JP2562145B2 - 除雪または雪の移送方法 - Google Patents

除雪または雪の移送方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) この発明は、除雪または雪の移送方法に関するもので
ある。さらに詳しくは、この発明は、低圧での圧送によ
り高効率および高速度での除雪または雪の移送を可能と
する、コアンダスパイラルフローを用いた除雪または雪
の移送方法に関するものである。
(背景技術) 降雪地域における除雪の問題は、地方自治体、企業、
家庭を問わず非常に深刻なものであり、大量の人員と大
規模な資金を投入した自治体レベルの除雪作業から、個
人住宅における屋根の雪おろしから、除雪まで、大変な
労力と費用が必要になっている。しかも、これらの雪対
策をおこたると大変な災害や生活破壊を誘発するため、
これら地域にとっては避けることのできない問題になっ
ている。
従来、このような除雪のために、80〜100気圧という
高圧のコンプレッサーを用いて雪塊をパイプ圧送して直
接に雪拾場に搬送するか、あるいはトラックに積込んで
河川または海に捨てるという方法が行われていた。住宅
においては、手作業によって除雪し、その雪塊をこれら
の方法によって取除いていた。
また、いわゆる除雪機によって、道路などの雪は飛散
させることによって除去することも行われていた。
しかしながら、これら方法はいずれも限定的なもので
あり、除雪方法としては、問題が多かった。システム化
する上で有効な上記のパイプ圧送についても、極めて高
圧の大型装置が必要になること、また、従来のパイプ圧
送の場合には、いわゆる乱流による搬送であるため、パ
イプ内壁面と雪との接触が激しく、パイプの内壁面への
雪の付着、そして凍結などによるトラブルが避けられな
かった。エネルギー的にも圧力損失は極めて大きなもの
となる。
また、以上のような除雪だけでなく、降雪量の少ない
スキー場などでは、雪の移送にもこのようなパイプ圧送
の方法が用いられているが、同様の欠点は避けられなか
った。
一方、流体の輸送、乾燥、分離あるいは粉粒体や繊維
状物の輸送、開繊などに有用なものとしてコアンダスパ
イラルフローの生成とその利用に関する技術がこの発明
の発明者らによって提案されてきている。
コアンダスパイラルフローは、従来の流体の運動概念
として知られている層流または乱流とは全く異なり、乱
流領域に属する流体の運動条件下にありながらも乱流と
は相違するものとしてこの発明の発明者によつて見出さ
れたものである。その生成についてはすでにこの発明者
によって提案されてもいる。
すなわち、この発明の発明者は、管方向の流体のベク
トルに管半径方向のベクトルを加えると流体が旋回し、
この旋回流に基づいて管内壁近傍に動的境界層が形成さ
れ、流体はスパイラル(螺旋)を描きつつ管路方向に高
速で進行するという事実を見出した。このようなコアン
ダスパイラルフローにおいては、流体は高速で進行し、
しかも動的境界層の存在によって固体粒子が存在しても
乱流の場合のように管内壁と衝突することはない。この
ため、流体のスパイラルモーションの過程において流体
はその状態が均一に保持され、内壁との衝突、接触によ
る局所的変質が抑制される。
このような優れた特質は、流体、たとえば粉粒体、ス
ラリー、繊維状物の輸送をはじめとして、化学的、物理
的なユニットプロセス、あるいはそのシステムとして極
めて有益なものである。
この発明の発明者は、このような優れた利点を有する
コアンダスパイラルフローの生成について、たとえば、
添付した図面の第4図に示したような装置をすでに提案
している。
この第4図に示した例においては、コアンダスパイラ
ルフロー生成装置(ア)は、管路(イ)に接続し、この
管路(イ)に接続する円筒管(ウ)は、反対の方向に向
って次第に径が大きくなっている。円筒管(ウ)には、
横方向から導入管(エ)を通じて加圧流体、たとえば、
