JP2575535B2 - 周波数変換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、周波数の異なる系統間で有効電力の授受
を行う周波数変換装置に関するものである。

［従来の技術］ 第３図は従来の周波数変換装置を示す回路図であり、
図において（１），（２）は点弧角を制御することによ
って交流／直流変換を行うコンバータ、（３）はDCリア
クトルである。これらコンバータ（１）および（２）並
びにDCリアクトル（３）は図示のように閉回路を形成し
ている。（４），（５）は各コンバータ（１），（２）
にそれぞれ接続された電源供給変圧器、（６），（７）
は各電源供給変圧器（４），（５）と大地の間にそれぞ
れ接続された高調波抑制用フィルタ、（８），（９）は
各高調波抑制用フィルタ（６），（７）とそれぞれ並列
に接続された力率改善用コンデンサ、（10），（11）は
各電源供給変圧器（４），（５）とそれぞれ50Hz系、60
Hz系との間に接続された系統接続用変圧器である。

従来の周波数変換装置は上述したように構成されてお
り、60Hz系より50Hz系へ電力を供給する場合には、系統
接続用変圧器（11）及び電源供給用変圧器（５）にて降
圧された60Hzの電源をコンバータ（２）にて直流（DC）
に変換する。このDCに変換された電力はDCリアクトル
（３）を通してコンバータ（１）へ供給され、ここで50
Hzの交流電源に変換される。この50Hzの電源は電源供給
変圧器（４）及び系統接続用変圧器（10）を通して50Hz
系の系統へ電力を供給する。

この時、高調波抑制用フィルタ（７），（６）はコン
バータ（２），（１）のそれぞれ交直変換、直交変換時
に発生する高調波を吸収する。また力率改善用コンデン
サ（９），（８）は、コンバータ（２），（１）のそれ
ぞれ交直変換、直交変換時に必要となる無効電力を補償
する。

他方、50Hz系より60Hz系へ電力を供給する場合には、
コンバータ（１），（２）の動作が60Hz系より50Hz系へ
の電力供給の逆の動作をする。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の周波数変換装置は、コンバータの点弧時に発生
する高調波を抑制するための大きなフィルタが必要であ
り、またコンバータの運転力率は通過電力により変化す
るが、その値は約0.3〜0.4であり、そのために無効電力
補償用に大きな力率改善用コンデンサが必要になるばか
りでなく、通過電力に応じてコンデンサの値を制御する
必要があり、周波数変換設備以外に大きな付帯設備が必
要となるなどの問題点があった。

この発明は、このような問題点を解決するためになさ
れたもので、高調波抑制用フィルタ及び力率改善用コン
デンサが不要な周波数変換装置を得ることを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る周波数変換装置は、軸が機械的に直結
された２台の同期機を備え、しかもこれら同期機のうち
の少なくとも一方を二次交流励磁形同期機（AESM）とし
たものである。

［作用］ この発明において、２台の同期機は電力供給側周波数
電源に接続された場合には電動機として運転されるが、
電力受電側周波数電源に接続された場合には発電機とし
て運転され、これにより異周波数電源間での電力の授受
を可能にする。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図面について説明する。
第１図はこの発明に係る周波数変換装置の一実施例を示
す回路図であり、図において（12），（13）は同期機例
えば二次交流励磁形同期機（AESM）であって、それらの
軸が結ばれている。（14），（15）は各AESM（12），
（13）に接続され、その回転速度と融通電力に応じて各
AESM（12），（13）の二次側励磁量を制御する二次励磁
制御装置、（16），（17）は各二次励磁制御装置（1
4），（15）と各系統接続用変圧器（10），（11）との
間にそれぞれ接続され、各二次励磁制御装置（14），
（15）へ電源を供給する励磁変圧器である。

このように構成されたこの発明の周波数変換装置にお
いて、60Hz系より50Hz系へ電力を供給する場合には、AE
SM（12）は50Hz系に、そしてAESM（13）は60Hz系に接続
される。しかる後、AESM（13）は電動機として運転さ
れ、60Hz系より電力を受電する。またAESM（12）は発電
機として運転され、AESM（13）が60Hz系より受電した電
力を50Hz系の電力に変換の上、50Hz系へ供給する。

