JP2579528B2 - 浸透装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、開粒度アスファルトコンクリート等の骨材
空隙に流動状のセメントペースト等の混合物を浸透させ
る浸透装置に関する。

〈従来の技術〉 剛性に富みかつ可撓性を有する半剛性舗装体を形成す
るために、路盤上に敷設された開粒度アスファルトコン
クリート（以下アスコンと略す）表面の骨材空隙に、セ
メントを主体とするセメントペーストを、浸透させるよ
うにしている。かかるセメントペーストの浸透を従来に
おいては以下のように行っている。

すなわち、ミキサにより撹拌混合されたセメントペー
ストを人力にてアスコン表面に散布した後、セメントペ
ーストをゴムレーキにより敷広げる。そして、小型振動
ローラを複数回往復動させて小型振動ローラによりアス
コン表面及びセメントペーストに振動を加えてアスコン
表面の骨材空隙にセメントペーストを浸透させるように
している。さらに、浸透作業が終了してから、アスコン
表面に残留する余剰セメントペーストをゴムレーキによ
り掻取るようにしている。

〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、このような従来のものでは、セメント
ペーストの散布を人力により行うとともに浸透さのょう
を締固め作業用の小型振動ローラを用いて行うようにし
ているので、セメントペーストを均一に散布できず、ま
た浸透作業に時間がかかると共に浸透むらが発生すると
いう不具合があった。また、余剰セメントペーストの掻
取りに多くの人力と時間とを要する不具合があった。

本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、
浸透作業能率の向上と浸透の均一化とを図れると共に掻
取作業の簡易化を図れる浸透装置を提供することを目的
とする。

〈課題を解決するための手段〉 このため、請求項１においては、流動状混合物を貯留
する貯留装置と、該貯留装置の流動状混合物を敷設され
た構造物表面に散布する散布装置と、散布された流動状
混合物を前記敷設された構造物の空隙に浸透される振動
装置と、該振動装置後方に残留する余剰流動状混合物を
掻取る掻取装置と、掻取られた余剰流動状混合物を回収
する回収装置と、を車両に備えるようにした。

また、請求項２においては、請求項１に加えて回収さ
れた余剰流動状混合物を振動装置前方の構造物表面に還
流させる還流装置を、備えるようにした。

また、請求項３においては、請求項１又は請求項２に
おける散布装置と振動装置との少なくても一方に、流動
状混合物を振動させる超音波振動装置を備えるようにし
た。

〈作用〉 そして、請求項１においては、車両を走行させつつ貯
留装置の流動状混合物を敷設された構造物表面に散布し
た後浸透させ、さらに余剰流動状混合物を回収するよう
にした。

また請求項２においては、回収された余剰流動状混合
物を還流させ再利用するようにした。

また、請求項３においては、流動状混合物を超音波振
動させることにより、浸透性等を向上できるようにし
た。

〈実施例〉 以下に、本発明の請求項１及び請求項２に対応する実
施例を第１図〜第３図に基づいて説明する。

第１図及び第２図において、車両本体１には、ステア
リング機構（図示せず）により操作される前輪２と駆動
機構（図示せず）により回転駆動される後輪３と、が設
けられている。前記車両本体１の前部にはミキサ（図示
せず）から供給される流動状混合物としてのセメントペ
ーストを貯留する貯留装置としてのアジテータ４が設け
れられ、車両本体１の中央部には前記駆動装置及び後述
する各機器の駆動源となる発電機５が設けられている。
また、発電機５後方の車両本体１には運転席６が設けら
れている。

前記車両本体１の両側部には高さ調整用アーム7aの一
端部が略垂直面内を揺動自由に取付けられ、これら高さ
調整用アーム7aの他端部にはレベリングアーム７の前端
部が略垂直面内を揺動自由に夫々取付けられている。こ
れらレベリングアーム７の後端部には型枠状のフレーム
７が車両後方に位置させて取付けられている。前記フレ
ーム８には車巾方向に延設されたガイドレール９が車両
前後方向に所定間隔で複数取付けられている。

前記各ガイドレール９には板状の支持部材10が車巾方
向に移動自由に夫々取付けられている。前記フレーム８
の両側部には施工巾調整用油圧シリンダ11が複数取付け
られ、この油圧シリンダ11は前記支持部材10を車巾方向
に移動するようになっている。ここで、前記支持部材10
は、第２図及び第３図中矢印の如く車両前後方向にて交
互に車巾方向への移動が逆向きになるようになってい
る。前記支持部材10の下面には、第３図に示すように、
電動モータ式高周波振動装置12が所定間隔で配設されて
取付けられ、これら高周波振動装置12の下面が敷設され
た構造物としてのアスコン表面に当接しアスコン表面及
びセメントペーストに高周波振動を加えるようになって
いる。

