JP2590421B2 - 芳香族塩素化物の分解方法 - Google Patents

芳香族塩素化物の分解方法

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JP2590421B2
JP2590421B2 JP6022110A JP2211094A JP2590421B2 JP 2590421 B2 JP2590421 B2 JP 2590421B2 JP 6022110 A JP6022110 A JP 6022110A JP 2211094 A JP2211094 A JP 2211094A JP 2590421 B2 JP2590421 B2 JP 2590421B2
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aromatic chlorinated
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功夫 斎藤
祥太 伊東
佐藤  修
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は芳香族塩素化物の新規な
分解方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本
発明は、特に難分解性の芳香族塩素化物を、ダイオキシ
ンなどの発生による二次環境汚染をもたらすことがな
く、簡便な操作で、効率よく経済的有利に完全分解して
無害化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリ塩化ビフェニルのような難分
解性芳香族塩素化物は、微生物などにより分解されにく
いことから、自然界に蓄積され、環境汚染をもたらすこ
とが知られている。したがって、このような難分解性芳
香族塩素化物は、これまで焼却や化学手法による処理で
対応しているが、通常の焼却法ではダイオキシンなどの
有害物質を発生し、二次環境汚染をもたらすことから、
約2000℃以上という非常に高い温度で処理しなけれ
ばならず、特殊な設備を必要とするため、処理コストが
高くなるのを免れない。
【0003】ところで、近年、有害で難分解性の芳香族
塩素化物は、化学産業や一般家庭などから排出され、そ
の量も多くなってきており、しかも存在形態も水溶中あ
るいは土壌中と多様化しており、この難分解性の芳香族
塩素化物を低コストで完全に分解して無害化する方法の
開発が急務となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、特に難分解性の芳香族塩素化物を、ダイ
オキシンなどの発生による二次環境汚染をもたらすこと
がなく、簡便な操作で、効率よく経済的有利に完全分解
して無害化する方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、高温高圧下に
おいて、芳香族塩素化物を酸化剤含有水溶液と接触させ
ることにより、その目的を達成しうることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、温度350〜550
℃、圧力200〜600気圧の条件下で、芳香族塩素化
物を酸化剤含有水溶液と接触させることを特徴とする芳
香族塩素化物の分解方法を提供するものである。
【0007】本発明方法が適用される芳香族塩素化物と
は、芳香環に直接塩素原子が結合している化合物であっ
て、例えばポリ塩化ビフェニル、モノ塩化ビフェニル、
ジクロロジフェニルトリクロロエタン、ペンタクロロフ
ェノールなどを挙げることができる。
【0008】本発明方法においては、前記の芳香族塩素
化物は、高温高圧条件下で酸化剤含有水溶液と接触する
ことにより、分解される。この際の温度は350〜55
0℃、好ましくは380〜500℃の範囲にあることが
必要である。この温度が350℃未満では芳香族塩素化
物の分解が不十分であるし、550℃を超えると分解効
率の向上が認められないので、むしろ経済的に不利とな
る。また、圧力は200〜600気圧、好ましくは30
0〜500気圧の範囲にあることが必要である。この圧
力が200気圧未満では、芳香族塩素化物の分解が十分
に起こらないし、また600気圧を超えると分解効率の
向上が認められず、不必要な耐圧容器を必要とするの
で、経済的に不利となる。
【0009】本発明方法において用いられる酸化剤とし
ては、無機過酸化物や有機過酸化物などを挙げることが
でき、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよいが、水溶液として取り扱いやす
く、投入も容易である点で過酸化水素が特に好適であ
る。水溶液中における酸化剤の濃度は、1.0〜10.
0重量%、好ましくは2〜5重量%の範囲で選ばれる。
この含有量が1.0重量%未満では芳香族塩素化物の分
解が十分に起こらないし、10重量%を超えると処理条
件の制御が困難になる。
【0010】本発明方法は回分式でも行うことができる
が、流通式高温高圧装置を用いる連続方式で行うのが好
ましい。この場合、酸化剤含有水溶液中に、液体状の芳
香族塩素化物を投入して接触させるが、この芳香族塩素
化物は、必要に応じて適当な有機溶媒で希釈して投入し
てもよい。この芳香族塩素化物の希釈に用いる有機溶媒
としては、炭素数が少ないもの、例えばn‐ヘキサン、
酢酸エチル、クロロホルム、メタノール、二硫化炭素な
どが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、又は2
種以上を混合して用いてもよい。このように希釈溶媒を
用いる場合は、その量に応じて酸化剤の使用量を増加さ
せる必要があるので、希釈溶媒を用いない方が、望まし
い。
【0011】このような連続流通方式の場合、芳香族塩
素化物と酸化剤含有水溶液との接触時間は、通常1/1
000秒ないし1分程度である。
【0012】本発明方法においては芳香族塩素化物は分
解処理の際に塩化水素が発生する。そして、通常、この
塩化水素は塩酸として系外に排出され、炭酸カルシウム
などの適当な中和剤を用いて中和処理が施される。
【0013】
【発明の効果】本発明によると、特に難分解性の芳香族
塩素化物を、ダイオキシンなどの発生による二次環境汚
染をもたらすことがなく、簡便な操作により、連続的に
効率よく経済的有利に完全分解して無害化することがで
きる。したがって、本発明方法は、難分解性の芳香族塩
素化物の完全無害化連続処理法として好適である。
【0014】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0015】実施例1 温度計及び圧力計を備えた反応装置、高圧ポンプ、加熱
装置、圧力調整器で構成された連続流通式装置を用い、
これに酸化剤含有水溶液として濃度3.4重量%の過酸
化水素水を1.2ml/分の速度で送液し、同時に3‐
クロロビフェニルを0.2ミリモル/分の速度で供給
し、両者を温度390℃、圧力490気圧の条件で接触
させて分解処理を行った。
【0016】反応帯式の管長は10cmで、滞留時間は
約12秒であった。分解液を10mlずつ分割し、ガス
クロマトグラフィーで分析した結果、芳香族塩素化物は
全く検出されなかった。各フラクションの水素イオン濃
度測定結果を表1に示す。
【0017】実施例2 実施例1において、圧力を450気圧に変えた以外は、
実施例1と同様にして実施した。その結果、芳香族塩素
化物は全く検出されなかった。また、各フラクションの
水素イオン濃度測定結果を表1に示す。
【0018】比較例1 実施例1において、温度を320℃に変えた以外は、実
施例1と同様にして実施した。ガスクロマトグラフィー
で分析した結果、分解率は20〜30%であった。各フ
ラクションの水素イオン濃度測定結果を表1に示す。
【0019】比較例2 実施例1において、圧力を180気圧に変えた以外は、
実施例1と同様にして実施した。ガスクロマトグラフィ
ーで分析した結果、分解率は7〜8%であった。各フラ
クションの水素イオン濃度測定結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】上記の表において、塩化物の分解が進行す
ると塩酸が生じ、水素イオン濃度(pH)が低下するの
で、その数値の小さいものほど分解が行われているとい
うことが分る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 修 宮城県仙台市宮城野区福室字境6番86− 69

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度350〜550℃、圧力200〜6
    00気圧の条件下で、芳香族塩素化物を酸化剤含有水溶
    液と接触させることを特徴とする芳香族塩素化物の分解
    方法。
  2. 【請求項2】 芳香族塩素化物中の塩素1当量当り酸化
    物10〜35モルの割合で接触させる請求項1記載の分
    解方法。
  3. 【請求項3】 酸化剤濃度1〜10重量%の酸化剤含有
    水溶液と接触させる請求項1又は2記載の分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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