JP2588135B2 - 座席用座蒲団 - Google Patents

座席用座蒲団

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JP2588135B2
JP2588135B2 JP5496094A JP5496094A JP2588135B2 JP 2588135 B2 JP2588135 B2 JP 2588135B2 JP 5496094 A JP5496094 A JP 5496094A JP 5496094 A JP5496094 A JP 5496094A JP 2588135 B2 JP2588135 B2 JP 2588135B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、座席用座蒲団の改良に
関し、例えば、鉄道車両用座席等のように不特定の複数
人が着席する座席に使用して有効なものに関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両に設備される複数人掛けの座席
用座蒲団として、実公平2−3320号公報に開示され
ているものがある。すなわち、この座席用座蒲団は、荷
重を支えるばね部材が、直線形状にそれぞれ形成されて
上下方向に延在するようにそれぞれ配されている前後一
対の支柱部と、両支柱部の上端間にそれぞれ交差する方
向に延在するように架橋されている梁部とを有する門形
状に形成されており、両支柱部と梁部の前後両端との交
差部分には各アール部がそれぞれ形成されているととも
に、梁部には下方に窪んだ窪み部が形成されており、こ
のばね部材は複数本が、前後位置で互いに平行に配され
てそれぞれ固定されている前後一対の枠部材間に、互い
に平行に並べられて架設されているとともに、各ばね部
材において前後の両支柱部が両枠部材上に立てられた状
態で両枠部材にそれぞれ固定されており、さらに、各ば
ね部材間には横倒れ防止部材が連結されていることを特
徴とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の座席用座蒲団においては、各ばね部材が枠部材
にそれぞれ固定されるため、鉄道車両に既に設備された
異なる形式の座席用座蒲団における蒲団枠を活用しよう
とする場合に際しては、既設の蒲団枠に各ばね部材を1
本毎に固定しなければならないという問題点があること
が本発明者によって明らかにされた。
【0004】本発明の目的は、組立作業性を高めること
ができ、既設座席の蒲団枠の活用の要望にも対応するこ
とができる座席用座蒲団を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る座席用座蒲
団は、荷重を支えるばね部材が、上下方向に延在するよ
うにそれぞれ配されている前後一対の支柱部と、両支柱
部の上端間にそれぞれ交差する方向に延在するように架
橋されている梁部とを有する門形状に形成されており、
このばね部材は複数本が蒲団枠上に互いに平行に並べら
れて両支柱部の下端部において位置規制されている座席
用座蒲団において、前記ばね部材群に一対の連結部材が
各ばね部材の両支柱部における下端部にて交差する方向
に配設されているとともに、各ばね部材は両連結部材
に、支柱部の下端部が連結部材に対して軸方向を位置規
制された状態で連結されており、さらに、このばね部材
群と連結部材の組立体の下端辺には位置決め凸部が複数
下向きに突設されており、この組立体は前記蒲団枠の上
に載置されているとともに、位置決め凸部が蒲団枠に形
成された位置決め凹部に上側から挿入されていることを
特徴とする。
【0006】
【作用】前記した手段によれば、ばね部材群は一対の連
結部材によって組み立てられた組立体になっているた
め、組立体を蒲団枠に載せる際に、位置決め凸部を蒲団
枠の位置決め凹部に挿入することにより、組立体を蒲団
枠に固定することができる。したがって、例えば、鉄道
車両に艤装されて使用された座席用座蒲団が更新される
に際しては、使用された座席用座蒲団の蒲団枠の上にば
ね部材群と連結部材の組立体を搭載するだけで組み付け
ることができるため、作業性や経済性等の点で有利であ
