JP2619294B2 - 薄片状の黒鉛粉末の製法 - Google Patents
薄片状の黒鉛粉末の製法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電気、化学、冶金、ロケット等の分野に係
わり、詳しくは、層状構造を成す黒鉛の層間に層間化合
物(Graphite Intercalation Compound:以下、GICと
言う)を形成して、所定の雰囲気中で粉砕して微薄片化
することを特徴とする黒鉛の微薄片化方法に関する。
わり、詳しくは、層状構造を成す黒鉛の層間に層間化合
物(Graphite Intercalation Compound:以下、GICと
言う)を形成して、所定の雰囲気中で粉砕して微薄片化
することを特徴とする黒鉛の微薄片化方法に関する。
(従来技術) 黒鉛は層状構造の層間方向と層面に垂直な方向で、電
気伝導性や熱伝導率等の性質が異なる異方性を有し、既
に、工業用素材として広く用いられている。とりわけ電
子工学の分野、例えばカラーブラウン管の光吸収用黒色
ストライプやファンネル内面の導電膜として黒鉛製塗膜
が用いられている。他方、絶縁性基板上に黒鉛の回路を
描画して電子部品に用いるなどの用途も拡大している。
このような黒鉛製塗膜は、その成膜工程において塗布む
ら、脱離、ひび割れが無く、長寿命などの高信頼性が要
求されている。従って、黒鉛原料を微細化、特に微薄片
化して膜の性能、膜の強度、薄膜化等を向上することが
重要な課題となっていた。
気伝導性や熱伝導率等の性質が異なる異方性を有し、既
に、工業用素材として広く用いられている。とりわけ電
子工学の分野、例えばカラーブラウン管の光吸収用黒色
ストライプやファンネル内面の導電膜として黒鉛製塗膜
が用いられている。他方、絶縁性基板上に黒鉛の回路を
描画して電子部品に用いるなどの用途も拡大している。
このような黒鉛製塗膜は、その成膜工程において塗布む
ら、脱離、ひび割れが無く、長寿命などの高信頼性が要
求されている。従って、黒鉛原料を微細化、特に微薄片
化して膜の性能、膜の強度、薄膜化等を向上することが
重要な課題となっていた。
従来、水等に適当な分散剤を加えて24〜48時間以上で
湿式粉砕を行い、歩留り10wt%程度で0.2μm以下の黒
鉛微薄片粒子が得られている。また、微粉末を乾式の状
態で生成できれば、それを油、溶剤等と混合して高機能
的に用いることが可能になるため、実際に、黒鉛を真空
中あるいはHe等不活性ガス中で粉砕する方法が報告され
ている〔上原,浅井,神保,田中:化学工学論文集,第
4巻,第6号,p639−645(1978)〕。一方、黒鉛はその
層間にゲスト物質(インターカラント)としてHNO3−H2
SO4混酸、ハロゲン、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、フッ化物、塩化物等種々の物質を挿入(インターカ
レート)して、GICを形成することが知られており〔高
橋,阿久沢:実験技術講座,炭素,(No.111),p171−1
78(1982)〕、HNO3−H2SO4混酸のGICを形成して、これ
を800℃程度まで加熱し、ゲスト物質のHNO3−H2SO4を急
激に脱ガスして見掛けの容積を数−数100倍程度に膨張
させ、この膨張黒鉛に水蒸気、ベンゼン等の有機蒸気を
吸着させ、液体窒素で凍結させた後、冷凍粉砕する方法
が提案されている〔大阪工業技術試験所ニュース:No.1
2,(1985)〕。
湿式粉砕を行い、歩留り10wt%程度で0.2μm以下の黒
鉛微薄片粒子が得られている。また、微粉末を乾式の状
態で生成できれば、それを油、溶剤等と混合して高機能
的に用いることが可能になるため、実際に、黒鉛を真空
中あるいはHe等不活性ガス中で粉砕する方法が報告され
ている〔上原,浅井,神保,田中:化学工学論文集,第