前記一つおきの支持部材10の側部にはセメントペース
ト流出防止用の側方シール部材13が夫々取付けられ、こ
れら側方シール部材13の前端部にはセメントペースト流
出防止用の前方シール部材14が車巾方向に延設されて取
付けられている。

前記高周波振動装置12の後方において、前記側方シー
ル部材13には第１スクレーパ15が車巾方向に延設されて
取付けられ、第１スクレーパ15は余剰セメントペースト
を薄く掻取って前方の高周波振動装置12に供給するよう
になっている。また、第１スクレーパ15の後方におい
て、前記側方シール部材13には余剰セメントペーストを
掻取る第２スクレーパ16が車巾方向に延設されて取付け
られている。さらに、第２スクレーパ16の後方におい
て、前記側方シール部材13には余剰セメントペーストを
さらに掻取る第３スクレーパ17が車巾方向に延設されて
取付けられている。ここで、前方シール部材14,第１〜
第３スクレーパ15〜17は、前記支持部材10が車巾方向に
移動するに伴って、車巾方向長さが変化するようになっ
ている。また、前記第２及び第３スクレーパ16,17が掻
取装置を構成する。

前記第２スクレーパ16と第３スクレーパ17との間には
余剰セメントペーストを吸引する吸引パイプ18が車巾方
向に延設されて配設され、吸引パイプ18の両端部は下方
に折曲され吸引口18aがアスコン表面に近接させて設け
られている。前記吸引パイプ18の中央部には吸引ポンプ
19が取付けられ、この吸引ポンプ19は油圧モータ20によ
り回転駆動されて前記吸引口18aから余剰セメントペー
ストを吸上げるようになっている。したがって、吸引パ
イプ18と吸引ポンプ19とが回収装置を構成する。また、
吸引ポンプ19の吐出口には循環パイプ21の一端部が接続
され、還流装置としての還流パイプ21の他端開口部は前
記高周波振動装置12と前記前方シール部材14との間に位
置されている。そして、吸引ポンプ20により吸引された
余剰セメントペーストを前記高周波振動装置12前方のア
スコン表面に戻すようにしている。

前記フレーム８の後端部には高さ調整用補助車輪22が
設けられ、ハンドル23を回転させることによりフレーム
８の後端部の高さすなわち高周波振動装置12の高さを調
整するようになっている。また、前記レベリングアーム
７の前端部には高さ調整用油圧シリンダ24のピストンロ
ッドが揺動自由に取付けられ、この油圧シリンダ24の操
作によりレベリングアーム７の前端部の高さを高さ調整
用アーム7aを揺動させて調整するようになっている。ま
た、レベリングアーム７の後部には車両本体１に取付け
られた上下動用油圧シリンダ25のピストンロッドが揺動
自由に取付けられている。そして回送時に、この油圧シ
リンダ25の操作によりレベリングアーム７を前端部を中
心に揺動させ、前記フレーム８及び高周波振動装置12等
を第１図中鎖線示の如く上動させるようになっている。

また、前記アジテータ４には撹拌装置26が設けられ、
この撹拌装置26はベベルギヤ27を介して油圧モータ28に
より回転駆動される。また、アジテータ４の外部にはア
ジテータ４内のセメントペーストを排出する排出ポンプ
29が設けられ、排出ポンプ29の吐出口は排出パイプ30の
一端部に接続されている。前記排出パイプ30の他端開口
部は前記前方シール部材14と高周波振動装置12との間に
位置し、それらの間のアスコン表面上にセメントペース
トを散布させるようになっている。したがって、排出ポ
ンプ29と排出パイプ30とが散布装置を構成する。

尚、31は前記排出ポンプ29を駆動するエアコンプレッ
サである。

次に作用を説明する。

まず、施工巾調整用油圧シリンダ11により支持部材10
を車巾方向に移動させ、施工巾を設定する。

そして、車両本体１を前進させつつ排出パイプ30から
セメントペーストを高周波振動装置12前方のアスコン表
面に所定量ずつ供給する。このとき、車両速度に応じて
セメントペースト排出量を制御する。

