JP2564186B2 - 宇宙構造物制振装置 - Google Patents

宇宙構造物制振装置

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JP2564186B2
JP2564186B2 JP1046479A JP4647989A JP2564186B2 JP 2564186 B2 JP2564186 B2 JP 2564186B2 JP 1046479 A JP1046479 A JP 1046479A JP 4647989 A JP4647989 A JP 4647989A JP 2564186 B2 JP2564186 B2 JP 2564186B2
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尚明 桑野
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正雄 植草
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、宇宙空間に常駐する各種宇宙構造物、例え
ば恒久的有人宇宙ステーション、各種観測実験プラット
ホーム、宇宙工場などの結合、連結部に設け、内外から
受ける揺動を素早く抑制する宇宙構造物制御装置に関す
る。
(従来の技術) 現在の宇宙施設は単体カプセル方式であり、また太陽
電池パドルも小規模であるので、制振装置を使用しなけ
ればならない大規模な宇宙構造物まだ実現してなく、大
規模な宇宙構造物における制振技術は未開発の分野で実
用化した技術はない。
しかしながら、今後本格的な宇宙ステーション等の大
規模宇宙構造物の建設が開始されると、宇宙構造物を宇
宙で組み立てる際のソフトドッキング技術と共に、宇宙
構造物の揺動を抑制する制振技術が大きな課題となる。
即ち、宇宙構造物は熱歪みや地球往還機等のドッキング
時の刺激等、内外の刺激によって揺動する状態下にあ
り、構造物の規模が大きくなればなる程その影響も大き
くなる。宇宙構造物の揺動は、微小重力状態下での実験
や製造、又は一定姿勢での天体観測に悪影響を及ぼし、
それらを良好に遂行するには、宇宙構造物の揺動を抑制
してその姿勢を確保することが不可欠である。
宇宙構造物の制振技術は、各国ともまだ研究室レベル
であるが、宇宙の大型構造物の揺動を押える手段とし
て、スパンの長い柔軟構造部材にエポキシ樹脂等の免振
材を貼り合わせた免振方式と、構造物の結合、連結部に
制振アクチュエータを設けて揺れを強制的に押える強制
制振方式の2つの方式が考えられている。その中、後者
の方式として、従来の各種シングルアクチュエータを、
例えば並進のみ、回転のみ、又は並進と回転を行うよう
に適宜組合わせることによって、揺動を押えるようにし
たものが提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) 前記後者の方式において、宇宙構造要素間の結合部
に、スパンの長い柔軟構造部材の自由揺動の達成を絶ち
切るために冗長な自由度を与え、全ての自由度(6方向
成分)に対してアクチュエータを設ければ、宇宙構造物
の制振は、非常にやり易くなると考えられる。しかし、
6方向成分の動きを従来方式のアクチュエータの組合せ
で補うには、装置が大型化し、さらにはアクチュエータ
の性能上動きに制限があるため、互いに干渉し、多モー
ドの複雑な大きな揺れに対応するには制御則も複雑にな
る欠点がある。
本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、
その第1の目的は、宇宙構造物の構造要素間の結合部・
連結部に設けて、構造要素間の結合と共に、宇宙構造物
の揺動を検知して素早くその揺れを抑制することができ
る構造がコンパクトで、且つ微細な動きが可能で、応答
性、確実性に優れた宇宙構造物制振装置を提供すること
にある。
第2の目的は、宇宙構造物の揺れに応じて被結合構造
要素を3次元面内の移動と軸回転を電動直接駆動により
素早く行わせることができる宇宙構造物制振装置を提供
することにある。
