JP2614679B2 - 原稿保持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、平面走査型画像入力装
置に用いる原稿保持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の原稿保持装置の構成を説明する前
に、図４を参照して、平面走査型画像入力装置の構成を
簡単に説明する。図４は、平面走査型画像入力装置の内
部構成の概略を示した側面図である。図中、符号１００
は原稿保持装置であり、図示しない移動テーブルにセッ
ティングされた状態で矢印方向に水平移動する。原稿保
持装置１００の上方には、ロッド状ハロゲンランプから
なる光源１０１がある。この光源１０１から照射された
光は、原稿保持装置１００に保持された原稿を透過し、
反射ミラー１０２およびレンズ１０３を介して色分解プ
リズム１０４に入射する。色分解プリズム１０４に入射
した光は、赤（Ｒ），緑（Ｇ），青（Ｂ）の各成分光に
分解された後、各々に対応して設けられたＣＣＤ（char
ge coupleddevice)１０５Ｂ，１０５Ｇ，１０５Ｒに入
射して、電気信号に変換される。

【０００３】次に、図５を参照して従来の原稿保持装置
１００の構成を説明する。原稿保持装置１００は、開閉
自在の下部枠１０６と上部枠１０７とを備え、各枠部の
中央にガラスやアクリル樹脂等からなる透明剛体１０
８，１０９が嵌め込まれた構造になっている。透過原稿
は、前記透明剛体１０８，１０９の間に挟み込まれて保
持される。このとき、原稿に付いているキズの影響を回
避するため、高倍率の入力時に原稿の粒状性を消すた
め、あるいは、原稿と透明剛体１０８，１０９の間に隙
間が発生することによるニュートンリングを防止するた
めに、原稿と透明剛体１０８，１０９との間に流動パラ
フィン等のオイルを充填している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成を有する従来例の場合には、次のような問題が
ある。上述のように、従来の原稿保持装置は、２枚の透
明剛体によって原稿を挟み込むことによって原稿を保持
しているので、透明剛体に若干の反りがある場合や、原
稿に開けられた孔部等にかえり（バリ）がある場合に、
原稿と透明剛体との密着性が悪くなり、両者の隙間を埋
めるために多量のオイルを必要とするという問題点があ
る。

【０００５】また、原稿と透明剛体との間にオイルを充
填する際に、原稿領域のオイル内に気泡があると画質が
低下するので、透明剛体の上から圧力をかけて気泡を原
稿の外側へ逃がすという作業を行っている。しかし、気
泡を逃がすために透明剛体を押さえて変形させるには、
相当大きな圧力を透明剛体にかける必要があるので、作
業者に過渡の負担を強いるという問題点もある。また、
透明剛体を変形させて気泡を原稿の外側に逃がしても、
透明剛体の弾性により透明剛体が元の形態に戻るので、
気泡が逆戻りし、原稿領域のオイル内の気泡を完全に除
去することが困難であった。

【０００６】さらに、従来の原稿保持装置では、多量の
オイルを使用する関係で、時には、余剰のオイルが原稿
保持装置の枠外にはみ出て、原稿保持装置がセッティン
グされる移動テーブルを汚すといった事態も生じてい
る。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、少量のオイルで原稿の密着性を高め、
しかも、原稿領域のオイル内の気泡を容易に外部へ逃が
すことができる原稿保持装置を提供することを目的とし
ている。

【０００８】本発明の他の目的は、余剰のオイルが原稿
保持装置の枠外にはみ出ることのない原稿保持装置を提
供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、請求項１に記載の発明は、平面走査型画像入力装置
に用いる原稿保持装置において、開閉自在の下部枠と上
部枠とを備え、前記下部枠は、少なくとも原稿載置領域
が透過性を有する下板を支持しており、前記上部枠は、
中央に開口部を有し、かつ、枠の内側には前記開口部に
沿って帯状の弾性体が取り付けられており、前記下板の
原稿載置領域に置かれた原稿を、透過性および可撓性を
有するカバーフィルムで押さえた状態で、前記上部枠を
閉じることにより、前記上部枠の弾性体で前記カバーフ
ィルムの周辺部を固定するようにしたこと、を特徴とし
ている。