る。つまり、通常、座席用座蒲団においては、コイルば
ねやクッション体は使用によって劣化し易いが、蒲団枠
は機械的強度の高い構造用型鋼が使用されて構築されて
いるため、蒲団枠は殆ど劣化しない。したがって、この
蒲団枠は長期の使用に耐えることが可能である。前記し
た手段によれば、座席用座蒲団の更新に際して、既設の
蒲団枠を活用することができる。
【0007】
【実施例】図1は本発明の一実施例である鉄道車両用座
席の座蒲団の主要部を示しており、(a)は分解斜視
図、(b)は(a)のb部の拡大部分斜視図である。図
2はその座席用座蒲団を示す側面断面図である。
【0008】本実施例において、本発明に係る座席用座
蒲団は、鉄道車両の座席に使用されるものとして構成さ
れているとともに、複数人掛け用に横長に構成されてい
る。すなわち、この座席用座蒲団10は鉄道車両に一般
的に広く使用されている座席に適用し得るように、平面
視が長方形で横に長い薄形の直方体形状に形成されてお
り、複数本のばね部材および一対の連結部材から構成さ
れたばね部材群と連結部材の組立体(以下、ばね部材組
立体という。)と、ばね部材組立体を支える蒲団枠と、
ばね部材組立体の上に構築されるクッション体とを備え
ている。
【0009】ばね部材組立体11を構成するばね部材1
2は複数本が用意されている。各ばね部材12は断面円
形の鋼線が用いられて折り曲げ加工されて形成されてお
り、互いに略平行に配されてそれぞれ垂下された前後で
一対の支柱部13および14と、前側支柱部13の上端
と後側支柱部14の上端との間に架橋された梁部15と
を備えてなる門形状に形成されている。両支柱部13お
よび14と梁部15の前後両端との交差部分には前側ア
ール部16および後側アール部17がそれぞれ形成され
ている。
【0010】このように構成されたばね部材の一群と協
働してばね部材組立体11を構成する連結部材は、前後
で一対が用意されており、各連結部材はその外径がばね
部材12の外径よりも太い断面円形の鋼線が用いられて
形成されている。一対の連結部材21、22は組立状態
において、前後の位置において互いに平行で水平にそれ
ぞれ配置されている。そして、前側連結部材21と後側
連結部材22との間に複数本のばね部材12が配されて
両連結部材21、22にそれぞれ連結されることによ
り、複数本のばね部材12と一対の連結部材21、22
とが相対的に連結されてなるばね部材組立体11が、平
面視が長方形で横に長い薄形の直方体の籠形状に構築さ
れている。
【0011】ばね部材組立体11の状態において、前後
の連結部材21、22の間には複数本のばね部材12
が、実質的に等しいピッチPをもって互いに平行に、か
つ前後および上下を揃えられて左右方向に整列されて架
設されており、各ばね部材12は前側支柱部13の下端
部および後側支柱部14の下端部において前側連結部材
21および後側連結部材22にそれぞれ、軸方向(左右
方向)が位置規制された状態で連結されている。ちなみ
に、ピッチPは10〜50mm程度の所定の寸法に設定
されている。
【0012】本実施例において、ばね部材12の前側支
柱部13における下端部は前側連結部材21に、図1
(b)に詳しく示されている構造をもって軸方向が位置
規制された状態で連結されている。すなわち、支柱部1
3の下端部は連結部材21にリング状に巻き付けられて
いる。また、連結部材21の左右端部にはストッパーリ
ング21aが環状溝(図示せず)に嵌入されてそれぞれ
止着されている。そして、支柱部13における下端部に
は位置規制用の圧縮コイルばね(以下、コイルばねとい
う。)23が、複数巻き宛が隣合う支柱部13、13の
間およびストッパーリング21aと支柱部13との間の
それぞれに両側の支柱部13、13に弾発力を付勢する
圧縮状態で、外側(前側)から内方向(後方)へ押し込
まれて交差する方向に架設されている。隣合う支柱部1
3、13の間にコイルばね23が押し込まれると、コイ
ルばね23の隣合う部分が支柱部13を挟んで押し合う
状態になるため、下端部が円形断面の連結部材21に溶
接されずに巻き付けられた状態の支柱部13は連結部材
21に対して軸方向が確実に位置規制された状態にな
る。また、コイルばね23は支柱部13間に外側から押
