JP2526494Y2 - 不耕起植付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は耕起作業及び代かき作業を省略した圃場に水
を張り、直接に苗を植付ける際に使用する不耕起植付装
置の改良に関する。

〔従来の技術〕

圃場に不耕起状態で苗を移植することができれば耕起
作業と代かき作業を省略することができるために、稲作
作業を著しく簡略化することが可能であり、大型の農場
を小人数で経営するのには極めて有効な方法であり、最
近この不耕起田植が開発されつつある。

〔考案が解決すべき課題〕

従来の不耕起植付装置は、トラクタ等の牽引型対地作
業機の後部に植付装置を牽引し、トラクタ側の駆動軸の
動力で植付装置を駆動するように構成している。しか
し、従来の不耕起植付装置は、単にトラクタの後部に植
付装置を牽引して植付けを行うものであり、この植付の
終った圃場は、不耕起であるために雑草が生えており、
そのまま苗を植付けたりすると苗はこの雑草に負けて成
育できないと言う問題があった。そこで従来は植付けを
行って後に適宜除草剤の撒布を行っており、植付け作業
と除草剤撒布作業の二つの作業を必要とするために作業
に無駄があると言う問題があった。

本考案は、前記従来の不耕起植付装置の有する欠点を
解消し、植付作業と除草剤撒布作業の両方の作業を同時
に行なって一回の作業で不耕起植付けと除草の前処理作
業を完了することができる複合的な装置を提供すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するための本考案に係る不耕起植付装
置は、牽引型対地作業機の後部に、溝切歯と該溝切歯で
掘削された溝に苗を植付ける植付装置とを牽引させた不
耕起植付装置であって、前記作業機の前部に薬液タンク
と該タンク内に収容された薬液を噴霧するノズルを有す
る噴体管とを設け、前記植付装置の植付け作業に当たっ
て作業機前部の前記ノズルより薬液を圃場上に撒布する
如く構成されている。

〔作用〕

溝切り操作に先立って除草剤である薬液を噴霧するの
で、作溝部分、即ち苗の植付け部分に除草剤が施され、
この溝の中に植付けられた苗は雑草に成長を妨げられる
こともなく、育成が良好となる。

〔実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図は不耕起植付装置の側面図、第２図は同平面図
である。

１は牽引型対地作業機（トラクタ）であって、その後
方に延長されたリンク機構２を介して植付装置３が牽引
される。この植付装置３は苗載台４とこれの下方にドラ
イブケース５が設けられており、作業機１の動力をプラ
ンタケース６に伝達し、このプランタケース６に設けら
れているプランタアーム７を駆動してこれに設けられて
いる植付爪によって苗載台４に載置されている苗８を後
述する圃場に掘削された溝９内に植付けるように構成さ
れている。

植付け動作に先立って前記ドライブケース４の前方に
延長された伝動ケース10とガード15の間に横架した駆動
軸11に支持されている溝切歯12（コールタ）によって溝
９を掘削する。また、プランタケース６の下方にはフロ
ート13が設けられ、更に溝切歯12の上半部より後部にか
けてカバー14が設けられている。

作業機１の下部の前部に操向輪18が、また後部には駆
動輪19が設けられ、前部にエンジン室20が、中央部に操
縦席21が設けられ、この操縦席21の側方には植付装置３
を操作するための油圧プランタレバー22が設けれてい
る。

次に、薬液、即ち除草剤の撒布装置について説明す
る。

エンジン室20の前方の機体の前部にベース25を延長
し、このベース25上にガード29を有する架台30を設置し
て上下二段に分割する。そしてこの架台30の上部に薬液
タンク27を置き、下部に小型エンジン26とこれによって
駆動される動力噴霧機28を設置している。前記薬液タン
ク27の上部には吸水ホース31と戻りホース32が設けら
れ、更にベース25の側方には操作レバー33で開閉操作さ
れるコック34が設けられている。

また、前記ベース25の前方にはアーム36によって噴管
体37が支持され、この噴管体37の下面にはノズル38が複
数個設けられており、この噴管体37の一端とコック34と
の間はホース39で接続されている。

本考案に係る不耕起植付装置は通常の不耕起植付装置
と同様に操作することができるが、不耕起植付作業にあ
たっては、操作レバー33を操作してコック34を開き、薬
液タンク27より薬液27aを噴管体37に供給し、この噴管
体37に間隔を置いて下向きに取付けられているノズル38
より圃場Ｇ上に広範囲に撒布する。

第２図に示す如く植付けを行う際には、除草剤27aを
圃場Ｇに全面的に撒布しながら切り株40の中間位置を溝
切歯12が進行し、溝９を掘削し、次にこの溝９の中に植
付装置３のプランタアーム７を設けてある植付爪によっ
て保持された苗８を植付ける。

従って、除草剤の撒布作業と植付装置とが同時に行な
われ、効率的に不耕起植付作業を行ない、雑草に成育を
妨げられることもなく、良好に苗を育成することができ
る。

また、操作レバー33を操縦席21の近傍に設けることに
より、必要に応じて薬液を圃場Ｇに撒布することができ
るので、無駄なく薬液撒布を行うことができる。

なお、薬液は除草剤を主体としているが、これに限ら
ず、肥料その他苗の成育に必要なものであれば何でも撒
布することができる。

〔考案の効果〕

本考案は、上記のように、牽引型対地作業機の後部
に、溝切歯と該溝切歯で掘削された溝に苗を植付ける植
付装置とを牽引させた不耕起植付装置であって、前記作
業機の前部に薬液タンクと該タンク内に収容された薬液
を噴霧するノズルを有する噴体管とを設け、前記植付装
置の植付け作業に当たって作業機前部の前記ノズルより
薬液を圃場上に撒布する如く構成したので、苗の植付け
作業と同時に苗根付け前の圃場上に薬液の撒布作業を完
了することができるものでありながら、植付溝に植え付
けられた直後の苗に直接、薬液が降りかかることがな
い。

従って、植付溝に植え付けられた苗の葉から薬液が吸
収されて苗が枯れる所謂薬害の被害を未然に防止するこ
とができるようになった。

【図面の簡単な説明】

第１図は不耕起植付装置の側面図、第２図は同平面図で
ある。 １……牽引型対地作業機、３……植付装置 ８……苗、９……溝 10……伝動ケース、11……駆動軸 12……溝切歯、22……油圧プランタレバー 25……ベース、26……小型エンジン 27……薬液タンク、28……動力噴霧機 30……架台、33……操作レバー 34……コック、37……噴管体 38……ノズル、39……ホース。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】牽引型対地作業機の後部に、溝切歯と該溝
   切歯で掘削された溝に苗を植付ける植付装置とを牽引さ
   せた不耕起植付装置であって、前記作業機の前部に薬液
   タンクと該タンク内に収容された薬液を噴霧するノズル
   を有する噴体管とを設け、前記植付装置の植付け作業に
   当たって作業機前部の前記ノズルより薬液を圃場上に撒
   布する如く構成した不耕起植付装置。