JP2592806Y2 - 面取り刃付きドリル - Google Patents

面取り刃付きドリル

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JP2592806Y2
JP2592806Y2 JP1991106407U JP10640791U JP2592806Y2 JP 2592806 Y2 JP2592806 Y2 JP 2592806Y2 JP 1991106407 U JP1991106407 U JP 1991106407U JP 10640791 U JP10640791 U JP 10640791U JP 2592806 Y2 JP2592806 Y2 JP 2592806Y2
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保彦 川出
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、被削材に穴明け加工を
施す際に用いられるドリルに係わり、特にこの穴明け加
工と同時に、穿設される穴の開口部周縁に面取り加工を
施すことが可能な面取り刃付きドリルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】このように、面取り用切刃が装着されて
穴明け加工と面取り加工とを同時に行うことが可能なド
リルとしては、例えば図ないし図に示すような面取
り刃付きドリルが知られている。これらのドリルは実開
平1−87815号公報に記載されたものであって、ド
リル本体1の外周にはその先端から基端側に向かって当
該ドリル本体の軸線方向に沿って直線状に切屑排出溝2
が形成されており、この切屑排出溝2の上記ドリル本体
1先端に臨む位置には穴明け用の切刃3が設けられてい
る。ここで図に示す例では、この穴明け用切刃3は上
記ドリル本体1先端にスローアウェイチップを設けるこ
とにより形成されている。
【0003】一方、上記切屑排出溝2にドリル本体1の
周方向に隣接するランド部4には、2列千鳥状に多数の
ネジ穴5…が形成されており、またこのランド部4の上
記切屑排出溝2に連なる縁部には切欠6が形成されてい
る。そして、このランド部4には、内周面が該ランド部
4と同じ曲率で弧状をなすカートリッジ7が装着されて
おり、このカートリッジ7の先端には上記切屑排出溝2
に臨む位置に、上記軸線に対し45°傾斜した状態で面
取り用切刃8が設けられている。なお、図に示す例で
はこの面取り用切刃8も上記カートリッジ7にスローア
ウェイチップを設けることにより形成されている。
た、上記カートリッジ7の一側面側にはドリル本体1の
径方向内側に向かって上記切欠6に合致するストッパ9
が突設されており、またその胴周部には上記2列のネジ
穴5…の列間間隔と同じ間隔を開けて2本の長穴10,
10が、それぞれ上記径方向に向かってネジ穴5…に連
通するように貫設されている。
【0004】このような構成の面取り刃付きドリルで
は、切欠6にストッパ9を合わせてカートリッジ7を上
記ランド部4に装着し、長穴10,10に挿通されたク
ランプネジ11,11を上記ネジ穴5,5に螺着せしめ
る。この状態でカートリッジ7は長穴10の長さの範囲
で上記軸線方向に移動可能であるので、このカートリッ
ジ7に設けられた上記面取り用切刃8が所定の位置に位
置決めされるようにカートリッジ7の位置を微調節し、
クランプネジ11,11を締め付けてカートリッジ7を
固定する。しかる後、当該ドリル本体1をマシニングセ
ンタ等の工作機械の主軸に取り付けて上記軸線回りに回
転させつつ、該軸線方向に送ることによって穴明け加工
が進められる。この穴が所定の深さ近くまで穿設される
と、上記面取り用切刃8が穿設された穴の開口部周縁に
接触して該周縁部をテーパ面状に切削して面取り加工が
なされる。そして、目的の深さまで穴明け加工がなされ
ると同時に面取り部も目的の大きさに成形される。
【0005】このように上記構成の面取り刃付きドリル
によれば穴明け加工と面取り加工とを同時に行うことが
可能であり、またカートリッジ7を移動することによっ
て面取り用切刃8の位置を調節することができるので、
所望の深さの面取り穴を穿設することが可能である。な
お、図および図に示す例は上記穴明け用切刃3およ
び面取り用切刃8がドリル本体1およびカートリッジ7
に一体成形された面取り刃付きドリルであり、特に図
