JP2530692B2 - 電路保護素子 - Google Patents

電路保護素子

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JP2530692B2 JP19256988A JP19256988A JP2530692B2 JP 2530692 B2 JP2530692 B2 JP 2530692B2 JP 19256988 A JP19256988 A JP 19256988A JP 19256988 A JP19256988 A JP 19256988A JP 2530692 B2 JP2530692 B2 JP 2530692B2
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H71/00Details of the protective switches or relays covered by groups H01H73/00 - H01H83/00
    • H01H71/10Operating or release mechanisms
    • H01H71/12Automatic release mechanisms with or without manual release
    • H01H71/14Electrothermal mechanisms
    • H01H71/145Electrothermal mechanisms using shape memory materials
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H61/00Electrothermal relays
    • H01H61/01Details
    • H01H61/0107Details making use of shape memory materials
    • H01H2061/0115Shape memory alloy [SMA] actuator formed by coil spring

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電路に流れる過電流を検出して電路遮断機
構を動作させるための電路保護素子に関するものであ
り、回路遮断器等に用いられるものである。
[従来の技術] 過電流や短絡電流等の事故電流から負荷を保護するた
めの回路遮断器等においては、事故電流を検出して、電
路を遮断するように動作する電路保護素子が内蔵されて
いる。この種の素子としては、既に種々の形式のものが
提案されている。
第2図はバイメタル方式を用いた従来例を示す。これ
は熱膨張係数の小さい金属1と熱膨張係数の大きい金属
2とを貼り合わせたバイメタル3を用いて、このバイメ
タル3に事故電流が流れると、その発熱によりバイメタ
ル3が矢印で示す方向に撓み、その結果、このバイメタ
ル3と対向配置された周知のラッチ機構乃至引き外し機
構(図示せず)を作動させて、回路を遮断させるように
なっている。しかし、このようなバイメタル方式では、
単一の事故電流に対してしか、その保護機能を発揮でき
ないという欠点がある。
また、第3図はオイルダッシュポットを用いた従来例
であり、過電流が流れたときにはプランジャ4が徐々に
上方へ移動し、上部に達したときに可動鉄片4′が蓋部
5に吸着され、一方、短絡電流が流れたときには可動鉄
片4′が直接吸着され、これによりラッチ機構を作動さ
せるようになっているが、この構成においては、吸引力
が小さく、高速性に欠けるため、短絡電流に対して十分
な保護が望めないという問題がある。また、吸引力が小
さいため、回路遮断器のラッチ機構に負担が掛かり、小
型化にも限界がある。
一方、特開昭57−148858号公報には、形状記憶合金を
用いて過電流及び短絡電流を共に検出できるようにした
電路保護素子が開示されている。しかしながら、本公報
では、形状記憶合金を電路保護素子に応用するときに問
題となる合金自体の信頼性、特に動作温度の変動等につ
いては開示されていない。また、動作が保証される環境
温度の範囲や、動作温度に関係する相変態温度等につい
ても全く言及されていない。信頼性の高い電路保護素子
