上のアルミニウム
を含有するアルミニウム合金で形成された窓材、扉材又
は壁材等であり、また、焼付塗装とは、所定の熱硬化性
樹脂を所定の厚さ(例えば、3〜3,000μ、好ましくは1
0〜500μ)に塗布し、然る後、所定温度(例えば、50〜
300℃、好ましくは80〜200℃)で所定時間(例えば、1
秒〜1時間、好ましくは5〜40分)で焼付処理を行う塗
装方法である。
本発明のアルミ建材の再塗装方法において、上記第一
塗装膜を形成するための樹脂としては、通常焼付塗装用
塗料として用いられるものであれば特に制限なく利用で
き、一般的には熱硬化性アクリル樹脂塗料、熱硬化性ポ
リウレタン樹脂塗料、熱硬化性フッ素樹脂塗料、熱硬化
性珪素樹脂塗料、熱硬化性メラミン樹脂塗料、尿素樹脂
塗料、フェノール樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などが挙
げられ、具体的には次のものを挙げることができる。
・水酸基等を含有する反応型アクリル樹脂と硬化剤であ
るイソシアネートとの混合物 ・カルボキシル基等を含有する反応型アクリル樹脂と硬
化剤であるメラミン樹脂との混合物 尚、これらの樹脂を塗布する方法には特に制限はな
く、TFS塗装法(トリクレンフィニッシングシステム塗
装法)、電着塗装法を挙げることができる。
また、上記第一塗装膜を形成する場合、通常、上記樹
脂混合物を成分とする、顔料を含有しない塗料が用いら
れるが、酸化チタン(TiO2)等の着色顔料を含有する塗
料を用いる場合もある。
本発明のアルミ建材の再塗装方法において、上記第一
塗装膜の表面を処理するために使用する紫外線としては
特に制限はないが、その分光エネルギー分布が、好まし
くは200〜400nm、更に好ましくは200/280nmの範囲にあ
り、その最大分光エネルギー分布が、好ましくは約250n
m〜約260nmの範囲にある紫外線を好適な例として挙げる
ことができ、その紫外線源として低圧水銀ランプを挙げ
ることができる。
また、上記紫外線を照射する方法としても特に制限は
なく、例えば、アルミニウム建材を上下に紫外線源が配
備されているトンネル内を通過させるか、又は紫外線源
を備えた適当な箱型容器内にアルミニウム建材を収容
し、紫外線を照射する等の方法を挙げることができる。
その際の紫外線の照射時間は、紫外線源と被照射体と
してアルミニウム建材との距離及び紫外線源の出力に応
じて適宜変更されるものであるが、通常1〜10cmの距離
で10秒〜60秒の範囲の照射を行なうことが好ましい。
又、紫外線照射後、塗料を塗布する迄の時間は、短い
ほど好ましいが、通常40時間以内であれば良好な結果が
得られる。但し、本発明方法は40時間以内に塗装する場
合に限られるものでないことはいうまでもない。
本発明のアルミ建材の再塗装方法において、第二塗装
膜は、主として第一塗装膜とは異なる色の表面状態を形
成する、美装を目的とするものであるが、これに限るも
のでなく、例えば、第一塗装膜の損傷箇所の補修やアル
ミ建材の十分な保護等を目的とするものであってもよ
い。尚、特に美装を目的とする場合には、第一塗装膜を
隠弊する必要があるため、第二塗装膜は、例えば10μ以
上の厚さで形成することが好ましい。
また、上記第二塗装膜を形成するための塗料として
は、通常焼付塗装に用いられるものであれば特に制限な
く利用可能であり、第一塗装膜を形成する場合と同一の
樹脂を成分とする塗料をも利用できる。但し、第二塗装
膜を形成するための塗料としては、通常酸化チタン等の
着色顔料を含有する形態のものが用いられる。
尚、アクリル樹脂を構成成分として含む塗料の樹脂成
分の具体例としては、次の混合物を挙げることができ
る。
下記(a)〜(d)単量体の合計100重量部を重合さ
せてなる共重合物、及び解離温度が約120〜230℃の非芳
香族系ブロック化イソシアネート化合物からなる混合
物。
(a)一般式H2C=CR1COOR2(但し、R1はH若しくは−C
H3を表し、R2はC1〜C20の直鎖若しくは分枝アルキル基