また第3の目的は、結合する被結合構造要素を容易に
且つ確実に捕捉して結合させることができる捕捉機能を
有する宇宙構造物制振装置を提供することにある。
さらに第4の目的は、構造要素間の連通通路を構成す
ることができる宇宙構造物制振装置を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段) 上記第1の目的は、一方の構造要素の結合部に設けら
れ、他方の被結合構造要素の結合部と係合する結合部
材、該結合部材を支持し、該結合部材をその軸心回りの
回転と軸心方向並進移動及び軸心方向と垂直な平面内で
並進移動させて位置決めする結合部材位置決め装置、被
結合構造要素の振動を検出する振動検出手段、該振動検
出手段の出力信号によって前記結合部材を前記被結合構
造要素の振動を抑制する方向に移動させるように前記結
合部材位置決め装置を制御する制御手段からなる構成に
よって達成できる。
また、上記結合部材位置決め装置として、結合部に固
定して形成された固定基筒、該固定基筒とZ軸回転ロー
ターの間に順次偏心して多段に設けられた複数の偏心ロ
ーターからなるX−Y面並進ローター、該X−Y面並進
ローターの最終段の偏心ローターに設けられたZ軸回転
ローター、該Z軸回転ローターに支持されたZ軸並進手
段を有し、前記各ローターは、電動直接駆動モーターに
より各々独立して回転制御される手段からなるものを採
用することによって、結合部材を揺動に応じて瞬時に、
高精度且つ高トルクで移動することができ、第2の目的
を達成することができる。
なお、上記「X−Y面」及び「Z軸」とは、結合部材
の運動を便宜上結合部材の軸心方向をZ軸とするX−Y
−Z座標軸に置き換えて表現しているものであり、「Z
軸」は結合部材の軸心方向を意味し、「X−Y面」は結
合部材の軸心方向と直角な面を意味している。従って、
「Z軸回転ローター」は結合部材をその軸心回りに回転
させるローターであり、「X−Y面並進ローター」と
は、結合部材の軸心方向と直角な面に沿って結合部材を
移動させるためのローターである。
さらに、前記結合部材を、前記Z軸並進手段に支持さ
れた中空円筒、該中空円筒の外側端部に歪センサーを介
して取り付けられ、ドローグ係合面とドローグラッチを
有する結合ヘッド、前端にドローグ捕獲用ラッチを有
し、前記中空円筒内に着脱自在に固定されたプローブ伸
展機構部によってZ軸方向に進退駆動されるプローブと
から構成することによって、本制振装置が被結合宇宙構
成要素を捕獲してドッキングさせることができ、且つド
ッキング後該結合部を介して結合宇宙構造要素間を連通
させることができ、上記第3及び第4の目的が達成でき
る。
一方、結合部材をZ軸並進手段に支持されたプローブ
で構成することによって、制振装置を小型にコンパクト
に構成することができ、小構造物要素の結合部に設ける
のに適する。
(作用) 結合部材に設けられたラッチ機構により、被結合構造
要素を係止して両構造要素を結合する。宇宙構造物の揺
れを宇宙構造物の結合部材及び又は被結合部材に設けら
れた振動検出手段により、歪、加速度、変位等として検
出し、その検出信号から揺れを抑制するために被結合部
材に与える動きをX−Y−Z−Θの4方向成分に分析
し、結合部材位置決め装置の各電動直接駆動モータ及び
Z軸並進手段に与え、宇宙構造物の揺れに応じて結合部
材位置決め装置を駆動する。
結合部材位置決め装置は、該位置制御データーから2
次元面内の並進位置を規定するための各偏心ローターの
回転パルス数(回転角)が演算され、電動直接駆動モー
タにより電動直接駆動される。各偏心ローターの回転に
より、各偏心ローターの回転角度における偏心量が合成
され、X−Y面内の並進移動ができる。又、Z軸回転ロ
ーターが回転することによって、結合部材が回転して結
合されたパッシブ側構造要素をその軸回りに回転させ
る。さらに、Z軸並進手段が作動することによって、結
合部材が前後に移動し、結合された構造要素間の距離を
変化させる。各ローターは電動直接駆動されるので、極
めて高い分解能を有し、微細な動きを制御することがで