し込まれると、巻き線の一部が各支柱部13に係合した
状態になるため、支柱部13、13間から抜け出ること
はない。そして、詳細な図示は省略するが、ばね部材1
2の後側支柱部14における下端部も後側連結部材22
に、これと同じ構造をもって軸方向が位置規制された状
態で連結されている。
【0013】また、ばね部材組立体11のばね部材群の
うち複数本のばね部材12は、その支柱部13、14が
各連結部材21、22よりも下方にそれぞれ延長されて
おり、これら延長部によって前側位置決め凸部18およ
び後側位置決め凸部19がそれぞれ構成されている。す
なわち、両位置決め凸部18、19はばね部材組立体1
1の下端辺から下方に突出されている。また、本実施例
においては、5ピッチ置きのばね部材12の支柱部1
3、14が延長されている。つまり、前側位置決め凸部
18および後側位置決め凸部19のピッチLは、ばね部
材12のピッチPの5倍(P×5)に設定されている。
【0014】さらに、本実施例において、ばね部材組立
体11には横倒れ防止部材としての圧縮コイルばね25
が一対、ばね部材12の梁部15に前後位置に配されて
連結されている。すなわち、ばね部材12の梁部15の
前部および後部には横倒れ防止用圧縮コイルばね25、
25が、複数巻き宛が隣合う梁部15、15の間のそれ
ぞれに両側の梁部15、15に弾発力を付勢する圧縮状
態で、上側から下方向へ押し込まれて交差する方向に架
設されている。隣合う梁部15、15の間に圧縮コイル
ばね25が押し込まれると、コイルばね25の隣合う部
分が梁部15を挟んで押し合う状態になるため、ばね部
材12は横倒れが防止された状態になる。また、コイル
ばね25は梁部15、15間に上側から押し込まれる
と、巻き線の一部が各梁部15に係合した状態になるた
め、梁部15、15間から抜け出ることはない。
【0015】本実施例において、蒲団枠26は鉄道車両
の座席に汎用的に使用されるものとして構成されている
とともに、複数人掛け用に横長に構成されている。すな
わち、蒲団枠26は構造用チャンネル型鋼材が使用され
た枠部材によって長方形の枠形状に堅牢に枠組みされて
いる。そして、座席の前辺および後辺に位置することに
なる蒲団枠26の一対の長辺に位置する枠部材26aお
よび26bはチャンネル型鋼材の開口側が互いに対向さ
れており、この前後の枠部材26aおよび26bの上部
片には位置決め用の凹部としての小孔27が複数個、長
手方向の一直線上において所定の間隔を置かれて穿設さ
れている。隣合う小孔27の間隔(ピッチ)は、ばね部
材組立体11における前側位置決め凸部18および後側
位置決め凸部19の間隔(ピッチ)Lと等しく設定され
ている。つまり、本実施例において、小孔27の間隔L
は、ばね部材12のピッチPの5倍(P×5)に設定さ
れている。
【0016】そして、この蒲団枠26に前記の通り構築
されたばね部材組立体11が組み付けられるに際して
は、ばね部材組立体11が蒲団枠26に上から対向され
て、各前側位置決め凸部18および後側位置決め凸部1
9が蒲団枠26における前後の枠部材26a、26bに
それぞれ開設された各小孔27に上から略垂直にそれぞ
れ挿入される。各前側位置決め凸部18および後側位置
決め凸部19が各小孔27に奥まで挿入されると、ばね
部材組立体11の前後の連結部材21、22が蒲団枠2
6の前後の枠部材26a、26bの上に載置された状態
になる。この状態において、ばね部材組立体11は蒲団
枠26に下から支えられるとともに、各小孔27に挿入
された各前側位置決め凸部18および後側位置決め凸部
19によって位置規制された状態になり、ばね部材組立
体11におけるばね部材12群は垂直に立ち上げられた
状態で蒲団枠26に支持された状態になる。
【0017】ここで、鉄道車両に艤装された座席用座蒲
団の蒲団枠をその更新に際して活用する場合について説
明する。この場合には、更新前の座席用座蒲団が座席の
脚台から取り外されて、座席用座蒲団のばね部材やクッ
ション体が蒲団枠から取り外される。そして、この蒲団
枠26に小孔27が開設されていない場合には、小孔2
7が開設される。その後、前記したように、ばね部材組