【００１０】また、請求項２に記載の発明は、請求項１
に記載の原稿保持装置において、前記下部枠または下板
に、原稿載置領域を取り囲むようにオイル溜まり用の溝
を形成したものである。

【００１１】

【作用】本発明の作用は次のとおりである。請求項１に
記載の発明によれば、下板の原稿載置領域に置かれた原
稿を、透過性および可撓性を有するカバーフィルムで押
さえ、尚且つ、前記カバーフィルムの周囲を上部枠の弾
性体で押圧固定しているので、カバーフィルムと原稿と
が密着性の高い状態に保持される。しかも、カバーフィ
ルム、原稿および下板との間に充填したオイル内に気泡
があっても、カバーフィルムを軽く押圧することによ
り、気泡が簡単に原稿載置領域外へ除去される。

【００１２】また、請求項２に記載の発明によれば、原
稿載置領域外に漏れ出た余剰のオイルは、オイル溜まり
用の溝に収容されるので、オイルが原稿保持装置の枠外
にはみ出ることがない。

【００１３】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図１は本発明の一実施例に係る原稿保持装置の
開放状態を示した外観斜視図、図２は閉止状態にある原
稿保持装置の先端部の拡大断面図、図３は閉止状態にあ
る原稿保持装置の基端部の拡大断面図である。

【００１４】本実施例に係る原稿保持装置１は、開閉自
在の下部枠２と上部枠３とを備えている。下部枠２の内
側には段付き部２ａが形成されており、この段付き部２
ａでガラス等で形成された下板４の周辺部を接着支持し
ている。下板４の中央部には原稿Ｆを載置する原稿載置
領域４ａがあり、この領域４ａ以外の領域は遮光塗料等
でマスキングされている。段付き部２ａの縦壁面と下板
４の端面との間には間隙が設けられている。この間隙は
余剰のオイルを収容するためのオイル溜まり溝５を構成
している。溝５は原稿載置領域４ａを取り囲むように構
成すればよいので、下部枠２や下板４自体に穿設しても
よい。下部枠２の先端側には、上部枠３を吸着保持する
ための一対のマグネット６が埋め込まれている。

【００１５】上部枠３は、中央に開口部３ａを有し、か
つ、枠の内側には開口部３ａに沿って、シリコンゴム等
で形成された帯状の弾性体７が接着固定されている。上
部枠３の先端部内側には、下部枠２のマグネット６に吸
着する一対の金属片８が取り付けられている。

【００１６】下部枠２と上部枠３の基端部には、次のよ
うな連結構造が備えられている。図３に示すように、上
部枠３の基端部に、側壁に沿って一対のピン９が取り付
けられており、このピン９を上から抑え込むための板バ
ネ１０が下部枠２の基端部に取り付けられている。この
ような連結構造により、下部枠２と上部枠３とが回動自
在に連結されている。下部枠２と上部枠３の連結構造
は、通常の蝶番を用いてもよいが、本実施例のような連
結構造を採ると、上部枠３を閉止したときに、板バネ１
０の緩衝作用により、弾性体７で原稿Ｆの周囲を均等に
押圧できるので好ましい。なお、図中の符号１１は下部
枠２の把手、１２は上部枠３の把手である。また、符号
１３は下板４の原稿載置領域４ａに置かれた原稿Ｆを押
さ込むためのカバーフィルムであり、透過性および可撓
性を備えた例えば、マイラシート等で形成される。さら
に、符号１６は、この原稿保持装置１を平面走査型画像
入力装置の移動テーブル（図示せず）にセットする際の
位置決め用の凹部であり、この凹部１６を移動テーブル
のピンに係合させる。