として実用化するためには、これらの合金特性、特に使
用する相変態機構の特定が非常に重要である。
[発明が解決しようとする課題] 形状記憶合金を電路保護素子に使用する場合において
は、形状記憶合金の特性として、次のような特性が望ま
れる。
(a)動作の繰り返し信頼性が高いこと。すなわち、発
生荷重や相変態温度が繰り返し動作により変動しないこ
と。
(b)動作温度が60℃〜90℃の範囲内で設定できるこ
と。
(c)動作が保証される温度範囲が−10℃〜60℃である
こと。したがって、この範囲内の任意の温度から加熱を
開始したときに、相変態開始温度(As点)が一定である
こと。
(d)温度ヒステリシスが小さいこと(概略10deg以下
であること)。
実用化されている形状記憶合金には、大別してニッケ
ル−チタニウム系と、銅系(CuZn,CuZnAl等)がある。C
u系は信頼性や耐食性の点でニッケル−チタニウム系よ
りも劣り、信頼性の要求される電路保護素子に応用する
には、ニッケル−チタニウム系の方が良いと判断でき
る。このニッケル−チタニウム系において、形状記憶合
金の形状変化に関与する相変態機構には、マルテンサイ
ト相変態とR相変態がある。
マルテンサイト相変態では、歪みを大きく取ることが
でき、したがって、発生荷重も大きいが、繰り返し動作
の信頼性が低い。例えば、発生荷重を例に取れば、1回
目と2回目とでは、発生荷重が約5%低下する例もあ
る。また、変態温度も繰り返し動作させていると変動
し、このため動作温度が変動することになる。
R相変態では、歪みは約1%以下の状態でしか使用で
きず、したがって、マルテンサイト相変態に比較して、
発生荷重を大きく取ることはできないが、繰り返し信頼
性が良いという利点がある。ところが、このR相変態に
おいて、動作温度を60℃以上に設定すると、必然的にマ
ルテンサイト相の相変態開始温度(Ms点)が−10℃以上
となる。このため、形状記憶合金を加熱するときに、そ
の加熱開始温度によって、相の状態が異なり、発生する
荷重の立ち上がり温度(As点)が異なることになり、結
果として動作温度が異なることになる。したがって、動
作を保証される環境温度の範囲を−10℃〜60℃とするこ
とができない。
また、特開昭53−138071号公報には、ニッケル−チタ
ニウム−銅系を含む種々の形状記憶合金を使用した熱電
型開閉器が開示されている。しかしながら、本公報の熱
電型開閉器は、形状記憶合金に直接通電して加熱する形
式(いわゆる直熱形)であり、第2図の従来例と同様に
単一の事故電流に対してしか、その保護機能を発揮でき
ない。
本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、繰り返し動作による相変
態温度の変動が少なく、動作が安定で信頼性が高く、使
用できる環境温度の範囲が広く、短絡電流及び過電流の
検出が共に可能な電路保護素子を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明にあっては、上記の課題を解決するために、電
路に流れる電流を通電されるヒータコイルと、ヒータコ
イルに過電流が流れたときにヒータコイルの発生する熱
により電路遮断機構を動作させるように形状変化する形
状記憶合金と、ヒータコイルに短絡電流が流れたときに
ヒータコイルの発生する磁界により電路遮断機構を動作
させるように駆動される磁性材料とを備える電路保護素
子において、形状記憶合金はニッケル−チタニウム−銅
系(Ni−Ti−Cuの3元合金、さらに添加物を含む4元以
上の合金)の形状記憶合金であり、且つ、形状記憶合金
の形状変化に関与する相変態機構がオーソロミック相
(斜方晶)変態であることを特徴とするものである。
さらに、前記オーソロミック相変態を生じさせると共
に合金の加工性の観点から、銅が6〜12原子%、チタニ
ウムが49〜51原子%、残りニッケルの3元合金に組成を
限定し、動作の信頼性をさらに向上させるために、素線
に冷間加工を施し、材料の再結晶温度以下の低温で形状
記憶のための熱処理を行い、合金内部に加工歪を残した
状態で使用することを第2の特徴とする。
また、本発明のその他の特徴は、形状記憶合金の動作
温度が上昇するように、形状記憶合金に予めバイアスば
ねにより応力を付与された状態で使用することにある。
