JP2543825C - - Google Patents

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JP2543825C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は蓄光性蛍光体、特に屋内外で主に夜間表示用として利用可能な耐候性
に優れると共に、極めて長時間の残光特性を有する新規の蓄光性蛍光体に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】 一般に蛍光体の残光時間は極めて短く、外部刺激を停止すると速やかにその発
光は減衰するが、まれに紫外線等で刺激した後その刺激を停止した後もかなりの
長時間(数10分〜数時間)に渡り残光が肉眼で認められるものがあり、これら
を通常の蛍光体とは区別して蓄光性蛍光体あるいは燐光体と呼んでいる。 【0003】 この蓄光性蛍光体としては、CaS:Bi(紫青色発光),CaSrS:Bi
(青色発光),ZnS:Cu(緑色発光),ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光
)等の硫化物蛍光体が知られているが、これらのいずれの硫化物蛍光体も、化学
的に不安定であったり、耐光性に劣るなど実用面での問題点が多い。 現在市場でもっぱら用いられる硫化亜鉛系蓄光性蛍光体(ZnS:Cu)も、
特に湿気が存在すると紫外線により光分解して黒変したり輝度低下するため、屋
外で直接日光に曝されるような用途での使用は困難であり、夜光時計や避難誘導
標識、屋内の夜間表示等その用途は限定されていた。 【0004】 またこの硫化亜鉛系蛍光体を夜光時計に用いる場合であっても、肉眼でその時
刻を認識可能な残光時間は約30分から2時間程度であり、実用的には、蛍光体 に放射性物質を添加しそのエネルギーで刺激して常時発光する自発光性の夜光塗
料を用いざるを得ないのが現状であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 そこで本発明者は、前述のごとき現状に鑑み、市販の硫化物系蛍光体に比べて
遥かに長時間の残光特性を有し、更には化学的にも安定であり、かつ長期にわた
り耐光性に優れる蓄光性蛍光体の提供を目的としたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 従来から知られている硫化物系蛍光体とは全く異なる新規の蓄光性蛍光体材料
としてユウロピウム等を賦活したアルカリ土類金属のアルミン酸塩に着目し、種
々の実験を行った結果、この蓄光性蛍光体材料が、市販の硫化物系蛍光体に比べ
て遥かに長時間の残光特性を有し、更には酸化物系であることから化学的にも安
定であり、かつ耐光性に優れることが確認でき、従来の問題点がことごとく解消
でき、放射能を含有しなくとも1晩中視認可能な夜光塗料あるいは顔料として、
様々な用途に適用可能な長残光の蓄光性蛍光体を提供することが可能となること
が明らかとなったものである。 【0007】 前述したような蓄光性蛍光体として、請求項1記載のものは、MAl24で表
わされる化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群か
ら選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にすると共に
、賦活剤としてユウロビウムをMで表わす金属元素に対するモル%で0.002 %以
上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウ
ム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる
群の少なくとも1つ以上の元素をMで表わす金属元素に対するモル%で0.002 %
以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0008】 また請求項2は、請求項1に含まれる概念であるものの、特に効果に優れたも
のであり、SrAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤とし てユウロピウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さらに共
賦活剤としてジスプロシウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加
したことを特徴とする。 【0009】 請求項3も、請求項1に含まれる概念であり、SrAl24で表わされる化合
物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.
002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネオジムをSrに対するモル
%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 請求項4も、請求項1に含まれる概念であり、SrAl24で表わされる化合
物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.
002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてサマリウムをSrに対するモ
ル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0010】 請求項5も、請求項1に含まれる概念であり、SrAl24で表わされる化合
物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.
002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてホルミウム、エルビウム、ツ
リウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を
Srに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0011】 請求項6は、請求項1に含まれる概念であるものの、特に効果に優れたもので
あり、CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユ
ウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活
剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ツリウムからなる群の少なく
とも1つ以上の元素をCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したこと
を特徴とする蓄光性蛍光体。 【0012】 請求項7も、請求項1に含まれる概念であり、CaAl24で表わされる化合
物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.
002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてホルミウム、エルビウム、イ ッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をCaに対す
るモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0013】 請求項8は、請求項1に列記したものと異なる共賦活材を用いたものであり、
CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピ
ウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤とし
てランタン、ガドリニウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をCaに対す
るモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0014】 請求項9も、請求項1に含まれる概念であり、CaAl24で表わされる化合
物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.
