JP2529025B2 - ジアルキルカ―ボネ―トとジオ―ル類の連続的製造法 - Google Patents

ジアルキルカ―ボネ―トとジオ―ル類の連続的製造法

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JP2529025B2
JP2529025B2 JP2325392A JP32539290A JP2529025B2 JP 2529025 B2 JP2529025 B2 JP 2529025B2 JP 2325392 A JP2325392 A JP 2325392A JP 32539290 A JP32539290 A JP 32539290A JP 2529025 B2 JP2529025 B2 JP 2529025B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は環状カーボネートと脂肪族モノアルコール類
とを反応させて、ジアルキルカーボネートとジオール類
とを連続的に製造する方法に関する。
〔従来の技術〕
環状カーボネートと脂肪族モノアルコール類の反応か
ら、ジアルキルカーボネートとジオール類を製造する方
法については、いくつかの提案がなされているが、その
殆どが触媒に関するものである。このような触媒として
例えば、アルカリ金属又はアルカリ金属を含む塩基性化
合物〔米国特許第3,642,858号明細書、特開昭54−48715
号公報(米国特許第4,181,676号明細書)〕、3級脂肪
族アミン〔特開昭51−122025号公報(米国特許第4,062,
884号明細書)〕、タリウム化合物〔特開昭54−48716号
公報(米国特許第4,307,032号明細書)〕、錫アルコキ
シド類(特開昭57−630230号公報)、亜鉛、アルミニウ
ム、チタンの各アルコキシド(特開昭54−148726号公
報)、ルイス酸と含窒素有機塩基から成る複合触媒(特
開昭55−64550号公報)、ホスフィン化合物(特開昭55
−64551号公報)、4級ホスホニウム塩(特開昭56−101
44号公報)、環状アミジン(特開昭59−106436号公
報)、ジルコニウム、チタン及び錫の化合物〔特開昭63
−41432号公報(米国特許第4,661,609号明細書)〕、4
級アンモニウム基を有する固体強塩基性アニオン交換体
(特開昭63−238043号公報)、3級アミン又は4級アン
モニウム基を有するイオン交換樹脂、強酸性又は弱酸性
イオン交換樹脂、シリカ中に含浸せしめられたアルカリ
金属又はアルカリ土類金属のケイ酸塩、アンモニウム交
換ゼオライトから選ばれた固体触媒〔特開昭64−31737
号公報(米国特許第4,691,041号明細書)〕、3級ホス
フィン、3級アルシン、3級スチビン、2価の硫黄又は
セレン化合物から選ばれた均一系触媒(米国特許第4,73
4,518号明細書)などが提案されている。
また、反応方式としては、これまで3つの方式が提案
されている。これら3つの反応方式は、最も代表的な反
応例である、エチレンカーボネートとエタノールからの
ジメチルカーボネートとエチレングリコール製造方法に
おいて用いられている。
すなわち、第1の方式は、エチレンカーボネート、メ
タノール及び触媒をバッチ式反応容器であるオートクレ
ーブに仕込み、メタノールの沸点以上の反応温度におい
て加圧下で所定の反応時間保存することによって反応を
行う完全なバッチ式反応方式である〔米国特許第3,642,
858号明細書、特開昭54−48715号公報(米国特許第4,18
1,676号明細書)、特開昭54−63023号公報、特開昭54−
148726号公報、特開昭55−64550号公報、特開昭55−645
5号公報、特開昭56−10144号公報〕。
第2の方式は、反応釜の上部に蒸留塔を設けた装置を
用いるものであって、エチレンカーボネート、メタノー
ル及び触媒を反応容器に仕込み、所定の温度に加熱する
ことによって反応を進行させる。この場合、生成するジ
メチルカーボネートとメタノールは最低共沸混合物(沸
点63℃/760mmHg)を形成するため、この共沸混合物はメ
タノール(沸点64.6℃/760mmHg)と分離することができ
る。この方式では共沸混合物とエタノールの分離のため
に蒸留塔が設けられている。すなわち、反応釜中から蒸
発したジメチルカーボネート蒸気とメタノール蒸気は蒸
留塔を上昇する間に、共沸混合物蒸気と液状のメタノー
ルに分離され、共沸混合物蒸気は蒸留塔頂より留去さ
れ、液状のメタノールは流下して反応釜に戻されて反応
に供される。また、この方法では、生成するジメチルカ
ーボネートと供沸して留出するメタノールを補うため
に、反応釜にメタノールを連続的又はバッチ的に添加す
ることも行なわれているが、いずれにしてもこの方式で
は接触、エチレンカーボネート及びメタノールが存在し
ているバッチ式の反応釜中でのみ、反応を進行させてい
る。従って反応はバッチ式であり、3〜20数時間もの長
時間をかけて、還流下で反応を行っている。
この方式では、一つの生成物であるジメチルカーボネ
ートは、連続的に反応系外に抜き出されているが、他の
生成物であるエチレングリコールは、触媒の存在下に未
反応のエチレンカーボネートと長時間滞留することにな
る。このエチレングリコールとエチレンカーボネートと
の長時間滞留による副反応を抑制し、選択率の低下を防
ぐためには、反応釜にバッチ的に仕込まれたエチレンカ
ーボネートに対して、大過剰のメタノールを用いる必要
があり、事実これまでに提案されている方法では、エチ
レンカーボネート(又はプロピレンカーボネート)1モ
