JP2591519B2 - プリプレグ - Google Patents

プリプレグ

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JP2591519B2
JP2591519B2 JP24772995A JP24772995A JP2591519B2 JP 2591519 B2 JP2591519 B2 JP 2591519B2 JP 24772995 A JP24772995 A JP 24772995A JP 24772995 A JP24772995 A JP 24772995A JP 2591519 B2 JP2591519 B2 JP 2591519B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、先進複合材料とし
て、強度、弾性率、さらにはこれを比重で除した、比強
度、比弾性率の大なることを要求される構造体に用いら
れるプリプレグに関する。さらに詳しくは、プリプレグ
の粘着性と柔軟性を確保しつつ、強化繊維の方向以外の
強度、特に衝撃後圧縮強度、非繊維軸引張強度、に対し
て顕著に改良のなされた構造体を与えるプリプレグに関
する。
【0002】
【従来の技術】先進複合材料は、強化繊維と、マトリッ
クス樹脂を必須の構成要素とする不均一材料であり、こ
のため、繊維軸方向の物性とそれ以外の方向の物性に大
きな差が存在する。たとえば、落錐衝撃に対する抵抗性
は層間剥離強度によって支配され、強化繊維の強度を向
上させても抜本的な改良には結びつかいことが知られ
ている。このため、繊維軸方向以外の物性を改良するこ
とを目的として、マトリックス樹脂の靭性を改良するこ
との他に、種々の方法による改良が提案されている。
【0003】USP 3,472,730 (1969年)では、繊維強
化シートの片面あるいは両面にエラストマー性物質によ
り改質した熱硬化性樹脂からなる独立外層フィルム(Sep
arateExterior Film)を配することにより耐層間剥離力
の改善がなされることが開示されている。
【0004】特開昭51-58484(特公昭58-31296) で
は、繊維強化エポキシ樹脂プリプレグの表面にポリエー
テルスルホンフィルムを存在させることで、成形性およ
び曲げ強度の改善がなされることが開示されている。
【0005】特開昭54-3879 ,特開昭56-115216 ,特
開昭60-44334では、繊維強化シートの層間に短繊維チッ
プ、チョップドストランド、ミルドファイバーを配し、
層間強度の向上がなされることが開示されている。
【0006】特開昭60-63229では、繊維強化プリプレ
グの層間にエラストマーで改質したエポキシ樹脂フィル
ムを配して層間強度の改善がなされることが開示されて
いる。 USP 4,539,253(1985年)(対応特開昭60-231738 )で
は、繊維強化プリプレグの層間に軽量繊維と基材とす
る、不織布、織布、マット、キャリアーにエラストマー
で改質したエポキシ樹脂を含浸させたフィルムを配して
層間強度の改善がなされることが開示されている。
【0007】USP 4,604,319(1986年)(対応特開昭60
-231738 )では、繊維強化プリプレグの層間に熱可塑性
樹脂フィルムを配して層間強度の改善がなされることが
開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの手法は、その
効果が不十分であるばかりでなく、それぞれに欠点を有
している。エラストマー改質熱硬化性樹脂を含む独立外
層フィルムを用いた場合には、エラストマーの含量が多
くなると耐熱性が低下し、エラストマーの含量が少ない
と層間強度の改善効果は、非常に少ない。
【0009】また、熱可塑性樹脂フィルムを用いた場合
には耐熱性の良好な熱可塑性樹脂フィルムを用いること
により耐熱性と層間強度の改善効果の両立がなされる
が、熱硬化性樹脂の利点である粘着性が失われる。ま
た、耐溶剤性が良くないという熱可塑性樹脂の一般的欠
点が複合材料に反映してしまう。また、層間に繊維を有
しない層が形成されるため、繊維含有率の高いコンポジ
ットが得られないという欠点を有している。
【0010】また、短繊維チョップ、チョップドストラ
ンドミルドファイバーを用いることは、層間を厚くする
ため、コンポジット全体として強度低下を招く。
【0011】本発明者らは上記欠点のない繊維方向以外
の物性、特に耐衝撃性の優れた繊維強化複合材料につい
て鋭意研究を行った結果、新たな構成要素[C]とし
て、樹脂を素材とする微粒子を用いることで、これらの
欠点を克服して、かつ、予想をはるかに上回る繊維軸方
向以外の物性が大幅に改質された複合材料を与えるプリ
プレグを得ることができ、本発明の完成に至った。
【0012】なお、特開昭58-205758 には、シートモー
ルディングコンパウンドの表面に熱可塑性樹脂の粉末を
付着せしめることで表面の保護、着色を容易にする効果
が示されているが、本発明とは構成、効果が、全く異な
っている。
【0013】
【課題を解決するための手段】次の構成要素[A]、
[B]、[C]を必須とし、[C]を0.1〜80重量
%含有し、かつ[C]を均一に分散せしめてなるプリプ
レグ。
【0014】[A]:炭素繊維および/または黒鉛繊維
からなる強化繊維 [B]:熱硬化性樹脂を主体としてなるベース樹脂 [C]:ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボナー
ト、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
ェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、
ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾー
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、
酪酸セルロースからなる群から選ばれた1種以上の樹脂
を素材とする粒径2μm以下の微粒子。
【0015】
【発明の実施の形態】以下の記述においては構成要素
[B]と構成要素[C]の両方からなる部分の名称をマ
トリックス樹脂と呼び、構成要素[B]のみをさすベー
ス樹脂と区別して用いる。
【0016】(強化繊維の説明)本発明に構成要素
[A]として用いられる要素は炭素繊維および/または
黒鉛繊維からなる強化繊維である。一般に先進複合材料
として用いられる耐熱性および引張強度の良好な繊維、
たとえば、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケ
イ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカ
ーバイト繊維、ガラス繊維などのうち、比強度、比弾性
率が良好で軽量化に大きな寄与が認められる、炭素繊維
および/または黒鉛繊維を強化繊維として用いるもので
ある。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じてあらゆる種類
の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引
張強度450 kgf/mm2 、引張伸度1.7%を有する高
強度高伸度炭素繊維が最も適している。また、本発明に
は長繊維状の強化繊維を用いるが、その長さ5cm以上で
あることが好ましい。それより短い場合、強化繊維の強
度を複合材料として十分に発現させることが困難とな
る。また、炭素繊維や黒鉛繊維は他の強化繊維を混合し
て用いてもかまわない。また、強化繊維はその形状や配
列を限定されず、たとえば、単一方向、ランダム方向、
シート状、マット状、織物状、組み紐状であっても使用
可能である。また、特に、比強度、比弾性率が高いこと
を要求される用途には強化繊維を単一方向に引き揃えら
れた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス
(織物)状の配列も本発明には適している。
【0017】(ベース樹脂の説明)本発明に構成要素
[B]として用いられる要素はベース樹脂である。
【0018】本発明に用いるベース樹脂には熱硬化性樹
脂および熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を混合した樹脂が
挙げられる。
【0019】本発明に用いる熱硬化性樹脂は、熱または
光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化し
て、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂で
あれば特に限定されない。好ましい熱硬化性樹脂として
は、エポキシ樹脂があげられ、一般に硬化剤や硬化触媒
と組合せて用いられる。
【0020】本発明に適した熱硬化性樹脂としてエポキ
シ樹脂が用いられる。特に、アミン類、フェノール類、
炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキ
シ樹脂が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とす
るエポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフ
ェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノー
ル、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリ
シジルアミノクレゾールの各種異性体、フェノール類を
前駆体とするエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビス
フェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型
エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、
炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキ
シ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等があげられる
が、これに限定されない。またこれらのエポキシ樹脂を
ブロム化したブロム化エポキシ樹脂も用いられる。テト
ラグリシジルジアミノジフェニルメタンに代表される芳
香族アミンを前駆体とするエポキシ樹脂は耐熱性が良好
で強化繊維との接着性が良好なため本発明に最も適して
いる。
【0021】エポキシ樹脂はエポキシ硬化剤と組合せ
て、好ましく用いられる。エポキシ硬化剤はエポキシ基
と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用い
ることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、
アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジ
シアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異
性体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的
に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性
に優れるため好んで用いられる。またジアミノジフェニ
ルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与