き、結合部材の高精度な位置決めができる。前記の各変
化の組合せにより、パッシブ側構造要素のロール、ピッ
チ、ヨーの揺れを効果的に抑制することができる。
さらに、結合部材にプローブを有する捕獲装置を設け
ることによって、プローブにX,Y,Z軸方向の移動及びZ
軸の回転Θの4方向成分の動きを与えることができ、被
結合構造要素を捕獲するときのアライメント機能が飛躍
的に向上する。
また、結合後、捕獲装置を結合部材から除去すること
によって、結合された両構造要素間が連通状態となり、
物資や人間の移動が可能となる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第1図は本発明の宇宙構造物制振装置の1実施例を示
し、例えば第7図に示すような宇宙構造物の構造要素間
の結合部、連結部のアクティブ側に設けられる。図中、
1が被結合構造要素の結合部を固定するドローグラッチ
3を有する結合ヘッド2が設けられた結合軸であり結合
部材を構成する。本発明は、該結合軸1がXYZ軸方向及
びΘの4成分を有する動きができ、パッシブ側の揺動の
発生に応じて揺動を抑制する方向に、パッシブ側の構造
要素を結合軸1によって移動制御できるようになつてい
る。結合軸1を保持してその動きを与える装置として、
以下に説明するような結合部材位置決め装置5を採用し
てある。
位置決め装置5は、実験モジュール等アクティブ側構
造要素の結合側基盤6に形成された固定基筒7、該固定
基筒7は嵌合する円筒外壁8を有し、その軸心から偏心
した位置に円筒内壁9が形成された第1偏心ローター1
0、該第1偏心ローター10の円筒内壁9に嵌合する円筒
外壁11を有し、その軸心と偏心した位置に円筒内壁12が
形成された第2偏心ローター13、該第2偏心ローター13
の円筒内壁12に嵌合する円筒外壁14を有する中空のZ軸
回転ローター15からなり、それらがボールベヤリング等
の軸受16を介して順次嵌合して回転自在に組立られてい
る。そして、各嵌合部には固定基筒7に対して第1偏心
ローター10を、第1偏心ローター10に対して第2偏心ロ
ーター13を、第2偏心ローター13に対してZ軸回転ロー
ター15を夫々独立して正逆回転させる電動直接駆動モー
ター17が設けられている。18が該モータを構成する永久
磁石であり、19が電機子巻線である。第1偏心ローター
10及び第2偏心ローター13は、それぞれ回転角における
偏心量に応じてその軸心はX−Y平面内を並進し、X−
Y面並進ローターを構成する。
前記結合軸1は、結合部材位置決め装置5のZ軸回転
ローター15に軸受で回転自在且つその軸心方向(Z軸方
向)に移動可能に嵌合されている。結合軸の軸心方向へ
の移動機構として、リニヤモータ等適宜の直線駆動機構
が採用できるが、本実施例では、ボールネジ機構を採用
してある。結合軸の後部に第1図に示すように、ボール
20が嵌合するネジ21が切られ、一方Z軸回転ローターの
後端部には内周面にボール20が嵌合したボールネジ駆動
リングであるZ軸並進ローター23が直接駆動モーター17
を介して設けられている。また、Z軸回転ローター15の
前部内周面及び結合軸1の前部外周面には、軸心方向
(Z軸方向)に沿ってボール嵌合溝24、24′が対向して
形成され、該溝にボール25が嵌合している。従って、結
合軸1は、第1偏心ローター及び第2偏心ローターを夫
々の直接駆動モータで回転させることにより、その偏心
量に応じてX−Y平面内を移動し、Z軸回転ローター15
を回転させることによりその軸心回りの回転Θを行い、
Z軸並進ローター23を回転させることによりZ軸方向に
並進運動を行う。
なお、本実施例では、Z軸回転ローター15に支持され
たZ軸並進ローター23と、該Z軸並進ローターと結合部
材との間に設けられたボール20とネジ21からなるボール
ネジ機構とで、Z軸並進手段を構成しているが、該Z軸
並進手段は必ずしも該実施例に限らず、Z軸回転ロータ
ー15に直接リニヤモータ等を介して結合部材を支持する
ことによって構成することも可能である。
結合軸1は、内部に第2図に示すように、被結合構造
