JP2573559Y2 - 電気防食被覆構造 - Google Patents

電気防食被覆構造

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JP2573559Y2 JP1991067307U JP6730791U JP2573559Y2 JP 2573559 Y2 JP2573559 Y2 JP 2573559Y2 JP 1991067307 U JP1991067307 U JP 1991067307U JP 6730791 U JP6730791 U JP 6730791U JP 2573559 Y2 JP2573559 Y2 JP 2573559Y2
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洋 山口
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  • Prevention Of Electric Corrosion (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、鋼構造物における海洋
の干満部、飛沫部および大気部等の腐食を防止するため
の電気防食被覆構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海洋環境中における鋼矢板、鋼管杭等の
飛沫部、干満帯部等は乾湿の繰り返しを受け、酸素の供
給が、常に豊富であるために最も激しく腐食する。
【0003】従来、このような腐食環境中における防食
手段としては、種々の技術が提案されている。
【0004】例えば鋼管杭等の被防食体とFRP製型枠
との間にコンクリート、モルタル等の防食充填材を注入
した充填式防食装置(実公昭51−36341号公報)
が実用化されている。しかし、この充填式防食装置は、
使用される防食充填材が海水に浸透される性質を有する
ため、海水が防食充填材に侵入しないように非水和構造
にする必要があり、特に海水に浸漬される下端部の構造
に注意を払わなければならず、長期間に亘って十分な防
食性能を得るのは困難であった。
【0005】また、これに加えて被防食面ペトロラタム
系防食材を被覆し、その外方にプラスチック発泡体等の
緩衝材を粘着したFRP製保護カバーを被覆した防食被
覆体(実公昭56−9703号公報)等も実用に供され
ている。しかるに、この防食被覆体は、単体の形鋼や鋼
管においては防食材中への海水の侵入を阻止することが
可能であるが、単体の鋼材を連結部で連結して構成され
る鋼矢板や鋼管矢板においては防食材と保護カバーとの
間に隙間が生じる恐れがあり、防食材中に海水が侵入し
て防食性能が劣化しやすいという課題を有している。
【0006】さらには、被防食体に吸水保水性マットを
被覆し、その吸水保水性マット上の一部にリボン状また
は板上の流電陽極を取り付け、さらに吸水保水性マット
で被覆し、被防食体と流電陽極とを電気的に接続した電
気防食装置が提案されている(実公昭51−17210
号公報)。この電気防食装置は、流電陽極を覆い込むよ
うに設けられる吸水保水性マットの取り付け方法が面倒
であると共に、吸水保水性マットが露出している場合は
耐久性にも劣る。また、外層を合成樹脂等の型枠で保
護、隔離すると耐久性向上に有効であったが、その設置
は手間がかかるものであった。さらに、被防食体および
流電陽極に水分と酸素が豊富に供給されるので高防食電
流密度が要求され、流電陽極の消費が早く、長期間に亘
って安定して十分な防食性能を得るのは困難であった。
【0007】このように、上述した従来の防食手段はい
ずれも前記腐食環境中において長期間に亘って安定し、
かつ十分な防食性能を有し、さらに設置および取り扱い
が簡便でかつ安価なものは得られていなかった。
【0008】本考案者等は、これらの課題を解決すべ
く、被防食体の防食対象表面全面に高吸収シートと流電
陽極板とが順次積層され、さらに該流電陽極板の該高吸
収シートと反対側の面に防食処理が施されており、該流
電陽極板と該被防食体とを少なくとも一点において電気
的に短絡させる電気防食被覆構造を提案した(実開平2
−102467号公報)。この防食構造は、現状技術で
は、その防食効果は優れているが、流電陽極板の消耗が
早く寿命が比較的短いという課題を依然として有する。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】本考案は、かかる従来