えるため本発明には最も適している。アミノ安息香酸エ
ステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−ア
ミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−ア
ミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニ
ルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張伸度
に優れるため、用途に応じて選択して用いられる。
【0022】本発明に、ベース樹脂として、上記の熱硬
化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して用いることも好適で
ある。本発明に好適な熱可塑性樹脂は、主鎖に、炭素炭
素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エー
テル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結
合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結
合、カルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性
樹脂であり、より好ましくは、ポリアクリレート、ポリ
アミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボナー
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾー
ル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトンの
ようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性
樹脂の一群である。特に、ポリイミド、ポリエーテルイ
ミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルエーテルケトンは耐熱性に優れるので本発明に最適
である。
【0023】これらの熱可塑性樹脂は、市販のポリマー
を用いても良く、また、市販のポリマーより分子量の低
い、いわゆるオリゴマーを用いても良い。オリゴマーと
しては、熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を末端または
分子鎖中に有するオリゴマーがさらに好ましい。
【0024】熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を末端ま
たは分子鎖中に有するオリゴマーを用いた例としては、
官能基として芳香族アミンを末端に有し、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンを骨格
とする例があり、特開昭 60-15420 および特開昭61-212
543 および特開昭61-212544 が挙げられる。
【0025】またJ.E.McGrath らも第31回サスペシン
ポジウム(31th SAMPE (1986) 580)で発表している。
また、特開昭61-228016 においても同様の例が示されて
いる。これらによるといずれも耐熱性が良好で靭性の高
い硬化物を与えていることがわかる。また、官能基とし
て芳香族アミンを末端に有し、ポリスルホンを骨格とす
る例として、特開昭58-134111 および特開昭59-36127が
示され、J.E.McGrathらも第30回サスペシンポジウム
(30th SAMPE (1985) 947 )で発表している。これら
は、耐熱性が良好で靭性の高い硬化物を与えていること
を示している。
【0026】熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物は、
それらを単独で用いた場合より良好な結果を与える。こ
れは、熱硬化性樹脂が、一般に脆い欠点を有しながらオ
ートクレーブによる低圧成型が可能であるのに対して、
熱可塑性樹脂が、一般に強靭である利点を有しながらオ
ートクレーブによる低圧成型が困難であるという二律背
反した特性を示すため、これらを混合して用いることで
物性と成形性のバランスをとることができるためであ
る。
【0027】成形性は最も単純には樹脂組成物の昇温過
程における最低粘度で表される。プリプレグに適した最
低粘度の下限はプリプレグ中の樹脂含有量や積層の枚数
や硬化方法や硬化条件(温度、圧力)により著しく異な
るため、一概に規定できないが、オートクレーブを用い
た成形では、一般には1ポイズ以上、より好ましくは1
0ポイズ以上が適し、積層枚数が増えるとさらに最低粘
度の高い樹脂系(例えば10〜100ポイズ)が最適と
なる。
【0028】昇温過程の粘度は、コーンプレート式回転
粘度計あるいは、B型粘度計を用いて測定できる。昇温
速度は、一般に0.5〜5℃が適当であるが、昇温速度
を変化させると粘度挙動も変化するので一般には毎分1
〜2℃の昇温速度で測定される。
【0029】以上により、ベース樹脂100重量部に対
する熱可塑性樹脂成分は0〜50重量%、より好ましく
は0〜30重量%である。
【0030】また、エポキシ樹脂に微粉末状シリカなど
の無機質微粒子やエラストマーなどを少量混合すること
も可能である。
【0031】本発明においては、ベース樹脂としてさら
に、マレイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ナ
ジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有