要素を捕捉する捕捉装置35を収納するため、及び結合後
構造要素間の物品や人間の移動を可能にするため、中空
円筒に形成され、その内側側端部に結合完了以前は該中
空部を封鎖し構造要素内の気密を確保するための気密蓋
26を取り付けるためのフランジ27が形成されている。ま
た、結合軸の外側端部には、結合ヘッド2を取付ける結
合ヘッド取付部28が形成されている。結合ヘッド2は、
中央部に被結合構造要素のドローグの円錐凹部に係合す
るドローグ係合面である円錐凸部30が形成され、外周平
面適宜位置に結合後構造要素間での信号やエネルギー等
の伝達を可能にするために、それらの信号線やエネルギ
ー伝達線を着脱自在に結合するアクチュエーターを有す
るアンビリカルコネクター31が設けられている。またそ
の外周部には、複数個のドローグラッチ3を有し、被結
合構造要素を捕獲後該ドローグラッチのアクチュエータ
が作動して両者結合する。結合ヘッド2は結合軸1の結
合ヘッド取付部28に振動検出手段を構成する歪みセンサ
ー32を介して取付けられている。該歪みセンサー32は、
結合された2つの構造要素間に相対的な揺動が生じた場
合に発生するモーメントにより生じる結合部の歪応力を
検出するものである。全方向のモーメントの発生を検出
するには、結合部の全周にわたる一体型又は全周にわた
って密に配列された分散型を採用するのが望ましいが、
実用上第6図に示すように、90゜間隔で4個設配列され
た分散型で十分である。なお、33は、結合ヘッドと結合
側基盤間を気密的に遮蔽し、構造要素内部を気密に保つ
ための気密用ジャバラであり、結合ヘッド又は結合側基
盤6に対して回転可能に取り付けられている。34は結合
部を気密に保つためのシールリングである。
第2図及び第3図は、上記制振装置において結合軸内
にプローブを有する捕捉装置35を設けて、例えば、宇宙
構造物本体に補給モジュールや地球往還機をドッキング
する等、構造要素を捕獲し結合する状態を図示してい
る。
捕捉装置35は、結合軸1の内側開口端を密閉するハッ
チカバー兼ねる気密蓋26にプローブ伸展機構部36を固定
し、プローブ37を外方(Z軸方向)に伸展駆動する。プ
ローブ37の外側先端には、ドローグ41に設けられたラッ
チ係合部材45に係合するドローグ捕獲用ラッチである爪
型ラッチ38が、ラッチアクチュエータ39で駆動されるリ
ンク機構によって開閉可能に設けられている。前記プロ
ーブ伸展機構部36は、ボール螺子機構または、リニヤー
モータ等適宜の機構が採用できる。一方、被結合構造要
素40には、その結合側にハッチを兼ねるドローグ41が形
成され、その開口端壁42の中央部には、前記結合ヘッド
2の円錐凸部30に係合する円錐凹部43が形成されてい
る。また、ドローグ41には、ドローグハッチドアを兼ね
る気密蓋44が開閉自在に設けられ、該気密蓋44の中央部
から外側に向けてラッチ係合部材45が突出して設けら
れ、その先端部46は半円球状になっており、前記プロー
ブの爪型ラッチ38が係合するようになっている。なお、
図示されていないが、被結合構造要素をドッキング時、
被結合構造要素の位置や状態を検知する為に、結合ヘッ
ド2又はプローブ先端部に必要によりテレビカメラ等の
検知装置を取付ける。
以上のように構成された本実施例の宇宙構造物制振装
置は、被結合構造要素を捕捉して結合する機能と、結合
後の制振機能との2つの機能を有しているので、まず前
段階の結合機能について説明する。
例えば、第2図において宇宙構造物本体である実験モ
ジュールをアクティブ側として、補給モジュールをパッ
シブ側として結合するものとする。アクティブ側には、
上記実施例の制振装置を有し、パッシブ側はドローグ41
を有している。補給モジュールが実験モジュールに接近
すると、プローブ伸展機構36が作動してプローブ37が結
合部材位置決め装置5から前方(Z軸方向)に伸展す
る。同時に結合ヘッド2に設けられている検知装置によ
り、ドローグの位置を検出し、プローブ37の位置制御デ
ーターを得る。該位置制御データーからプローブ37の2
次元面内の並進位置を規定するための各偏心ローター1