ガス、空気、あるいは液体の圧縮流を送入する。この加
圧流体を管路(イ)の方向に送入するために、環状のス
リット(オ)が設けられている。また、このスリット
(オ)からは、管路(イ)に向って、滑らかに湾曲した
壁面(カ)を形成している。
湾曲壁面(カ)と反対の側には、直角または鋭角状に
折り曲げた折曲壁面(キ)を設けている。スリット
(オ)は、その間隔を自在に調整できるようにしてい
る。さらにまた、スリット(オ)に加圧流体を均一に供
給するための分配室(ク)を設けてもいる。
管路(イ)と反対の端面は、導入口(ケ)になってお
り流体をこの導入口(ケ)より導入することができる。
このような構造のコアンダスパイラルフロー生成装置
においては、スリット(オ)からの加圧流体の運動ベク
トルと導入口(ケ)からの流体の運動ベクトルとが合成
されてスパイラルモーション(コ)を生じる。その際
に、スリット(オ)の出口で加圧流体はコアンダ効果に
よって矢印αの流線を描いて移動し、管路内壁面近傍に
動的境界層を形成する。また、スリット(オ)の導入口
(ケ)側には大きな負圧域が生じ、導入口(ケ)からの
流体の流入を促進する。
このようなコアンダスパイラルフロー生成装置のカス
リット(オ)部近傍の形状については第4図に示された
ものに限定されることなく、様々な形状とすることがで
きる。スリット(オ)から、加圧流体が、流線αを描い
て流れるように、滑らかな湾曲壁面(カ)ト、直角また
は鋭角状の折曲壁面(キ)とによってスリット(オ)を
形成するようにすればよい。
この発明の発明者は、以上のようなコアンダスパイラ
ルフローを利用することが、除雪または雪の搬送に極め
て有利であることを見出してこの発明を完成した。
除雪または雪の搬送にこのコアンダスパイラルフロー
を用いる場合には、管内壁と雪塊との接触が抑制される
ため、雪の付着、そして凍結は防止され、圧力損失も少
ないため、低圧での移送が可能となることを見出した。
(発明の目的) この発明は、以上の通りの事情を踏まえてなされたも
のであり、従来方法の欠点を改善し、低圧で、高効率か
つ高速で、かつ装置トラブルのないコアンダスパイラル
フローによる除雪または雪の移送方法を提供することを
目的としている。
(発明の開示) この発明は、上記の目的を実現するために、環状スリ
ット部から移送管路に向って滑らかに湾曲した壁面を介
して漸縮小する円筒部を持つコアンダスパイラルフロー
ユニットにおいて前記環状スリット部から圧縮空気を吹
出すことにより管路方向にスパイラルフローを生成さ
せ、管路方向とは逆の前記ユニットの導入口部に生じる
負圧によって雪塊または雪粒を吸引し、前記スパイラル
フローによりこれを管路方向に移送することを特徴とす
る除雪または雪の移送方法を提供する。
また、さらに好ましくは、この発明の除雪または雪の
移送方法は、管路網を形成してコアンダスパイラルフロ
ーにより雪塊または雪粒を搬送することを特徴としてい
る。
この方法に用いるコアンダスパイラルフロー生成のた
めの装置は、たとえば前述した第4図に示したものが例
示されるが、格別これに限定されるものではない。様々
な具体的形状、構造のものが用いられる。いずれの場合
も、加圧流体の送入によって管軸中心にベクトルの大き
いスパイラルムーブメントが生じるものであればよい。
次に、添付した図面に沿ってこの発明の方法について
説明する。
第1図は、管路網を形成した場合の例を示している。
除雪が必要な地域、A,B,C,D,およびEに各々、コアンダ
スパイラルフロー生成装置(1)(2)(3)(4)
(5)を設置している。また、管路途中には、長距離の
雪の搬送に有効なブースターとしてのコアンダスパイラ
ルフロー生成装置(6)を設けている。管路出口(7)
は、雪捨場、Fに向いている。
このような管路網を形成し、コアンダスパイラルフロ
ー生成装置(1)(2)(3)(4)(5)に、その環
状スリット(8)(9)(10)(11)(12)から加圧空
気を送入する。各々の導入口から雪塊または雪粒を吸引