002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネオジムと、ランタン、ジス
プロシウム、ガドリニウム、ホルミウム、エルビウムからなる群の少なくとも1
つ以上の元素とをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特
徴とする。 【0015】 請求項10も、請求項1に含まれる概念であり、CaAl24で表わされる化
合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で
0.002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネオジムと、サマリウム
リウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素
とをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする。 【0016】 請求項11も、請求項1に含まれる概念であり、BaAl24で表わされる化
合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをBaに対するモル%で
0.002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネオジム、サマリウムから
なる群の少なくとも1つ以上の元素をBaに対するモル%で0.002 %以上20%以
下添加したことを特徴とする。 【0017】 更に請求項12記載のものは、請求項1または2記載の蓄光性蛍光体の、母結 晶中にマグネシウムを添加したことを特徴とする。 また、請求項13記載のものは、請求項2記載の蓄光性蛍光体の、母結晶中に
カルシウム、バリウムのいずれか一方または双方を添加したことを特徴とする。 【0018】 またこれらの蓄光性蛍光体の合成に際しては、フラックスとしてたとえば硼酸
を 1〜10重量%の範囲で添加することができる。ここで添加量が、 1重量%以下
であるとフラックス効果がなくなるし、10重量%を越えると固化し、その後の粉
砕、分級作業が困難となる。 【0019】 【実施例】 以下、MAl24で表される化合物に賦活材及び共賦活材を添加した本発明の
実施例を、金属元素(M)の種類、賦活剤としてのユウロピウムの濃度あるいは
共賦活剤の種類及び濃度を種々変更した場合について、順次説明する。 ただこのような本発明の実施例を説明するのにあたって、最初に、金属元素(
M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用いるものの、
共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体について説明する。 [SrAl24:Eu蛍光体の合成とその特性] 試料1−(1) 試薬特級の炭酸ストロンチウム146.1 g(0.99モル)およびアルミナ102 g(
1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu23)で 1.76 g
(0.005 モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)
添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素
−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1 リットル毎分)で、1300℃、1時間
焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるい
で分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料1−(1)とした。 【0020】 図1には、合成された蛍光体の結晶構造をXRD(X線回折)により解析した
結果を示した。回折ピークの特性から得られた蛍光体はSrAl24であること
が明らかとなった。 図2には本蛍光体の励起スペクトル及び刺激停止後の残光の発光スペクトルを
示した。 【0021】 図から、発光スペクトルのピーク波長が約520nmの緑色の発光であること
が明らかとなった。 次にこのSrAl24:Eu蛍光体の残光特性を市販品で緑色に発光するZn
S:Cu蓄光性蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長:
530nm)の残光特性と比較して測定した結果を、図3および表2に示した。 【0022】 残光特性の測定は、蛍光体粉末0.05gを内径8mmのアルミ製試料皿に秤
り取り(試料厚さ:0.1g/cm2)、約15時間暗中に保管して残光を消去
した後、D65標準光源により200 ルックスの明るさで10分間刺激し、その後の
残光を光電子増倍管を用いた輝度測定装置で計測したものである。 図3から明らかなように、このSrAl24:Eu蛍光体の残光は極めて大き
くその減衰もゆるやかであり,経過時間とともにZnS:Cu蓄光性蛍光体との
残光強度差が大きくなることが分かる。また図中に、肉眼で充分に認識可能な発
光強度のレベル(約0.3mCd/m2 の輝度に相当)を破線で示したが、この
SrAl24:Eu蛍光体の残光特性から約24時間後でもその発光が認識可能
であると推定される。実際に刺激後15時間経過したこのSrAl24:Eu蛍
光体を肉眼で観察したところその残光を充分に確認することができた。 【0023】 また表2中の試料1−(1)には、刺激停止後10分、30分および100分後
の残光強度をZnS:Cu蓄光性蛍光体の強度に対する相対値で示した。この表
からこのSrAl24:Eu蛍光体の残光輝度は10分後でZnS:Cu蓄光性
蛍光体の2.9 倍であり100分後では17倍であることが分かる。 さらにこのSrAl24:Eu蛍光体を光刺激した際の室温から250℃まで
の熱発光特性(グローカーブ)をTLDリーダー(KYOKKO TLD-2000 システム)を
用いて調査した結果を図4に示した。図から本蛍光体の熱発光は約40℃、90
℃、130℃の3つのグローピークからなり約130℃のピークがメイングロ ーピークであることが分かる。図中の破線で示したZnS:Cu蓄光性蛍光体の
メイングローピークが約40℃であることに照らして、このSrAl24:Eu
蛍光体の50℃以上の高温に相当する深い捕獲準位が残光の時定数を大きくし、
長時間にわたる蓄光特性に寄与していると考えられる。 【0024】 試料1−(2)〜1−(7) 次に前述と同様の方法で、ユウロピウムの濃度を変化させた表1で表した配合
比のSrAl2 O4 :Eu蛍光体試料(試料1−(2)〜(7))を調整した。 【0025】 【表1】【0026】 この試料1−(2)〜(7)の残光特性を調査した結果を、1−(1)の残光特性を調査
した結果と共に、表2中に示した。 この表2から、Euの添加量が0.005〜0.1モルの範囲であると、10
分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光特性に優れていること
