JP2605902B2 - ルシフェラーゼ、それをコードする遺伝子およびルシフェラーゼの生産方法 - Google Patents

ルシフェラーゼ、それをコードする遺伝子およびルシフェラーゼの生産方法

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、生物発光反応を用いた分析法に有効な純化
された酵素ルシフェラーゼ及びそれをコードする遺伝子
に関する。さらに本発明は、前記遺伝子が挿入された新
規組換え体ベクターDNA、該ベクターDNAを有する形質転
換体、及び該形質転換体を用いたルシフェラーゼの生産
方法を提供する。
背景技術 ウミホタル(Cypridina hilgendorfii)は、日本沿岸
に生息する海産甲殻類で、刺激を受けて海水中に青白い
発光液を放出する。発光は基質であるルシフェリンを酵
素であるルシフェラーゼにより酸化することによって起
こり、ホタルや発光バクテリアの発光のように他の必須
成分を必要としない非常に単純な発光系であり、微量分
析法への利用が期待される。
しかしながら、一般にルシフェリンは化学的に合成す
ることによって大量に得ることができるが、ルシフェラ
ーゼは酵素であるため化学合成ができず、大量に得るこ
とは困難である。ウミホタルのルシフェラーゼの場合も
同様で、充分に純化されたルシフェラーゼは得られてお
らず、海洋汚染の進行でウミホタル自身の採集量が激減
したことと相まって、量的な供給が保証されていない。
それ故に、遺伝子組換え技術を利用した該酵素の大量生
産法の確立が期待されてきた。
本発明は、高度に純化されたルシフェラーゼの化学合
成法、もしくは遺伝子組換え法による合成を可能ならし
め、高純度の該蛋白質を大量に得るために、該蛋白質を
特定する遺伝子配列を得、クローニングされた遺伝子配
列を動物細胞、酵母、大腸菌等で発現することを可能に
し、それらの細胞を用いて、高純度の該酵素を大量に得
ることを目的とする。
発明の開示 本発明は第1図のアミノ酸配列を有するルシフェラー
ゼ、及びそれをコードする遺伝子、該遺伝子を含んでな
る新規組換え体ベクターDNA、及び該ベクターDNAにより
宿主細胞を形質転換してなる形質転換体、及び該形質転
換体を用いたルシフェラーゼの生産方法である。
図面の簡単な説明 第1a図、第1b図、第1c図、第1d図は、ウミホタル由来
のルシフェラーゼのcDNAの塩基配列及びアミノ酸配列を
示す。各列の上段は、アミノ酸配列を示す。各列の下段
はcDNAの塩基配列を示す 第2図は、ウミホタル由来のルシフェラーゼをコード
するcDNAを含む組換え体プラスミドpCL07の作製法と、
その制限酵素地図を示す。
第3図は、動物細胞におけるウミホタル由来のルシフ
ェラーゼの発現ベクターpSVLCL5の作製法を示したもの
である。
第4a図は、酵母におけるウミホタル由来のルシフェラ
ーゼの発現ベクターpMFE3A、pMFE3B、pMFE3C、pMFE3Dの
制限酵素地図、第4b図は、各々の発現ベクターにおける
αフェロモン遺伝子/ルシフェラーゼcDNAの接続部位近
傍の塩基配列、及びアミノ酸配列を示したものである。
第5図は、酵母におけるウミホタル由来のルシフェラ
ーゼの発現ベクターpGL1の作製方法を示したものであ
る。
第6図は、大腸菌におけるウミホタル由来のルシフェ
ラーゼの発現ベクターpMT−CLP、pMT−CLS、pMT−CLTの
作製方法を示したものである。
発明を実施するための最良の形態 本発明のルシフェラーゼは、第1図に示される1番目
から555番目までの555個のアミノ酸配列からなる蛋白
質、または、第1図に示されるアミノ酸配列のうち、29
番目のアミノ酸であるプロリンから始まる527個のアミ
ノ酸配列からなる蛋白質、30番目のアミノ酸であるセリ
ンから始まる526個のアミノ酸配列からなる蛋白質、31
番目のアミノ酸であるセリンから始まる525個のアミノ
酸配列からなる蛋白質、もしくは32番目のスレオニンか
ら始まる524個のアミノ酸配列からなる蛋白質である。
さらに、本発明のルシフェラーゼは前記ルシフェラーゼ
と実質的に同等のルシフェラーゼ活性が保持されている
ならば、前記アミノ酸配列の置換、欠失、挿入等から構
成される蛋白質、すなわちルシフェラーゼ同効物も本発
明に含まれる。
本発明の遺伝子は、上記ルシフェラーゼをコードする
遺伝子であって、第1図の下段にDNA塩基配列で示した
ものであるが、実質的に同等のルシフェラーゼ活性が保
持されているならば、当該分野において周知技術の部位
特異的変異誘発法による塩基配列の置換、欠失、挿入な
どを施された塩基配列も本発明に含まれる。
本発明のルシフェラーゼをコードする遺伝子を得る方
法を説明する。まず、ウミホタルをグアニジンチオシア
ネート中で破砕した破砕液から全RNAを抽出し、オリゴ
(dT)セルロースカラムクロマトグラフィーによりポリ
A+RNAを精製する。このポリA+RNAを出発材料としてcDNA
を合成後、λgt10にクローニングしてcDNAライブラリー
を作製する。
一方、ウミホタルより精製したルシフェラーゼ蛋白質
のN末端近傍のアミノ酸配列、及びリジルエンドペプチ
ダーゼ分解によって得られたオリゴペプチドのアミノ酸
配列を決定し、それらに対応するヌクレオチド配列を有
する数種類のオリゴヌクレオチドを化学合成し、上述の
cDNAライブラリーのスクリーニングのためのプローブと
して用いる。
プラークハイブリダイゼーション法によりこれらのプ
