JP2550023B2 - 液体金属イオンプロ−ブ顕微鏡 - Google Patents

液体金属イオンプロ−ブ顕微鏡

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JP2550023B2
JP2550023B2 JP61054728A JP5472886A JP2550023B2 JP 2550023 B2 JP2550023 B2 JP 2550023B2 JP 61054728 A JP61054728 A JP 61054728A JP 5472886 A JP5472886 A JP 5472886A JP 2550023 B2 JP2550023 B2 JP 2550023B2
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一二三 田村
茂行 細木
敏之 会田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電界放出現象を利用した液体金属イオンまた
は電子源を利用したプローブ顕微鏡に係り、特に、微細
断面形状測定、微小部分元素分析、質量分析及び微小部
分への記録等に好適な液体金属イオンまたは電子プロー
ブ顕微鏡に関する。
〔従来の技術〕
従来の電子線プローブ顕微鏡は、例えば、米国特許第
4,343,993号に記載のようにタングステン材等の固体金
属のみをチツプとして使用しているため、電子の電界放
出電流のみ考慮されていた。即ち、電界放出により電子
及びイオンを引き出すことができる液体金属を利用した
液体金属イオンまたは電子プローブ顕微鏡については配
慮されていなかった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来技術はイオンの電界放出の点について配慮が
なされておらず、微小部分の3次元計測や分析以外にイ
オンプローブによる微小部分の質量分析や物質輸送手段
等の広範囲の分析や工業的応用まで利用範囲を広げるこ
とはできなかつた。
本発明の目的は上述の問題点を解決すべく、電界放出
により、電子及びイオンプローブを取り出し、微小部分
の3次元計測,観察分析,加工,膜形成,物質輸送等を
可能とする液体金属イオンまたは電子プローブ顕微鏡を
提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的は、電子放出源として使用されていた金属チ
ツプを液体金属チツプに代え、試料に対して所望の正負
いずれかの電圧を与え、微細な電子あるいはイオンプロ
ーブを得ることにより、達成される。
〔作用〕
液体金属チツプと試料表面とを近接した位置に設定し
2極構造として、試料に対して負電圧を印加すると電界
放出現象により微細な電子プローブを得ることができ
る。また、試料に対して正電圧を印加すると電界放出現
象により微細なイオンプローブを得ることができる。電
子プローブでは電界放出電流が一定になるようにチツプ
と試料表面との間隙を保ちつつ、試料の法線方向のチツ
プの変位を、試料表面上の2次元方向に走査しながら測
定すれば微小部分の3次元形状が測定できる。また、こ
の時発生するオージエ電子、2次電子を検出すれば元素
分析や2次電子像を得ることができる。さらに、3次元
形状測定時にチツプを試料の法線方向に摂動し、電界放
出電流の変動との比を取ると試料の仕事関数の2次元分
布を得ることができる。一方、イオンプローブでも電子
と同じように動作させることにより、同様な計測及び分
析を得ることができる。さらに、イオンの試料への運動
量伝達機構を利用することにより、微小部分の質量分析
及びエツチングを、また、物質輸送機構を利用すること
により、微小部分の薄膜形成が可能となる。以上のよう
に、本発明は、従来の金属チツプを用いた場合の微小部
分の3次元計測や分析可能な手段に比べ、さらに広い応
用範囲を提供することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を第1〜6図を用いて、説明す
る。
第1図は本発明の基本構成を示すものである。図にお
いて、液体金属チツプ6は針状金属チツプ5を支持部材
4に接続し、これらを骨組みとして該針状金属チツプ5
を中心に液体金属(原料)1を含浸するようにして形成
したものである。電極構造は該液体金属チツプ6と試料
2とを非常に接近した状態に設定し、図のように電源3
を接続すると、電界放出現象により、(a)の場合には
微細なイオンプローブ7が、(b)の場合には微細な電
子プローブ8を得ることができる。チツプ6と試料2と
の間隙は10Å〜100Å程度が望ましい。また、これらは
大気中でも、真空中あるいは大気以外のガス中に設置し
ても構わない。また、液体金属1は常温時に溶液状態の
