JP2536828B2 - 生体用電極素子 - Google Patents

生体用電極素子

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JP2536828B2
JP2536828B2 JP6074171A JP7417194A JP2536828B2 JP 2536828 B2 JP2536828 B2 JP 2536828B2 JP 6074171 A JP6074171 A JP 6074171A JP 7417194 A JP7417194 A JP 7417194A JP 2536828 B2 JP2536828 B2 JP 2536828B2
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紀之 北川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、心電信号、筋電信号、
脳波などの生体電気現象に伴い発生する電気信号を検出
するために用いられる生体用電極素子に関する。
【0002】
【従来の技術】心電信号、筋電信号、脳波等、生体の発
する電気信号を読み取り、記録し、解析するために使用
する生体用電極素子は、被験試料の表面である皮膚との
接触インピーダンスを出来るだけ低くし、かつノイズの
少ない生体信号を得る必要がある。
【0003】このような目的で、従来、電極と皮膚との
間には、NaCl、KCl等を含む電解質水溶液をクリ
ーム状にしたり(特公昭52−8630号公報)、塩類
を含む含水のゼラチンゲルを用いたり(特公昭48−2
8747号公報)、あるいは塩類を含むアクリル系含水
ゲルを用いたり(特開平4−357932号公報)した
ものを介在させている。
【0004】前記クリーム状にしたものの組成は、種々
の乳化剤等と電解質溶液とを含み、この組成物をエマル
ジョン化したもので、水分が皮膚に直接接触し、さらに
添加する各種の成分により、皮膚表面の角質層を軟化さ
せることが容易で、皮膚との接触インピーダンスを低下
させることが容易である。しかし、保形性に乏しいた
め、外部応力で容易にクリームが移動してしまい、ま
た、これに伴い空気との接触面積が広くなり、水分の蒸
発も早まり乾燥傾向になる。この結果、電気的な導通が
不安定になりやすい。このような難点は、特に長時間連
続使用時において著しく発現する。さらに使用後皮膚に
残留したクリームを拭き取る作業が必要である。
【0005】また、アクリル系含水ゲルでは、ゲルに粘
弾性があるため、外部応力が加わったとき、接触状態が
不安定となることはないが、添加する電解質量や含水量
に制限があるため、皮膚との接触インピーダンスを低下
させることがむずかしい。
【0006】また、ゼラチンゲルを用いたものは、粘弾
性があり、外部応力に対して安定しており、さらに電解
質量や含水量の制限をあまり受けないため、皮膚との接
触インピーダンスを低下させることが容易である。しか
し、温度に対する安定性が劣り、保存時に高温下で放置
することで保形性が低下したり、使用時に体温により軟
化して、皮膚に対するベタツキ感が生じたり、保形性が
低下したりしやすい。なお、ゼラチンの温度安定性を高
めるために、例えばアルデヒド等の硬化剤を用いて架橋
することができるが、直接皮膚と接触する部分が、この
ような硬化剤を含有すると、生体皮膚がアレルギー反応
を引き起こす恐れがあり、また、経時的に架橋が徐々に
進み、ゲルが硬化してしまう傾向があり好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、皮膚
との接触インピーダンスが低く、電気的な導通が安定し
ており、皮膚に対するベタツキ感が無く、使用後の拭き
取り作業が不要なすぐれた生体用電極素子を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の本発明により達成される。 (1)被験面と接触するゲルを含有するゲル層を有し、
前記ゲルが、構成単位中に3,6−アンヒドロ−D−ガ
ラクトース残基および/または3,6−アンヒドロ−D
−ガラクトース残基の硫酸部分エステルを合計で10wt
% 以上含有するカラギナン0.5〜5wt% と、アルカリ
金属塩とを含む生体用電極素子。 (2)前記カラギナンの硫酸基含有量が、27〜34wt
% である上記(1)の生体用電極素子。 (3)前記アルカリ金属塩が、塩化物または塩化物と炭
酸塩とを含む上記(1)または(2)の生体用電極素
子。
【0009】
【作用および効果】本発明の生体用電極素子は、被験試
料の表面である皮膚との接触インピーダンスを出来るだ