ローブがハイブリッドを形成する組換え体の有する挿入
遺伝子の塩基配列の解析を行い、ルシフェラーゼ蛋白質
のアミノ酸配列と一致すれば、ルシフェラーゼ・タンパ
クをコードする遺伝子の一部であると同定できる。
さらに、本発明は動物細胞、酵母、大腸菌に代表され
る宿主細胞中で各々発現可能なプロモーターの下流に各
々上記DNAを連結してなる組換えベクターDNA、そのベク
ターDNAにより宿主細胞を形質転換してなる形質転換
体、及びそれらの形質転換体を用いたルシフェラーゼの
生産方法を提供するものである。
具体的には、上述のようにして得られたウミホタル由
来のルシフェラーゼをコードするcDNAを、動物細胞、酵
母、大腸菌中において各々安定に保持され、かつそれら
の細胞中において発現可能なプロモーターを持つベクタ
ーDNAに連結し、本発明の組換え体ベクターDNAが得られ
る。
ここで、プロモーターとは、RNA合成酵素が認識結合
してRNA合成を開始するための信号であり、その下流に
位置するDNA配列がmRNAに転写される。したがつて、ウ
ミホタル由来のルシフェラーゼをコードする遺伝子がmR
NAに転写されるためには、各々の細胞中で機能するプロ
モーターの下流に、ウミホタル由来のルシフェラーゼを
コードする遺伝子が位置する必要がある。
すなわち、ベクターDNAに含まれるプロモーターの下
流の適当な位置にその認識配列の存在する適当な制限酵
素によりベクターDNAを切断し、上記のルシフェラーゼ
をコードする遺伝子を含むDNAを連結、挿入したものが
用いられる。
ここで使用するプロモーターは、各々の宿主細胞中で
機能するものなら何でも良く、例えば動物細胞において
は動物細胞遺伝子もしくは動物ウイルス遺伝子のプロモ
ーター等があげられる。より具体的には、SV40の後期プ
ロモーター、チミジンキナーゼ遺伝子のプロモーター、
SV40の初期プロモーター、サイトメガロウイルス遺伝子
のプロモーター等があげられる。酵母においては、酵母
遺伝子のプロモーター等が用いられる。例えば、酵母の
抑制性酸性フォスファターゼ遺伝子(PHO5)、ガラクト
ース代謝酵素遺伝子(GAL1)、αフェロモン遺伝子(MF
α1)のプロモーター等が用いられる。大腸菌において
は、大腸菌遺伝子、ファージ遺伝子のプロモーター等が
用いられる。例えば、大腸菌ラクトース分解酵素の遺伝
子(1ac)のプロモーター、trpオペロンに由来するプロ
モーター、λファージのPLプロモーター等があげられ
る。また、合成tacプロモーターなども使用できる。
本発明で用いるベクターDNAは、各々の細胞中で安定
に保持され、その細胞中で機能するプロモーターを持つ
ものなら何でも良い。例えば、動物細胞では、プラスミ
ドベクター、ウイルスベクター等があげられるが、より
具体的には、pSV2[SV40の初期プロモーターを持つ:J.M
ol.Appl.Genet.USA、1、327(1982)]、pSVL(SV40の
後期プロモーターを持つ:ファルマシア社製)、等があ
げられる。酵母においては、pMFα8[αフェロモン遺
伝子(MFα1)のプロモーターを持つ:Gene、3、155
(1985)]、pAM85[抑制性酸性フォスファターゼ遺伝
子(PHO5)のプロモーターを持つ:Proc.Natl.Acad.Sci.
USA、80、1(1983)]等があげられる。大腸菌におい
ては、pMT−1[trp オペロンのプロモーターを持つ発
現ベクターpKM6(特開昭61−247387号)由来]、pUC18/
pUC19[Gene、33、103(1985)]等があげられる。
宿主細胞において機能する蛋白質分泌のためのシグナ
ル配列をコードする塩基配列の下流に、ルシフェラーゼ
をコードするcDNAをつなぐことで、ルシフェラーゼを細
胞外に生産させることができる。このシグナル配列に特
に制限はなく、動物細胞においては、例えば、インター
ロイキン−2(IL−2)のシグナル配列等があげられ
る。酵母においては、αフェロモンのシグナル配列等が
あげられる。大腸菌の場合は、β−ラクタマーゼのシグ
ナル配列等があげられる。細胞内に生産させる場合は、
シグナル配列を連結する必要はない。
宿主細胞として大腸菌を用い、細胞内にルシフェラー
ゼを生産させる場合には、発現させたい遺伝子がコード
される領域の5′末端にメチオニンをコードする塩基配
列である“ATG"を付加し、大腸菌中で機能するプロモー
ター及びSD配列の下流に連結する必要がある。ここでい
うSD配列とは、リボソームがmRNA上の同配列を認識、結
合して、その下流にある“ATG"よりタンパク合成を開始
するための信号である。また、メチオニンを付加するの
は、分泌タンパクをコードしている真核生物の遺伝子の
多くは、分泌のためのシグナル配列の下流に本来のタン
パクをコードしており、まずシグナル配列を含む形でポ
リペプチドの前駆体を合成し、このタンパクが分泌され
る過程でシグナル配列が切断除去されるため、最終的に
生産されるタンパクのN末端にはタンパク合成の開始信
号として必須であるメチオニンの信号が付いていない場
合が多いためである。また、ウミホタルより精製した天
然型のルシフェラーゼがセリン及びスレオニンの2種類
のN末端を持つタンパクの混合物であること、また、多
くの真核生物ではシグナル配列はアラニン−X−アラニ
ン配列の次で切断され、ウミホタル・ルシフェラーゼの
塩基配列より予想されるアミノ酸配列中にアラニン−グ
ルタミン酸−アラニン−プロリンという配列が存在する
ことから、本発明のベクターはN末端領域に関して、メ
