JP2615192B2 - 人工歯根の表面処理方法 - Google Patents

人工歯根の表面処理方法

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JP2615192B2 JP1060646A JP6064689A JP2615192B2 JP 2615192 B2 JP2615192 B2 JP 2615192B2 JP 1060646 A JP1060646 A JP 1060646A JP 6064689 A JP6064689 A JP 6064689A JP 2615192 B2 JP2615192 B2 JP 2615192B2
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春幸 川原
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は歯科医療分野に用いられる純チタン製人工歯
根の表面処理方法に関するものである。
(従来の技術) 歯科医療用としての人工歯根は既に多種多様のものが
出回っている。一般に、人工歯根として求められる条件
としては生体為害性が無く、生体親和性があり、機械的
強度があり、機械加工性が優れ、かつ安価であることが
望ましい。
一方、医科、歯科を問わず生体内に埋入するインプラ
ント材は、それらが使用される部位によりその形状に大
きな制限がある。顎骨の厚さ、骨の太さ等人工的なイン
プラント移植を受ける部位の状態は患者個々により異な
っている。従って、人工的なインプラント材は、その基
材の持つ機械的強度が大きく、かつ機械加工性が良好な
ほど移植できる適応症が増加する。斯かる理由から従来
公知のセラミックスを基材とするものから、次第に金属
を基材とするものが開発されてきた。また、その金属の
中でも前述のように生体為害性、生体親和性などを考慮
してチタンまたはチタン基合金を用いる方法が開発され
てきたが、チタンそのものは例えば表面硬度、審美性
(ここでいう審美性とは、自然歯牙構造との釣り合いに
おいて、不健康且つ不調和な美的感覚を与えない意)の
観点から必ずしも斯界の要求を満足し得ず、従ってそれ
らの問題点を改善する方法もいくつか提案されている。
一例として、特開昭62−122669号公報において、生体
用インプラント材として純チタンにCVD法により、膜厚1
0μmの窒化チタン被膜を形成させた実施例が開示され
ている。更に、同公報には純チタン以外の所謂チタン基
合金に窒化チタン、酸化チタン、炭化チタン、炭窒化チ
タン等のコート層を基材表面に0.1〜30μmの膜厚で、C
VD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法およびイオン注入
法等を用いて形成する方法が提案されている。
(発明によって解決しようとする課題) しかしながら、同公報に例示されているように純チタ
ンを基材として膜厚10μmの窒化チタン層を形成させた
場合、人工歯根としての用途を考慮すると咬合応力によ
る変形のため、窒化チタン層の破壊を生じるおそれが極
めて大である。即ち、基材の特性を損なうことなく窒化
チタン被膜を形成するためには厚過ぎる窒化チタン被膜
の形成は、その被膜が剥離したり、破損を生じたりする
ために本来の目的を達成し得ず、また、窒化チタンの被
膜が0.5μm以下の場合、耐摩耗性の低下や発色不良を
きたして実用的でない、さらに同公報に例示されている
ものは窒化チタンの膜厚が10μmで、硬度が1900Hvとな
っているが、窒化チタンの硬度は通常2050〜2400Hvであ
り、成膜技術に未完成な部分が残されているものと思わ
れる。
また、同公報によれば、他の例として多層被膜を形成
することにより、窒化チタン本来の硬度以上の硬度を具
備させているが、これはコストの上昇を招いて安価なイ
ンプラント材の供給を妨げるものとなる。
さらに同公報による例示の中にはチタン基合金を基材
として用いることが示されているが、チタン基合金は価
格も高く、かつ加工性も悪いために前述の通り、使用す
る部位に制限が生じると共に全体的にコストアップにつ
ながるという問題点を有し、とくに代表的なチタン基合
金の一つである6Al−4V合金の場合は生体に有害なバナ
ジウムが含まれているなど、その成分金属の安全性に疑
問を持つ専門家もいる。
また、人工歯根の場合、その強度も欠かせない条件で
あるが、薄い歯肉を通して露出する部分はチタン特有の
灰色の金属色そのものを用いると、外観上不健康な色に
なり、審美上問題があった。窒化チタンは一般的に黄金
色を呈し、歯肉を通じた場合相殺されてピンク色を呈し
て斯る不快感を解消してくれるが、歯肉の色が各個人ま
たは部位によって異なるため予め人工歯根の色をコント
ロールすることが必要とされる。しかし、従来は窒化チ
タン層の膜厚を変えることなく色調を変化させるという
技術的思想や概念は当該分野においては存在しなかっ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は以上のような課題を解決するために種々
検討の結果、基材に純チタンを用い、低温イオンプレー
ティング法により該基材の表面に特定の膜厚の窒化チタ
ン層を形成させることにより、生体為害性がなく、生体
親和性にも優れ、表面硬度も高く、機械的強度を有し、
機械加工性も良く、安全かつ安価で審美性にも優れた人
工歯根を製造し得ることに成功し、茲に提案するもので
ある。
即ち、本発明は純チタン製の基材の表面に窒化チタン
層を形成する人工歯根の表面処理方法において、イオン
プレーティング法により該基材の表面に150〜300℃の温
度域で、平均膜厚0.5〜5.0μm、硬度2000Hv以上の窒化
チタン層を形成すると共に、該窒化チタン層の膜厚を変
えることなく、その色調を変化させることを特徴とする
人工歯根の表面処理方法に係る。
本発明の基材として用いられる純チタンは、その純度
