JP2598747B2 - 射出成形機の射出速度設定方法 - Google Patents

射出成形機の射出速度設定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金型データの不明な金型
を使用する場合等に用いて好適な射出成形機の射出速度
設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、射出成形機に使用する金型には
金型データが判明している場合と不明な場合がある。例
えば、製品を製造する際、金型設計を含む全ての製作工
程を社内に有している場合には、金型図面や模型等から
キャビティ容量等の金型データを知ることができる。し
かし、製造部門のみを有する製造会社等では、成形依託
を受けた際に、金型のみを渡される場合もあり、この場
合には金型データが不明であることも少なくない。
【0003】ところで、成形条件として射出速度の大き
さを設定する場合、キャビティ容量等の金型データが判
明していれば、計量値等を含む成形条件を考慮して、あ
る程度の暫定的な初期条件を設定して成形できるが、金
型データが不明の場合には当該初期条件の設定が容易で
ない。このため、従来は、熟練したオペレータが金型の
キャビティ等を目視し、勘や経験に基づいて射出速度
(初期条件)を設定するとともに、最初は少なめの計量
値を設定して成形を行い、成形された成形品の充填状態
を見ながら徐々に計量値を大きくしつつ、成形を繰り返
すことにより、射出速度の大きさを試行錯誤的に設定し
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の手法では熟練したオペレータの勘や経験に頼らざるを
得ないため、設定作業を行うオペレータにかなり熟練度
が要求され、設定を行うことができるオペレータが限ら
れてしまう。また、熟練したオペレータでも設定作業が
容易でないため、設定時間の長時間化、生産性低下及び
製造コスト上昇を招くとともに、無駄な資源及びエネル
ギの消費を伴う問題点があった。
【0005】本発明はこのような従来の技術に存在する
課題を解決したものであり、熟練度の低いオペレータで
あっても射出速度を容易かつ確実に設定でき、設定時間
の大幅短縮、生産性向上、製造コスト低減及び資源やエ
ネルギの節減を図ることができる射出成形機の射出速度
設定方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る射出成形機
の射出速度設定方法は、初期条件として、少なくとも射
出圧力を低圧側の一圧値Pd、望ましくは、さらに、射
出速度を高速側の一速値Vhに、スクリュの射出開始位
置を最後退位置Xbにそれぞれ設定した所定の成形条件
により成形を行うとともに、成形した成形品の充填不良
に対応して射出圧力を大きくし、かつ良品を得たときの
スクリュの射出ストロークSiとこの射出ストロークS
iの期間における変化する射出速度Vから平均した射出
速度Vaを求め、得られた射出速度Vaを成形条件とし
て設定することを特徴とする。
【0007】この場合、成形した成形品の充填不良の度
合に対応して射出圧力の大きさを予め設定した変更量だ
け変更し、変更した射出圧力により再成形する再成形サ
イクルを、良品を得るまで繰り返すことが望ましい。ま
た、射出ストロークSiは、良品を得たときの射出速度
V(又は射出圧力P)が予め設定した設定速度Vs以下
(又は設定圧力Ps以上)になったとき、具体的には、
射出速度V(又は射出圧力P)が設定速度Vs以下(又
は設定圧力Ps以上)になった後、予め設定した設定時
間Tsを経過したときのスクリュの射出終了位置Xfを
検出し、検出した射出終了位置Xfと最後退位置Xbの
差から求めることができる。
【0008】
【作用】本発明に係る射出速度設定方法によれば、例え
ば、金型データの不明な金型を使用する射出成形機の射
出速度を設定するに際し、最初に、初期条件として一定
の成形条件、即ち、少なくとも射出圧力を低圧側の一圧
値Pdに、さらに、射出速度を高速側の一速値Vhに、
スクリュの射出開始位置を最後退位置Xbにそれぞれ設
定して成形が行われる。
【0009】また、成形した成形品の充填不良に対応し
て、良品を得るまで射出圧力を大きくする。具体的に
は、成形品の充填不良の度合に対応して射出圧力の大き
さを予め設定した変更量だけ変更し、変更した射出圧力
により再成形する再成形サイクルを、良品を得るまで繰
り返す。そして、良品を得たときの射出速度Vを監視す