チオニンの下流にプロリン、セリン、またはスレオニン
から始まるペプチドをコードする3種類の発現ベクター
が用いられる。
前記各々の組換え体ベクターDNAにより動物細胞、酵
母、大腸菌に代表される宿主細胞を各々形質転換した形
質転換体とは、前記組換え体ベクターDNAを各々の宿主
細胞に導入することによって得られる。
本発明で使用される動物細胞としては特に制限はな
く、例えば、COS−1細胞(アフリカミドリザル腎臓由
来SV40形質転換細胞)、CHO細胞(チャイニーズハムス
ター卵巣由来)等があげられ、好ましくはCOS−1細胞
が用いられる。本発明において使用される酵母としては
特に制限はなく、例えば、Saccharomyces cerevisiae、
Shizosaccharomyces pombe、Pichia pastoris等があげ
られる。本発明において使用される大腸菌に特に制限は
なく、例えば、HB101、JM109等があげられる。
組換え体ベクターDNAを宿主細胞中に導入する方法に
特に制限はないが、例えば、宿主細胞が動物細胞の場合
は、DEAE−デキストラン法[Mol.Cell.Biol.、5、1188
(1985)]、カルシウム−リン酸共沈法[Cell、14、72
5(1978)]、電気穿孔法[EMBO J.、1、841(198
2)]等があげられる。中でも、DEAE−デキストラン法
が好ましく用いられる。宿主細胞が酵母の場合は、プロ
トプラスト法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、75、1929(19
78)]が好ましく用いられる。また、宿主細胞が大腸菌
の場合は、好ましくは塩化カルシウム法[J.Mol.Bio
l.、53、154(1970)]が用いられる。
このようにして組換え体ベクターDNAを動物細胞、酵
母、大腸菌に代表される宿主細胞中に各々導入すること
により、ウミホタル由来のルシフェラーゼをコードする
遺伝子を含むDNAをベクターDANに挿入した新規な組換え
体ベクターDNA、さらにルシフェラーゼ生産能を有する
形質転換体を得ることができる。
上記形質転換体を各々培地に培養し、培養物よりルシ
フェラーゼを得ることができる。培地としては、各々の
培養に用いられるものであれば何でも良く、例えば、動
物細胞の場合はダルベッコ変法イーグル培地等があげら
れ、酵母ではYEPD培地(20g/l トリプトン/10g/l 酵
母エキス/20g/ml グルコース)等があげられ、大腸菌
ではL培地(10g/l トリプトン/5g/l 酵母エキス/10g
/l 塩化ナトリウム)等があげられる。
培養温度は各々の細胞が生育できる温度であれば何度
でも良いが、例えば15〜45℃が好ましく、さらに好まし
くは動物細胞、大腸菌では25〜40℃、より好ましくは30
〜37℃である。酵母では15〜40℃、より好ましくは20〜
30℃である。培養時間にも特に制限はないが、通常1〜
10日間、好ましくは動物細胞、酵母では3〜7日間、大
腸菌では1〜3日間である。
プロモーターがその発現に適当な誘導を必要とする場
合、例えば、動物細胞におけるメタロチオネイン遺伝子
のプロモーター、酵母における抑制性酸性フォスファタ
ーゼ遺伝子のプロモーター、大腸菌におけるtrp プロ
モーター等を用いる場合では適当な誘導物質を加える、
適当な物質を除く、培養温度を変化させる、紫外線等を
照射する等、各々のプロモーターに応じた手段により、
培養中にプロモーターの発現に誘導をかけることができ
る。具体的には、大腸菌においてtrp プロモーターを
使用した場合、trp オペロンの誘導物質であるIAA(イ
ンドールアクリル酸)を培地に添加することにより、プ
ロモーターの発現を誘導できる。
この際に、非誘導条件下で産生される微量のタンパク
の存在が細胞の増殖等に悪影響を与える場合には、非誘
導下ではプロモーターの発現をできるだけ抑制しておく
ことが好ましい。例えば、非誘導下では完全に発現の抑
制されるプロモーターを用いる、プロモーターの抑制遺
伝子と組み合わせる等があげられる。具体的には例え
ば、trp プロモーターの場合、trp オペロンの抑制遺
伝子を同一プラスミド上に持つ組換えプラスミドを用い
ることが好ましい。この抑制方法としては、トリプトフ
ァン リプレッサー遺伝子(trpR)[Nucleic Acids
Res.、8、1552(1980)]が用いられる。これらとは別
に、前述のように、生産されるタンパクを細胞外に分泌
させる方法を用いることも可能である。
培養物は、適当な方法、例えば遠心分離等により培養
上清と細胞とに分け、その培養上清もしくは細胞抽出液
中のルシフェラーゼ活性をルミノメーター等を用いて検
出する。この培養上清もしくは細胞抽出液はそのままで
も粗酵素液として使用可能であるが、必要により、例え
ばF.I.Tsujiの方法[Methods in Enzymol.、57、364
(1978)]記載の方法により精製して、純化されたルシ
フェラーゼを得ることができる。
実 施 例 以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例1 cDNAライブラリーの作製 千葉県館山湾内で採集後、凍結保存したウミホタル5g
を6M グアニジン チオシアネート/5mM クエン酸ナト
リウム(pH7.0)/0.5% ザルコシン酸ナトリウム溶液7
5mlに懸濁し、ポリトロンホモジナイザー(キネマティ
カ社製)で破砕した。塩化リチウム溶液(アマシャム社
