JP2611117B2 - 高粘度液体用充填装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、容器への流体の充填包
装業界等において、この容器内へ高粘度の液体を、迅速
かつ確実な定量充填を行なうことができる高粘度液体用
充填装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、液体の充填包装業界等において、
高粘度の液体、例えば、ケチャップやマヨネーズ，ソー
ス等を可透性容器に充填する場合は、ピストン式充填機
を用いて行なられることが多い。

【０００３】この充填機50において、給液タンク51内の
液体は、一定量が計量槽52内へ送られ計量されるもの
で、この計量槽52内に設けられた送出ピストン53により
配管５４を介してノズル５５からテーブル56上の容器57
へ充填されるものである。（図３参照） しかし、計量槽52内へ一定量が送り込まれた液体は、該
計量槽52内において計量される、いわゆる、容量規制方
式であるため、詰め込まれる容器57の成形精度が低い
と、（特にガラス容器の場合）、一定量供給された液体
は、その容器上部の液面が各容器57ごと不揃いとなっ
て、製品化された充填済み容器57を店頭等に陳列したと
き、看者には、中身は規定容量が詰め込まれているのに
かかわらず、正味量が充填されない不良品の印象を与え
て見た目が悪く、商品価値を著しく低下させるものであ
った。

【０００４】そのため、前記した容器内の液面を各容器
ごと一定に充填するには、液面規制式充填方法によらな
ければならない。

【０００５】この方法による装置60は、図４に示すよう
に、液体は、その重力落下またはポンプによる圧送によ
ってノズル61により容器57内に充填されるもので、規定
の液面に達したとき、あるいは、達する直前に液体の供
給を停止し、更に、容器口に挿入して該液面にその吸引
口を対応させた吸引管62により、過剰液体を吸い取って
容器57内を適正で一定の液面に調整することで、前記欠
点を解消していた。

【０００６】しかしながら、前記した高粘度の液体を重
力落下方式により容器内へ充填しようとすると、自体の
粘性により液体流路の流動性が悪くて充填完了までに時
間が掛かる。

【０００７】また、充填時に液体内に気泡が混入しやす
いので、容積変化を起こして容器内への充填量のバラツ
キが大きくなり、正確な正味量の充填が行なえない。

【０００８】更に、この従来の充填にあっては、充填終
了時での充填速度の制御ができないもので、高粘度を有
する液体は、ノズルから吐出された後に、容器内におい
てその液面が直ちに平らとならず、盛り上がった状態が
長時間持続されるので、液面規制式充填方法によるとき
は、この盛り上がり面の部分を吸引管により吸い取って
しまうので容器への定量充填が行なえない。

【０００９】また、液体の加圧供給式においても、液面
高さのバラツキが大きく送液の圧力コントロールが難し
くて、充填終了時での充填速度の制御ができないので、
液面の盛り上がり現象を解消させることができない。等
の高粘度液体の充填には様々な問題点を有するものであ
った。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は前記した問題
点を解決するためになされたもので、内部に高粘度液体
の供給室を形成させた框体の下側に、上部を前記供給室
に連通させ下部を開放させた高粘度液体の送出管を垂下
させ、框体の供給室一側に送液手段と連係させた給液孔
を設け、框体の供給室内に開閉手段による前記弁杆の上
下動により液体の流動と閉塞とを行なう弁体を設けると
共に、框体内の吸引室の一側に吸引手段と接続させ弁杆
の吸出路の吸出孔と連通する吸引口を設け、更に、前記
送出管内には過剰充填液体の吸引管を設けることによ
り、高粘度の液体を容量にバラツキを生じた容器に対し
ても液面を均一に揃えて充填を行なうことができる高粘
度液体用充填装置を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記した目的を達成する
ための本発明の手段は、支持体に取り付けて内部に高粘
度液体の供給室を形成させた框体と、この框体の下側に
垂下させて上部を前記供給室に連通させ下部を開放させ
た高粘度液体の送出管と、前記框体における供給室の一
側に設けて送液手段と連係させた給液孔と、前記框体内
へ前記送出管と略同芯状で昇降自在に挿嵌し、下端を開
放した吸出路が形成される中空状の弁杆と、前記框体の
供給室内に設けて前記弁杆の上下動により液体の流動と
閉塞とを行なう弁体と、前記弁杆の上部に取り付けて前
記弁体の開閉を行なう開閉手段と、前記框体内に設けて
前記弁杆を挿通させた吸引室と、該吸引室の一側に開口
させて吸引手段と接続させた吸引口と、前記弁杆の吸出
路において吸引室に対応させ吸出孔と、前記送出管内へ
挿入して上部を前記弁杆の下端に取り付け、下端を前記
弁体が閉塞したとき、送出管の下端部と略一致する吸引
管と、を備えさせた高粘度液体用充填装置の構成にあ
る。