るとともに、射出ストロークSiを求め、求めた射出ス
トロークSiとこの射出ストロークSiの期間における
変化する射出速度Vから平均した射出速度Vaを求め
る。
【0010】射出速度は初期条件により、高速側の一速
値Vhに設定されているが、実際の成形時における射出
速度Vはこれよりもはるかに小さくなるため、平均した
射出速度Vaを求める。この場合、平均した射出速度V
aは一定の短時間置きにサンプリングした射出速度V…
を、サンプリング回数で割る等により求めることができ
る。そして、得られた射出速度Vaが成形条件として設
定される。
【0011】なお、射出ストロークSiは、例えば、良
品を得たときの射出速度Vが予め設定した設定速度Vs
以下になった後、予め設定した設定時間Tsを経過した
ときのスクリュの射出終了位置Xfを検出し、検出した
射出終了位置Xfと最後退位置Xbの差から求めること
ができる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図
面に基づき詳細に説明する。
【0013】まず、本発明に係る射出速度設定方法を実
施できる射出成形機1の概略構成について、図8を参照
して説明する。
【0014】射出成形機1は機台3を備え、この機台3
の上面一側には射出装置4を備えるとともに、上面他側
には安全カバー6で覆われた金型データの不明な金型5
を備える。この場合、金型5は図に現れない型締装置に
より支持されるとともに、射出装置4は進退移動装置7
により進退移動する。射出装置4は先端に射出ノズル9
を、後部にホッパー10をそれぞれ有する加熱筒8を備
え、この加熱筒8にはスクリュを内蔵する。他方、加熱
筒8の後端にはスクリュを回転及び進退移動させるスク
リュ駆動装置11を備える。スクリュ駆動装置11とし
てはサーボモータを利用した電動駆動式、油圧回路を利
用した油圧駆動式が知られている。
【0015】一方、図8中、12は前記機台3に内蔵
し、かつ射出成形機1全体の制御を司るコントローラで
ある。また、13は機台3の側面パネル3pに取付けた
入力装置(キーボード)であり、コントローラ12に接
続する。入力装置13とコントローラ12は各種条件を
設定する設定機能を備えるとともに、特に、本発明に従
って、成形品の充填不良の度合に対する複数のランクと
各ランクに対応して充填不良を無くする方向に射出圧力
の大きさを変更する複数の変更量を設定する機能を備え
る。このため、入力装置13には、充填不良の種類及び
各充填不良の度合に対するランクを選択できる選択キー
K1、K2、K3を設けるとともに、コントローラ12
には充填不良を無くする方向に射出圧力を変更するため
の各ランクに対応した複数の変更量を設定する。さら
に、コントローラ12には選択したランクに対応する変
更量により成形条件を変更する制御機能及び良品を成形
したときの成形条件の大きさを用いて成形条件を設定す
る機能を備える。
【0016】この場合、成形品の充填不良の度合に対す
る複数のランクと各ランクに対応して充填不良を無くす
る方向に射出圧力の大きさを変更する複数の変更量は、
次のように設定される。
【0017】例えば、充填不良がショートショットの場
合には、図6に示すように、ショートショットの度合を
「大」、「中」、「小」の三段階にランク分けし、
「大」のときは圧力変更率(変更量)を「+20%」、
「中」のときは圧力変更率を「+10%」、「小」のと
きは圧力変更率を「+5%」にそれぞれ設定する。な
お、ランクは「大」、「中」、「小」としたが勿論数値
化してもよい。また、変更量として圧力変更率を用いた
が、この理由は、通常、射出圧力は最高圧力に対する比
率で設定されるためである。よって、例えば、ショート
ショットの度合として「大」を選択したなら、圧力変更
率「+20%」が選択され、設定されている射出圧力の
比率に20%が加算される。このように、変更量は絶対
量又は比率で設定してもよいし、射出圧力の対して加減
算又は乗除算により変更してもよい。
【0018】また、同様に、過充填の場合には、図7に
示すように、過充填の度合を「小」、「中」、「大」の
三段階にランク分けし、「小」のときは圧力変更率を
「−2%」、「中」のときは圧力変更率を「−5%」、
「大」のときは圧力変更率を「−10%」にそれぞれ設
定する。このように、いずれの場合も圧力変更率は充填
不良の度合の大きいランクに対応して大きくなるように
設定する。
【0019】他方、14はスクリュ位置検出器であり、