に示す例は面取り用切刃8がドリル本体1のラジアルラ
インに沿って形成されるとともに、切欠6を省略してラ
ンド部4の上記縁部をそのままカートリッジ7のストッ
パ9の当接部としたものである。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記公報に
記載された面取り刃付きドリルでは上記切屑排出溝2が
開放溝となっており、穴明け加工の初期および中期の段
階では生成された切屑を円滑に排出することが可能であ
るものの、上述のように面取り用切刃8が切屑排出溝2
に臨む位置に設けられているため、穴明け加工の後期に
おいては生成された切屑の排出が、この面取り用切刃8
やこれを支持するカートリッジ7、あるいは該面取り用
切刃8によって生成された切屑によって阻害されてしま
うおそれがある。そして、これにより切屑詰まりが発生
して切削抵抗の上昇を招いたり、良好な加工面が得られ
なくなったりする危険性があった。
【0007】また、上記構成の面取り刃付きドリルで
は、カートリッジ7の長穴10,10に挿通されたクラ
ンプネジ11,11を緩めることにより、該カートリッ
ジ7の位置、すなわち面取り用切刃8の位置を上記長穴
10の長さの範囲内において微調節可能な構造とされて
いる。しかし、面取り用切刃8の位置をこの長穴10の
長さの範囲を越えて移動させようとする場合には、一旦
2本のクランプネジ11,11を完全に取り外してから
カートリッジ7を移動させ、しかる後再びクランプネジ
11,11を挿通してネジ穴5,5に締結させなければ
ならず、いちいち煩わしい手間がかかって作業が繁雑な
ものとなってしまうおそれがあった。一方、この種の面
取り刃付ドリルにおいては、他に実開昭61−1262
3号公報に記載されたものとして、シャンクのランド部
に蟻溝を軸方向に設け、この蟻溝に面取り用切刃を固着
した面取り刃台(カートリッジ)を摺動自在に嵌合し、
この面取り刃台に蟻溝の底面に当接する固定ねじを螺合
したものも提案されている。ところが、この公報に記載
された面取り刃付ドリルでは、上記面取り刃台は、蟻溝
の底面に当接する固定ねじの反力によって、その側面が
蟻溝の壁面に密着して固定されているだけであり、ドリ
ルの径が小さくて十分な大きさの蟻溝を形成することが
できない場合などには、ドリル本体と面取り刃台との密
着面積が確保できなくなって面取り刃台を確実に固定す
ることが不可能となり、面取り刃台ごと面取り用切刃が
ずれ動いてしまうおそれがある。また、上記固定ねじを
締め付けたときの締付力は、面取り刃台を介して蟻溝の
縁を押し開く方向へと作用することとなり、しかも、こ
のような状態において上記面取り用切刃による切削が行
われると、その切削抵抗がさらに上記と同方向に作用し
てしまうため、これらによって蟻溝が損傷したり、場合
によっては面取り刃台が脱落してしまったりするおそれ
もある。 さらに、これらの公報に記載されたような軸線
方向に移動可能な面取り用切刃を備えた面取り刃付ドリ
ルにおいては、当該ドリルの使用前に、まず加工される
穴の深さおよび面取りの大きさを考慮した位置に正確に
面取り用切刃の位置を合わせてカートリッジを固定しな
ければならない。しかしながら、上述した従来の 面取り
刃付ドリルでは、この面取り用切刃の位置合わせは、穴
明け用切刃から面取り用切刃までの寸法をスケール等に
よって計測しながら行わざるを得ず、作業が煩雑である
とともに、正確な位置合わせを行うのはきわめて困難と
なるため、製品の穴加工の前に試削を行って面取りの精
度を確認しなければならないという問題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本考案は、このような課
題を解決するためになされたもので、軸線回りに回転さ
せられるドリル本体の外周面に当該ドリル本体の先端か
ら基端側に向かって切屑排出溝が形成され、この切屑排
出溝の上記ドリル本体先端に臨む位置に穴明け加工用切
刃が設けられるとともに、上記ドリル本体外周には該ド
リル本体の径方向外側に突出する面取り用切刃が上記軸
線方向に移動可能かつ所定位置にて固定可能に装着され
て成る面取り刃付きドリルにおいて、上記面取り用切刃
を、上記ドリル本体の周方向に上記切屑排出溝に隣接す
るランド部に取り付けられたカートリッジに設けて、該
ランド部から突出せしめるとともに、上記カートリッジ
を、その内周面が上記ランド部の外周面に密着して固定
