JP2543899B2 - フルモ−ルド鋳造方法 - Google Patents

フルモ−ルド鋳造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はフルモールド法を利用した加圧鋳造方法に関
する。
(従来の技術) 従来、鋳造の鋳造方法の一つとして、発泡ポリスチロ
ールなどの熱に弱い合金樹脂模型を鋳物砂中に埋設さ
せ、これゐ溶融金属を注入し、注湯熱によって模型を気
化蒸発させながら溶湯と置換しつつ鋳物を製造するフル
モールド法がある。更にこの方法を利用して、鋳造工程
で減圧により鋳物砂をかためるという手段を取り入れた
フルモールド鋳造法がある(特公昭49−32167号公報参
照)。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、上記従来のフルモールド鋳造物において、溶
湯の注入から凝固するまでの工程とは、湯口から溶湯を
注入し、自然に溶湯が凝固するのを待ち、その間、模型
から発生するガスを減圧により除去し、かつ、その減圧
により鋳物砂層の崩れを防止しようとするものであっ
た。そのため、全体が均一な組織の鋳物を鋳造するのは
困難であった。更に鋳物砂の熱伝導率が低く凝固速度が
遅かったので、アルミニウムのように凝固速度により強
度が変わる金属を鋳造する場合、凝固速度が遅いと金属
の組織が緻密にならず強度の低い鋳物しか得られなかっ
た。更に模型から発生するガスが溶湯にまき込み鋳物に
鬆ができるという欠点があった。
(問題点を解決するための手段) 本発明の前記問題点を解消するための手段は、フルモ
ールド鋳造において、注湯後、溶湯を気体によって加圧
する方法であって、第1の圧力で溶湯を所定時間加圧す
る第1工程と、この第1工程後、第1の圧力よりも高い
第2の圧力で溶湯を所定時間加圧する第2工程とを包含
して成ることを特徴とするフルモールド鋳造方法であ
る。
(作用) フルモールド鋳造法においては、鋳型となるポリスチ
ロール模型が固体の状態であれば、鋳物砂は一定の形状
を備えるが、本来、鋳物砂は不定形物質であるため、注
湯後のフラスコ部材の内部は鋳物砂ならびに溶湯(液
体)からなる不定形物質のみの状態になる。そのため溶
湯に加える圧力が大きいと、溶湯の差し込み、鋳物砂層
の崩れ等で鋳物砂が圧力によって鋳型の形状を維持でき
なくなってしまう。そのため加圧は気体による加圧手段
をとっているので、溶湯に対してはパスカルの法則によ
る圧力伝達で、湯口部から加えられた圧力がすべての方
向に一様に伝えられる。一方、鋳物砂に対しては粒子の
すきまを空気が通り抜けることが可能である。また一般
に、気体は液体、固体にくらべて熱伝導率が低いため、
加圧する際気体と接する溶湯の表面は熱が奪われにく
く、薄い凝固層ができる程度で、溶湯内部は液体の状態
を保ちやすい。そのため加圧した際に、パスカルの法則
による圧力伝達の状態が持続する。従って、注湯後のフ
ラスコ部材の内部は鋳物砂ならびに溶湯(液体)からな
る不定形物質のみの状態で不安定であるので、低圧の第
1の圧力を加えることによって、鋳物砂と溶湯を密着さ
せ表面凝固層を形成し、第2の圧力を加えた際に鋳物砂
の形状がしっかりと保持される。
(実施例) 以下に本発明のフルモールド鋳造方法の実施例を示
す。
本発明は従来のフルモールド鋳造方法において、注湯
後、溶湯を加圧する方法で、第1図に示すような気体加
圧装置3によって、後に詳述するように圧力が調節され
ながら加えられることを特徴とする。
まず、鋳造装置1について説明する。
第1図ないし第2図に示すように、フラスコ部材2は
底部に底部空所2aとそれに連なる減圧口2bを備えてい
る。前記フラスコ部材2の中には鋳物砂9によってポリ
スチロール製の消失性模型7が埋設され、上部にはスト
ッパー11によって上蓋4が取付けられている。上蓋4に
はスリーブ6が設けられており、該スリーブ6の内部に
は断熱部材によって形成された湯口10が設けられてい
る。そして、該スリーブ6の上部にはワンタッチカプラ
ー3cによって着脱可能な気体加圧装置3が取付けられ
る。気体加圧装置3は圧力源である空気が充填されたア
キュームレータ3aと、加える圧力を調節する調圧弁3bと
を備えている。調圧弁3bは鋳造する金属の性質や鋳型の
形状によって加える圧力を調節できるようになってお
り、第3図に示すように、注湯後、鋳型表面の凝固層が
できるまでの約5〜10秒程の時間を0.5気圧程の第1の
圧力で加圧し、これによって鋳型の形状維持、溶湯の差
し込み防止、ならびに鋳物砂9の崩れを防止し、その
後、約1〜2分程の時間を5気圧程の第2の圧力で溶湯
を加圧するようになっている。尚第3図に示すグラフは
アルミニウム合金を用いて鋳造する場合の1例で、金属
の性質や鋳型の形状によって加圧力や加圧時間は変更さ
れ、点線で指すような加圧を行なう場合もある。(例え
ば鋳鋼を用いて鋳造する場合)。一方、アキュームレー
ター3aは、使用する空気の損失を見越して余分に空気が
充填されている。
次に、上記装置1を用いたフルモールド加圧鋳造ライ
ンCLの作業について説明する。