立体11がこの蒲団枠26に載置されるとともに、組立
体11の位置決め凸部18が各小孔27に挿入される。
このようにして、ばね部材組立体11は鉄道車両で使用
されて更新される座席用座蒲団の蒲団枠26に対して
も、ワンタッチ作業にて簡単に組み付けることができ
る。
【0018】他方、クッション体30はばね部材組立体
11の上に構築される。すなわち、ばね部材組立体11
の上面の上には下張り布31が敷設されており、この下
張り布31の上にはフエルト32が敷設されている。フ
エルト32上にはクッション部材としてのポリウレタン
フォーム33が接着されており、ポリウレタンフォーム
33の表面には中張り布34を介されてモケットからな
る表地35が被せられている。表地35は全方向に張力
を加えられてその4辺を蒲団枠26の各枠部材の下に巻
き込まれ、縫製用止め具等の適当な手段が用いられてそ
れぞれ固着されることにより、適当な張り状態において
全体を押しくるんでいる。これにより、ばね部材組立体
11は上から押さえられた状態になるため、各位置決め
凸部18、19が各小孔27に挿入されただけであって
も、蒲団枠26の上に確実に抜け止めされて固定される
ことになる。
【0019】以上のように、本実施例においては、クッ
ション体30の構築に際して、縫着作業を使用しなくて
済むため、前述したばね部材組立体の蒲団枠への組付作
業の簡単化とあいまって、車両における座席組立作業を
大幅に短縮することができる。その後、座席用座蒲団1
0は車両の座席における脚台上に据え付けられる。
【0020】次に作用を説明する。前記構成にかかる座
席用座蒲団10に人間が腰掛けると、その体重はその着
席者の臀部に当たる部分の複数本のばね部材12に分散
されて加わる。体重の加わったばね部材12群は下方に
弾力的に撓むことにより、着席者をフローティング的に
支える。このとき、ばね部材12に加わる荷重は臀部に
当たる複数本のばね部材12のそれぞれに分散されるた
め、各1本に加わる荷重は小さく抑えられることにな
る。したがって、1本のばね部材12における機械的強
度を緩和させることができ、また、1本のばね部材12
から臀部に与える反力を小さく抑制することができて局
所的な圧迫感の発生を抑制することができる。
【0021】この着席状態において、車両の振動が床面
を経由して座席用座蒲団10に伝達されても、この振動
は着席者の荷重を支えているばね部材12群の弾性によ
って吸収されるため、車両の振動が着席者に伝達される
ことは抑制され、快適な座り心地が確保されることにな
る。
【0022】また、本実施例においては、ばね部材12
は各連結部材21、22に両支柱部13、14のリング
形状部によって連結されているため、ばね部材12の梁
部15に着席者の荷重が加わった状態で、車両の振動が
加わった場合に、両支柱部13、14のリング形状部が
連結部材21、22の外周を振動に対してずれながら極
微少に往復摺動することにより、両支柱部13、14が
門形の内外方向に極微少量だけ倒れ込むような現象が引
き起こされる。この現象により、車両振動時における座
り心地がより一層ソフトになるため、より一層快適な座
り心地が確保されることになる。
【0023】なお、ばね部材12にこれを前方あるいは
後方に押し倒そうとする力が不慮に加わったとしても、
ばね部材12自体が門形状を維持しようとしているた
め、ばね部材12が両連結部材21、22にリング形状
によって連結されているだけの構造であっても、ばね部
材12が両連結部材21、22を中心にして全体的に前
方または後方に倒れてしまうことはない。
【0024】また、着席状態において、ばね部材12が
互いに独立的に配設されているため、着席者の体重はそ
の臀部が当たる複数本のばね部材12のみによって支え
られることになる。すなわち、着席による座蒲団10に
おける歪は着席者個人の範囲に限定されることになるた
め、隣接する着席者相互がその歪によって干渉されるこ
とはない。
【0025】そして、ばね部材12群のフローティング
支持状態におけるばね部材12の撓みは、前後の支柱部
13および14と梁部15の両端との交差部に形成され
ている前後のアール部16および17において強く現れ
る。これにより、梁部15の中央部には窪み部(図示せ