されるようにし、上記ランド部に上記軸線方向に沿って
蟻溝を形成するとともに、この蟻溝に上記カートリッジ
を、上記蟻溝に係合するクランプ駒を介して、上記ラン
ド部を上記軸線方向に沿って摺動自在かつ任意の位置に
て該ランド部の外周面に固定可能に嵌入し、さらに上記
ランド部に上記穴明け加工用切刃からの距離を示す目盛
りを設けたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】このような構成の面取り刃付きドリルによれ
ば、面取り用切刃が、切屑排出溝に隣接するランド部に
取り付けられたカートリッジに設けられていて、該ラン
ド部から突出するように形成されているので、穴明け加
工の工程全般を通じて切屑排出溝が塞がれるのが防が
れ、生成された切屑の排出が阻害されるのを回避するこ
とができる。このため、切屑詰まりの発生による切削抵
抗の上昇等が防止され、良好な加工面を得ることが可能
となる。また、このカートリッジは、その内周面がラン
ド部の外周面に密着して固定されるので、カートリッジ
とドリル本体との密着面積を十分に確保することがで
き、カートリッジを強固にドリル本体に固定して面取り
用切刃のずれを確実に防止することができる。さらに、
上記ランド部にドリル本体の軸線方向に沿って蟻溝を設
けるとともに、面取り用切刃を設けたカートリッジを、
この蟻溝に係合するクランプ駒を介して、上記蟻溝に沿
ってランド部を上記軸線方向に摺動可能かつ任意の位置
にて固定可能とすることにより、従来のようにいちいち
クランプボルトを完全に取り外すことなく、カートリッ
ジを移動させることが可能となる。このため、面取り用
切刃の位置変更に要する手間を大幅に軽減することが可
能となり、作業効率の向上をなすことができる。しか
も、カートリッジを固定する際にクランプ駒によって蟻
溝の縁を押し開く方向に作用する力は、この蟻溝が形成
されるランド部の外周面に密着したカートリッジの内周
面により受けとめられることとなるので、カートリッジ
を如何に強固に固定しようとも、蟻溝に損傷が生じるよ
うなことはない。 さらにまた、このランド部に穴明け加
工用切刃からの距離を示す目盛りを設けることにより、
この目盛りに合わせてきわめて容易かつ正確に面取り用
切刃の位置合わせを行うことができるので、より一層の
作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0010】
【実施例】図1ないし図3は本考案の一実施例を示すも
のである。これらの図において符号21は鋼材等から一
体成形されたドリル本体であり、その外周面には当該ド
リル本体の先端から基端側に向けて2条の切屑排出溝2
2,22が工具軸線O方向に沿って形成されていて、こ
れらの切屑排出溝22,22のそれぞれの先端には、当
該ドリル本体21の回転方向(図2において反時計回り
方向)前方側を向く面にチップ取付座23が形成されて
いる。さらに、これらのチップ取付座23にはそれぞ
れ、その切刃24Aをドリル本体21先端面より突出さ
せて超硬合金等からなるスローアウェイチップ24が着
座せしめられていてチップクランプネジにより固定され
ており、これによって本実施例における穴明け用切刃が
構成されている。なお、本実施例では上記2条の切屑排
出溝22,22の先端に装着されるスローアウェイチッ
プ24,24は、互いにその切刃24Aの位置がドリル
本体21の径方向にずらされ、かつ該切刃24Aの回転
軌跡が互いにオーバーラップするように配置されてい
る。
【0011】そして、上記切屑排出溝22,22の間に
形成されて該切屑排出溝22,22にドリル本体21の
周方向に隣接する2つのランド部25,25のうち、上
記径方向内側にスローアウェイチップ24が配設された
切屑排出溝22の上記回転方向後方側に隣接する一方の
ランド部25には、ドリル本体21の先端から基端側に
向けて蟻溝26が形成されており、この蟻溝26には該
蟻溝26に上記径方向に係合するカートリッジ27が嵌
入されている。ここで、この蟻溝26は、その断面が上
記径方向外側に向かうに従って漸次縮幅する略等脚台形
状に切り欠かれた形状とされており、上記一方のランド
部25の幅方向略中央に上記工具軸線O方向に沿って直
線状に形成されていて、その基端側は該工具軸線O方向
に上記切屑排出溝22,22の基端側と略同じ位置にま
で延長されている。また、この一方のランド部25の外
周面25Aには、工具軸線O方向に沿って、穴明け用切