[作用] 本発明者らは、種々の形状記憶合金の相変態について
検討した結果、ニッケル−チタニウム−銅系で出現する
オーソロミック相変態が電路保護素子に要求される形状
記憶合金の特性を全て満足することを発見した。すなわ
ち、ニッケル−チタニウム−銅系の形状記憶合金におけ
るオーソロミック相変態では、従来の材料にはない次の
3つの特性を同時に満たすことができる。
疲労が少なく、信頼性が高い。繰り返し動作試験の結
果、相変態温度の変動は僅かである。これは、昇温・降
温時のヒステリシスがマルテンサイト相変態では約30℃
と大きいが、オーソロミック相変態では約5〜10℃と小
さく、このことが疲労を小さくしているものと考えられ
る。
動作温度を60℃以上に設定できる。相変態温度は、形
状記憶合金の組成や熱処理温度に依存するが、これらの
条件を適当に選ぶことにより、動作温度を60℃以上に設
定できる。
−10℃〜60℃の温度範囲を保証できる。ニッケル−チ
タニウム−銅系では、マルテンサイト相の相変態開始温
度(Ms点)が−10℃以下となるため、−10℃〜60℃の範
囲内の任意の温度で加熱を開始しても、オーソロミック
相変態のみとなり、形状記憶合金の相変態開始温度(As
点)は一定となる。
以上の〜の条件がニッケル−チタニウム−銅系で
のみ満たされる理由について、さらに詳しく述べる。
オーソロミック相変態をする記憶合金としては、ニッ
ケル−チタニウム−銅系及びニッケル−チタニウム−パ
ラジウム系の各合金がある。ここで、ニッケル−チタニ
ウム−パラジウム系合金は高価なパラジウムを成分とし
て含むので、コスト的に実用化は困難である。
ニッケル−チタニウム−銅系合金には、ニッケル−チ
タニウム−銅の3成分系合金と、ニッケル−チタニウム
−銅にさらにニオブ、ホウ素等の第4元素を添加した4
成分系合金があるが、本用途に用いる形状記憶合金とし
ては、ニッケル−チタニウム−銅系の3元合金で、銅が
6〜12原子%、チタニウムが49〜51原子%、残りがニッ
ケルの組成が適正である。いずれも相変態様式は、オー
ソロミック(斜方晶)変態であり、オーソロミック相
(低温相)とB2相(高温相)とに変態する。
以下、上記組成の限定理由について述べると、銅が6
原子%以下ではオーソロミック相変態とならず、また12
原子%以上になると、加工性が劣化して伸線加工が困難
となる。また、チタニウムが49原子%以下又は51原子%
以上になると、記憶合金の必要条件である金属間化合物
生成の組成範囲を外れ、形状記憶現象がなくなる。
さらに、繰り返しによる劣化特性改善のため、すなわ
ち信頼性の向上のために、素線に冷間加工を施し、再結
晶温度以下の温度で形状記憶のための熱処理を施すこと
が有効である。このことは、合金に加工歪を残留させた
状態で使用することを意味し、こうすることにより、さ
らに信頼性を向上させることができる。ここで、熱処理
温度は350〜500℃が望ましい。350℃以下であると形状
記憶が十分でなく、500℃以上になると再結晶温度を越
える結果、繰り返しによる劣化が大きくなる。また、冷
間加工率は加工前後による断面の減面率で表現して10〜
40が適正である。10%以下では劣化特性の改善効果がな
く、40以上になると伸線加工が困難となる。
また、本発明の他の特徴は、動作温度が上昇するよう
に、予め形状記憶合金に応力を付与した状態で使用する
ことにある。すなわち、形状記憶合金の相変態温度は応
力下において上昇する性質を本発明者らは見出だし、こ
の性質を積極的に利用したものである。
ニッケル−チタニウム−銅系のオーソロミック相変態
において、種々の応力下での相変態温度を測定したとこ
ろ、応力依存性が0.06℃/MPaと大きく、Ni−Ti合金の約
2倍であることが判明した(Ni−Ti合金の場合、0.03℃
/MPa)。この性質を積極的に利用し、第1図に示すよう
に、形状記憶合金ばね8とバイアス付与ばね12を組み合
わせることにより、動作温度を上昇させることができ、
また、バイアス付与ばね12の出力荷重を変えることによ
り、電路保護素子の動作温度を調整することが可能であ
る。
[実施例] 第1図は本発明の一実施例の断面図である。図におい
て、10は磁性材料よりなるヨークであり、このヨーク10
内にはコイル筒11が配され、コイル筒11の周囲には、ヒ
