JP2577091C - - Google Patents

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JP2577091C
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、遺伝子組換えによって得られた肝実質細胞増殖因子及びそれをコード
する遺伝子に関する。 (従来の技術) 肝臓は、生体中で最も高度に分化の進んだ最大の器官である。これは主に各種栄
養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ホルモン等)の処理(代謝)、貯蔵
、解毒、分解、排せつ等の重要な多種の機能を兼ね備えており、なかでも生体内
中間代謝の中心的な役割を果たすことが知られている。これらの機能を担ってい
る肝実質細胞は生体内において各種のホルモンによる制御下に置かれ、ある場合
にはきわめて旺盛な増殖を示す。例えば、ラットの肝臓のほぼ2/3を切除して
も、約10日後には元の大きさに戻ることが知られており、ヒトでも肝癌患者等
において、部分肝切除とその後の再生による治療法が行われている。肝実質細胞
の増殖による肝再生の機構については従来より数多くの研究が行われ、肝実質細
胞増殖因子の存在が報告されてきた。とりわけ、本発明者らの一部は、ヒト劇症
肝炎患者血漿中には、肝実質細胞増殖活性が極めて高いことを見いだし(Biomed.
Res.,6,231(1985)及びExp.Cell.Res.166,139(1986))、その活性を有する因子を
世界で初めて単一のタンパク質として精製することに成功した(特開昭63-22526
号公報及びJ.Clin.Invest.,81,414(1988))。 このヒト肝細胞増殖因子(以下「hHGF」と略す)は非還元条件下のSDS−
PAGEによる推定分子量が約76000-92000 であり、還元条件下のSDS−PA
GEでは分子量56000-65000 及び32000-35000 の2つのバンドに分かれた。中村
らは、ラット血小板由来の同様な活性を有する因子を報告しており(Biochem.Bio
phys.Res.Commun.122,1450(1984))、SDS−PAGEにより、その推定分子量
は約27000であるとしていたが(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,6489(1986))、
その後、単一のタンパク質として精製し、分子量69000 と34000 との2つのポリ
ペプチドからなる分子量82000 のタンパク質であると報告された(FEBS Letters
,224,311(1987))。これらhHGF及びラットHGF以外には単一のタンパク質
として精製された肝細胞増殖因子は今までに報告されていないし、hHGF及 びラットHGFに関しても、その一次構造及び該当するcDNAの塩基配列につ
いては、なんの報告もなされていない。 (発明の解決すべき問題点) hHGFの生体における詳細な機能あるいは肝障害時における肝再生に対する効
果等を生体外で調べるには、多量のhHGFを必要とするが、劇症肝炎患者血漿
から多量のhHGFを精製することは人的、時間的、経費的に必ずしも容易では
なく、また感染源の存在する血漿中からhHGFのみを安定に取り出すことは困
難を極める。かかる理由からhHGFの劇症肝炎患者血漿からの安定かつ大量の
精製は行われていなかった。 (問題点を解決するための手段) そこで、本発明者らは、hHGFを組換えDNA技術により大量に取得するべく
種々検討した結果、かかる目的に有用なhHGFをコードする遺伝子を初めてク
ローニングすることに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の
要旨は、第1図に示すアミノ酸配列で表される、シグナル配列を含むhHGF、
第1図に示すアミノ酸配列のうち30番目のグルタミン酸残基(Glu)から最
後のセリン残基(Ser)までの配列で表されるhHGF、第1図に示すアミノ
酸配列のうち32番目のグルタミン(Gln)から最後のセリン残基(Ser)
