JP2600116B2 - 超塑性窒化ケイ素焼結体とその製造方法 - Google Patents

超塑性窒化ケイ素焼結体とその製造方法

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JP2600116B2
JP2600116B2 JP6300247A JP30024794A JP2600116B2 JP 2600116 B2 JP2600116 B2 JP 2600116B2 JP 6300247 A JP6300247 A JP 6300247A JP 30024794 A JP30024794 A JP 30024794A JP 2600116 B2 JP2600116 B2 JP 2600116B2
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護 三友
聡之 西村
秀樹 広津留
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科学技術庁無機材質研究所長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超塑性窒化ケイ素焼
結体とその製造法並びに超塑性加工された窒化ケイ素焼
結体に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、半導体製造装置や、化学プラント、非鉄金属製造機
械、溶接ロボット等の分野において有用なセラミックス
製機械部品等を、塑性加工によって製造することのでき
る新しい窒化ケイ素焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは低温および高温で高強
度、高硬度等の他の材料には見られない優れた性質を持
ち、特に窒化ケイ素セラミックスは過酷な条件下で使用
する機械部品として実用化が進展しており、部品の価格
さえ下がれば応用可能な分野はさらに拡大するものと期
待されている。だが一方、セラミックスには、部品を製
造する際に加工が困難であるという問題がある。金属材
料の場合には圧延や鋳造による成形や切削による加工が
容易であり、加工コストも低いが、セラミックスでは切
削が不可能であり、研削や研磨にはダイヤモンド製の工
具が必要で加工コストが極めて高く、場合によっては部
品価格の半分以上にもなるという制約がある。
【0003】このように、その加工性に問題のあるセラ
ミックスの加工コストを下げるには、部品を製造した時
点で最終形状に近づけ、加工量を最小にする必要があ
る。そこで、この目的を実現するために超塑性を利用し
て目的形状とするニアネットシェイプ成形の研究が行わ
れてきている。この場合の超塑性とは、超微細な粒子か
ら成る金属やセラミックス(ジルコニア、ムライト、ア
ッパタイト)が、高温において外部応力下で容易に塑性
変形する現象であって、この現象を利用すると簡単な形
状の材料から複雑形状の部品が容易に製造できることに
なる。従って、セラミックスでも金属と同様な手段で最
終部品まで加工することが可能で、加工コストを下げる
ことができるものと期待される。実際にも酸化物セラミ
ックスでは実用に近い材料が開発されてもいる。
【0004】しかしながら、窒化ケイ素では焼結に高温
が必要であり、従来市販されている原料では細かく均一
な粒子からなる焼結体は得られなかった。そこで、改善
策として、炭化ケイ素粒子を分散して窒化ケイ素の粒成
長を抑制し、微細粒子からなる焼結体を製造する方法が
提案されている。この方法により得られる複合焼結体は
応力が200〜500kg/cm2 、1650℃の温度
で、10-5/secのオーダーの歪速度を示している。
しかしながら、変形速度が小さすぎ、加工に長時間かか
るため実用的ではない。また、高温が必要なため加工中
に表面が熱分解するという問題がある。
【0005】また、窒化ケイ素の固溶体であるα−サイ
アロンとβ−サイアロンの2相の粒子からなる複合サイ
アロン焼結体がJ. Am. Ceram. Soc.76巻、1073ペ
ージ(1992)に報告されている。α−サイアロンと
β−サイアロンはそれぞれα型とβ型窒化ケイ素に異な
る金属が固溶して構造を安定化したものである。この複
合焼結体は1550℃で600kg/cm2 の圧縮応力