技術の有する課題に鑑みなされたものであり、非水和構
造とする必要がなく、設置および取扱いが簡便でかつ安
価であり、さらに低電流密度による経済的な電気防食を
可能として長期間に亘って十分な防食性能を安定して維
持し得る電気防食被覆構造を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本考案者らは、上記目的
に沿って鋭意研究の結果、被防食体の防食対象表面全体
に高吸収シートと流電陽極板とを順次積層し、さらに流
電陽極板の高吸収シートと反対側の面に防食処理を施
し、流電陽極板と被防食体とを電気的に短絡する防食構
造を採るに当たり、発生電流量を抑えることにより流電
陽極の寿命を伸ばす手段を種々研究した。そして、この
ためにはゼラチン等のヒドロゲルを生成する物質を用い
るか、或いは被防食体に防食作用する物質や流電陽極作
用を有する金属粉末を用いることによって上記目的が達
成されることを見出し、本考案に到達した。
【0011】すなわち本考案は、被防食体の防食対象表
面全面に、高吸収シートと流電陽極板とが順次積層さ
れ、さらに該流電陽極板の該高吸収シートと反対側の面
に防食処理が施されており、また該流電陽極板と該被防
食体とが少なくとも一点において電気的に短絡している
電気防食被覆構造において、下記のいずれかの特徴を有
するものである。
【0012】(1)前記高吸収シートが積層シートから
なり、そのうちの少なくとも1層が吸水性物質であるヒ
ドロゲルを生成する物質からなる電流調整物と高吸水性
ポリマーとの混合物である。
【0013】(2)前記高吸収シートが、被防食体に対
して防食作用する物質をさらに含有する。
【0014】(3)前記被防食体と高吸収シート間に
防食体に対して防食作用する物質を介在させる。
【0015】(4)前記高吸収シート中あるいは高吸収
シートの被防食体側表面に、流電陽極作用がある金属粉
末を含有する。
【0016】本考案では、被防食体の防食対象表面全面
に高吸収シートを積層する。ここで用いられる高吸収シ
ートとは、高吸水性ポリマーと吸水性物質とからなるも
のが好ましい。これら高吸水性ポリマーとしては、海水
等中のイオン性物質に耐え得る長寿命タイプであること
が好ましく、具体的にはポリアクリル酸ナトリウム等の
ポリアクリル酸系ポリマーが好適に使用され、その他、
カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等
の高吸水性ポリマー粉末等が例示される。また吸水性物
質としては、吸水性に優れたパルプや吸水紙、ゼラチ
ン、寒天、アラビアゴム等が例示される。
【0017】このうち、高吸水性ポリマーは海水等の腐
食性液体を吸い上げて保持し、高吸収シートとして流電
陽極板と被防食体との間にセルを構成させる電解質の役
割をなすものであり、乾燥して流電陽極板の消耗が不均
一になって防食効果が不均等となることがないように水
保持性および吸水性に優れたものであることが特に必要
である。
【0018】本考案の高吸収シートは、高吸水性ポリマ
ーと吸水紙とを積層して使用するのみでなく、吸水性物
質であるヒドロゲルを高吸水性ポリマーと混合して使用
することも望ましい。このような電流調整物となるヒド
ロゲルを生成する物質としては、上記ゼラチン、寒天、
アラビアゴム等が例示される。このようなゲル化する物
質を高吸収シートに組込むことによって、流電陽極板か
らの発生電流を減少させることができる。このヒドロゲ
ルの高吸水性ポリマーに対する混合比は、所望の電位に
被防食体表面を分極するように選択すればよい。
【0019】また、本考案では、高吸取シートに被防食
体に対して防食作用する物質を含有させてもよい。この
ことによって流電陽極板の消耗量を低減させる効果があ
る。このような防食作用する物質は、被防食体にリン酸
被膜を形成させるリン酸亜鉛等が最適である。また、被
防食体と高吸収シートとの間に、被防食体に対して防食
作用する物質を介在させてもよい。このことによって、
上記と同様に流電陽極板の消耗量を低減させる効果があ
る。このような物質としては、エレクトロコーティング
を生じ易い塩化カルシウム等のカルシウムイオンを含有
する物質が好ましい。また他の、防食作用する物質は、
リン酸系化合物、塩化亜鉛、酸化亜鉛、塩化マグネシウ
ム、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】また、本考案にあっては、高吸収シート中