がわかる。ただEuの添加量が0.00002モルの場合、あるいは0.2モル
の場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS:Cu
蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることもわかる。 【0027】 またEuが高価であることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性
の低下を考慮すると、Euを0.2モル(20モル%)以上にすることに余り意
味がないこととなる。逆に、残光特性から判断すると、Euが0.00002モ
ル(0.002モル%)から0.0001モル(0.01モル%)の間では、1
0分後輝度でZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも輝度で劣るものの、刺激停止後3
0分以上経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度が
得られることから、賦活剤として用いるEuの添加効果が明らかである。 【0028】 更に、SrAl24:Eu蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物系
蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである(
表23及び24参照)。 【0029】 【表2】 【0030】 次に、本発明の実施例として、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、
賦活剤としてユウロピウムを用い、更に共賦活剤としてジスプロシウムを用いた
場合の蓄光性蛍光体について、実施例1として説明する。 実施例1.SrAl24:Eu、Dy蛍光体の合成とその特性 試料2−(1) 試薬特級の炭酸ストロンチウム144.6 g(0.98モル)およびアルミナ102 g(
1モル)に賦活剤としてユウロピウムを酸化ユウロピウム(Eu2 O3 )で1.76g
(0.005モル)を更に共賦活剤としてジスプロシウムを酸化ジスプロシウム(D
y2O3)で1.87g(0.005モル)添加し、更にフラックスとしてたとえば硼酸を
5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電
気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)
で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた
化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料2−(1
)とした。 【0031】 この蛍光体の残光特性を前述と同様の方法で調査した結果を図5および表4の
試料2−(1)に示した。 図5から明らかなように、本発明によるSrAl24:Eu,Dy蛍光体の残
光輝度、特にその残光初期時の輝度はZnS:Cu蓄光性蛍光体と比較して極め
て高く、またその減衰の時定数も大きいことから、画期的な高輝度蓄光性蛍光体
であることが分かる。図中に示した視認可能な残光強度レベルとこのSrAl2
4:Eu,Dy蛍光体の残光特性から約16時間後でもその発光を識別可能で
ある。 【0032】 表4には、刺激後10分、30分、100分後の残光強度をZnS:Cu蓄光
性蛍光体の強度に対する相対値で示しているが、表から本発明によるSrAl2
4:Eu,Dy蛍光体の残光輝度は10分後でZnS:Cu蓄光性蛍光体の12.
5倍であり100分後では37倍であることが分かる。 さらに本発明によるSrAl24:Eu,Dy蛍光体を光刺激した際の室温か
ら250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図6に示した。
図6および図4から、共賦活剤として添加したDyの作用により熱発光のメイン
グローピーク温度が130℃から90℃に変化したことが分かる。この90℃の
温度に相当する捕獲準位からの大きな発光が、SrAl24:Eu蛍光体と比較
して、その残光初期時に高い輝度を示す原因と考えられる。 【0033】 試料2−(2)〜(7) 次に前述と同様の方法で、ジスプロシウムの濃度を変化させた表3で表した配
合比のSrAl24:Eu,Dy蛍光体試料(試料2−(2)〜(7))を調整した。 【0034】 【表3】【0035】 この試料2−(2)〜(7)の残光特性を調査した結果を、2−(1)の残光特性を調
査した結果と共に、表4に示した。 この表4から、共賦活剤としてのDyの添加量は、10分後輝度を含めてZn
S:Cu蓄光性蛍光体よりもはるかに優れていることを基準とすると、0.00
5〜0.1モルが最適であることがわかる。ただDyの添加量が0.00002
モルの場合であっても、刺激停止後30分以上経過することによって、ZnS:
Cu蓄光性蛍光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及び共
賦活剤として用いたEu及びDyの添加効果が明らかである。またDyが高価で
あることから、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると
、Dyを0.2モル(20モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる
。 【0036】 なお、SrAl24:Eu、Dy蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫 化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるもので
ある(表23及び24参照)。 【0037】 【表4】【0038】 次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ
ムを用い、更に共賦活剤としてネオジムを用いた場合の蓄光性蛍光体について、
実施例2として説明する。 実施例2.SrAl24:Eu、Nd蛍光体の合成とその特性 試料3−(1)〜(7) 前述と同様の方法で、ネオジムの濃度を変化させた表5で示した配合比のSr
Al24:Eu、Nd系蛍光体試料(試料3−(1)〜(7))を調整した。 【0039】 【表5】 【0040】 これらの試料3−(1)〜(7)の残光特性を調査した結果を、表6に示した。 【0041】 【表6】 【0042】 この表6から、共賦活剤としてのNdの添加量が0.005〜0.2モルの範
囲であると、10分後の輝度を含めてZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも残光特性 に優れていることがわかる。ただNdの添加量が0.00002モルの場合であ
っても、刺激停止後60分程度を経過することによって、ZnS:Cu蓄光性蛍
光体よりも大きい輝度を有するようになることから、賦活剤及び共賦活剤として
用いたEu及びNdの添加効果が明らかである。またNdが高価であることから
、経済性及び濃度クエンチングによる残光特性の低下を考慮すると、Ndを0.