化下で、7×10-4/secの歪速度を示し、いずれの
焼結体も少なくとも2相の結晶質固体を持つという特徴
がある。また、共に低温安定型のαを主成分とする窒化
ケイ素粉末を原料とし、粒成長を抑制するために低温で
焼結させている。
【0006】しかしながら、この場合には、焼結の進行
と共に粒子のかなりの部分はβ型に相転移し、その際一
部の粒子が異常成長する。このため均一な組織が得られ
ず、超塑性加工中に粒成長が起こる。そして、加工の進
行とともに歪速度が低下する加工硬化が起こる。これら
の理由で実用レベルの超塑性焼結体はいまだに得られて
いなかった。
【0007】このような問題点を解決するために、この
発明の発明者等は先に高温安定型のβ型窒化ケイ素粉末
を原料とし、均一で超微細なβ型窒化ケイ素からなる焼
結体を開発した。この窒化ケイ素焼結体は、細かく均一
な粒子からなるので、超塑性加工の加工性に関する問題
を解決することができる。しかしながら、この焼結体は
微細で均一である組織の特徴を反映して、強度は高くと
も破壊靱性が低いという欠点があり、このため衝撃や疲
労によって亀裂が成長し、容易に破壊してしまうという
問題があった。つまり、加工性の問題は解決できたが、
そのために得られた部品の機械的性質は従来材料より低
いものとなってしまった。
【0008】このように超塑性を持つ焼結体は本質的に
低靱性であり、そのままでは実用レベルの機械的性質が
達成できないため、応用範囲は限定されたものとならざ
るを得ないという問題点がある。この発明は、以上の通
りの事情に鑑みてなされたものであって、従来の超塑性
セラミックスの問題点を解消し、超塑性加工が可能であ
って、優れた機械的性質を有する新しい超塑性窒化ケイ
素焼結体とその製造法、並びに超塑性加工により得られ
る窒化ケイ素焼結体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、85体積%以上98体積%以下
のβ型窒化ケイ素粒子と2体積%以上15体積%以下の
粒界相から構成される相対密度が95%以上である窒化
ケイ素焼結体であって、窒化ケイ素粒子が平均粒径0.
3ミクロン以下のマトリックス粒子93重量%以上9
9.5重量%以下と、マトリックス粒子の平均粒径の2
倍以上7倍以下の平均粒径を持つ核粒子が0.5重量%
以上7重量%以下から構成されることを特徴とする超塑
性窒化ケイ素焼結体(請求項1、2、3)を提供する。
【0010】そしてまた、この発明は、上記焼結体の製
造法として、平均粒径が0.35ミクロン以下、比表面
積が20m2 /g以上であり、かつβ率が85%以上で
あるマトリックス用窒化ケイ素微粉末79.1重量%以
上97.5重量%以下に、平均粒径がマトリックス用粉
末の平均粒径の2倍以上7倍以下である核粒子用粉末
0.4重量%以上6.9重量%以下、および希土類元素
酸化物またはAl2 3、MgO、CaO並びにSiO
2 の少くとも1種を2重量%以上15重量%以下を焼結
助剤として添加、混合し、N2 雰囲気下に1500℃以
上1850℃以下の温度、100〜1000kg/cm
2 以下の圧力でホットプレスすることを特徴とする方法
(請求項4)をも提供する。
【0011】さらにこの発明は、上記の超塑性焼結体か
ら超塑性加工と加熱処理によって得られる窒化ケイ素焼
結体(請求項5、6)をも提供する。
【0012】
【作用】すなわち、さらに詳しくこの発明をその背景か
ら説明すると、まず周知の通り、超塑性を加工に利用す
る技術は最初に金属材料について開発された。しかし、
超塑性加工しただけの材料では粒子が小さいままなので
強度やクリープ抵抗が低く、実用的ではない。そこで、
金属では超微細な組織を持つ材料を作製し、まず超塑性
加工を施し、その後、再結晶温度(加工温度より高い)
より高い温度で熱処理し、材料の構成相および組織を変
えて機械的性質を改善する。ところが、セラミックス材
料では単純に熱処理しただけでは機械的性質はよくはな
らない。
【0013】そこで、細かく均一粒度の粉末にその粒度
分布外の大きな粒子を少量添加して焼結し、均一組織の
焼結体に粒成長のための核を添加する。細かく均一な組
織からなる窒化ケイ素焼結体に粒成長の核としてそれよ
り大きなβ型粒子を添加し、高温で熱処理すると核が優