する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有す
る樹脂が好ましく用いられる。これらは、適宜、エポキ
シ樹脂や、他の樹脂と混合しても良い。また、反応性希
釈剤を用いたり、熱可塑性樹脂やエラストマーなどの改
質剤を混合して用いてもかまわない。
【0032】マレイミド樹脂は、末端にマレイミド基を
平均2個以上含む化合物である。ジアミノジフェニルメ
タンを原料とするビスマレイミドが好適に用いられる。
アセチレン末端を有する樹脂およびナジック酸末端を有
する樹脂では、主鎖に、フェニレン骨格やイミド骨格ま
たはスルホン骨格に代表される耐熱性の高い骨格を有
し、両末端にアセチレン基およびナジック酸基を有する
化合物が好ましい。シアン酸エステル末端を有する樹脂
は、ビスフェノールAに代表される多価フェノールのシ
アン酸エステル化合物が好適である。シアン酸エステル
樹脂は、特にビスマレイミド樹脂と組合せることにより
プリプレグに適した樹脂とすることができ、三菱ガス化
学(株)製BTレジンが市販されており、本発明に適し
ている。これらは一般にエポキシ樹脂より、耐熱性と耐
水性が良好である半面、靭性や耐衝撃性が劣るため用途
に応じて選択して用いられる。本発明においてエポキシ
樹脂の代わりにこれらの他のベース樹脂を用いても、本
発明の効果は同様である。また、ビニル末端を有する樹
脂およびアリル末端を有する樹脂は、市販の汎用樹脂が
用いられるが耐熱性が前述の樹脂群より劣るので、主と
して希釈剤として用いられる。
【0033】(微粒子の説明)構成要素[C]は、ポリ
酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセ
タール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスル
フィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイ
ミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、酪酸セルロー
スからなる群から選ばれた1種以上の樹脂を素材とす
る、粒径2μm以下の微粒子である。微粒子であればベ
ース樹脂と混ぜた時にベース樹脂中に分散した状態で存
在するため、みかけ上マトリックス樹脂にはベース樹脂
の特性が支配的に現れ、強化繊維に含浸した時でもベー
ス樹脂のもつ粘着性および変形性(ドレープ性)を保持
し、取り扱い性に優れたプリプレグを得ることができ
る。したがって微粒子の特性としては粘着性および変形
性(ドレープ性)が要求されないため、微粒子として選
択できる素材は広範に及ぶ。
【0034】このため従来、性能が優れているにもかか
わらずマトリックス樹脂として使用することが困難であ
った樹脂でも微粒子化して用いることによりマトリック
ス樹脂を構成する成分として使用し、マトリックス樹脂
の性能を改良することができる。
【0035】微粒子の素材 熱硬化性樹脂微粒子としては、たとえば、東レ(株)製
エポキシ樹脂トレパールEP−B,鐘紡(株)製フェノ
ール樹脂ベルパールR−800などが挙げられ、上記の
樹脂を粉砕することにより微粒子化することが可能であ
る。さらに分級することにより希望の粒子径の範囲のも
のだけを使用することができる。
【0036】特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポ
リアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレ
ンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリア
ミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリアラミド、ポリベンズイミダゾールは耐衝
撃性に優れるので本発明に使用する微粒子の素材として
適している。この中でもポリアミドの靭性は特に優れて
おり非品質透明ナイロンに属するものを使用することに
より耐熱性をも兼ね備えることができる。
【0037】熱可塑性樹脂微粒子としては、たとえば、
東レ(株)製のナイロン12微粒子SP−500などが
挙げられ,上記の樹脂を粉砕することにより微粒子化す
ることが可能である。また、樹脂を溶媒に溶解の後霧状
に飛散させ乾燥させるスプレードライ法や、沈殿法によ
り微粉末状にすることもできる。また、これらの処理の
後、さらに分級することにより希望の粒子径の範囲のも
のだけを使用することができる。これら、微粒子を得る
方法については本発明において限定されるものではなく
公知の方法が応用できる。
【0038】微粒子の分布 微粒子はマトリックス樹脂中に様々なかたちで分布させ
ることが可能であり、その分布の様式により複合材料と
したときの特徴が多様化し、それぞれ異なった効果を発
現させることができる。
【0039】本発明においては、微粒子をマトリックス
樹脂に均一に分散させるものであり、これによってマト
リックス樹脂全体の性質を平均的に改質する効果があ
る。
【0040】均一分散させることにより、単に混合した
微粒子の量に対応したベース樹脂の改質効果を期待でき
ることはもちろんのこと、さらには分散させた微粒子が
マトリックス樹脂中でベース樹脂と分離した領域を形成
するため、いわゆる相分離構造を形成してそのモルフォ
ロジー効果を発揮する。すなわち、微粒子がベース樹脂
中に孤立した微小領域を形成する場合は海島構造を生成
するのである。また、微粒子とベース樹脂との親和性を
考慮することによって異種ドメイン間の境界領域におけ
る両成分の混合状態を設計することも容易にできるので
ある。このようにしてモルフォロジーのコントロールさ
れたマトリックス樹脂は耐衝撃性に優れるなど単に多成
分のブレンドでは得られないような複合効果を発揮する
のである。このことは、ポリマーアロイ等の多相系高分
