JP2573734B2 - 新規な第四級ホスホニウムフルオライドの金属フツ化物錯体、その製造方法、フツ素化剤および脱シリル化剤 - Google Patents

新規な第四級ホスホニウムフルオライドの金属フツ化物錯体、その製造方法、フツ素化剤および脱シリル化剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、脂肪族アルコール及びハロゲン化物類、芳
香族ハロゲン化物類などの有機化合物をフッ素化するた
めのフッ素化剤、あるいはシリル化化合物からシリル基
を脱除するための脱シリル化剤などとしての広い用途と
優れた性質を有する新規な第四級ホスホニウム フルオ
ライドの金属フッ化物錯体並びにそれの製造法に関す
る。また、本発明は前記のような有機化合物用のフッ素
化剤、及びシリル化有機化合物用の脱シリル化剤にも関
する。
〔従来の技術〕
これまで、本発明の新規な第四級ホスニウムフルオラ
イドの金属フッ化物錯体に類似の化合物としては、第四
級ホスホニウム フルオライドまたは第四級アンモニウ
ム フルオライドの水和物や弗化水素酸塩類がいくつか
知られている。そのような若干の既知化合物の製造法の
概略は下記の(a)〜(c)のとおりである。
(a)テトラフェニルホスホニウム ビスルオライドに
当量の炭酸水素ナトリウム水溶液を反応させて、テトラ
フェニルホスホニウム フルオライド4水和物を生成す
る方法〔「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティ
ー・ダルトン・トランスザクションズ(J.Chem.Soc.Dal
ton Trans.)」第277頁(1988年)参照〕。この方法で
の反応は次の反応式で表わせる。
(b)第四級アンモニウム硫酸塩に、ベンゼン−水の混
合液中で弗化カリウムと水酸化カリウムの水溶液を反応
させて、第四級アンモニウム フルオライド3水和物を
生成する方法〔「シンセシス(Synthesis)」第953頁
(1988年)参照〕。この方法での反応は次の反応式で表
わせる。
(ただし、Rはn−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘ
プチル基またはn−オクチル基を示す)。
(c)テトラフェニルホスホニウム ブロマイドを予め
水酸化ナトリウム水溶液により処理し、ついで、フッ化
水素酸で処理したアンバーライト(Amberlite)1RA410
のごとき市販のイオン交換樹脂を充てんしたカラムに通
送することにより、テトラフェニルホスホニウム ビフ
ルオライドに定量的に転化する方法〔「ジャーナル・オ
ブ・ケミカル・ソサイエティー・ケミカル・コミュニケ
ーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)」第1256頁(198
3年)、及び特開昭61−161224号公報参照〕。この方法
での反応は次の反応式で表わせる。
更に、本発明者らが先に合成することに成功したテト
ラアルキルホスホニウム フルオライドが下記の製造法
(d)または(e)により提供できる。
(d)テトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロキシド
水溶液に1当量の弗化水素酸水溶液を反応させて、テト
ラ−n−ブチルホスホニウム フルオライド3水和物を
生成する方法(本出願人の出願に係る特願平2−176354
号;平成2年7月5日出願,参照)。この方法での反応
は次の反応式で表わせる。
(e)テトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロキシド
水溶液に2当量の弗化水素酸水溶液を反応させて、テト
ラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライドを生成す
る方法(前出の特願平2−176354号明細書参照)。この
方法での反法は次の反応式で表わせる。
しかしながら、本発明の式(I)で表わされる第四級
ホスホニウム フルオライドの金属フッ化物錯体は従来
の文献には記載されず、知られていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記(a)〜(c)に記載された第四級ホスホニウム
フルオライドや第四級アンモニウム フルオライドは、
3〜4水和物の形では安定に存在し得るが、このような
水和物の形では、該フルオライド化合物のフッ素イオン
の求核成が水和物の水分子の影響で著しく低下してしま
う。加えて、水和物の形の該フルオライド化合物のフッ