刃24Aからの距離を示す目盛り25Bが刻設されて形
成されている。一方、上記カートリッジ27は、上記ラ
ンド部25の外周面25Aに対応した曲率の弧状の内周
面28Aを有する箱型のカートリッジ本体28と、上記
蟻溝26の断面と同じく等脚台形状の断面を有する平板
状のクランプ駒29と、このクランプ駒29をカートリ
ッジ本体28側に引き込むクランプネジ30とから構成
されており、当該カートリッジ27をドリル本体21の
上記蟻溝26に取り付けた状態で、図3に示すようにカ
ートリッジ本体28の上記内周面28Aがランド部25
の外周面25Aに密着するようになされている。
【0012】上記カートリッジ本体28には、該カート
リッジ本体28を上記一方のランド部25に装着した際
の上記径方向に一致する方向に、すなわち当該カートリ
ッジ本体28の厚さ方向に貫通孔28Bが穿設されてお
り、一方上記クランプ駒29の中央にはその厚さ方向に
上記クランプネジ30に螺合するネジ穴29Aが形成さ
れている。また、上記クランプ駒29の上記断面形状お
よび厚さは、図3に示すように当該クランプ駒29を引
き込んだ状態で該クランプ駒29の2つの傾斜側面29
B,29Bが上記蟻溝26の壁面26A,26Aに密着
し、かつ該クランプ駒29の上記径方向内側と外側にそ
れぞれ僅かな間隙が形成されるように設定されている。
そして、当該カートリッジ27を上記一方のランド部2
5に装着した状態でのカートリッジ本体28の上記回転
方向前方側を向く面には、その工具軸線O方向先端側に
臨んでチップ取付座28Cが形成されており、このチッ
プ取付座28Cにはスローアウェイチップ31が、その
切刃31Aを上記先端側に突出させるとともに該切刃3
1Aの上記径方向内側の一端を上記蟻溝26内に没入さ
せて装着されている。さらにこのスローアウェイチップ
31は、その切刃31Aが工具軸線O方向先端側に向か
うに従って上記径方向内側に接近し、工具軸線Oに対し
て45°の角度をなして斜交する方向に沿うように配置
されており、これによって本実施例における面取り用切
刃が構成されている。すなわち、本実施例においては面
取り用切刃が、上記ランド部25から工具本体21の径
方向外側に突出するように形成されている。なお、この
面取り用切刃を構成するスローアウェイチップ31の切
刃31Aは、上述のようにその上記径方向内側の一端が
蟻溝26内に没入するように構成されており、図2に示
すようにドリル本体21の先端面側からの工具軸線O方
向視において、該切刃31Aの回転軌跡が上記穴明け用
切刃を構成するスローアウェイチップ24,24の切刃
24A,24Aの回転軌跡とオーバーラップするように
設定されている。
【0013】このような構成の面取り刃付きドリルで
は、クランプ駒29を上記蟻溝26に挿入するとともに
カートリッジ本体28の内周面28Aをランド部25の
外周面25Aに沿わせて当該カートリッジ本体28をラ
ンド部25に配置し、クランプネジ30を上記貫通孔2
8Bに挿通してクランプ駒29のネジ穴29Aに緩く螺
着せしめることにより、当該カートリッジ27は上記ラ
ンド部25上を工具軸線O方向に沿って摺動可能とされ
る。そこで、この状態でカートリッジ27を所定の位置
に移動させることによりスローアウェイチップ31の切
刃31Aを位置決めする。この際には、ランド部25に
設けられた目盛り25Bに従って、切刃31Aの先端が
穴明け深さから面取りの大きさを差し引いた位置に配置
されるようにカートリッジ27を移動させればよい。
いで、この状態からクランプネジ30を強く締め付けて
クランプ駒29をカートリッジ本体28側に引き込むこ
とにより、カートリッジ本体28の内周面28Aおよび
クランプ駒29の上記傾斜側面29B,29Bがランド
部25の外周面25Aおよび蟻溝26の壁面26A,2
6Aに押圧されて密着し、カートリッジ27がランド部
25に固定される。こうして面取り用切刃が位置決めさ
れて固定されたなら、後は上述した従来例と同様に当該
面取り刃付きドリルをマシニングセンタ等の工作機械の
主軸に装着し、上記工具軸線O回りに回転させつつ該工
具軸線O方向に送りを与えて穴明け加工を行う。穴が目
的の深さ近くまで穿設されると、上記面取り用切刃によ
ってこの穴の開口部周縁が切削され、目的の深さまで完
全に穴明け加工がなされると同時に、上記開口部周縁も
目的の大きさに面取りされる。
【0014】このように、上記構成の面取り刃付きドリ