0、13の回転パルス数(回転角)が演算され各偏心ロー
ターを駆動する電動直接駆動モータ17のコントローラに
入力され、各偏心ローターが電動直接駆動される。各偏
心ローターの回転により、各偏心ローターの偏心量が合
成され、例えば、第1偏心ローター10の中心が固定基筒
7の中心からL1だけ偏心し、且つ第2偏心ローター13の
中心が第1偏心ローター10の中心からL2だけ偏心してい
るとすると、そのZ軸回転ローター15の軸心は、固定基
筒7の中心点を中心とする半径L1+L2の円内を範囲とし
て移動することができ、プローブ37をX−Y面の所望の
位置に位置決めができる。又、ドローグ41の回転角度に
応じてZ軸回転ローター15が回転して、プローブ37をそ
の軸回りに回転させて、結合面を完全に一致させる。各
ローターは電動直接駆動されるので、極めて高い分解能
を有し、0.1ミクロンオーダーの微細な動きを制御する
ことができ、高精度の位置決めができる。従って、ドッ
キング時ドローグ41の位置を検出しながら、その位置に
合わせて、プローブ37を2次元面内での並進移動及び回
転させてその位置を微細に制御しながらドローグ41に接
近することができ、ドローグ41を確実に捕捉することが
できる。
プローブ37によるドローグ41の捕捉時、プローブ37の
爪型ラッチ38は当初ラッチアクチュエータ39により開い
た状態にあり、ドローグ41のラッチ係合部材45の先端部
46位置に達すると、ラッチアクチュエータ39が作動して
爪型ラッチ38が閉じられ、ラッチ係合部材の先端部46と
係合する状態となる(第2図の状態)。この状態から、
プローブ伸展機構部36が作動して、ラッチを引き込むと
爪型ラッチ38の係合によりドローグ41が次第に引き込ま
れ、ドローグ41軸心がプローブ37軸心に対して角度θ傾
いていても、ドローグ41の円錐凹部43が結合ヘッド2の
円錐凸部30に案内されてその姿勢が次第に修正されて、
ドローグ41とプローブ37の軸心を一致させて結合ヘッド
2とドローグ41開口端部を完全に一致させる。両者が一
致するとドローグラッチ3のアクチュエータが作動して
ドローグラッチ3がドローグ41の開口端部に係合し、両
者を気密状態に一体に結合する。同時に結合ヘッド2と
ドローグ41開口端部に設けられたアンビリカルコネクタ
ー31のアクチュエータが作動して結合構造要素間の信号
線やエネルギー線等のアンビリカル結合が行われる。
両者の結合が終了すると、ラッチアクチュエータ39を
作動させて爪型ラッチ38とドローグ41のラッチ係合部材
45との係合を解き、プローブ37を収縮させる。その状態
でプローブラッチ48を作動させて気密蓋26と結合軸端部
のフランジ27との係合を解き、捕捉装置35を結合軸から
取り外す。また、ドローグ41側の気密蓋44も内側に回動
すると、実験モジュールと補給モジュールの両者が中空
結合軸1を介して連通し、両者間の物資の移動や人間の
移動が可能状態に結合される。
次に、このようにして結合されて組立られた宇宙構造
物における本実施例装置による制振機能について説明す
る。
宇宙構造物は無重力状態下で揺れるため、その制御は
パッシブ側とアクティブ側ともに干渉しつつ制振を行う
のが有効である。そのため、第7図に示すような宇宙ス
テーション等の大型外軌道構造物の内側に有する実験モ
ジュール等の制振対象物構造物に対しては、相対的に微
小な3軸並進運動の変位量X,Y,Zを検出するよりも、第
6図に示すように、3軸モーメントMx,My,Mzを検出して
モーメント制御方式で制御を行うのが効果的である。そ
のため本実施例では、結合ヘッドと結合軸との結合部に
円周状に90゜間隔で歪みセンサー32を配置し、揺れによ
る生じるモーメントの発生を円周状の各位置における3
軸モーメントMx,My,Mzを歪みセンサーで捕らえ、その出
力信号を高速揺動解析装置で解析して、その出力信号を
結合部材位置決め装置の制御手段を構成する4軸制御装
置に与え、結合部材位置決め装置を制御駆動することに
より、制振を行う。
また、大型外軌道構造物の外側に取付けられる太陽電
池パドル、熱発電ミッション等の大型制振対象構造物の