先的に成長する。このためウィスカー強化窒化ケイ素焼
結体と同様な複合組織が発現し、高靱性セラミックスが
得られる。このような核の添加とそれを利用した組織制
御による高靱性化、高強度化、高信頼性化についてはす
でにこの発明の発明者らが提案しているものである。従
って、核を含む焼結体を超塑性加工後、加工温度より高
い温度で熱処理すると、核が優先的に成長し大きな柱状
粒子となる。柱状粒子の大きさと形は添加した核粒子の
大きさ、量、焼結助剤の種類と量、焼結温度等に依存す
る。一般には物質が核に集中して拡散するため、成長速
度が細かいマトリックス粒子より大きくなり、柱状に異
方成長する。このような方法で細かく均一で球状に近い
マトリックス粒子の間に大きな柱状粒子が分散した複合
組織が得られ、破壊靱性の大きな焼結体となる。そこ
で、超塑性焼結体を製造するに際し、超塑性を損なわな
い量と大きさの核粒子を導入すれば、熱処理により最終
的に高靱性・高強度の焼結体が得られるはずである。
【0014】この発明は、以上の通りの知見に基づいて
完成されたものである。すなわち、上記の通り、この発
明では、平均粒径が0.35ミクロン以下、比表面積が
20m2 /g以上でありかつβ率が85%以上であるマ
トリックス用窒化ケイ素微粉末79.1重量%以上9
7.5重量%以下に平均粒径がマトリックス用粉末の2
倍以上7倍以下である核粒子用粉末0.4重量%以上
6.9重量%以下および、希土類元素酸化物またはAl
2 3 、MgO、CaO、SiO2 の単独または2種以
上を2重量%以上15重量%以下焼結助剤として添加
し、混合後、窒素雰囲気中で1500℃以上1850℃
以下の温度、100〜1000kg/cm2 の圧力でホ
ットプレスする製造法により、85体積%以上98体積
%以下の窒化ケイ素粒子と2体積%以上15体積%以下
の粒界相から構成される相対密度が95%以上である窒
化ケイ素焼結体であり、窒化ケイ素粒子が平均粒径0.
3ミクロン以下かつ最大粒径が平均粒径の2倍を越えな
いマトリックス粒子93重量%以上99.5重量%以下
と平均粒径がマトリックスの平均粒径の2倍以上7倍以
下である核粒子が0.5重量%以上7重量%以下から構
成される超塑性窒化ケイ素焼結体を得る。
【0015】そして、この超塑性焼結体を、50〜20
00kg/cm2 の圧縮または引っ張りの応力下で、1
350〜1650℃の温度範囲内で、10-4/sec以
上の歪速度で超塑性加工後、1〜100気圧の窒素中、
1650〜2000℃に加熱して粒子を成長させ、マト
リックスが平均粒径0.5ミクロン以下であり、核から
柱状に成長した粒子の平均粒径が1ミクロン以上5ミク
ロン以下でその量が全窒化ケイ素粒子の5重量%以上5
5重量%以下であり破壊靱性が4.5MPa・m1/2
上である焼結体を得る。超塑性焼結体の製造 この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体の製造法においてマ
トリックス用原料粉末を平均粒径0.35ミクロン以下
かつ比表面積が20m2 /g以上としたのは、均一かつ
微細である必要からである。この条件をはずれる平均粒
径0.35ミクロンを超えるもの、あるいは比表面積が
20m2 /g以下、またはその両方が成り立つ粉末では
粒成長のための核が存在し、加熱中に異常成長する。望
ましくは、平均粒径0.1〜0.2ミクロン、かつ比表
面積25〜35m2 /gである。また、α率が高い粉末
は上記のような均一で微細な粉末であっても、焼結中に
α→βの相転移が起こり、この過程で一部の粒子が異常
粒成長を起こし、均一組織は得られない。そこで、上記
の条件の他にβ率が85%以上である必要がある。この
粉末に粒成長の核となるβ型粉末を全窒化ケイ素の量の
0.5重量%以上7重量%以下添加する。この粉末の平
均粒径はマトリックス用粉末の値の2倍以上7倍以下と
する。平均粒径が2倍より小さいとマトリックス粉末の
粒度分布とかなりの部分が重なり、粒成長の核としての
効果が十分でない。また、7倍を越えると成長粒子が大
きくなり、焼結体の強度が低下する。望ましくは2倍以
上7倍以下かつ0.4ミクロン以上1.0ミクロン以上
である。また核の添加量が0.5重量%より少ないと添
加効果が十分でなく、7重量%を越えると超塑性加工が