以上のように、電力供給側に接続されたAESMは電動機
として、電力受電側に接続されたAESMは発電機として運
転され、これら２台のAESMの軸を結ぶことにより、異な
る周波数の電源間での電力の授受を可能にする。

第２図はこの発明の他の実施例を示す回路図であり、
図において（10），（11），（13），（15）〜（17）は
第１図について説明したものと同じである。（18）は同
期機であって、その軸がAESM（13）の軸に結ばれてい
る。そして（19）は同期機（18）に接続され、その端子
電圧に応じて同期機（18）の励磁量を制御する励磁制御
装置である。

このように構成されたこの発明の他の実施例におい
て、60Hz系より50Hz系へ電力を供給する場合には、同期
機（18）は50Hz系に、そしてAESM（13）は60Hz系に接続
される。しかる後、AESM（13）は電動機として運転さ
れ、60Hz系より電力を受電する。また、同期機（18）は
発電機として運転され、AESM（13）が60Hz系より受電し
た電力を50Hz系の電力に変換の上、50Hz系へ供給する。

また、逆に50Hz系より60Hz系へ電力を供給する場合に
は、同期機（18）は50Hz系に接続されかつ電動機として
運転され、50Hz系より電力を受電する。AESM（13）は60
Hz系に接続されかつ発電機として運転され、同期機（1
8）が50Hz系より受電した電力を60Hz系の電力に変換の
上、60Hz系へ供給する。

もっと詳しく説明すれば、AESM（13）は、ロータの回
転速度とステータが接続された系統の周波数との差分の
周波数にてロータを励磁する事により、その出力周波数
を系統周波数に一致させる事が出来、またロータ二次回
路の磁束で作られた内部誘起電圧の位相を制御する事に
より、電力を調整できる。第２図の実施例では、同期機
（18）はこれが接続された50Hz系の周波数で決定された
回転速度にて運転される。50Hz系の系統周波数が基準周
波数（50Hz）から１％上昇すると、同期機（18）の回転
速度はロータ磁極数から決定される基準回転速度から１
％上昇する。この結果、60Hz系に接続されたAESM（13）
の回転速度も１％上昇する。この時、二次励磁制御装置
（15）の出力周波数を−１％とする事により、AESM（1
3）の出力周波数を60Hz一定に制御出来る。さらに、AES
M（13）が接続された60Hz系の系統周波数は50Hz系の変
化とは無関係に変動しており、50Hz系の周波数変動と同
時に、60Hz系の周波数が−１％変化した時は、二次励磁
制御装置（15）は60Hz系の周波数変化分−１％から50Hz
系の周波数変化分−１％を減算した−２％の周波数にて
ロータを励磁する事により、AESM（13）の出力周波数を
60Hz系の系統周波数に一致させることが可能となる。

以上のように、性質の異なる同期機とAESMの軸を機械
的に直結し、AESMの受電電力値または発電電力値を制御
することにより異なる周波数の電源間での電力の授受を
可能にする。

［発明の効果］ 以上、詳しく説明したように、この発明は、軸が機械
的に直結された２台の同期機を備え、しかもこれら同期
機のうちの少なくとも一方を二次交流励磁形同期機と
し、前記２台の同期機は電力供給側周波数電源に接続さ
れた場合には電動機として運転されるが、電力受電側周
波数電源に接続された場合には発電機として運転される
ことにより、２台の同期機を力率1.0で運転出来るの
で、力率改善用コンデンサ等の設備が不要となり、安価
でかつコンパクトな周波数変換装置が実現出来るという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す回路図、第２図はこ
の発明の他の実施例を示す回路図、第３図は従来の周波
数変換装置を示す回路図である。 図において、（12），（13）は二次交流励磁形同期機、
（18）は同期機である。 なお、各図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】周波数の異なる電源間で電力の授受を可能
   にする周波数変換装置において、軸が機械的に直結され
   た２台の同期機を備え、しかもこれら同期機のうちの少
   なくとも一方を二次交流励磁形同期機とし、前記２台の
   同期機は電力供給側周波数電源に接続された場合には電
   動機として運転されるが、電力受電側周波数電源に接続
   された場合には発電機として運転され、もって異周波数
   電源間での授受電力値を制御することを特徴とする周波
   数変換装置。