が99.0%以上、残部が不可避不純物からなる純チタン材
が望ましい。
本発明における表面処理方法は、純チタン材の持つ欠
点の一つである表面硬度の不足を補う手段として、該基
材の表面に窒化チタン層を平均膜厚が0.5〜5.0μmの範
囲内、好ましくは1.0〜5.0μmの範囲内に形成する。そ
の方法は150〜300℃という比較的低温によるイオンプレ
ーティング法で窒化チタン層を形成する。しかも膜厚を
変えずに色調を制御することが容易であるという利点を
有する。
また、表面硬度は少なくとも2000Hv以上に保持するこ
とが必要である。
窒化チタン層の膜厚が、0.5μm未満の場合は充分な
硬度が得られず、色調も完全な黄金色を呈することがで
きない。逆に、膜厚を5.0μmを超えると咬合応力によ
る変形等により窒化チタン層にヒビ、クラックが発現し
たり、最悪の場合破壊する傾向が現れると共に窒化チタ
ン層の形成に要する時間が長くなり、製造コストも高く
なる。硬度が2000Hv以下の場合は耐摩耗性や引張強度な
どの機械的特性が低下して好ましくない。
本発明の特色の一つである窒化チタン層の膜厚を変え
ることなく窒化チタン特有の黄金色の濃淡を所望に応じ
て変化させることはイオンプレーティングの際のチタン
の蒸発量および導入する窒素ガス量を制御することによ
り、形成される窒化チタンの膜厚を変えることなく達成
することができる。
(作用) 本発明は、基材として純チタンを用いた人工歯根の表
面処理方法であって、該基材の表面に低温によるイオン
プレーティング加工を施すことにより窒化チタン層を形
成させて硬度や特定の色調をコントロールするものであ
るが、低温イオンプレーティングで窒化チタン層を平均
膜厚が0.5〜5.0μmの範囲内で硬度も2000Hv以上に保持
することができ、しかも窒化チタンの膜厚を変えること
なく、色調をコントロールし得るという作用があり、審
美性や生体親和性も優れている。
一般に純チタンのような基材を加工硬化させた場合、
イオンプレーティング法で施行すると引張強度などの機
械的強度は若干低下するが、高温でのイオンプレーティ
ング処理をした場合斯かる特性が大幅に低下する。本発
明の場合、低温でのイオンプレーティング処理をするた
め、その低下を7%程度に抑え、人工歯根として用いる
場合の咬合応力による変形などに十分に耐えることが可
能である。
(実施例) 以下本発明を実施例および比較実験例によりさらに具
体的に説明する。
実施例1〜5 純度99%以上(JIS−H4600−TP35)、厚さ1.3mm、巾1
2.5mm、長さ60mmのJIS−Z2201に準拠した純チタン試験
片を用意し、十分に研磨・脱脂した後、イオンプレーテ
ィング装置(昭和真空(株)製SHP400T)にセットし、
加工条件を変えて純チタン試験片の表面に窒化チタン被
膜を形成した。加工条件、膜厚、ビッカーズ硬度、90゜
曲げ試験結果および引張試験結果は第1表に示すとおり
である。
表1より本発明方法による場合、曲げ試験結果は全て
良好で膜厚の増加と加工温度上昇にともなって、処理後
引張強度が若干低下の傾向をみせているが、人工歯根と
しては十分な実用域である。これに対し、実験例1の膜
厚0.4μmの場合はHvが2000台を割る結果を呈示し、実
験例2の如く300℃を超える加工温度と5.0μmを超過す
る厚みとなった場合、処理後の引張強度が50kg/mm2台に
落ち込む傾向が発現している。また、5μmを超える厚
みとなった場合、曲げ試験においてマイクロクラックを
発生していた。
次に、色調についてみると、実施例1〜5、実験例2
のものは全て鮮明な黄金色、実験例1のものはその黄金
色にそこそこ鮮明度の低下が認められた。また、膜厚を
全く同一のものとしてもイオンプレーティング時のチタ
ン蒸発量及び導入窒素ガス量をコントロールすることに
より、黄金色の濃淡を変化させることができるため色調
的に疾患部位に応じた人工歯根を提供することが可能で
ある。
(発明の効果) 本発明にかかる方法によれば、人工歯根の基材として
純チタンを用いることにより、6Al−4V−残Tiに代表さ
れるような合金成分中に含まれている毒性物質が溶出す
るという危険性を回避し、安全かつ安価であるという利
点がある。
また、150〜300℃という低温イオンプレーティング法
による窒化チタン被膜を、その平均膜厚が0.5〜5.0μm
の範囲内にあるよう形成させることにより、硬度も2000
Hv以上と実用に十分耐え得るものとなり、加工硬化によ
り高めた機械的強度の低下を防ぎ、咬合応力による変形
などに十分耐え得る人工歯根を提供できる。
さらに、窒化チタン被膜の膜厚を変えることなく色調
をコントロールできることは歯肉を通して表われる埋入
部分を外観上健康的かつ審美性に優れたものとし、移植
部位に応じて自由に使い分けられるという利点を有す
る。
純チタンそのものが生体親和性に優れ、生体為害性も
少ないということは知られているが、純チタンはその硬
度が100〜300Hvと低いために耐摩耗性という点は劣って
いたが、本発明の場合、低温イオンプレーティング法に
より基材表面に窒化チタン層を形成させることにより斯
かる不利を解決し、しかも機械的強度の低下も最小限に
抑えられるため、人工歯根そのものの断面積の縮小化が
図られ、顎骨巾の薄い患部にも適応できるという利点も
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】純チタン製の基材の表面に窒化チタン層を
    形成する人工歯根の表面処理方法において、イオンプレ
    ーティング法により該基材の表面に150〜300℃の温度域
    で、平均膜厚0.5〜5.0μm、硬度2000Hv以上の窒化チタ
    ン層を形成すると共に、該窒化チタン層の膜厚を変える
    ことなく、その色調を変化させることを特徴とする人工
    歯根の表面処理方法。
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