JP2615579B2 - 超電導マグネツト - Google Patents

超電導マグネツト

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、超電導マグネツトが発生する漏洩磁場を
減少し、しかも所要磁場特性を保持する磁気共鳴イメー
ジング(以下MRIと称す)用超電導マグネツト装置に関
するものである。
〔従来の技術〕
一般にマグネツト装置を用いて磁場を発生させる場
合、磁場が欲しい空間以外例えば、測定者又は一般の人
々が出入りする空間にも磁束が漏れ、人体及び設置機器
に対し悪影響を及ぼす可能性がある為この漏洩磁場を極
力押える必要がある。
特に超電導マグネツトの様に、強い磁場を発生する装
置においては漏洩磁場も大きく、この為、種々の磁性体
を用いた磁気シールド及び超電導体を用いたアクテイブ
シールドが考案されている。第3図にMRI用超電導マグ
ネツトにアクテイブシールドを設置した場合の従来例を
示す。同図において、(1)は巻枠(2)上に巻回され
た超電導主コイルであり、(3)は漏洩磁場を減少させ
るためのアクテイブシールドコイルであり、超電導主コ
イル(1)と逆磁場を発生する様に巻回されている。第
3図では簡略の為、両コイルを共に1コのコイルとして
描いたが、分割コイルとして製作する場合もある。
(4)は磁場高均一化のための微調を行なうための超電
導シムコイル、(5)はこれら超電導コイルを極低温に
保持するための液体ヘリウム槽であり液体ヘリウムで満
される。(6)は断熱シールドとしての液体チツ素槽、
(7)は真空槽である。
次に動作原理について、第4図を用いて説明する。第
4図は第3図の超電導主コイル(1)及びアクテイブシ
ールドコイル(3)のみを抽出したものであり前述の様
に超電導主コイル(1)とアクテイブシールドコイル
(3)は、必要磁場空間(O点近傍)において逆極性の
磁場を発生する様巻回されている。磁束の向きをコイル
の径方向に沿つてみると第3図に示すように、超電導主
コイル(1)とアクテイブシールドコイル(3)とには
さまれた領域においては、超電導主コイル(1)による
磁束Φ1とアクテイブシールドコイル(3)による磁束
1と同一方向であり、和となるが、アクテイブシール
ドコイル(3)外の領域では、それぞれΦ2及び2と逆
方向で合成磁束は両者の差となり、従つて、問題として
いる漏洩磁場は減少する。
又MRI用超電導マグネツトの様に必要磁場空間(O点
近傍)で高均一磁場が要求される場合、第4図のO点近
傍のアクテイブシールドコイル(3)による磁束
0は、誤差磁界を作る為、第3図中の超電導シムコイル
(4)(このコイルは、常温中に設置し、常電導シムコ
イルとする場合も多い。)により磁場の補正を行なう
か、又は以下の方針にて超電導コイル(1)及びアクテ
イブシールドコイル(3)の製作を行なう。
すなわち、O点近傍において、超電導主コイル(1)
が作る磁場は、ルシヤンドル関数P1(u)を用いて 同様にアクテイブシールドコイル(3)が作る磁場は で表わされる。ここでa0,aAは超電導主コイル(1)及
びアクテイブシールドコイル(3)の内半径である。又
両コイル共Oを中心として対称に製作されるものとし、
奇数次項は無視している。
今O点近傍で高均一磁場を発生する超電導マグネツト
を製作する場合例えば、2,4次誤差を消去することを考
えれば を満足する様に超電導コイル(1)及びアクテイブシー
ルドコイル(3)を製作すればよい。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来装置は以上の様に構成及び動作するため、以下の
ような問題点が存在する。即ち シムコイル(4)を用いて高均一化を図る場合、誤差磁
界成分が大きく従つて、シムコイル(4)のアンペアタ
ーン数が大きく不経済であると共に、シムコイル(4)
自身が作る誤差磁界が大きくなり、達成できる磁界均一
度に限界がある。
(2)超電導主コイル(1)及びアクテイブシールドコ
イル(3)の磁界誤差の和を0にする場合、各コイル励
磁の電流設定精度及び電源変動等により誤差磁界を生ず
る。直列励磁する場合は、この様な電源変動による誤差
磁界は生じないが、同一電流値及び整数ターンという制
限条件のもとでの設計となるため、コイル形状の設計の
自由度に制約を受ける。
本発明は、上記の様な従来形の問題点を解消するため
