JP2541806Y2 - ザック - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、バックパック又はトラ
ベルパック等と称され、２本の背負いバンドにより背中
に背負うザックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】今日、ザックの種類としては、登山用に
用いられるキスリングザックやアタックザックの他、バ
ックパックやトラベルパック等と称される旅行用のザッ
ク等種々の形式のものがある。これらのザックは、サイ
ドポケット等により収納部を区分けしたものや、主たる
収納部を１箇所として自由に物を詰めることができるよ
うにしたもの、更に開口部を上方に形成したものや、後
方に開口部を形成し得るもの等、種々の形式とされ、
又、金属製や合成樹脂製の背負子形のフレームを用いた
り、背当て部に平板形状をしたフレームを挿入固定する
ことにより、ザックを背負ったときにザックの形崩れを
防止し且つ背負い易くし、長時間ザックを背負っても疲
労を少なくするようにしたもの等がある。

【０００３】このような種々のザックの内、収納部を区
分けしない単一収納部を主収納部とするザックの一例と
しては、図５及び図６に示すように、３ウエイトラベル
パックと称され、２本の背負いバンド３２の他、肩に掛
けるショルダーバンド３６や手で持つための手下げバン
ド３４を有して３通りの持ち方を可能とするものがあ
る。このトラベルパックと称されるザック１０は、ナイ
ロンデニール、帆布、不織布等を用い、ほぼ直方体形状
にして、背負いバンド３２を取り付けた縦長の長方形を
した背当て部１２と、該背当て部１２とほぼ同一形状の
背部１４、更に背当て部１２と背部１４との間を継ぐ底
部２２、上面部２４及び右サイド部１６と左サイド部１
８とを有する形状とされるものである。

【０００４】そしてこのトラベルパックと称されるザッ
ク１０では、右サイド部１６から上面部２４を通り左サ
イド部１８に及ぶファスナー２６を設け、このファスナ
ー２６を開いたとき、図７に示すように、背部１４が上
面部２４や右サイド部１６及び左サイド部１８から離れ
て開口部が形成され、ファスナー２６を完全に開いたと
き、背部１４は底部２２とのみ接続されるものであり、
この様にファスナー２６の開閉によって当該ザック１０
に大きな開口部を形成することにより種々の物を収納す
ることができるようにしている。

【０００５】また、背当て部１２は、背部１４や両サイ
ド部等と同じ厚手の生地とされた外張りを設け、この外
張りの内側に金属製又は合成樹脂製のフレームを設け、
フレームの内側に内張りを施し、以て当該ザック１０が
形崩れすることを防止すると共に、背負いバンド３２を
使用したときに背当て部１２と背中との接触を良好とし
ているものである。

【０００６】なお、ショルダーバンド３６は省略される
こともあり、また、手下げバンド３４は上面部２４に取
り付けられる場合のみでなく、右サイド部１６又は左サ
イド部１８に取り付けられる場合、更に上面部２４及び
サイド部の２箇所に設けられる場合、そして省略される
場合等、種々の形式のものが用意されている。更に、容
量が４０リットル程度を越える大型のトラベルパックと
称されるザック１０では、図５乃至図７に示したよう
に、右サイド部１６における背当て部１２の近くに一端
が固定され、左サイド部１８における背当て部１２の近
くに他端が固定されて長さを自由に調節することができ
る補助バンド４２を設け、この補助バンド４２によりト
ラベルパックと称されるザック１０を締め付けて多くの
物を入れたときのザック１０の形崩れが生じ難くしてい
るものもあり、又、背部１４にもファスナー等を設けて
補助収納部を形成することもある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】主とする収納部を区分
けしない単一収納部を有するザックは、大小様々なもの
を自由に詰めることができるために便利ではあるも、背
中に背負うザック類では、極力重い荷物をザックの上方
前方に集めるように収納することが長時間ザックを背負
っていても疲れない基本とされているにも拘らず、ザッ
クの重心を上方前方に寄るように荷物を詰めることが困
難な場合が有り、例え重量の大きな物を上方に収納する
ように詰めた場合でも、このザックを背負って暫く歩く
と、重量の大きな物はザックの内部で下方に移動してザ
ックの重心が低くなることがあり、ザックの重量バラン
スを良好に保つような荷物の詰め方を行なうことが困難
な欠点がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案は、背部を開口部
とする略直方体の単一収納部を有するフレーム付きザッ
クにおいて、ザック内部における背当て部上半部分に押
え布を設け、この押え布の下端を背当て部の中央付近に
固定すると共に、押え布の上方に該押え布の上端を背当
て部の上端近くに固定する固定部を形成する。