素イオンの求核力を阻害しているフルオライド化合物中
の水分子をとるために、加熱により減圧下で水を留去す
ると、これらの化合物は分解してしまうことが知られて
いる〔「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ
ー(J.Org.Chem.)」第48巻第2112頁(1983年)参
照〕。第四級アンモニウム フルオライド水和物につい
てのこの分解の反応式は下記のとおりである。
(n−C4H94NF・3H2O→(n−C4H94NF+3H2O 2(n−C4H94NF→(n−C4H94NF・HF +(n−C4H93N+CH3CH2CH=CH2 また第四級ホスホニウム フルオライド3水和物も、
加熱減圧下で水を留去すると、下記反応式のごとく分解
することを本発明者らは確認している。
R4PF・3H2O→R4PF+3H2O 2R4PF+H2O→R4PF・HF+R3P=O+RH また、前記(a),(b),(d)の方法は、すべて
水溶液中で反応を行うため、製造されたフルオライド化
合物への水分子の配位は避けることができない。一方、
前記の(c)と(e)の方法により得られる第四級ホス
ホニウム ビフルオライドなどの第四級ホスホニウムの
フッ化水素酸塩は、完全な無水物の形でも安定性が高
い。しかも、第四級ホスホニウムのフッ化水素酸塩が有
機化合物に対して示すフッ素化力及び脱シリル化力は高
い。しかしながらこれらの第四級化合物に配位するフッ
化水素酸の数が増すに従い、水和物の場合と同じように
第四級化合物中のフッ素イオンの求核旅が低下するた
め、これら第四級ホスホニウムのポリ弗化水素酸塩の有
するフッ素化力、脱シリル化力も低下する。従って、従
来知られた第四級ホスホニウム フルオライドの水和物
またはフッ化水素酸塩類は、フッ素化または脱シリル化
される基質の種類によってはフッ素化剤、脱シリル化剤
として必ずしも満足すべきものではない。
そのため、前記の従来知られた第四級ホスホニウム
フルオライド化合物に代わり、有機化合物のフッ素化及
び脱シリル化反応において反応性の高い化合物の開発が
要望されている。
したがって、本発明の目的は有機化合物のフッ素化
剤、脱シリル化剤として工業的に有利に使用できる第四
級ホスホニウム フルオライドの金属フッ化物錯体を提
供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上述した問題点を解決するために鋭意努
力を重ねた。その結果、有機溶媒中で第四級ホスホニウ
ム ビフルオライドと有機金属試薬を反応させて安価
に、かつ極めて簡便に、しかも高収率、高純度で製造で
きる新規な第四級ホスホニウム フルオライドの金属フ
ッ化物錯体をみいだした。
したがって、本発明の第一の要旨とするところは、次
の一般式(I) R4PF・MF (I) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示し、Mは
リチウム、またはナトリウムまたはカリウムを示すか、
あるいはマグネシウムモノハライドを示す)で表わされ
る新規な第四級ホスホニウムスルオライドの金属フッ化
物錯体にある。
また、本発明の第二の要旨とするところは、次の一般
式(II) R4PF・HF (II) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表
わされる第四級ホスホニウム ビフルオライドに有機溶
媒中で次の一般式(III) R1M (III) (式中、R1はアルキル基またはアリール基を示し、Mは
リチウム、ナトリウムまたはカリウムを示すか、あるい
はマグネシウムモノハライドを示す)で表わされる有機
金属試薬を当量の割合で反応させることを特徴とする、
一般式(I) R4PF・MF (I) (式中、R及びMは前記と同じ意味を示す)で表わされ
る新規な第四級ホスホニウム フルオライドの金属フッ
化物錯体の製造方法にある。
さらに、本発明の第三の要旨とするところは、前記の
一般式(I)で表わされる第四級ホスホニウム フルオ
ライドの金属フッ化物錯体からなることを特徴とする、
有機化合物のフッ素化剤にある。
また、本発明の第四の要旨においては、前記の一般式
(I)で表わされる第四級ホスホニウム フルオライド
の金属フッ化物錯体からなることを特徴とする、シリル
化有機化合物の脱シリル化剤が提供される。
一般式(I)の本発明化合物は次の反応式の経路によ
り得られる。
式中、R、R1及びMは前記と同じ意味を示す。
式(I)の化合物におけるR、又は式(III)の化合
物におけるR1は夫々に、直鎖又は分枝状の炭素数1〜8
のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を
表わし、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル
基、ネオペンチル基及びヘキシル基などであるか、ある
いはアリール基例えばフェニル及びトリル基などであり
うる。また、式(I)の化合物におけるMはリチウム、
ナトリウム、カリウムなどのアリカリ金属であるか、も
しくはマグネシウムモノクロライド、マグネシウムモノ
アイオダイド、マグネシウムモノブロマイド、マグネシ
ウムモノフルオライドなどであり得る。これらマグネシ
ウムモノハライドは式MaHal(但しHalは、塩素、臭素、
沃素又はフッ素のハロゲン原子を示す)で表わし得る。
以下、本発明の第四級ホスホニウム フルオライドの
金属フッ化物錯体の製造方法を、さらに詳しく説明す
る。
出発原料となる式(II)の第四級ホスホニウムビフル
オライドは、対応する第四級ホスホニウムヒドロキシド
水溶液に2当量の割合で弗化水素酸(HF)を作用させ、
生成された第四級ホスホニウムビフルオライドの水和物
から、引き続き脱水することにより完全な無水物として
容易に得ることがでる(特願平2−176354号明細書参
照)。第四級ホスホニウム ビフルオライドの製造は後
記の参考製造例に示した。
このようにして得た第四級ホスホニウム ビフルオラ
イドの無水物を有機溶媒中に溶解し、その溶液にn−ブ
チルリチウムのごとき式(III)の有機金属化合物を1
当量(科学量論量)の割合で滴下して加える。反応に用
いる有機溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテ
ル、ジブチルエーテルのごときエーテル系溶媒、キシレ
ン、トルエン、ベンゼンのごとき芳香族系溶媒、n−ヘ
キサン、n−ヘプタンのごとき炭化水素系溶媒などを単
独あるいは混合して任意に使用することができる。
式(III)の有機金属試薬としては、n−ブチルリチ
ウムのほ、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウ
ム、フェニルリチウム、エチルナトリウム、n−ペンチ
ルカリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマ
グネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライ
ド、メチルマグネシウムフルオライド、エチルマグネシ
ウムフルオライド、フェニルマグネシウムフルオライ
ド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウ
ムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイド、メチ
ルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムアイ
オダイド、フェニルマグネシウムアイオダイドなどを使
用しうる。上記の反応のための反応温度は−78℃から10
0℃、好ましくは−20℃から40℃の範囲である。また式
(III)の有機金属化合物の滴下は1〜5時間で行な
い、滴下の終了後に反応混合物を30分〜2時間程攪拌し
て反応を完結する。このような反応操作により目的とす
る式(I)の第四級ホスホニウム フルオライドの金属
フッ化物錯体を定量的に得ることができる。反応終了
後、式(I)の目的物を反応液から単離することなく反
応液自体を有機化合物のフッ素化反応や脱シリル化反応
に供することができる。この時、必要ならば反応液から
溶媒を留去することにより式(I)の目的物を単離して
もよいし、また留去後の別の溶媒に式(I)の目的物を
再溶解して次の反応に供してもよい。
次に、本発明の第四級ホスホニウム フルオライドの
金属フッ化物錯体による有機化合物のフッ素化および脱
シリル化について更に詳しく説明する。フッ素化され得
る有機化合物あるいは脱シリル化され得る有機化合物
と、有機溶媒と上記の式(I)の第四級ホスホニウム
フルオライドの金属フッ化物錯体を反応容器にいれ、任
意の温度で攪拌下に反応させる。このとき式(I)の第
四級ホスホニウム フルオライドの金属フッ化物錯体を
用い、フッ素化する場合は、フッ素化される有機化合物
におけるフッ素原子と置換され得る原子又は基に対して
通常1〜3当量の割合で式(I)の金属フッ化物錯体を
使用するが、1当量を越える過剰率については制限はな
く、反応性や経済性を考慮して任意に決めることができ