ず)が自然に発生するため、ばね部材12群の形成する
座面が着席者の臀部にしっくりと整合して体重を均等に
支えることになる。その結果、着席者は臀部をこの窪み
部に当てた状態で座蒲団10に深く腰掛けることになる
ため、その着席姿勢は必然的に背筋を伸ばした適正な状
態に維持されることになる。
【0026】ところで、座蒲団10に浅く腰掛けた場
合、その着席者の荷重はばね部材12における梁部15
の前側部分に殆ど加わることになる。この場合、前側の
アール部16が殆ど変形されないため、この力に抗して
浅い腰掛状態を維持しようとしていると、臀部に強い反
力が加わることになる。このため、浅く腰掛けた者は痛
感を催し、自然に正しい姿勢で腰掛けざるを得なくな
る。
【0027】また、着席状態において、着席姿勢の変更
や、車両の走行に伴う加速度および振動による姿勢の変
動等により各ばね部材12に横方向の分力が作用した場
合、ばね部材12における前後の支柱部13および14
は前後のアール部16および17に比較して撓みにくい
ため、横方向に過度に変形することはない。万一、きわ
めて強い横方向の力が作用したとしても、各ばね部材1
2は適当なピッチで並べられて互いに支え合うため、か
つ、横倒れ防止用コイルばね25や位置規制用コイルば
ね23、24により連結されているため、横倒しになる
ことはない。
【0028】前記実施例によれば次の効果が得られる。 (1) ばね部材群は一対の連結部材によってばね部材
組立体に組み立てられた状態になっているため、組立体
を蒲団枠に載せる際に、位置決め凸部を蒲団枠に開設さ
れた各小孔に挿入することにより、ばね部材群を蒲団枠
に組み付けることができる。したがって、鉄道車両に艤
装された座席用座蒲団の更新に際して、更新しようとす
る座席用座蒲団の蒲団枠の上にばね部材組立体を搭載す
るとともに、クッション体を構築することにより組み付
けることができるため、更新しようとする座席用座蒲団
の蒲団枠を活用することができ、作業性や経済性等の点
で有利である。
【0029】(2) 門形状に形成されたばね部材を複
数本、一対の連結部材の間に横に並べて連結することに
より、荷重の支持においてばね部材をそれぞれ独立させ
ることができるため、着席による歪が両脇に拡散するこ
とを抑止して歪を個々の着席者の範囲に限定することが
できる。したがって、浅く腰掛けた場合や体重差等によ
る隣合う者相互の悪影響を防止することができ、その悪
影響に伴う迷惑や不快感を防止することができる。ま
た、浅く腰掛けた場合、臀部に強い反力を加えられるこ
とになるため、正しい姿勢に自然に矯正させることがで
きる。
【0030】(3) 梁部の両端部にアール部を設ける
ことにより、梁部の中央部が自然に沈み込んで着席者の
臀部に沿った形状になるため、臀部を均一に支持するこ
とができるとともに、着席者に深い腰掛姿勢をとらせる
ことができるため、正しい姿勢で腰掛けさせることがで
きる。
【0031】(4) ばね部材を断面円形の鋼線を用い
て折り曲げ形成することにより、強度、加工性、重さ、
経済性等の面において利益を得ることができるばかりで
なく、応力集中が回避され、弾性変形が緩やかに配分さ
れるため、座り心地を一層向上することができる。ま
た、渦巻きスプリング、ネットスプリング、スプリング
支え網を使用せずに、ばね部材によりフローティング支
持することができるため、従来の座蒲団に比べて大幅に
軽量化することができ、省エネルギ等の要請による鉄道
車両の軽量化を促進することができる。
【0032】(5) ばね部材が連結部材にリング形状
部によって連結され、位置決め用圧縮コイルばねによっ
て軸方向の位置が規制される連結構造が採用されている
ため、ばね部材を連結部材に溶接作業を使用せずに連結
することができ、その結果、ばね部材の連結部材への組
付作業性を大幅に高めることができるとともに、製造費
用および設備費用を大幅に軽減することができる。
【0033】(6) また、ばね部材が連結部材にリン
グ形状部によって連結されていることにより、ばね部材
の梁部に着席者の荷重が加わった状態で、車両の振動が
加わった場合に、支柱部のリング形状部が連結部材の外
周を振動に対してずれながら極微少に往復摺動すること