を表す)で表されるアクリル酸若しくはメタクリル酸エ
ステル単量体:50〜94.5重量部。
(b)分子中に少なくとも1つの水酸基を有するモノビ
ニル系単量体:5〜20重量部。
(c)C3〜C5のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カル
ボン酸単量体:0.5〜5重量部。
(d)上記(a)〜(c)の単量体と共重合可能で、上
記(a)〜(c)の単量体とは異なる単量体:0〜44.5重
量部。
次に、本発明のアルミ建材の再塗装方法を実施例に基
づいて更に具体的に説明する。
〔実施例1〕 TFS法によりクリヤ塗装により既に第一塗装膜が形成
されている横5cm、縦10cmのアルミ押出形材(三協アル
ミニウム工業(株)製)を、紫外線源として15Wの低圧
水銀ランプ(ナショナル殺菌灯GL・分光エネルギー分布
200nm〜280nm)4本を備えた箱型容器内に収容し、上記
紫外線源と被照射体である上記形材との距離を約5cmに
セットして紫外線を10〜30秒間照射し、次いで、白色の
熱硬化型アクリル樹脂塗料(商品名:デュラクロンCM…
大日本塗料(株)製メラミン樹脂硬化型)を上記形材に
スプレー塗装し、更に170℃で20分間加熱硬化させて再
焼付塗装を行い、第二塗装膜を形成した。そして、上記
第二塗装膜についてその接着性能の評価を行い、その結
果を下記第一表に示した。
本実施例1において、接着性能のテスト及びその評価
の方法は下記の通りである。
上記塗料を塗布し、加熱硬化して形成した上記第二塗
装膜に、安全カミソリで1mm巾に縦横11本の線を下地に
達するまでカットして引き、1mm2のマス目を100個形成
する。その塗装膜の上にセロテープを重さ2kgのゴムロ
ール(径9.5cm、巾5.0cm)で押圧して圧着した後、その
セロテープの一端をもって強く剥離する。そして、上記
の碁盤目セロテープ剥離の評価は、第二塗装膜の膜厚
が、25μである場合(No.1、No.2)、50μである場合
(No.3、No.4)のそれぞれに各2回ずつ行い、その際に
剥がれなかった碁盤目の数で評価し、その数字を第一表
に記載した。尚、紫外線照射は、10秒間と30秒間の2つ
の場合について行った。
また、比較の為、上記実施例1と同一のアルミ形材に
ついて、全く下地処理せずに再焼付塗装した場合を比較
例とし、上記実施例1の場合と同様に形成した第二塗装
膜について接着性能を評価し、その結果を同じく第一表
に示した。
〔実施例2〕 実施例1と同じアルミ形材に同様に紫外線を照射した
後、該アルミ形材にアクリルウレタン一液型の塗料(商
品名:Vクロマ#200CW……大日本塗料(株)製)をスプ
レー塗装し、更に160℃、20分間加熱硬化させて第二塗
装膜を形成し、実施例1の場合と同様にその接着性能の
評価を行った。
その結果を下記第二表に示した。
尚、本実施例2では紫外線照射を10秒間と20秒間の場
合について行い、また、下地処理を行わない場合を同様
に比較例とした。
以上説明した第一表及び第二表より明らかなように、
本発明によればアルミ形材に優れた接着性能を有する塗
装膜(第二塗装膜)を再焼付塗装で形成することができ
た。しかも、サンドブラスト法のような大掛かりな設備
や複雑な作業工程を経ることなく、単に紫外線を照射す
るだけで、極めて高い接着性能を得ることができた。
〔発明の効果〕
本発明のアルミ建材の再塗装方法によれば、焼付塗装
後のアルミ建材に対する再焼付塗装を容易且つ簡便に行
うことができ、しかも優れた接着性を有する塗装膜を形
成できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め樹脂が焼付塗装されているアルミニウ
    ム建材の塗装膜表面に紫外線を照射し、次いで該塗装膜
    表面上に再焼付塗装を施すことを特徴とするアルミ建材
    の再塗装方法。
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