ータコイル9が巻回されている。このヒータコイル9に
は、電路に流れる電流が通電される。コイル筒11の内部
には、磁性材料よりなるプランジャー7が上下動自在に
貫通されている。プランジャー7の上端部は、負荷レバ
ー6と係合している。この負荷レバー6は、所定の荷重
が加わると、回路遮断器のラッチ機構(図示せず)を作
動させて、電路を遮断させるようになっている。プラン
ジャー7の下端部には、太径のフランジ7aが形成されて
いる。プランジャー7のフランジ7aとヨーク10の上片10
aとの間には、形状記憶合金ばね8が配されている。こ
こで、形状記憶合金は高温で成形しておけば、その成形
時の形状を記憶しており、常温で変形させておいても温
度が上昇すれば、その形状が高温成形時の形に戻る性質
を有するものであり、形状記憶合金ばね8は、このよう
な形状記憶合金をばね状に成形したものである。また、
プランジャー7のフランジ7aとヨーク10の下片10bとの
間には、バイアス付与ばね12が配されている。形状記憶
合金ばね8は、このバイアス付与ばね12にて付勢され
て、定歪み状態(拘束状態)で使用されている。コイル
筒11の底部、すなわち、プランジャー7と対向する側に
は、ヨーク10の下片10bに固定された固定鉄心13が配さ
れている。
ヒータコイル9に定格電流に105〜125%の電流(すな
わち過電流)が流れると、ヒータコイル9が発熱し、形
状記憶合金ばね8の温度を上昇させる。形状記憶合金ば
ね8の温度が上昇し、その相変態開始温度(As点)を越
えると、形状記憶合金ばね8は急激にプランジャー7を
押し下げる方向に変形しようとする。しかし、形状記憶
合金ばね8は拘束状態であるため、プランジャー7の変
位は生じない。そして、この荷重が負荷レバー6の一定
の荷重とバイアス付与ばね12の発生荷重の和よりも大き
くなったときに、負荷レバー6に連結された回路遮断器
のラッチ機構が外れ、電路を遮断する。また、短絡電流
が流れたときには、ヒータコイル9から発生する電磁吸
引力によりプランジャー7が下方の固定鉄心13に吸引さ
れ、負荷レバー6を押し下げて、ラッチ機構を外し、電
路を遮断する。
このような構造にすると、短絡電流及び過電流検出機
構の一体化による小型化が可能となり、ばね状とした形
状記憶合金の発生荷重が大きく、また、短絡時の吸引力
が大きいことにより、高速応答性が達成される。
試料1(実施例) ニッケル−チタニウム−銅系の3元組成の合金線を、
治具に巻き付けてコイルばね状に成形し、拘束状態で熱
処理を行った。このようにして得られた形状記憶合金ば
ねを、所定の歪み量となるように拘束し、温度を変化さ
せて、温度−荷重特性を測定した。第4図は銅が9.2原
子%、チタニウムが49.4原子%、残りがニッケルの3元
合金で熱処理温度500℃とした場合の温度−出力荷重特
性を示す図である。図中、As点及びAf点はそれぞれ高温
相への相変態開始温度及び相変態終了温度を示し、Ms点
及びMf点はそれぞれ低温相(オーソロミック相)への相
変態開始温度及び相変態終了温度を示す。第4図より、
動作が保証される環境温度の範囲内で最低の温度−10℃
(S点)から加熱を開始しても、他の温度36℃(S′
点)から加熱を開始しても、発生荷重の立ち上がり温度
である相変態開始温度(As点)は約60℃で一定であるこ
とが分かる。また、本合金のDSCでの測定結果を第5図
(a),(b)に示す。同図(a)は昇温時、同図
(b)は降温時の測定結果を示す。−50℃から100℃の
温度範囲で加熱、冷却してもピークは各々1つしか検出
されない。これは、この温度範囲で相変態様式が1つで
あることを示し、したがって相変態開始温度も一定とな
る。以上のことは、動作保証される環境温度の範囲を−
10℃〜60℃のように広く取れることを意味する。
第6図は、種々の組成のニッケル−チタニウム−銅合
金について、熱処理温度を変化させ、相変態開始温度
(第4図のAs点)を調べた結果を示している。第6図よ
り、熱処理温度が高くなるにしたがって、相変態開始温
度は上昇するが、550℃以上になると、相変態開始温度
は却って低下することが分かる。しかし、いずれも60℃
以上であり、ニッケル−チタニウム合金の実用使用温度
上限である55℃よりも高く、本用途に適しているといえ
る。