までの配列で表されるhHGF、該アミノ酸配列で表される各hHGFをコード
する遺伝子、第2図に示す塩基配列で表される、シグナル配列を含むhHGFを
コードする遺伝子、第2図に示す塩基配列のうち88番目のGから最後のGまで
の配列で表される遺伝子及び第2図に示す塩基配列のうち94番目のCから最後
のGまでの配列で表される遺伝子に存する。 以下に本発明を説明するに、本発明のhHGFをコードする遺伝子(cDNA)
は例えば第2図に示すような塩基配列を有する。なお、塩基配列は他の相補的な
塩基配列を省略し1本鎖のみを記載した。この遺伝子より組換えDNA技術によ
り例えば第1図に示すアミノ酸配列を有するhHGFを発現させることができる
。この時、hHGFをコードするmRNAから翻訳される蛋白はシグナル配列を
含んでいるが、細胞から分泌される場合にはシグナル配列が切断され、30番目
のグルタミン酸残基(Glu)または32番目のグルタミン残基(Gln)以後 のアミノ酸配列を有するhHGFが産生される。シグナル配列として、他の蛋白
のシグナル配列を利用する事もできる。また、宿主細胞内にシグナル配列のない
成熟hHGFを発現させる場合は、hHGFをコードする遺伝子として第2図に
示す塩基配列のうち88番目のGまたは94番目のCから以後の塩基配列を有す
る遺伝子を、ベクターのATGコドンにつなげて使用すればよい。さらに、本発
明においては、肝実質細胞増殖促進活性を損なわない範囲内で、一部のアミノ酸
または核酸を除去、変更あるいは追加する等の改変を行ったものも本発明に含ま
れる。 本発明のhHGFをコードする遺伝子のDNA断片は例えば次の様な方法によっ
て得られる。劇症肝炎患者血漿より、例えばJ.Clin.Invest.81,414(1988)に記載
された方法によって精製されたhHGFは、還元条件下では、ジスルフィド結合
が切断されて2本のポリペプチドに分かれる。分子量56000-65000 のポリペプチ
ドをH鎖、分子量32000-35000 のポリペプチドをL鎖とする。hHGFを還元処
理し生成したシステイン残基のチオール基をカルボキシメチル化したのち、逆相
高速液体クロマトグラフィーでH鎖とL鎖を分離するか、あるいはhHGFを還
元条件下で電気泳動し、そのゲルからH鎖、L鎖のそれぞれを抽出したのち、例
えばアプライド・バイオシステムズ社製気相プロテインシーケンサーで分析する
ことにより、両鎖のアミノ末端アミノ酸配列を調べることができる。さらに、h
HGF自体を、またはH鎖、L鎖分離後に、適切な蛋白分解酵素例えばアクロモ
バクタープロテアーゼI(リジルエンドペプチダーゼ)で分解し、生成するペプ
チド断片を例えば逆相高速液体クロマトグラフィーで分離したのち、各ペプチド
を上記と同様にしてアミノ酸配列分析すればポリペプチド内部のアミノ酸配列を
知ることができる。これらのアミノ酸配列からDNA塩基配列を推定しオリゴヌ
クレオチドを作成しやすい配列を選定して、そのオリゴヌクレオチド、例えば、
後述の実施例に示すようなオリゴヌクレオチドを合成してプローブとして使用す
る。hHGFをコードする遺伝子をスクリーニングするcDNAライブラリーと
しては、人由来の肝臓cDNAライブラリー、脾臓cDNAライブラリー、胎盤
cDNAライブラリー、等が利用できる。これらのライブラリーはクローンテッ
ク社より販売されている。特に胎盤cDNAライブラリーが望ましい。その他h HGFを発現している細胞株、及び組織材料から常法に従ってcDNAライブラ
リーを作成してもよい。このようなcDNAが組み込まれたλファージをManiat
isらの方法(「モレキュラークローニング」、コールドスプリングハーバーラボ
ラトリー、56頁−73頁(1982))により大腸菌に感染させ培養する。形
成されたプラークをhHGFの一部のアミノ酸配列から推定される塩基配列から
作成したオリゴヌクレオチドをプローブとしてプラークハイブリダイゼーション
法(「モレキュラークローニング」、コールドスプリングハーバーラボラトリー
、320頁−328頁(1982))に従って選択することにより、容易に目的
とするhHGFのアミノ酸配列の一部と同じアミノ酸配列を有しなおかつhHG