4巻,第6号,p639−645(1978)〕。一方、黒鉛はその
層間にゲスト物質(インターカラント)としてHNO3−H2
SO4混酸、ハロゲン、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、フッ化物、塩化物等種々の物質を挿入(インターカ
レート)して、GICを形成することが知られており〔高
橋,阿久沢:実験技術講座,炭素,(No.111),p171−1
78(1982)〕、HNO3−H2SO4混酸のGICを形成して、これ
を800℃程度まで加熱し、ゲスト物質のHNO3−H2SO4を急
激に脱ガスして見掛けの容積を数−数100倍程度に膨張
させ、この膨張黒鉛に水蒸気、ベンゼン等の有機蒸気を
吸着させ、液体窒素で凍結させた後、冷凍粉砕する方法
が提案されている〔大阪工業技術試験所ニュース:No.1
2,(1985)〕。
(発明が解決しようとする課題) しかし、上述した従来技術は、単に微粒子の調達を目
的としていたため、粒子形状は立体的あるいはブロック
状のものであり、重要な性質である異方性を生かせる薄
片形状のものではなかった。また、乾式粉砕では黒鉛等
の層状物質のもつ高い潤滑性、湿潤性のためにサブミク
ロンの微薄片粒子を得るには困難な方法であった。
的としていたため、粒子形状は立体的あるいはブロック
状のものであり、重要な性質である異方性を生かせる薄
片形状のものではなかった。また、乾式粉砕では黒鉛等
の層状物質のもつ高い潤滑性、湿潤性のためにサブミク
ロンの微薄片粒子を得るには困難な方法であった。
一旦、層間化合物を生成した後、その急加熱脱ガス処
理、有機蒸気等の吸着液体窒素による冷却、凍結粉砕、
さらに吸着蒸気の脱離という方法もあるが、得られた微
薄片の大きさは粒径で十数μm程度、アスペクト比(粒
子の径/厚さ)で700程度が限度であり、種々の繁雑な
工程が必要という欠点があった。しかも、数100倍に膨
張させた黒鉛ではかさ比重が非常に大きいため処理量
(重量)が非常に小さく、工業的スケールアップが困難
であること、また、混酸系の膨張黒鉛を製造する工程
で、その残酸が黒鉛中に滞まり、その完全除去が非常に
困難であった。そのため残酸(強酸)による腐食が将来
的に大きな問題となっていた。
理、有機蒸気等の吸着液体窒素による冷却、凍結粉砕、
さらに吸着蒸気の脱離という方法もあるが、得られた微
薄片の大きさは粒径で十数μm程度、アスペクト比(粒
子の径/厚さ)で700程度が限度であり、種々の繁雑な
工程が必要という欠点があった。しかも、数100倍に膨
張させた黒鉛ではかさ比重が非常に大きいため処理量
(重量)が非常に小さく、工業的スケールアップが困難
であること、また、混酸系の膨張黒鉛を製造する工程
で、その残酸が黒鉛中に滞まり、その完全除去が非常に
困難であった。そのため残酸(強酸)による腐食が将来
的に大きな問題となっていた。
(課題を解決するための手段) 上記の課題は、黒鉛の層間にゲスト物質の原子、分
子、イオンをインターカレートして層間化合物を形成し
て真空中または不活性ガス中で粉砕する本方法、または
前記層間化合物を急熱膨張化させた後、真空中、不活性
ガス中、乾燥空気中のいずれかの雰囲気中で粉砕する本
方法によって解決することができる。
子、イオンをインターカレートして層間化合物を形成し
て真空中または不活性ガス中で粉砕する本方法、または
前記層間化合物を急熱膨張化させた後、真空中、不活性
ガス中、乾燥空気中のいずれかの雰囲気中で粉砕する本
方法によって解決することができる。
前記ゲスト物質としてはカリウム(K)、カリウム−
アンモニア(K−NH3)、臭素(Br)、塩化鉄(FeC
l3)、塩化アンチモン(SbCl5)を用いることができ
る。
アンモニア(K−NH3)、臭素(Br)、塩化鉄(FeC
l3)、塩化アンチモン(SbCl5)を用いることができ
