JP2553442B2 - ロックウール化粧仕上材用溝付方法及びその溝付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は施工面の凹凸に追従する
事が出来るように裏面側に溝幅が１ｍｍ以下のスリット
溝を形成して柔軟性が付与されたロックウール化粧仕上
材と当該ロックウール化粧仕上材の裏面側にスリット溝
を形成する方法並びにその溝付けのための装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、天井材や壁材等のロックウー
ル化粧仕上材を石膏ボード、合板捨貼材、木下地、軽鉄
下地等の下地に貼着する場合、下地に不陸やうねりが
あっても目違い等が発生しないように化粧仕上材を下地
材に沿わせるため、曲面形状の下地に化粧仕上材を沿
わせて曲面天井・曲面壁等を形成するために、化粧仕上
材の裏面に溝幅が１ｍｍ以上の切削溝を設け、化粧仕上
材に柔軟性を持たせるようにしていた。

【０００３】しかし、ロックウール化粧仕上材は不燃若
しくは準不燃材料であっても上記のように１ｍｍ以上と
溝幅の広い切削溝を設けると、材料が欠けていて空隙と
なっている前記切削溝部分においては材料が薄くなると
いう事になり、この部分が防火上の弱点となるという欠
点があった。

【０００４】ロックウール化粧仕上材に柔軟性を持たせ
るだけであれば、裏面側に単に切れ目が入っているだけ
で十分であり、開口幅の広い切削溝は不要となる。従っ
て、溝部分の開口幅は出来るだけ小さいほうがよいので
あるが、従来のルーターやカッターで溝を切削すると刃
物の厚み分（少なくとも１ｍｍ程度）以上の溝幅が生じ
る事になるだけでなく、切削が悪い場合には刃物で繊維
がかき取られて角部分で欠けを生じる事もある。特に、
刃物の回転方向がロックウール化粧仕上材の搬送方向に
向かうよう回転している場合に顕著である。

【０００５】又、従来のカッターやルーターでロックウ
ール化粧仕上材の溝を切削すると、刃物によって材料を
削り取るために微細な繊維や粉末が多量に発生する。こ
れらは不燃物であるために焼却する事が出来ず、産業廃
棄物としての処理問題が発生する。

【０００６】更に、ロックウール化粧仕上材は柔らかく
切削が容易であるにも拘わらず、上記の微細な繊維や粉
末はシリカやアルミナのように硬度の高い原料を主成分
としているので、切削時に高速回転（５,０００ｒｐ
ｍ）で回転する刃物はこれら高硬度物質によってあたか
も研磨されているような状態になり、刃物の寿命が著し
く短くなるという製造上の問題点もある。そこで、耐摩
耗性に優れた高価なダイヤモンド刃物を使用した場合に
は、摩耗の点は改善されるもののロックウール化粧仕上
材中に硬い異物が混入している場合にはダイヤモンドの
刃先が欠けて却って使用出来なくなるいう問題がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の解決課題は、
防火上の欠点と柔軟性の付与を共に解決する溝付きロッ
クウール化粧仕上材の溝付方法とその装置を提供するに
際し、溝付方法にあっては欠けが生じるようなことなく
奇麗にスリット溝を形成できるようにする事であり、溝
付け装置にあっては、溝形成時に産業廃棄物が発生しな
いこと、ダイヤモンド刃物のようなものでなく、通常の
刃物であってもその寿命を損なうことがないようにする
こと、溝形成に当たってロックウール化粧仕上材に欠け
が生じない事である。

【０００８】

【０００９】

【課題を解決するための手段】 請求項１に記載のロック
ウール化粧仕上材（１）の溝付方法は、『ロックウール
化粧仕上材（１）を一方向に移動させ、ロックウール化
粧仕上材（１）の接着用裏面（２）に回転刃物（５）に
てスリット溝（３）を形成するロックウール化粧仕上材
（１）の溝付方法において、前記回転刃物（５）がロッ
クウール化粧仕上材（１）の移動方向に回転し、かつ、
その回転速度がロックウール化粧仕上材（１）の移動速
度にほぼ等しくなるように設定されている』事を特徴と
する。これにより、スリット溝（３）の形成時におい
て、刃先（６）がロックウール化粧仕上材（１）の繊維
を押し付けるように回転する事になり、切断が不十分な
場合でも繊維が刃先（６）に引っ掛かって大きく掬い取
られて欠けを生じるというような事がなく、スリット溝
（３）が常時、奇麗に形成される。