Fのアミノ酸配列のプローブ以外の領域に相当する塩基配列をも有する、異なる
λファージクローンをいくつか得ることができる。さらに上記スクリーニング陽
性のプラークからManiatisらの方法(「モレキュラークローニング」、コールド
スプリングハーバーラボラトリー、76頁−79頁(1982))によりファー
ジを増殖させ、そのものからグリセロールグラヂエント法にしたがってDNAを
精製し適切な制限酵素例えばEcoRI等で切断後、pUC18,pUC19等
のプラスミドベクターあるいはM13mp18,M13mp19などの一本鎖フ
ァージベクターにcDNAをサブクローニングし、Sangerらのジデオキシ
法(プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
ユー・エス・エー(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)745463(1977))
に従って目的cDNAセグメントの塩基配列を決定することができる。得られた
クローンの塩基配列を解析しそれらを統合することにより(第3図)hHGFの
一部をコードするcDNAクローン群によって、第1図に示すhHGFの全アミ
ノ酸配列の全てに対応する遺伝子を得ることができる。かくして得られるcDN
Aの発現は、例えば、該DNA群をその塩基配列の順番がhHGFのアミノ酸配
列に従う形でつないでそれらhHGFの全領域を含むDNA断片としこれをpC
DL−SRα296等のプラスミドのプロモーターの下流に翻訳開始コドンAT
Gとフェーズを合わせて接続して蛋白質発現用プラスミドを形成し、該プラスミ
ドで形質転換された動物細胞の宿主内等で行うことができる。次いで、常法に従
い発現された蛋白質を回収することにより本発明のHGFを得ることができる。 上記発現用プラスミドとしては、工業的生産のためには、安定した宿主−ベクタ
ー系を構築することが望ましい。例えば、特願平1−115831号に記載されている
ようなものが挙げられる。具体的には、大腸菌、枯草菌等の微生物を宿主とする
ときは、プロモーター、リボゾーム結合配列、hHGF遺伝子、転写終結因子、
及びプロモーターを制御する遺伝子より成ることが好ましい。プロモーターとし
ては、例えばトリプトファン合成酵素オペロン(trp),ラクトースオペロン
(lac)、リボプロテインのプロモーター(lpp)等が挙げられ、また、t
ac(trp:lac),trc(trp:lac),pac(ファージ:大腸
菌)等のハイブリッドプロモーターでもよい。hHGF遺伝子としてはシグナル
配列に相当する部分を除去したものが好ましいが、シグナル配列に相当する部分
を含むものでも産生されるプレ体からシグナル配列を除くことによってhHGF
を得ることが出来る。使用するプラスミドとしては、大腸菌や枯草菌で多コピー
数になるプラスミド、例えばpBR322系プラスミド、pUB110系プラス
ミド等が望ましい。通常の方法により形質転換された大腸菌、枯草菌などは、通
常の培地を用いて15−42℃で培養すればよい。酵母を宿主とする場合は、酵
母由来のプロモーター、例えばピルビン酸キナーゼ(pYK),ホスホグリセロ
キナーゼ(pGK)等の配列の支配下にhHGF遺伝子を接続し、酵母内に導入
して30℃前後で培養すればよい。 しかしながら、天然のhHGFは糖蛋白であることを考慮すると、宿主としては
動物細胞が望ましい。また、動物細胞を宿主とする場合はシグナル配列に相当す
る部分を含むhHGF遺伝子を導入することにより、シグナル配列が除かれたh
HGFが分泌生産されるという利点が期待される。シグナル配列としてはhHG
Fの本来のシグナル配列以外にもヒト血清アルブミン、インターフェロン、ヒト
・アミラーゼ等のシグナル配列を利用してもよく、その場合は本来のシグナル配
列をコードするDNA断片にかえて、それらのシグナル配列に相当する塩基配列
のDNA断片を5’側に置換すればよい。動物細胞を宿主とする場合、プロモー
ターとしては、SV40後期プロモーター、アポリポプロテインE遺伝子のプロ
モーター、アポリポプロテインA1遺伝子のプロモーター、熱ショック蛋白遺伝