ルあたり、14モル(米国特許第3,803,201号明細書)、1
7モル(特開平1−311054号公報)、22モル〔特開昭51
−122025号公報(米国特許第4,062,884号明細書)〕、2
3モル〔特開昭54−48716号公報(米国特許第4,307,032
号明細書)〕もの過剰のメタノールが使用されている。
第3の方式は、所定の反応温度に保たれた管状リアク
ターにエチレンカーボネートとメタノールの混合溶液を
連続的に供給し、他方の出口より未反応のエチレンカー
ボネートとメタノールと、生成物であるジメチルカーボ
ネート及びエチレングリコールとを含む反応混合物を液
状で連続的に抜き出す連続反応方式である。用いる触媒
の形態によって2つの方法が行われている。すなわち、
均一系触媒を用いて、エチレンカーボネートとメタノー
ルの混合溶液と一緒に管状リアクターを通過させ、反応
後、反応混合物中から触媒を分離する方法〔特開昭63−
41432号公報(米国特許第4,661,609号明細書)、米国特
許第4,734,518号明細書〕と、管状リアクター内に固定
された不均一触媒を用いる方法〔特開昭63−238043号公
報、特開昭64−31737号公報(米国特許第4,691,041号明
細書)〕がある。エチレンカーボネートとメタノールと
の反応によるジメチルカーボネートとエチレングリコー
ルの生成反応は平行状態であることから、この管状リア
クターを用いる連続流通反応方式では、エチレンカーボ
ネートの反応率は、仕込組成比と反応温度によって決ま
る平衡反応率以上に高めることは不可能である。例え
ば、特開昭63−41432号公報(米国特許第4,661,609号明
細書)の実施例1によれば、仕込みモル比 メタノール/エチレンカーボネート=4/1 の原料を用いる130℃での流通反応においては、エチレ
ンカーボネートの反応率は25%である。このことは、反
応混合物中に未反応で残存する大量のエチレンカーボネ
ート及びメタノールを分離・回収して反応器へ再循環さ
せる必要があり、事実、特開昭64−31737号公報(米国
特許第4,691,041号明細書)の方法では、分離・精製・
回収・再循環のためのたくさんの設備が用いられてい
る。
このように、環状カーボネートと脂肪族モノアルコー
ル類とからジアルキルカーボネートとジオール類を製造
するこれまでに提案された方法は、 (1) 完全なバッチ反応方式 (2) 蒸留塔を上部に設けた反応釜を用いるバッチ反
応方式 (3) 管式リアクターを用いる液状流通反応方式の3
方式であるが、いずれの場合も、反応時間(あるいは反
応液が触媒と接触している滞留時間)が長いこと
〔(1)及び(2)〕、大量の脂肪族アルコール類を使
用しなければならないこと〔(2)〕や、反応率が低く
大量の未反応の原料を分離・回収・再循環させなければ
ならないこと〔(3)〕などの欠点を有している。さら
に高反応率・高収率・高選択率でジアルキルカーボネー
トとジオール類を連続的に製造する方法は、これまで全
く提案されていなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
このようなこれまでに提案されている方法が有してい
る欠点がなく、ジアルキルカーボネートとジオール類を
高い反応速度で、かつ高反応率・高能率・高選択率で、
しかも連続的に製造する方法を提供することを目的とす
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、連続多段蒸留
塔内の複数段において、反応を行わせると同時に低沸点
生成物を蒸留で抜き出す方式が優れた方法であることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
すなわち、本発明は、触媒の存在下に、環状カーボネ
ートと脂肪族モノアルコール類とを反応させて、ジアル
キルカーボネートとジオール類とを連続的に製造するに
あたり、該環状カーボネートと該脂肪族モノアルコール
類を連続他段蒸留塔内に連続的に供給し、該連続他段蒸
留塔内の理論段数2段以上の複数段に存在させた触媒と
接触させることによって反応を行わせると同時に、反応
によって生成するジアルキルカーボネートとジオール類
のうち、低沸点生成物を蒸留によってガス状で上記連続
多段蒸留塔から連続的に抜き出し、高沸点生成物を塔下
部より液状で連続的に抜き出すことを特徴とするジアル
キルカーボネートとジオール類の連続的製造方法を提供
するものである。
本発明の方法が、従来の方法、すなわち、蒸留塔を上
部に設けた反応釜を用いるバッチ反応方式に比べて、短
い反応時間で高反応率・高収率・高選択率を示すのは、
次のような理由によるものと思われる。
本発明の反応は、環状カーボネート(A)と脂肪族モ
ノアルコール類(B)から、ジアルキルカーボネート
(C)とジオール類(D)が生成する一般式(I) で表わされる平衡反応である。〔ここで、R1は2価の基
CH2 (mは2〜6の整数)を表わしその1個以上
の水素は炭素数1〜10のアルキル基やアリール基によっ
て置換されていてもよい。また、R2は炭素数1〜12の1
価の脂肪族基を表わし、その1個以上の水素は炭素数1
〜10のアルキル基やアリール基で置換されていてもよ
い。〕 この反応は通常、液相中で進行しているので、反応率
を高めるためには、反応の結果、生成してくるジアルキ
ルカーボネートとジオール類のうち、低沸点生成物を反
応液中からできるだけ速く除去する必要がある。
しかしながら、先行技術に記載されている蒸留塔を上
部に設置した反応釜を用いる反応方式では、どうしても
反応速度を上げることができなかった。この理由は、反