子の分野で行われているポリマーブレンドやブロック、
グラフトポリマーを用いての多相構造設計と等しい効果
が本発明による微粒子の分散によっても実現できること
を意味している。
【0041】微粒子の形状・粒径 本発明に用いる微粒子の形状は球状に限られるものでは
ない。もちろん球状であってもよいが、樹脂塊を粉砕し
た微粉体や、スプレードライ法、再沈殿法で得られる微
粒子のごとく形状さまざまの状態で一向に差し支えな
い。その他、繊維を短く切断したミルドファイバー状で
も、また針状、ウイスカー状でも差し支えない。特に球
状の粒子を使用したい場合は懸濁重合法で得られる製品
がそのまま使える。
【0042】微粒子の大きさは粒径で表現されるが、こ
の場合の粒径とは遠心沈降速度法などで求められる体積
平均粒径を意味する。
【0043】微粒子をマトリックス樹脂に均一に分散さ
せる場合、強化繊維の種類や配列によっても異なるが粒
径は2μm以下の範囲が適し、より好ましくは0.5μ
m以下のものがよい。2μmをこえると強化繊維中のフ
ィラメントどうしのすきまに侵入しにくくなるので均一
分散が困難になる。
【0044】微粒子は成形後に元の形状を保持していて
も、また形状を消失してもかまわないがそれぞれに一長
一短があり、目的に応じて使い分けることができる。微
粒子が熱硬化性樹脂の場合は上記のいずれでもあまり効
果に差がないが熱可塑性樹脂の場合にはそれぞれ次のよ
うな効果を生ずる。
【0045】すなわち、元の形状を保持する場合には熱
可塑性樹脂成分である微粒子が孤立分散するため熱可塑
性樹脂の欠点である有機溶剤に接触した時の劣化および
連続荷重下でのクリープ現象がマトリックス樹脂全体に
現れることがなく、耐溶剤性並びに耐クリープ性に優れ
た複合材料が得られる
【0046】微粒子の量 微粒子の量としてはマトリックス樹脂に対して0.1重
量%〜80重量%の範囲が適している。1重量%以下で
は微粒子の効果がほとんど現れず、また80重量%をこ
えるとベース樹脂との混合が困難になるうえ、マトリッ
クス樹脂としての粘着性も大幅に低下してしまう。
【0047】特にベース樹脂の剛性を複合材料の圧縮強
度の発現に生かしたまま破断伸度の高い柔軟な特性を有
する微粒子で複合材料の層間を高靭化するような目的で
使用する場合は、むしろ2重量%〜20重量%の少ない
範囲のほうが好適である。
【0048】本発明のプリプレグは、その成形法や成形
条件を特に限定することなく用いられる。一般に用いら
れるオートクレーブ成形の他、プレス成形が良好であ
る。また、幅の細いプリプレグとして型に巻きつけてか
ら加熱硬化させて成形物を得ることも可能である。ま
た、成形物の形状も平板状の物や円筒状の物など、求め
る形状に適したプリプレグの種類と成形法を選択するこ
とで、自由に得ることができる。また、本発明によるプ
リプレグを成形して得られる複合材料は、従来の複合材
料より全般的に信頼性が増した複合材料となっているた
め、その用途は限定されない。とくに信頼性が重要な複
合材料の要求される航空機用途や精密部品、大変形に耐
えることが必要なスポーツ用途、振動減衰性の要求され
る音響用途など、幅広い分野に応用できる。
【0049】本発明における微粒子が複合材料の耐衝撃
性をはじめとする種々の物性向上にはたす作用機構は明
確ではない。しかし、ベース樹脂はプリプレグの状態で
は粘着性と柔軟性をもたらす一方、硬化後ではマトリッ
クス樹脂全体の剛性を高める働きをする。微粒子はベー
ス樹脂の粘着性、柔軟性を損なうことなく、微粒子の存
在する樹脂部分の接着力、許容変形量を向上させるた
め、複合材料として物性の向上がなされるものと考えら
れる。そのため、物性の改善効果は、微粒子の分布様式
に依存するものと考えられる。
【0050】
【発明の効果】本発明の微粒子を有する複合材料はプリ
プレグとしての粘着性、柔軟性を確保しつつ繊維強化複
合材料としたときに、微粒子を含まない従来の繊維強化
複合材料に比較して、強化繊維の方向以外の強度、特
に、衝撃後圧縮強度、層間剪断強度、非繊維軸引張強
度、に対して顕著に改良のなされた構造体を与えること
ができる。また、プリプレグの状態において、微粒子を
マトリックス樹脂中に分散させることにより、成形後に
おける微粒子の分布状態を予測、制御することができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構成要素[A]、[B]、[C]を
    必須とし、[C]を0.1〜80重量%含有し、かつ
    [C]を均一に分散せしめてなるプリプレグ。 [A]:炭素繊維および/または黒鉛繊維からなる強化
    繊維 [B]:熱硬化性樹脂を主体としてなるベース樹脂 [C]:ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリカーボナー
    ト、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフ
    ェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、
    ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、
    ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエ
    ーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンゾイミダゾー
    ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、
    酪酸セルロースからなる群から選ばれた1種以上の樹脂
    を素材とする粒径2μm以下の微粒子。
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