製キット)を加え、塩化リチウム共沈法によって約600
μgのRNAを得た。このうち300μgのRNAをオリゴ(d
T)セルローカラム(コラボレイティブ リサーチ社
製)クロマトグラフィーによって精製し、約15μgのポ
リ(A)+RNAを得た。このうち2μgからcDNA合成キッ
ト(ライフ テクノロジーズ社製)を用いて1μgの2
本鎖DNAを得た。このうちの0.15μgをEcoR I メチラ
ーゼで処理してEcoR I切断部位を保護し、T4 DNA リ
ガーゼを用いてEcoR I リンカーを結合した。さらに、
EcoR Iで処理し、両末端をEcoR I切断部位に変換した。
このDNAをT4 DNA リガーゼを使ってλgt10のEcoR I部
位に挿入した後、in vitro パッケージングによりフ
ァージ パーティクル中に導入した。これを大腸菌NM51
4に形質導入し、1×106PFUのcDNAライブラリーを得
た。
実施例2 オリゴヌクレオチド・プローブの作製 F.I.Tsujiの方法[Methods in Enzymol.、57、364
(1978)]で精製したウミホタル・ルシフェラーゼ100
μgを凍結乾燥した後、100μlの8M 尿素/0.1M トリ
ス塩酸(pH7.6)/0.14M 2−メルカプトエタノールに
溶解して、37℃で3時間保温して−SH基をピリジルエチ
ル化した。これに200μlの0.11M トリス塩酸(pH9.
0)、1μlの2−メチルメルカプトエタノール、1μ
lの2μg/μl リジルエンドペプチダーゼ(和光純薬
社製)を加えて、37℃で1時間消化した。これをVYDAC
218 TP54(C18)(VYDAC社製)のHPLCにかけ、オリ
ゴペプチドを分離した。得られたオリゴペプチドのうち
13個について、アミノ酸シークエンサー470A(アプライ
ド バイオシステムズ社製)を用いてN末端のアミノ酸
配列を解析したところ、以下の13個のアミノ酸配列を得
た。
次に上記の13種のアミノ酸配列のうち下記の5種に対
するオリゴヌクレオチドをDNA合成装置(アプライド
バイオシステムズ社製)を用いて作製した。なお塩基配
列中のIは、デオキシイノシンを示す。
以上の5種のオリゴヌクレオチド各々1μgを、10μ
lの50mM トリス塩酸(pH7.6)/10mM 塩化マグネシウ
ム/5mM ジチオスレイトール/1mM スペルミジン/100mM
塩化カリウム に溶解し、5μlの[γ−32P]ATP
(3000Ci/mmol;アマシャム社製)、85μlの蒸留水、2
μlのT4 ポリヌクレオチド キナーゼ(宝酒造社製)
を添加して、37℃で1時間反応して32P標識した。
実施例3 プラークハイブリダイゼーション法によるcDNAライブラ
リーのスクリーニング 実施例1で作製したcDNAライブラリーを用いて、50枚
の寒天プレートに1枚当たり約1万個のプラークを出現
させた。このプラークをナイロン・メンブレンに移し取
り、0.5M 水酸化ナトリウム/1.5M 塩化ナトリウム溶
液中でDNAを変性させた後、0.5Mトリス塩酸(pH7.0)/
1.5M 塩化ナトリウム溶液中で中和した。このメンブラ
ンを80℃で2時間保温して、ファージDNAをメンブラン
上に固定した後、50mMリン酸ナトリウム(pH7.4)/0.75
M 塩化ナトリウム/5×デンハルト溶液(0.1% 牛血清
アルブミン/0.1% フィコール/0.1% ポリビニルピロ
リドン)/5mM EDTA/0.1% SDS/100μg/ml 変性サケ
精子DNA溶液中で45℃で2時間保温してプレハイブリダ
イゼーションを行った。
次に、新たな同溶液中にメンブランを移し、5μCi/m
lとなるように実施例2で標識したオリゴヌクレオチド
プローブVを添加して、45℃で一夜保温してハイブリダ
イゼーションを行った。約16時間後、6×SSC[90mM
クエン酸ナトリウム(pH7.0)/0.9M塩化ナトリウム]/
0.1% SDSを用いて室温下で30分間ずつ2回、次に45℃
で30分間ずつ2回メンブランの洗浄を行った。このメン
ブランを風乾した後、X−OMATTMARフィルム(コダック
社製)を用いて、−70℃、48時間オートラジオグラフィ
ーを行った。
フィルムを現像し、32個の陽性クローンを得た。寒天
プレート上のこれらの陽性クローンよりファージを増殖
させ、ファージDNAを精製した。DNAは−20℃で保存し
た。
実施例4 ルシフェラーゼ蛋白質と遺伝子の1次構造の比較 実施例3で得られた32個の陽性クローンのうち、最大
の約1900塩基対の挿入断片を含むクローンλCL07より挿
入断片を制限酵素EcoR Iで切り出し、プラスミドpUC18
にサブクローニングし、組換え体プラスミドpCL07を作
製した(第2図)。この1,9kbのEcoR I断片の塩基配列
の決定は、通常のジデオキシ法を用いて行った。決定さ
れた塩基配列を第1図に示す。
得られた遺伝子の情報と、実施例2で得られた蛋白質
の情報とを比較することにより、第1表に示すように蛋
白質と遺伝子の1次構造を対応させることができた。そ
の結果、第1図に示すようにウミホタル由来のルシフェ
ラーゼの遺伝子の塩基配列が特定され、また該蛋白質の
アミノ酸配列を規定することができた。
実施例5 SV40後期プロモーターを有する発現ベクターpSVLへのル
シフェラーゼcDNAの挿入 実施例4で得られたウミホタル由来のルシフェラーゼ
をコードする前記の1.9kbのEcoR I断片1μgに各々1.5