【００１０】請求項２に記載のロックウール化粧仕上材
用溝付け装置Ａは、『ロックウール化粧仕上材（１）を
移動させる移動手段（４）と、ロックウール化粧仕上材
（１）の裏面（２）側にスリット溝（３）を形成するス
リット溝形成用の回転刃物（５）とで構成されてなり、
上記回転刃物（５）は、ロックウール化粧仕上材（１）
の移動方向に回転すると共に、回転速度がロックウール
化粧仕上材（１）の移動速度にほぼ等しく、該刃物
（５）は周縁部が次第に薄くなるように形成され、刃先
（６）の厚みが１ｍｍ以下である』事を特徴とする。こ
れにより、従来のルーターやカッターで溝を切削する場
合と相違して刃物（５）によって材料を削り取られると
言うことがなく、微細な繊維や粉末が発生せず、産業廃
棄物の心配をする必要がない。加えて、回転刃物（６）
はロックウール化粧仕上材（１）の移動方向に回転する
ので、刃先がロックウール化粧仕上材（１）の繊維を押
し付ける方向に回転する事になり、切断が不十分な場合
でも繊維が刃先（６）に引っ掛かって大きく掬い取られ
て欠けを生じるというような事がなく、スリット溝
（３）が常時、奇麗に形成される。

【００１１】

【実施例】図１は、本発明にかかるロックウール化粧仕
上材(1)にスリット溝(3)を形成するための溝付け装置Ａ
の概略機構を示す斜視図であり、図９,１０はその詳細
図である。以下、本発明にかかる溝付け装置Ａを図９,
１０に従って説明する。

【００１２】(7)は箱型のフレームで、フレーム(7)の下
部横架材(8)間に軸受け(9)を介してカッタ取付軸(10)が
回転自在に配設されている。カッタ取付軸(10)には所定
の間隔で回転刃物が(5)取付られている。回転刃物(5)の
形状は図４に示すように円板状で、図６に示すように周
縁部が次第に薄くなるように形成されている。刃先(6)
の幅は、例えば０.３ｍｍであり、胴部の幅は０.７ｍｍ
でり、直径は１４５ｍｍである。そのカッタ取付軸(10)
への取付間隔は例えば５６ｍｍ間隔で本実施例では１１
枚セットされるようになっている。取付間隔はスペーサ
(11)によって確定される。

【００１３】尚、回転刃物(5)の厚みは、ロックウール
化粧仕上材(1)への挿入部分の幅が１ｍｍ以下であれば
特にその肉厚の限定は要しない。カッタ取付軸(10)の回
転方向は、ロックウール化粧仕上材(1)の搬送方向に一
致させてある。カッタ取付軸(10)は、フレーム(7)に対
して固定されており、昇降しない構造となっている。回
転刃物(5)の回転速度は従来例に比べて非常に遅く、例
えば、従来例では５,０００ｒｐｍ程度であるが、本発
明の場合は８０から１００ｒｐｍ程度の非常に遅い速度
であって、切断というよりは押し切り又は裏面への刃先
(6)の押し込みという状態でロックウール化粧仕上材(1)
の裏面(2)にスリット溝(3)を設けるようになっている。

【００１４】(4)は押さえロールで、ロックウール化粧
仕上材(1)の移動手段である。上部横架材(12)に装着さ
れた昇降軸受け(13)にて回転自在に架設されている。(1
4)は軸受け部(15)をガイドするガイド部材であり、(16)
は昇降軸受け部(15)を昇降させる昇降ねじであり、(17)
はロックナットである。

【００１５】(18)は、回転刃物(5)と押さえロール(4)と
の間に設置された定盤で、両側に設けられた取付アーム
(19)に垂直方向の長孔(20)が形成されており、前記長孔
(20)を利用してフレーム(7)に対して定盤(18)を昇降自
在に固定出来るようになっている。更に、定盤(18)には
刃先突出溝(21)が回転刃物(5)に合わせて穿設されてお
り、回転刃物(5)が前刃物突出溝(21)内に嵌まり込んで
おり、刃先(6)が押さえロール(4)側に突出している。刃
先(6)の突出代はロックウール化粧仕上材(1)の厚さの1/
2〜1/3程度に設定される。(22)は、定盤(18)に接続され
る搬送台で、仮想線で示されている。