【００１２】

【作用】前記のように構成される本発明は以下に述べる
作用を奏する。

【００１３】容器への流体の充填にあって、送出管の下
部を容器口元に対応させてその準備を行った後、送液手
段において容器容量に見合う液体を計量し、給液孔へ圧
送する。

【００１４】すると、流体は框体における供給室内に流
入するので、開閉手段による弁体の開放により送出管の
下部から液体が容器内へ充填される。

【００１５】充填に伴って、液体が容器口元付近まで達
すると、送液手段の操作により液体の繰出量が減少され
て少量ずつの充填が行なわれる。

【００１６】したがって、容器内へ供給された液体は高
粘度であっても盛り上がった山なり状態とならず、平な
液面を保持しつつ規定液面まで充填が行なわれる。

【００１７】このとき、容器の成形不良等により容器容
量が減ってそれに伴う過剰充填となったときは、吸引手
段を連係した吸引管により過剰の液体を吸引する。

【００１８】この吸引管は下端部があらかじめ設定した
高さに調整されているので、したがって、液面は容器容
量のバラツキを生じていても常に一致する。

【００１９】

【実施例】次に、本発明に関する高粘度液体用充填装置
の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００２０】図１および図２においてＡは、充填包装業
界等において用いる高粘度液体用充填装置を示すもの
で、この装置Ａにより、例えば、ケチャップやマヨネー
ズ，ソース等の高粘度の液体を、ガラスやプラスチック
製容器ｂへ定量の充填処理を行なうものであって、充填
ノズルｃと送液手段ｄとにより基本的に構成される。

【００２１】そして、前記した充填ノズルｃは、框体１
と、送出管２と、給液孔３と、弁杆４と、弁体５と、開
閉手段６と、吸引室７と、吸引口８と、吸出孔９と、吸
引管10とによりなる。

【００２２】前記した框体１は、支持体11に取り付けて
内部を空洞にして、後記する送液手段ｄからの高粘度液
体を流入させる供給室12を形成させてある。

【００２３】なお、前記支持体11は、フレーム13に取り
付けられた昇降手段14により所定ストロークを任意に上
下することができるもので、これにより、前記液体が充
填される容器ｂ内へ送出管２および吸引管10が出入りで
きるものである。

【００２４】この昇降手段14は、例えば、フレーム13に
固着したエアシリンダ15のロッド16を、前記支持体11へ
取り付けてこのシリンダ15の操作により昇降されるもの
で、他にも、カム式やサーボモータ等を用いたねじ式等
慣用の手段が採用される。

【００２５】前記した送出管２は、前記框体１の下側よ
り所定長さに垂下させて、その上部を前記供給室12に連
通させた中空状に成形してあって、下部を開放させて高
粘度液体の送り出しが行なえるようにしてある。

【００２６】前記した給液孔３は、前記框体１における
供給室12の一側に設けて送液手段ｄと連係させてある。

【００２７】前記した弁杆４は、前記框体１内へ前記送
出管２と略同芯状で開閉手段６により昇降自在に挿嵌さ
れていて、下端を開放した吸出路17が形成される中空状
に成形されている。

【００２８】前記した弁体５は、前記框体１の供給室12
内に設けて、前記弁杆４の上下動により液体の流動と閉
塞とを行なうもので、前記供給室12の下側の弁座18へ、
そのシール面を当接することにより供給室12の閉塞が行
なえるものであって、前記弁杆４の開閉手段６の操作に
よりその開閉がなされる。