応の場が触媒の存在する反応釜の部分にのみ限定される
だけでなく反応によって生成した反応副生物を反応釜部
の液中から気相に蒸発させるための気液界面積が小さい
ためである。
これに対して本発明の方法においては、連続多段蒸留
塔内の複数段という広い範囲に触媒を存在させており、
この広い領域で反応を進行させることができる。この領
域内では、供給した反応液は、下方から上昇してくる蒸
気と気液接触を繰り返し、蒸留を行いつつ、反応しなが
ら流下していく。この時、低沸点反応生成物は反応液中
から蒸気相へ蒸発していく。その結果、連続多段蒸流塔
内部での各成分の濃度分布は、反応液中では供給部から
塔下部にかけて高沸点生成物の濃度が漸次増加する分布
をもち、蒸気相では塔下部から塔蒸部にかけて低沸点生
成物の濃度が漸次増加する分布をもつ。
反応領域の任意の位置を考えると、反応液は反応の結
果、平衡組成に近づいた状態であり、蒸気相も反応液に
対して気液平衡状態に近づいた組成であると考えられ
る。従って、反応液がこの位置に留まる場合には反応は
これ以上進行しないが、実際には、反応液は流下するこ
とにより、低沸点反応生成物濃度の低い蒸気相と気液触
媒を行うことによりさらに反応を進行させて、反応液中
の高沸点反応生成濃度を高くすることができる。
したがって、本発明の方法が従来の方法に比較して優
れた効果を有するのは、主として次の点に起因するもの
と考えられる。
蒸留塔を設置した反応釜のような反応形式と比較し
て、気液界面積を大きくすることができ、その結果、低
沸点反応生成物の蒸気相への物質移動が容易となる。
連続多段蒸留塔内の反応液中の高沸点原料は下方から
上昇してくる低沸点原料を含む蒸気と気液接触を繰り返
しつつ、反応しながら流下していく。従って、連続式で
ありながら、原料の反応率を高くすることができる(蒸
留塔を設置した反応釜のような従来の反応形式では、連
続式で行なって、原料の反応率を上げることは通常困難
である。)。
反応液が連続多段蒸留塔を流下していく間に、反応は
殆ど完結させることができる。この蒸留塔内での反応液
の滞留時間は、バッチ式反応釜を用いる場合に比べて短
いので、副反応が少く、目的とする生成物の選択率を高
くすることができる。
連続多段蒸留塔を上昇する蒸気は上昇するに伴って、
下降する液と気液接触を繰り返しながら上昇していく。
したがって、蒸気の持つ熱エネルギーが有効に活用され
る。
本発明で用いられる連続多段蒸留塔とは、蒸留の理論
段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸
留が可能なものであるならばどのようなものであっても
よい。このような連続多段蒸留塔塔としては、例えば泡
鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等
のトレイを使用した棚段塔式のものや、ラシヒリング、
レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、イン
タロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホン
パッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパ
ック等の各種充填物を充填した充填塔式のものなど、通
常、連続式の多段蒸留塔として用いられるものならばど
のようなものでも使用することができる。さらには、棚
段部分と充填物の充填された部分とを合わせ持つ蒸留塔
も好ましく用いられる。また、固体触媒を用いる場合、
この固体触媒を充填物の一部又は全部とする充填物塔式
蒸留塔も好ましく用いられる。
本発明で原料とし用いられる環状カーボネートとは、
前記(A)で表わされる化合物であって、例えば、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキ
レンカーボネート類や、1,3−ジオキサシクロヘキサ−
2−オン、1,3−ジオキサシクロヘプタ−2−オンなど
が好ましく用いられ、エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネートが入手の容易さなどの点から特に好まし
く使用される。
また、もう一方の原料である脂肪族モノアルコール類
とは、前記(B)で表わされる化合物であって、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール(各異性
体)、アリルアルコール、ブタノール(各異性体)、3
−ブテン−1−オール、アミルアルコール(各異性
体)、ヘキシルアルコール(各異性体)、ヘプチルアル
コール(各異性体)、オクチルアルコール(各異性
体)、ノニルアルコール(各異性体)、デシルアルコー
ル(各異性体)、ウンデシルアルコール(各異性体)ド
デシルアルコール(各異性体)、シクロペンタノール、
シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオク
タノール、メチルシクロペンタノール、(各異性体)、
エチルシクロペンタノール(各異性体)、メチルシクロ
ヘキサノール(各異性体)、エチルシクロヘキサノール
(各異性体)、ジメチルシクロヘキサノール(各異性
体)、ジメチルシクロヘキサノール(各異性体)、フェ
ニルシクロヘキサノール(各異性体)、ベンジルアルコ
ール、フェネチルアルコール(各異性体)、フェニルプ
ロパノール(各異性体)などがあげられ、さらにこれら
の脂肪族モノアルコール類において、ハロゲン、定休ア
ルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリ
ーロキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基等の置
換基によって置換されていてもよい。
このような脂肪族モノアルコール類の中で、好ましく
用いられらるのは炭素数1〜6のアルコール類であり、
特に好ましいのはメタノール、エタノール、プロパノー
ル(各異性体)、ブタノール(異性体)の炭素数1〜4
のアルコール類である。
本発明において触媒は、理論段数2段以上を有する連
続多段蒸留塔の複数段に存在させることが必要であり、
本発明の特徴はこの触媒の存在する複数段において、環
状カーボネートと脂肪族モノアルコール類とを接触させ
ることによって反応を進行させると同時に低沸点生成物
を蒸留によってガス状で抜き出す反応蒸留方式を実施す
ることにある。
このような連続多段状留塔の複数段に触媒を存在させ
る方法はどのような方法であってもよいが、例えば、反
応条件下で反応液に溶解するような均一系触媒の場合、
該蒸留塔に連続的に触媒を供給することにより、反応系
に触媒を存在させることもできるし、あるいは反応条件
下で反応液に溶解しないような不均一系触媒の場合、該
蒸留塔内に固体触媒を配置することにより、反応系に触
媒を存在させることもできるし、これらを併用した方法
であってもよい。
均一系触媒を該蒸留塔に連続的に供給する場合には、
原料と同様に供給してもよいし、原料とは異なる位置に
供給してもよい。また、塔底から少くとも2段以上の論
理段を有する位置であればどの位置に触媒を供給しても
よい。しかし、該蒸留塔内で実際に反応が信号するのは
触媒供給位置から下の領域であることから、塔頂から原
料供給位置までの間の領域に触媒を供給することが好ま
しい。また、不均一系の固体触媒を用いる場合、その触
媒留塔内の任意の位置に必要量充填することができ、こ
の触媒の存在する相の理論段が少くとも2段以上であれ
ばよい。この固体触媒は蒸留塔の充填物としての効果も
有している。該蒸留塔内で触媒が存在しない領域では、
反応生成物の濃縮等の通常の蒸留塔としての機能のみを
果たすことになる。
本発明において用いられる触媒としては、これまでに
知らている種々のものを使用することができる。例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属類;ア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、水酸化
物、アルコキシド化物類、アリーロキシド化物類、アミ
ド化物類等の塩基性化合物類;アルカリ金属及びアルカ
リ土類金属の炭酸塩類、重炭酸塩類、有機酸塩類等の塩
基性化合物類;トリエチルアミン、トリブチルアミン、
トリヘキシルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級
アミン類;N−アルキルピロール、N−アルキルインドー
ル、オキサゾール、N−アルキルイミダゾール、N−ア
ルキルピラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、アル
キルピリジン、キノリン、アルキルキノリン、イソキノ
リン、アルキルイソキノリン、アクリジン、アルキルア
クリジン、フェナントロリン、アルキルフェナントロリ
ン、ピリミジン、アルキルピリミジン、ピラジン、アル
キルピラジン、トリアジン、アルキルトリアジン等の含
窒素複素芳香族化合物類;ジアザビシクロウンデセン
(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等の環状アミジ
ン類;酸化タリウム、ハロゲン化タリウム、水酸化タリ
ウム、炭化タリウム、硝酸タリウム、硫酸タリウム、タ
リウムの有機酸塩類等のタリウム化合物類;トリブチル
メトキシ錫、トリブチルエトキシ錫、ジブチルジメトキ
シ錫、ジエチルジエトキシ錫、ジブチルエチレンジエト
キシ錫、ジブチルフェノキシ錫、ジフェニルメトキシ
錫、酢酸ジブチル錫、塩化トリブチル錫、2−エチルヘ
キサン酸錫等の錫化合物類;ジメトキシ亜鉛、ジエトキ
シ亜鉛、エチレンジオキシ亜鉛、ジブトキシ亜鉛等の亜
鉛化合物類;アルミニウムトリメトキシド、アルミニウ
ムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド
等のアルミニウム化合物類;テトラメトキシチタン、テ
トラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、ジクロロ
ジメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、酢酸
チタン、チタンアセチルアセトナート等のチタン化合物
類;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブ
チルメチルホスホニウムハライド、トリオクチルブチル
ホスホニウムハライド、トリフェニルメチルホスホニウ
ムハライド等のリン化合物類;ハロゲン化ジルコニウ
ム、ジルコニウムアセチルアセナート、ジルコニウムア
ルコキシド、酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物
類;鉛および鉛を含む化合物類、例えば、PbO、PbO2、P
b3O4などの酸化鉛類;PbS、Pb2S3、PbS2などの硫化鉛類;
Pb(OH)、Pb3O2(OH)、Pb2[PbO2(OH)]、Pb
2O(OH)などの水酸化鉛類;Na2PbO2、K2PbO2、NaHPbO
