JP2609357B2 - 負帯電用電子写真用トナー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、負帯電用電子写真用トナーに関する。より
詳細には、芳香族オキシルカルボン酸金属化合物を負帯
電用電荷制御剤として使用し、トナー帯電量の分布をシ
ヤープにし、トナー飛散がなく、高濃度画像を形成し得
る負帯電用電子写真用トナーに関する。

（従来の技術） 商業的な電子写真複写や電子写真印刷の分野では、帯
電時のオゾンの発生量を可及的に少なくするために、正
帯電の静電像を形成する方式が一般に採用されており、
従って、この静電像の現像に使用する現像用トナーとし
ては負帯電用トナーが広く使用されている。

一方、近年、レーザービームプリンタやデジタル複写
機の開発が進み、このような画像形成装置においては、
負帯電型の有機感光体にレーザーによって潜像を書き込
み、負帯電トナーによって反転現像する作業が採用さ
れ、負帯電トナーも、より高品位のものが要求されるよ
うになってきた。

現像用トナーは、定着用樹脂、着色剤及び電荷制御剤
を必須成分とする樹脂組成物を、トナー粒子サイズ、一
般に平均粒径が５乃至15μｍのサイズに造粒したものか
らなっているが、負帯電用トナーの場合には、当然のこ
とながら、電荷制御剤として摩擦帯電時に負の電荷制御
作用を有するものが使用される。

従来のトナー電荷制御方式では、トナー全体としての
トナー帯電量の平均値の大，小の制御を、電荷制御剤の
種類の選択や、添加量の調節によって行っていた。しか
しながら、この方式では、トナー全体としての帯電量の
平均値の制御は可能であるとしても、トナー粒子の帯電
量の分布を厳密に制御することは到底困難である。

従来、トナー粒子に、互いに逆極性の帯電性能を有す
る複数の電荷制御剤を含有させることは既に知られてお
り、例えば特開昭54−34243号公報には、トナーとキャ
リヤとから成る静電荷像用現像剤に於て、トナーがキャ
リヤとの摩擦により正に帯電する染料を含有する負帯電
荷性トナーであることを特徴とする静電荷像用現像剤が
記載されている。

また、特開昭57−196264号公報には、電気絶縁性の定
着用媒質、該定着用媒質中に分散された磁性材料粉末及
び電荷制御剤から成る電気絶縁性磁性一成分系現像剤に
おいて、該電荷制御剤は、負または正の電荷制御剤とこ
れとは逆極性の電荷制御剤との、1:0.05乃至1:1.5の重
量比の組合せから成ることを特徴とする現像剤が記載さ
れている。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の負帯電用トナーにおいては、電荷制御剤の種類
や添加量を調節して、帯電量の平均値が十分に満足し得
る値にあるようにしても、帯電量の分布がかなり広くな
るという傾向を免れない。ここで特に問題となるのは、
帯電量が平均値よりもかなり高く、現像に消費されない
高帯電トナーを或る頻度（分布量）で必らず発生するこ
とである。また、帯電量が平均値よりもかなり低く、ト
ナー飛散を生じるような低帯電トナーを或る頻度で生じ
ることも問題である。

前者の高帯電トナー粒子は、キャリヤ粒子表面に電気
的に強く吸着されて、離脱し難い状態で存在し、キャリ
ヤ粒子の摩擦帯電性能を著しく阻害する。このため、現
像開始初期には比較的問題の少ないトナーであっても、
現像時間の経過に伴なって未帯電乃至低帯電トナーの比
率が高くなり、トナー飛散や、カブリ発生或いは画像濃
度低下等のトラブルを発生するようになる。

前記先行技術に見られる負帯電用の電荷制御剤に正帯
電性染料（電荷制御剤）を組合せる方式では、帯電量の
分布を、かなり自由に高帯電量側或いは低帯電量側へシ
フトさせ得るという利点が得られるとしても、この方式
は、トナー帯電量の分布をシャープにし、高帯電トナー
や低帯電トナーの発生を、皆無乃至無視し得るレベルに
抑制するという見地からは、未だ十分満足し得るもので
はなかった。