困難となる。望ましくは1.0〜3.0重量%の範囲で
ある。
【0016】上記の窒化ケイ素の混合粉末85重量%以
上98重量%以下には、希土類元素酸化物またはAl2
3 、MgO、CaO、SiO2 の単独または2種以上
を2重量%以上15重量%以下の量を焼結助剤として添
加し、焼結する。焼結助剤は焼結温度で液相を生成し、
粒界における拡散を促進する。粒成長を抑制して焼結体
を得るには、低温および短時間の焼結で高密度化する必
要がある。そこで、低温で液相を生成する助剤系が望ま
しい。そのためには上記焼結助剤を2〜15重量%添加
する。2重量%より少ないと焼結促進の効果が不足で、
高密度焼結体は得られない。15重量%より多いと焼結
は容易であるが、焼結体の機械的性質は低下する。焼結
は窒素雰囲気下で行うが、1500℃より低いと粒界拡
散速度が低く焼結が不十分であり、1850℃を越える
と粒成長が起こり微細の組織は得られない。1500℃
以上1750℃以下の温度が望ましい。低温で焼結を完
結するには、100〜1000kg/cm2 の圧力をか
ける必要がある。この範囲より低い圧力では加圧効果が
なく、上限を越えると装置が高価となる。超塑性窒化ケイ素焼結体 超塑性窒化ケイ素焼結体は85体積%以上98体積%以
下の窒化ケイ素粒子と2体積%以上15体積%以下の粒
界相から構成される相対密度が95%以上である窒化ケ
イ素焼結体である。これは上記原料および焼結助剤を使
用すると、この範囲内となる。窒化ケイ素焼結体が超塑
性を持ち、かつその後の熱処理で粒成長する核を含む必
要から、窒化ケイ素粒子は平均粒径が0.3ミクロン以
下かつ最大粒径がその2倍を越えない範囲のマトリック
スと、マトリックスの平均粒径の2倍以上7倍以下の平
均粒径を持つ核から構成する。マトリックス粒子が上記
範囲にあるのは、超塑性加工中および熱処理中に異常粒
成長を起こさないためである。この範囲外ではマトリッ
クスからも顕著な粒成長が起こり、組織の制御は困難と
なる。粒成長のための核粒子は超塑性の点からは可能な
かぎり少なく、小さいことがのぞましい。そうでない
と、塑性加工が困難となる。一方、熱処理工程での粒成
長の点からは、多量で大きい必要がある。そうでないと
核としての作用を示さない。そこで、マトリックスの平
均粒径の2倍以上7倍以下である核粒子が0.5重量%
以上7重量%以下添加する必要がある。
【0017】なお、窒化ケイ素焼結体の粒径を測定する
には、試料を切断・研磨後CF4 ガスのマイクロ波プラ
ズマで処理し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察す
る。この処理で窒化ケイ素粒子が除去され、粒界の酸化
物系ガラスが在留するので、粒子の形状は容易に観察で
きる。SEM写真から500個以上の粒子を用いて、画
像処理法で粒子の直径、長さ、面積を算出する。粒子の
直径は研磨面の粒子の最も短い直径である。平均粒径
(D50)とは、測定した多数の直径の個数平均である。超塑性加工と熱処理 塑性加工は一般的に50〜2000kg/cm2 の圧縮
または引っ張りの応力下で行う。10-4/sec以上の
歪速度であれば、セラミックスとしては十分な加工速度
である。1350〜1650℃の温度範囲内であれば、
この発明の組成および組織の焼結体は上記条件下におい
て、超塑性加工が可能である。1650℃より高温であ
れば、加工速度は高くなるが粒成長が顕著になると共
に、表面からの熱分解が起こる。1350℃より低い温
度では極めて高い加工圧が必要となり、実用的でない。
加工後、1〜100気圧の窒素中、1650〜2000
℃に加熱して粒子を柱状に成長させる。特に、核を選択
的に成長させることが重要である。それより低温では核
が成長せず、高温では粒成長が早すぎて組織制御が困難
となる。適当な温度範囲内では、低温ほど長時間処理す
る必要がある。望ましい熱処理温度は1700〜185
0℃であり、1700℃では3〜20時間、180℃で
は1〜5時間が適当である。窒化ケイ素は高温で熱分解
することと熱処理中に焼結助剤が雰囲気中に失われるの
を防ぐ目的で、加圧窒素下での熱処理が有効である。1
700℃では最高10気圧、1800℃では最高20気
圧程度でよい。さらに高圧も有効であるが、装置が高価