ものにガリウムがあるが、殆んどのものが高温で液体と
なり、液体金属1を得るために支持部材4に通電して液
体金属チツプ6を得ることもできる。この液体金属チツ
プ6の変形として支持部材4の代りに蒸着用ボードを用
いる方法も考えられる。
第2図及び第3図は第1図の液体金属チツプ6の変形
を示す。第2図は第1図と異なり、針状金属チツプ5を
用いず、キヤピラリ9の中に液体金属1を挿入し、液体
金属1の粘性、表面張力を電界による試料方向への吸引
力により液体金属チツプ6′を形成し、微細な電子及び
イオンプローブを引き出すことができる電極構造を示
す。また、第3図には高融点材を液体金属1として使用
するための電子衝撃型加熱手段を設けた液体金属チツプ
6″の構造を示す。第3図において、液体金属(原料)
1はスリーブ10とキヤツプ37の中に封入される。その中
心部に針状金属11が設置され、加熱による液体金属(原
料)1の溶融により針状金属11の先端まで液体金属1が
覆い、液体金属チツプ6″が形成される。この時、電子
衝撃用フイラメント12からは通電(図示してはいない)
により熱電子放出が行なわれ、図のような制御電極13と
バイアス電源14により、放出された熱電子38が針状金属
11を電子衝撃して、高融点材料でも液体金属として利用
することができる。この種の液体金属チツプ6″は第2
図のような簡単な構成に対して複雑であるが、高融点材
料のものまでイオン種に選ぶことができ、材料を変える
ことにより多種類のイオンプローブを選択できるなど大
きな特長がある。
第4図は液体金属チツプ6を微小部分の3次元計測に
応用した例である。図はチツプ6の3次元移動手段とし
て圧電素子(X方向素子17,Y方向素子18,Z方向素子16)
を用いている。これらの素子16,17,18とチツプ6支持台
15と結合部材19とによりチツプ6の3次元移動機構を構
成している。この機構は側壁20で支持され、試料台21上
に搭載された試料2とチツプ6との間隙を近接して設定
できる。尚、この3次元走査系は第1図の説明と同様に
真空中,大気中あるいはガス中で駆動可能である。一
方、制御系は電界放出電流検出回路22、Z方向サーボ回
路23、走査回路24、これらを統括する制御回路25、XYプ
ロツタ26及びデイスプレ27から構成されている。3次元
計測の一例を次に示す。ここでは、チツプ6を試料2面
上に走査した際、試料2表面の凹凸によりチツプ6と試
料2表面との間隙の変動をZ方向の圧動素子16の伸縮で
補正した時の圧電素子16の伸縮量で3次元計測する方式
を採用している。チツプ6と試料2との間に一定電圧を
電界放出電流検出回路22より印加すると、試料2表面の
凹凸により、該間隙とトンネル電流との間には第5
(a)図のような関係に従つた電界放出電流の変化が発
生し、この検出回路22によりこの変化量が検出され、Z
方向サーボ回路23に転送される。これを受けたサーボ回
路23では、上記の変化量をゼロにするように圧電素子16
を駆動する。このサーボ機構により、常に間隙は一定に
保たれる。また、チツプ6は試料表面上の走査にともな
い、表面上の凹凸になぞつてZ方向に働く。この時、Z
方向の変化は圧電素子の移動特性から測定する。第5
(b)図は電荷量あるいは電圧に対する変位の関係であ
り、サーボ時に圧電素子16に印加した電荷量あるいは電
圧によりZ方向の変化量を測定することができる。ま
た、第4図の走査回路24はX方向,Y方向の1次元走査、
あるいはXYの2次元走査を可能にし、走査位置は第5
(b)図の関係より測定する。尚、圧電素子にヒステリ
シスがあるため、電荷量を測定値に選ぶのが望ましい。
制御回路25はハードロジツクあるいは計算機を含んだ制
御回路を示し、2次元走査のプロセス制御を行なうとと
もに、チツプ6の3次元情報を収集する。その後、デー
タ処理を行なつて、XYプロツタ26に1次元走査の断面形
状の表示あるいは2次元走査の鳥かん図的表示あるいは
等高線表示を行なう。また、デイスプレイ27では、XYプ
ロツタ26と同様な表示に加えて、Z方向変位を輝度で表
わす輝度変調表示を行なうことができる。以上のよう
に、圧電素子による3次元駆動とデータ処理を組み合せ
れば、原子オーダの3次元計測が可能となる。上記の実
施例は電子あるいはイオンの電界放出現象を利用しても
可能であるが、試料表面の汚染を考えると、電子の電界
放出現象を利用した3次元計測の方が望ましい。また、
上記のZ方向の変位測定以外に、チツプ6位置を一定に
保つておき、第5(a)図の電界放出電流値より、変位
を検出する方法や、チツプ6位置及び電界放出電流一定
にするためのチツプ6に印加する電圧の変化から変位を
検出する方法等が考えられる。さらに、第5(a)図の
関係からチツプ6のZ方向に摂動を加えることによる電
流値の変化から試料2表面上の構成元素の仕事関数の分
