JP2587101B2 - 比例電磁式流量調整装置 - Google Patents

比例電磁式流量調整装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、流量指示信号に応じて流量を調整する比
例電磁式流量調整装置に関する。
〔従来の技術〕
例えば、化学工業のプラントにおいて、各種の原材
料,中間製品,製品等の各工程毎に、全プラントを集中
管理する中央管制装置からの指示に応じて、流体の流量
を調整する調整弁が多数使用されている。
流量調整が迅速正確に行なわれないと、爆発等の重大
事故を招く恐れがあるから、調整弁には各種の厳しい性
能が要求される。
第8図は、入力する流量指示信号に応じて、調整弁の
一種である比例電磁式流量調整弁を作動させるフイード
バツクループの従来例の基本的構成を示すブロツク図で
ある。
同図において、電気信号系は実線、軸のような機械系
は太い実線、流体の流れは破線でそれぞれ示し、以下同
様である。
同軸上に配置されたスプール弁1,比例ソレノイド2及
び位置センサ3の各可動部は互いに軸で結ばれ、スラス
ト方向に摺動する。
スプール弁1は比例ソレノイド2により駆動されてそ
のオリフイスの開度が変化し、通過する流体の流量を調
整する。
位置センサ3はオリフイスの開度を変えるスプールの
位置S(開度0の点を原点とする)を検出して位置信号
ESを出力し、電圧増幅部(AMP)8は位置信号ESを増幅
し、フイードバツク信号EFBとして比較部(CMP)5に出
力する。
比較部5は、図示しない中央管制装置等から入力する
指示信号EIと、電圧増幅部8から入力するフイードバツ
ク信号EFBとを比較して、その差信号EDを位相補正回路
6に出力する。
位相補正回路6は公知のように、微積分回路,遅延回
路,ダンピング回路等から構成され、フイードバツクル
ープ内の波形歪や伝達遅れ等による発振を防止し、同ル
ープを安定して作動させるためのものである。
位相補正された差信号は電流増幅部7により増幅さ
れ、駆動電流ISとして比例ソレノイド2に出力される。
比例ソレノイド2は、駆動電流ISに比例してスプール
弁1のスプールの位置Sを設定する。
したがつて、指示信号EIに比例してスプール弁1のス
プールの位置Sが設定され、その位置Sに応じて流量Q
が決定される。
〔発明が解決しようとする課題〕
一般に、流量調整弁はオリフイスの形状を3角形ある
いは半円形(円形の半分だけを使用する)等にして、低
流量域における制御性能を向上させている。
そのため、例えば3角形オリフイスの場合、その開度
面積Aはスプールの位置Sの自乗に比例する等、弁の開
度(開口面積Aのその最大値に対する比)とスプールの
変位量(位置)Sとが非直線関数になつていることが多
い。
流量係数をC,開口面積をA,弁部の差圧をΔP,流体の密
度をρ,重力加速度をgとすれば、流量Qの一般式は次
の式(1)で表わされる。
ここで、開口面積Aはスプールの位置Sの非直線関数
A(s)であるから、スプールの位置Sが指示信号EI
比例して正しく設定されても、流量Qは比例せず、指示
信号EIに応じて増減するだけであつた。
したがつて、流量Qを所要の値に制御する場合は、予
めその流量指示信号EQIを上記非直線関数の逆関数によ
り指示信号EIに変換しておく必要があつた。
また、開口面積Aが一定であつても、流体の圧力が変
つてスプール弁の差圧ΔPが変動すると、ΔPの平方根
に比例して流量Qが変化する。
さらに、流体の温度が変ると、熱膨張のため密度ρが
変化しその平方根に反比例して流量Qが変化するが、さ
らに、流体の粘性が変ることによる流量係数Cの変化が
大きく影響する。
この発明は、スプールの変位量と弁の開度とが非直線
関数をなすスプール弁を備えた比例電磁式流量調整装置
において、流量が流量指示信号に比例するようにするこ
とを目的とする。
さらに、流体の差圧や温度が変動しても、流量が正し
く流量指示信号に比例する比例電磁式流量調整装置を提
供することも目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明による比例電磁
式流量調整装置は、スプールの変位量と弁の開度とが非
直線関数をなすスプール弁のスプールを変位させる比例
ソレノイドと、そのスプールの位置を検出して位置信号
を出力する位置センサと、上記非直線関数とほぼ等しい
伝達関数を有し、位置信号を開度信号に変換して出力す
るリニアライズ回路と、外部から入力する流量指示信号
と開度信号とを比較してその差信号を出力する比較部
と、差信号に応じて比例ソレノイドを駆動する電流増幅
部とから構成されるフイードバツクループを設けたもの