となるので実際上は最高でも100気圧で十分である。
熱処理によってマトリックスも粒成長するが、平均粒径
0.5ミクロン以下に抑える必要がある。これは0.5
ミクロンを越える粒子は異常成長の核となる可能性が高
いためである。核から柱状に成長した粒子の平均粒径は
1ミクロン以上5ミクロン以下でその量が全窒化ケイ素
粒子の5重量%以上55重量%以下とするのは、その範
囲であれば強化材としても作用を持ち、また粒子の大き
さの制御も可能だからである。1ミクロンより小さく、
または5重量%以下の量であれば、強化材としての作用
が十分でない。5ミクロン以上、または55重量%以上
であれば大きな粒子が接触し、機械的特性がバラツク問
題点がある。このように熱処理により粒成長を制御すれ
ば、核が選択的かつ均一に分布して成長する。このため
超塑性焼結体の破壊靱性が熱処理前の均一組織(2.5
〜3.5MPa・m1/2 )から不均一組織の値(4.5
MPa・m1/2 以上)に向上する。
【0018】以上の通り、発明によると粒成長のための
核を含有する超塑性窒化ケイ素焼結体を作製し、加工後
の熱処理によって核を成長させ高靱性の焼結体とするこ
とができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例と比較例を挙げてさらに具体的
に本発明を説明する。実施例1〜3 市販されているβ型微粉末(電気化学製、SN−P21
FC)から沈降法および遠心分級により微粉と粗粉を分
離した。微粉はマトリックス用粉末であり平均粒径0.
25ミクロン、比表面積23.7m2 /g、β率93%
であった。粗粉(核用粉末)は平均粒径0.76ミクロ
ン、比表面積2.4m2 /g、β率96%であった。こ
れらの粉末と焼結助剤を表1の割合に秤量した。その粉
末をヘキサンを溶媒として分散し、窒化ケイ素製の遊星
型ボールミルで2時間混合した。混合物を乾燥後、約
2.5gを秤量し、直径10mmのBN粉末を塗布した
黒鉛型に充填した。この粉末に200kg/cm2 の圧
力を加え、窒素雰囲気中で30℃/minで表1に示す
所定温度まで昇温し、保持せずに電源を切って冷却し
た。
【0020】試料の寸法と重量から密度を測定した。相
対密度はそれぞれの原料の寄与の総和を理論密度として
算定した。焼結体を切断、研磨しCF4 ガスを用いたプ
ラズマエッチングを行った。この処理で窒化ケイ素粒子
は薄く除去され、粒界のガラス相は残留する。この試料
を走査型顕微鏡で見ると、粒界がきれいに識別されるの
で、組織が容易に観察できる。その写真から画像解析に
より、約1000個の粒子の粒径と面積を測定した。粒
径の分布においてマトリックスと核の山は分離されてい
るので、容易に識別できる。その結果を表1に示した。
焼結中に粒子は成長しているが、マトリックスおよび核
の平均粒径は原料粉末の値より小さいことが示されてい
る。これは原料の平均粒径が粒度分布曲線の50%体積
に相当する粒度とするのに対し、焼結体の中では個数平
均を採用しているためである。
【0021】
【表1】 得られた焼結体に表2に示す条件で圧縮による超塑性加
工を行った。この加工物を窒素中で表2の条件で熱処理
した。熱処理後の焼結体の組織評価は原料焼結体と同じ
方法で行った。表3には核から成長した柱状粒子の体積
含有率(%)も示してある。試料は1ミクロンのダイヤ
モンド砥粒で研磨し、JIS R1607の圧子圧入法
で破壊靱性を決定した。ヴィッカース圧子の荷重は20
kgとした。比較のために加工前の焼結体の破壊靱性の
値も示してある。なお、超塑性後の焼結体の組織と破壊
靱性値は加工前とほぼ同じであった。この結果、粒成長
のための核を含有する焼結体を超塑性加工後熱処理する
方法により、高靱性である窒化ケイ素焼結体を製造する
ことができた。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】 比較例1 実施例に用いたβ型微粉末(マトリックス用)を実施例
1と同じ条件で1750℃まで加熱し、冷却して予備焼
結体を作製した。焼結体の組織は細かく均一であり、破
壊靱性は2.4MPa・m1/2 であった。これを300
kg/cm2 の圧縮応力下、1550℃で加工すると変
形速度が32×10-4/secで超塑性変形した。この