布を測定することもできる。また、試料2に対するチツ
プ6の3次元駆動には第4図以外に、試料2を3次元駆
動する方法や試料2の駆動及びチツプ6の駆動を複合し
た3次元駆動を行なう方法が考えられる。
第6図は液体金属チツプ6から電子8あるいはイオン
7を衝撃したさい発生する2次電子29及びオージエ電子
28を利用し、表面観察及び表面分析を行う場合の一例を
示す。32は2次電子検出記、30はエネルギアナライザ、
31は増倍管である。2次電子検出器32からは走査型電子
顕微鏡と同様な2次電子像を、また、増倍管31からはオ
ージエ電子像を得ることができる。これらの部品は電源
3あるいは制御関係を除いて、真空中に設定する必要が
ある。また、2次電子像を得る場合、2次電子引き出し
のため、引き出し電極を2次電子検出器32の入射側に設
置し、試料2に対して正の電圧を印加して2次電子検出
感度を増すことが望しい。さらに、イオン照射時のスパ
ツタ現象を利用して深さ方向の観察あるいは分析も可能
である。
第7図はイオン照射時に発生する2次イオン33を用い
て微小部分の質量分析を行なう原理図である。図のよう
に、チツプ6と試料2とに電源3を結線すると、微細の
イオンプローブ7を試料2に照射することができる。こ
れにより、試料2表面より2次イオン33が放出され、エ
ネルギアナライザ34、マスフイルタ35及び2次イオン検
出器36により所望のエネルギあるいは所望の質量数の2
次イオン33を検出する。この原理に基づいて、第4図の
ごとく、チツプ6を試料2表面上を2次元走査すれば微
小部分の特定の2イオン分布を得ることができる。な
お、第7図の部品も第6図と同様に電源3を除いて、真
空中に設定するのが望ましい。また、第6図,第7図に
は制御系を省略しているが、第4図のような制御系や通
常のオージエ分布装置、走査型電子顕微鏡あるいは質量
分析装置と同じ制御系(3次元走査制御を除く)が設定
されている。
その他の応用として工業的応用がある。第1(a)図
のように、微細のイオン7プローブを試料2に照射した
さい、イオンの運動量が試料2の原子に伝達され、スパ
ツタリング(イオンエツチング)が起る。あるいは、ス
パツタリングより吸着の確率が大きいと、イオン種とな
る液体金属1の原子から構成される薄膜が形成される。
これに第4図のような走査系を設けることにより、微細
なパターンを形成することができる。このようなイオン
エツチングや薄膜形成は、半導体分野等の超微細パター
ン形成を可能にし、さらに、フアイルのような記録媒体
の超高密度記録を可能にする。
また、第1(b)図のような微細な電子プローブによ
りレジストに微細パターンを形成することもできる。
尚、実施例では3次元駆動手段が圧電素子を使用して
いるが、他の駆動手段、例えば、微小変位機構を用いる
ような場合でも本発明を逸脱するものではない。
また、本発明は電子、イオンを電源の極性切換えによ
り容易に取り出せるので電子プローブ、イオンプローブ
の繰り返えしによる各々特有な計測,分析あるいは記録
など自由に組合せて利用することができる。
以上のように、本実施例によれば、本発明は従来の固
体金属チツプを用いた装置の計測及び分析範囲を大きく
上まわる計測,分析分野への適用を可能にし、さらに、
工業的応用をも可能にする。また、本発明は操作性の点
からも大きな特長がある。即ち、チツプが液体であるの
で、液体金属の粘性,表面張力,電界の強さなどの条件
により、固定金属チツプに比べ極めて容易にプローブを
形成することができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、微細な電子あるいはイオンプローブ
を容易に得ることができるので、微小部分の計測,分
析,像観察などの分野が固体金属チツプをもつた場合よ
りはるかに拡大されるとともに、微細なパターン形成,
薄膜形成が容易となり、工業的分野にも適用できるとい
う大きな効果がある。また、微細チツプの形成において
も、液体金属であるので容易に針状化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例であり、(a)は微細なイオ
ンプローブを得るための構成図、(b)は微細な電子プ
ローブを得るための構成図、第2図はキヤピラリ型液体
金属プローブの構成図、第3図は電子衝撃型液体金属プ
ローブの構成図、第4図は液体金属チツプを微小部分の
3次元計測に応用した計測システムのブロツク図、第5
図は試料2とチツプ6との間隙と電界放出電流の関係
(a)と圧電素子への印加電荷量(電圧)と圧電素子の
変位の関係(b)を表わす図、第6図は液体金属チツプ
より微細な電子あるいはイオンプローブを取り出し、オ
ージエ分析(像)あるいは2次電子像を得る基本構成
図、第7図は液体金属チツプより微細なイオンプローブ