また、熱処理温度が500℃のときのヒステリシスを第
1表に示す。ヒステリシスは、昇温時と降温時の温度幅
であり、(As+Af−Ms−Mf)/2で計算できる。
第1表より銅の含有率が高くなるにしたがって、ヒス
テリシスは減少することが分かる。何れの組成でもオー
ソロミック相変態の特徴である5〜10degのヒステリシ
スを満足しており、このことより相変態様式がオーソロ
ミック相変態であり、また、本用途への要求特性を満た
していることが分かる。なお、マルテンサイト相変態で
は、第10図に示すように、ヒステリシスが約30degであ
る。
次に、繰り返し動作の信頼性について相変態温度を挟
む2つの温度の間でヒートサイクル試験を実施し、試験
前後の相変態温度(As点)の変化及び出力の変化率を調
べた結果を第7図に示す。ヒートサイクル試験は、T1
85℃(30分)とT2=0℃(30分)の間で、1000回の昇温
と降温を繰り返した。形状記憶合金は、銅が6.1原子%
及び9.2原子%の銅−ニッケル−チタニウム合金であ
り、冷間加工率は27%とし、熱処理温度の影響を調べる
ために、種々の温度で熱処理した。図中、白丸○と黒丸
●は銅が6.1原子%の合金の相変態温度の変化と出力変
化率をそれぞれ示しており、白い三角△と黒い三角▲は
銅が9.2原子%の合金の相変態温度の変化と出力変化率
をそれぞれ示している。ニッケルの含有率は49.4〜50.0
原子%、せん断歪率は0.55%であった。
第7図から明らかなように、熱処理温度を350〜500℃
に選ぶことにより、相変態開始温度の変化幅は1deg以下
であり、出力低下率も最大30%以下に抑えることができ
る。一方、熱処理温度が500℃を越えると、合金内部で
再結晶が開始され、繰り返し動作による劣化は大きくな
る。したがって、劣化防止の観点から熱処理温度は350
〜500℃とすることが望ましい。
第8図は冷間加工率を種々変化させて、相変態温度を
DSC法により調べた結果を示している。合金の組成は銅
が9.0原子%、チタニウムが50.5%、残りがニッケルと
し、熱処理条件は500℃で1時間とした。加工率10%以
上の冷間加工を施すと、相変態温度は一定になることが
わかる。残留加工歪が相変態温度に影響することを考え
ると、残留加工歪による劣化防止の効果を得るために
は、少なくとも相変態温度が一定になる10%以上の加工
率が必要である。
次に、異なる歪み量にて測定を行うことにより、せん
断応力と相変態温度の関係を調べた結果を第9図に示
す。合金組成は銅が9.0原子%、チタニウムが50.0原子
%、残りがニッケルとし、熱処理温度は450℃とした。
第9図より、負荷応力の上昇と共に、相変態終了温度
(Af点)が上昇していることが分かる。本実施例にあっ
ては、バイアス付与ばね12により形状記憶合金ばね8に
予め応力を付与した状態で使用しているので、形状記憶
合金ばね8の動作温度が上昇する。そして、このバイア
ス付与ばね12の発生荷重を調整することにより、動作温
度を調整することができる。第8図に示す特性から概略
60〜80℃の範囲で調整可能である。
最後に、この形状記憶合金を第1図に示す構造の電路
保護素子に組み込み、負荷レバー6の荷重を50g、バイ
アス付与ばね12の発生荷重を50gとし、動作試験を行っ
た結果、70℃の温度で動作することを確認した。
試料2(比較例) ニッケル−チタニウム系の2元組成の合金線を用い
て、R相変態の試料2を試料1と同じ方法で作成し、温
度−荷重特性を測定した。第10図はR相変態の試料2に
ついての温度−荷重特性を示す図である。この試料2で
は、ある温度6℃(S点)から昇温すると、相変態開始
温度(As点)は約70℃であるのに対して、他の温度44℃
(S′点)から昇温すると、相変態開始温度(As点)は
約60℃であった。このため、動作保証されるべき温度範
囲内(−10〜60℃)で、加熱を開始する温度が異なる
と、発生荷重の立ち上がり点が大きく異なることにな
り、電路保護素子への適用は困難である。
試料3(比較例) ニッケル−チタニウム系の2元組成の合金線を用い
て、マルテンサイト相変態の試料3を試料1と同じ方法
で作成し、温度−荷重特性を測定した。第11図はヒート
サイクル試験前、第12図は300回のヒートサイクル試験
後の温度−荷重特性をそれぞれ示す図である。ヒートサ