材料を10気圧の窒素中、1750℃で1時間加熱する
と粒度が均一であるが少し柱状に粒成長した組織が得ら
れた。ただし、1ミクロン以上に成長した粒子が観察さ
れなかった。この焼結体の破壊靱性は3.9MPa・m
1/ 2 と低く、熱処理の効果は十分でなかった。比較例2 市販されている高純度α型微粉末(宇部興産製、E−1
0)を実施例1と同じ条件で1750℃まで加熱し、冷
却して予備焼結体を作製した。組織は細かく均一な平均
粒径0.25ミクロンのマトリックスと平均粒径0.7
4ミクロンの核から構成されている。核は原料のα型の
一部がβ型に相転移した際に形成された。この焼結体は
比較例1と同じ条件で圧縮試験すると7.8×10-5
secと変形速度が小さく、超塑性加工には適当でなか
った。
【0024】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明した通
り、超塑性加工により高塑性の焼結体とすることのでき
る超塑性窒化ケイ素焼結体が提供される。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 85体積%以上98体積%以下のβ型窒
    化ケイ素粒子と2体積%以上15体積%以下の粒界相か
    ら構成される相対密度が95%以上である窒化ケイ素焼
    結体であって、窒化ケイ素粒子が平均粒径0.3ミクロ
    ン以下のマトリックス粒子93重量%以上99.5重量
    %以下とマトリックス粒子の平均粒径の2倍以上7倍以
    下の平均粒径を持つ核粒子が0.5重量%以上7重量%
    以下から構成されることを特徴とする超塑性窒化ケイ素
    焼結体。
  2. 【請求項2】 窒化ケイ素粒子が平均粒径が0.3ミク
    ロン以下かつ最大粒径が平均粒径の2倍を越えないマト
    リックス粒子とこのマトリックス粒子の平均粒径の2倍
    以上7倍以下でありかつ平均粒径が0.4ミクロン以上
    1.0ミクロン以下である請求項1記載の超塑性窒化ケ
    イ素焼結体。
  3. 【請求項3】 50〜2000kg/cm2 の圧縮また
    は引っ張りの応力下で、1350〜1650℃の温度範
    囲内で、10-4/sec以上の歪速度で変形する請求項
    1記載の超塑性窒化ケイ素焼結体。
  4. 【請求項4】 平均粒径が0.35ミクロン以下、比表
    面積が20m2 /g以上でありかつβ率が85%以上で
    あるマトリックス用窒化ケイ素微粉末79.1重量%以
    上97.5重量%以下に、平均粒径がマトリックス用粉
    末の平均粒径の2倍以上7倍以下である核粒子用粉末
    0.4重量%以上6.9重量%以下および希土類元素酸
    化物またはAl2 3 、MgO、CaO並びにSiO2
    の単独または2種以上を2重量%以上15重量%以下を
    焼結助剤として添加・混合後、窒素雰囲気中で1500
    ℃以上1850℃以下の温度、100〜1000kg/
    cm2 の圧力下でホットプレスすることを特徴とする請
    求項1、2および3記載の超塑性窒化ケイ素焼結体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 マトリックス粒子が平均粒径0.5ミク
    ロン以下であり、核から柱状に成長した粒子の平均粒径
    が1ミクロン以上5ミクロン以下でその量が全窒化ケイ
    素粒子の5重量%以上55重量%以下であり、破壊靱性
    が4.5MPa・m1/2 以上であることを特徴とする窒
    化ケイ素焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項1、2または3の超塑性窒化ケイ
    素焼結体を、50〜2000kg/cm2 の圧縮または
    引っ張り応力下で、1350〜1650℃の温度範囲内
    で、10-4/sec以上の歪速度で加工変形させ、次い
    で、1〜100気圧の窒素中、1650〜2000℃に
    加熱処理することを特徴とする請求項5の窒化ケイ素焼
    結体の製造法。
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