により、支柱部が門形の内外方向に極微少量だけ倒れ込
むような現象が引き起こされるため、車両振動時におけ
る座り心地がより一層ソフトになり、より一層快適な座
り心地を確保することができる。
【0034】図3は本発明の他の実施例である鉄道車両
用座席の座蒲団の主要部を示しており、(a)は分解斜
視図、(b)は(a)のb部の拡大部分斜視図である。
【0035】本実施例2が前記実施例1と異なる点は、
各ばね部材12の前側支柱部13および後側支柱部14
が前側連結部材21および後側連結部材22に前後の溶
接部28および29によってそれぞれ固定的に連結され
ている点にある。
【0036】本実施例2においても、ばね部材12群は
一対の連結部材21、22によってばね部材組立体11
に組み立てられた状態になっているため、組立体11を
蒲団枠26に載せる際に、位置決め凸部18、19を枠
部材26a、26に開設された各小孔27に挿入するこ
とにより、ばね部材12群を蒲団枠に組み付けることが
できる。したがって、鉄道車両に艤装された座席用座蒲
団が更新されるに際しては、ばね部材組立体11をその
蒲団枠26に搭載するとともに、クッション体30を構
築するだけで簡単に組み付けることができるため、更新
前の座席用座蒲団の蒲団枠を活用することができ、作業
性や経済性等の点で有利である。
【0037】また、門形状に形成されたばね部材12が
複数本、一対の連結部材21、22の間に横に並べて連
結されているため、前記実施例1と同等の作用効果を得
ることができる。
【0038】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々
変更可能であることはいうまでもない。
【0039】例えば、ばね部材組立体11の下端辺に下
向きに突設される位置決め凸部は、ばね部材12の支柱
部13、14を延長して構成するに限らず、連結部材2
1、22に突設してもよい。
【0040】蒲団枠は座席に既に設備されたものを活用
するに限らず、新たに製造してもよいことはいうまでも
ない。既に設備された蒲団枠を使用しない場合には、工
場で製造された座席用座蒲団を鉄道車両用座席の脚台に
組み付けるようにしてもよいし、鉄道車両にばね部材組
立体および蒲団枠を搬入して車両内で座席用座蒲団に組
み上げてもよい。
【0041】クッション体はばね部材組立体が蒲団枠に
組み付けられた後に、ばね部材組立体に組み付けるに限
らず、ばね部材組立体に先に組み付けてもよい。
【0042】ばね部材群の本数およびピッチ、ばね部材
の断面形状、外径寸法、弾性係数、およびアール部の形
状、弾性変形量の配分等は、使用条件等を勘案した上
で、人間工学等の理論並びに実験やコンピュータ・シュ
ミレーション等による経験的な解析手法等により前述し
たような作用や効果が得られるように、適切に選定する
ことが望ましい。
【0043】このとき、ばね部材群のピッチが過大であ
ると、1本の負担荷重が大きくなる、臀部に局所的圧迫
感や痛みを催す、ばね部材が倒れ易くなる等の傾向があ
る。反対に、ばね部材群のピッチが過小であると、着席
による歪の拡散防止効果が薄れる、重量が増大しコスト
増を招来する等の傾向がある。したがって、ばね部材群
のピッチは、10〜30mm程度に設定することが望ま
しい。
【0044】ばね部材および連結部材は鋼線により形成
するに限らず、エンジニヤリング・プラスチック等適当
な弾性力と機械的強度を備えた材料により構成してもよ
い。プラスチックを材料とするときには、ばね部材と連
結部材とは一体成形法や溶着法および接着法によって連
結してもよい。
【0045】ばね部材は支柱部が垂直に立てられた門形
状に構成するに限らず、支柱部が前後方向に傾斜された
台形のアーチ形状に構成してもよい。
【0046】以上の説明では主として本発明者によって
なされた発明をその背景となった利用分野である鉄道車
両用の座席に適用した場合について説明したが、それに
限定されるものではなく、自動車等各種車両用座席は勿
論、固定的な施設における複数人用または一人用の座席
にも適用することができ、特に、不特定な複数人が腰掛