従って、本発明の目的は、従来の負帯電トナーにおけ
る上記欠点を解消し、トナーの帯電量を好適に調整でき
トナーの帯電量の平均値がトナー飛散防止や画像濃度に
関して最適範囲にあると共に、トナー帯電量の分布がシ
ャープであって、現像に使用されない高帯電トナーやト
ナー飛散のもとになる低帯電トナーの殆んどない負帯電
用トナーを提供するにある。

本発明の他の目的は、トナー帯電量の分布がシャープ
であると共に、帯電時における電荷の立上がりが早く、
しかも帯電特性の長期運転時における劣化も少ない画像
の再現性に優れた負帯電用トナーを提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 本発明によれば、定着用樹脂、着色剤及び負帯電用電
荷制御剤を含有する負帯電用電子写真用トナーにおい
て、 前記負帯電用電荷制御剤として芳香族オキシカルボン
酸金属化合物を用いるとともに、前記定着用樹脂に対し
て非相溶性であるが、分散性を有し且つ負帯電用電荷制
御剤とは逆極性の電荷制御作用を有する電荷制御助剤と
して、下記式： 式中、Ｒはその中の少なくとも１個が長鎖アルキル基
又は長鎖アルケニル基であり、その中の少なくとも２個
が低級アルキル基又はベンジル基であるという条件下
に、低級アルキル基、ベンジル基、長鎖アルキル基又は
長鎖アルケニル基であり、A^-はモリブデン酸、タングス
テン酸、アンチモン酸及びビスマス酸からなる群より選
ばれる酸素酸のアニオンを示す、 で表される第４級アンモニウム塩を含有しており、 前記電荷制御剤と電荷制御助剤とは、1:0.05乃至1:
1、特に1:0.1乃至1:0.7の重量比で、且つ定着用樹脂100
重量部当り合計で0.5乃至５重量部、特に２乃至４重量
部でトナー中に存在していることを特徴とする負帯電用
電子写真用トナーが提供される。

（作用） 本発明の負帯電用電子写真トナーは、定着用樹脂、着
色剤及び負帯電用電荷制御剤を必須成分として含有して
いるが、負帯電用電荷制御剤として芳香族オキシカルボ
ン酸の金属化合物を使用すると共に、定着用樹脂に対し
て非相溶性であるが、分散性を有し且つ負帯電用電極制
御剤とは逆極性の電荷制御作用を有する電荷制御助剤を
含有することが顕著な特徴である。即ち、本発明は、従
来使用されている定着用樹脂に対して相溶性のある正帯
電性染料に代えて、定着用樹脂に対して非相溶性である
が分散性のある正電荷制御性物質を、電荷制御助剤とし
て、負帯電用電荷制御剤に組合せると、トナーの帯電量
を好適に調整でき、トナー帯電量の分布を従来のものに
比して著しくシャープなものとすることができ、その結
果として現像に使用されない高帯電トナーやトナー飛散
のもとになる低帯電トナーの発生を有効に抑制し得ると
いう新規知見に基づくものである。

添付図面第２図は、負帯電用電荷制御剤（比較例１）
単独を用いたトナーＡ、第３図は、この負帯電用電荷制
御剤に正帯電性染料（比較例１参照）を組合せて用いた
トナーＢ、及び第１図は、前記負帯電用トナーに本発明
の要件を満足する電荷制御助剤（実施例１参照）を組合
て用いたトナーＣについて、帯電量の分布を測定した結
果を示すグラフである。また、下記第１表は、これらの
トナーA,B及びＣについて、帯電量分布の特性値をまと
めたものである。