【０００９】そして、この固定部は面ファスナーを押え
布の上端に設けることにより形成し、且つ、この固定部
とした面ファスナーと係合する面ファスナーを背当て部
の内側上縁近くに設けるものである。又、押え布の上端
から突出する補強バンドを設けて固定部を形成し、背当
て部の内部上方部分に前記補強バンドと係合して押え布
を止める止め金具を設ける場合も有る。

【００１０】

【作 用】本考案は、ザック内部において背当て部に押
え布を設け、この押え布の下端を背当て部の中央付近に
固定し、且つ、背当て部の上端近くに前記押え布の上端
近くを固定する固定部を設ける故、押え布の上端を固定
部により背当て部の上端に固定すれば、押え布と背当て
部との間に収納物を挟持することができ、ザック内に収
納する物品の内、特定の物品を当該押え布により背当て
部の上方に固定することができる。

【００１１】

【実施例】本考案に係るザックの実施例は、図１に示す
ように、右サイド部１６から上面部２４を経て左サイド
部１８に至る開口用のファスナーを有する単一収納部型
のザック１０であり、背当て部１２の外側に２本の背負
いバンド３２が設けられ、背当て部１２の外張りと内張
りとの間に合成樹脂製のフレームが組み込まれたナイロ
ンデニール製のザック１０である。

【００１２】このザック１０における背当て部１２の内
側には、背当て部１２の上半に近い面積の押え布５２を
取り付けるものであり、この押え布５２の下端は、背当
て部１２の内張り中央近くへ押え布５２の下端に沿って
縫い着けるようにして直線的に固定するものとし、この
押え布５２の上方には上縁に沿ってマジックテープ（登
録商標）などの面ファスナーを設けて固定部５３とし、
この固定部５３とした面ファスナーと係合する面ファス
ナーを背当て部１２の内側上方に設けて係合面５９を背
当て部１２の上方に形成するものである。

【００１３】この背当て部１２に設ける面ファスナー
は、背当て部１２に直接固定して背当て部１２の内側に
おける上縁に沿った部分に固定部５３との係合面５９を
形成する場合の他、図２に示すように取付け布５７を背
当て部１２の内側上方に設け、この取付け布５７に面フ
ァスナーを設けて係合面５９を背当て部１２の上方に設
けるようにすることもある。

【００１４】従ってこのザック１０では、このザック１
０に収納する物の内、比較的体積が小さくても重量のあ
る物をこの押え布５２の位置に置き、背当て部１２の上
に置いた物の上に押え布５２を被せるようにし、押え布
５２の固定部５３を背当て部１２に設けた係合面５９と
係合させるように両方の面ファスナーを合わせて押え布
５２により特定の物品をザック１０の内部に固定するこ
とができる。

【００１５】又、押え布５２を背当て部１２の上縁等に
固定するに際し、図３や図４に示すように、押え布５２
の右辺及び左辺に面ファスナー５６を設けて押え布５２
を背当て部１２の内張りに止めることができるようにす
ると共に、押え布５２の前記内張りに固定した下端近く
から上端を越えて延設される２本の補強バンド５４を相
互に平行として押え布５２に取り付けることもある。

【００１６】そして、背当て部１２の内側における上面
部２４の近傍位置には、図４に示したように前記補強バ
ンド５４を止めるための止め金具５８を設けるものであ
り、この実施例は補強バンド５４の押え布５２から突出
した部分を押え布５２の固定部とし、該補強バンド５４
を止め金具５８に係止するに際して補強バンド５４の長
さを自由に調節して止め金具５８に固定し得るようにし
ている。

【００１７】なお、止め金具５８は、合成樹脂製のバッ
クルとし、例えば雌型バックルを背当て部１２の上方に
取り付け、補強バンド５４には雄型バックルを取り付け
ておき、補強バンド５４の長さを調節し得るように雄型
バックルを補強バンド５４に対して移動可能としてお
き、雌型バックルと雄型バックルとを係合させて補強バ
ンド５４を締め上げることにより押え布５２を止めるこ
とができるようにすることもある。