る。また、脱シリル化する場合も同様に脱シリル化され
る有機化合物のシリルエーテル基に対して1〜3当量の
割合で使用できる。
有機溶媒としては、式(I)の第四級ホスホニウム
フルオライドの金属フッ化物錯体は種々の溶媒への溶解
性が良好なため、DMSO、DMF、CH3CN、スルホラン、THF
のごとき非プロトン性極性溶媒、キシレン、トルエン、
ベンゼンのごとき非極性溶媒などを単独あるいは混合し
て任意に使用することができる。そして、式(I)の第
四級ホスホニウム フルオライドの金属フッ化物錯体そ
れ自身が多くの有機化合物を溶解することができるの
で、有機溶媒の不存在下でも用いることもできる。従来
のフッ素化剤や脱シリル化剤が反応溶媒としてDMSO、TH
Fのごとき極性溶媒を用いる必要があるのに対し、式
(I)の第四級ホスホニウム フルオライドの金属フッ
化物錯体はこれらの極性溶媒のほかにキシレン、トルエ
ンのごとき非極性溶媒も用いることができること、式
(I)の第四級ホスホニウムフルオライドの金属フッ化
物錯体の単独でも多くの有機化合物に高い溶解力を有す
る。
また式(I)の化合物がシリル化有機化合物と作用し
て、これから脱離することができるシリル基としては、
トリメチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基
の如きトリアルキルシリル基、またジフェニル−tert−
ブチルシリル基などのジアリール−アルキルシリル基が
挙げられる。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げ、具体的に本発明による式(I)
の金属フッ化物錯体の製造を説明する。
実施例1 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ化
リチウム錯体の合成 冷却管、攪拌機を備えた30mlの4つ口フラスコ内に窒
素雰囲気下で無水のテトラ−n−ブチルホスホニウム
ビフルオライド4.48g(15ミリモル)とベンゼン10mlを
入れて均一溶液を作り、これを5〜10℃に冷却した。次
にこの溶液に1.66モル濃度のn−ブチルリチウムのヘキ
サン溶液9.0ml(15ミリモル)を温度5〜10℃に保ちな
がら1時間で滴下し、30分間攪拌して反応を完結させ
た。反応終了後、この反応溶液をエバポレータにて減圧
下で10℃以下の温度で溶媒を留去すると、粘稠な液体4.
56g(収率99.9%)として次式 (n−C4H94PF・LiF で表わされる表題化合物を得た。
この表題化合物として得た上記の粘稠な液体は、下記
の核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析にかけると、下記
の吸収ピーク値を示し、フッ素と燐を含有する化合物で
あると確認された。1 H−NMR(CDCl3/Me4Si) δ(ppm);0.97(m),1.50(m),2.40(m)19 F−NMR(THF/CFCl3),δ(ppm);−145.5(s)31 P−NMR(CDCl3/H3PO4),δ(ppm);33.1(m) 実施例2 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ化
マグネシウムクロライド錯体の合成 冷却管、攪拌機を備えた30mlの4つ口フラスコ内に窒
素雰囲気下で、無水のテトラ−n−ブチルホスホニウム
ビフルオライド4.48g(15ミリモル)とテトラヒドロ
フラン10mlを入れて均一溶液を作り、これを0〜5℃に
冷却した。次にこの溶液に2.00モル濃度のメチルマグネ
シウムクロライドCH3MgClのテトラヒドロフラン溶液7.5
ml(15ミリモル)を温度0〜5℃に保ちながら1時間で
滴下し、30分間攪拌して反応を完結させた。反応終了
後、実施例1と同様に後処理をしたところ、粘稠な液体
5.30g(収率99.1%)として次式 (n−C4H94PF・MgClF で表わされる表題化合物を得た。
この表題化合物として得た上記の粘稠な液体は、下記
の核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析にかけると、下記
の吸収ピーク値を示し、フッ素と燐を含有する化合物で
あると確認された。1 H−NMR(CDCl3/Me4Si) δ(ppm):0.8〜1.1(4×CH3) 1.2〜1.7(4+β−H2 and 4×γ−H2) 2.1〜2.6(4×α−H219 F−NMR(CDCl3/CFCl3),δ(ppm);−150.0(s)31 P−NMR(CDCl3/H3 PO4),δ(ppm);33.1(m) 実施例3 テトラフェニルホスホニウム フルオライドフッ化リチ