子のプロモーター、メタロチオネイン遺伝子のプロモーター、HSVTKプロモ ーター、アデノウイルスのプロモーター、レトロウイルスのLTR等が挙げられ
るが、SV40プロモーター及びメタロチオネイン遺伝子のプロモーターが好ま
しい。発現ベクターには、hHGF遺伝子の下流にポリアデニル化部位が含まれ
る。ポリアデニル化部位の具体例としては、SV40 DNA,β−グロビン遺
伝子またはメタロチオネイン遺伝子に由来するものが挙げられる。また、β−グ
ロビン遺伝子のポリアデニル化部位及びSV40 DNAのポリアデニル化部位
が連結したものであってもよい。発現ベクターは、形質転換体の選択マーカーを
有していてもよい。発現ベクター中に選択マーカーがなくても、二重形質転換に
より、形質転換された動物細胞を選択できる。このような選択マーカーとしては
、メトトレキセート耐性を与えるDHFR遺伝子、HAT培地中での形質転換t
-株の選択を可能とするヘルペス・シンプレックスウイルス(HSV)のtk
遺伝子、3’−デオキシストレプタミン抗生物質G418に対する耐性を付与す
る大腸菌のトランスポゾンTn5からのアミノグリコシド3’−ホスホトランス
フェラーゼ遺伝子、重層増殖によるウシパピローマウイルス遺伝子、aprt遺
伝子等が挙げられる。また、二重形質転換法により、発現ベクターで形質転換し
た動物細胞を選択するには、上記した選択マーカーとなる遺伝子を含有するプラ
スミドその他のDNAを発現ベクターと一緒に形質転換し、選択マーカーの発現
による上記した表現形質により、形質転換細胞を選択出来る。発現ベクターは、
大腸菌等の細菌由来の複製開始点を有するプラスミド断片を有すると、細菌中で
のクローニングも可能となり有利である。このようなプラスミド断片としてはp
BR322、pBR327、pML等のプラスミド断片が挙げられる。発現ベク
ターに使用されるプラスミドベクターの具体例としては、SV40初期プロモー
ター、ウサギのβ−グロビン遺伝子に由来するスプライス配列DNA,ウサギの
β−グロビン遺伝子からのポリアデニル化部位、SV40初期領域からのポリア
デニル化部位並びにpBR322からの複製開始点及びアンピシリン耐性遺伝子
を含有するpKCR,pKCRのpBR322部分をpBR327で置換し、ウ
サギβ−グロビン遺伝子のエクソン3中に存在するEco R1部位をHind
III 部位に変えたpKCR H2、BPV遺伝子及びメタロチオネイン遺伝子を
含有するpBPV MT1等が挙げられる。発現ベクターで形質転換される動物 細胞としては、CHO細胞、COS細胞、マウスL細胞、マウスC127細胞、
マウスFM3A細胞等が挙げられる。発現ベクターの動物細胞への移入はトラン
スフェクション法、マイクロインジェクション法等により行われるが、その中で
は、リン酸カルシウム法が最も一般的である。移入により形質転換された動物細
胞の培養は、常法により浮遊培養または付着培養で行うことができる。培地とし
ては、MEM,RPMI1640などが一般的である。 産生されたhHGFの分離精製は、劇症肝炎患者血漿からの精製と同様に、ヘパ
リン・セファローズやハイドロキシアパタイト等を用いたカラムクロマトグラフ
ィーにより行うことが出来る。 (発明の効果) 本発明に係わるhHGFをコードする遺伝子は常法により発現ベクターに導入す
ることによって、これを鋳型とする発現によりhHGFまたはhHGF様物質あ
るいはこれを含む融合蛋白を得ることができる。得られる組換えhHGF,hH
GF様物質あるいはhHGFを含む融合蛋白は肝再生促進剤、肝機能改善剤、肝
炎治療剤あるいは肝硬変抑制剤等肝疾患の治療薬となる可能性がある。 (実施例) 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、その要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 〔1〕hHGFの部分アミノ酸配列決定及びプローブの作製 劇症肝炎患者血漿より、J.Clin.Invest.,81,414(1988)に記載された方法に従っ
てhHGFを精製した。これをSDS−PAGEにかけたところ、非還元条件下
では、分子量76000-92000 の位置にややブロードな単一バンドが現れ、還元条件
