JP2526238Y2 - 糞尿用汚水浄化槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は糞尿用汚水浄化槽に関
し、特に浄化槽内にシーソー板と腐敗分解層を設けて、
糞尿の汚水浄化処理効率を向上する糞尿用汚水浄化槽に
関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、一般に使用されている糞尿用汚水
浄化槽には、改良型分離多槽式、単槽膜片式、旧式平面
配置の改良型多槽式、立体組み合わせ式などと多種多様
であるが、その糞尿処理方式は、いずれも、細菌を利用
して不活性ガスを分解するものであり、その処理過程の
レイアウトに不当な所があるため、例えば、腐敗処理に
おいて静態の作用で行うことや、設計の不当から管路が
短絡を発生すること、または管路が複雑であるため容易
に閉塞を生じること、あるいは固・液体の分離が徹底的
に行えないこと等の原因から、不活性ガスの分解効果が
厳重に影響され、浄化槽での腐敗作用が局部だけでしか
行うこととなって、腐敗効率が低く、液体の負荷あるい
は有機物の負荷が高過ぎると共に、レイアウトの不当か
ら管路が容易に滞り、そして、そのいろいろな欠陥が、
今日において汚水浄化槽の排水が汚染の一つであると言
われる原因となり、現在のように下水道の建造が未だ完
ぺきでなかった時に、如何に汚水浄化槽の糞尿処理効率
を向上させ、汚染の低減を計るべきかはただちに解決し
なければならない急務であると言っても過言ではない。
また、従来の糞尿用汚水浄化槽は、設計時において、食
物の相異から糞便の比重や粘稠度に相異があること及び
その浮上性などに対して配慮を欠くため、浮上糞便の分
解・腐敗処理装置を設計していないので、それが液面に
浮上するに任せてあるから微生物との接触が不充分で、
腐敗作用が不完全となって、たやすく汚物浮上層を形成
して、浄化槽の有効容積や機能の低下に厳重な影響をも
たらしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の汚水浄化槽
の問題点にかんがみ、この考案は、浄化槽内にシーソー
板と腐敗分解層を設けて、有機物の腐敗分解から生じて
表面に汚物粒子を付着して上昇する気泡及びそれ自体の
重量によって沈下する汚物により、該シーソー板を上下
に揺動撹拌させて、固・液・気の分離効果を高め、腐敗
分解を加速度的に促進して、処理効率を向上した糞便用
汚水浄化槽を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そのため、この考案は、
ＦＲＰ材（すなわち、強化プラスチック材）を一体成型
してなる長方形体の内部に、長手方向に直交して浮上汚
物を遮断する隔離板を設けて、該隔離板下端で相通する
大小二つの空間を形成し、その大空間端壁に上向き排気
孔を備えた流入管を挿設し、及び該小空間端壁に上向き
排気孔を備えた排水管を設け、かつ、該大空間内の頂端
縁よりやや低いレベルに、細目のプラスチック製網を装
着して腐敗分解層とし、更に、該大空間内底面から適当
な高さに、それぞれ互いに上下に揺動するのみに規制さ
れて緊密に閉鎖する扉状の両シーソー板を設けると共
に、該小空間の内部上・下に、それぞれ細目プラスチッ
ク網を備えた通孔を有する仕切り層を装着して沈殿槽及
び濾過槽を形成した構成で目的を達成する。そして、上
記両シーソー板が互いに閉鎖してなす線上に対応して、
上記大空間中央に、その下端が該両シーソー板底面より
やや凸伸する清浄管を装設し、かつ、該腐敗分解層が、
交錯したガラス繊維によって網目を硬化された細目のプ
ラスチック製網、若しくは、ＦＲＰを一体成型した細目
網片で形成するようにし、更に、該シーソー板頂端面を
鏡面に、底端面を毛面に形成し、また、それぞれ中端に
ほぼ菱形に近い楕円状の平衡棒（３１）を設けるように
すればいっそう好ましくなる。