支持は、片持ち梁のため、大きな揺れによって生じる6
軸の物理量X,Y,Z,Mx,My,Mzを制振装置に設けた歪みセン
サーで捕らえると共に、別に制振対象構造物にその揺れ
を検出する加速度計等の揺動センサーを設けその信号を
加え複合的に制御することにより確実な制振制御が可能
となる。
第5図はそのような制御を行う場合のブロック図を示
している。該図では、大型外軌道構造物の外側に取付け
られる大型制振対象物の代表的な例として、熱発電ミッ
ションを取り付ける展開マスト51、太陽電池パドル52、
補給モジュール53、地球往還機54をアクティブ側である
宇宙構造物本体50(実験モジュール)に結合して組立て
られた宇宙構造物に生じる揺動を抑制する場合の制振装
置の制御ブロック図が記載されている。
アクティブ側には、前記した歪を検出する歪みセンサ
ー32、テレビカメラやレーザー装置等の変位センサー56
が設けられ、一方パッシブ側の各構造物要素には、該要
素の揺動を検知する加速度計等の揺動センサー57が設け
られている。従って、本実施例では、前記歪みセンサー
32、変位センサー56及び揺動センサー57で振動検出手段
を構成している。これらセンサーからの出力は多点計測
高速A/Dスキャナー55で逐次読み取られ、高速多次元揺
動解析装置58でその時点における揺動モードが解析され
て、制振のためパッシブ側の移動位置をX−Y−Z−Θ
の4軸の制御信号として結合部材位置決め装置の制御手
段を構成する4軸制御装置59に与え、該制御装置59より
位置決め装置の第1偏心ローター10、第2偏心ローター
13、Z軸回転ローター15、Z軸並進ローターの各電動直
接駆動モータ17の各コントローラに信号を与え各電動直
接駆動モータ17の出力を制御し、結合軸1を変位させ
て、パッシブ側の構造要素を制振方向に移動させて揺動
を制御する。
第4図は、本発明の制振装置の第2実施例を示す。図
中、60がアクティブ側の基盤で形成される固定基筒、61
が第1偏心ローター、62が第2偏心ローター、63がZ軸
回転ローター、64がプローブ、65がZ軸並進ローターで
あり、それぞれ前記実施例と同様に電動直接駆動モータ
66によって駆動される。該実施例では、Z軸回転ロータ
ー63に直接プローブ64を取り付けて、結合後プローブ64
のプローブラッチ67によってドローグ係合して保持する
ようになっている。従って、該実施例の制振装置の場合
は、小型に形成でき結合間で物資の搬送や人間の移動が
必要のない構造要素間の結合部や連接部に設けるのに適
している。なお、本実施例では、プローブ64先端に設け
られるプローブラッチ67は、ドーム状のプローブヘッド
68から突出自在に形成され、ドローグの係合部に突入す
ることによって自動的に開いてドローグ41に係合して捕
捉するようになっている。その他の構成については前記
実施例と同様である。また、図示されていないが、該実
施例においても、各種センサー及びアンビリカル結合部
を設けてある。
第7図は、以上のような本発明の制振装置を適用した
実験モジュールプラットホームの一概念想定図である。
宇宙構造物本体である実験モジュール50は、与圧部70と
曝露部71を有し、与圧部の外部にリング軌道72が4本の
支持桁73で支持されている。該リング軌道72には、太陽
電池パドル52及び展開マスト51を介して熱発電ミッショ
ン74が結合され、マニュピュレータ75が移動自在に設け
られている。また、与圧部70には、地球往還機54の結合
ハッチ76、及び補給モジュール53の結合ハッチ77が設け
られ、各々が結合できるようになっている。また、実験
モジュールの曝露部71は、交換ユニット78が載置できる
ようになっている 前記リング軌道72は、第8図及び第9図に示すよう
に、与圧部外壁にリング軌道面を対称に互いに直角方向
に4個の本発明に係る制振装置80a,80b,80c,80dを配置
し、その結合軸の結合ヘッドに一端が結合され、他端が
リング軌道に回転可能に結合された4本の支持桁73に支
持されている。リングをこのように支持構造することに
よって、リング軌道を挟む支点間の距離L′を大きく取