2、KHPbO2などの亜ナマリ酸塩類;Na2PbO2、Na2H2PbO4
K2PbO3、K2[Pb(OH)]、K4PbO4、Ca2PbO4、CaPbO3
などの鉛酸塩類;PbCO3、2PbCO3・Pb(OH)などの鉛の
炭酸塩およびその塩基性塩類;Pb(OCH3、(CH3O)P
b(OPh)、Pb(OPh)などのアルコキシ鉛類;アリー
ルオキシ鉛類;Pb(OCOCH3、Pb(OCOCH3、Pb(O
COCH3・PbO・3H2Oなどの有機酸の鉛塩およびその炭
酸塩や塩基性塩類;Bu4Pb、Ph4Pb、Bu3PbCl、Ph3PbBr、P
h3Pb(またはPh6Pb2)、Bu3PbOH、Ph2PbOなどの有機鉛
化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す。;Pb
−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sbなどの鉛の合金
類;ホウエン鉱、センアンエン鉱などの鉛鉱物類、およ
びこれらの鉛化合物の水和物類;3級アミノ基を有する陰
イオン交換樹脂、アミド基を有するイオン交換樹脂、ス
ルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基のうちの少なくと
も一つの交換基を有するイオン交換樹脂、第4級アンモ
ニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニオン交
換体等のイオン交換体類;シリカ、シリカ−アルミナ、
シリカ−マグネシア、アルミノシリケート、ガリウムシ
リコート、各種ゼオライト類、各種金属交換ゼオライト
類、アンモニウム交換ゼオライト類などの固体の無機化
合物等が用いられる。
固体触媒として、特に好ましく用いられるのは第4級
アンモニウム基を交換基として有する固体強塩基性アニ
オン交換体であり、このようなものとしては、例えば、
第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性ア
ニオン交換樹脂、第4級アンモニウム基を交換基として
有するセルロース強塩基性アニオン交換体、第4級アン
モニウム基を交換基として有する無機質担体担持型強塩
基性アニオン交換体などが挙げられる。
第4級アンモニウム基を交換基として有する強塩基性
アニオン交換樹脂としては、例えば、スチレン系強塩基
性アニオン交換樹脂などが好ましく用いられる。スチレ
ン系強塩基性アニオン交換樹脂は、スチレンとジビニル
ベンゼンの強重合体を母体として、交換基に第4級アン
モニウム(I型あるいはII型)を有する強塩基性アニオ
ン交換樹脂であり、例えば、次式模式的に示される。
上記式中、X はアニオンを示し、通常、X として
は、F 、Cl 、Br 、I 、HCO3 、▲CO2 3 、CH
3CO2 、HCO2 、IO3 、BrO3 、ClO3 の中から選ば
れた少なくとも1種のアニオンが使用され、好ましくは
Cl 、Br 、HCO3 、▲CO2 3 の中から選ばれた少な
くとも1種のアニオンが使用される。また、樹脂母体の
構造としては、ゲル型、マクロレティキュラー型(MR
型)いずれも使用できるが、耐有機溶媒性が高い点から
MR型が特に好ましい。
第4級アンモニウム基を交換基として有するセルロー
ス強塩基性アニオン交換体としては、例えば、セルロー
スの−OH基の一部または全部をトリアルキルアミノエチ
ル化して得られる、 なる交換基を有するセルロースが挙げられる。ただし、
Rはアルキル基を示し、通常、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチルなどが用いられ、好ましくはメチル、エチル
が使用される。また、X は前述のとおりである。
本発明において使用できる、第4級アンモニウム基
を交換基として有する無機質担体担持型強塩基性アニオ
ン交換体とは、無機質担体の表面水酸基−OHの一部また
は全部を修飾することにより、4級アンモニウム基 を導入したものを意味する。ただし、R、X は前述の
とおりである。nは通常1〜6の整数であり、好ましく
はn=2である。無機質担体としては、シリカ、アルミ
ナ、シリカアルミナ、チタニア、ゼオライトなどを使用
することができ、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ
アルミナが用いられ、特に好ましくはシリカが使用され
る。無機質担体の表面水酸基の修飾方法としては、任意
の方法を用いることができる。例えば、無機質担体とア
ミノアルコールHO(CH2nNR2を塩基触媒存在下に脱水
反応を進行させることによりアミノアルコキシ化した後
に、ハロゲン化アルキルRX′(X′はハロゲンを示し、
通常はCl、Br、Iなどが使用される)と反応させて 基とする。さらに、アニオン交換を行なうことにより、
所望のアニオンX を有する4級アンモニウム基 とする。また、n=2の場合には、無機質担体をN,N−
ジアルキルアジリジンで処理することにより、N,N−ジ
アルキルアミノエトキシ化して−OCH2CN2NR2基とした後
に、上述の方法により 基とされる。
第4級アンモニウム基を交換基として有する固体強塩
基性アニオン交換体は、市販のものを使用することもで
きる。その場合には、前処理として予め所望のアニオン
種でイオン交換を行なった後に、触媒として使用するこ
ともできる。
また、少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合
している巨大網状およびゲルタイプの有機ポリマー、ま