を取り出し、質量分析あるいは2次イオン像を得るため
の基本構成図を示す。 1……液体金属(原料)、2……試料、3……電源、6,
6′,6″……液体金属チツプ、7……イオン(プロー
ブ)、8……電子(プローブ)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細木 茂行 国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式 会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 会田 敏之 国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式 会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 原田 達男 国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式 会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−29041(JP,A) 米国特許4343993(US,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料に対向して配置された液体金属イオン
    源と、該液体金属イオン源を試料表面に対してほぼ並行
    に移動させる手段と、該液体金属イオン源を試料表面に
    対してほぼ垂直に移動させる手段と、該液体金属イオン
    源と試料との間に所定の電圧を印加する手段とよりな
    り、前記液体金属イオン源と試料との間にトンネル電流
    が流れる距離に前記液体金属イオン源と試料との間隔が
    制御されることを特徴とする液体金属イオンプローブ顕
    微鏡。
  2. 【請求項2】前記液体金属イオン源から試料に電子を照
    射したときに発生する試料表面からの2次電子観察像、
    オージェ電子観察あるいはオージェ電子分析を行うため
    の手段を備えることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の液体金属イオンプローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】前記液体金属イオン源から試料にイオンを
    照射したときに発生する試料表面からの2次イオン観察
    像、2次イオン分析を行うための手段を備えることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の液体金属イオンプ
    ローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】前記液体金属イオン源から試料にイオンを
    照射して試料表面のイオンエッチングあるいは膜形成を
    行うことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の液体
    金属イオンプローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】前記液体金属イオン源から液体金属イオン
    を取り出すために、前記電圧を印加する手段が印加する
    電圧の極性を切り換える手段を有することを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の液体金属イオンプローブ顕
    微鏡。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US4343993A (en) 1979-09-20 1982-08-10 International Business Machines Corporation Scanning tunneling microscope

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6129041A (ja) * 1984-07-19 1986-02-08 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電界放出形液体金属イオン源

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US4343993A (en) 1979-09-20 1982-08-10 International Business Machines Corporation Scanning tunneling microscope

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