【０００５】

【作用】上記のように構成されたこの考案は、糞尿が流
入管より汚水浄化槽の大空間に流入すると、上記腐敗分
解層に、その網目よりより大きい糞便が係着することと
なり、それが腐敗・分解して小さくなると、比較的比重
の大きいものは沈殿することとなって、上記シーソー板
上に沈み滞ってある程度の重量になると、該シーソー板
が傾斜して、それら糞便が汚水浄化槽の下底面の汚泥細
菌ベッドに落下し、分解・破砕作用を受けて小気泡が生
じ、その浮上力にともない表面に糞便の粒子が付着上昇
して、該シーソー板下底面にぶつかって停滞し、そし
て、それら気泡がある程度まで停滞集積すると、該シー
ソー板を持ち上げることとなり、したがって、沈殿粒子
の重量による下降と気泡の浮上力による上昇によって、
該シーソー板が上下に揺動することとなって、適度の撹
拌作用を生じる。他方、腐敗・分解作用を経てきた液体
は、上記小空間の上・下両仕切り層のそれぞれの通孔を
通じて排水管から排出され、液体流速が比較的弱められ
る。そして、上記両シーソー板が互いに閉鎖してなす線
上に対応して、上記大空間中央に、その下端が該両シー
ソー板底面よりやや凸伸する清浄管を装設し、かつ、該
腐敗分解層が、交錯したガラス繊維によって網目を硬化
された細目のプラスチック製網、若しくは、ＦＲＰを一
体成型した細目網片で形成するようにし、更に、該シー
ソー板頂端面を鏡面に、底端面を毛面に形成し、また、
それぞれ中端にほぼ菱形に近い楕円状の平衡棒を設けて
いるので、内部の汚泥や異物を容易に清浄し、汚物の腐
敗作用を加速的に促進する。この考案の上記またはその
他の目的、特徴および利点は、図面を参照しての以下の
実施例の詳細な説明から一層あきらかとなろう。

【０００６】

【実施例】以下に実施例を示すが、この考案は下記の実
施例によって何らの制限をも受けるものではない。 （実施例） 図１及び図２に示すように、この考案の糞便用汚水浄化
槽（１）は、ＦＲＰ材料をほぼ長方形体に一体成型した
もので、その四つ角はそれぞれ角取りされて使用時や成
型時の型抜きの便宜を計ってあり、かつ、該汚水浄化槽
（１）内部の適当な箇所に、該汚水浄化槽（１）の短め
方向に沿って浮上汚物を遮断する隔離板（１３）を設け
て、該汚水浄化槽（１）を大小二つの空間に仕切り、そ
のうち、槽の長手方向端面において相対する大空間側壁
に流入管（１１）を挿設し、該小空間側壁に排水管（１
２）を設けると共に、該流入管（１１）と排水管（１
２）の湾曲した箇所の上向き周壁にそれぞれ排気孔（１
７）を穿ち、並びに該排水管（１２）を貫挿装着した該
小空間側壁の、該排水管（１２）の上方の側壁に排気口
（１６）を穿設する。

【０００７】そして、該大空間内の頂端縁に近い上記流
入管（１１）が汚水浄化槽（１）に貫挿接着した位置よ
りやや低い箇所に、交錯したガラス繊維によって網目を
硬化された細目のプラスチック製網（あるいは、直接に
ＦＲＰで一体成型した細目網片）で形成された腐敗分解
層（２）を設け、かつ、適当な口径及び長さの清浄パイ
プ（１４）を支持棒（１５）によって、その底端が該汚
水浄化槽（１）底面から適当な高さを保つように該大空
間中央に装設して、該清浄管（１４）を利用して汚水浄
化槽（１）内の汚泥や異物を清浄するのであり、更に、
該清浄管（１４）底端の適当な箇所の両側にそれぞれ扉
状のシーソー板（３）を設けると共に、該両シーソー板
（３）の清浄管（１４）と交差する箇所におのおの円弧
状孔（３２）を穿設して、両シーソー板（３）が互いに
緊密に閉鎖するようにする。