たは少くとも1個の窒素原子を含む複素環基が結合して
いる無機質担体から成る固体触媒も好ましく用いられ
る。また、さらには、これらの含窒素複素環基の1部又
は全部が4級塩化された第4級アンモニウム基を交換基
として有する触媒も同様に用いられる。
本発明を実施するに当り、原料である環状カーボネー
トと脂肪族モノアルコール類は、連続多段蒸留塔の触媒
の存在する複数段に供給できるのであれば、該蒸留塔の
任意の段に任意の数の導入口から連続的に供給すること
ができる。原料は液状、ガス状又は液とガスとの混合物
として該蒸溜塔に連続的に供給される。このようにして
原料を連続多段蒸留塔に供給する以外に、付加的にガス
状の原料を該状留塔の下部から断続的又は連続的に供給
することも好ましい方法である。環状カーボネートと脂
肪族モノアルコールのうち、より高沸点の原料を触媒の
存在する段よりも上部の段に液状または気液混合状態で
該蒸留塔に連続的に供給し、より低沸点の原料をガス状
で該蒸留塔の下部に連続的に供給する方法も好ましい方
法である。この場合、上部より供給する高沸点原料中
に、低沸点原料が含まれていても、もちろん構わない。
これらの供給源料中には、生成物であるジアルキルカ
ーボネートまたはジオール類が含まれていてもよいが、
本反応は可逆反応であるため、これらの生成物の濃度が
あまり高い場合には原料の反応率を低下させるため好ま
しくない。
連続多段蒸留塔に供給する環状カーボネートと脂肪族
モノアルコール類との量比は、触媒の種類や量、及び反
応条件によっても変わり得るが、通常、供給原料中の環
状カーボネートに対して、脂肪族モノアルコール類はモ
ル比で0.01〜1000倍の範囲で供給するのが好ましい。環
状カーボネートの反応率を挙げるためには脂肪族モノア
ルコール類は2倍モル以上の過剰量供給することが好ま
しいが、あまり、大過剰に用いると装置が大きくする必
要がある。このような意味において、特に好ましいの
は、2〜20倍モル量の脂肪族モノアルコール類が使用さ
れる場合である。
本発明においては、連続多段蒸留塔内の複数段におい
て、触媒の存在下に環状カーボネートと脂肪族モノアル
コール類とが反応して、ジアルキルカーボネートとジオ
ール類を生成するが、これらの生成物のうち、沸点の低
い方の低沸点生成物はガス状で該蒸留塔より連続的に抜
き出される。この場合、ガス状抜き出し物は低沸点生成
物単独でも良いし、脂肪族モノアルコール類及び/又は
環状カーボネートとの混合物であてもよいし、また高沸
点生成物を少量含んでいてもよい。
連続多段蒸留塔から、低沸点生成物を含むガス状物質
を抜き出し口は、塔底以外の任意の位置に設けることが
できるが、蒸気相中の低沸点生成物の濃度は、通常、塔
の上部にいくに従って増加している。従って、原料供給
位置から塔頂の間又は塔頂部にガス状物質の抜き出し口
を設けることが好ましく、塔頂部に設けることがさらに
好ましい。このようにして抜き出されたガス状成分を、
冷却等によって液状にし、その一部を該蒸留塔の上部に
戻す、いわゆる還流操作を行ってもよい。この還流操作
によって還流比を増加させると、低沸点生成物の蒸気相
への蒸留効率が高くなるため、抜き出すガス成分中の低
沸点生成物濃度を増加させることができる。しかしなが
ら、あまりに還流比を増加させると必要な熱エネルギー
が大きくなるので好ましくない。したがって、還流比
は、通常0〜10が用いられ、好ましくは0〜5が用いら
れる。
本発明の方法によって生成するジアルキルカーボネー
トとジオール類のうち、沸点の高い分の高沸点生成物は
連続多段蒸留塔の下部より液状で連続的に抜き出され
る。この場合、液状抜き出し物は高沸点生成物単独でも
よいし、脂肪族モノアルコール類及び/又は環状カーボ
ネートとの混合物であってもよいし、また低沸点生成物
を少量含んでいてもよい。反応条件下において反応液に
溶解し得る高沸点の触媒を用いる場合は、この液状抜き
出し物中に該触媒も含まれる。高沸点生成物を含む液状
物質を連続多段蒸留塔から抜き出す抜き出し口は、塔下
部に設けられ、特に好ましくは塔底部に設けられる。こ
のようにして抜き出された液状物質は、その一部をリボ
イラーで加熱することによって、ガス状又は気液混合物
の状態で該蒸留塔の下部に戻してもよい。
本発明の特に好ましい実施態様においては、環状カー
ボネートとしてエチレンカーボネート又はプロピレンカ
ーボネートを用い、脂肪族モノアルコールとして炭素数
1〜4の低級アルコールであるメタノール、エタノー
ル、プロパノール(各異性体)、アリルアルコール、ブ
タノール(各異性体)を用い、相当するジアルキルカー
ボネートであるジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジプロピルカーボネート、ジアリルカーボネー
ト、ジブチルカーボネートと、エチレングリコール又は
プロピレングリコールを製造する場合である。これらの
場合、原料の中で沸点の高いエチレンカーボネート又は
プロピレンカーボネートは、連続多段蒸留塔の触媒の存
在する段から塔頂までの間に設けられた導入口から、液
状で該蒸留塔内に連続的に供給され、低沸点原料である
低級脂肪族モノアルコールは塔下部より、ガス状で該蒸
留塔内に連続的に供給される。そして反応によって生成
した低沸点生成物であるジアルキルカーボネートは、連
続多段蒸留塔の塔頂部から、ガス状で連続的に抜き出さ
れ、高沸点生成物であるエチレングリコール又はプロピ
レングリコールは該蒸留塔の下部から、液状で連続的に
抜き出される。
本発明で用いられる触媒の量は、使用する触媒の種類