ウム錯体の合成 冷却管、攪拌機を備えた50mlの4つ口フラスコ内に窒
素雰囲気下で、無水のテトラフェニルホスホニウム ビ
フルオライド5.67g(15ミリモル)とテトラヒドロフラ
ン20mlを入れて均一溶液を作り、0〜5℃に冷却した。
次にこの溶液に1.80モル濃度のフェニルリチウムのシク
ロヘキサン−エーテル溶液8.3ml(15ミリモル)を温度
0〜5℃を保ちながら1時間で滴下し、30分間攪拌して
反応を完結させた。反応終了後、実施例1と同様に後処
理をしたところ、粘稠な液体5.76g(収率99.9%)とし
て次式 (C6H54PF・LiF で表わされる表題化合物を得た。
この表題化合物として得た上記の粘稠な液体は、下記
の核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析にかけると、下記
の吸収ピーク値を示し、フッ素と燐を含有する化合物で
あると確認された。1 H−NMR(CDCl3/Me4Si),δ(ppm);7.4〜8.1(m)19 F−NMR(CDCl3/CFCl3),δ(ppm);−151.5(s)31 P−NMR(CDCl3/H3 PO4),δ(ppm),22.5(m) 次に本発明の式(I)化合物が有機化合物のフッ素化
剤又はシリル化有機化合物の脱シリル剤として有用であ
ることを具体的に説明する。
実施例4 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ化
リチウム錯体による有機ブロマイド化合物のフッ素化 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ
化リチウム錯体0.91g(3ミリモル)とp−メチルベン
ジルブロマイド0.18g(1ミリモル)とTHF1mlを混合
し、均一溶液を作った。この混合液を室温で15分間攪拌
したところで反応が完全に終了した。反応液をシリカゲ
ルクロマトグラフィーにより精製したところ、p−メチ
ルベンジルフルオライドを0.11g(収率92%、純度100
%)得た。
実施例5 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ化
リチウム錯体による有機シリルエーテル化合物からの脱
シリル化 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ
化リチウム錯体0.76g(2.5ミリモル)と2−テトラデカ
ノールのtert−ブチルジフェニルシリルエーテル0.45g
(1ミリモル)とTHF 5mlを混合し、均一溶液とした。
この混合液を室温で42時間攪拌したところで反応が完全
に終了した。反応液をシリカゲルクロマトグラフィーに
て精製したところ、2−テトラデカノールを0.20g(収
率94%、純度100%)を得た。
実施例6 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドのフッ
化リチウム錯体による有機エポキシ化合物のフッ素化 テトラ−n−ブチルホスホニウム フルオライドフッ
化リチウム錯体0.91g(3ミリモル)と1,2−エポキシテ
トラデカン0.21g(1ミリモル)を窒素雰囲気下で混合
し、室温下にその混合物を20時間攪拌したところで、反
応が完全に終了した。この反応液をシリカゲルクロマト
グラフィーにて精製したところ、1−フルオロ−2−テ
トラデカノール(A)と2−フルオロ−1−テトラデカ
ノール(B)の混合物0.19g(収率82%)を得た。化合
物(A)と化合物(B)の比率は19F−NMR分析による結
果から97:3であった。
以下に実施例で前記の式(I)の金属フッ化物錯体の
製造に原料として用いたテトラアルキルホスホニウム
ビフルオライドの調製例を参考製造例1で示す。
参考製造例1 テトラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライド無
水物の合成 冷却管、攪拌機を備えた500mlの4つ口のフラスコに4
0.0%濃度のテトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロ
キシド水溶液345.6g(0.50モル)を入れ、指示薬として
フェノールフタレイン溶液を3〜4滴添加し、10〜15℃
に冷却した。次に47.0%のHF濃度のフッ化水素酸水溶液
を、温度10〜15℃に保ちながら指示薬の色が赤色から無
色に変わるまで滴下したところ、このHF水溶液の21.3g