け低くし、かつノイズの少ない生体信号を得るために、
電極と皮膚との間に、構成単位中に3,6−アンヒドロ
−D−ガラクトース残基および/または3,6−アンヒ
ドロ−D−ガラクトース残基の硫酸部分エステルを合計
で10wt% 以上含有するカラギナンを0.5〜5wt% 含
み、これにさらにアルカリ金属塩を添加したゲル層を介
在させたものである。
【0010】構成単位中に、3,6−アンヒドロ−D−
ガラクトース残基および/または3,6−アンヒドロ−
D−ガラクトース残基の硫酸部分エステルを合計で10
wt%以上含有するカラギナンを0.5〜5wt% 含むゲル
は適度な粘弾性と保水性とを有するため、カラギナンを
含むゲル層を有する本発明の生体用電極素子は外部応力
が加わっても接触状態が不安定となることがなく、長時
間連続使用しても導通不安定が生じることがない。さら
に保水量が多いため、皮膚との接触インピーダンスを容
易に低下させることができる。また、熱的安定性が高
く、皮膚にベタツキ感がなく、使用後の拭き取り作業が
不要で、使用後感がすぐれたものとなる。
【0011】カラギナンは天然高分子物質であり、その
主な用途のは食品である。また、前記カラギナンは、ゾ
ルからゲルへの変化が、アルカリ金属塩の存在下、熱変
化に依存している。このため、皮膚に対する刺激が化学
合成品と比較してきわめて少ない。すなわち、例えばア
クリル系やウレタン系等のゲルを使用する場合のよう
に、ゲル化のために加熱あるいは紫外線照射等による重
合処理や架橋処理を行う必要がない。このため、重合開
始剤や架橋剤等に由来する未反応のモノマー成分のよう
な、皮膚にアレルギー反応を引き起こす原因となりやす
い物質が残留する恐れはまったくない。
【0012】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0013】本発明の生体用電極素子は、例えば図1に
示すように、スポンジ状多孔質合成樹脂の空孔中にゲル
が充填されたゲル層21と接する面をもつ電極11を有
する。そして、このゲル層21が直接被験面、すなわち
皮膚と接触し、生体と前記電極11との間のオーミック
接続を可能とし、皮膚との接触インピーダンスを低下さ
せるものである。そして、このゲルは、構成単位中に、
3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残基および/ま
たは3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残基の硫酸
部分エステルを合計で10wt% 以上含有するカラギナン
を0.5〜5wt% 含み、これに加えてさらにアルカリ金
属塩を含む。
【0014】カラギナンは、構成単位としてD−ガラク
トース残基と硫酸基とをもち、さらに3,6−アンヒド
ロ−D−ガラクトース残基をもつものともたないものと
がある。そして、β−1,3結合したD−ガラクトース
残基(一部の水酸基の水素原子が硫酸基と置換して硫酸
部分エステルを形成していてもよい)と、α−1,4結
合した3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残基(水
酸基の水素原子が硫酸基と置換して硫酸部分エステルを
形成していてもよい)またはα−1,4結合したD−ガ
ラクトース残基(一部の水酸基の水素原子が硫酸基と置
換して硫酸部分エステルを形成していてもよい)とが交
互に多数結合した高分子多糖類であることが知られてい
る。
【0015】カラギナンは、海藻のうち紅藻類の一部に
含まれ、これらの原料紅藻から抽出することで得られ
る。おもな原料紅藻としては、ユーキューマ属、コンド
ラス属、ギガルティーナ属、ヒプネア属等が挙げられ
る。ただし、本発明の生体用電極素子1に用いるゲルに
含むカラギナンとしては、特にこれらの原料紅藻から得
られたものに限定されず、前記カラギナンと認められる
ものであればどのような原料から得られたものであって
もよい。
【0016】本発明の生体用電極素子1に用いるゲル
は、これらのカラギナンのうちでは、アルカリ金属塩の
存在下、加熱によりゾル化し、冷却によりゲル化する性
質を有するものを含む。このようなカラギナンは、特に
構成単位中に、3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース
残基および/または3,6−アンヒドロ−D−ガラクト
ース残基の硫酸部分エステルを合計で10wt% 以上、好
ましくは15〜35wt%、より好ましくは20〜30wt%
含有するものである。3,6−アンヒドロ−D−ガラ