尚、本明細書において、トナーの帯電量分布は次の方
法で求められるものである。

帯電量分布の測定 以下にこの帯電量測定装置を説明すると、第４図に示
すようにこの帯電量測定装置は、円筒状のハウジング１
内に、現像剤からトナーを分離する分離部２と、分離さ
れたトナーの帯電量分布を測定する計測部３と、空気ポ
ンプ等の吸引装置11とを有している。

分離部２と計測部３とは、仕切り板７によって仕切ら
れており、この仕切り板７のやや下方の、ハウジング１
の側壁には、ハウジング１内に空気を導入する連通孔1a
が設けられている。この連通孔1aのやや下方には、空気
整流用フイルタ８が配設されている。

分離部２は、マグネット４上に保持された現像剤に、
エアニードル５によって圧縮エアを吹き付け、マグネッ
ト４に磁気的に吸着されているキャリヤを残して、軽量
のトナーのみを上方に吹き上げて飛散させる。

分離部２と計測部３との間には、仕切り板７によって
支持されたロート６が設けられている。このロート６の
上端の受入れ口6dは、仕切り板７の上方に突出し、下端
の先窪み部6aは、フィルタ８を貫通して計測部３側に臨
んでいる。

計測部３は、ハウジング１の側壁に埋め込まれた一対
の電極棒9a,9bに、直流電源Ｂを印加することにより、
電極棒9a,9b間に水平平行電界を形成している。10はフ
ィルタである。

吸引装置11は、10はフィルタである。

吸引装置11は、ハウジング１の外部から上記連通孔1a
および整流用フィルタ８を通って計測部３へ流れる主空
気流を形成すると共に、トナーをロート６内に吸引する
空気流をロート６上方に形成する。

この帯電量測定装置によれば、上記分離部２によって
分離され、ロート６によって集められて計測部３に導入
されたトナー粒子は、吸引装置11による気流に乗って鉛
直落下し、電極棒9a,9b間を通過して、フィルタ10上に
着地する。このとき、トナー粒子は、電極棒9a,9b間の
水平平行電界中で、帯電量に応じた水平方向のクーロン
力Ｈと、垂直方向の重力Ｖを受ながら落下するので、当
該トナー粒子は、フィルタ10上で、その質量や電荷量に
対応した位置に分散する。そして、上記トナー粒子の落
下位置の分布から、画像処理によってトナーの帯電量分
布を算出する。

第1,2及び３図の帯電量分布曲線はこの方法により測
定されたものである。

即ち、負帯電用制御剤を単独で使用したトナーＡでは
第２図に示すようにａ域の高帯電トナーが多く存在し、
且つｄ域の逆帯電トナーやＯ帯電トナーもかなりの割合
で含まれている。また、負帯電用制御剤に正帯電染料を
組み合わせた先行技術のトナーＢでは、第３図に示すよ
うに帯電量の平均値を低帯電量側にシフトすることがで
きるが分布の幅の広さはトナーＡと殆ど変わらず、ａ域
の高帯電トナーは少なくなるものの依然として存在し、
ｄ域の逆帯電トナーや０帯電トナーの存在割合が多くな
る。これに対して、負帯電用制御剤と定着用樹脂非相溶
型の正帯電制御物質を助剤として組み合わせた本発明の
トナーＣでは、第１図に示すように適正帯電域ｂ、ｃの
トナーの存在量が多くなって帯電量分布の幅を著しく狭
くし、ａ域の高帯電トナーとｄ域の逆帯電トナーや帯電
トナーを少なく（ここでは無くなっている）できること
が了解される。

また、第１表は上記トナーＡ、Ｂ及びＣを使用し、レ
ーザービームプリンターLPX−１（三田工業社製、商品
名）改造機（反転現像方式に改良した物）にて1000枚の
連続複写を行った時の画像濃度（ID）、画像カブリ濃度
（FD）と現像器周辺でのトナー飛散の状況を評価したも
のである。