【０００８】また、該両シーソー板（３）のそれぞれ中
央部に水平向きのほぼ菱形に近い楕円状の平衡棒（３
１）が設けられており、該平衡棒（３１）はほぼ菱形に
近い楕円状に設計されているため、両シーソー板（３）
を上下に揺動させるのみに規制して反転させないように
する。そして、該シーソー板（３）頂端面に鏡面処理
を、底端面に毛面処理を施して、その鏡面に細菌類が容
易に付着しないようにすると共に、糞便がシーソー板
（３）の揺動から容易に滑り落ちるようにし、その毛面
は細菌類が容易に付着して、腐敗作用を加速するように
するために設けられる。

【０００９】該小空間は、内部上・下に仕切り層（４、
４２）を装着して沈殿槽（５）及び濾過槽（６）を設
け、かつ、該両仕切り層（４、４２）各自に投影面で互
いに交錯する通孔（４１、４３）を穿設してそれぞれに
プラスチック網を装着する。すなわち、図３および図４
に示すように、糞尿が流入管（１１）より汚水浄化槽
（１）の大空間に流入すると、上記腐敗分解層（２）
に、その網目よりより大きい糞便が係着することとな
り、それが腐敗・分解して小さくなると、比較的比重の
大きいものは沈殿することとなり、上記シーソー板
（３）上に沈み滞ってある程度の重量になると、該シー
ソー板（３）が傾斜して、それら糞便が汚水浄化槽
（１）の下底面の汚泥細菌ベッドに落下し、分解・破砕
作用を受けて小気泡が生じ、その浮上力にともない表面
に糞便の粒子が付着上昇して、該シーソー板（３）の下
底の毛面にぶつかって停滞し、そして、それら気泡があ
る程度まで停滞集積すると、該シーソー板（３）を持ち
上げることとなり、したがって、沈殿粒子の重量による
下降と気泡の浮上力による上昇から、該シーソー板
（３）が上下に揺動することとなって、適度の撹拌作用
を生じて固・液・気の分離効果及び汚泥細菌ベッドの濃
度が向上して、腐敗・分解作用を加速度的に促進して汚
水浄化槽（１）の処理効率が向上する。

【００１０】他方、腐敗・分解作用を経てきた液体は、
上記小空間の上・下両仕切り層（４、４２）のそれぞれ
の通孔（４１、４３）を通じて排水管（１２）より排出
され、該両通孔（４１、４３）は投影面において交錯し
た状態に設けられているので、液体が曲流して流速が比
較的弱められ、沈殿効果が向上して腐敗・分解がより完
全となる。

【００１１】また、図５に示すように、この考案のシー
ソー板（３）をもっと多面に分割して設けて撹拌効果を
更に向上させても良く、同時に、図示のように、清浄管
（１４）の口径を太く長さを短くしても良く、この際、
上記シーソー板（３）における円弧状孔（３２）を穿設
しなくても良い。一方、該流入孔（１１）と排水管（１
２）の湾曲した箇所に排気孔（１７）を設けずに、Ｔ字
管のように設計して管状排気孔（１７）を設けても同等
以上の効果を得ることができる。なお、汚水浄化槽
（１）に付設される消毒槽などのその他設備は、この考
案の重点ではないから、ここでは説明を省く。

【００１２】

【考案の効果】この考案は、上記のように構成されてい
るので、糞尿が流入管より汚水浄化槽の大空間に流入す
ると、上記腐敗分解層に、その網目より大きい糞便が係
着することとなり、それが腐敗・分解して小さくなる
と、比較的比重の大きいものは沈殿することとなって、
上記シーソー板上に沈み滞ってある程度の重量になる
と、該シーソー板が傾斜して、それらの糞便が汚水浄化
槽の下底面の汚泥細菌ベッドに落下し、その場所で分解
・破砕作用を受けて小気泡が生じ、その浮上力にともな
い表面に糞便の粒子が付着上昇して、該シーソー板下底
面にぶつかつて停滞し、そして、それら気泡がある程度
まで停滞集積すると、該シーソー板を持ち上げることと
なり、したがって、沈殿粒子の重量による下降と気泡の
浮上力による上昇によつて、該シーソー板が上下に揺動
することとなって、適度の撹拌作用を生じて固・液・気
の分離効果及び汚泥細菌ベッドの濃度が向上して、腐敗
・分解作用を加速度的に促進して汚水浄化槽の処理効率
が向上する。