る。
(作用) 黒鉛は炭素原子の六角網状平面が層状に積層した構造
から成り、層状構造の平面と垂直方向とで物理的性質が
異なる異方性を有し、その層間にゲスト物質の原子、分
子、イオンを挿入してGICを形成する性質がある。その
層間にインターカラントのカリウム(K)、カリウム−
アンモニア(K−NH3)、臭素(Br)等をインターカレ
ートしたGICは、層間間隔が拡張されて機械的な力によ
る粉砕効率が向上し、更に加熱処理による脱ガスによっ
て、その層間が数−数百倍にも膨張するので粉砕効率は
著しく向上する。従って、GICあるいはその膨張化物を
真空、不活性ガス等の雰囲気中で粉砕することにより、
所望の大きさの微粒子、特に異方性に優れた微薄片粒子
を製造することができる。
から成り、層状構造の平面と垂直方向とで物理的性質が
異なる異方性を有し、その層間にゲスト物質の原子、分
子、イオンを挿入してGICを形成する性質がある。その
層間にインターカラントのカリウム(K)、カリウム−
アンモニア(K−NH3)、臭素(Br)等をインターカレ
ートしたGICは、層間間隔が拡張されて機械的な力によ
る粉砕効率が向上し、更に加熱処理による脱ガスによっ
て、その層間が数−数百倍にも膨張するので粉砕効率は
著しく向上する。従って、GICあるいはその膨張化物を
真空、不活性ガス等の雰囲気中で粉砕することにより、
所望の大きさの微粒子、特に異方性に優れた微薄片粒子
を製造することができる。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説
明する。
明する。
K−GICを合成するため、粒径が90μm−125μmの天
然黒鉛を乾燥器中で140℃、48時間乾燥させ、更に約10
-3Torrに真空引きして約14時間以上、70℃で付着物質を
焼き出しする。第1図は、層間化合物を合成するための
ブレーカブルシール付き反応容器の概略図である。焼き
出し後、反応容器10中に純度99.9%のカリウム金属11と
前記黒鉛12をアルゴンガス雰囲気中でサンプリングす
る。コック13を開口し、反応容器を十分(約10-3Torr)
に真空引きした後、真空状態を保ったまま反応管を切断
部14で封じ切り、容器全体を電気炉で加熱し、K−GIC
の合成を進行させた。約300℃で約72時間後、黒鉛な第
1ステージの金色のKC5に変化していることが確認され
た。更にK−NH3−GICを生成するため、まず、前記方法
と同様にしてK−GICを合成した後、ブレーカブルシー
ル15を破りNH3ガスを吸収させ、−44℃(アセトニトリ
ル・スラッシュバス)で数時間反応させ、その後室温で
数時間次に過剰NH3を除去してK−NH3−GIC三元素系層
間化合物を合成した。更に前記K−NH3−GICを750℃で2
0分間急加熱したところ、膨張率約13倍の膨張黒鉛が得
られた。第2図は、上記層間化合物を粉砕するために試
作した振動ボールミルの概略図である。この粉砕容器
は、粉砕雰囲気を操作できる構造とした。粉砕容器20に
黒鉛試料21と粉砕媒体のステンレス球22(外径5mm)を
仕込み、ヒーター23で加熱しながら真空排気して水や不
純物を除去した後、所望のガスを充填してバルブ24を閉
じ、モーター電源を入れる。モーター25の回転運動は、
カップリング26を介して偏心重り27に伝達され、バネ28
で支持されたベース29に振動が与えられ、黒鉛試料はス
テンレス球の衝撃力によって粉砕される。粉砕容器は一
度に最大6個取り付けることができる。粉砕条件は振動
数994rpm、振幅10mm、粉砕媒体のステンレス球のみかけ
の充填率50%、各粉料は0.3gとし、同一条件の下に各試
料を仕込んで粉砕した。粒度分布の測定は自然、遠心沈
降法により行った。
然黒鉛を乾燥器中で140℃、48時間乾燥させ、更に約10