イクル試験後で、As点は13℃低くなり、また、発生荷重
も大きく低下していることが分かる。このことは、マル
テンサイト相変態の試料3の信頼性が低いことを意味
し、電路保護素子への適用は困難である。
以上述べたことから明らかなように、ニッケル−チタ
ニウム−銅系のオーソロミック相変態を行う形状記憶合
金を用いた場合にのみ、本発明の電路保護素子は実現可
能である。
[発明の効果] 本発明の電路保護素子は、電路に流れる電流を通電さ
せるヒータコイルからの発熱又は発生磁界により形状記
憶合金又は磁性材料を駆動できるので、過電流と短絡電
流の検出が共に可能であり、2つの事故電流の検出機構
の一体化による小型化が可能であるという効果があり、
また、ニッケル−チタニウム−銅系で出現するオーソロ
ミック相変態を用いたから、動作の繰り返しによる特性
の変化が少なく、したがって、信頼性が高くなるという
効果があり、また、相変態開始温度が比較的高いので、
動作温度を実用温度範囲内とすることができるという効
果があり、さらに、加熱を開始する温度によって異なる
相変態が生じることはないので、動作が保証される温度
範囲を広く取れるという効果がある。
また、形状記憶合金の動作温度が上昇するように、形
状記憶合金に予め応力を付与した状態で使用すれば、電
路保護素子の動作温度をさらに高く設定することができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は従来例の
一部破断正面図、第3図は他の従来例の要部破断正面
図、第4図乃至第9図は本発明の動作説明図、第10図乃
至第12図は従来例の動作説明図である。 7はプランジャー、8は形状記憶合金ばね、9はヒータ
コイル、12はバイアス付与ばねである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−28518(JP,A) 特開 昭53−138071(JP,A) 特開 昭56−153642(JP,A) 特開 昭57−148858(JP,A) 特開 昭57−189423(JP,A) 特開 昭60−128252(JP,A) 特開 昭60−221922(JP,A) 特開 昭60−230967(JP,A) 特開 昭61−147862(JP,A) 特開 昭62−76123(JP,A) 実開 昭58−14641(JP,U) 実開 昭61−139552(JP,U) 実開 昭63−84840(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電路に流れる電流を通電されるヒータコイ
    ルと、ヒータコイルに過電流が流れたときにヒータコイ
    ルの発生する熱により電路遮断機構を動作させるように
    形状変化する形状記憶合金と、ヒータコイルに短絡電流
    が流れたときにヒータコイルの発生する磁界により電路
    遮断機構を動作させるように駆動される磁性材料とを備
    える電路保護素子において、形状記憶合金はニッケル−
    チタニウム−銅系の形状記憶合金であり、且つ、形状記
    憶合金の形状変化に関与する相変態機構がオーソロミッ
    ク相変態であることを特徴とする電路保護素子。
  2. 【請求項2】ニッケル−チタニウム−銅系の形状記憶合
    金は、銅が6乃至12原子%、チタニウムが49乃至51原子
    %、残りニッケルの3元合金であることを特徴とする請
    求項1記載の電路保護素子。
  3. 【請求項3】前記3元合金に冷間加工を施し、合金の再
    結晶温度以下の温度で形状記憶のための熱処理を施し、
    合金内部に加工歪みを残した状態で使用することを特徴
    とする請求項2記載の電路保護素子。
  4. 【請求項4】熱処理温度が350乃至500℃であることを特
    徴とする請求項3記載の電路保護素子。
  5. 【請求項5】冷間加工率が10乃至40%であることを特徴
    とする請求項3記載の電路保護素子。
  6. 【請求項6】形状記憶合金は、動作温度が上昇するよう
    に予め応力を付与された状態で使用されることを特徴と
    する請求項1記載の電路保護素子。
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