あるいは高吸収シートの被防食体側表面に、流電陽極作
用がある金属粉末を含有させてもよい。このような鉄に
対して流電陽極作用のある金属粉末を用いることにより
流電陽極板の消耗量を防止することができる。これらの
金属粉末として、亜鉛粉末、アルミニウム合金粉末等が
挙げられる。
【0021】これら防食作用する物質、金属粉末の含有
方法は任意であるが、液状であればカバー取り付け直前
に高吸収シート中に含浸させる方法、粉末状であれば高
吸収シート中に混入しておく方法、或いは粘着剤と混合
して塗布する方法が採られる。具体的には、例えば高吸
収シートにボンデ液を含浸させたり、上記化合物粉末等
を高吸水性ポリマーと混合する方法、あるいは被防食
体、高吸収シートに上記化合物粉末等を塗布すること等
によってなされる。
【0022】次に、上記した高吸収シート上全面に流電
陽極板を積層する。ここで使用される流電陽極板として
は、鉄鋼等の前記被防食体に対して犠牲陽極となり得る
金属であればよく、例えば亜鉛、亜鉛合金、アルミニウ
ム合金、マグネシウム合金等が挙げられ、板状化する容
易さ等から亜鉛または亜鉛合金が特に好ましい。
【0023】この流電陽極板は外側からの腐食を防止す
るために、流電陽極板の高吸収シートと反対側の面に防
食処理を施す必要があるが、その防食処理の方法として
は、流電陽極板に塗装、ライニング、樹脂シート等の絶
縁物被覆等を施す方法、或いは流電陽極にステンレス
鋼、チタン、鋼等の耐食性金属板を積層する方法が挙げ
られる。
【0024】特に、ステンレス鋼等の耐食性金属板を流
電陽極板に重ね合わせてなる積層板は、流電陽極板を被
防食体に取り付ける際に溶接することが可能であり、溶
接によって被防食体と流電陽極板とを電気的に短絡する
こともでき、さらに取り扱いも簡便なので好ましく、亜
鉛等の流電陽極板とステンレス鋼と樹脂フィルム等を用
いて接着したラミネート積層板あるいはクラッド板が特
に好ましい。
【0025】本考案において、被防食体に高吸収シート
と流電陽極板とを順次積層する具体的な手段は任意であ
るが、被防食体に流電陽極板を直接あるいは他の部材を
用いて溶接等によって固定化し、被防食体と流電陽極板
との間に高吸収シートを挟み込むことによって保持する
方法が好ましい。また、本考案の電気防食被覆構造は、
非水和構造とする必要はなく、海水等の腐食性液体が高
吸収シートに浸透できるようにする必要がある。また、
複雑な形状の構造物の場合、高吸収シートが水分を吸収
して膨潤し隙間を埋める作用があるため必ずしも流電陽
極板は、構造物と完全に相似の形状を取る必要はない。
しかし、さらに大きな隙間が生じるときは、発泡スチレ
ン、繊維、不織布或いは吸水性ゴム等の吸水性のある材
料を高吸収シートに加えて用いてもよい。
【0026】さらに、本考案においては、上記流電陽極
板と被防食体とを少なくとも一点において電気的に短絡
させる。その方法は特に制限されないが、耐食性金属板
を積層した流電陽極板を用い、被防食体に流電陽極板を
直接あるいは他の金属部材を用いて溶接して固定化する
際にその溶接箇所で電気的にも短絡させる方法が好まし
い。
【0027】本考案の電気防食被覆構造において、防食
される対象である被防食体は特に限定されないが、一般
的には海水のような腐食性液体の水位が間欠的に変動す
るような極めて腐食しやすい環境において使用される金
属体であり、例えば港湾施設における鋼管杭、鋼矢板の
干満部、飛沫帯部に使用される鉄鋼等である。
【0028】本考案の電気防食被覆構造を鋼矢板を対象
として設置する態様の一例を図1に示す。
【0029】同図において、1は鋼矢板(被防食体)、
2は高吸収シート、3は亜鉛板(流電陽極板)、4はス
テンレス鋼板、5は亜鉛−ステンレス鋼ラミネート積層
板、6はスポット溶接、7はL型鋼、8はアルミニウム
系犠牲陽極、9は港の岸壁の側壁、Aは飛沫部、Bは干
満部、Cは水没部、H.W.L.は平均満潮面、L.
W.L.は平均干潮面をそれぞれ示す。
【0030】港の岸壁の側壁に設置される鋼矢板1の飛
沫部A(平均満潮面H.W.L.の上部)および干満部
B(平均干潮面L.W.L.と平均満潮面H.W.L.
との間)を含む表面(平均干潮面L.W.L.の下10
cmから鋼矢板1の上端までの縦幅2mの範囲)に本考
案の電気防食被覆構造を下記の方法によって図1に示す
ように設置する。
【0031】すなわち、まず鋼矢板1の平均干潮面L.