2モル(20モル%)以上にすることに余り意味がないこととなる。 【0043】 なお、SrAl24:Eu、Nd蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫
化物系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるもので
ある(表24及び25参照)。 さらに本発明によるSrAl24:Eu、Nd蛍光体を光刺激した際の室温か
ら250℃までの熱発光特性(グローカーブ)を、試料3−(4)について調査し
た結果を図7に示した。図から共賦活剤としてNdを添加した蛍光体の熱発光の
メイングローピーク温度は約50℃であることが分かる。 次に、金属元素(M)としてストロンチウムを用い、賦活剤としてユウロピウ
ムを用い、更に共賦活剤として、サマリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかを用いた場合の蓄光性蛍光体
について、実施例3として説明する。 【0044】 またここで、賦活剤及び各共賦活剤については、ユーロピウム及びネオジムあ
るいはジスプロシウムを用いた場合の例から、金属元素(M)に対して各々0.
01モル程度添加した場合に高い残光輝度が得られることを考慮して、賦活剤の
Eu濃度1モル%(0.01モル)、共賦活剤の濃度1モル%(0.01モル)
の試料についてのみ例示した。 実施例3.SrAl24:Eu系蛍光体におけるその他の共賦活剤の効果 既述の方法で、共賦活剤としてサマリウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウムを添加した蛍光体試料についてその残光特性を
調査した結果を表7に示した。 【0045】 この表7から明らかなように、標準として用いた市販のZnS:Cu蛍光体の
残光特性と比較して、いずれのSrAl24:Eu系蛍光体試料も、刺激停止後
30分乃至100分以上の長時間を経過すると残光特性が向上するので、充分実
用レベルにあることが分かる。 なお、SrAl24:Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物
系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである
(表23及び24参照)。 【0046】 【表7】 【0047】 次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体、及び金属元素としてカル
シウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共賦活剤として、ランタン
オジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウ
ム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つの元素
を用いた場合を、実施例4として説明する。 実施例4.CaAl24:Eu系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化
ユウロピウム(Eu2 O3)として加えただけのもの、これに共賦活剤として、ラ ンタン、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、
エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの元素のいずれかをそれぞ
れその酸化物で添加したものに対して、更にフラックスとしてたとえば硼酸を 5
g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充分に混合した後、この試料を電気
炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中(流量:0.1リットル毎分)で
、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約1時間かけて冷却し、得られた化
合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通過したものを蛍光体試料5−(1)
〜(39)とした。 【0048】 なおここで得られた試料5−(2)のXRD解析の結果を図8に示した。図から
この蛍光体は、単斜晶系のCaAl24結晶からなることが明らかとなった。 次に、代表例として共賦活剤にネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、
ウムを用いた試料5−(10)、5−(16)、5−(22)及び5−(28)について、その熱
発光特性(グローカーブ)を調査した結果を図9及び図10に示した。いずれも
50℃以上の高温域にグローピークがあることから、これらの蛍光体が長い残光
特性を有することが示唆されている。さらに試料についてその残光の発光スペク
トルを測定したところ、図11で示したようにいずれの蛍光体もその発光ピーク
波長は約442nmの青色発光であった。 【0049】 そこで従来から市販されている青色発光の蓄光性蛍光体のCaSrS:Bi(
商品名BA−S:根本特殊化学(株)製 発光波長454nm)を標準としてそ
れぞれの残光特性を相対的に比較調査した結果を表8乃至表13に示した。表8
からCaAl24:Eu蛍光体については、Euが0.01モル(1.0モル%
)の場合、残光初期時の輝度は低いものの100分後で市販標準品とほぼ同等に
近い輝度が得られるものがあり、更に表9乃至表13に示すように、共賦活剤を
添加することにより大きく増感され、いずれの共賦活剤を用いても充分実用性の
高い蛍光体を得ることができた。特にNd、SmおよびTmについてはその添加効果が
極めて大きく市販品より一桁以上明るい超高輝度の青色発光の蓄光性蛍光体が得
られることが明かであり画期的な蛍光体といえる。図12にはこのNd、Smおよ びTmを共賦活することにより得られた高輝度蛍光体の長時間に亘る残光特性を調
査した結果を示した。 【0050】 なお、詳細には金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロ
ピウムを用いるものの、共賦活剤を用いない場合の蓄光性蛍光体として、5−(1
)〜(6)に示した蓄光性蛍光体の残光特性について表8に示した。 【0051】 【表8】 【0052】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