である。
また、スプール弁の差圧をほぼ一定にする圧力補償弁
を設けるとよい。
さらに、スプール弁を通過する流体の温度を検出して
温度信号を出力する温度センサと、フイードバツクルー
プ内に介挿され温度信号に応じて温度補償を行なう温度
補償回路とを設けるとよい。
〔作 用〕
この発明は、上記のように構成することにより、スプ
ール弁の開口面積Aに比例した開度信号と流量指示信号
とを比較して比例ソレノイドを制御するので、流量Qを
流量指示信号EQIが指示する流量になるように制御する
ことができる。
また、圧力補償弁を設けることにより、流体圧力が変
動しても指示された流量を保持することができる。
さらに、温度センサと、フイードバツクループ内に温
度補償回路とを設けることにより、流体の温度変化によ
る流量の変動を除去することができる。
〔実 施 例〕
以下、この発明を実施例を図面に基づいて具体的に説
明する。
第4図は、圧力補償弁20を備えたスプール弁1の構造
例を示す断面図であり、圧力補償弁20については後で詳
しく説明する。
流入口1aからスプール弁1に流入した流体(矢印は流
れの方向を示す)は、スプール10のネツク10aとシリン
ダ11との間に形成された流路通つて、シリンダ11に設け
られた三角開口11aとスプール10のエツジ10bとが形成す
るオリフイス12に達する。
オリフイス12により流量調整された流体は、流出口1b
から流出する。
スプール10は、ばね13により常に上方に付勢されてい
るから、比例ソレノイド2が駆動されてその可動軸2aが
下ると、その駆動力とばね13の付勢力とが釣り合つた位
置に停止し、オリフイス12の開口面積Aが決定される。
スプール10とシリンダ11の摺動面から洩出した流体
は、洩出口1cからタンク14に回収される。
三角形のオリフイス12の開口面積Aは、スプール10の
位置S(オリフイス12の閉止位置からの移動量)の自乗
に比例するから、流入口1aと流出口1bにおける流体の各
圧力P1,P2の差圧ΔP=P1−P2と流体の温度Tとが一定
であれば、流量Qは開口面積Aに比例し、位置Sの自乗
に比例する。
すなわち、この時の位置Sに対する弁の開度の関数は
自乗関数である。
第5図は、比例ソレノイド2と位置センサ3の一例を
示す説明図である。
すでに説明したように、スプール弁1,比例ソレノイド
2,位置センサ3は同軸上に配置され、比例ソレノイド2
の可動軸2aはスプール弁1のスプール10をばね13の付勢
力に抗して移動させる。
比例ソレノイド2は、固定された空心のコイル40と、
例えば軟鉄よりなるプランジヤ41とから構成され、プラ
ンジャ41の両端にはそれぞれ非磁性体の可動軸2a,2bが
固定され一体になつて摺動する。
コイル40に駆動電流ISが流れると、プランジヤ41は矢
印方向に駆動力が発生する。
位置センサ3は、差動トランス(リニア差動トラン
ス:LVDT)42と、LVDTドライバ43とからなる。
差動トランス42は、それぞれ固定された1次コイルLP
と2次コイルLA,LB及び比例ソレノイド2の可動軸2bと
一体に接合された鉄心44とから構成され、2次コイル
LA,LBは互いに逆極性になるように直列接続されてい
る。
LVDTドライバ43は、1次コイルに接続された発振回路
45と、2次コイルに接続された同期復調回路46とから構
成され、発振回路45が発振した交流信号は1次コイルLP
と同期復調回路46とに出力される。
差動トランス42の1次コイルLPに交流信号が入力する
と、鉄心44を介して2次コイルLA,LBにそれぞれ誘導電
圧が発生する。
鉄心44が2次コイルLA,LBの磁気的中心点にある時
は、その両コイルの誘導電圧が等しいから互いに打消し
合つて誘導信号は0である。
鉄心44が中心点から右へ移動すると、2次コイルL
A(LB)の誘導電圧が大きく(小さく)なるから、同期
復調回路46の+端子には交流信号と同位相で移動量に比
例した誘導信号が入力する。
反対に、鉄心44が中心点から左へ移動すると、逆位相
で移動量に比例した誘導信号が入力する。
同期復調回路46は、この入力誘導信号を発振回路45か
ら入力する交流信号に同期して検波復調し、鉄心44の位
置すなわちスプール弁1のスプール10の位置Sに比例し
た位置信号ESとして出力する。
第1図乃至第3図は、それぞれ請求項1乃至3に対応
する第1乃至第3実施例の基本的構成を示すブロツク図
であり、それぞれ第8図に示した従来例を含め同一部分
には同一符号を付している。
第1図に示した第1実施例は、従来例における電圧増
幅部8の代りに、リニアライズ回路4を設けたものであ
る。
リニアライズ回路4は、その伝達関数がスプールの位