下では、分子量56000-65000 のややブロードなバンドと分子量32000-35000 のバ
ンドの2つのバンドが現れた。この精製hHGF50μgを5モル濃度の尿素を
含有するpH9の50ミリモル濃度のトリス塩酸緩衝液100μlに溶解し、こ
れに、hHGFに対しモル比で1/200 に相当するアクロモバクタープロテアー
ゼIを加えて37℃で6時間反応させた。生成したペプチド混合物は常法により
還元カルボキシメチル化したのち、J.T.Baker 社製Bakerbond WP Octyl Colum n を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーにより分離して、各ペプチドを分取
した。 6つのペプチドについて気相プロテインシーケンサー(Applied Biosystems社Mo
del470A)を用いてアミノ酸配列分析を行ったところ、表1に示すような配列が
見いだされた。 〔2〕hHGFの一部をコードするcDNAのスクリーニング (1)プラークハイブリダイゼーション スクリーニングを行うλファージcDNAライブラリーとして34週齢のヒト胎
盤由来のcDNA(クローンテック社)のスクリーニングを説明書に従って行っ
た。100万クローンのファージを大腸菌Y−1090株に感染させ24.5cmx
24.5cmのシャーレ中のNZY軟寒天培地〔NZY培地;1%NZ−アミン、
0.5%イーストイクストラクト、0.5%塩化ナトリウム、pH7・5に調整し0.25
%塩化マグネシウムを加えたもの、NZY軟寒天培地;NZY培地に 0.7% になるように寒天沫を加えオートクレイブしたもの〕中で1枚あたり20万クロ
ーンの割合で5枚分を42℃で一晩培養した。次に培地中のλファージクローン
を市販のナイロン膜であるジーンスクリーニングプラス(デュポン社)上に移し
取り、以下に説明するプラークハイブリダイゼーションを行った。即ち、1枚の
シャーレあたりナイロン膜2枚の割合でファージ粒子を移し取り、その様にして
できたナイロン膜を 0.1M水酸化ナトリウム− 1.5M塩化ナトリウムが染み込ん
だろ紙上に2分間静置し別に用意した乾いたろ紙上で水分を除いた後、次に、同
様に2xSSCP(2倍の濃度のSSCP溶液のこと、以下同様の表記方法をと
る。10 x SSCP; 1.2M塩化ナトリウム、150mMクエン酸ナトリウム
、130mM燐酸二水素カリウム、1mMEDTA pH7.2)− 0.2Mトリス
−塩酸(pH7.4)を染み込ませたろ紙上でこのナイロン膜を静置し乾いたろ紙上
で風乾した後、同じ操作を再び繰り返した。こうして処理したナイロン膜は、3
xSSC(20倍の濃度のSSC溶液;3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナ
トリウム)− 0.1% SDSで60℃15分間2回洗浄し、次にナイロン膜1枚
当り5 mlのプレハイブリダイゼーション液〔3xSSC、0.1%SDS、10xD
enhardt’s(50倍の濃度のDenhardt’s溶液;1%BSA(
牛血清アルブミン)1%ポリビニルピロリドン、及び1%フィコール400)、
20μg/ml鮭精子DNA〕に65℃3時間浸した。次に、表1のペプチド4、
すなわち Asn-Met-Glu-Asp-Leu-His-Arg-His-Ile-Phe-Trp-Glu-Pro-Asp-Ala-Se
r-Lys のうちのAsn-Met-Glu-Asp-Leu-His およびHis-Ile-Phe-Trp-Glu-Pro を基
に合成オリゴヌクレオチドを作成した。即ち、前述のアミノ酸配列の順に17塩
基64種類のTH23(5’−T−G−T/C/A/G −A−A/G −A/G −T−C−T/
C −T−C−C−A−T−A/G −T−T−3’)、17塩基24種類のTH24
(5’−G−G−T/C −T−C−C−C−A−A/G −A−A−A/G/T −A−T−
A/G −T−G−3’)を作成した。これらを常法に従いポリヌクレオチドキナー
ゼによりその5’末端を反応液〔50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM塩化マ