【００１６】回転刃物(5)の回転速度は前述のように非
常に遅く、８０から１００ｒｐｍで、ロックウール化粧
仕上材(1)の送り速度と同等かあるいは若干早い速度に
設定されている。ロックウール化粧仕上材(1)の送り速
度は３５から４０ｍ／分程度である。

【００１７】しかして、ロックウール化粧仕上材(1)の
裏面(2)を下にして搬送台(22)上に載置し、回転刃物(5)
に向けて押し込む。押し込み速度は前述の通りである。
回転刃物(5)の回転方向はロックウール化粧仕上材(1)の
搬送方向に一致しており、回転刃物(5)の刃先(6)がロッ
クウール化粧仕上材(1)の裏面(2)に押し込まれるように
してスリット溝(3)が形成される。従って、ロックウー
ル化粧仕上材(1)の繊維が削り取られず、単に押し切り
されるだけで開口幅の非常に狭い直線のスリット溝(3)
が多数平行にて形成される事になる。

【００１８】また、回転刃物(5)の回転方向とロックウ
ール化粧仕上材(1)の搬送方向が一致しており、かつ、
回転刃物(5)の回転速度は８０から１００ｒｐｍとロッ
クウール化粧仕上材(1)の送り速度と同等かあるいは若
干早い速度に設定されているので、刃先(6)はロックウ
ール化粧仕上材(1)の繊維を掘り起こす事なく押し付け
るように切断することになり、切断部分において裏面
(2)に欠けを生じさせるような事がない。

【００１９】また、前述のように回転刃物(5)の回転速
度は非常に遅いので、ロックウール化粧仕上材の(1)繊
維中に混入している高硬度粉(アルミナ、シリカなど)に
よって刃先(6)が研磨されるという事が非常に少なく、
また、たとえ切削回転中に異物に接触してもその衝撃で
刃先(6)が欠けるというような事もなく、回転刃物(5)の
寿命が非常に伸びることになる。

【００２０】ロックウール化粧仕上材(1)の厚みが変わ
った場合やスリット溝(3)の深さを変えたい場合には、
定盤(18)をフレーム(7)に固定している取付アーム(19)
のボルトを緩め、所定の高さに定盤(7)を設定した後、
取付アーム(19)をフレーム(7)に再度固定する。次に、
定盤(7)の昇降量に合わせて押さえロール(4)を昇降させ
るためにロックナット(17)を緩め、昇降ねじ(16)を回転
させて軸受け部(15)を昇降させ、押さえロール(4)と定
盤(18)との間隔をロックウール化粧仕上材(1)の厚みに
合わせる。軸受け部(15)はガイド部材(14)に沿って昇降
する事になる。しかる後、ロックナット(17)を再度締め
込み、フレーム(7)に昇降ねじ(16)を固定することによ
って押さえロール(4)の固定を完了する。

【００２１】このように、本発明ではロックウール化粧
仕上材(1)の裏面(2)に幅狭スリット溝(3)を押し切りの
ような状態で切り込み形成するので、従来のような削り
屑が発生せず、不燃産業廃棄物の発生がほとんどない。
又、刃物(5)も低速回転のため異物による欠けや摩耗も
少なく、刃物(5)の寿命を著しく高める事が出来るのみ
ならず、使用する電動機の電力消費量も少なくなる。

【００２２】ロックウール化粧仕上材(1)の裏面(2)への
スリット溝(3)の構成方法は、１方向だけでもよいが、
縦横に柔軟性を与えるためには縦横に複数のスリット溝
(3)を形成するのがよい。

【００２３】このように形成したロックウール化粧仕上
材(1)を天井面や壁面その他の下地に上に貼着して行く
のであるが、裏面(2)のスリット溝(3)の存在により、ロ
ックウール化粧仕上材(1)に十分な柔軟性が付与され、
下地の不陸に沿ってロックウール化粧仕上材(1)を変形
させて沿わせる事が出来、目違いの発生もなくなり仕上
がり外観が向上する。しかも、このようにロックウール
化粧仕上材(1)が変形してもスリット溝(3)の溝幅は１ｍ
ｍ以下と非常に小さく、防火性能を損なうことがない。