【００１８】更に、止め金具５８は矩形のリングを１つ
だけ用い、押え布５２から突出させる補強バンド５４に
面ファスナーを設け、止め金具５８を通した補強バンド
５４を折り返して面ファスナーにより長さ調整可能に固
定し得るようにすることもある。この第２実施例では、
上述のように背当て部１２の上半部分に押え布５２を取
り付け、且つ、固定部として補強バンド５４を設けてい
る故、容積が小さくて重量の大きなものをこの押え布５
２の位置に置いて背当て部１２と押え布５２との間に挟
むようにしつつ止め金具５８に補強バンド５４を止める
と、押え布５２の下端は背当て部１２に縫い着けられ、
押え布５２の左右両端部には、面ファスナー５６を取り
付けている故、小さなものは面ファスナー５６と補強バ
ンド５４とにより背当て部１２の上方に固定するように
収納することができ、多少大きなものでも補強バンド５
４を締め上げることにより補強バンド５４と押え布５２
とにより押さえつけるようにして背当て部１２の上方に
固定することができる。

【００１９】従って、比較的重い品物をこの押え布５２
により背当て部１２の上方に固定すれば、ザック１０に
種々の物を収納したときにザック１０の重心を上方前方
に位置させることができ、バランスの良いパッキングを
容易に行うことができるザック１０とすることができる
ものであり、このザック１０を背負ったときに担ぎ易
く、長時間背負っても疲労を少なくすることができるこ
とになる。

【００２０】尚、押え布５２の両側に設けた面ファスナ
ー５６は省略することもある。そして、前記第１実施例
や第２実施例のザック１０においても、従来と同様に、
手下げバンド３４やショルダーバンド３６を設けること
も可能である。

【００２１】

【考案の効果】請求項１及び請求項２に記載した本考案
に係るザックは、背当て部の内側上半に押え布を設けて
いる故、背当て部と押え布との間に挟むようにして収納
部に納める物品の内の特定の物を背当て部上方に固定す
ることができ、比較的重い物をこの押え布により固定す
れば、ザックの重心位置を前方上方に寄せるようにして
種々の物品を当該ザックに収納することができ、長時間
背負っても疲労の少ないパッキングを容易に行うことが
できる利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るザックの第１実施例を示す斜視
図。

【図２】本考案に係る第１実施例の要部を示す図。

【図３】本考案に係るザックの第２実施例を示す斜視
図。

【図４】本考案に係る第２実施例の要部を示す図。

【図５】従来のザックの一例を示す斜視図。

【図６】従来のザックの一例を背当て部側から見た外観
斜視図。

【図７】従来のザックの一例におけるファスナーを開い
た状態を示す図。

【符号の説明】

１０ ザック １２ 背当て
部 １４ 背部 １６ 右サイ
ド部 １８ 左サイド部 ２６ ファス
ナー ３２ 背負いバンド ４２ 補助バ
ンド ５２ 押え布 ５３ 固定部 ５４ 補強バンド ５７ 取付け
布 ５８ 止め金具 ５９ 係合面

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 背部、背当て部、右サイド部、左サイド
   部、底部及び上面部で形成される略立方体形状の収納部
   を有し、背当て部にはフレームが組み込まれると共に該
   背当て部に２本の背負いバンドを有するザックにおい
   て、背当て部の内側中央付近に下端が固定される押え布
   を有し、該押え布の上端には背当て部上方への固定部と
   する面ファスナーを有し、前記背当て部内側の上縁近く
   に前記面ファスナーと係合する面ファスナーを取り付け
   た構造としたことを特徴とするザック。
2. 【請求項２】 背部、背当て部、右サイド部、左サイド
   部、底部及び上面部で形成される略立方体形状の収納部
   を有し、背当て部にはフレームが組み込まれると共に該
   背当て部に２本の背負いバンドを有するザックにおい
   て、背当て部の内側中央付近に下端が固定される押え布
   を有し、この押え布の上端から 上方に突出する補強バン
   ドを有してこの突出したバンドを前記背当て部上方への
   固定部とし、前記背当て部内側における上縁の近くに止
   め金具を設けて前記補強バンドの長さを調節可能に該止
   め金具に係止し得る構造としたことを特徴とするザッ
   ク。