グネシウム、10mMメルカプトエタノール、100μM〔γ32P〕ATP、基質D
NA〕中で32P標識した後、常法に従いDEAEセルロースカラムをかけて余分
なモノヌクレオチドを除いた。こうしてできあがった32P標識合成オリゴヌクレ オチドプローブを含むハイブリダイゼーション液〔3xSSC、10xDenha
rdt’s、50μg/ml鮭精子DNA1M塩化ナトリウム、1%SDS、250μg
/ml鮭精子DNA、合成プローブ1種類当り10万c.p.m./ml32P標識プローブ
DNA〕中で前述のフィルターをプローブに応じAまたはTを2℃に、Gまたは
Cを4℃に置き換えて全ての塩基を合計した温度、実際はプローブにより42℃
(TH23)46℃(TH24)で36時間保温した。その後、ナイロン膜を取
り出し、4xSSC溶液中で室温で30分間2回洗い、4xSSC溶液でハイブ
リダイゼーションの時と同じ温度で30分間2回洗った後2xSSC溶液で室温
で15分間2回洗い、オートラジオグラフィーをとった。 2枚1組のナイロン膜のオートラジオグラフィー上のシグナルが一致したものは
6個あった。得られたシグナルに相当するクローンを単離するために、これらシ
グナルと一致する軟寒天培地上のプラークをガラス管で打ち抜き50μlのクロ
ロフォルム存在下1mlのTMG緩衝液〔50mMトリス−塩酸pH7・5、1
00mM塩化ナトリウム、10mM塩化マグネシウム及び0・01%ゼラチン〕
中でファージ粒子を一晩抽出し再び大腸菌Y−1090株に感染させ9cmシャ
ーレ中で適当量培地し前述の方法でプラークハイブリダイゼーションを行った。
この一連の操作を繰り返すことによりシグナルに相当するクローンを各々単離す
ることができた。その結果独立した6個のクローンを得た。そのうち2個のクロ
ーン、すなわちλhHGF21とλhHGF502について、含まれるcDNAの塩基配
列を解析した。 (2)cDNA断片のサブクローニング及び塩基配列の決定 これらのλファージクローンから以下のようにDNAを抽出しプラスミドベクタ
ーpUC18、pUC19及び一本鎖ファージベクターM13mp18,M13
mp19にサブクローニングをおこなった。即ち、500ml三角フラスコ中の 20
0mlのNZY培地中において、200μlのTMG溶液に懸濁してあるλファージ
クローン2 x 107 p.f.u.(p.f.u.;プラーク形成単位)と40μlの大腸
菌Y−1090株2 x 108を37℃15分置くことにより感染させた。15
分後さらに1mlの1M塩化カルシウムを加え一晩、概ね14時間ほど培養した
。次に、2mlのクロロフォルムを加え10分ほど置き、15.8gの塩化ナトリウ ムを加え溶かし、それらを4℃において日立冷却遠心機SCR20BBで、ロー
ターRPR9−2を用いて6000回転20分間遠心した上清に20gのポリエチ
レングリコール6000を加えて十分に溶解した後に氷中で1時間静置した。こ
れを日立冷却遠心機SCR20BBで、ローターRPR9−2において6000
回転20分間遠心し沈澱を6mlのA緩衝液〔0.5%NP40、36mM塩化カル
シウム、30mMトリス−塩酸pH7・5 50mM塩化マグネシウム、125mM塩
化カリウム、0.5mMEDTA、0.25%デオキシコール酸、0.6mMメルカプトエ
タノール〕に懸濁しここに 100μlの10mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼ
Iと10μlの10mg/mlのリボヌクレアーゼAを加え30℃で30分間保温す
ることにより大腸菌由来の核酸を分解した。その後上記反応液に等量のクロロフ
ォルムを加え良く攪はんしたのちにトミー遠心機LC−06、ローターTS−7
で3000回転10分間遠心し上清を得た。 一方予め日立超遠心機ローターRPS40T用遠心管に40%グリセロール溶液〔
0.5%NP40、30mMトリス−塩酸pH7・5、125mM塩化カリウム、0.5m
MEDTA、0.6mMメルカプトエタノール、10%グリセロール〕を1ml入れ
ておきその上に3mlの10%グリセロール溶液〔0.5%NP40、30mMトリス