によっても異なるが、触媒を連続多段蒸留塔の反応域に
連続的に供給する場合には、供給原料である環状カーボ
ネートと脂肪族モノアルコールの合計重量に対する割合
で表わして、通常0.0001〜50重量%で使用される。また
固体触媒を連続多段蒸留塔内に設置して使用する場合に
は、該蒸留塔の空塔容積に対して、0.01〜75体積%の触
媒量が好ましく用いられる。
本発明においては、反応は主として触媒の存在する連
続多段蒸留塔の複数段において起こるため、生成する反
応生成物の量は、通常、該蒸留塔内のホールドアップ液
量に依存している。つまり、同じ塔高、同じ塔径の蒸留
塔を用いる場合にはホールドアップ液量の多い蒸留塔が
反応液の滞留時間即ち反応時間を比較的長くすることが
できるという意味において好ましい。しかしながら、ホ
ールドアップ液量があまりに多い場合には、滞留時間が
長くなるために副反応が進行したり、フラッディングが
起こりやすくなる。従って、本発明に用いる蒸留塔のホ
ールドアップ液量は蒸留条件や蒸留塔の種類によっても
変わり得るが、連続多段蒸留塔の空塔容積に対するホー
ルドアップ液量の容積比で表現して、通常、0.005〜0.7
5で行われる。
また、本発明において、連続多段蒸留塔内での反応液
の平均滞留時間は、反応条件や連続多段蒸留塔の種類や
内部構造(例えば棚段や充填物の種類)によっても異な
るが、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、
より好ましくは0.05〜5時間である。
反応温度は、連続多段蒸留塔内の温度であり、用いる
原料種類や反応圧力によって異なるが、通常0〜350
℃、好ましくは20〜200℃の範囲である。また、反応圧
力は減圧、常圧、加圧いずれであってもよく、通常0.00
001〜200kg/cm2である。
本発明においては、必ずしも溶媒を使用する必要はな
いが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶
媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳
香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができ
る。
また、反応に不活性な物質として窒素、ヘリウム、ア
ルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させてもよいし、
生成する低沸点生成物の留去を加速する目的で連続多段
蒸留塔の下部より、前記の不活性ガスや反応に不活性な
低沸点有機化合物をガス状で導入してもよい。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、
本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 第1図に示されるような内径2cm、長さ1mの充填塔式
連続多段蒸留装置を用いて、エチレンカーボネートとメ
タノールから、ジメチルカーボネートとエチレングリコ
ールを連続的に製造する反応を行った。
触媒兼充填物として、第4級アンモニウム気を交換基
とする陰イオン交換樹脂〔Dowex MSA−1,Cl 型を、2N
−Na2CO3水溶液でイオン交換した後、純水で洗浄を繰返
し、次いで乾燥メタノールで繰返し洗浄することによっ
て、脱水・乾燥したもので、Cl−イオンの約50%がCO3 2
イオンに交換したもの〕を該蒸留塔の内部に約60cmの
高さに充填した。なおこの触媒の上下には、それぞれ約
10cmの高さで直径3mmのステンレス製ディクソンパッキ
ングを充填した。また、触媒兼充填物として用いたこの
陰イオン交換樹脂を、還流冷却器と容積200mlの蒸留釜
を備えた塔径2cmで充填部高さ40cmの充填塔に充填し、
メタノールとエタノールの混合物(モル分率比=0.08/
0.92)100mlを蒸留釜に投入して、全還流を行った。塔
頂部の温度が安定した時点での塔頂部の還流液組成はメ
タノールおよびエタノールのモル分率がそれぞれ0.98、
0.02であり、蒸留釜中の液組成はメタノールおよびエタ
ノールのモル分率がそれぞれ0.03、0.97であった。メタ
ノール・エタノール系の気液平衡データ(J.Gmehling
ら,Vapor−Liquid Equilibrium Data Collectoin,Vo
l.l,Part2A,P.50(1977)DECHEMA刊)から作図法により
蒸留段数を求めたところ、12段であった。この結果は本
実施例で触媒兼充填物として用いた陰イオン交換樹脂の
1論理段あたりの充填高さ(H.E.T.P)が3.3cmであるこ
とを示した。したがって、高さ60cmの高さに充填した本
実施例の充填塔は18理論段の蒸留段を有する。
塔下部原料導入口2よりメタノール蒸気を81.6g/hrで
導入し、塔上部原料導入口1より、70℃に加熱したエチ
レンカーボネートとエタノール混合物(重量比:エチレ
ンカーボネート/メタノール=5/1)を26.4g/hrで導入
した。導入されたエチレンカーボネートは、蒸留段とし
て18理論段を有する高さ60cmの陰イオン交換樹脂充填層
の各段でメタノールと反応してジメチルカーボネートと
エチレングリコールを生成しつつ塔下部へと流下した。
また塔下部より導入されたメタノール蒸気は、反応によ
り生成した低沸生成物のジメチルカーボネートを同伴し
て塔上部へと上昇した。塔内の温度は塔底部で約78℃、
塔頂部で約65℃であった。
塔頂ガス抜き出し口3より抜き出されたガス状成分は
冷却し液状にして、77.2g/hrで連続的に抜き出され、ま