になされたもので、超電導主コイルが必要磁場空間に作
る磁場特性を変えず、しかも漏洩磁場を減少させるアク
テイブシールド方式を備えた超電導マグネツトを得るこ
とを目的とする。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
この発明に係る超電導マグネツトは、アクテイブシー
ルドコイル自体がその軸中心において磁場高均一化を達
成する様にしたものである。
〔発明の実施例〕
以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図において(21)は巻枠(22)上に巻回された超電導
主コイルであり、それ自身で必要磁場空間(O点近傍)
にて、高均一磁場を達成する様に製作されている。すな
わち(1)式の▲ε0 2▼,▲ε0 4▼が0、もし、さらに
高均一性が必要なら▲ε0 6▼……も0とする。
これは、図に示す様にコイルを2コ以上に分割し(図
では5分割を示している。)適当な寸法及びアンペアタ
ーンを選択すれば、容易に製作可能である。(23)は漏
洩磁場を減少させるためのアクテイブシールドコイルで
あり、超電導主コイル(21)と逆磁場を発生する様逆極
性に巻回されており、分割コイル形状を用いて超電導主
コイル(21)と同等以上に誤差成分が0となる様に、す
なわち▲εA 2▼,▲εA 4▼…が0となる様に製作され
る。
ここで、超電導主コイル(21)及びアクテイブシール
ドコイル(23)を分割コイル形状にするか否かは、本発
明の本質ではなく、(1)(2)式の誤差磁場を各々消
去する為に、いかなるコイル形状も選択できる。
さらに、本発明を用いれば、コイルの励磁方式により
誤差磁界を発生しない利点もある。すなわち、超電導主
コイルとアクテイブシールドコイルとを直列励磁する場
合はもちろん、並列励磁の場合も、各々について誤差磁
界がない為、電源変動等による考慮を払う必要がない。
なお、上記実施例では、MRI用超電導マグネツト等に
用いられる高均一磁場達成についてのみ言及してきた
が、その他の磁場特性例えば、ある空間で、一定の磁場
勾配が必要な超電導マグネツト等のアクテイブシールド
方式としても採用できる。
第2図はこの発明の他の実施例のコイルのみの断面図
を示す。(31)が点0の近傍で必要な磁場勾配を作る超
電導マグネツトコイルであり、(33)が漏洩磁場を減少
させるためのアクテイブシールドコイルであり、点0の
近傍では誤差磁界を発生しない様に製作されている。
〔発明の効果〕
以上の様にこの発明によれば、必要磁場空間で、誤差
磁界を発生しないアクテイブシールドコイルを製作する
ため、超電導主コイルによる磁気特性が損なわれず、精
度の高い磁気特性が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例によるMRI用超電導マグ
ネツトの全体を示す断面図、第2図はこの発明の他の実
施例におけるコイル部分のみの断面図、第3図は従来の
ものの断面図、第4図はアクテイブシールドの効果を示
す模式図である。図において(21)は超電導コイル、
(23)はアクテイブシールドコイル、(O)はコイルの
軸中心である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導主コイルとこの超電導主コイルと逆
    極性の磁場を発生することにより外部への漏洩磁場を抑
    制するアクテイブシールドコイルとを備えたものにおい
    て、上記両コイルの軸中心を一致させるとともに上記ア
    クテイブシールドコイル自体が上記軸中心に発生する磁
    場が高均一となるように構成したことを特徴とする超電
    導マグネツト。
  2. 【請求項2】アクテイブシールドコイルは相互に直列に
    通電励磁される複数個の分割コイルからなることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の超電導マグネツト。
  3. 【請求項3】超電導主コイルとアクテイブシールドコイ
    ルとが相互に直列に通電励磁されることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項又は第2項記載の超電導マグネツ
    ト。
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