置(変位量)Sと弁の開度との非直線関数と同一あるい
はほぼ等しい回路である。
例えば、第4図に示したスプール弁1のように、位置
Sに対する弁の開度が自乗関数である場合には、例えば
アナログ・デバイセズ社のリアルタイム・アナログ演算
ユニツトAD538等が適している。
このモノシリツク構造を有するユニツトAD538は、外
部接続の抵抗によつて累乗,累乗根の演算をプログラム
することが可能であるから、容易にその伝達関数を自乗
関数に設定することができる。
したがつて、リニアライズ回路4は位置センサ3から
出力されるスプール10の位置信号ESを入力して開度信号
EAに変換し、フイードバツク信号EFBとして比較部5に
出力する。
これにより、流量指示信号EQIをそのまま比較部5の
他の入力端子に入力すれば、スプール弁1のオリフイス
12は流量指示信号EQIに比例した開口面積Aに設定さ
れ、流量指示信号EQIが変化しても直ちに追従して開口
面積Aが変化するから、流体の流量Qは流量指示信号E
QIに比例して調整される。
しかるに、開口面積Aが正しく追従しても、式(1)
に示したように、スプール弁1にかかる差圧ΔPが変れ
ば流量Qは差圧ΔPの平方根に比例して変化するから、
流量Qを正確に調整するためには、差圧ΔPを一定にし
なければならない。
第2図に示した第2実施例は、第1実施例(第1図)
のスプール弁1の前に圧力補償弁20を設けて、差圧ΔP
を一定にしたものである。
第4図において、圧力補償弁20は、第1シリンダ21と
第2シリンダ22と弁23とばね24とから構成されている。
圧力P0の流体は流入口20aから流入し、第1シリンダ2
1と弁23のエツジによつて形成されるオリフイス20bを通
ることにより圧力P1まで減圧されたのち、流入口1aとの
接合部を経てスプール弁1に流入する。
弁23の下端は、第1シリンダ21より径が大きい第2シ
リンダ22と同一径のピストン23aになつている。
第4図から明らかなように、ピストン23aの上面(弁2
3の上端面を含む)には圧力P1が、その下面には圧力P2
がかかり、さらにばね24により上方へ付勢されている。
したがつて、弁23は差圧ΔP(=P1−P2)とピストン
23aの断面積と積による下向きの力と、ばね24による上
向きの力とがバランスした位置で静止している。
ばね24の付勢力は、弁23の可動範囲内では一定になる
ように設定されているから、その付勢力をピストン23a
の断面積(一定)で割つた値すなわち差圧ΔPが一定に
保持される。
流入口20aにおける流入圧力P0が増大(減少)すれ
ば、圧力P1したがつて、差圧ΔPが増大(減少)いて、
弁23をばね24に抗して押下げ(押上げ)、オリフイス20
bの面積が減少(増大)するから、それによる減圧量
(=P0−P1)が増大(減少)して圧力P1をもとの値に戻
し、差圧ΔPが一定に保たれる。
流出口1bにおける流出圧力P2が減少(増大)しても、
同様に弁23を押下げ(押上げ)て、差圧ΔPが一定にな
るように圧力P1を減少(増大)させる。
したがつて、第2実施例によれば、流入圧力P0及び流
出圧力P2が変化しても、スプール弁1にかかる差圧ΔP
は一定に保たれているから、流量Qは第1実施例の場合
よりも正確に調整される。
以上説明したように、流量指示信号EQIに対してオリ
フイスの開口面積Aをリニアに制御し、差圧ΔPの変動
の影響を排除することができる。
しかしながら、温度が上昇すると流体が膨張して密度
ρが減少し、粘性が減少して流量係数Cが増大する。
式(1)から明らかなように、いずれも流量Qを増大
する方向に作用するから、温度変化による流量の変動は
避けられない。
一般に、オリフイスの断面を薄刃状に形成することに
より、温度の影響を受け難くしている。
この構造は流量Qが大きい時は有効に働くが、流量が
小さくなると効果が減少する。
第6図はその一例を示す流量の温度特性図であり、横
軸に流体の温度Tを、縦軸に流量Qをとつている。
同図から明らかなように、20℃を基準として流体温度
が上昇すると、流量100cc/分(A)では変化が少ない
が、50cc/分(B)では変化量が最大になり、小流量15c
c/分(C)では変化量の絶体値は減少するが、その相対
値はさらに大きくなつている。
第3図に示した第3実施例は、第2実施例(第2図)
に温度センサ30と温度補償回路31とを加えて、流体温度
が変化しても流量Qが変わらないようにしたものであ
る。
温度センサ30は、温度電気変換素子例えばサーミスタ
あるいはサーミスタを含むブリツジ回路等からなり、温
度信号ETを温度補償回路31に出力する。
温度センサ30の位置は流体中にあることが望ましい
が、流れを阻害しないため、第4図に示したように、ス