ルによれば、従来の面取り刃付きドリルと同様、穴明け
加工と面取り加工とを同時に、一工程で行うことが可能
である。さらに、本実施例では上記面取り用切刃を構成
するスローアウェイチップ31の切刃31Aが、図
いし図に示した従来の面取り刃付ドリルのように切屑
排出溝に臨む位置ではなく、切屑排出溝22に隣接する
ランド部25から当該ドリル本体21の径方向に突出す
るように構成されている。このため穴明け加工の初期は
もとより、該穴明け加工の終了近くになって面取り用切
刃によって面取り加工が行われる場合でも、スローアウ
ェイチップ31やカートリッジ27、あるいは面取り用
切刃によって生成された切屑が上記切屑排出溝22を閉
塞するような事態を回避することができる。そしてこれ
により、穴明け用切刃によって生成された切屑の排出が
阻害されるのを防止することが可能となり、切屑詰まり
の発生による切削抵抗の上昇等を防ぎ、良好な加工面を
得ることができる。しかも、本実施例では、面取り用の
切刃31Aが設けられたカートリッジ27をドリル本体
21に固定した状態で、カートリッジ本体28の内周面
28Aがランド部25の外周面25Aに密着しているた
め、カートリッジ27のドリル本体21への密着面積を
大きく確保することが可能であり、これによってカート
リッジ27を確実かつ強固にドリル本体21に固定し
て、面取り用切刃31Aのずれなどを効果的に防止する
ことが可能となる。
【0015】また本実施例では、面取り用切刃が設けら
れたカートリッジ27がクランプ駒29と蟻溝26との
係合によってランド部25を工具軸線O方向に沿って移
動可能とされ、かつクランプネジ30を締結することに
より任意の位置にて固定可能とされている。このため、
深さの異なる面取り穴を穿設する場合でもクランプネジ
30を若干緩めてカートリッジ27を移動させ、面取り
用切刃の位置を位置決めした後に再びクランプネジ30
を締結して該カートリッジ27を固定すればよく、図
ないし図の従来の面取り刃付ドリルのようにいちいち
クランプネジを完全に取り外すことなく蟻溝26の長さ
の範囲全てで面取り用切刃の位置を、きわめて容易に設
定することが可能となる。これにより、面取り用切刃の
位置の変更に要する手間や労力を大幅に軽減することが
可能となり、作業効率の向上を図ることができる。しか
も、このように蟻溝26を用いてカートリッジ27を移
動可能としているにも係わらず、本実施例では上述のよ
うにカートリッジ本体28の内周面28Aがランド部2
5の外周面25Aに密着してカートリッジ27が固定さ
れるため、クランプネジ30によってクランプ駒29を
引き込んだ際に、このクランプ駒29の傾斜側面29
B,29Bが蟻溝26の壁面26A,26Aに密着する
ことによって該蟻溝26の縁を押し開く方向に作用する
力は、上記カートリッジ本体28の内周面28Aによっ
て受けとめられることとなる。すなわち、この蟻溝26
の縁の部分は、カートリッジ27を固定した状態におい
ては図3に示すように、クランプ駒29の傾斜側面29
B,29Bとカートリッジ本体28の内周面28Aとの
間に挟まれた状態となり、従ってクランプネジ30を如
何に強く締め付けてカートリッジを強固に固定しても、
蟻溝26の縁に損傷が生じることはない。このため、本
実施例によれば、上記実開昭61−12623号公報に
記載された従来の面取り刃付ドリルのように、蟻溝の損
傷によってカートリッジがずれたり脱落したりするよう
なこともなく、円滑な加工を行うことが可能である。さ
らにまた、本実施例では上記ランド部25に工具軸線O
方向に沿って、穴明け用切刃24Aからの距離を示す目
盛り25Bが刻設されて形成されており、この目盛り2
5Bに従って、面取り用の切刃31Aが所望の位置に位
置合わせされるようにカートリッジ27を固定すること
ができる。このため、従来のようにスケール等を用いて
位置合わせしていたのに比べ、この面取り用切刃31A
の位置決めをより一層容易かつきわめて正確に行うこと
が可能となり、上述のカートリッジ27を蟻溝26によ
って移動可能としたこととも相俟って、作業効率のさら
なる向上を図ることができる。
【0016】なお、本実施例では穴明け用切刃および
面取り用切刃を、ドリル本体21先端およびカートリッ
ジ27先端に、それぞれスローアウェイチップ24,3
1を装着することにより構成したが、ドリル本体21あ
るいはカートリッジ27、またはこれら両方に直接切刃