-3Torrに真空引きして約14時間以上、70℃で付着物質を
焼き出しする。第1図は、層間化合物を合成するための
ブレーカブルシール付き反応容器の概略図である。焼き
出し後、反応容器10中に純度99.9%のカリウム金属11と
前記黒鉛12をアルゴンガス雰囲気中でサンプリングす
る。コック13を開口し、反応容器を十分(約10-3Torr)
に真空引きした後、真空状態を保ったまま反応管を切断
部14で封じ切り、容器全体を電気炉で加熱し、K−GIC
の合成を進行させた。約300℃で約72時間後、黒鉛な第
1ステージの金色のKC5に変化していることが確認され
た。更にK−NH3−GICを生成するため、まず、前記方法
と同様にしてK−GICを合成した後、ブレーカブルシー
ル15を破りNH3ガスを吸収させ、−44℃(アセトニトリ
ル・スラッシュバス)で数時間反応させ、その後室温で
数時間次に過剰NH3を除去してK−NH3−GIC三元素系層
間化合物を合成した。更に前記K−NH3−GICを750℃で2
0分間急加熱したところ、膨張率約13倍の膨張黒鉛が得
られた。第2図は、上記層間化合物を粉砕するために試
作した振動ボールミルの概略図である。この粉砕容器
は、粉砕雰囲気を操作できる構造とした。粉砕容器20に
黒鉛試料21と粉砕媒体のステンレス球22(外径5mm)を
仕込み、ヒーター23で加熱しながら真空排気して水や不
純物を除去した後、所望のガスを充填してバルブ24を閉
じ、モーター電源を入れる。モーター25の回転運動は、
カップリング26を介して偏心重り27に伝達され、バネ28
で支持されたベース29に振動が与えられ、黒鉛試料はス
テンレス球の衝撃力によって粉砕される。粉砕容器は一
度に最大6個取り付けることができる。粉砕条件は振動
数994rpm、振幅10mm、粉砕媒体のステンレス球のみかけ
の充填率50%、各粉料は0.3gとし、同一条件の下に各試
料を仕込んで粉砕した。粒度分布の測定は自然、遠心沈
降法により行った。
第3図は、K−GIC及びK−NH3−GICの粉砕結果と直
接比較できるように真空乾燥処理を施した粒径88−125
μmの天然黒鉛を乾燥空気中、窒素ガス中、真空中で粉
砕実験を行った結果のグラフである。図中の縦軸はフル
イ通過50%径x50、横軸は粉砕時間tである。本実験で
は真空中粉砕において、約3時間でx50=0.4μmの最小
値が得られることがわかる。N2中粉砕のx50においても
ほぼ同様の結果である。一方、乾燥空気中の粉砕では生
成物のx50は、粉砕時間が6時間以内では他の場合より
も大きいことがわかる。
接比較できるように真空乾燥処理を施した粒径88−125
μmの天然黒鉛を乾燥空気中、窒素ガス中、真空中で粉
砕実験を行った結果のグラフである。図中の縦軸はフル
イ通過50%径x50、横軸は粉砕時間tである。本実験で
は真空中粉砕において、約3時間でx50=0.4μmの最小
値が得られることがわかる。N2中粉砕のx50においても
ほぼ同様の結果である。一方、乾燥空気中の粉砕では生
成物のx50は、粉砕時間が6時間以内では他の場合より
も大きいことがわかる。
第4図にはK−GICの真空中粉砕、およびK−NH3−GI
C膨張黒鉛の真空中粉砕におけるx50と粉砕時間との関係
を示した。第3図の天然黒鉛の真空中粉砕結果と比較し
て、K−GICの真空粉砕では粉砕速度は小さいが、x50の
最小値(粉砕時間=12時間)はほぼ等しくx50=0.4−0.
5μmであることがわかる。また、膨張化K−NH3−GIC
の真空中粉砕において粉砕時間が6時間以内ではみかけ
上粉砕は進行せず、x50の値は0.8μmである。
C膨張黒鉛の真空中粉砕におけるx50と粉砕時間との関係
を示した。第3図の天然黒鉛の真空中粉砕結果と比較し
て、K−GICの真空粉砕では粉砕速度は小さいが、x50の
最小値(粉砕時間=12時間)はほぼ等しくx50=0.4−0.