プール弁の一部に設けてもよい。
温度補償回路31は、例えばそれぞれ図示しないワンチ
ツプ・マイクロコンピユータを主体としI/O,A/Dコンバ
ータ,D/Aコンバータ等より構成され、リニアライズ回路
4が出力する開度信号EAと、温度センサ30が出力する温
度信号ETとを入力して演算し、温度補償した開度信号E
ATをフイードバツク信号EFBとして比較部5に出力す
る。
温度補償回路31の伝達関数すなわち増幅率は、20℃の
基準温度の時に1であり、流量Qに代る開度信号EAと温
度信号ETに応じて、例えば第7図に示すような特性にな
つている。
同図において、A,B,Cはそれぞれ基準温度20℃におけ
る流量Qが100cc/分,50cc/分,15cc/分に対応する開度信
号EAを示している。
このようにすれば、第6図の特性図に示した流量の変
化を補償することができる。
この第3実施例によれば、温度補償した開度信号EAT
は各温度における流量Qに比例した値となつているか
ら、温度が変ればそれに応じてオリフスの開口面積Aを
修正し、温度Tや差圧ΔPが変化しても常に正確に流量
Qを調整することができる。
なお、温度補償回路31は、簡易的なアナログ回路で組
込むことでもよく、またその位置も位置センサ3とリニ
アライズ回路4との間に設けても同様に制御が可能であ
ることはいうまでもない。
ここで流体とは、例えば水,アルコールや作動油等の
純粋な化学物質やその混合物あるいは溶液のような液体
だけでなく、高温で液化した物質や微粉炭を混入した重
油等であつてもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、スプールの
変位量と弁の開度とが非直線関数をなすスプール弁を備
えた比例電磁式流量調整装置において、流量が流量指示
信号に比例するように制御することができる。
さらに、流体の差圧や温度が変動しても、流量が正し
く流量指示信号に比例するように制御することができ
る。
【図面の簡単な説明】 第1図乃至第3図はこの発明による比例電磁式流量調整
装置のそれぞれ第1乃至第3実施例の基本的構成を示す
ブロツク図、 第4図は圧力補償弁つきスプール弁の構造例を示す断面
図、 第5図は比例ソレノイドと位置センサの一例を示す説明
図、 第6図は温度による流量変化の一例を示す特性図、 第7図はこの発明による温度補償回路の伝達関数の一例
を示す特性図、 第8図は比例電磁式流量調整装置の従来例を示すブロツ
ク図である。 1……スプール弁、2……比例ソレノイド 3……位置センサ、4……リニアライズ回路 5……比較部、7……電流増幅部 10……スプール、12……オリフイス 20……圧力補償弁、30……温度センサ 31……温度補償回路
フロントページの続き (72)発明者 木原 和幸 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株 式会社東京計器内 (72)発明者 畠中 浩輔 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株 式会社東京計器内 (56)参考文献 特開 昭63−130980(JP,A) 特開 昭61−124787(JP,A) 特開 昭63−246582(JP,A) 実開 昭63−195170(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スプールの変位量と弁の開度とが非直線関
    数をなすスプール弁を備え、前記スプールを変位させる
    比例ソレノイドと、前記スプールの位置を検出して位置
    信号を出力する位置センサと、前記非直線関数とほぼ等
    しい伝達関数を有し、前記位置信号を開度信号に変換し
    て出力するリニアライズ回路と、外部から入力する流量
    指示信号と前記開度信号とを比較してその差信号を出力
    する比較部と、前記差信号に応じて前記比例ソレノイド
    を駆動する電流増幅部とから構成されるフイードバツク
    ループを設けたことを特徴とする比例電磁式流量調整装
    置。
  2. 【請求項2】スプール弁の差圧をほぼ一定にする圧力補
    償弁を設けた請求項1記載の比例電磁式流量調整装置。
  3. 【請求項3】スプール弁を通過する流体の温度を検出し
    て温度信号を出力する温度センサと、フイードバツクル
    ープ内に介挿され前記温度信号に応じて温度補償を行な
    う温度補償回路とを設けた請求項1または2記載の比例
    電磁式流量調整装置。
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