mMのdATP,dTTP,dCTP及びdGTPの存在下に、5ユニットの
大腸菌DNA ポリメラーゼ I ラージ フラグメント
(宝酒造社製)を作用させ、末端を修復した。また、ベ
クターのpSVL(SV40後期プロモーターを持つ発現ベクタ
ー:ファルマシア社製)は、制限酵素Sma Iにより分解
した。
ついで末端を修復した1.9kb断片(0.3μg)とpSVLの
Sma I分解物(0.1μg)とをT4 DNA リガーゼによっ
て結合し、その反応液を用いて大腸菌HB101コンピテン
ト細胞(宝酒造社製)の形質転換を行い、この1.9kb断
片の組み込まれた組換え体プラスミドを得、pSVLCL5と
命名した(第3図)。
実施例6 COS−1細胞によるウミホタル由来のルシフェラーゼの
生産 実施例5において作製した発現ベクターpSVLCL5(10
μg)を、COS−1細胞にDEAE−デキストラン法[Mol.C
ell.Biol.、5、1188(1985)]を用いて導入した。ま
た、コントロールとしてpSVL(10μg)を同様にしてCO
S−1細胞に導入した。
これらの細胞を25cm2の培養フラスコ中で、10% 牛
胎児血清を含むダルベッコ変法イーグル培地(日水製薬
社製)10mlを用いて5% CO2の存在下、37℃で5日間
培養した。培養途中及び培養終了後、培養液1mlを採取
し、3,000rpm、10分間、4℃で遠心して、その上清を集
め、培養上清とした。
また、培養終了後、細胞はトリプシン処理によって培
養フラスコからはがした後、1mlのPBS(−)(日水製薬
社製)で洗浄し、3,000rpm、10分間、4℃で遠心し上清
を捨てた。これをさらに2回繰り返し、200μlのPBS
(−)に懸濁した。凍結融解を3回繰り返し、細胞抽出
液とした。
実施例7 動物細胞により生産されたルシフェラーゼの活性測定 実施例6に示した培養上清中のルシフェラーゼ活性の
測定は、下記の方法によって行い、その結果を第2表に
示した。すなわち、30μlの培養上清に270μlの測定
用緩衝液[100mM リン酸ナトリウム(pH7.0)/200mM
塩化ナトリウム]を混合した。2μlの33μM ウミホ
タル・ルシフェリンを混合し、発生するフォトン数を直
ちにルミノメーター(Lumac L2010)を用いて30秒間計
測した。発光強度は1秒当たりの平均フォトン数として
示した。コントロールとしてpSVLを導入したCOS−1細
胞の培養上清についても同様にして発生するフォトン数
を計測した。
実施例6に示した細胞抽出液中のルシフェラーゼ活性
は、下記に記載した方法により行い、その結果も第2表
に示した。すなわち実施例6で作製した細胞画分の10μ
lを290μlの上記測定用緩衝液と混合し、さらに2μ
lの33μMウミホタル・ルシフェリンを混合し、培養上
清の場合と同様にしてルシフェラーゼ活性を測定した。
実施例8 酵母発現ベクター用オリゴヌクレオチドの合成とアニー
リング (1)ウミホタルより精製した天然型のルシフェラー
ゼが、第1図に示したアミノ酸配列の第31番目のアミノ
酸であるセリンと第32番目のアミノ酸であるスレオニン
のN末端を持つ2種類のペプチドの混合物であること、
(2)cDNAより推定されるルシフェラーゼのアミノ酸配
列のN末端に、タンパクの分泌のためのシグナル配列の
特徴を持つアミノ酸配列が存在すること、(3)多くの
真核生物ではシグナル配列はアラニン−X−アラニン配
列の次で切断されるが、ウミホタルのルシフェラーゼに
おいてもアラニン−グルタミン酸−アラニン−プロリン
の配列が存在すること等の理由により、第1図に示した
ウミホタル由来のルシフェラーゼのアミノ酸配列中の第
29番目のアミノ酸であるプロリン(YP型)、第30番目の
アミノ酸であるセリン(YN型)、第31番目のアミノ酸で
あるセリン(YS型)、第32番目のアミノ酸であるスレオ
ニン(YT型)から始まるルシフェラーゼ・タンパクを作
製し、酵母のαフェロモンのシグナル配列の下流に連結
するために、以下の10本のオリゴヌクレオチドを合成し
た。
YP−1 5′−CCTTCAAGTACTCCA−3′ YP−2 5′−CTGTTGGAGTACTTGAAGG−3′ YS−1 5′−AGTACACCA−3′ YS−2 5′−CTGTTGGTGTACT−3′ YT−1 5′−ACTCCA−3′ YT−2 5′−CTGTTGGAGT−3′ YN−1 5′−TCGTCGACACCA−3′ YN−2 5′−CTGTTGGTGTCGACGA−3′ U−1 5′−ACAGTCCCAACATCTTGTGAAGCTAAAGAAGGAGAA
TGTAT−3′ U−2 5′−CGATACATTCTCCTTCTTTAGCTTCACAAGATGTTG
GGA−3′ 合成オリゴヌクレオチドYP−2、YS−2、YT−2、YN
−2、U−2の5本については、5′末端をT4 DNA
キナーゼによってリン酸化した。すなわち、各オリゴヌ
クレオチド300pmolを各々20μlの反応液[50mM トリ
ス塩酸(pH7.6)/10mM 塩化マグネシウム/0.1mM スペ
ルミジン/5mM ジチオスレイトール/0.1mM EDTA]中で
T4 DNA キナーゼ(宝酒造社製)10ユニットを用い
て、37℃で1時間反応させ、70℃で5分間加熱した後、
−20℃で保存した。
各オリゴヌクレオチドのアニーリングは次のように行
った。YP型ではYP−1、リン酸化したYP−2、U−1、
及びリン酸化したU−2を、YS型にはYS−1、リン酸化
したYS−2、U−1、及びリン酸化したU−2を、YT型