第4図に示すように、上記鋳造装置1は搬送ライン12
aによって搬出される過程において、途中に設けられた
作業場所A,B,C,D,EおよびFで各作業工程を行なってい
く。作業工程は第5図に示すように、埋設工程25、コン
パクション工程26、注湯工程27、加圧工程28、取出し工
程29を有する。
埋設工程25では作業場所Aにセットされたフラスコ部
材2に、ロボット15aによって消失性模型7がセットさ
れる。次に、ホッパー16から鋳物砂9が充填される。次
に、ロボット15aによってフラスコ部材2に上蓋4がか
ぶられストッパー11によって固定されコンパクション工
程26へと移る。
コンパクション工程26では作業場所Aに設けられた4
つの振動モーター17によってフラスコ部材2に振動が加
えられ鋳物砂9が密につめられる。こうしてセットされ
たフラスコ部材2(第2図参照)は作業場所Bへと搬送
されて注湯工程27へと移る。
注湯工程27ではフラスコ部材2の底部空所2aに設けら
れた源圧口2bに、減圧装置18の排気管18aの吸込口18bが
つながれて減圧が行なわれる。次に溶解炉19で溶解され
た溶湯の一部をロボット15bが汲取り、フラスコ部材2
の上蓋4に設けられたスリーブ6から注湯を行なう。注
湯が完了するとすぐに加圧工程28へと移る。
加圧工程28ではロボット15cによって加圧用のエアー
が充填された気体加圧装置3が、該装置に設けられたワ
ンタッチカプラー3cによってフラスコ部材2の上蓋4に
設けられたスリーブ6に取付けられる(第1図参照)。
こうして気体加圧装置3の取付けられたフラスコ部材2
は作業場所Bから作業所Dへと搬送される間、第1のフ
ラスコ部材C1、第2のフラスコ部材C2、以下、C3,C4,C
5,C6,C7,C8,というように間隔を存して連続的に搬送さ
れて気体加圧装置3による自己調圧の加圧が行なわれる
と同時に溶湯の冷却と凝固が行なわれる。一方、作業場
所Bから作業場所Dへとフラスコ部材2を搬送する途中
の作業場所Cで、注湯工程27で取付けられた減圧装置18
の排気管18aが切り離される。そのため、排気管18aはそ
の間のフラスコ部材2の搬送動に追従して移動する。そ
して、切り離された排気管18aは作業場所Bへ戻り、新
たなフラスコ部材2に取付けられて同じサイクルを繰り
返す。
作業場所Dに搬送されてきたフラスコ部材2は鋳物の
取出し工程29に移る。
取出し工程29ではまず、ロボット15dによって気体加
圧装置3を取り外す。取外された気体加圧装置3はライ
ン12bを搬送されて作業場所Bに戻り、新たなフラスコ
部材2に取付けられて同じサイクルを繰り返す。一方、
気体加圧装置3を取り外されたフラスコ部材2は作業場
所Eへと搬送される。次に、作業場所Eではロボット15
eによってフラスコ部材2の上蓋4が取り外され、フラ
スコ部材2は作業場所Fに搬送される。一方、取り外さ
れた上蓋4はライン12cを搬送されて作業場所Aに戻る
が、途中、ライン12cの下方に設けられた湯口取付装置2
0によって新たな湯口10が取り付けられる。そして作業
場所Aに搬送されてきた上蓋4は新たなフラスコ部材2
に取り付けられて同じサイクルを繰り返す。
作業場所Fでは傾動装置21がフラスコ部材2を持ち上
げ、分離装置22上に逆さにして中身を空にする。空にな
ったフラスコ部材2は再び搬送ライン12aに戻されて、
作業場所Aに搬送される。一方、分離装置22上に取り出
されたフラスコ部材2の中身は鋳物23と鋳物砂9とに分
離され、鋳物23は製品となり、鋳物砂9は充填材再生装
置24に送られ、金属の残余や不純物が取外かれた後、ホ
ッパー16に戻される。
以上がフルモールド加圧鋳造ラインCLの1サイクルの
鋳造作業で、これを複数のフラスコ部材2によってくり
返すことで鋳物23の大量生産が可能となる。
(効果) 第1の圧力で表面凝固層が形成された後、第2の圧力
による本加圧が行なわれているので、溶湯の鋳物砂への
差し込みが防止され、また鋳物砂層の崩れも防止されて
鋳型の形状が維持される。加えて、加圧により鋳造品全
体にわたり緻密な組織にすることができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示し、第1図は加圧工程中の鋳
造装置の状態を示す縦断面図、第2図は注湯工程前の鋳
造装置の状態を示す縦断面図、第3図は気体加圧装置の
加圧力と加圧時間との関係を示すグラフ、第4図は本発
明を利用した加圧鋳造ラインを示す概略図、第5図はフ
ルモールド加圧鋳造法の工程図である。 1……フルモールド加圧鋳造装置、3……気体加圧装
置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルモールド鋳造において、注湯後、溶湯
    を気体によって加圧する方法であって、第1の圧力で溶
    湯を所定時間加圧する第1工程と、この第1工程後、第
    1の圧力よりも高い第2の圧力で溶湯を所定時間加圧す
    る第2工程とを包含して成ることを特徴とするフルモー
    ルド鋳造方法。
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