ることができ、L′をモジュールの直径より大きく取
り、モジュールの軸方向長さLとの比L/L′を小さくす
れば、制振の変位も大きく成り、大きな揺れにも対応で
き、制振が容易となる特徴を有する。例えば、図のよう
に縦揺れが発生した場合、上下の制振装置80a,80bを固
定し、結合部に設けた振動検出手段を構成する歪みセン
サー等のセンサーからの信号により算出したモーメント
を受け、左右の制振装置80c,80dにフィードバックし、
該制振の結合軸を上下に動かすことによって、効果的に
制振を行うことができる。
展開マスト51及び太陽電池パドル52は、それぞれ制振
装置81、82を介して結合され、熱発電ミッション74及び
太陽電池パドル52が太陽に追尾してその向きを変えるこ
とができると共に、揺れに応じてそれらを変位させその
揺れを抑制することができる。また、太陽電池パドル52
の各ユニットの結合部の片方のヒンジに、制振装置83が
適用され、個々のユニット毎にも制振することができ
る。
展開マスト51の先端部にも、制振装置84が設けられ、
そのパッシブ側に熱発電ミッションのコレクター85、レ
シーバ86、エンジン87及び熱交換器88を取り付けるベー
ス89が結合されている。また、前記レシーバ86は、ベー
ス89に制振装置を介して取り付けられており、それによ
りコレクターの焦点位置とレシーバ位置との相対位置の
アライメントの調整が容易となり、熱発電システムの性
能を一段と高めることができる。
さらに、与圧部の地球往還機用結合ハッチ76及び補給
モジュール結合用ハッチ77に、第1実施例に記載された
制振装置が設けられ、地球往還機や補給モジュールを捕
捉してドッキングさせることができると共に、その揺れ
を自動的に抑制することができる。
上記各結合部に設けられる各制振装置の制御は、結合
するパッシブ側毎に、フィードバック制御、フィードフ
ォワード制御により、振動検出手段を構成する各種セン
サーからの信号を用いて独立した自律制御回路を組み、
分散型AIシステムにより行うと同時に、それらを総括す
る集中AIシステムによって宇宙構造物全体の制振制御を
行うようになっている。
以上のように、宇宙構造物の結合部、連成部に本発明
の係る制振装置が設けられているので、宇宙構造物のド
ッキング・組立時のアライメントが容易であると共に、
宇宙構造物が内外から受ける揺動を素早く抑制し、新素
材や新薬等の実験を行う微小重力状態や、天体観測等を
行う姿勢を確保することができる。
(効果) 本発明の宇宙構造物制振装置は、以上のような構成か
らなり、次のような顕著な効果を奏する。
宇宙構造物の揺れに応じて、単一の位置決め装置で被
結合側構造要素をX−Y−Z−Θの4方向成分の動きを
もってすばやく変位させることができるので、微細な振
動から多モードの複雑な大きな揺れまで効果的に制振す
ることができ、且つ装置もコンパクトに構成することが
でき、また従来のアクチュエータの組合せよりも制御則
が比較的単純化できる。
位置決め装置は、各ロータが電動直接駆動されるの
で、高トルクが得られると共に極めて高い分解能を有
し、微細な動きを制御することができ、結合部材の高精
度な位置決めができる。
結合部材にプローブを有する捕獲装置を設けることに
よって、プローブにX,Y,Z軸方向の移動及びZ軸の回転
Θの4方向成分の動きを与えることができ、被結合構造
要素を捕獲するときのアライメント機能が飛躍的に向上
する。
結合部材位置決め装置の軸心部の中空の大型に形成す
ることができるので、結合された両構造要素間が本制振
装置を介して連通状態となり、物資や人間の移動が可能
となる。
結合部材をZ軸並進手段に直接支持されるブローブで
構成することによって、コンパクトに構成することがで
き、小さな構造物要素間の結合部にも適用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の宇宙構造物制振装置の実施例を示し、第
1図はその側断面図、第2図は被結合側構造要素を捕獲
し結合する動作状態を表す側断面図、第3図は被結合側
構造要素と結合した状態を表す側断面図、第4図は他の