【００２９】なお、前記した開閉手段６は、流体シリン
ダや電磁ソレノイド等の公知の手段を用いることができ
るもので、弁杆４の上端部にその作動部材を連結する。

【００３０】前記した吸引室７は、前記框体１内におい
て前記供給室12の上部に設けてあるもので、前記弁杆４
を包囲するように挿通させてあって、該弁杆４には、前
記吸出路17の上部に該吸引室７へ臨ませた吸出孔９を穿
設してある。

【００３１】前記した吸引口８は、前記吸引室７の一側
に開口させて、ブロアや真空ポンプ等の吸引手段19と接
続させてある。

【００３２】前記した吸引管10は、前記送出管２内へ昇
降自在に挿入してあって、その上部を前記弁杆４の下端
に取り付け、下端を前記弁体４が閉塞したとき、送出管
の下端部と略一致するシール部材20を設けてある。

【００３３】したがって、前記した吸引手段19による吸
引力は、吸引室７において吸出孔９から吸出路17を介し
て前記吸引管10の下部開口に作用し、容器ｂ内の液体を
吸い取る。

【００３４】なお、図１および図２において21は、容器
ガイドで、受台22上に載置された容器ｂの口元を押圧す
ることにより、充填時の容器ｂの妄動等を防止するもの
であって、昇降部材（図示せず）に連係させた連杆23に
昇降自在に取り付けられている。

【００３５】次に、前記した送液手段ｄは、前記充填ノ
ズルｃへ液体を一定量、すなわち、容器ｂの容量に見合
った量を送り出すもので、給液タンク24からの液体を閉
塞バルブ25を介して計量手段26へ送り、一定量が計量さ
れた後、送出手段27により配管28から前記供給室12の給
液孔３へ圧送する。

【００３６】そして、前記計量手段26は、前記閉鎖バル
ブ25に一側を連結したシリンダ29内へ吸排ピストン30を
内装してあって、閉鎖バルブ25が開放したとき、ピスト
ン30を降下させるとシリンダ29内へ給液タンク24の液体
が流入する。

【００３７】また、前記送出手段27は、前記吸排ピスト
ン30を昇降させて液体の繰り込みや送り出しを行なうも
ので、この吸排ピストン30の下部の操作杆31に連係させ
た昇降体32を支持ガイド33に移動自在に支承させ、この
昇降体32のめねじ駒34を螺合させた螺軸35を、サーボモ
ータ等の数値制御可能な駆動部材36により駆動すること
で、吸排ピストン30が所定量移動するもので、この吸排
ピストン30の移動量と移動速度を適宜制御手段（図示せ
ず）によりコントロールすると、送出管２から吐出され
る液体の充填速度や充填量が定まる。

【００３８】前記したようにこの発明実施例装置Ａは、
容器Ｂへのケチャップ等の高粘度性流体の充填にあっ
て、受台22上に載置して容器ガイド21により固定された
容器ｂへ、充填ノズルｃにおける送出管２の下部を、昇
降手段14により降下させて容器ｂ内へ対応させると充填
準備ができる。

【００３９】この状態で、送液手段ｄにおいて容器ｂの
容量に見合う液体を計量手段26により計量するもので、
閉塞バルブ25を開放して送出手段27により吸排ピストン
30を降下させると、給液タンク24の液体はシリンダ29に
流れ込む。

【００４０】あらかじめ、制御手段に設定したデータに
基づいてサーボモータ36が回転するので、その回転量に
見合ったストロークが前記吸排ピストン30に与えられて
希望充填量が設定される。

【００４１】次に、閉鎖バルブ25を閉じた後、制御手段
に設定したデータの回転数をサーボモータ36に与える
と、シリンダ29内の液体は、配管28を介して給液孔３へ
圧送される。