い、共賦活剤としてネオジムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(7)〜(12
)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表9に示した。 【0053】 【表9】 【0054】 更に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
い、共賦活剤としてサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(13)〜
(18)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表10に示した。 【0055】 【表10】 【0056】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
い、共賦活剤としてジスプロシウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(1
9)〜(24)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表11に示した。 【0057】 【表11】 【0058】 また金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
い、共賦活剤としてツリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(25)〜(3
0)に示した蓄光性蛍光体の残光特性を表12に示した。 【0059】 【表12】 【0060】 なお金属元素としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い、共
賦活剤としてランタン、ガドリニウム、ホルミウム、エルビウム、イッテルビウ
ム、ルテチウムの元素のいずれかを用いた場合の蓄光性蛍光体として、5−(31)
(36)に示した蓄光性蛍光体の残光特性をまとめて表13に示した。 【0061】 なおこの5−(31)〜(36)に示した蓄光性蛍光体では、賦活剤としてのユーロピ
ウム及び他の共賦活剤は共に、1モル%づつ添加したものである。 【0062】 【表13】 【0063】 次に金属元素(M)としてカルシウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用
い、共賦活剤としてネオジムを用いるものの、同時に他の共賦活剤も添加した場
合を実施例5として説明する。 実施例5.CaAl24:Eu,Nd系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸カルシウムおよびアルミナに賦活剤としてユウロピウムを酸化
ユウロピウム(Eu23)として加え、これに共賦活剤としてネオジムを加えたも
の、及び、更に他の共賦活剤として、ネオジム以外のランタン、サマリウム、ガ
ドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビ
ウム、ルテチウムの元素のいずれかをそれぞれその酸化物で添加したものに、フ
ラックスとしてたとえば硼酸を 5g(0.08モル)添加し、ボールミルを用いて充
分に混合した後、この試料を電気炉を用いて窒素−水素混合ガス(97:3)気流中
(流量:0.1リットル毎分)で、1300℃、1時間焼成した。その後室温まで約 1時間かけて冷却し、得られた化合物粉体をふるいで分級し100メッシュを通
過したものを蛍光体試料6−(1)〜(37)とした。 【0064】 ここでは、まず最初に、Eu:1モル%、Nd:1モル%、他の共賦活剤:1
モル%として、各種蛍光体試料を調整して、10分後輝度、30分後輝度及び100 分
後輝度を測定した。その結果を、6−(1)〜(9)として、表14に示す。 【0065】 【表14】 【0066】 この測定結果から、ネオジムと共に添加する共賦活剤の中で、残光輝度が特に
優れるものとしては、ランタン、ジスプロシウム、ガドリニウム、ホルミウム、
エルビウム等であることが確認された。 そこで次ぎに、Eu:1モル%、Nd:1モル%とした上で、ランタンの濃度
を、0.2モル%から20モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(10)
〜(15)として、表15に示す。 【0067】 【表15】 【0068】 そこで次ぎに、Eu:1モル%、Nd:1モル%とした上で、ジスプロシウム
の濃度を、0.2モル%から20モル%に変えて実験を行った。その結果を、6
(16)〜(21)として、表16に示す。 【0069】 【表16】 【0070】 そこで次ぎに、Eu:1モル%、Nd:1モル%とした上で、ガドリニウムの
濃度を、0.2モル%から20モル%に変えで実験を行った。その結果を、6−
(22)〜(26)として、表17に示す。 【0071】 【表17】 【0072】 Eu:1モル%、Nd:1モル%とした上で、ホルミウムの濃度を、0.2モ
ル%から20モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(27)〜(31)として
、表18に示す。 【0073】 【表18】 【0074】 Eu:1モル%、Nd:1モル%とした上で、エルビウムの濃度を、0.2モ
ル%から10モル%に変えて実験を行った。その結果を、6−(32)〜(37)として
、表19に示す。 【0075】 【表19】 【0076】 このような測定結果から、共賦活剤を複数種混合すると、残光輝度が向上する
ものがあることが確認された。また更に、その場合、Eu:1モル%、Nd:1
モル%とした上で、他の共賦活剤も1モル%程度添加した場合が、最も優れた残
光特性を示すことも確認された。 次に金属元素(M)としてバリウムを用い、賦活剤としてユウロピウムを用い
、更に共賦活剤としてネオジムあるいはサマリウムを用いた場合の蓄光性蛍光体
について、実施例6として説明する。 実施例6.BaAl24:Eu系蛍光体 ここでは、Euを0.5 モル%添加した上で、更にNdあるいはSmを各々1モ
ル%添加したものを、7−(1),(2)として示す。 【0077】 また図13には本蛍光体のうち、共賦活剤としてネオジムを用いたものの、励
起スペクトル及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示し
た。 更に図14には、共賦活剤としてサマリウムを用いたものの、励起スペクトル
及び刺激停止後30分を経過した後の残光の発光スペクトルを示した。 【0078】 発光スペクトルのピーク波長はいずれも約500nmで緑色の発光であること