にはYT−1、リン酸化したYT−2、U−1、及びリン酸
化したU−2を、YN型にはYN−1、リン酸化したYN−
2、U−1、及びリン酸化したU−2を、各々50pmolず
つ混合し、70℃で5分間加熱後、インキュベーターの電
源を切り42℃になるまで放置した。
実施例9 酵母αフェロモン遺伝子のプロモーターを有する発現ベ
クターpMFα8へのルシフェラーゼcDNAの挿入 ウミホタル・ルシフェラーゼcDNA中に存在する制限酵
素Cla I切断部位に実施例8に示した合成オリゴマーを
組み込み、5′末端にStu I部位を持ち、N末端28、2
9、30、31個のアミノ酸を削ったルシフェラーゼcDNAを
作製した。
酵母の発現ベクターpMFα8[Gene、3、155(198
5):ATCC 37418]は、αフェロモン遺伝子のリーダー
配列をコードする領域の直後を制限酵素Stu Iで切断
し、上述のルシフェラーゼcDNAを挿入した。作製した発
現ベクターは、各々pMEF3A(YP型)、pMEF3B(YS型)、
pMEF3C(YT型)、pMEF3D(YN型)と命名した(第4a
図)。
作製した各々の発現ベクターのαフェロモン遺伝子/
ルシフェラーゼcDNAの接続部位近傍の塩基配列は、ルシ
フェラーゼcDNA内の配列である5′−TATAAATGGTCCAAGG
A−3′をプライマーとして、通常のジデオキシ法によ
って、正しく挿入されていることを確認した。pMFE3A、
pMFE3B、pMFE3C、及びpMFE3Dにおけるαフェロモン遺伝
子/ルシフェラーゼcDNAの接続部位近傍の塩基配列、及
びアミノ酸配列は第4b図に示した。
実施例10 酵母GAL1遺伝子のプロモーターを有する発現ベクターp1
03へのルシフェラーゼcDNAの挿入 実施例3で得たλCL07より、1.3kb、0.6kbの2つのEc
oR I断片を各々プラスミドpUC18にサブクローニング
し、プラスミドpCL0712、pCL0742を作製した。pCL07
(1μg)、及びpCL0712(1μg)をHind IIIとBgl I
Iで切断し、pCL07よりルシフェラーゼのN末端を含むDN
A断片を、pCL0712よりルシフェラーゼのC末端を含むDN
A断片を精製した。この2断片をプラスミドpSPT18(ベ
ーリンガー マンハイム社製)のHind III部位にサブク
ローニングし、得られた組換え体プラスミドをpSTCL81
と命名した。
次に、このpSTCL81(1μg)をBamH Iで切断し、ク
ローニングした全cDNA配列をBamH I断片として回収し
た。
一方、酵母のGALlプロモーターを持つ発現ベクターp1
03[Saccharomyces cerevisiaeのGALlプロモーター{Mo
l.Cell.Biol.、4、1440(1984)}の下流に、BamH I切
断部位を含むポリリンカーを持つ:大阪大学・原島 俊
助教授より供与された]約0.1μgをBamH Iで切断
し、T4 DNA リガーゼを用いて前記のcDNA断片約0.1μ
gと連結し、GALlプロモーターの下流にルシフェラーゼ
cDNAの挿入された発現ベクターpGL1を作製した(第5
図)。
実施例11 酵母によるウミホタル由来のルシフェラーゼの生産 実施例9において作製した発現ベクターpMFE3A、pMFE
3B、pMFE3C、pMFE3D各々10μgをプロトプラスト法[Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA、75、1929(1978)]によって酵
母Saccharomyces cerevisiae20B−12株[Gene、37,155
(1985)]株に導入した。
これらの形質転換体を1lの培養フラスコ中で100mlのY
EPD培地を用いて30℃で3日間培養した。培養途中及び
培養終了後、培養液5mlを採取し、4℃、10分間、3,000
rpmで遠心して、その上清を集め培養上清とした。
また培養液1ml分の菌体は5mlの滅菌蒸留水で洗浄後、
1mlの50mM リン酸ナトリウム(pH7.5)/0.1% Triton
X−100に懸濁した。1mlのガラス・ビーズ(直径0.45m
m)懸濁液を加え、0℃で、時々ミキサーで激しく撹拌
しながら5分間放置した。軽く遠心してガラス・ビーズ
を分離し、上清はさらに1.5mlのエッペンドルフ チュ
ーブに移し、5分間、15,000rpmで遠心した。この上清
を菌体抽出液とした。
実施例12 酵母によるウミホタル由来のルシフェラーゼの生産 実施例10で作製した発現ベクターpGL1(10μg)は、
実施例11と同様にプロトプラスト法によって酵母Saccha
romyces cerevisiae YSH2676株((a)ura3−52 Jeu2
−3 Jeu2−112 trpl pho3 pho5 hisl−29)株に導入し
た。
この形質転換体を1lの培養フラスコ中で100mlの培地
(1% 酵母エキス/2% ペプトン/2% ガラクトー
ス)を用いて30℃で2日間培養した。培養途中及び培養
終了後、培養液5mlを3,000rpm、10分間、4℃で遠心し
て、その上清を集め、培養上清とした。
また、菌体抽出液も実施例11と同様にして調製した。
実施例13 酵母により生産されたルシフェラーゼの活性測定 実施例11に示した培養上清中のルシフェラーゼ活性の
測定は、実施例7に記載した動物細胞の培養上清のルシ
フェラーゼ活性の測定と同様にして行い、その結果を第
3表に示した。コントロールとして、pMFα8を導入し