クトース残基(硫酸部分エステルを含んでもよい)が前
記範囲より少ないものは、冷却によりゲル化しにくいた
め、ゲル剤としては使用しにくい。
【0017】本発明の生体用電極素子1に用いるゲルの
カラギナン含有量は、0.5〜5wt% 、好ましくは1〜
4wt% 、より好ましくは1.5〜3.5wt% である。こ
のような含有量で、好ましい特性をもつゲルを形成する
ことができる。含有量が前記範囲より多いと、得られた
ゲルが硬くなり、さらに製造時、溶解液の粘度が著しく
高くなるため、作業性が低下してしまう。また、含有量
が少ないと、ゲル形成能が低下してしまい、ゲルの強度
が低下する。また、保存時の品質劣化が生じやすい。
【0018】なお、通常市販されているカラギナン粉末
は、そのグレードあるいは保存状態により異なるが、通
常12wt% 程度の水分を含む。このため、本明細書で
は、カラギナン量は、含有する水分を除いた値で表示す
る。
【0019】また、このようなカラギナンのうちでも、
好ましいものとしては、硫酸基の含有量が27〜34wt
% 、特に28〜34wt% のものである。このようなカラ
ギナンは、イオタ(ι−)カラギナンとして知られるも
ので、通常は、前記原料紅藻中のユーキューマ・スピノ
サム(Eucheuma spinosum )から抽出されるカラギナン
が相当することが知られている。ただし、本発明の生体
用電極素子1に用いるゲルに含まれる好ましいカラギナ
ンとしては、特にこれらの原料紅藻から得られたものに
限定されず、3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残
基(硫酸部分エステルを含んでもよい)を前記範囲含
み、さらに硫酸基の含有量が前記範囲のカラギナンであ
ればどのような原料から得られたものであってもよい。
【0020】このようなカラギナンは、生体用電極素子
1のゲル層21としてすぐれた粘弾性を示し、保水性が
良好で保存中の水分の分離が特に少ないため、すぐれた
保存性をもつ。
【0021】硫酸基の含有量が少なすぎると、得られる
ゲルが硬くかつ脆くなりやすく、粘弾性が低下しやす
く、さらに保水性が低下しやすいため、保存中にゲルか
らの水分の分離が多くなりやすい。
【0022】また硫酸基が前記範囲より多すぎるものと
しては、通常ラムダ(λ−)カラギナンとして知られて
いるカラギナンがある。λ−カラギナンは前記3,6−
アンヒドロ−D−ガラクトース残基(硫酸部分エステル
を含んでもよい)にかわってα−1,4結合したD−ガ
ラクトース残基(硫酸部分エステルを含んでもよい)を
構成単位として含むもので、単独ではアルカリ金属塩等
によりゲル化する性質をもたず、本発明の生体用電極素
子1に用いるゲルに単独で用いることはできない。
【0023】ι−カラギナンとしてはイナゲルV−12
0、イナゲルF−13(いずれも伊那食品工業社製)等
として市販されているものがある。ただし、これらと同
等のι−カラギナンであれば、いずれも好ましく用いる
ことができる。
【0024】なお、生体用電極素子1のゲルとしてすぐ
れた粘弾性を示すとは、ゲル層21が、電極11と皮膚
との間に介在して直接皮膚に接触するものであるため、
皮膚と接触した時に、接触による不快感が無く、さらに
長時間連続使用時に、外部応力によるゲルの崩壊が生じ
にくい適度な弾力性を有することを示すものである。ま
た、保水性が良好とは、ゲル中の主に水分からなる電解
質が、保存中にゲル外に放出される一般に離水と呼ばれ
る現象が少ないことである。
【0025】本発明の生体用電極素子1に用いるゲルに
含まれるアルカリ金属塩としては、Na、K、Mg、C
a、Li等の塩化物または塩化物と炭酸塩とを含むこと
が好ましい。このようなアルカリ金属塩は、主に前記カ
ラギナンをゲル化する効果と、皮膚との接触インピーダ
ンスを低下させる電解質としての効果とのために含まれ
るものである。
【0026】本発明の生体用電極素子としては、後述す
る電極11として、銀−塩化銀電極を用いることが好ま
しい。この場合、電位を安定化するためには銀−塩化銀
電極に活物質を供給しなければならないという観点か
ら、塩素イオンを含有することが好ましい。
【0027】また、生体用の電極素子のこのようなゲル
は、pHを弱アルカリ性とすることで、皮膚との接触イ
ンピーダンスを早期に低下させて安定化させる効果があ
り、さらに防腐効果が期待できる。このため、本発明の
生体用電極素子1に用いるゲルには、ゲルのpHを調整
するために、炭酸塩を含むことが好ましい。
【0028】また、これらのアルカリ金属塩のアルカリ
金属イオンのうちでは、皮膚との接触インピーダンスを