例えば、電動駆動式の場合にはサーボモータの回転数を
検出するロータリエンコーダ、油圧駆動式の場合にはス
クリュ位置を直接検出するリニアスケール等を利用でき
る。スクリュ位置検出器14は直接コントローラ12に
接続するとともに、速度変換器15を介してコントロー
ラ12に接続する。速度変換器15はスクリュ位置検出
器14からの位置信号を微分してスクリュの速度信号に
変換する機能を備える。
【0020】また、16は射出圧力検出器であり、例え
ば、電動駆動式の場合にはスクリュの後端の背圧を検出
するロードセル、油圧駆動式の場合には油圧シリンダの
油圧を検出する油圧センサ等を利用できる。なお、17
は側面パネル3pに取付けたディスプレイであり、各種
表示を行うとともに、前記入力装置13の補助装置とし
て用いられる。また、コントローラ12は光通信方式
(無線方式)等によりシステムコンピュータ18に接続
する。
【0021】次に、本発明に係る射出速度設定方法を含
む成形条件の全体的な設定手順について、図1〜図8を
参照して説明する。
【0022】図3には成形条件(射出速度)の設定手順
をフローチャートで示す。成形条件の設定に際しては、
入力装置13、さらにディスプレイ17を利用して、成
形材料、仕様スクリュ等に関する既知データを入力す
る。コントローラ12には材料特性、成形機性能仕様、
基本成形条件等に関するデータベースが格納されてお
り、コントローラ12は入力した既知データと格納され
ているデータベースによって温度に関する成形条件、ス
クリュの最大ストローク等の基本的な成形条件を求めて
コントローラ12に設定する。なお、温度に関する成形
条件、即ち、加熱筒温度及び金型温度は成形材料の種類
に基づいて自動設定される。
【0023】一方、入力装置13における選択キーKs
を押すことにより初期条件設定モードを選択し、初期条
件の設定を行う(ステップ21、22)。初期条件の設
定は図4に示すフローチャートに従って行う。
【0024】まず、射出条件として、射出速度を高速側
の一速値Vhに設定する(ステップ41)。この場合、
高速側の一速値Vhとは使用する射出成形機における設
定レンジの中間点よりも高速側であり、望ましくは最大
速度に対して90%以上の値を選定する。また、スクリ
ュの射出開始位置を最後退位置Xbに設定する(ステッ
プ42)。この場合、最後退位置Xbとは完全な後端を
意味するものではなく、金型5の容積に対して十分な樹
脂を計量可能な任意の後方位置を含む概念である。さら
にまた、射出圧力は低圧側の一圧値Pdに設定する(ス
テップ43)。この場合、低圧側の一圧値Pdとは使用
する射出成形機における設定レンジの中間点よりも低圧
側であり、望ましくは最大圧力に対して30%以下の値
に選定する。以上の設定の他、初期条件の設定では保圧
切換位置、背圧、冷却時間、スクリュ回転速度等の各種
成形条件を設定する(ステップ44)。
【0025】また、スクリュの射出終了位置Xfを検出
するための設定速度Vsと設定時間Tsを設定する。設
定速度Vsは金型5に対する樹脂の充填終了を検出する
ための射出速度Vに対するしきい値であり、ほぼ停止状
態に近い数m/秒程度を設定できる。設定時間Tsは設
定速度Vs以下になった後、より確実な充填を確保する
ための時間であり、例えば、数秒程度に設定できる。
【0026】次に、背圧をオフ(零)にし、無背圧で計
量を行う(ステップ23)。この際、スクリュは最後退
位置Xbまで後退する。そして、半自動成形モードを選
択することにより、射出装置4(射出ノズル9)が前進
する(ステップ24、25)。一方、ノズルタッチによ
り射出が開始する。即ち、設定された初期条件によりス
クリュが前進し、金型5に樹脂が射出充填される(ステ
ップ26)。この際、コントローラ12は速度変換器1
5から得る充填時の射出速度Vを監視する。射出速度V
は金型5に樹脂が充填途中であれば、設定速度Vsより
もはるかに大きくなり、樹脂の充填が終了すれば、急速
に低下して設定速度Vs以下になる。したがって、射出
速度Vを監視し、射出速度Vが設定速度Vs以下になっ
た時に、設定時間Tsを計時する(ステップ27、2
8)。そして、設定時間Tsを経過したなら、スクリュ
の射出終了位置Xfをモニタする(ステップ29、3
0)。この場合、しきい値として設定圧力Psを設定す
ることにより、射出圧力検出器16から得る射出圧力P
を監視してもよい。即ち、射出圧力Pは金型5に樹脂が
充填途中であれば、設定圧力Psよりもはるかに小さく