−塩酸pH7・5、125mM塩化カリウム、0.5mMEDTA、0.6mMメルカプ
トエタノール、40%グリセロール〕を重層して準備しておいた上に先ほどのヌク
レアーゼ処理をしたファージ懸濁液を重層し、日立超遠心機70P72、ロータ
ーRPS40Tで35000回転1時間遠心する。遠心後沈澱として落ちてきた
ファージ粒子を 0.4mlの40mMトリス−塩酸pH7・5、10mMEDTA、
2%SDSに懸濁し4μlの10mg/mlのプロテナーゼKを加えて55℃1時
間保温を行った。その後溶液をエッペンドルフチューブに移し等量のフェノール
/クロロフォルムにてファージDNAを抽出しエタノール沈澱を行うことにより
目的とするファージDNAを 200μg得ることが出来た。このファージDNAを
制限酵素EcoRIで常法で従い切断しアガロース電気泳動法にて解析した。そ
の結果クローンλhHGF21から0.2kbと0.85kbと0.72Kbの3本
のEcoRI断片を得た。一方アガロースゲルから該インサートcDNA断片を
常法に従い回収することにより目的とするcDNA断片を得ることが出来た 。これらcDNA断片 100ngを予め常法に従い制限酵素EcoRIによって切
断しておいたプラスミドベクターpUC18、pUC19及び一本鎖ファージベ
クターM13mp18,M13mp19 200ngと10μlの反応液〔66mMト
リス−塩酸pH7.6、6.6mM塩化マグネシウム、10mMジチオスレイトール
、66μMATP、基質DNA〕中でユニットのT4DNAリガーゼにより結合し
それぞれのベクターに見合った宿主の大腸菌を常法に従い形質転換することによ
りEcoRI挿入部位にHGF蛋白質の部分配列を持つサブクローンを得た。得
られたcDNAサブクローンの塩基配列の決定は、Sangerらのジデオキシ法によ
って行った。プライマーは市販のM13ファージベクターに対応するものを使用
した。その結果、最も長いcDNAを持つクローンλhHGF21の塩基配列をアミ
ノ酸に翻訳すると第1図に示すようにすでに明らかにされているアミノ酸配列の
うちプローブの設計に使用したアミノ酸配列とは異なる領域のアミノ酸配列のう
ちのいくつかを含んでいることが判明し、このクローンがhHGFの少なくとも
一部分の領域を含むcDNAであることが判明した。また、λhHGF21にはない
cDNA断片を含むクローンλhHGF502のcDNAの塩基配列をSanger法に従
い解析した結果、クローンλhHGF502はクローンλhHGF21と同じ塩基配列を
第2図で示す制限酵素切断部位NcoIの近傍から5’上流から数えて三番目の
EcoRI切断部位の近傍までの0.8kbの長さで共有し3’側にλhHGF21
にはない0.7kbの塩基配列をもつことがわかった。λhHGF502の塩基配列
のうちλhHGF21の有しない塩基配列のなかには既に解析されているアミノ酸配
列に相当する塩基配列があることが判明した。これら2つのクローンの塩基配列
を一部が重複する形でつなぎあわせるとhHGFのアミノ酸配列の全てをカバー
することが判明した。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明のhHGFのアミノ酸配列を表す。図中、下線はすでに明らか
にされていたアミノ酸配列を示す。 第2図は、実施例1で得られた本発明のhHGFをコードする遺伝子を含むcD
NAの塩基配列を表す。図中に主な制限酵素の認識部位を併記した。また下線は
すでに明かにされていたアミノ酸配列に対応する部分を示しそのうち二重下線は 最初のクローンを得る際に使用したプローブに対応するアミノ酸配列を表す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)下記のアミノ酸配列で表されるシグナル配列を含む肝実質細胞増殖因子の
    全アミノ酸配列をコードすることを特徴とする遺伝子。 (2)下記の塩基配列で表される、シグナル配列を含む肝実質細胞増殖因子の全
    アミノ酸配列をコードすることを特徴とする遺伝子。

Family

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