(HF 0.50モル)を加えた時に変色点となった。さらに
追加して1当量比のフッ化水素酸21.3g(HF 0.50モル)
を加えて室温で30分間攪拌して反応させた。次にその反
応液からエバポレーターで減圧下に40〜50℃で水を留去
し、さらに真空ポンプで4〜5時間脱水したところ、無
色透明の液体生成物(室温では固体)の149.3g(収率10
0.0%、純度100%)として次式 (n−C4H9 4P ・F ・(HF) で表わされる表題化合物を得た。得られた生成物の分析
結果を以下に示す。
融点:30〜35℃1 H−NMR(CDCl3),δ(ppm): 1.00(t,d=6.5HZ,12H),1.52(q,d=6.5Hz,16H),2.10
〜2.40(m,8H),13.90(s,1H)19 F−NMR(CDCl3),δ(ppm): −155.6(s) 元素分析 実測値:C 64.77%,H 12.12%,F 12.70%, P 10.41% 計算値(C10H37F2Pとして): C 64.38%,H 12.52%,F 12.73%, P 10.37% 〔発明の効果〕 本発明により、以下の特色を以って、新規な第四級ホ
スホニウム フルオライド金属フッ化物錯体を工業的に
極めて容易に提供できる。
すなわち、第1に、容易に入手できる第四級ホスホニ
ウム ビフルオライドに有機溶媒中で有機金属試薬を作
用させる簡便な操作で、対応するフルオライド金属フッ
化物錯体を高収率且つ極めて簡単に収得できる。
第2に、得られた第四級ホスホニウム フルオライド
金属フッ化物錯体は高純度であり、また種々の溶媒への
溶解性にすぐれ、脂肪族化合物、芳香族化合物のフッ素
化剤または脱シリル化剤として有利に利用できるなどの
優れた性質を有し、工業的にも有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 29/64 C07C 29/64 31/125 31/125 31/38 31/38 (72)発明者 銭 昭輝 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究 所内 (72)発明者 内堀 幸隆 神奈川県平塚市田村5214番地の1 県公 社田村共同住宅552 (72)発明者 梅野 正行 神奈川県茅ケ崎市茅ケ崎521―3

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 R4PF・MF (I) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示し、Mは
    リチウム、ナトリウムまたはカリウム、あるいはマグネ
    シウムモノハライドを示すで表わされる第四級ホスホニ
    ウム フルオライドの金属フッ化物錯体。
  2. 【請求項2】次の一般式(II) R4PF・HF (II) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す)で表
    わされる第四級ホスホニウム ビフルオライドに有機溶
    媒中で次の一般式(III) R1M (III) (式中、R1はアルキル基またはアリール基を示し、Mは
    リチウム、ナトリウムまたはカリウム、あるいはマグネ
    シウムモノハライドを示す)で表わされる有機金属試薬
    を当量の割合で反応させることを特徴とする、一般式
    (I) R4PF・MF (I) (式中、R及びMは前記と同じ意味を示す)で表わされ
    る第四級ホスホニウム フルオライドの金属フッ化物錯
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式 R4PF・MF (I) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示し、Mは
    リチウム、ナトリウムまたはカリウム、あるいはマグネ
    シウムモノハライドを示す)で表わされる第四級ホスホ
    ニウム フルオライドの金属フッ化物錯体からなること
    を特徴とする、有機化合物のフッ素化剤。
  4. 【請求項4】一般式 R4PF・MF (I) (式中、Rはアルキル基またはアリール基を示し、Mは
    リチウム、ナトリウムまたはカリウム、あるいはマグネ
    シウムモノハライドを示す)で表わされる第四級ホスホ
    ニウム フルオライドの金属フッ化物錯体からなること
    を特徴とする、シリル化有機化合物の脱シリル化剤。
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