第１〜３図及び第１表から本発明のトナーでは、画像
濃度の変動、画像カブリ、トナー飛散を抑制し得る好ま
しい帯電特性に改善できることが確認される。

本発明のトナーでは、現像初期は勿論のこと、現像を
長時間行った場合にも、画像濃度の変動やカブリ、トナ
ー飛散の発生がなす、帯電特性やその劣化防止に著効の
あることを示している。

本発明のトナーにおいて、定着用樹脂非相溶型の正帯
電用電荷制御助剤を用いることにより、帯電量の分布が
シャープになるという事実は、多数の実験の結果現像と
して見出されたものであり、その理由は明らかでない
が、定着用樹脂中に相溶乃至分散した正帯電性染料では
分布をシャープにする効果がないこと、負帯電用制御剤
としての芳香族オキシカルボン酸が相溶乃至分散したマ
トリックス中に、正帯電用電荷制御助剤がよりマクロな
粒子サイズで分散している分散構造が、高帯電トナー及
び負帯電トナーの個数を減少させるように作用している
ものと推定される。一般に、負帯電電荷制御剤に正帯電
電荷制御剤を助剤として組合せた場合に生じる重大な欠
点の一つは、最終的にトナー粒子の電荷が負に制御され
るとしても、このトナーとキャリヤとから成る現像剤を
現像器中で撹拌したとき、電荷の立上りが遅くなること
である。これに対して、本発明の組成及び分散構造のト
ナーで、現像剤を撹拌開始して帯電を始めたときの電荷
の立上がりが、負帯電電荷制御剤のみを含有する負帯電
性トナーと同様に早いという利点も得られるものであ
る。

また、本発明においては負電荷制御剤として、芳香族
オキシカルボン酸及びその金属化合物を用いることも重
要である。

芳香族オキシカルボン酸の金属化合物は、トナーの帯
電性の制御が容易であるだけでなく、トナーの他の電気
特性の変化を少なく抑えることができる等の利点を有
し、電荷制御助剤と組み合わせにおいて本発明の特徴
を、強化する働きをする。

（発明の好適態様） 電荷制御助剤 本発明に使用する電荷制御助剤は、定着用樹脂に対し
て非相溶性であるが、分散性を有し且つ負帯電用電荷制
御剤とは逆極性の電荷制御作用を有するものであり、 下記式： 式中、Ｒはその中の少なくとも１個が長鎖アルキル基
又は長鎖アルケニル基であり、その中の少なくとも２個
が低級アルキル基又はベンジル基であるという条件下
は、低級アルキル基、ベンジル基、長鎖アルキル基又は
長鎖アルキル基であり、A^-はモリブデン酸、タングステ
ン酸、アンチモン酸及びビスマス酸からなる群より選ば
れる酸素酸のアニオンを示す、 で表される第４級アンモニウム塩が使用される。これら
の第４級アンモニウム塩は、トナーの電荷の立ち上がり
を遅くすること無しに、帯電量の分布をシャープにする
という目的に特に適している。

電荷制御剤 上記電荷制御助剤との組み合わせで使用する負電荷制
御剤としては、芳香族オキシカルボン酸の金属化合物が
使用される。芳香族オキシカルボン酸の金属化合物とし
ては、サルチル酸、パラオキシ安息香酸、メタオキシ安
息香酸等のオキシ安息香酸の金属塩、金属錯化合物、オ
キシ−１−ナフトエ酸、オキシ−２−ナフトエ酸、３−
オキシ−２−ナフトエ酸等のオキシナフトエ酸の金属
塩、金属錯化合物を例示することができる。

これらのうち、サルチル酸の金属塩、金属錯化合物が
好適に使用でき、特にサルチル酸と亜鉛との塩又は錯化
合物が好適に使用できる。

本発明において、上記電荷制御剤と電荷制御助剤とを
1:0.05乃至1:1、特に1:0.1乃至1:0.1の重量比で用いる
のがよく、これらの組み合わせを定量用樹脂100重量部
当り合計で１乃至５重量部、特に２乃至４重量部の量で
存在させるのがよい。