W.Lから10cm下および上端近傍に、亜鉛−ステン
レス鋼ラミネート積層板5固定用のL型鋼7を水平方向
に溶接して固定化する。
【0032】次に、鋼矢板1と亜鉛−ステンレス鋼ラミ
ネート積層板5(縦2cm、厚さ5.3mm)とで高吸
収シート2(縦2m、厚さ3mm)を挟み込んだ状態と
して積層板5をL型鋼7にスポット溶接6して固定化
し、本考案の電気防食構造を有する鋼矢板1を得る。さ
らに、鋼矢板1の水没部Cにはアルミニウム系犠牲陽極
8を設置するが、これは金属体の水没部Cの防食手段と
して一般的に使用されるものであり、本考案とは直接に
関連性を有するものではない。
【0033】
【作用】以上のように構成される本考案の電気防食被覆
構造にあっては、高吸収シートに海水等の腐食性液体が
浸透して膨潤し、流電陽極と被防食体との小さな隙間も
埋めるので流電陽極板の消耗が不均一になって防食効果
が不均等になることが無い。しかも、電流調整物や被防
食体に対して防食作用する物質、流電陽極作用がある金
属粉末を用いているため、発生電流量が制限されるため
流電陽極板の消耗速度が遅く、その寿命が長い。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づき本考案を具体的に説明
する。実施例1〜3および比較例1〜3
【0035】図2は、電気防食被覆構造における亜鉛板
(流電陽極板)の発生電流を確認するための試験装置で
ある。図2において、1は軟鋼板(被防食体)、2は高
吸収シート、3は亜鉛板(流電陽極板)、10はゼロ抵
抗電流計、11はスイッチ、12は試験容器、13はリ
ード線、14は海水、15はビニルテープをそれぞれ示
す。
【0036】軟鋼板1(縦10cm、横10cm、厚さ
1mm)上に、後述する6種類の高吸収シート2を置
き、さらにその上に、亜鉛板3を重ね、軟鋼板1と亜鉛
板3とで高吸収シート2を挟み込んで高吸収シート2と
反対側の軟鋼板1の裏面と側面は同時にビニルテープ1
5で被覆した。
【0037】その際、軟鋼板1と亜鉛板3との間が密着
しないようにし、下端部は被覆せずに海水14が高吸収
シート2に浸透できるようにした。
【0038】ここに用いた高吸収シート2は、次の通り
である。
【0039】(1)比較例1:ポリアクリル酸系の高吸
水性ポリマー(日本触媒化学工業性、CS−7L)を散
布したパルプ紙を重ねた後、エンボス処理を施してシー
ト状に加工した高吸収シート(厚さ1mm)。
【0040】(2)実施例1:不織布にゼラチン70重
量部、高吸水性ポリマー30重量部の割合で混合し、こ
の混合物を40g/m2だけ均一に振りかけ、さらにこ
れを不織布で押え、水を加えてゲル状の電流調整物を
得、これを比較例1で用いた高吸収シートの亜鉛板側に
積層した高吸収シート。
【0041】(3)実施例2:実施例1のゼラチンに代
えて寒天粉末を用いた高吸収シート。
【0042】(4)実施例3:Zn(H2PO42とZ
n(NO32からなるボンデ処理原液を調製し、これを
比較例1で用いた高吸収シートに軟鋼板側から含浸させ
ることにより得られた高吸収シート。
【0043】(5)比較例2:フェルト(厚さ10m
m)を用いた高吸収シート。
【0044】(6)比較例3:2重にした不織布(厚さ
3mm)を用いた高吸収シート。
【0045】次に、軟鋼板1と亜鉛板3の亜鉛側からは
それぞれビニル被覆電線と3mmのビスを用いてリード
線13を取り結線部は塩化ビニル系塗料を被覆して絶縁
した。各々のリード線13はスイッチ11を介して短絡
し経時的にゼロ抵抗電流計10を用いて軟鋼板1と亜鉛
板3との間に電流が流れるようにした。
【0046】以上の発生電流試験装置を用いて、得られ
た6種類の試験ピースについて、それぞれ別の容器に下
部5cmを海水に浸漬させ、室温状態下で試験を行なっ
た。50日間の試験終了後の軟鋼板の発錆状況を評価す
ると共に、回路発生電流を計測して結果を図3に示し
た。
【0047】この結果、比較例1および実施例1〜3に
は全面に錆の発生は認められなかったが、比較例2〜3
では海水面の2cm以上の部分は一面に赤錆で覆われて
いた。
【0048】実施例4 比較例1の高吸収シート2を用い、かつ軟鋼板1の被防
食面に塩化カルシウム、亜鉛粉末、粘着剤を所定量混合
したペーストを塗布する以外は比較例1と同様にして試
験ピースを調製した。
【0049】比較例1と同様に室温状態下で試験を行な
い、50日間の試験終了後の軟鋼板の発錆状況を評価す
ると共に、回路発生電流を計測して結果を図3に示し
た。
【0050】この結果、全面に錆の発生は認められなか
った。
【0051】実施例5 比較例1の高吸収シート2を用い、かつ該高吸収シート
の軟鋼板側に亜鉛粉末を塗布する以外は比較例1と同様
にして試験ピースを調製した。
【0052】比較例1と同様に室温状態下で試験を行な
い、50日間の試験終了後の軟鋼板の発錆状況を評価す
ると共に、回路発生電流を計測して結果を図3に示し
