JP2542357B2 - ミシン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鎖縫いミシンに関する。

（従来の技術） 枢動可能糸捕捉糸輪取器を備えた単糸鎖縫いミシンは
普通衣類にボタンを縫付け、かつ縁飾り縫いまたは仮縫
いを行なう場合に使用される。このようなミシンはたと
えば昭和58年10月25日付Karl H.Killingerの米国特許第
4,411,210号、“ミシン２先端糸輪取器に対する作動機
構”に記載されている。

前記特許に記載されているミシンは枢動自在に装架さ
れたカムにして、これに糸輪取器が固定されたカムと、
ばね装置にして、前記糸輪取器およびカム組立体を、カ
ム内の軌道がカムアクチユエータと係合するように配設
される位置の方に軸線方向に偏倚させる装置とを有し、
かつ前記カム軌道に対する近接を制御するゲートがゲー
ト調整ばねと係合するように配設されている。ミシンが
作動する時には糸輪取器が枢動せしめられ、その先端が
ミシン針と共働して鎖縫いを行なうようにされる。しか
しながら場合によつては針が糸輪取器先端と係合するこ
とによつてミシンの誤動作が発生し、糸輪取器およびカ
ム組立体が軸線方向に移動し、かつカムがアクチュエー
タから釈放されかつ（または）ゲートがゲートばねから
釈放されるようになることがある。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明の主なる目的は改良鎖縫いミシンにして、動作
が針と糸輪取器先端との係合によつて影響されないよう
なミシンを供することである。

本発明の他の目的は、枢動自在に装架された糸輪取器
およびカム組立体を有し、該組立体の上において前記糸
輪取器が、ミシン内におけるカムの軸線方向位置に影響
を及ぼすことなく、カムから偏倚せしめられるようにな
つた鎖縫いミシを供することである。

（問題点を解決するための手段） 本発明によるミシンは一対の交差カム軌道と枢動する
ゲートとを有するカムと、弾性材料よりなり一対の糸輪
捕捉先端を有しカムに装着されて糸輪捕捉先端が針と係
合する時にカムから離れるように弾性的に歪んでカムを
限定された位置に保持し孔を有する糸輪取器と、糸輪取
器とカムとを前記限定された位置へ軸線方向に偏らせる
弾性装置と、カムが前記限定された位置にある時にカム
軌道と係合して糸輪取器とカムを枢動させて糸輪捕捉先
端を鎖縫いの形成に際して針と共働させるアクチュエー
タと、その一端が枠に固定されカムが限定された位置に
ある時にその他の一端がゲートに係合してカム軌道内で
のアクチュエータの運動を制御する位置にゲートを移動
させるばねと、カムから軸線方向に突き出してカム上に
間隔をおいて固定されゲートがばねと係合する時に糸輪
取器の孔と滑り移動を許容して係合しカムから糸輪取器
が離れることを案内して糸輪取器がカムに対して枢動す
ることを防止する部材と、を有する。

（実施例） 次に添付図面によつて本発明の実施例を説明する。

第１図から第４図までにおいて参照数字10は手持ミシ
ンにして枠12と、往復運動を行うように配置された糸担
持針14と、枢動自在の糸輪取器16にして、鎖縫いを行う
時に針と共働するようになつた相対する糸輪捕捉先端17
および19を備えた糸輪取器とを有している。加工物送り
機構18は周知の態様で針14および糸輪取器16と共働する
ように配置され、前記加工物を適当に位置決めするよう
になつている。一端22において枠12に枢着された手動レ
バー20は針14および送り機構18に連結され、これ等に所
要の運動を行わせるようになつている。このような連結
は昭和58年１月28日付、Karl H.Killingerの米国共願第
461,825号『２先端糸輪取器ミシンの送り機構』に記載
させた態様で行うことができる。

前記手動レバー20は駆動腕24（第２図）、該腕の上の
駆動ピン26の形をなしたアクチユエータ、および該アク
チユエータによつて駆動される枢動カム28を通して作動
し、糸輪取器16に運動を与えるようになつている。前記
駆動ピン26は適当な締着具32によつて腕24の自由端30の
定位置に保持され、かつ枠12に固く装着された案内ブロ
ツク36の細長い孔34を通つて延び、前記細長い孔は駆動
ピン26を摺動自在に受け入れ、このピンを垂直面内にお
いて案内するようになつている。前記駆動ピンはさらに
案内ブロツクを越えてカム28に延びて該カムを作動し、
このカムの上に装架された本発明による糸輪取器16を作
動するようになつている。