を形成したような構成としても、もちろん構わない。
【0017】
【考案の効果】以上説明したように本考案によれば、面
取り用切刃がドリル本体の周方向に切屑排出溝に隣接す
るランド部から突出するように構成したものであるか
ら、切屑排出溝が閉塞されるのを防いで穴明け用切刃に
よって生成された切屑の円滑な排出を促すことが可能と
なる。これにより、切屑詰まりの発生による切削抵抗の
上昇等を防いで優れた加工面を得ることが可能となる。
しかも、面取り用切刃が設けられたカートリッジは、そ
の内周面がランド部の外周面に密着して固定されるた
め、ドリル本体とカートリッジとの密着面積を確保して
カートリッジを強固にドリル本体に固定することがで
き、面取り用切刃のずれなどを確実に防止することがで
きる。また、上記ランド部に蟻溝を形成するとともに
上記カートリッジを該蟻溝に係合するクランプ駒を介
して工具軸線方向に摺動可能かつ任意の位置にて固定
可能とすることにより、面取り用切刃の位置を変更する
際にクランプネジをいちいち完全に取り外すことなく、
きわめて容易にその位置設定を行うことができ、作業効
率の大幅な向上を図ることが可能となる。さらに、この
場合には、カートリッジを固定する際に蟻溝の縁を押し
開く方向に作用する力が、ランド部の外周に密着するカ
ートリッジの内周面によって受けとめられるため、かか
る力によって蟻溝が損傷してカートリッジがずれたり脱
落したりするような事態を未然に防止することが可能と
なり、円滑な加工を行うことができる。加えて、ランド
部に穴明け加工用切刃からの距離を示す目盛りを設ける
ことにより、一層容易かつきわめて正確に面取り用切刃
の位置合わせを行うことができ、作業効率をより大幅に
向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す実施例のドリル本体21先端側か
らの正面図である。
【図3】 図1に示す実施例のDD断面の拡大図であ
る。
【図4】 従来の面取り刃付きドリルの一例を示す
(イ)斜視図、(ロ)AA断面図である。
【図5】 従来の面取り刃付きドリルの他の例を示す
(イ)斜視図、(ロ)BB断面図である。
【図6】 従来の面取り刃付きドリルのその他の例を示
す(イ)斜視図、(ロ)CC断面図である。
【符号の説明】 21 ドリル本体 22 切屑排出溝 24,31 スローアウェイチップ 24A 切刃(穴明け用切刃) 31A 切刃(面取り用切刃) 25 ランド部 26 蟻溝 27 カートリッジ 28 カートリッジ本体 29 クランプ駒 30 クランプネジ O 工具軸線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平1−87815(JP,U) 実開 昭61−12623(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 51/08

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線回りに回転させられるドリル本体の
    外周面に当該ドリル本体の先端から基端側に向かって切
    屑排出溝が形成され、この切屑排出溝の上記ドリル本体
    先端に臨む位置に穴明け加工用切刃が設けられるととも
    に、上記ドリル本体外周には該ドリル本体の径方向外側
    に突出する面取り用切刃が上記軸線方向に移動可能かつ
    所定位置にて固定可能に装着されて成る面取り刃付きド
    リルにおいて、 上記面取り用切刃は、上記ドリル本体の周方向に上記切
    屑排出溝に隣接するランド部に取り付けられたカートリ
    ッジに設けられていて、該ランド部から突出せしめられ
    ているとともに、上記カートリッジは、その内周面が上
    記ランド部の外周面に密着して固定され、上記ランド部
    には上記軸線方向に沿って蟻溝が形成されるとともに、
    この蟻溝には上記カートリッジが、上記蟻溝に係合する
    クランプ駒を介して、上記ランド部を上記軸線方向に沿
    って摺動自在かつ任意の位置にて該ランド部の外周面に
    固定可能に嵌入されており、さらに上記ランド部には上
    記穴明け加工用切刃からの距離を示す目盛りが設けられ
    ていることを特徴とする面取り刃付きドリル。
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