たS.cerevisiae 20B−12株の培養上清についても同様に
して発生するフォトン数を計測した。
実施例11に示した酵母細胞中のルシフェラーゼ活性
は、下記に記載した方法により行い、その結果も第3表
に示した。すなわち、実施例11で作製した細胞抽出液10
μlを290μlの上記測定用緩衝液と混合し、さらに2
μlの33μM ウミホタル・ルシフェリンを混合し、培
養上清の場合と同様にしてルシフェラーゼ活性を測定し
た。
実施例14 酵母により生産されたルシフェラーゼの活性測定 実施例12に示した培養上清中のルシフェラーゼ活性の
測定は、実施例7に記載した動物細胞の培養上清のルシ
フェラーゼ活性の測定と同様にして行い、その結果を第
4表に示した。コントロールとして、p103を導入したS,
cerevisiae YSH2676株の培養上清についても同様にして
発生するフォトン数を計測した。
実施例12に示した酵母細胞中のルシフェラーゼ活性
は、実施例13と同様にして行い、その結果を第4表に示
した。
実施例15 大腸菌発現ベクター用オリゴヌクレオチドの合成とアニ
ーリング 大腸菌トリプトファン合成遺伝子(trp)オペロンの
プロモーターとSD配列の下流にメチオニン−プロリン
(EP型)、メチオニン−セリン(ES型)、メチオニン−
スレオニン(ET型)で開始される該ルシフェラーゼの発
現ベクターを作製するために、以下の6本のオリゴヌク
レオチドを合成した。
EP−1 5′−CGATGCCGTCAAGTACACCA−3′ EP−2 5′−CTGTTGGTGTACTTGACGGCAT−3′ ES−1 5′−CGATGAGTACACCA−3′ ES−2 5′−CTGTTGGTGTACTCAT−3′ ET−1 5′−CGATGACACCA−3′ ET−2 5′−CTGTTGGTGTCAT−3′ 合成オリゴヌクレオチドEP−2、ES−2、ET−2、及
び実施例8のU−2の各々300pmolは、実施例8と同様
にしてN末端をT4 DNA キナーゼを用いてリン酸化
し、−20℃で保存した。
各オリゴヌクレオチドは、EP型ではEP−1、リン酸化
したEP−2、U−1、及びリン酸化したU−2を、ES型
にはES−1、リン酸化したES−2、U−1、及びリン酸
化したU−2を、ET型にはET−1、リン酸化したET−
2、U−1、及びリン酸化したU−2を各々50pmolずつ
混合し、実施例8と同様にしてアニーリングした。
実施例16 大腸菌trp プロモーターを有する発現ベクターpMT1へ
のルシフェラーゼcDNAの挿入 大腸菌トリプトファン オペロン(trp)のプロモー
ター及びSD配列を持つ発現ベクターpMT−1[pKM6(特
開昭61−247387号)由来]は、制限酵素Sma I、Cla Iと
Pvu IIで切断した。
一方、実施例3で作製した発現ベクターpCL07をSma I
とCla Iで切断し、Cla Iより下流のルシフェラーゼcDNA
を含むDNA断片をアガロースゲル電気泳動法により分
離、精製した。
pMT−1の切断断片とpCL07の精製断片の各々0.1μg
をT4 DNA リガーゼ(宝酒造社製)を用いて連結し、
再び制限酵素Sma Iで切断した後、市販の大腸菌HB101コ
ンピテント細胞(宝酒造社製)を形質転換し、プラスミ
ドpMT−CL07を作製した。このプラスミドは、trp プロ
モーター/SD配列の下流にCla I部位より下流のルシフェ
ラーゼcDNAを持つ。
このpMT−CL07を制限酵素Cla Iで切断し、その0.1μ
gと実施例15で作製した合成DNAの5μlとをT4 DNA
リガーゼで連結し、trp プロモーター/SD配列の下流
に、メチオニン−プロリン(EP型)、メチオニン−セリ
ン(ES型)、メチオニン−スレオニン(ET型)で開始さ
れる該ルシフェラーゼ遺伝子を持つ発現ベクターを作製
した。作製したプラスミドは各々、pMT−CLP、pMT−CL
S、及びpMT−CLTと命名した。
作製した各々の発現ベクターのSD配列/ルシフェラー
ゼの接続部位近傍の塩基配列は、ルシフェラーゼcDNA内
の配列である5′−TATAAATGGTCCAAGGA−3′をプライ
マーとして、通常のジデオキシ法によって、正しく挿入
されていることを確認した。
pMT−CLP、pMT−CLS、pMT−CLTの制限酵素地図と確認
した塩基配列を第6図に示す。
実施例17 大腸菌によるウミホタル由来のルシフェラーゼの生産 実施例16で作製した発現ベクターを用いて大腸菌HB10
1株を形質転換し、得られた形質転換体を5mlのL培地
(アンピシリン:100mg/lを含む)で1晩、37℃で静置培
養した。翌日培養液の1mlを採取し、50mlの合成培地
[2×M9−カザミノ酸培地(6g/l リン酸二水素カリウ
ム/12g/l リン酸水素二ナトリウム/10g/l カザミノ酸
/10g/l 塩化ナトリウム/1g/l 塩化アンモニウム/)/
1mg/l 塩酸チアミン/250mg/l 硫酸マグネシウム/1%
グルコース/100mg/l アンピシリン]に懸濁し、25℃
で1晩振盪培養した。翌朝、培養液にIAA(最終濃度20m
g/l)とグルコース(最終濃度1%)を加え、12.5%の
アンモニア水でpHを7.5に調整して、25℃で3時間培養
を続けた。3時間後、IAA、グルコース、アンモニア水
を同様にして加え、さらに3時間培養を続けた。培養終
了後、培養液8mlを遠心して集菌し、菌体を0.5mlのTE緩
衝液[10mMトリス塩酸(pH 8.0)/1mM EDTA]に懸濁し