た。
【0053】この結果、全面に錆の発生は認められなか
った。
【0054】図3に示されるように、実施例1〜5は、
比較例1〜3と比較して発生電流を大幅に低減すること
ができる。この結果と上記発錆状況とを併せ考慮する
と、比較例1〜3、特に比較例2〜3では下部の電流密
度が著しく高く、上部に電流が回っていないことが予測
できる。また、実施例1〜5では全面に電流が流入して
いたことが予測できる。
【0055】
【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
の電気防食被覆構造によって、港湾施設における鋼管
杭、鋼矢板等の干満部、飛沫部等の腐食環境中にある金
属体であっても、長期間に渡って流電陽極板の消耗が少
なく安定して十分に防食することが可能となる。さら
に、本考案の電気防食被覆構造は非水和構造とする必要
がなく、設置および取扱いが簡便でかつ安価に設置可能
である。また、耐食性金属板を積層した流電陽極板を用
いているので、本考案の電気防食被覆構造の設置、取り
扱いがより簡便になる。
【0056】従って、本考案の電気防食被覆構造は、港
湾施設等における鋼管杭、鋼矢板等の干満部、飛沫部
や、その他腐食性液体の水位が間欠的に変動するような
極めて腐食しやすい環境における金属体の防食手段とし
て好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の電気防食被覆構造を鋼矢板を対象と
して設置した例を示す破断斜視図。
【図2】 実施例および比較例で用いた試験装置を示す
概略図。
【図3】 実施例および比較例における発生電流密度の
経時変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1 軟鋼板または鋼矢板(被防食体)、 2:高吸収シ
ート、3:亜鉛板(流電陽極板)、 4:ステンレス鋼
板、5:亜鉛−ステンレス鋼ラミネート積層板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 戸村 寿一 埼玉県浦和市元町2−7−8 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23F 13/00 E02D 31/06

Claims (5)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被防食体の防食対象表面全面に、高吸収
    シートと流電陽極板とが順次積層され、さらに該流電陽
    極板の該高吸収シートと反対側の面に防食処理が施され
    ており、また該流電陽極板と該被防食体とが少なくとも
    一点において電気的に短絡している電気防食被覆構造に
    おいて、前記高吸収シートが積層シートからなり、その
    うちの少なくとも1層が吸水性物質であるヒドロゲルを
    生成する物質からなる電流調整物と高吸水性ポリマーと
    の混合物であることを特徴とする電気防食被覆構造。
  2. 【請求項2】 被防食体の防食対象表面全面に、高吸収
    シートと流電陽極板とが順次積層され、さらに該流電陽
    極板の該高吸収シートと反対側の面に防食処理が施され
    ており、また該流電陽極板と該被防食体とが少なくとも
    一点において電気的に短絡している電気防食被覆構造に
    おいて、 前記高吸収シートが、被防食体に対して防食作用する物
    を含有して、流電陽極板の消耗量を低減させることを
    特徴とする電気防食被覆構造。
  3. 【請求項3】 被防食体の防食対象表面全面に、高吸収
    シートと流電陽極板とが順次積層され、さらに該流電陽
    極板の該高吸収シートと反対側の面に防食処理が施され
    ており、また該流電陽極板と該被防食体とが少なくとも
    一点において電気的に短絡している電気防食被覆構造に
    おいて、 前記被防食体と高吸収シート間に被防食体に対して防食
    作用する物質を介在させて、流電陽極板の消耗量を低減
    させることを特徴とする電気防食被覆構造。
  4. 【請求項4】 被防食体の防食対象表面全面に、高吸収
    シートと流電陽極板とが順次積層され、さらに該流電陽
    極板の該高吸収シートと反対側の面に防食処理が施され
    ており、また該流電陽極板と該被防食体とが少なくとも
    一点において電気的に短絡している電気防食被覆構造に
    おいて、前記高吸収シート中あるいは高吸収シートの被
    防食体側表面に、流電陽極作用がある金属粉末を含有す
    ることを特徴とする電気防食構造。
  5. 【請求項5】 前記防食処理が耐食性金属板を積層する
    ことによってなされる請求項1〜4のいずれかに記載の
    電気防食被覆構造。
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