定着用樹脂 定着用樹脂としては、前記電荷制御助剤に対して相溶
性でないが、分散性を示すそれ自体公知の定着用樹脂が
使用される。これらの定着用樹脂は、トナーを負電荷に
帯電させることから、負電荷に帯電する傾向を有してい
ることが望ましく、例えばスチレン系樹脂、アクリル系
樹脂或いはスチレン−アクリル系共重合体樹脂が一般に
使用される。

これらの樹脂に用いる、スチレン系単量体としては、
下記式 式中、R₁は水素原子、低級（炭素数４以下の）アルキ
ル基、或いはハロゲン原子であり、R₂は水素原子或いは
低級アルキル基、ハロゲン原子等の置換基である、 で表わされる単量体、例えばスチレン、ビニルトルエ
ン、α−メチルスチレン、α−クロルスチレン、ビニル
キシレン等やビニルナフタレン等を挙げることができ
る。この中でも、スチレンが好適である。

一方、アクリル系単量体としては、式 式中、R₃は水素原子または低級アルキル基であり、R₄
は水素原子又は置換または未置換の炭素数18迄のアルキ
ル基である、 で表わされる単量体、例えばエチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタク
リレート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−エチ
ルヘキシルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸
等である。アクリル系単量体としては、上述したものの
他に他のエチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物、
例えばマレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸
及びそれらの酸無水物等を用いることもできる。

スチレン−アクリル系共重合体樹脂は、樹脂媒質とし
て好適なものの一つであり、スチレン系単量体（Ａ）と
アクリル系単量体（Ｂ）とは、A:B＝50:50乃至90:10、
特に60:40乃至85:15の範囲とするのがよい。また、用い
る樹脂は、一般に０乃至25の酸価を有するのが好まし
い。また、定着性の見地から50乃至75℃のガラス転移温
度（Tg）を有するのがよい。

着色剤 樹脂中に含有される着色剤としては、次に示す無機又
は有機の顔料や染料等が単独又は２種以上の組み合わせ
で使用できる。ファーネスブラック、チャンネルブラッ
ク等のカーボンブラック；四三酸化鉄等の鉄黒；ルチル
型又はアナターゼ型等の二酸化チタン；フタロシアニン
グリーン；カドミウムイエロー；モリブデンオレンジ；
ピラゾロンレッド；フアストバイオレットＢ等を挙げる
ことができる。

トナー トナー粒子の粒径は、コールターカウンターで測定し
た粒径が体積基準メジアン径で５乃至15μｍ、特に７乃
至12μｍの範囲にあるのがよく、また粒子径状は溶融混
練・粉砕法で製造された不定形のものでも、また分散乃
至懸濁重合法で製造された球状のものでもよい。

本発明のトナーは、それ自体公知の磁性キャリヤと組
み合わせ、二成分磁性現像剤として使用することによ
り、優れた帯電性が発揮される。磁性キャリヤとして
は、フェライトキャリヤ、鉄粉キャリヤが使用され、こ
れらは、未コートのものでも樹脂コートのものでも使用
される。一般にフェライトキャリヤが好ましい。

フェライトとして従来、例えば酸化鉄亜鉛（ZnFe
₂O₄）、酸化鉄イットウム（Y₃Fe₅O₁₂）、酸化鉄カドミ
ウム（CdFe₂O₄）、酸化鉄ガドリニウム（Gd₃Fe₂O₁₂）、
酸化鉄鋼（CuFe₂O₄）、酸化鉄鉛（PbFe₁₂O₁₉）、酸化鉄
ニッケル（NiFe₂O₄）、酸化鉄ネオジウム（NdFeO₃）、
酸化鉄バリウム（BaFe₁₂O₁₉）、酸化鉄マグネシウム（M
gFe₂O₄）、酸化鉄マンガン（MnFe₂O₄）、酸化鉄ランタ
ン（LaFeO₃）等の１種或いは２種以上から成る組成の焼
結フェライト粒子が使用されており、特にCu,Zn,Mg,Mn
およびNiから成る群より選ばれた金属成分の少なくとも
１種、好適には２種以上含有するソフトフェライト、例
えば銅−亜鉛−マグネシウムフェライトが使用されてい
るが、これらのフェライトは、本発明においても好適に
使用される。