から、表20には、その残光特性を市販品で緑色に発光するZnS:Cu蓄光性
蛍光体(根本特殊化学(株)製:品名GSS,発光ピーク波長:530nm)と
比較して、刺激停止後10分、30分および100分後の残光強度を相対値で示
した。 【0079】 【表20】 【0080】 この表20から、BaAl24:Eu,NdはZnS:Cu蓄光性蛍光体より
も刺激停止後30分程度は残光輝度に優れていることがわかる。またBaAl2
4:Eu,SmはZnS:Cu蓄光性蛍光体よりも若干残光輝度が劣る結果が
得られた。しかしながEuあるいは他の共賦活剤を添加せず、BaAl24結晶
のみ で実験した結果、蛍光及び残光がまったく認められないことが確認されているの
で、Eu及びNdあるいはSm添加による賦活効果が得られることは明らかであ
る。 【0081】 なお、BaAl24:Eu系蛍光体は酸化物系であることから、従来の硫化物
系蓄光性蛍光体に比べて化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れるものである
(表23及び24参照)。 次に金属元素(M)として、カルシウムとストロンチウムとの混合物を用いた
場合について、実施例7として説明する。 実施例7.SrXCa1-XAl24系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合
しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤と
てネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウムのいずれかの元素を添加したものに、フラック
スとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりでSrXCa1-
XAl24系蛍光体試料を合成した。 【0082】 得られた蛍光体の代表特性としてSr0.5Ca0.5Al24:Eu,Dy蛍光体
(Eu1モル%、Dy1モル%添加)の残光の発光スペクトルを調査した結果を
図15に示した。図からSrの一部がCaに置換されるとその発光スペクトルは
短波長側にシフトし、SrAl24系蛍光体による発光とCaAl24系蛍光体
の発光の中間色の残光を得られることが明かとなった。 【0083】 次に賦活剤および共賦活剤としてEuおよびDyをそれぞれ1モル%添加した
SrXCa1-XAl24系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図16に示した
。 この図16からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比
較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られる
ことが分かる。 次に金属元素(M)として、ストロンチウムとバリウムとの混合物を用いた場 合について、実施例8として説明する。 実施8.SrXBa1-XAl24系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸バリウムをそれぞれ比率を変えて調合し
その試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤とし
てネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム
、イッテルビウム、ルテチウムのいずれかの元素を添加したものに、フラックス
として例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりSrXBa1-X
24系蛍光体試料を合成した。 【0084】 得られた蛍光体の代表特性としてEuを1モル%、Dyを1モル%添加して調
整したSrXBa1-XAl24系蛍光体試料の残光特性を調査した結果を図17に
示した。 この図17からいずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比
較して同等以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られる
ことが分かる。 次に金属元素(M)として、ストロンチウムとマグネシウムとの混合物を用い
た場合について、実施例9として説明する。 実施例9.SrXMg1-XAl24系蓄光性蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸マグネシウムをそれぞれ比率を変えて調
合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤
としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリ
ウム、イッテルビウム、ルテチウムのいずれかの元素を添加したものに、フラッ
クスとして例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりSrXMg1-
XAl24系蛍光体試料を合成した。得られた蛍光体の代表特性としてEuを1
モル%、Dyを1モル%添加して調整したSrXMg1-XAl24系蛍光体試料の
残光特性を調査した結果を図18に示した。 【0085】 この図18から、ストロンチウム/マグネシウムが0.1/0.9の場合を除
いて、いずれの蛍光体についても図中の破線で示した市販標準品と比較して同等 以上の優れた残光特性を有する実用性の高い蓄光性蛍光体が得られることが分か
る。 次に金属元素(M)として、複数の金属元素を用い、かつ賦活剤としてユウロ
ピウムを用い、更には共賦活剤を2種類用いた場合について、実施例10として
説明する。 実施例10.Ca1-XSrXAl24:Eu、Nd,X蛍光体の合成とその特性 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合
しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム1モル%を、共
賦活剤としてネオジム1モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ジスプロシウ
ム、ホルミウムの元素のいずれかを1モル%添加したものに、フラックスとして
例えば硼酸を 5g(0.08 モル)添加し、既述の方法によりでCa1-XSrXAl2
4:Eu、Nd,X系蛍光体試料11−(1)〜(6)を合成し、その残光特性を調査
した。 試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて調合
しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム1モル%を、共
賦活剤としてネオジム1モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ジスプロシウ
ムを1モル%添加したものを11−(1)〜(3)として、表21に示す。 【0086】 【表21】 【0087】 また試薬特級の炭酸ストロンチウムと炭酸カルシウムをそれぞれ比率を変えて
調合しその試料にアルミナを加え、さらに賦活剤としてユウロピウム1モル%を
、共賦活剤としてネオジム1モル%を加え、更に他の共賦活剤として、ホルミウ
ムを1モル%添加したものを11−(4)〜(6)として、表22に示す。 【0088】 【表22】 【0089】 これらの測定結果から、金属元素(M)が、カルシウム及びストロンチウムか
らなる複数の金属元素(M)を用い、賦活剤としてユウロピウムを添加し、かつ
複数の共賦活剤を添加した場合であっても、10分後輝度を含めて、CaSrS
:Biに比べて優れていることが確認できた。 実施例11.耐湿特性試験 本発明により得られた蓄光性蛍光体の耐湿特性を調査した結果を表23に示し
た。 【0090】 この調査では、複数の蛍光体試料を、40℃、95%RHに調湿した恒温恒湿
槽中に500時間放置しその前後における輝度変化を測定した。 表から、いずれの組成の蛍光体も湿度に対してほとんど影響を受けず安定であ
ることが分かる。 【0091】 【表23】 【0092】 実施例12.耐光性試験結果 本発明により得られた蓄光性蛍光体の耐光性試験を行なった結果を硫化亜鉛系
蛍光体の結果と比較して表24に示した。 この試験は、JIS規格に従い、試料を飽和湿度に調湿した透明容器内に入れ
300Wの水銀灯下30cmの位置で3時間、6時間及び12時間光照射し、そ
の後の輝度変化を測定した。 【0093】 表から従来の硫化亜鉛系蛍光体と比較して極めて安定であることが分かる。 【0094】 【図24】 【0095】 このような本発明による蓄光性蛍光体は、種々の製品の表面に塗布して使用す
ることもできるが、プラスチック、ゴムあるいはガラス等に混入して使用するこ
ともできる。 更に、従来から使用されていた、硫化物系蓄光性蛍光体に置き換えるて、例え
ば各種計器、夜光時計の文字盤、安全標識板等の用途に用いると、その長時間の
高輝度残光特性から、極めて優れたものとなる。 【0096】 また本蛍光体は、極めて優れた高輝度長残光特性を有することに加えて、酸化
物系であることから化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れる点から、従来の
用途に加えて、新たに下記のような用途が考えられる。 乗り物の表示:飛行機、船、自動車、自転車、鍵あるいは鍵穴 標識の表示:道路交通標識、車線表示、ガードレールへの表示、漁業用ブイ 山道等の案内表示、門から玄関への案内表示、ヘルメットへの表 示 屋外の表示:看板、建物等の表示、自動車の鍵穴表示 屋内の表示:電気器具のスイッチ類 文房具類:筆記具、夜光インキ類、地図、星座表 おもちゃ類:ジグソーパズル 特殊な利用:スポーツ用ボール (時計等に用いる)液晶用のバックライト 放電管に使用するアイソトープの代替え 【0097】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明は、従来から知られている硫化物系蛍光体とは全
く異なる新規の蓄光性蛍光体材料に関するものであり、市販の硫化物系蛍光体と
比べても遥かに長時間、高輝度の残光特性を有し、更には酸化物系であることか
ら化学的にも安定であり、かつ耐光性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】 SrAl24:Eu蛍光体の結晶構造をXRDにより解析した結果を示したグ
ラフである。 【図2】 SrAl24:Eu蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過した後
の発光スペクトルとを示したグラフである。 【図3】 SrAl24:Eu蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較した
結果を示したグラフである。 【図4】 SrAl24:Eu蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。 【図5】 SrAl24:EU,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光特性と比
較した結果を示したグラフである。 【図6】 SrAl24:Eu,Dy蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。 【図7】 SrAl24:EU,Nd蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。 【図8】 CaAl24:Eu系蛍光体の結晶構造をXRDにより解析した結果を示した
グラフである。 【図9】 CaAl24:Eu系蛍光体のうち共賦活剤としてネオジムあるいはサマリウ
ムを用いた蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。 【図10】 CaAl24:Eu系蛍光体のうち共賦活剤としてジスプロシウムあるいはト
リウムを用いた蛍光体の熱発光特性を示したグラフである。 【図11】 CaAl24:Eu系蛍光体の刺激停止後5分を経過した後の発光スペクトル
を示したグラフである。 【図12】 CaAl24:Eu,Sm蛍光体及びCaAl24:Eu,Nd蛍光体の残光
特性をZn:S蛍光体の残光特性と比較した結果を示したグラフである。 【図13】 BaAl24:Eu,Nd蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過
した後の発光スペクトルとを示したグラフである。 【図14】 BaAl24:Eu,Sm蛍光体の励起スペクトルと刺激停止後30分を経過
した後の発光スペクトルとを示したグラフである。 【図15】 Sr0.5Ca0.5Al24:Eu,Dy蛍光体の発光スペクトルを示したグラフ
である。 【図16】 SrXCa1-XAl24:Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体及びC aSrS:Bi蛍光体の残光特性と比較したグラフである。 【図17】 SrXBa1-XAl24:Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光