低下させる効果が高いとされることから、特にカリウム
が好ましい。このため、含有するアルカリ金属塩として
は、カリウムの塩化物やカリウムの炭酸塩を含むことが
好ましい。
【0029】アルカリ金属塩の含有量は、好ましくは
0.5〜5wt% 、より好ましくは2〜3wt% である。ア
ルカリ金属塩の含有量が前記より多すぎるとカラギナン
のゲル化温度が高くなる傾向があり、製造時の作業性を
そこなうことになりやすく、また少なすぎるとカラギナ
ンのゲル化が難しく、さらに粘弾性が低くなりやすく、
さらに皮膚との接触インピーダンスが低下しにくくな
る。
【0030】また、炭酸塩を含む場合は、炭酸カリウム
に換算した炭酸塩の添加量は、好ましくはゲルの0.5
wt% 以下、より好ましくは0.1〜0.3wt% である。
添加量が多すぎると、pHが高くなりすぎて皮膚への刺
激性が高くなる傾向がある。
【0031】なお、カラギナンのゲル化可能なものとし
ては、これらのアルカリ金属塩の他に、塩化アンモニウ
ムや蛋白質を用いることもできる。これらによりゲル化
する場合は、さらに電解質として上記を含む適当な塩類
等を含有すればよい。
【0032】本発明の生体用電極素子1に用いるゲルに
は、さらにゲルからの水分の蒸発防止やゲル中の水分の
凝固点降下、あるいは皮膚をやわらかくし、インピーダ
ンスを低くする目的で、水溶性多価アルコールを加えて
もよい。水溶性多価アルコールとしては、1分子中に水
酸基が2以上で、炭素数が6以下のものが好ましい。例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、ソルビトールおよびグリセリン等が
挙げられる。これらの内ではグリセリンが好ましい。
【0033】このような水溶性多価アルコールの添加量
は、好ましくはゲルの30wt% 以下、より好ましくは1
0〜20wt% である。添加量が多すぎると、ゲル強度や
ゲルの粘弾性が低下しやすくなる。
【0034】また、さらに防腐剤や香料等を必要に応じ
て適当量含有することができる。防腐剤としては、通
常、食品あるいは医薬品等に用いられるものをいずれも
好ましく用いることができる。例えばパラベン、安息香
酸、安息香酸塩類、サリチル酸およびサリチル酸塩類等
が挙げられる。
【0035】また、さらにゲルの粘弾性、保水性、耐熱
性等の諸特性を改善するために、前記構成単位中に、
3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残基および/ま
たは3,6−アンヒドロ−D−ガラクトース残基の硫酸
部分エステルを合計で10wt%以上含有するカラギナン
以外の親水性高分子を混合してもよい。用いることので
きる親水性高分子としては、例えばλ−カラギナン、寒
天、ゼラチン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロー
ス、カラヤガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチ
レングリコールおよびトラガントガム等が挙げられる。
このような親水性高分子の添加量としては、用いる親水
性高分子の性質およびゲルに対する改善効果により、実
験的に適量を求めて決定すればよい。
【0036】このような組成を有するゲルを形成する方
法は、水にカラギナンをゲルを形成した後の含有量が前
記範囲となる量添加し、攪拌しながら加熱溶解する。こ
の場合用いる水は、あらかじめ加熱した水を用いてもよ
い。
【0037】このように得られた溶液を、85〜100
℃、好ましくは90℃程度に保温し、アルカリ金属塩
を、ゲル形成後のゲル中の含有量が前記範囲となる量溶
解した溶液をこれに加え、さらに必要に応じて水溶性多
価アルコール、防腐剤、香料等を添加して、ゾル組成物
とする。このゾル組成物を前記温度に保温して、後述す
るスポンジ状多孔質合成樹脂中に充填する作業を行うま
で保存する。
【0038】90℃程度に保温したゾル組成物を、スポ
ンジ状多孔質合成樹脂中に充填する方法としては、特に
制限はなく、例えば、ゾル組成物の貯槽に接続した針を
スポンジ状多孔質合成樹脂中に挿入し、適量を充填すれ
ばよい。充填後、放置冷却することでゾル組成物がスポ
ンジ状多孔質合成樹脂中でゲル化し、ゲル層21を形成
する。
【0039】このようにして形成したゲル中の水分量
は、添加した水溶性多価アルコールとの合計で65〜9
5wt% 、特に好ましくは70〜85wt% である。
【0040】本発明の生体用電極素子1の一例を、図1
に示す。
【0041】電極11は、分極電圧を低く抑えることが