して管路を搬送する。この際に、分枝部には弁(14)
(15)(16)を設けることにより、この弁を制御して搬
送を出口(7)に向けて集中的に行う。
この第1図の例に限定されることなく、より小規模の
個人住宅用の除雪、あるいはトラックへ積込用の除雪な
どに適した方法とすることもできる。
装置の大きさは、適用する目的、場所によっても相違
するが、たとえば、管路の径は、30mm〜80mm、その長さ
は、200mm以上にもできる。
加圧空気の圧力は、おおむね5〜30kg/cm2程度でよ
く、さらに大きくしてもよい。雪塊、雪粒の混入比は、
2〜6程度とすることができる。また、コアンダスパイ
ラル生成装置の環状スリットから管路への湾曲面の傾斜
角(θ)は、tanθが1/4〜1/8程度とするのが好まし
い。
第2図は、管路網の途中に、ステーションを設けて、
ここからさらに雪の移送を行う例を示している。ステー
ションGには、コアンダスパイラルフロー生成装置(1
7)(18)(19)より雪が移送されてくる。この雪をさ
らにコアンダスパイラルフロー生成装置(20)より搬送
する。
第3図は、住宅の屋根からの雪おろしと同時に雪の搬
送を行う例を示している。
この例の場合には、住宅の屋根(22)の端部に、コア
ンダスパイラルフロー生成装置(23)を、管路(24)に
着脱自在としている。冬期のみ装着する。また管路(2
4)は、地表面(25)の下に埋設している。このため、
夏期、春秋には、この管路(24)は、雨水の通路として
用いることもできる。
これと同じように、第1図および第2図の例において
も、管路網は、地中に埋設しておくことができる。こう
することにより、大規模な除雪が可能となる。もちろ
ん、冬期の除雪時のみに、管路網を敷設してもよい。
さらにまた、ハイディータイプの手作業用のコアンダ
スパイラルフロー装置を用いることもできる。
実施例 60mm径の管路(長さ200m)の入口と途中の100mの地点
に、コアンダスパイラルフロー生成装置を設け、10kg/c
m2の加圧空気を送入した。混入比、約4〜5で雪塊を搬
送した。
雪塊は高速で搬送され、かつ管路内壁面には、5時間
後でも、まったく雪の付着は認められなかった。従来の
80kg/cm2の圧送に比べ、エネルギー効率で約1/10、作業
効率で1/5であった。
(発明の効果) この発明により、以上の通り、高効率および高速での
雪の搬送が可能となる。
除雪または雪の移送に極めて優れた方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図、および第3図は、各々、この発明の一
例を示した概念図である。 第4図は、コアンダスパイラルフロー生成装置の一例を
示した断面図である。 1,2,3,4,5,6,17,18,19,20,21……コアンダスパイラルフ
ロー生成装置、 7……管路出口、 8,9,10,11,12,13……環状スリット、 22……屋根、 23……コアンダスパイラルフロー生成装置、 24……管路、25……地表面。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状スリット部から移送管路に向って滑ら
    かに湾曲した壁面を介して漸縮小する円筒部を持つコア
    ンダスパイラルフローユニットにおいて、前記環状スリ
    ット部から圧縮空気を吹出すことにより管路方向にスパ
    イラルフローを生成させ、管路方向とは逆の前記ユニッ
    トの導入口部に生じる負圧によって雪塊または雪粒を吸
    引し、前記スパイラルフローによりこれを管路方向に移
    送することを特徴とする除雪または雪の移送方法。
  2. 【請求項2】移送管路中にブースターとしてコアンダス
    パイラルフローユニットを設けて移送する請求項1の除
    雪または雪の移送方法。
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