磁性キャリヤのコーテイング樹脂としては、アクリル
樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹
脂、各種アミノ変性樹脂等、種々のものが知られている
が、樹脂コート磁性キャリヤの帯電電荷を正に制御する
ことにより、間接的にトナー電荷を負に制御するような
ものが好適である。勿論、本発明では、このようなキャ
リヤコート樹脂層が存在しなくても、電荷の制御が有効
確実に行われるのは当然である。キャリヤの飽和磁化は
40乃至75emu/g、特に45乃至70emu/gの範囲にあるのが望
ましい。磁性キャリヤは、上記条件を満足するフェライ
トキャリヤ、特に球状のフェライトキャリヤが好適なも
のであり、その粒径は20乃至140μｍ、特に50乃至100μ
ｍの範囲にあることが望ましい。

トナーと磁性キャリヤとの混合比率は、上記トナー及
び磁性キャリヤの物性によっても相違するが重量比で一
般に1:99乃至10:90、特に2:98乃至5:95の範囲内にある
ことが望ましい。また、現像剤全体としての電気抵抗率
は、５×10⁹乃至５×10¹²・cm、好ましくは５×10⁹乃至
５×10¹¹Ω・cmの範囲にあるのが一般に望ましい。

静電像の現像に際しては、上記トナーと磁性キャリヤ
とを混合した後、内部にマグネットロールを有する現像
スリーブ上に所定長の磁気ブラシを形成し、この磁気ブ
ラシと静電像を有する感光体と摺刷させるか、或いは振
動電界が印加されている電場内で磁気ブラシと静電像保
持感光体を近接させる。

（発明の効果） 本発明によれば、定着用樹脂、着色剤及び負帯電用電
荷制御剤として芳香族オキシカルボン酸の金属化合物と
を含有する負帯電用電子写真用トナーにおいて、定着用
樹脂に対して非相溶性であるが、分散性を有し且つ負帯
電用電荷制御剤とは逆極性の電荷制御作用を有する電荷
制御助剤をトナー中に含有させることにより、トナーの
帯電量を好適に調整でき、従来の負帯電トナーにおける
種々の欠点を解消し、トナーの帯電量の平均値がトナー
飛散防止や画像濃度に関して最適範囲にあると共に、ト
ナー帯電量の分布がシャープであって、現像に使用され
ない高帯電トナーやトナー飛散のもとになる低帯電トナ
ーの殆んどない負帯電用トナーが提供される。本発明の
トナーは、トナー帯電量の分布がシャープであると共
に、帯電時における電荷の立上りが早く、しかも帯電特
性の長期運転時における劣化も少ないという利点も達成
されるものである。

（実施例） 実施例１ 定着用樹脂としてのスチレン−アクリル系共重合体10
0重量部、着色剤としてのカーボンブラック８重量部、
オフセット防止剤としての低分子量ポリプロピレン1.5
重量部、負帯電用電荷制御剤としてのサルチル酸の亜鉛
化合物２重量部、及びスチレン−アクリル共重合体に非
相溶の電荷制御助剤として下記の第４級アンモニウム塩
２重量部を、 二軸混練機によって溶融混練し、混練を冷却後、粉砕、
分級して平均粒径が11μｍのトナーとした。そして、こ
のトナーを樹脂コートを施した平均粒径が85μｍのフェ
ライトキャリアをトナー濃度4.5％で混合撹拌して現像
剤とし、第４図に示したトナー帯電量分布測定装置によ
って帯電量分布を測定した。