実施例の側断面図、第5図はその制御ブロック図、第6
図は制振装置の歪センサーの配置図、第7図は本発明の
制振装置を適用した宇宙構造物の想定概略斜視図、第8
図は実験モジュール支持側面図、第9図は実験モジュー
ルの制振原理図である。 1:結合軸、2:結合ヘッド、3:ドローグラッチ、5:結合部
材位置決め装置、7,60:固定基筒、10,61:第1偏心ロー
ター、13,62:第2偏心ローター、15,63:Z軸回転ロータ
ー、17,66:電動直接駆動モータ、23,65:Z軸並進ロータ
ー、26,44:気密蓋、31:アンビリカルコネクター、32:歪
みセンサー、35:捕捉装置、36:プローブ伸展機構、37,6
4:プローブ、38:爪型ラッチ、40:被結合側構造要素、4
1:ドローグ、45:ラッチ係合部材、47:変位センサー、4
8:プローブラッチ、50:実験モジュール、51:展開マス
ト、52:太陽電池パドル、53:補給モジュール、54:地球
往還機、57:振動センサー、72:リング軌道、74:熱発電
ミッション、80〜87:本発明に係る制振装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 誠三 東京都三鷹市新川3―8―4 (72)発明者 桑野 尚明 東京都調布市深大寺東町7―43―3 航 鷹寮 (72)発明者 坂井 義典 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社岐阜工場内 (72)発明者 小田 博 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社岐阜工場内 (72)発明者 植草 正雄 富山県富山市石金20番地 株式会社不二 越内 (72)発明者 伊庭 剛二 富山県富山市石金20番地 株式会社不二 越内

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の宇宙構造要素を結合して組立られる
    宇宙構造物の制振装置であって、一方の構造要素の結合
    部に設けられ、他方の被結合構造要素の結合部と係合す
    る結合部材、該結合部材を支持し、該結合部材をその軸
    心回りの回転と軸心方向並進移動及び軸心方向と垂直な
    平面内で並進移動させて位置決めする結合部材位置決め
    装置、被結合構造要素の振動を検出する振動検出手段、
    該振動検出手段の出力信号によって前記結合部材を前記
    被結合構造要素の振動を抑制する方向に移動させるよう
    に前記結合部材位置決め装置を制御する制御手段を有す
    ることを特徴とする宇宙構造物制振装置。
  2. 【請求項2】前記結合部材位置決め装置は、結合する一
    方の構造要素の結合部に固定して形成された固定基筒、
    該固定基筒に順次偏心して多段に設けられた複数の偏心
    ローターからなるX−Y面並進ローター、該X−Y面並
    進ローターの最終段の偏心ローターに設けられたZ軸回
    転ローター、該Z軸回転ローターに支持されたZ軸並進
    手段を有し、前記各ローターは、電動直接駆動モータに
    より各々独立して回転制御されることを特徴とする請求
    項1記載の宇宙構造物制振装置。
  3. 【請求項3】前記結合部材は、前記Z軸並進手段に支持
    された中空円筒、該中空円筒の外側端部に歪センサーを
    介して取り付けられ、ドローグ係合面とドローグラッチ
    を有する結合ヘッド、前端にドローグ捕獲用ラッチを有
    し、前記中空円筒内に着脱自在に固定されたプローブ伸
    展機構部によってZ軸方向に進退駆動されるプローブと
    からなる請求項2記載の宇宙構造物制振装置。
  4. 【請求項4】前記結合部材は、前記Z軸並進手段に支持
    されたプローブであり、該プローブの先端にドローグ捕
    獲用ラッチを有する請求項2記載の宇宙構造物制振装
    置。
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