【００２４】（実施例）回転刃物の直径１４５ｍｍ、刃
物厚さ０.７ｍｍ、刃先の厚さ０.３ｍｍで回転刃物を５
６ｍｍ間隔で１１枚セッティングした。１２×３００×
６００ｍｍサイズのロックウール化粧仕上材を裏面が下
向きになるようにして溝付け装置内を通過させ、横方向
に送り１１本のスリット溝を、縦方向に送り５本のスリ
ット溝を設けるように加工した。（スリット溝は、横方
向または縦方向のみでも良いし、本数も限定しない。）
回転刃物の回転数は約８０〜９０ｒｐｍ，被加工物の送
り速度は３５〜４０ｍ／分とした。（刃物の回転遮度が
被加工物の送り速度と同等か若干早い程度）これによ
り、ロックウール化粧仕上材の裏面に開口幅０.３ｍ
ｍ，深さ５ｍｍのスリット溝が設けられた。（スリット
溝の開口幅はｌｍｍ以下で、深さは製品厚さの１/３前
後が望ましい。）この時、集塵機を使用しなかったが、
粉塵ほほとんど見られなかった．

【００２５】

【００２６】

【発明の効果】請求項１に記載のロックウール化粧仕上
材の溝付方法は、回転刃物がロックウール化粧仕上材の
移動方向に回転し、かつ、その回転速度がロックウール
化粧仕上材の移動速度にほぼ等しく設定してあるので、
スリット溝の形成時に刃先がロックウールの繊維を押し
付ける方向に働き、切断が不十分な場合でも繊維が刃先
に引っ掛かって大きく掬い取られて欠けを生じるという
ような事がなく、スリット溝が常時、奇麗に形成される
という利点がある。

【００２７】請求項２に記載のロックウール化粧仕上材
用溝付け装置は、ロックウール化粧仕上材を移動させる
移動手段と、ロックウール化粧仕上材の裏面側にスリッ
ト溝を形成するスリット溝形成用の回転刃物とで構成さ
れており、上記回転刃物は、ロックウール化粧仕上材の
移動方向に回転すると共に、回転速度がロックウール化
粧仕上材の移動速度にほぼ等しく、該刃物は周縁部が次
第に薄くなるように形成されているので、従来のルータ
ーやカッターで溝を切削する場合と相違して刃物によっ
て材料を削り取られると言うことがなく、微細な繊維や
粉末が発生せず、産業廃棄物の心配をする必要がないと
いう利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のロックウール化粧仕上材のスリット溝
加工方法の概略斜視図

【図２】図１の正面図

【図３】図１の側面図

【図４】本発明に用いられる回転刃物の正面図

【図５】図４の正面図

【図６】図５の刃先部分の拡大図

【図７】本発明のロックウール化粧仕上材の裏面側の斜
視図

【図８】図７の端面図

【図９】本発明にかかる溝付け装置の側面図

【図１０】本発明にかかる溝付け装置の正面図

【符号の説明】

(1)…ロックウール化粧仕上材 (2)…化粧仕
上材の裏面 (3)…スリット溝 (4)…移動手
段 (5)…回転刃物 (6)…刃先 Ａ…ロックウール化粧仕上材用溝付け装置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロックウール化粧仕上材を一方向に
   移動させ、回転刃物にてロックウール化粧仕上材の接着
   用裏面スリット溝を形成するロックウール化粧仕上材の
   溝付方法において、 前記回転刃物がロックウール化粧仕上材の移動方向に回
   転し、かつ、その回転速度がロックウール化粧仕上材の
   移動速度にほぼ等しく設定されている事を特徴とするロ
   ックウール化粧仕上材用溝付方法。
2. 【請求項２】 ロックウール化粧仕上材を移動させ
   る移動手段と、ロックウール化粧仕上材の裏面側にスリ
   ット溝を形成するスリット溝形成用の回転刃物とで構成
   されてなり、 上記回転刃物は、ロックウール化粧仕上材の移動方向に
   回転すると共に、回転速度がロックウール化粧仕上材の
   移動速度にほぼ等しく、該刃物は周縁部が次第に薄くな
   るように形成され、刃先の厚みが１ｍｍ以下である事を
   特徴とするロックウール化粧仕上材用溝付け装置