た。42℃の温水とドライアイス・アセトン液を用いて凍
結融解を3回繰り返して溶菌後、10分間、10,000rpmで
遠心し、その遠心上清を粗酵素液とした。
実施例18 大腸菌により生産されたルシフェラーゼの活性測定 実施例17で作製した粗酵素液中のルシフェラーゼ活性
の測定は、下記に記載した方法によって行い、その結果
を第5表に示した。すなわち、150μlの粗酵素液に150
μlの前記測定用緩衝液、2μlの33μM ウミホタル
・ルシフェリンを混合し、発生するフォトン数を30秒間
計測し、その結果を第5表に示した。コントロールとし
てpMT−CLR(合成DNAが逆方向に挿入されたプラスミ
ド)を導入した大腸菌HB101についても同様にして発生
するフォトン数を計測した。
産業上の利用可能性 ウミホタル由来のルシフェラーゼは非常に発光強度の
強い発光系であり、抗体分子を本酵素と結合させてEIA
(酵素抗体アッセイ法)に、また、DNA/RNA分子と本酵
素とを結合させてDNAプローブ法に利用するなど、各種
検査法への利用が期待できる。
本発明によって、ウミホタル由来のルシフェラーゼを
コードするcDNAの1次構造が特定され、同時に該ルシフ
ェラーゼの1次構造が明らかになった。さらに、本発明
にあるルシフェラーゼの発現ベクターを持つ動物細胞、
酵母、大腸菌の大量培養により、該ルシフェラーゼを安
定的に生産させる方法が開かれ、該ルシフェラーゼを安
価で大量に得ることができるようになるものと期待され
る。
また、プロテイン・エンジニアリングの手法を用い
て、該ルシフェラーゼの安定性の増加、発光量子収率の
改善、発光条件の改善、発光波長の変更等を行う方法が
開かれた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 9/02 C12R 1:19) (C12N 9/02 C12R 1:91) (C12N 9/02 C12R 1:865) (C12N 1/19 C12R 1:865) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記に示されるアミノ酸配列の1番目から
    555番目に至るアミノ酸またはその配列のアミノ酸の1
    または数個が置換、欠失、挿入されたアミノ酸からなる
    ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペ
    プチド。
  2. 【請求項2】請求項1記載のアミノ酸配列の29番目から
    555番目に至るアミノ酸またはその配列のアミノ酸の1
    または数個が置換、欠失、挿入されたアミノ酸からなる
    ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペ
    プチド。
  3. 【請求項3】請求項1記載のアミノ酸配列の30番目から
    555番目に至るアミノ酸またはその配列のアミノ酸の1
    または数個が置換、欠失、挿入されたアミノ酸からなる
    ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペ
    プチド。
  4. 【請求項4】請求項1記載のアミノ酸配列の31番目から
    555番目に至るアミノ酸またはその配列のアミノ酸の1
    または数個が置換、欠失、挿入されたアミノ酸からなる
    ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペ
    プチド。
  5. 【請求項5】請求項1記載のアミノ酸配列の32番目から
    555番目に至るアミノ酸またはその配列のアミノ酸の1
    または数個が置換、欠失、挿入されたアミノ酸からなる
    ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペ
    プチド。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1〜5項記載のルシフェラー
    ゼまたはルシフェラーゼ活性を持つポリペプチドをコー
    ドする遺伝子。
  7. 【請求項7】ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ活性
    を持つポリペプチドをコードする遺伝子が下記の塩基配
    列である請求の範囲第6項記載の遺伝子。
  8. 【請求項8】宿主細胞中で発現可能なプロモーターの下
    流に請求の範囲第6項記載の遺伝子を連結してなる組換
    え体ベクターDNA。
  9. 【請求項9】大腸菌中で発現可能なプロモーター及びSD
    配列の下流に請求の範囲第6項記載の遺伝子を連結して
    なる組換え体ベクターDNA。
  10. 【請求項10】請求の範囲第8または9項記載のベクタ
    ーDNAにより宿主細胞を形質転換して得られる形質転換
    体。
  11. 【請求項11】宿主細胞が動物細胞、酵母及び大腸菌か
    らなる群から選ばれた1種である請求の範囲第10項記載
    の形質転換体。
  12. 【請求項12】請求の範囲第10または11項記載の形質転
    換体を培養することを特徴とするルシフェラーゼまたは
    ルシフェラーゼ活性をもつポリペプチドの生産方法。
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