JP2608770B2 - 可撓性の気密膜を用いたジャッキ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は可撓性の気密膜を用いたジャッキに関するも
のである。

［従来の技術］ 一般に用いられるオイルジャッキは、一方が閉そくさ
れた中空のシリンダーの内部にピストンを入れてピスト
ンとシリンダーとの間に油をポンプによって送りこみ、
圧力を作用させる事によって、ピストンを作動させる構
造となっている。この場合、ピストンの外面とシリンダ
ーの内面は、圧力の漏洩を防止するために、精密な機械
仕上げ加工が必要であると同時に、気密性を保持するた
め、Ｏリング等の気密保持構造を持っているので、精密
な機械仕上げが必要となり、高価なものとなる。

従って、建築物や土木構造物の建設にあたって、高価
なジャッキを用いる場合には、ジャッキが回収される事
が前提となっており、そのために、無駄に仮設材を用意
したりしなくてはならなかった。又、ジャッキを回収す
るのに危険な作業を伴う事があり、安価な信頼性の高い
ジャッキの提供が望まれている。

そこで、建設にあたって信頼性の高いジャッキとして
考えられるのは、第３図に示すベローズ型空気バネであ
る。

この空気バネは繊維で補強された補強層を内蔵したゴ
ムベローズＡの円弧状の各中間に中間リングBNを設け、
上下面板C,C′にゴムベローズＡの端部を固定し、下面
板Ｃ′に設けた空気配管用ネジ部Ｄから空気を挿入させ
て、ゴムベローズＡがふくらみ、上下方向に膨張させ
る。又、空気圧を低下させると、縮む構造になってい
る。

［発明が解決しようとする課題］ 前記の構造にあって、空気バネの耐圧性は中間リング
Ｂと上下面板間に作用する圧力がゴムの引張強度以内で
なくてはならない。

即ち、第４図において、上面板Ｃと中間リングＢとの
間の高さ（内圧が作用する高さ）をｈ、内圧をＰ、ゴム
に使用する張力をｔとすると、 ｔ＜補強層を有するベローズの強度 したがって、ｈが小さくなればｔも小さくなり、ｔが
一定と考えると、ｈを小さくする事によって内圧Ｐを増
加させる事が可能となる。

そこで本発明においては、同一の補強層を有するゴム
を用いて耐圧力を数倍にすることができる可撓性の気密
膜を用いたジャッキを提供するのが目的である。

［課題を解決するための手段］ 本発明は前記目的を達成するために、上下面板に固定
した補強層を内蔵した圧力流体を導入するゴムベローズ
外側シリンダー内に挿入して中間リングと外側シリンダ
ーとの間を充填剤にて固定し、上下面板の外周に内側シ
リンダーを固定し、この内側シリンダーと外側シリンダ
ー間にゴムベローズの一部を挟み込んで転動機能を形成
せしめた可撓性の気密膜を用いたジャッキを構成したも
のである。

［作 用］ 本発明においてはゴムベローズの外側シリンダーと内
側シリンダーとの間に挟み込まれた部分のみに張力が作
用し、膨張と縮小を行うことになる。

［実施例］ 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて具体的に
説明する。

第１図は本発明の可撓性の気密膜を用いたジャッキの
一実施例の完成途中を示す断面図、第２図は完成した状
態の断面図である。

図中１は補強層を有するゴムベローズで、上下を夫々
上下面板2,2′に固定し、中間に中間リング３を設けて
いる。

４は外側シリンダーで上下面板2,2′の外周よりも径
を大きく間隔Ｓを形成するように設け、中間リング３の
外側に該当する個所に注入口５を開口している。

6,6′は上下面板2,2′の外出端に固定した内側シリン
ダーで内部にコンクリート又はモルタル等の補強材７を
充填しており、上面板２の中央に導入管８を設けてい
る。

前記のように構成した状態において、注入口５から軟
質ゴム、シリコン等の充填材９を充填して中間リング３
の位置した個所と外側シリンダー４との間を充填してゴ
ムベローズ１自体が移動しないように固定する。

そして、圧力を作用させる以前に上下面板2,2′を当
接するように上下に移動させ、ゴムベローズ１の外周端
を内側シリンダー6,6′と外側シリンダー４との間Ｓに
曲げ込ませて転動の機能をもたせる。

本実施例は前記のように構成したもので、導入管８か
ら圧力流体を導入してゴムベローズ１を膨張させる際に
作用する張力ｔは、第２図において示すようにベローズ
の隙間ΔＳに作用する内圧Ｐによって決定されることに
なる。

それ故、従来の空気バネ式に比較すると数倍の耐圧力
を得ることが可能となる。

前記の状態においてジャッキとして使用できる使用高
さはｈ′（上面板の下面とベローズとの間）の倍である
２×ｈ′となる。

尚、更に大きな作用範囲を必要とする場合には同種の
ジャッキを重ねればよいものである。

［発明の効果］ 本発明においては、精密な機械加工が不要で構造が簡
単で、且つ十分な強度を得る事が出来る。従って、従来
から用いられている、フラットジャッキと比較すると、
繰り返しの載荷に耐え得る事が出来、載荷面を広く取る
事が出来、安定性が増す事が出来る。

また、通常のジャッキに比較し、低い高さで製作する
事が出来、狭いスペースでもジャッキを作用させること
が可能である。

尚、セメントミルク等で注入を行って圧力を作用させ
れば、そのまま固化させて、構造体の一部として使用す
る事も可能となる。

例えば、場所打杭の先端部にこのジャッキを作用させ
る事により杭先端部の変位と荷重の関係を知る事が出来
るので杭の先端支持力や摩擦力を測定する事も可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る可撓性の気密膜を用いたジャッキ
の一実施例の製造途中を示す断面図、第２図は上下面板
を当接させた状態の完成した断面図、第３図は従来の空
気バネ式ジャッキの断面図、第４図は内圧の作用状態を
説明するための断面図である。 １……ゴムベローズ、２……上面板、２′……下面板、
３……中間リング、４……外側シリンダー、５……注入
口、6,6′……内側シリンダー、７……補強材、８……
導入管、９……充填材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下面板に固定した補強層を内蔵した圧力
   流体を導入するゴムベローズを外側シリンダー内に挿入
   して中間リングと外側シリンダーとの間を充填剤にて固
   定し、上下面板の外周に内側シリンダーを固定し、この
   内側シリンダーと外側シリンダー間にゴムベローズの一
   部を挟み込んで転動機能を形成せしめたことを特徴とす
   る可撓性の気密膜を用いたジャッキ。