カム28はピン38,40を有し、該ピンはそれぞれボス42,
44に固定されかつこれ等ボスから軸線方向に延び、さら
に糸輪取器16には細長い溝孔46,48が形成され、前記ピ
ン38,40を受け入れるようになつている。糸輪取器はカ
ムの上に装架され、ピン38,40はそれぞれ溝孔46,48を通
つて延び、かつこの組立体はねじ50によつてミシンの中
に枢動自在に装着され、前記ねじは孔52,54を通ってそ
れぞれ糸輪取器およびカムの中に延び、ブロツク36のね
じ孔56にねじ込まれている。ねじ50の頭部60および糸輪
取器16の間の螺旋状圧縮ばね59は該糸輪取器をカム28の
上のボス42,44,58に対して偏倚せしめ、かつ前記カムを
案内ブロツク36と摺動的に係合させる。カム28は二つの
カム軌道61,62を有し、該軌道はその下端において交差
しかつブロツク36内の細長い孔34を通つて延びる駆動ピ
ン26の端部を受入るようになつている。ハンドル20の作
動によつて垂直に往復運動を行うピン26は前記軌道に沿
つて移動し、カムを往復的に枢動させる。ピン38,40を
通して作動されるカムは糸輪取器16を往復的に枢動させ
る。カム28は固定ピン64を有し、該ピンはゲート66を交
差カム軌道61,62が交互に閉鎖されるように摺動自在に
支持し、駆動ピン26が前記米国特許第4,411,210号に記
載されているように軌道の間で移動してカムを枢動させ
るようになつており、かつ糸輪取器の二つの各糸輪捕捉
先端17,19を交互に針14と共働せしめ、鎖縫いを行わせ
るようになつている。このゲートは前記米国特許第4,41
1,210号に詳述されているようにゲート調整ばね68によ
つて位置決めされ、該ばねは一端においてねじ67により
ミシン内に固定され、かつブロツク内の溝孔69を通つて
延び、ばねの自由端をゲートと係合させるようになつて
いる。鎖縫いは技術的に周知の態様で行われ、したがつ
て糸輪取器先端は針がその保持した糸輪を新しい糸輪と
共に貫通するまで、針によつて担持された糸輪を交互に
捕捉しかつこれを保持するようになつている。

鎖縫いが行われる時は、糸輪取器先端17,19は糸輪取
器の後側において針14と係合し、次に鋼板のような可撓
性材料よりなる糸輪取器が針によつてカムから偏倚せし
められる。すなわち糸輪取器はピン38,40によつて案内
されて、第４図に示された態様で偏倚せしめられる。図
示のように糸輪取器はばね59によつてボス58に対して保
持されている下端から上方に向つて角度が増加するよう
に偏倚せしめられる。糸輪取器がこのように偏倚せしめ
られる時に、カム28およびゲート66はばね59の圧縮作用
によつて案内ブロツク36と摺動的に係合せしめられる。
したがつてアクチユエータ26とカム軌道61,62との間、
およびばね68とゲート66との間の空間関係は前記糸輪取
器16の偏倚によつては影響されず、ミシンは連続的に作
動される。これはたとえば米国特許第4,411,210号に記
載されている如きミシン、すなわち糸輪取器およびカム
がユニツトとして作動し、したがつて針と糸輪取器との
係合によつてカムおよびゲートがそれぞれアクチユエー
タおよびゲートばねから離れ、ミシの誤動作を起すおそ
れのある場合とは異なる。

本発明による鎖縫いミシンの変型は前記カム28の代り
にカム72、糸輪取器16の代りに糸輪取器74を有してい
る。カム72はそれぞれカム28内の軌道61,62に対応する
軌道61′,62′と、カム28内のボス58に対応するボス5
8′とを有している。カム72はなおそれぞれ側部の平ら
な延長部分80,82を備えたボス76,78を有している。糸輪
取器74には真直ぐな縁部分84,86が形成され、該部分は
カム72上の糸輪取器装架位置においてそれぞれ延長ボス
部分80,82の平らな側部88,90と係合する。糸輪取器およ
びカムは前にカム28および糸輪取器16の場合に説明した
ように組立てられかつねじ50′およびばね59′によつて
ミシンの中に枢動自在に装着される。糸輪取器74は抱持
カム72が作動した時に該カムによつて枢動せしめられ、
かつ糸輪取器がミシン針と係合すれば、該糸輪取器は前
述のようにボス76,78の平らな抱持側部と係合すること
によつて案内され、カムから偏倚する。カムの軸線方向
位置は撹乱されず、したがつて誤動作は避けられる。

以上の説明は本発明の好適な実施例に関するもので、
この実施例は特許請求の範囲内において種種の変型を行
い得るものと解すべきである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の装置を有する手動ミシンの透視図、第
２図は本発明による糸輪取器作動機構の展開透視図、第
３図は本発明による糸輪取器およびカム組立体の部分を
示す展開透視図、第４図は糸輪取器およびカム組立体の
端面図、第５図は本発明による糸輪取器およびカム組立
体の部分の展開図。 17,19:糸輪捕捉先端、 26:アクチユエータ、28:枢動カム、 34:細長い孔、36:案内ブロツク、 46、48:溝孔、61,62:カム軌道、 66:ゲート、68:調整ばね。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−105785（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−7891（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】針と、枠と、枠内に配置されて針に往復運
   動を行わせる装置とを有するミシンであり、更に、 一対の交差カム軌道と、枢動するゲートと、を有するカ
   ムと、 弾性材料よりなり、一対の糸輪捕捉先端を有し、カムに
   装着されて糸輪捕捉先端が針と係合する時にカムから離
   れるように弾性的に歪んでカムを限定された位置に保持
   し、孔を有する、糸輪取器と、 糸輪取器とカムとを前記限定された位置へ位置へ軸線方
   向に偏らせる、弾性装置と、 カムが前記限定された位置にある時にカム軌道と係合し
   て糸輪取器とカムを枢動させて、糸輪捕捉先端を鎖縫い
   の形成に際して針と共働させる、アクチュエータと、 その一端が固定され、カムが限定された位置にある時に
   その他の一端がゲートに係合して、カム軌道内でのアク
   チュエータの運動を制御する位置にゲートを移動させ
   る、ばねと、 カムから軸線方向に突き出してカム上に間隔をおいて固
   定され、ゲートがばねと係合する時に糸輪取器の孔と滑
   り移動を許容して係合し、カムから糸輪取器が離れるこ
   とを案内して糸輪取器がカムに対して枢動することを防
   止する、部材と、を有するミシン。