【００４２】すると、流体は框体１における供給室12内
に流入するので、開閉手段６による弁体５の開放によ
り、送出管２の下部から液体が容器ｂ内へ充填される。

【００４３】ピストン30の繰り出しによる液体の充填に
伴って、該液体が容器口元付近まで達すると、あらかじ
め設定したデータの制御手段による前記送出手段27の操
作により、液体の繰出量が最初の繰出量より大幅に減少
されて少量ずつの充填に変わるので、容器ｂ内へ供給さ
れた高粘度液体は、先の充填で盛り上がった液面が徐々
に平滑状となると共に、液面の盛り上がりを生じない。

【００４４】したがって、平な液面を保持しつつ規定液
面まで充填が行なわれる。

【００４５】もし、容器ｂに成形等の不良により規定の
容器容量が減る場合は、前記計量手段26による液体の送
出にあっては、容器ｂに対して過剰充填となるので、そ
の液面が通常より高くなるが、送出管２に内設した吸引
管10から、吸引手段19により吸引力を作用（あらかじめ
吸引力を与えても、また、制御手段により一定の充填後
作動させてもよい。）させると、該吸引管10の下端から
高くなった液面分の液体が吸い上げられて、容器ｂにお
いて過剰液体を解消させる。

【００４６】この吸引管10は、下端部の吸引部が昇降手
段14によりあらかじめ規定した高さに調整されているの
で、前記したように、容器容量のバラツキを生じていて
も、これら充填済の容器ｂ，ｂ…を多数並べ設けたと
き、それぞれの液面が常に一線状に一致する。

【００４７】また、送出手段27による液体の充填終了後
は、開閉手段６が作動して弁体５を閉じるもので、この
とき、吸引管10も上昇して送出管２の送出路をそのシー
ル部材20により閉塞すると、液体は停止しかつ液漏れも
なくなる。

【００４８】なお、送出手段27による液体の送り出し
は、ピストン30の移動速度を制御手段に与える指令によ
って適宜調整することにより、任意にその速度および量
が設定できるもので、充填する液体の条件等に合わせる
ことができる。

【００４９】更に、本発明実施例装置Ａは、前記吸引手
段19を使用しない通常のピストン式充填機としても使用
できることはもちろんである。

【００５０】

【発明の効果】前述のように構成される本発明の高粘度
液体用充填装置は、高粘度の液体を容量にバラツキを生
じている容器であっても、その液面を揃えてかつ正味量
を有する充填が短時間で効率よく行なえ、店頭等に陳列
したときの商品価値を向上させることができる特有の効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に関する高粘度液体用充填装置の実施の
一例を示した概要の説明図である。

【図２】図１における充填ノズル部を一部分を拡大して
示す断面図である。

【図３】従来の充填装置でピストン式充填機を示す説明
図である。

【図４】従来の充填装置で加圧（重力）供給式充填機を
示す説明図である。

【符号の説明】

１ 框体 ２ 送出管 ３ 給液孔 ４ 弁杆 ｄ 送液手段 ５ 弁体 ６ 開閉手段 ７ 吸引室 ８ 吸引口 ９ 吸出孔 10 吸引管 11 支持体 12 供給室 17 吸出路 19 吸引手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体に取り付けて内部に高粘度液体の
   供給室を形成させた框体と、該框体の下側に垂下させて
   上部を前記供給室に連通させ下部を開放させた高粘度液
   体の送出管と、前記框体における供給室の一側に設けて
   送液手段と連係させた給液孔と、前記框体内へ前記送出
   管と略同芯状で昇降自在に挿嵌し、下端を開放した吸出
   路が形成される中空状の弁杆と、前記框体の供給室内に
   設けて前記弁杆の上下動により液体の流動と閉塞とを行
   なう弁体と、前記弁杆の上部に取り付けて前記弁体の開
   閉を行なう開閉手段と、前記框体内に設けて前記弁杆を
   挿通させた吸引室と、該吸引室の一側に開口させて吸引
   手段と接続させた吸引口と、前記弁杆の吸出路において
   吸引室に対応させ吸出孔と、前記送出管内へ挿入して上
   部を前記弁杆の下端に取り付け、下端を前記弁体が閉塞
   したとき、送出管の下端部と略一致する吸引管とを備え
   させたことを特徴とする高粘度液体用充填装置。