その結果が第１図である。

次いで、上記現像を負帯電用有機感光体を搭載した三
田工業社製レーザービームプリンターLPX−１ 改造機
（現像方式を反転現像方式に改造したもの）（感光体表
面電位：−700V、現像バイアス電位：−500V）に適用
し、5000枚の連続画像形成を行った。その結果、色相が
鮮明で画像濃度の低下や画像カブリは発生せず、トナー
飛散も全くなかった。詳細を第１表に示す。

また、5000枚耐刷後の現像剤について帯電量分布を測
定したがその結果が第５図で、帯電量分布は第１図に殆
ど近くシャープであった。

比較例１ 実施例１において電荷制御助剤を用いない以外は、同
様にしてトナーを作成した。以下、実施例１と同様にし
て現像剤を得た。実施例１と同様にしてトナー帯電量分
布を測定したところ第２図に示す結果であった。そして
さらに同様にして5000枚の連続画像形成を行ったところ
画像濃度が不安定で時折画像濃度の落ち込みがあった。

比較例２ 実施例１において、電荷制御助剤の代わりに、定着用
樹脂に相溶するC.I.ソルベント イエロー 56 ２重量
部を使用した以外は、同様にしてトナーを作成し、同様
にして現像剤を得た。そして、実施例１と同様にしてト
ナー帯電量分布を測定したところ第３図に示す結果であ
った。更に同様にして5000枚の連続画像濃度の低下や画
像カブリがやや発生した。トナー飛散も少し見られた。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第５図は、本発明のトナーの帯電量分布の特
性曲線を表す図であり、 第２図は負帯電用電荷制御剤を、単独で使用したトナー
の帯電量分布の特性曲線を表す図であり、 第３図は、負帯電用電荷制御剤と正帯電性染料（定着用
樹脂に対して相溶するもの）を用いたトナーの帯電量分
布の特性曲線を表す図であり、 第４図は、トナーの帯電量分布の測定に使用した概略配
置酢である。 第６図は、負帯電用電荷制御剤として含金属モノアゾ染
料を使用したトナーの帯電量分布の特性曲線を表す図で
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 昭宏 大阪府大阪市中央区玉造１丁目２番28号 三田工業株式会社内 (72)発明者 藏前 善久 大阪府大阪市中央区玉造１丁目２番28号 三田工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−22670（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−113762（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−54（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−154277（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−236565（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−68848（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】定着用樹脂、着色剤及び負帯電用電荷制御
   剤を含有する負帯電用電子写真用トナーにおいて、 前記負帯電用電荷制御剤として芳香族オキシカルボン酸
   金属化合物を用いるとともに、前記定着用樹脂に対して
   非相溶性であるが、分散性を有し且つ負帯電用電荷制御
   剤とは逆極性の電荷制御作用を有する電荷制御助剤とし
   て、下記式： 式中、Ｒはその中の少なくとも１個が長鎖アルキル基又
   は長鎖アルケニル基であり、その中の少なくとも２個が
   低級アルキル基又はベンジル基であるという条件下に、
   低級アルキル基、ベンジル基、長鎖アルキル基又は長鎖
   アルケニル基であり、A^-はモリブデン酸、タングステン
   酸、アンチモン酸及びビスマス酸からなる群より選ばれ
   る酸素酸のアニオンを示す、 で表される第４級アンモニウム塩を含有しており、 前記電荷制御剤と電荷制御助剤とは、1:0.05乃至1:1の
   重量比で、且つ定着用樹脂100重量部当り合計で0.5乃至
   ５重量部でトナー中に存在していることを特徴とする負
   帯電用電子写真用トナー。
2. 【請求項２】前記負帯電用電荷制御剤がサリチル酸の亜
   鉛化合物である請求項１記載のトナー。