JP2541771Y2 - 通 帳 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は，自動頁替機構付きプリ
ンタで使用される通帳に関し, 特に，表紙をも含めて安
定した自動頁めくりを行わせることができる通帳に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の通帳における自動現金取
扱装置に対し, 確実に動作できるように, 機械印字を行
わない約定頁を有する中紙を, 機械印字を行う頁のみを
有する中紙より剛性の高いものとするとともに, 約定頁
面とその相対面間の摩擦係数を高めたもの（特開昭６３
−２７０１９３），および，裏表紙の裏紙と中紙との摩
擦係数を，中紙同士の摩擦係数より大きい用紙で構成す
るもの（特開昭６４−３４７９５）などがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来は自動現金取扱装
置に通帳を挿入するときは，印字されている最後の頁を
開いて挿入していたが，この操作がわずらわしいため表
紙を開かないで挿入しても装置が自動的に表紙を開き，
所要の頁までめくるものが現れている。

【０００４】ところが通帳の表紙は中紙に比べて厚く剛
性が高いのに，表紙と中紙の１枚目の間の摩擦係数は，
中紙同士の摩擦係数と同じか，あるいは高い場合が多
い。このため，厚くめくり難い表紙を自動装置によりめ
くるとき表紙だけでなく他頁もつられてめくられ，２枚
めくり等のトラブルが生じやすい。

【０００５】中紙の最終頁（機械印字を行わない約定
頁）を最終頁から２枚目の頁を一緒にめくる２枚めくり
に対しては，前記の従来技術により解決されるが，表紙
をめくる場合の２枚めくりは従来技術では防ぐことがで
きない。

【０００６】本考案の目的は，このような欠点を解消
し，自動頁替装置により表紙を含めて安定した頁めくり
ができるような通帳を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に，本考案による通帳は，金融機関等の端末装置で使用
され，頁を自動的にめくる機構に適応することができる
通帳１において，少なくとも表表紙の裏面１１に摩擦係
数減少用インキによる被印刷部を有する構造とする。

【０００８】

【０００９】

【作用】通帳本文は地紋，罫線，頁マークの３色で印刷
されていることが多い。本考案はこの上に透明で，か
つ，スリップ性を有するインキにより平網１０〜３０％
の範囲で印刷することにより各頁の摩擦係数を低下さ
せ，すべりやすさを均一にすることができる。また，表
紙，中紙のそれぞれの摩擦係数を適当に選ぶことによっ
て表紙を含め各頁間のすべりやすさを均一にすることが
できる。そこで，全頁用紙間を均一にすべりやすくす
る。またはめくりにくい部位（表紙部）を他頁よりもす
べりやすくすることで表紙を含むめくり動作を安定化す
る。

【００１０】

【実施例】次に，本考案について図面を参照して詳しく
説明する。図１は本考案の一実施例を示すもので，通帳
を拡げて示した斜視図である。図２は，図１の実施例を
図中矢印Ｓの方向から見た側面図である。図３は図１の
実施例の表紙を自動頁替装置によりめくる状態を示す説
明図（側面図）である。

【００１１】図１および図２において，１０は通帳１の
表表紙である。１１は中紙１枚目，１２は中紙２枚目で
ある。１６は機械印字を行わない約定頁である。１７は
裏表紙である。

【００１２】図３において，２は通帳の表面を矢印３方
向に押上げる押上げ部材，４は表面がゴム等の摩擦抵抗
の大きい材質で構成された頁めくりローラ，５は頁めく
りローラ４の回転方向を示している。

【００１３】通帳１は押上げ部材２により裏表紙側から
矢印３方向に押上げられ，押上げ部材２の反対側に位置
する頁めくりローラ４に押付けられている。この状態で
頁めくりローラ４が矢印５方向に回転すると，表紙１０
が２点鎖線で示されるように図３の右方向に頁めくりさ
れるようになっている。

【００１４】本考案の第１の実施例では，表表紙の内側
１０ｂと本文全頁１１ａ，１１ｂ，１２ａ，…，１６
ｂ，１７ａにスリップ性を有するインキで全面に印刷
し，表紙１０と中紙１１および全部の中紙と中紙間のす
べりをよくし，すべりやすさをほぼ均一にしている。

【００１５】本考案の第２の実施例では，表表紙の内側
１０ｂと中紙第１頁１１ａ，あるいは表表紙の内側１０
ｂのみにスリップ性を有するインキで印刷し表紙のみを
めくりやすくしている。

【００１６】本考案の第３の実施例では用紙自体の摩擦
係数を適当に選定することにより，表紙１０を含む全部
を均一にすべりやすくしている。

【００１７】本考案の第４の実施例では用紙自体の摩擦
係数を適当に選ぶことにより，表紙１０とこれに対向す
る中紙１１の間のみをすべりやすくしている。

【００１８】以上いづれの方法によっても表紙を含む全
体の頁めくり動作を安定化することができるが，前記す
べりやすくするための印刷は，通常の絵柄（地紋，罫
線，頁マークなど）の上に透明でスリップ性を有するイ
ンキで平網で印刷すればよい。例えば，カルトンキャプ
スＯＰニス（ＤＩＣ）等のインキを平網２０％で印刷す
ると，その摩擦係数は，白紙０．５，同通常絵柄印刷済
み０．４４に対し，スリップＯＰ印刷を施すと，０．３
となり大幅に摩擦係数を低下させることができた。

【００１９】なお，裏表紙１７から２枚目の中紙１５を
めくる場合の２枚めくりを防止するため，中紙最終枚目
１６の約定頁面１６ｂと裏表紙内側１７ａを除いてスリ
ップ性を有するインキによる印刷を行い，中紙最終頁１
６ｂと裏表紙内側１７ａとの摩擦係数を相対的に他の部
分の摩擦係数より高くしてもよい。

【００２０】また，本考案は前記の実施例に限らず，め
くり動作を機械で行う対象物については，本考案の主旨
に沿うものはすべて含まれる。

【００２１】

【考案の効果】以上詳しく説明したように，本考案は，
少なくとも表表紙の内側の面にスリップ性を有するイン
クにより印刷してその面の摩擦係数を下げることによ
り，表紙を含む全体の各頁間のすべりやすさを均一化
し，あるいは表表紙とそれに対向する中紙との間のみの
すべりやすさを他の中紙と中紙の間よりすべりやすくし
て表紙のみを確実にめくることができるようにする，と
いう効果がある。

【００２２】

【００２３】したがって，本考案によれば，表紙を含
め，自動頁替装置によって安定した頁めくり動作をさせ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１の実施例の矢印Ｓから見た側面図である。

【図３】図１の実施例の使用状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 通帳 ２ 押上げ部材 ４ 頁めくりローラ １０ 表表紙 １１ 中紙 １２ 中紙 １５ 中紙 １６ 中紙（約定頁） １７ 裏表紙

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金融機関等の端末装置で使用され，頁を
   自動的にめくる機構に適応することができる通帳におい
   て，少なくとも表表紙の裏面に，摩擦係数減少用インキ
   による被印刷部を有することを特徴とする通帳。