でき、安定した信号が得られることから、銀−塩化銀電
極が好ましい。銀−塩化銀電極としては、塩素イオンを
含む電解液中で銀板を陽極として電解し、銀板の表面に
塩化銀の膜を形成したものや、銀粉末と塩化銀粉末との
混合粉末を加圧成型したりすることで得たものであって
もよい。
【0042】本発明の生体用電極素子1の製造方法を図
1を例として説明する。
【0043】図1では、本発明の生体用電極素子1の電
気的接続手段31としては、ディスク状の導電性フェラ
イト等のディスク基板を用いることができる。そして、
この基板の一面上に、有機マトリクス、さらにはガラス
フリット等の無機マトリクス中に銀および塩化銀の粉末
を分散させたペーストを塗布し、焼付けして銀−塩化銀
等の電極11を形成する。この電極11を焼き付けた前
記ディスクと、ゲルがその空孔中に充填されたゲル層2
1とするためのスポンジ状多孔質合成樹脂とを、プラス
チックケース41にホットメルトを利用して一体に接着
し、前記の方法でスポンジ状多孔質合成樹脂中にゲルを
充填してゲル層21を形成し、さらに粘着シート51
を、通常はプラスチックケース41を接合することで製
造される。このような生体用電極素子1は安価に製造可
能なため、おもに使い捨てタイプとして使用される。
【0044】前記電気的接続手段31に用いる導電性フ
ェライトは、導電性で、さらに磁性材であり、使用時に
は永久磁石を具えたコネクターを用いることで、容易に
電気的接続および取外しが可能となる。
【0045】ゲル層21に用いるスポンジ状多孔質合成
樹脂としては、連続気泡を有するもので、原料としては
通常用いられるものがいずれも用いられる。例えばウレ
タン系が挙げられる。
【0046】この他、公知の生体用電極構造はいずれも
本発明の生体用電極素子に適用可能である。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0048】実施例1ゲル組成 A1:ιカラギナン 30g (伊那食品工業社製:イナゲルV−120;無水物換算重量) 水 約700ml B1:塩化カリウム 28g 水 100ml C1:グリセリン 130g D1:炭酸カリウム 2g
【0049】上記ゲル組成に示すA1を攪拌しながら加
熱溶解し、90℃で保存した。次いでB1の溶解液を調
製し、90℃に加熱した後、A1に加えた。さらにC1
およびD1をA1+B1の溶液に添加し、さらに90℃
の熱水を加えて全量を1000mlとした。これをゾル組
成物として90℃で保存した。なお、用いたι−カラギ
ナンの硫酸基含有量は31wt% 、3,6−アンヒドロ−
D−ガラクトース残基の硫酸部分エステルの含有量が2
5wt% であった。
【0050】得られたゾル組成物を用いて銀−塩化銀電
極を有し、図1に示す構造をもつ生体用電極素子1を調
製した。ゲル層21の直径は16mmとした。
【0051】得られた生体用電極素子1(以下、素子
A)を用いて、複数の被験者を用いて皮膚との接触イン
ピーダンスを測定した。測定電圧は1.0V 、測定周波
数は10Hzとした。得られた結果の平均値を図2に示
す。なお、用いた素子Aの使用後感は、いずれの被験者
も、不快感を認めなかった。
【0052】さらに、得られた素子Aを2個用い、AA
MI(Association for the Advancement of Medical I
nstrumentation Standards)規格 EC12−1983
のうち、American National Standard for Pregelled E
CG Disposable Electrodesのセクション3.2.2に準
じて電極対電圧、電極対インピーダンスおよび除細動耐
性試験後の分極電圧を測定した。
【0053】比較例1クリーム組成 A2:ステアリン酸 1.0重量部 Tween 20(花王アトラス社製: ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート) 1.0重量部 B2:LiCl 0.5重量部 水 1.0重量部 C2:グリセリン 2.0重量部 D2:4−クロロ−3,5−キシレノール 0.005重量部 アミルシナミックアルデヒド(高砂香料社製) 0.001重量部
【0054】上記クリーム組成に示すA2を加熱溶解
し、これを攪拌しながら電解質の水溶液B2を添加し
た。次に加温したC2を添加し、攪拌を続けて室温まで
冷却した。さらに、この混合物に防腐剤および香料とし
てD2を添加した後、約2時間攪拌を続け、その後数時
間熟成させて導電性クリームを得た。
【0055】得られた導電性クリームをスポンジ状多孔