【００１７】次に、上述した原稿保持装置１への原稿Ｆ
のセッティング手法を説明する。まず、把手１２を持っ
て上部枠３を開き、下板４の原稿載置領域４ａ上にオイ
ルを数滴垂らす。その上に原稿Ｆを原稿載置領域４ａに
合わせてセットする。さらに、原稿Ｆの上にオイルを数
滴垂らした後、カバーフィルム１３を被せる。このと
き、オイル内に気泡が発生し、出力画像に影響を及ぼす
おそれがある場合や、オイルが不均一に塗布されたり必
要以上に多い場合は、カバーフィルム１３の上を布等で
軽く擦ることにより、余剰のオイルや気泡を原稿載置領
域４ａの外へ逃がしてやる。カバーフィルム１３は可撓
性があるので、原稿Ｆとの密着性がよく、上述した余剰
オイルや気泡の除去作業を容易に行うことができる。図
２および図３に示すように、下板４の周辺部に押し出さ
れたオイル１４は溝５に溜まり、枠外にはみ出すことは
ない。

【００１８】そして、上部枠３を閉じる。上部枠３の金
属片８が下部枠２のマグネット６にに吸着することによ
り、下部枠２と上部枠３とが圧着される。これにより、
上部枠３に取り付けられた弾性体７がカバーフィルム１
３の周辺部を抑え込むので、原稿保持装置１の持ち運び
中にカバーフィルム１３や原稿Ｆがずれたり、浮いたり
することを防止できる。また、上述した弾性体７は、仮
に溝５からオイルが漏れ出ても、そのオイルが枠外へ流
出するのを防止する役目も担っている。

【００１９】なお、上記実施例においては、カバーフィ
ルム１３の上を布等で軽く擦る作業を、上部枠３を閉じ
た後で開口部３ａから行ってもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば次のような効果を奏する。請求項１に記載の発
明によれば、下板の原稿載置領域に置かれた原稿を、透
過性および可撓性を有するカバーフィルムで押さえてい
るので、カバーフィルムと原稿とが密着性の高い状態に
保持される。その結果、使用オイルの量を削減すること
ができるとともに、余剰のオイルやオイル内の気泡の除
去を容易に行うことができる。また、カバーフィルムの
周辺を上部枠に取り付けた弾性体によって抑え付けて固
定しているので、原稿保持装置の取り扱い性が向上す
る。さらに、カバーフィルムを接着テープで貼り付ける
といった手間もないので作業性が向上する。

【００２１】また、請求項２に記載の発明によれば、原
稿載置領域の周りにオイル溜まり用の溝を設けているの
で、オイルが原稿保持装置の枠外にはみ出ることがなく
なり、原稿保持装置がセットされる移動テーブル等を汚
すことがない。また、前記溝を設けたことにより、カバ
ーフィルムのサイズを小さくしても、前記カバーフィル
ムの端部からオイルが漏れ出ることがなくなるので、そ
の結果として、原稿保持装置を小型化することもでき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る原稿保持装置の開放状
態を示した外観斜視図である。

【図２】閉止状態にある原稿保持装置の先端部の拡大断
面図である。

【図３】閉止状態にある原稿保持装置の基端部の拡大断
面図である。

【図４】平面走査型画像入力装置の概略構成を示した側
面図である。

【図５】従来の原稿保持装置の構成を示した外観斜視図
である。

【符号の説明】

１…原稿保持装置 ２…下部枠 ３…上部枠 ３ａ…開口部 ４…下板 ４ａ…原稿載置領域 ５…オイル溜まり用の溝 ６…マグネット ７…弾性体 ８…金属片 ９…ピン １０…板バネ １１，１２…把手 １３…カバーフィルム １４…オイル Ｆ…原稿

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平面走査型画像入力装置に用いる原稿保
   持装置において、 開閉自在の下部枠と上部枠とを備え、前記下部枠は、少
   なくとも原稿載置領域が透過性を有する下板を支持して
   おり、前記上部枠は、中央に開口部を有し、かつ、枠の
   内側には前記開口部に沿って帯状の弾性体が取り付けら
   れており、 前記下板の原稿載置領域に置かれた原稿を、透過性およ
   び可撓性を有するカバーフィルムで押さえた状態で、前
   記上部枠を閉じることにより、前記上部枠の弾性体で前
   記カバーフィルムの周辺部を固定するようにしたこと、 を特徴とする原稿保持装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の原稿保持装置におい
   て、前記下部枠または下板に、原稿載置領域を取り囲む
   ようにオイル溜まり用の溝を形成した原稿保持装置。