ける座席に適用して優れた効果を奏する。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ばね部材群は一対の連結部材によってばね部材組立体に
組み立てられた状態になっているため、組立体を蒲団枠
に載せる際に、位置決め凸部を蒲団枠に形成された各位
置決め凹部に挿入することにより、ばね部材群を蒲団枠
に組み付けることができる。したがって、例えば、鉄道
車両に艤装された座席用座蒲団の更新に際して、更新し
ようとする座席用座蒲団の蒲団枠の上にばね部材組立体
を搭載するとともに、クッション体を構築することによ
り、組み付けることができるため、更新しようとする座
席用座蒲団の蒲団枠を活用することができ、作業性や経
済性等の点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である鉄道車両用座席の座蒲
団の主要部を示しており、(a)は分解斜視図、(b)
は(a)のb部の拡大部分斜視図である。
【図2】その座席用座蒲団を示す側面断面図である。
【図3】本発明の他の実施例である鉄道車両用座席の座
蒲団の主要部を示しており、(a)は分解斜視図、
(b)は(a)のb部の拡大部分斜視図である。
【符合の説明】
10…座席用座蒲団、11…ばね部材組立体(ばね部材
群と連結部材の組立体)、12…ばね部材、13…前側
支柱部、14…後側支柱部、15…梁部、16…前側ア
ール部、17…後側アール部、18…前側位置決め凸
部、19…後側位置決め凸部、21…前側連結部材、2
2…後側連結部材、21a、22a…ストッパーリン
グ、23、24…位置規制用圧縮コイルばね、25…横
倒れ防止用圧縮コイルばね(横倒れ防止部材)、26…
蒲団枠、26a、26b…前後の枠部材、27…小孔
(位置決め凹部)、28、29…溶接部、30…クッシ
ョン体、31…下張り布、32…フエルト、33…ポリ
ウレタンフォーム、34…中張り布、35…表地。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷重を支えるばね部材が、上下方向に延
    在するようにそれぞれ配されている前後一対の支柱部
    と、両支柱部の上端間にそれぞれ交差する方向に延在す
    るように架橋されている梁部とを有する門形状に形成さ
    れており、このばね部材は複数本が蒲団枠上に互いに平
    行に並べられて両支柱部の下端部において位置規制され
    ている座席用座蒲団において、 前記ばね部材群に一対の連結部材が各ばね部材の両支柱
    部における下端部にて交差する方向に配設されていると
    ともに、各ばね部材は両連結部材に、支柱部の下端部が
    連結部材に対して軸方向を位置規制された状態で連結さ
    れており、 さらに、このばね部材群と連結部材の組立体の下端辺に
    は位置決め凸部が複数下向きに突設されており、 この組立体は前記蒲団枠の上に載置されているととも
    に、位置決め凸部が蒲団枠に形成された位置決め凹部に
    上側から挿入されていることを特徴とする座席用座蒲
    団。
  2. 【請求項2】 各ばね部材の支柱部の下端部は連結部材
    に、その下端部が連結部材に巻き付けられて、かつ、各
    ばね部材の支柱部における下端部に圧縮コイルばねが、
    複数巻き宛が隣合う支柱部間にそれぞれ押し込まれた状
    態で交差する方向にそれぞれ架設されて、連結されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の座席用座蒲団。
  3. 【請求項3】 各ばね部材の支柱部の下端部は連結部材
    に溶接によって連結されていることを特徴とする請求項
    1に記載の座席用座蒲団。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP2105382A1 (en) 2008-03-28 2009-09-30 Toyo Jidoki Co., Ltd. Empty bag supply method and empty bag supply device

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