特性と比較したグラフである。 【図18】 SrXMg1-XAl24:Eu,Dy蛍光体の残光特性をZn:S蛍光体の残光
特性と比較したグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 MAl24で表わされる化合物で、Mは、カルシウム、ストロ
    ンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素から
    なる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムをMで表わす金属
    元素に対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さらに共賦活剤としてネ
    ジム、サマリウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ
    テルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をMで表わす金
    属元素に対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする蓄光性
    蛍光体。 【請求項2】 SrAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてジスプロシウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以
    下添加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項3】 SrAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてネオジムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加
    したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項4】 SrAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてサマリウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添
    加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項5】 SrAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをSrに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテ
    チウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をSrに対するモル%で0.002 %
    以上20%以下添加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項6】 CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてネオジム、サマリウム、ジスプロシウム、ツリウムからなる
    群の少なくとも1つ以上の元素をCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添
    加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項7】 CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてホルミウム、エルビウム、イッテルビウム、ルテチウムから
    なる群の少なくとも1つ以上の元素をCaに対するモル%で0.002 %以上20%以
    下添加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項8】 CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてランタン、ガドリニウムからなる群の少なくとも1つ以上の
    元素をCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする蓄
    光性蛍光体。 【請求項9】 CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦活
    剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、さ
    らに共賦活剤としてネオジムと、ランタン、ジスプロシウム、ガドリニウム、ホ
    ルミウム、エルビウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素とをCaに対する
    モル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項10】 CaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦
    活剤としてユウロピウムをCaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、
    さらに共賦活剤としてネオジムと、サマリウム、ツリウム、イッテルビウム、ル
    テチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素とをCaに対するモル%で0.00
    2 %以上20%以下添加したことを特徴とする蓄光性蛍光体。 【請求項11】 BaAl24で表わされる化合物を母結晶にすると共に、賦
    活剤としてユウロピウムをBaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加し、
    さらに共賦活剤としてネオジム、サマリウムからなる群の少なくとも1つ以上の
    元素をBaに対するモル%で0.002 %以上20%以下添加したことを特徴とする蓄 光性蛍光体。 【請求項12】 母結晶中にマグネシウムを添加したことを特徴とする請求項
    1または2記載の蓄光性蛍光体。 【請求項13】 母結晶中にカルシウム、バリウムのいずれか一方を添加した
    ことを特徴とする請求項2記載の蓄光性蛍光体。

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