そして、アスコン表面上に散布されたセメントペース
ト及びアスコン表面に高周波振動装置12により振動を加
え、アスコンの骨材空隙にセメントペーストを浸透させ
る。

また、アスコン表面に残留する余剰セメントペースト
を第１スクレーパ15により掻取り、前方の高周波振動装
置12に供給する。また、残りの余剰セメントペーストを
第２及び第３スクレーパ16,17により掻取った後、掻取
られた余剰セメントペーストを、吸引パイプ18及び吸引
ポンプ19により吸引回収する。回収された余剰セメント
ペーストを還流パイプ21を介して高周波振動装置12前方
のアスコン表面に還流させ、さらにこの余剰セメントペ
ーストを高周波振動装置12によりアスコンの骨材空隙に
浸透させる。

以上説明したように、請求項１においては、車両を前
進させつつ略一定のセメントペーストをアスコン表面に
散布した後、アスコンの骨材空隙に浸透させ、さらに掻
取られた余剰セメントペーストを吸引回収するようにし
たので、短時間でセメントペーストを略均一に散布でき
ると共に浸透を略均一化でき、もって浸透作業能率を大
巾に向上できる。また、掻取作業も多くの作業員を要す
ることなく短時間で行えるため掻取作業能率を大巾に向
上できる。また、請求項２においては、吸引回収された
余剰セメントペーストを高周波振動装置12の前方に還流
させて浸透させるようにしたので、セメントペーストを
効率良く再利用できる。

尚、高周波振動装置12は、第４図に示すように、２つ
の高周波振動装置を隣接させ３番目の高周波振動装置を
それらから離間指せるようにしてもよい。

また、第５図に示すように、一列毎に高周波振動装置
12を隣接させるとともにそれらを一列毎に枠32で夫々囲
み、さらに各枠32内に排出パイプ30を臨ませセメントペ
ーストを供給するようにした。また排出パイプ30を横断
勾配の高い方に移動できるようにしてセメントペースト
を横断方向に均一に散布できるようにしている。このよ
うにすると、浸透効率を高めることができる。

第６図は請求項３に対応する実施例であり、排出パイ
プ30の中間部にセメントペーストの貯蔵槽33を設けると
ともに貯蔵槽33のセメントペーストを超音波発振器34に
より振動させるようにしている。このようにすると、セ
メントペーストが超音波振動するため、セメントペース
トの浸透を効率良くできるとともにセメントペーストの
固形物（硅砂）の分離を防止でき、またセメントペース
トの配管内への固着を防止できる。

〈発明の効果〉 本発明は、以上説明したように、請求項１において
は、車両を走行させつつ貯留装置の流動状混合物を散布
装置により敷設された構造物表面に散布した後振動装置
により浸透させ、さらに掻取られた余剰流動状混合物を
回収するようにしたので、流動状混合物を略均一に散布
できると共に浸透を略均一化でき、もって浸透作業能率
及び掻取作業能率を大巾に向上できる。

また、請求項２においては、請求項１に加えて回収さ
れた余剰流動状混合物を振動装置前方に還流させるよう
にしたので、請求項１の効果に加えて流動状混合物を効
率良く再利用できる。

また、請求項３においては、流動状混合物を振動させ
る超音波振動装置を設けるようにしたので、流動状混合
物を効率良く浸透させることができるとともに流動状混
合物の配管等への固着を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の請求項１及び請求項２に対応する実施
例を示す側面図、第２図は同上の平面図、第３図は同上
の要部構成図、第４図及び第５図は同上の要部の変形態
様を示す図、第６図は請求項３に対応する実施例を示す
図である。 ４……アジテータ、12……高周波振動装置、18……吸引
パイプ、19……吸引ポンプ、21……還流パイプ、29……
排出ポンプ、30……排出パイプ、34……超音波発振器

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】敷設された構造物の空隙に流動状混合物を
   浸透させる浸透装置において、前記流動状混合物を貯留
   する貯留装置と、該貯留装置の流動状混合物を前記敷設
   された構造物表面に散布する散布装置と、散布された流
   動状混合物を前記敷設された構造物の空隙に浸透させる
   振動装置と、該振動装置後方に残留する余剰流動状混合
   物を掻取る掻取装置と、掻取られた余剰流動状混合物を
   回収する回収装置と、を車両に備えたことを特徴とする
   浸透装置。
2. 【請求項２】回収された余剰流動状混合物を振動装置前
   方の構造物表面に還流させる還流装置を備えたことを特
   徴とする請求項１記載の浸透装置。
3. 【請求項３】散布装置と振動装置との少なくても一方
   に、流動状混合物を振動させる超音波振動装置を備えた
   請求項１又は請求項２記載の浸透装置。