5μmであることがわかる。また、膨張化K−NH3−GIC
の真空中粉砕において粉砕時間が6時間以内ではみかけ
上粉砕は進行せず、x50の値は0.8μmである。
次に、天然黒鉛(乾燥空気中及び真空中粉砕)、K−
GIC(真空中粉砕)、膨張化K−NH3−GIC(真空中粉
砕)で3時間粉砕して得られた生成物のx50における粒
子形状について各々電子顕微鏡による観察を行った。天
然黒鉛の乾燥空気中または真空中粉砕で得られた生成物
の形状は、塊状であり、凝集した様子が見られ、一方、
K−GIC及び膨張化K−NH3−GICの真空中粉砕生成物の
形状は、天然黒鉛のそれと比較すると明らかに薄片状で
あることが認められた。
GIC(真空中粉砕)、膨張化K−NH3−GIC(真空中粉
砕)で3時間粉砕して得られた生成物のx50における粒
子形状について各々電子顕微鏡による観察を行った。天
然黒鉛の乾燥空気中または真空中粉砕で得られた生成物
の形状は、塊状であり、凝集した様子が見られ、一方、
K−GIC及び膨張化K−NH3−GICの真空中粉砕生成物の
形状は、天然黒鉛のそれと比較すると明らかに薄片状で
あることが認められた。
臭素をインターカラントとして用いた実施例では、膨
張黒鉛の膨張率は約2.75倍であり、粉砕特性(真空中)
もK−GICの場合とは異なった結果が得られた。このこ
とより、GICの粉砕特性は用いるインターカラントによ
って変化することがわかった。従って、上記実施例の他
に塩化鉄、塩化アンチモンをインターカラントとして用
いた場合にも異なる粉砕特性が得られ、微薄片粒子生成
の可能性が拡大する。
張黒鉛の膨張率は約2.75倍であり、粉砕特性(真空中)
もK−GICの場合とは異なった結果が得られた。このこ
とより、GICの粉砕特性は用いるインターカラントによ
って変化することがわかった。従って、上記実施例の他
に塩化鉄、塩化アンチモンをインターカラントとして用
いた場合にも異なる粉砕特性が得られ、微薄片粒子生成
の可能性が拡大する。
(発明の効果) 本発明によって得られた黒鉛の大きさは、K−GICに
よる真空中粉砕において、x50=0.4μmであり、しかも
微薄片形状であるので黒鉛の有する異方性の性質を有効
的に生かすことができる。従って、油、溶剤等と混合し
て黒鉛塗膜に用いることにより、高機能性膜を実現する
ことができる。各利用分野における黒鉛塗布膜は、長寿
命かつ高信頼性が得られ、膜の性能や強度も向上でき、
超薄膜化の実現が可能になった。また、本法により得ら
れた微薄片は、従来の混酸系のGICではないため、腐食
の原因となる残酸の除去や凍結等の繁雑な工程を必要と
しないので経済的効果が大である。更に、本方法による
微薄片粒子は、カリウムを含むので天然黒鉛よりも高い
電気伝導性を有する利点がある。第5図には本発明によ
り得られたK−GICと天然黒鉛の粉体電気抵抗を示す。
よる真空中粉砕において、x50=0.4μmであり、しかも
微薄片形状であるので黒鉛の有する異方性の性質を有効
的に生かすことができる。従って、油、溶剤等と混合し
て黒鉛塗膜に用いることにより、高機能性膜を実現する
ことができる。各利用分野における黒鉛塗布膜は、長寿
命かつ高信頼性が得られ、膜の性能や強度も向上でき、
超薄膜化の実現が可能になった。また、本法により得ら
れた微薄片は、従来の混酸系のGICではないため、腐食
の原因となる残酸の除去や凍結等の繁雑な工程を必要と
しないので経済的効果が大である。更に、本方法による
微薄片粒子は、カリウムを含むので天然黒鉛よりも高い
電気伝導性を有する利点がある。第5図には本発明によ
り得られたK−GICと天然黒鉛の粉体電気抵抗を示す。
第1図は、層間化合物合成用ブレーカブルシール付き反
応容器の概略図、 第2図は、粉砕用振動ボールミルの概略図、 第3図は、天然黒鉛の乾燥空気中、窒素ガス中、真空中
における粉砕実験結果を示すグラフ、 第4図は、K−GIC及び膨張化K−NH3−GICの真空中に
おける粉砕実験結果を示すグラフ、 第5図は、K−GICと天然黒鉛の粉体電気抵抗を示すグ
ラフである。 (符号の説明) 10……反応容器、11……カリウム金属、12……天然黒
鉛、13……コック、14……封じ切り、15……ブレーカブ
ルシール、20……粉砕容器、21……黒鉛試料、22……ス
テンレス球、23……ヒーター、24……バルブ、25……モ
ーター、26……カップリング、27……偏心重り、28……
バネ、29……ベース。
応容器の概略図、 第2図は、粉砕用振動ボールミルの概略図、 第3図は、天然黒鉛の乾燥空気中、窒素ガス中、真空中
における粉砕実験結果を示すグラフ、 第4図は、K−GIC及び膨張化K−NH3−GICの真空中に
おける粉砕実験結果を示すグラフ、 第5図は、K−GICと天然黒鉛の粉体電気抵抗を示すグ