質合成樹脂中に含浸させた、銀−塩化銀電極をもつ、図
1に示す構造の比較の生体用電極素子1(以下、素子
B)を調製した。クリームを含浸させたスポンジ状多孔
質合成樹脂の直径は16mmとした。
【0056】この素子Bを用い、実施例1と同様の測定
を行なった。なお、皮膚との接触インピーダンスの測定
は、実施例1と同一の被験者である。得られた結果を図
2および表1にまとめて示す。なお、用いた素子Bの使
用後感は、ほとんどの被験者が、電極を剥がし取った
後、クリームが皮膚に残留するための異物感を認めた。
【0057】比較例2 3−スルホプロピルメタクリレートのカリウム塩を2
3.86重量部、塩化カルシウム1.56重量部を水1
3.68重量部に溶解し、これに、1−ヒドロキシシク
ロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー社製:イ
ルガキュアー184)0.038重量部をグリセリン5
3.42重量部に溶解させたものを混合し、均一な溶液
とした。次に、シリコン樹脂製シャーレ内に底面と同じ
大きさのレーヨン製不織布(目付け10g/m2)一枚を置
き、調製した前記溶液を深さ2mmまで入れ、40W のケ
ミカルランプ(東芝製FL40BL)の下15cmの位置
で全体を窒素置換した後、10分間紫外線を照射して重
合した。得られた重合体を直径20mmのディスク状に切
り出し、図3に示す生体用電極素子1(素子C)を製造
した。電極11は銀−塩化銀処理を施したABS(アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂製のスタッ
トを用いた。
【0058】この素子Cを用い、実施例1と同様の測定
を行なった。なお、皮膚との接触インピーダンスの測定
は、実施例1と同一の被験者である。得られた結果を図
2および表1にまとめて示す。なお、用いた素子Cの使
用後感は、いずれの被験者も、不快感を認めなかった。
【0059】
【表1】
【0060】図2より、本発明の生体用電極素子の皮膚
との接触インピーダンスが最も低いことがわかる。ま
た、表1より、本発明の生体用電極素子は電極対インピ
ーダンスが特に低く、さらに電極対電圧、除細動耐性試
験でも実用上問題とならない範囲であることがわかる。
【0061】実施例2 実施例1で得られた素子Aと、比較例1で得られた素子
Bとを同時に同一の被験者に装着し、48時間連続の心
電図を測定し、心電記録波形の乱れの有無を経時的に記
録した。被験者数は9人とした。図4に結果を示す。図
4では、A〜Iは被験者を示し、各素子ごとに、各被験
者に対応する心電記録波形の乱れの有無を経時的に記録
した棒状図において、縞部分が、心電記録波形が乱れた
時点を示す。
【0062】図4より、本発明の生体用電極素子は、心
電記録波形の乱れが少なく、電気的導通がきわめて安定
していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい生体用電極素子(素子A)の
一例を示す断面図である。
【図2】本発明および比較の生体用電極素子を用いて皮
膚との接触インピーダンスの経時変化を測定した結果を
示すグラフである。
【図3】比較の生体用電極素子(素子C)の構造の例を
示す断面図である。
【図4】本発明の生体用電極素子Aおよび比較の生体用
電極素子Bを用いて心電記録を行なったときの記録波形
の乱れの有無を示すグラフである。
【符号の説明】
1 生体用電極素子 11 電極 21 ゲル層 31 電気的接続手段 32 ホック式電気的接続手段 41 プラスチックケース 42 発泡シート 51 粘着シート

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被験面と接触するゲルを含有するゲル層
    を有し、 前記ゲルが、構成単位中に3,6−アンヒドロ−D−ガ
    ラクトース残基および/または3,6−アンヒドロ−D
    −ガラクトース残基の硫酸部分エステルを合計で10wt
    % 以上含有するカラギナン0.5〜5wt% と、アルカリ
    金属塩とを含む生体用電極素子。
  2. 【請求項2】 前記カラギナンの硫酸基含有量が、27
    〜34wt% である請求項1の生体用電極素子。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ金属塩が、塩化物または塩
    化物と炭酸塩とを含む請求項1または2の生体用電極素
    子。
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