なるが、樹脂の充填が終了すれば、急激に上昇して設定
圧力Ps以上となる。したがって、射出圧力Pが設定圧
力Psになったことに基づいて、上記同様にスクリュの
射出終了位置Xfを検出できる。
【0027】次に、射出圧力の変更処理を行う(ステッ
プ31)。この変更処理は初期条件として低圧側に設定
した射出圧力(一圧値Pd)を必要な大きさまで上昇さ
せ、最終的に成形条件に利用できるようにするためであ
り、図5に変更処理手順をフローチャートで示す。
【0028】この際、まず、背圧をオンにし、背圧を付
与した状態で計量を行うとともに、射出装置4(射出ノ
ズル9)を後退させ、金型5の型開を行う(ステップ5
1、52、53)。そして、取出した成形品に対する充
填不良の判断を行うとともに、必要なデータ収集、例え
ば、肉厚、ゲート圧等のデータ収集を行う(ステップ5
4)。この際、収集した肉厚及びゲート圧に関するデー
タから冷却時間を自動で算出する。
【0029】一方、成形した成形品を目視し、充填不良
が発生していないかどうか確認し、充填不足によるショ
ートショットが発生していたなら、射出圧力を増加させ
る処理を行う(ステップ55、56)。即ち、ショート
ショットの度合を判断し、例えば、度合が「大」であれ
ば、入力装置13における対応する選択キーK1を押せ
ばよい。この場合、射出圧力は初期条件として低圧側の
一圧値Pdに設定されているため、一圧値Pdが20%
に設定されていれば、コントローラ12は射出圧力20
%に対して圧力変更率の20%を加算することにより、
射出圧力を40%に変更する。そして、変更(増加)し
た射出圧力により再成形、即ち、図3に示すステップ2
5〜31及び図5に示すステップ51〜54の工程であ
る再成形サイクルを実行する(ステップ57)。そし
て、成形した成形品に、さらに、ショートショットが発
生していたなら、再度、射出圧力を増加させる処理を行
う。この場合、例えば、ショートショットの度合が
「中」になっていれば、射出圧力に対して圧力変更率の
10%を加算して、再成形サイクルを実行する。各圧力
変更率の大きさはそれぞれ異なるとともに、充填不良の
度合の大きいランクに対応して大きく設定されているた
め、このような射出圧力を変更した後の再成形サイクル
を繰り返せば、選択するランクは次第に小さくなるとと
もに、最終的に良品を得ることができる(ステップ5
8)。
【0030】他方、成形した成形品を目視した際に、過
充填によるバリ等の充填不良が生じていたなら、射出圧
力を減少させる処理を行う(ステップ59、60)。こ
の場合、過充填の度合を判断し、例えば、度合が「小」
であれば、入力装置13における選択キーを押すことに
より、コントローラ12は設定されている射出圧力の大
きさから、圧力変更率の2%を減算する。そして、変更
(減少)した射出圧力による再成形、即ち、再成形サイ
クルを良品が得れるまで繰り返す(ステップ61、6
2)。
【0031】よって、最終的に良品が得られれば、コン
トローラ12はスクリュ位置検出器14から得るそのと
きの射出終了位置Xfを取込み、得られた射出終了位置
Xfと最後退位置Xbから、射出ストロークSi(=X
b−Xf)を算出するとともに、予め設定したクッショ
ンストロークScを加えて計量値Mdを求める。そし
て、この計量値Mdを成形条件としてコントローラ12
に設定する。
【0032】また、最終的に良品を得たときの射出圧力
と射出速度を利用して成形条件を求め、求めた成形条件
をコントローラ12に設定する。
【0033】まず、射出速度は本発明に従って、良品を
得たときの射出ストロークSiの期間における平均した
射出速度Vaを求める。射出速度は初期条件により、高
速側の一速値Vhに設定されているが、図1に示すよう
に、実際の成形時における射出速度Vはこれよりもはる
かに小さくなるため、平均した射出速度Vaを求め、求
めた射出速度Vaを成形条件としてコントローラ12に
設定する。この場合、平均した射出速度Vaは一定の短
時間置きにサンプリングした射出速度V…を、サンプリ
ング回数で割って求めてもよいし、スクリュ3の位置に
対する速度特性の面積を求め、この面積を位置で割って
平均化してもよい(ステップ32)。
【0034】一方、射出圧力は一定の大きさの補正圧力
を加算して設定する。射出速度は初期条件により、高速
側の一速値に設定され、上述したように平均化した後に
設定されることから、平均した射出速度Vaは初期条件
の一速値Vhよりも小さくなる。このため、小さくなっ