【００１３】他方、腐敗・分解作用を経てきた液体は、
上記小空間の上・下両仕切り層のそれぞれの通孔を通じ
て排水管より排出され、液体流速が比較的弱められ沈殿
効果が向上され腐敗・分解がより完全となる。そして、
上記両シーソー板が互いに閉鎖してなす線上に対応し
て、上記大空間中央に、その下端が該両シーソー板底面
よりやや凸伸する洗浄管を装設し、かつ、該腐敗分解層
が、交錯したガラス繊維によって網目を硬化された細目
のプラスチック製網、若しくは、ＦＲＰを一体成型した
細目網片で形成されるようにし、更に、該シーソー板頂
端面を鏡面に、底端面を毛面に形成し、また、それぞれ
中央部にほぼ菱形に近い楕円形状の平衡棒（３１）を設
けているので、内部の汚泥や異物を容易に清浄し、汚物
の腐敗作用を加速的に促進する。

【図面の簡単な説明】

図１はこの考案の立体断面斜視図であり、図２はこの考
案の立体分解図であり、図３および図４はこの考案の正
面断面図であり、図５はこの考案の他の実施例の正面断
面図である。

【符合の説明】

添付の図において２は腐敗分解層、３はシーソー板、
４、４２は仕切り板、５は沈殿槽、６は濾過槽、１１は
流入管、１２は排水管、１３は隔離板、１７は排気孔、
４１および４３は通孔を示す。

Claims (5)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ＦＲＰ材を一体成型してなる長方形体の内
   部に、長手方向に直交して浮上汚物を遮断する隔離板
   （１３）を設けて、該隔離板（１３）下端で相通する大
   小二つの空間を形成し、その大空間端壁に上向き排気孔
   （１７）を備えた流入管（１１）を挿設し、及び該小空
   間端壁に上向き排気孔（１７）を備えた排水管（１２）
   を設け、かつ、該大空間内の頂端縁よりやや低いレベル
   に、細目のプラスチック製網を装着して腐敗分解層
   （２）とし、更に、該大空間内の底面から適当な高さ
   に、それぞれ互いに上下に揺動するのみに規制されて緊
   密に閉鎖する扉状の両シーソー板（３）を設けると共
   に、該小空間の内部上・下に、それぞれ細目プラスチッ
   ク網を備えた通孔（４１、４３）を有する仕切り層
   （４、４２）を装着して沈殿槽（５）及び濾過槽（６）
   を形成してなる糞尿用汚水浄化槽。
2. 【請求項２】上記両シーソー板（３）が互いに閉鎖して
   なす線上に対応して、上記大空間中央に、その下端が該
   両シーソー板（３）底面よりやや凸伸する清浄管（１
   ４）を装設してなる請求項１記載の糞尿用汚水浄化槽。
3. 【請求項３】上記腐敗分解層（２）が、交錯したガラス
   繊維によって網目を硬化された細目のプラスチック製
   網、若しくは、ＦＲＰを一体成型した細目網片で形成し
   てなる請求項１記載の糞尿用汚水浄化槽。
4. 【請求項４】上記シーソー板（３）頂端面が鏡面に、底
   端面が毛面に形成されてなる請求項１記載の糞尿用汚水
   浄化槽。
5. 【請求項５】上記両シーソー板（３）のそれぞれ中央
   に、ほぼ菱形に近い楕円状の平衡棒（３１）を設けてな
   る請求項１記載の糞尿用汚水浄化槽。