ラフである。 (符号の説明) 10……反応容器、11……カリウム金属、12……天然黒
鉛、13……コック、14……封じ切り、15……ブレーカブ
ルシール、20……粉砕容器、21……黒鉛試料、22……ス
テンレス球、23……ヒーター、24……バルブ、25……モ
ーター、26……カップリング、27……偏心重り、28……
バネ、29……ベース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武内 一夫 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (56)参考文献 特開 昭62−115682(JP,A) 特開 平1−148704(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】黒鉛の層間にゲスト物質の原子、分子、イ
オンをインターカレートして層間化合物を形成する段
階、そして この層間化合物を真空中、不活性ガス中、乾燥空気中の
いずれかの雰囲気中で粉砕して薄片状の黒鉛粉末とする
段階 を備えたことを特徴とする薄片状の黒鉛粉末の製法。 - 【請求項2】黒鉛の層間にゲスト物質の原子、分子、イ
オンをインターカレートして層間化合物を形成する段
階、 この層間化合物を急熱膨張させる段階、そして 急熱膨張させた層間化合物を真空中、不活性ガス中、乾
燥空気中のいずれかの雰囲気中で粉砕して薄片状の黒鉛
粉末とする段階 を備えたことを特徴とする薄片状の黒鉛粉末の製法。 - 【請求項3】ゲスト物質がカリウム(K)、カリウム−
アンモニア(K−NH3),臭素(Br)、塩化鉄(FeC
l3)、塩化アンチモン(SbCl5)である請求項1もしく
は2に記載の薄片状の黒鉛粉末の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1292673A JP2619294B2 (ja) | 1989-11-10 | 1989-11-10 | 薄片状の黒鉛粉末の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1292673A JP2619294B2 (ja) | 1989-11-10 | 1989-11-10 | 薄片状の黒鉛粉末の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03153511A JPH03153511A (ja) | 1991-07-01 |
JP2619294B2 true JP2619294B2 (ja) | 1997-06-11 |
Family
ID=17784820
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1292673A Expired - Fee Related JP2619294B2 (ja) | 1989-11-10 | 1989-11-10 | 薄片状の黒鉛粉末の製法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2619294B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2595383B2 (ja) * | 1990-12-15 | 1997-04-02 | 矢崎総業株式会社 | 黒鉛層間化合物 |
JP2586807B2 (ja) * | 1993-11-24 | 1997-03-05 | 日本電気株式会社 | フラーレンインターカレーション化合物の製造方法 |
JP3691836B1 (ja) | 2004-08-27 | 2005-09-07 | 東洋炭素株式会社 | 膨張黒鉛シート |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3650282T2 (de) * | 1985-08-27 | 1995-11-09 | Intercal Co | Elektrischer Kontakt mit Einlagerungen enthaltendem Graphit. |
JPH085650B2 (ja) * | 1987-12-07 | 1996-01-24 | 信濃電気製錬株式会社 | リン片状黒鉛微細粉の製造方法 |
-
1989
- 1989-11-10 JP JP1292673A patent/JP2619294B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03153511A (ja) | 1991-07-01 |
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