た射出速度Vaの安定化を図るために、図2に示す比例
ポンプ等のオーバライド特性Fによる変動圧力を考慮
し、射出圧力に対し一定のオーバライド圧力を補正圧力
として加算して設定する。なお、油圧駆動式に用いる比
例ポンプの場合には、通常、10%前後の値を加算する
ことができる。
【0035】以上、実施例について詳細に説明したが、
本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
例えば、金型データの不明な金型を使用する例として、
射出速度を高速側の一速値に、スクリュの射出開始位置
を最後退位置に、射出圧力を低圧側の一圧値にそれぞれ
初期設定したが、金型データが判明している場合等には
他の設定を行ってもよい。その他、細部の構成、手法等
において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更
できる。
【0036】
【発明の効果】このように、本発明に係る射出成形機の
射出速度設定方法は、初期条件として、少なくとも射出
圧力を低圧側の一圧値に設定した所定の成形条件により
成形を行うとともに、成形した成形品の充填不良に対応
して射出圧力を大きくし、かつ良品を得たときのスクリ
ュの射出ストロークとこの射出ストロークの期間におけ
る変化する射出速度から平均した射出速度を求め、得ら
れた射出速度を成形条件として設定するようにしたた
め、熟練度の低いオペレータであっても射出速度を容易
かつ確実に設定でき、設定時間の大幅短縮、生産性向
上、製造コスト低減、資源やエネルギの節減を図ること
ができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射出速度設定方法を説明するため
の射出速度の特性図、
【図2】同射出速度設定方法を説明するためのポンプの
オーバライド特性図、
【図3】同射出速度設定方法による射出速度の設定手順
を示すフローチャート、
【図4】同射出速度設定方法による初期条件の設定手順
を示すフローチャート、
【図5】同射出速度設定方法による射出圧力の変更手順
を示すフローチャート、
【図6】同射出速度設定方法による射出圧力の変更方法
説明用の原理説明図、
【図7】同射出速度設定方法による射出圧力の変更方法
説明用の他の原理説明図、
【図8】同射出速度設定方法を実施できる射出成形機の
概略構成図、
【符号の説明】
1 射出成形機 Si 射出ストローク V 射出速度 Va 平均した射出速度

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期条件として、少なくとも射出圧力を
    低圧側の一圧値に設定した所定の成形条件により成形を
    行うとともに、成形した成形品の充填不良に対応して射
    出圧力を大きくし、かつ良品を得たときのスクリュの射
    出ストロークとこの射出ストロークの期間における変化
    する射出速度から平均した射出速度を求め、得られた射
    出速度を成形条件として設定することを特徴とする射出
    成形機の射出速度設定方法。
  2. 【請求項2】 初期条件として、さらに、射出速度を高
    速側の一速値に、スクリュの射出開始位置を最後退位置
    にそれぞれ設定することを特徴とする請求項1記載の射
    出成形機の射出速度設定方法。
  3. 【請求項3】 成形した成形品の充填不良の度合に対応
    して射出圧力の大きさを予め設定した変更量だけ変更
    し、変更した射出圧力により再成形する再成形サイクル
    を、良品を得るまで繰り返すことを特徴とする請求項1
    又は2記載の射出成形機の射出速度設定方法。
  4. 【請求項4】 射出ストロークは、良品を得たときの射
    出速度(又は射出圧力)が予め設定した設定速度以下
    (又は設定圧力以上)になったときのスクリュの射出終
    了位置を検出し、検出したスクリュの射出終了位置と最
    後退位置の差から求めることを特徴とする請求項1、2
    又は3記載の射出成形機の射出速度設定方法。
  5. 【請求項5】 射出終了位置は、射出速度(又は射出圧
    力)が設定速度以下(又は設定圧力以上)になった後、
    予め設定した設定時間を経過したときに検出することを
    特徴とする請求項4記載の射出成形機の射出速度設定方
    法。
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