た塔底の抜き出し口4より塔底液が30.8g/hrで連続的に
抜き出された、定常状態になった後の塔頂より抜き出さ
れたガス成分を凝縮した液はジメチルカーボネート(29
重量%)とメタノール(71重量%)の混合液であった。
また、塔底より抜き出された液状成分は、エチレング
リコール(50重量%)、メタノール(49.5重量%)及び
高沸点副生成物(0.5重量%)から成っており、エチレ
ンカーボネートは全く検出されなかった。この結果は、
エチレンカーボネートの反応率は100%で、ジメチルカ
ーボネートの収率及び選択率が99.5%、エチレングリコ
ールの収率及び選択率が99.5%であることを示してい
る。この方法により、ジメチルカーボネートとエチレン
グリコールを連続して製造したが、200〜400時間後も、
ほぼ同様の成績であった。
実施例2 エチレンカーボネートの代りにプロピレンカーボネー
トを用いる以外は、実施例1と同様な方法を行った結
果、塔頂成分としてジメチルカーボネート(28.5重量
%)とメタノール(71.5重量%)から成る混合物が、ま
た塔底成分として微量(0.6重量%)の高沸点副生成物
を含むプロピレングリコール(55.1重量%)とメタノー
ル(44.3重量%)の混合物が連続的に得られた。プロピ
レンカーボネートの反応率は100%であり、ジメチルカ
ーボネートの収率及び選択率は99.4%であり、プロピレ
ングリコールの収率及び選択率は99.4%であった。
実施例3 第2図に示されるような30段の段数を有するオールダ
ショー型蒸留塔から成る連続多段蒸留装置を用いて、エ
チレンカーボネートとメタノールから、ジメチルカーボ
ネートとエチレングリコールを連続的に製造する反応を
行った。
触媒としての酢酸鉛(200ppm)を含むエチレンカーボ
ネートとメタノールの混合物(重量比:エチレンカーボ
ネート/メタノール=6/1)を70℃に加熱し、塔5の上
部の導入口1から143.7g/hrで連続的に導入した。ま
た、塔下部の導入口2から、メタノール356.3g/hrを連
続的に導入した。導入されたエチレンカーボネートとメ
タノールと触媒からなる混合物は、30段の各段で反応し
てジメチルカーボネートとエチレングリコールを生成し
つつ下段へと流下した。また塔下部より導入されたメタ
ノール蒸気は、反応により生成した低沸生成物のジメチ
ルカーボネートを同伴してと塔上部へと上昇した。塔底
成分は、リボイラー6で加熱されており、その一部は液
状成分抜き出し口4より連続的に抜き出されている。
塔頂ガス抜き出し口3より抜き出されたガス状成分は
冷却し液状にして365.7g/hrで連続的に抜き出され、塔
底液は134.3g/hrで連続的に抜き出された。定常状態に
なった後の塔頂より抜き出されたガス成分を濃縮した液
はジメチルカーボネート(29重量%)とメタノール(71
重量%)の混合物であった。
また塔底より抜き出された塔底液134.3g中には、エチ
レングリコール2.9g、エチレンカーボネート1.05g、高
沸点副生成物0.8g、メタノール59.5g含まれていた。こ
の結果はエチレンカーボネートの反応率は99%で、ジメ
チルカーボネートの収率及び選択率は99.2%で、エチレ
ングリコールの収率及び選択率は99%であることを示し
ている。
〔発明の効果〕
本発明の方法により、環状カーボネートと脂肪族アル
コール類から、高収率・高選択率で、ジアルキルカーボ
ネートとジオール類を連続的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、充填塔式連続多段蒸留装置の模式図であり、
第2図は、オールダショー型連続多段蒸留装置の模式図
である。 1:高沸点原料導入口 2:低沸点原料導入口 3:低沸点反応生成物抜き出し口 4:高沸点反応生成物抜き出し口 5:段塔 6:リボイラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B01J 31/08 B01J 31/08 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒の存在下に、環状カーボネートと脂肪
    族モノアルコール類とを反応させて、ジアルキルカーボ
    ネートとジオール類とを連続的に製造するにあたり、該
    環状カーボネートと該脂肪族モノアルコール類を連続多
    段に蒸留塔内に連続的に供給し、該連続多段蒸留塔内の
    理論段数2段以上の複数段に存在させた触媒と接触させ
    ることによって反応を行わせると同時に、反応によって
    生成するジアルキルカーボネートとジオール類のうち、
    低沸点生成物を蒸留によってガス状で上記連続多段蒸留
    塔から連続的に抜き出し、高沸点生成物を塔下部より液
    状で連続的に抜き出すことを特徴とするジアルキルカー
    ボネートとジオール類の連続的製造法。
  2. 【請求項2】均一系触媒を連続多段蒸留塔の塔底から少
    なくとも2段以上の理論段を有する位置に供給すること
    により、上記触媒を理論段数2段以上の複数段に存在さ
    せる特許請求の範囲第1項記載のジアルキルカーボネー
    トとジオール類の連続的製造法。
  3. 【請求項3】不均一系触媒である固体触媒を連続多段蒸
    留塔内に配置し、該固体触媒を理論段数2段以上の複数
    段に存在させる特許請求の範囲第1項記載のジアルキル
    カーボネートとジオール類の連続的製造法。
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